JP4983356B2 - 水系リチウム二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、電解液としてリチウム塩を水に溶解してなる水系電解液を含有する水系リチウム二次電池に関する。
非水系電解液を用いたリチウム二次電池は、高電圧・高エネルギー密度が得られ、小型・軽量化が図れるため、パソコンや携帯電話等の情報通信機器の関連分野ではすでに実用化されている。また、リチウム二次電池は、資源問題や環境問題に対応するため、電気自動車やハイブリッド電気自動車に搭載される電源への展開が期待されている。
一般に、非水系電解液を用いたリチウム二次電池(非水系リチウム二次電池)は、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を、負極活物質として炭素材料を、電解液として有機溶媒にリチウム塩を溶解してなる非水電解液を用いて構成されている。非水系のリチウム二次電池においては、単セルにおいて3〜4V級の高い起電力を発揮できる。
しかし、非水系のリチウム二次電池には、次のような問題が指摘されている。
即ち、非水系のリチウム二次電池は、電解液として、引火性を有し、揮発性の高い有機溶媒等の非水系電解液を含有しているため、慎重に取り扱う必要がある。特に、例えば過充電による過熱や、圧力上昇及び衝撃による電池の破損等が起こったときに対する対策が必要になってくる。
このような問題は、特に電気自動車やハイブリッド車等のように大型の電池を必要とし、過酷な条件下で使用される用途において重要である。
また、非水系のリチウム二次電池においては、その製造工程において徹底したドライ環境を維持する必要があり、水分を完全に除去するために特殊な設備と多大な労力を要している。そのため、製造コストが高くなってしまうという問題がある。このような観点からも、非水系リチウム二次電池は、特に電気自動車用の二次電池をにらんだ将来の量産化に対応し難いという問題があった。
一方、電解液として水溶液を用いたリチウム二次電池(水系リチウム二次電池)がある。水系リチウム二次電池は、電解液に有機溶媒を含有していないため、基本的には燃えることはない。また、製造工程においてドライ環境を必要としないため、製造にかかるコストを大幅に減少させることができる。さらに、水溶液電解液は非水系電解液に比べて一般的に導電性が高いため、水系リチウム二次電池は、非水系のリチウム二次電池に比べて内部抵抗が低くなるという利点がある。しかしその反面、水系リチウム二次電池においては、水の電気分解反応が起こらない電位範囲での使用が求められるため、起電力が非水系のリチウム二次電池比べて低くなる。
したがって、水系リチウム二次電池においては、高電圧即ち高エネルギー密度を犠牲として、安全性、コスト、及び低内部抵抗が確保される。そのため、水系リチウム二次電池は、高エネルギー密度、即ち軽くて小さいことを重視する携帯機器等の用途には向かないが、比較的コストを重視し、大型の電池が必要とされる電気自動車やハイブリッド電気自動車、ひいては家庭用分散電源等の用途に適することが予想される。
水系リチウム二次電池を構成する上で重要なことは、水溶液中で安定で、かつ水の電気分解により酸素や水素を発生しない電位範囲において、可逆的に大量のリチウムを吸蔵及び脱離できる活物質、つまり特定の電位範囲において大きな容量を発揮できる活物質を用いる点にある。
また、電解液としては、中性からアルカリ性の電解液を用いることが望まれている。活物質として主として用いられるLi含有酸化物は、一般に酸性の水溶液中における安定性に乏しく、また、酸性電解液中の多量のH+イオンは、純粋なLi+イオンのロッキングチェア反応を阻害するおそれがあるからである。
中性、即ちpH=7の電解液を用いた場合には、水の分解電圧は、水素発生電位が2.62V、酸素発生電位が3.85Vである。また、強アルカリ性、即ちpH=14の電解液を用いた場合には、水の分解電圧は水素発生電位が2.21V、酸素発生電位が3.44Vである。水系リチウム二次電池においては、負極が水素発生電位以下の電位にさらされた場合には水素の発生が起こるおそれがあり、正極が酸素発生電位以上の電位にさらされた場合には酸素の発生が起こるおそれがある。現実にはガス発生過電圧があるため、多少は範囲外の電位まで使用できるが、水系リチウム二次電池用の活物質としては、できる限りこの範囲内に多くの充放電容量を有するものが望まれている。
これまでに、水系リチウム二次電池の正極活物質としては、LiMn24、及びLiFePO4等が提案されており(特許文献1〜3参照)、負極活物質として、Fe系酸化物、Fe系ポリアニオン化合物、各種リチウムバナジウム酸化物等が提案されている(特許文献4〜8参照)。また、最近では、正極活物質としてLiMn24を含有し、負極活物質としてチタン系ポリアニオンを含有する水系リチウム二次電池が提案されている(非特許文献1参照)。
しかしながら、従来の構成の水系リチウム二次電池は、耐久性が不十分であり、充放電を繰り返し行ったときに容量が非常に低下しやすいという問題点があった。具体的には、LiMn24は、Liの挿入脱離電位が水の分解電位に近いため、電位を十分に高くして容量を大きくすることができず、また、充放電を繰り返し行ったときの容量の低下が大きいという問題があった。また、LiFePO4は、水の分解が起こらない電位にLiの挿入脱離電位を有しているため、LiMn24よりは充放電を繰り返したときの容量の低下は小さくなるが、実用的には未だ十分ではなかった。
特表平9−508490号公報 特開2002−110221号公報 特開2002−260722号公報 特開2000−340256号公報 特開2002−110221号公報 特開2001−102086号公報 特開2000−77073号公報 特開2003−17057号公報 エイチ・ワン(H.Wang)他、「エレクトロチミカ アクタ(Electrochimica Acta)」、英国、2007年2月15日発行、第52巻、第9号、p.3280−3285
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、充放電を繰り返し行ったときの耐久性に優れた水系リチウム二次電池を提供しようとするものである。
本発明は、正極と、負極と、リチウム塩を水に溶解してなる水溶液電解液とを有し、Liイオンを可動イオンとする水系リチウム二次電池において、
上記正極は、一般式Liab(PO4)cd(但し、0≦a≦4、1≦b≦2、1≦c≦3、dは0又は1、XはF又はOH)で表されるリン酸バナジウム化合物を主成分とする正極活物質を含有し、
上記負極は、上記リン酸バナジウム化合物よりも低い電位でLiの挿入脱離が起こる物質を主成分とする負極活物質を含有することを特徴とする水系リチウム二次電池にある(請求項1)。
本発明の水系リチウム二次電池は、上記正極活物質の主成分として、上記一般式で表される上記リン酸バナジウム化合物を含有する。そのため、上記水系リチウム二次電池は、充放電を繰り返し行っても容量が低下し難くなり、従来よりも優れたサイクル耐久性を示すことができる。上記正極活物質によってサイクル耐久性が向上する理由は解明されていないが、上記リン酸バナジウム化合物を主成分とする上記正極活物質は、Liの三次元通路を結晶構造内に有することが原因の一つとして考えられる。
次に、本発明の好ましい実施の形態について、説明する。
上記水系リチウム二次電池は、例えば、リチウムを吸蔵・放出する正極及び負極と、これらの間に狭装されるセパレータと、正極及び負極間でリチウムを移動させる水溶液電解液等を主要構成要素として構成することができる。
正極の正極活物質は、一般式Liab(PO4)ce(但し、0≦a≦4、1≦b≦2、1≦c≦3、dは0又は1、XはF又はOH)で表されるリン酸バナジウム化合物を主成分とする。a、b、c、及びdが上記範囲から外れる場合には、Liの挿入脱離が行われにくくなり、容量が小さくなるおそれがある。
上記水系リチウム二次電池において、正極は、例えば上記正極活物質に導電材及び結着材を混合し、必要に応じて適当な溶剤を加えてペースト状の正極合材としたものを成形し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成することができる。
導電材は、正極の電気伝導性を確保するためのものであり、例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質粉末状体の1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂、もしくはポリアクリロニトリル系高分子等を用いることができる。
これら活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
負極は、上記正極と同様に、例えば負極活物質に導電材や結着材を混合し、必要に応じて適当な溶媒を加えてペースト状にした負極合材を成形し、その後必要に応じてプレスして形成することができる。
上記負極活物質としては、上記正極活物質として用いる上記リン酸バナジウム化合物よりも低い電位でLiの挿入脱離が起こる物質を用いることができる。このような物質は、サイクリックボルタンメトリー測定によって調べることができる。具体的には、例えば次のようにして調べることができる。
即ち、まず、負極活物質の候補となる所望の物質と導電材と結着剤とを混合して混合粉末を作製し、SUSメッシュ上に圧着して試料極を作製する。次いで、例えば濃度6mol/LのLiNO3水溶液等の評価用の電解液、銀塩化銀電極等の参照極、白金ワイヤー等(φ0.3×5;コイル状)の対極を用いて、サイクリックボルタンメトリーを行う。測定は3極式のビーカーセルを用いて、一定のスキャン速度で行うことができる。得られるサイクリックボルタモグラムにおいて、上記正極活物質よりも低電位で可逆性を示す物質を負極活物質として用いることができる。
このような負極活物質としては、例えばバナジウム、鉄、チタン、又はマンガン等の金属の酸化物、これらの金属の水酸化物、又はこれらの金属とリチウムとの複合酸化物等がある。より具体的には、バナジウムの酸化物としては、VO2等があり、バナジウムとリチウムとの複合酸化物としては、LiV38、LiV24等がある。
好ましくは、上記負極活物質としては、スピネル構造を有する化合物を含有することがよい(請求項4)。
この場合には、上記水系リチウム二次電池をより安定に動作させることができると共に、耐久性をより向上させることができる。
また、上記スピネル構造を有する上記化合物は、LiV24であることが好ましい(請求項5)。
この場合には、LiV24(リチウムバナジウム酸化物)が有する酸化還元電位が低いという特徴を生かして、上記水系リチウム二次電池の起電力をより向上させることができる。また、充放電容量を向上させることができる。
また、正極及び負極に狭装させるセパレータは、正極と負極とを分離し電解液を保持するものであり、例えばセルロース、ポリエチレン、及びポリプロピレン等の薄い微多孔膜を用いることができる。
また、上記水系リチウム二次電池の形状としては、例えばコイン型、円筒型、角型等がある。正極、負極、セパレータ及び水溶液電解液等を収容する電池ケースとしては、これらの形状に対応したものを用いることができる。
また、上記水系リチウム二次電池は、電解液としてリチウム塩を水に溶解してなる水溶液電解液を有する。
このようなリチウム塩としては、例えばLiNO3、LiOH、LiCl、及びLi2S等がある。これらのリチウム塩は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用することもできる。
好ましくは、上記リチウム塩としては、少なくとも硝酸リチウムを含有することがよい(請求項3)。
この場合には、硝酸リチウムの高い溶解度を生かして、電解液中のLiイオンの存在量を増加させることができる。そのため、反応抵抗を低下さることができ、また、電解液設計の自由度の幅を広げることができる。
上記水溶液電解液は、そのpHが3〜11であることが好ましい(請求項2)。
上記水溶液電解液のpHが3未満の場合には、上記一般式Liab(PO4)cdで表される化合物が不安定となり、電池の容量や充放電サイクル特性が低下するおそれがある。また、水素発生電位が高くなり、負極上で水素発生が起こってしまうおそれがある。一方、pHが11を超える場合には、水の電気分解電位、即ち酸素発生電位が低下するため、正極で酸素が発生し易くなるおそれがある。より好ましくは、上記水溶液電解液のpHは5〜10がよい。
また、上記水系リチウム二次電池の形状としては、例えばコイン型、円筒型、角型等がある。正極、負極、セパレータ及び水溶液電解液等を収容する電池ケースとしては、これらの形状に対応したものを用いることができる。
(実施例1)
次に、本発明の水系リチウム二次電池の実施例につき、図1及び図2を用いて説明する。本例は、水系リチウム二次電池を作製し、この水系リチウム二次電池について、充放電を複数回繰り返し行ったときの容量維持率(充放電サイクル特性)を評価する例である。
図1に示すごとく、本例の水系リチウム二次電池1は、正極活物質を含有する正極2と、負極活物質を含有する負極3と、リチウム塩を水に溶解してなる水溶液電解液とを有する。本例において、正極2は、正極活物質としてLi32(PO4)3又はLiVPO4Fを含有する。また、負極3は、負極活物質としてLiV24を含有する。また、水溶液電解液は、リチウム塩としてのLiNO3を水に溶解してなる。
水系リチウム二次電池1においては、CR2016型の電池ケース11中に、正極2及び負極3と共に、これらの間に狭装させた状態でセパレータ4が配置されている。また、電池ケース11内には、水溶液電解液が注入されている。電池ケース11内の端部には、ガスケット45が配置されており、電池ケース11は封口板12により密閉されている。
次に、本例の水系リチウム二次電池の製造方法につき、説明する。
まず、下記のようにして、正極活物質としてのLi32(PO4)3を合成する。その合成にあたっては、所謂固相合成法を行った。
具体的には、まず、リン酸二水素アンモニウムと、五酸化バナジウムと、炭酸リチウムとを、Li32(PO4)3という組成になるような化学量論比で混合した。混合物をペレットに成形して大気中で温度300℃で4時間焼成した。次いで、ペレットを粉砕し、再度ペレット状に成形した後、水素気流中で温度800℃で12時間焼成した。焼成後のペレットを粉砕して再び成形した後、水素気流中で温度850℃で12時間焼成をおこなった。そして、得られた粉末を十分に粉砕してLi32(PO4)3粉末を得た。これを正極活物質とする。
次に、以下のようにして負極活物質としてのLiV24を作製した。
まず、炭酸リチウム(Li2CO3)と、五酸化バナジウム(V25)とをLiV24という組成となるような化学量論比で秤量し、これらを自動乳鉢で20分間混合した。その後、混合物100重量部に対し、カーボンブラック(東海カーボン(株)製 TB−5500)を2重量部添加し、自動乳鉢でさらに20分間混合した。その混合物をアルゴン気流中で温度750℃で24時間焼成した後急冷した。このようにして、LiV24を得た。これを負極活物質とする。
次に、上記正極活物質及び負極活物質を用いて、水系リチウム二次電池を作製する。
具体的には、まず、正極活物質としてのLi32(PO4)3を70重量部、導電剤としてのカーボンブラックを25重量部、及び結着材としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を5重量部混合し、正極合材を作製した。
また、負極活物質としてのLiV24を70重量部、導電剤としてのカーボンブラックを25重量部、及び結着材としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を5重量部混合し、負極合材を作製した。
次に、図1に示すごとく、CR2016型のコインセル用の電池ケース11を準備し、予め電池ケース11の内側に溶接したメッシュ上に正極合材を約0.6ton/cm2で圧着して正極2を形成した。この正極2と同様にして、メッシュ上に負極合材を約0.6ton/cm2で圧着して負極3を形成した。
正極2及び負極3は、ポリプロピレン系のセパレータ4を介して、電池ケース11内に配置した。
次いで、電池ケース11内にガスケット5を配置し、さらに電池ケース11内に水溶液電解液を適量注入し含浸させた。本例においては、水溶液電解液としては、濃度6mol/LのLiNO3水溶液(pH≒5)を用いた。
次に、電池ケース11の開口部に封口板12を配置し、電池ケース11の端部をかしめ加工することにより、電池ケース11を密封して、水系リチウム二次電池1を作製した。これを電池E1とする。
また、本例においては、LiVPO4Fを正極活物質とする水系リチウム二次電池(電池E2)を作製した。
LiVPO4Fは、還元と焼成という二段階のプロセスで合成した。即ち、まず、五酸化バナジウムとリン酸二水素アンモニウムとを乳鉢で十分混合してペレット状に成形し、水素気流中で温度750℃で4時間還元処理を行った。得られたペレットを十分に解砕し、フッ化リチウムを添加して乳鉢で混合した。混合物を再度ペレット状に成形してAr気流中で温度750℃で1時間焼成し、LiVPO4Fを得た。
電池E2は、このLiVPO4Fを正極活物質として用いた点を除いては、上記電池E1と同様にして作製した。
また、本例においては、電池E1及び電池E2の優れた特性を明らかにするため、正極活物質として、オリビン構造のLiFePO4又はスピネル構造のLiMn24をそれぞれ有する2種類の水系リチウム二次電池(電池C1及び電池C2)を作製した。
具体的には、まず、2種類の正極活物質(LiFePO4及びLiMn24)を準備した。
オリビン構造のLiFePO4の作製にあたっては、まず、出発原料として2価のシュウ酸鉄、炭酸リチウム、及びリン酸二水素アンモニウムを、それぞれLiとFeとPとの混合比がモル比でLi:Fe:P=1.2:1:1となるように混合し、また、合成されるLiFePO4に対してカーボンブラックを、LiFePO4:カーボンブラック=95:5となるような混合比(重量比)で混合し、不活性ガス雰囲気下で温度650℃で24時間焼成した。このようにして、オリビン構造のLiFePO4を得た。
また、スピネル構造のLiMn24は、所謂固相法により合成した。即ち、まず水酸化リチウム(LiOH)と二酸化マンガン(MnO2)とを、LiとMnとの混合比がモル比でL:Mn=1.05:2.0となるように混合し、混合物をエタノール溶媒中でボールミルにより24時間混合した。次いで、混合物を十分に乾燥させて乾式でボールミル混合を12時間行った。そして、得られた混合粉末を温度800℃で12時間焼成した。このようにして、スピネル構造のLiMn24を得た。
次に、これら2種類の正極活物質を用いて、上記電池E1と同様にして2種類の水系リチウム二次電池を作製した。これらを電池C1及び電池C2とする。
電池C1は、正極活物質としてオリビン構造のLiFePO4を用いた点を除いては、上記電池E1と同様にして作製した。
電池C2は、正極活物質としてスピネル構造のLiMn24を用いた点を除いては、上記電池E1と同様にして作製した。
次に、上記のようにして作製した4種類の水系リチウム二次電池(電池E1、電池E2、電池C1、及び電池C2)について、充放電サイクル特性を調べた(充放電サイクル試験)。
充放電サイクル試験は、各電池について、温度60℃の条件下で、電流密度0.1mA/cm2の定電流で充電し、その後電流密度0.1mA/cm2の定電流にて放電する充放電を1サイクルとし、このサイクルを20サイクル繰り返すことにより行った。このとき、充電終止電圧は、正極活物質として、Li32(PO4)3を用いた電池E1については1.4Vとし、LiVPO4Fを用いた電池E2については1.7V、LiFePO4を用いた電池C1については1.2V、LiMn24を用いた電池C2については1.7Vとした。放電終止電圧は全ての電池について0.5Vとした。
また、各充放電サイクルにおいては、充電終止電圧まで充電した後、及び放電終止電圧まで放電した後に、充電休止時間及び放電休止時間をそれぞれ10分間ずつ設けた。そして、各サイクル毎に、各電池(電池E1、電池E2、電池C1、及び電池C2)の放電容量を測定し、容量維持率を算出した。
放電容量は、各サイクル毎の放電電流値(mA)を測定し、この放電電流値に放電に要した時間(hr)を乗じて得た。また、各サイクル毎の容量維持率は、「nサイクル目の容量維持率(%)=Nサイクル目の放電容量(mAh)/1サイクル目の放電容量(mAh)×100」という式に基づいて算出した。その結果を図2示す。図2において、横軸はサイクル数(回)を示し、縦軸は容量維持率(%)を示すものである。
図2より知られるごとく、Li32(PO4)3又はLiVPO4F等のリン酸バナジウム化合物を正極活物質とする水系リチウム二次電池(電池E1及び電池E2)は、従来の正極活物質(LiFePO4又はLiMn24)を用いた電池(電池C1及び電池C2)に比べて、非常に優れた容量維持率を示した。これは、電池E1及び電池E2における正極活物質が、水溶液中で安定に充放電できるためであると考えられる。
このように、電池E1及び電池E2で用いたリン酸バナジウム化合物は、他の材料に比べて水溶液中安定してLiの挿入脱離を行うことができるため、水系リチウム二次電池に好適である。このようなリン酸バナジウム化合物を正極活物質とする水系リチウム二次電池は、安全性が高く、低コストで製造できるだけでなく、安定した電池特性を示すことができる。
実施例1にかかる、水系リチウム二次電池の構成を示す説明図。 実施例1にかかる、異なる正極活物質を含有する4種類の水系リチウム二次電池(電池E1、電池E2、電池C1及び電池C2)についての充放電サイクル数と容量維持率との関係を示す線図。
符号の説明
1 水系リチウム二次電池
2 正極
3 負極
4 セパレータ

Claims (5)

  1. 正極と、負極と、リチウム塩を水に溶解してなる水溶液電解液とを有し、Liイオンを可動イオンとする水系リチウム二次電池において、
    上記正極は、一般式Liab(PO4)cd(但し、0≦a≦4、1≦b≦2、1≦c≦3、dは0又は1、XはF又はOH)で表されるリン酸バナジウム化合物を主成分とする正極活物質を含有し、
    上記負極は、上記リン酸バナジウム化合物よりも低い電位でLiの挿入脱離が起こる物質を主成分とする負極活物質を含有することを特徴とする水系リチウム二次電池。
  2. 請求項1において、上記水溶液電解液は、そのpHが3〜11であることを特徴とする水系リチウム二次電池。
  3. 請求項1又は2において、上記リチウム塩としては、少なくとも硝酸リチウムを含有することを特徴とする水系リチウム二次電池。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、上記負極活物質としては、スピネル構造を有する化合物を含有することを特徴とする水系リチウム二次電池。
  5. 請求項4において、上記スピネル構造を有する上記化合物は、LiV24であることを特徴とする水系リチウム二次電池。
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