JP4983365B2 - 無線通信装置 - Google Patents

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本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)変調された無線信号を受信する無線通信装置に係り、特に、中間周波数(IF)段を用いないダイレクト・コンバージョン方式によりOFDM信号を受信処理する無線通信装置に関する。
さらに詳しくは、本発明は、パケット先頭に付加されたトレーニング系列を用いて周波数オフセットを除去してOFDMシンボルの復調処理を行なう無線通信装置に係り、特に、受信したOFDMシンボルに時間変動するDCオフセットとIQ不平衡が同時に存在する状況下において、周波数オフセットの正確な推定を行なう無線通信装置に関する。
旧来の有線通信方式における配線から解放するシステムとして、無線ネットワークが注目されている。無線ネットワークに関する標準的な規格として、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11などを挙げることができる。
例えば室内で無線ネットワークを構築した場合、受信装置では直接波と複数の反射波・遅延波の重ね合わせを受信するというマルチパス環境が形成されるという問題がある。マルチパスにより遅延ひずみ(又は、周波数選択性フェージング)が生じ、通信に誤りが引き起こされる。そして、遅延ひずみに起因するシンボル間干渉が生じる。このため、IEEE802.11a/gなどの無線LANの標準規格では、マルチキャリア方式の1つであるOFDM変調方式が採用されている(例えば、非特許文献8及び9を参照のこと)
Figure 0004983365
OFDM送信機は、シリアルで送られてきた情報を情報伝送レートより遅いシンボル周期毎にシリアル/パラレル変換して出力される複数のデータを各サブキャリアに割り当ててサブキャリア毎に振幅及び位相の変調を行ない、その複数サブキャリアについて逆FFTを行なうことで周波数軸での各サブキャリアを時間軸の信号に変換して送信する。また、OFDM受信機は、この逆の操作、すなわちFFTを行なって時間軸の信号を周波数軸の信号に変換して各サブキャリアについてそれぞれの変調方式に対応した復調を行ない、パラレル/シリアル変換して元のシリアル信号で送られた情報を再生する。ここで、各サブキャリアがシンボル区間内で相互に直交するように各キャリアの周波数が設定されている。サブキャリアが互いに直交するとは、任意のサブキャリアのスペクトラムのピーク点が常に他のサブキャリアのスペクトラムのゼロ点と一致し、互いにクロストークがないことを意味する。したがって、送信データを周波数が直交する複数のキャリアに分配して伝送するので、各キャリアの帯域が狭帯域となり、周波数利用効率が非常に高く、周波数選択性フェージング妨害に強いという特徴がある。FFT(Fast Fourier Transform)アルゴリズムを用いることで、効率的なOFDM変復調器を実装することができる。OFDM伝送方式は、無線LAN以外にも、地上波デジタル放送(例えば、非特許文献6を参照のこと)や、第4世代移動通信、電力線搬送通信(Power Line Communication)などのさまざまな広帯域デジタル通信システムに適用されている。
無線通信機のRFフロントエンドでは、送信時において、通常、アナログ・ベースバンド信号を周波数変換器(直交変調器)によりRF帯域にアップコンバートし、バンドパス・フィルタにより帯域制限を掛けた後、さらに可変ゲイン増幅回路により送信電力を増幅するというのが一般的な構成である。また、受信時には、アンテナで受信した信号を低雑音アンプ(LNA:Low Noise Amplifier)による増幅した後、ローカル周波数fLOを用いてベースバンド信号にダウンコンバートする。自身信号の電流を適切な一定レベルに保つために、自動ゲイン制御回路(AGC:Auto Gain Control)が使用される。
また、最近の無線通信機では、送受信信号をアップコンバート又はダウンコンバートする周波数変換器として、ローカル周波数fLOにキャリア周波数fcを用いて直接周波数変換を行なうという「ダイレクト・コンバージョン」方式が採用されている。ダイレクト・コンバージョン方式によれば、外付けのIF(Intermediate Frequency:中間周波数)フィルタ(RF段間フィルタとも言う)を用いないため、スーパーヘテロダイン構成よりも小型化並びに集積化に適し、消費電力を削減できるとともに、原理的にスプリアス周波数を発生させないことから、送受信機の設計性に優れている。その反面、受信系のダイレクト・コンバージョンでは、受信周波数とローカル周波数が等しくなるため、ローカル信号の自己ミキシングによって、ダウンコンバータ出力に直流成分すなわちDCオフセットが発生するという問題が指摘されている(例えば、非特許文献1を参照のこと)。自己ミキシングは、ローカル信号と低雑音アンプ又はミキサの無線ポートとの絶縁に限界があることに起因する。なお、用語の定義として、OFDM変調方式におけるベースバンド信号の0Hzの位置(ゼロIF)をDCという。
ところで、OFDM通信システムでは、送受信機にそれぞれ搭載されている発振器の周波数が持つ微妙な誤差に起因して(例えば、無線LANでは20ppm程度の精度の発振器が使用される)、受信機側において周波数オフセットが発生するという問題がある。本来サブキャリア同士は干渉しないが、周波数オフセットが存在するとサブキャリア間における周波数直交性を阻害し、復調特性の劣化すなわち受信データの誤りを招来する。
このため、IEEE802.11を始めとするパケット交換型の無線通信システムでは、パケットの先頭に送受信機間で既知となるシンボルすなわちトレーニング系列を設け、受信機側では受信したトレーニング系列を用いて、低雑音アンプの自動ゲイン制御、DCオフセット推定及び除去、周波数オフセット推定及び除去、パケット検出並びにタイミング検出を行なう。周波数オフセットの処理をアナログ回路で行なうと、回路構成が複雑になるとともに消費電力が増大するから、これらの推定・補償処理をデジタル処理で行なうことが好ましい、と本発明者らは思料する。観測された周波数オフセットに対応してデータの位相を逆回転することにより周波数オフセットの補正が行なわれる。
ここで、IEEE802.11a/gを例にとって、周波数オフセットの問題について考察してみる。図15には、IEEE802.11a/gで規定されているプリアンブル構成を示している(例えば、非特許文献7、8を参照のこと)。図示の通り、先頭には、8.0マイクロ秒のショート・プリアンブル区間と8.0マイクロ秒のロング・プリアンブル区間が付加されている。ショート・プリアンブル区間では、ショート・トレーニング系列(Short Training Sequence:STS)からなるショート・プリアンブルt1〜t10が10回繰り返し送られる。また、ロング・プリアンブル区間では、1.6マイクロ秒のガード区間(Guard Interval)GI2の後に、ロング・トレーニング系列(Long Training Sequence:LTS)からなるロング・プリアンブルT1〜T2が2回繰り返して送られる。1つのショート・プリアンブル・シンボルは、12個のサブキャリアからなり、IFFT/FFT期間TFFTの4分の1に相当する0.8マイクロ秒長である。一方、1つのロング・プリアンブルは、52個のサブキャリアからなり、IFFT/FFT期間TFFTに相当する3.2マイクロ秒長である。また、図30に示すように、OFDM信号は0HzとなるDCサブキャリアを使用せず、DCオフセットとの干渉を回避している。
IEEE802.11a/gでは、プリアンブルの用途に関して特に規定していない。但し、一般的な受信機では、0.8マイクロ秒の4個のSTSシンボルを用いて、受信機のゲイン設定やDCオフセットの補正を行ない、さらに残りの6個のSTSシンボルを用いて周波数オフセットの推定と補正、パケットの検出、並びに粗タイミング検出を行なう。
周波数オフセット推定は、STSの0.8マイクロ秒の周期性を利用して、下式(1)に従って導出することができる。但し、Tstsは0.8マイクロ秒、S(i)は20MHzでサンプリングされたSTS信号、S*(i)はその複素共役、Mは平均サンプル数とする。
Figure 0004983365
また、パケット検出並びに粗タイミング検出は、STSの電力レベルで正規化された下式(2)に示す相関値から検出することができる。但し、Nは平均サンプル数とする。
Figure 0004983365
パケット検出においては、上式(2)の相関値に閾値レベルを設定して、その値を超えたらパケットであるという判定を行なう。また、粗タイミング検出においては、相関値がSTSの終了タイミングから増加から減少に転じるという特性を利用して、1つ前のタイミングで得られた相関値との比較で粗タイミングを導出することができる。
このように、受信機側では、パケットのプリアンブル部分を使用して、低雑音アンプの自動ゲイン制御、DCオフセット推定及び除去、周波数オフセット推定及び除去、パケット検出並びにタイミング検出を行なう。
しかしながら、周波数オフセット推定やパケット検出、タイミング検出の精度は、DCオフセットの影響を受け易く、DCオフセットが存在したままで周波数オフセットを推定しても、正確な推定を行なうことはできない、という問題がある。とりわけ、上述したダイレクト・コンバージョン方式においては、自己ミキシングによりDCオフセットの問題は深刻であり、周波数オフセットだけでなくDCオフセットによっても受信信号の品質が損なわれる。
例えば、I軸及びQ軸の入力にDCオフセットが存在する場合には、無信号状態でも相関値が増加する。すなわち、常に1ずつ増加することになるので、相関値が増加し続けて、パケット検出の基準である閾値を超えてしまう。このため、受信機は無信号状態でもパケットが受信されたと認識し、誤動作する。
また、I軸及びQ軸の入力にDCオフセットが存在する場合には、受信信号が相関を持たない部分でもDCオフセットの影響により、相関値が増加傾向から減少傾向に変化しない。このため、粗タイミングの検出特性が劣化する。
また、DCオフセットが存在する場合、周波数オフセットの推定精度が劣化し、周波数オフセットの残留はさらに受信信号の特性が劣化する。除去できなかった周波数オフセットは、トレーニング系列に続くOFDMシンボルのサブキャリア全体の位相回転になり、SN比を上げてもパケット・エラーがなくならないエラー・フロアが生じ易くなる。また逆に、周波数オフセットが存在したままでDCオフセットを推定しても、正確な推定を行なうことはできない。このため、DCオフセット及び周波数オフセットの両方に対応する必要がある。
周波数オフセット補正を行なう回路モジュールの前段において、なお且つSTSの先頭の4シンボルt1〜t4以内という短い時間内で高精度なDCオフセット補正を行なう必要がある(前述)。一般に、短時間で且つ高精度なDCオフセット補正の実現は困難であるとともに、消費電力や回路規模を著しく増大させる。
従来、ハイパス・フィルタ(HPF)を用いてDCオフセットを除去する方法や、DCオフセットと周波数オフセットを同時に推定する方法、DCオフセットと周波数オフセットを並列に推定する方法、DCオフセット推定と周波数オフセット補償を繰り返し行なう方法などが挙げられる。
図16には、HPFを用いてDCオフセットを除去する受信機の構成を模式的に示している(例えば、非特許文献2を参照のこと)。図示の受信機によれば、受信したOFDMシンボルに含まれるDCオフセット成分をHPFにより除去し、その後の信号処理によって周波数オフセットを推定し、トレーニング系列に続くOFDMシンボルから周波数オフセットを除去する。しかしながら、この方法では、OFDMシンボルのDC近傍の信号がHPFにより減衰するため、復調特性が劣化するおそれがある。
DC近傍の信号を減衰しないように、HPFのカットオフ周波数fcを、サブキャリア間隔に対して充分小さくするようにすればよい(図17Aを参照のこと)。しかしながら、自動ゲイン制御により低雑音アンプのゲインを変更すると、これに伴ってDCオフセットが時間的に変動するという問題がある(例えば、非特許文献10を参照のこと)。カットオフ周波数fcが小さいとHPFの応答が遅くなるため、時間変動するDCオフセットがHPFを通過してしまう。
図15に示したプリアンブル構成では、例えばショート・プリアンブル区間の中央近辺において低雑音アンプが高ゲインから低ゲインに切り換えられるが、これに伴うDCオフセットの時間的な変動は大きく、DCオフセットに高周波成分が含まれてしまう(図31(a)を参照のこと)、ここで、カットオフ周波数fcが小さいとHPFの応答が遅くなるため、時間変動するDCオフセットの高周波成分はHPFを通過して、後段の周波数オフセット推定部までスルーしてしまう。そして、このような残留DCオフセットが後続のロング・プリアンブル区間に重なると(図31(b)を参照のこと)、ロング・プリアンブル区間で行なわれる精緻な周波数オフセット推定にも影響して、その推定精度が低下してしまう。
例えば、IEEE802.11a/gではプリアンブル期間が極めて短いので、残留DCオフセットをHPFで高速に収束しなければならない。この収束時間を最小限にするためには、HPFのカットオフ周波数fcを極めて大きくしなければならない(例えば、非特許文献5を参照のこと)。
ところが、HPFのカットオフ周波数fcを大きくとると、低雑音アンプのゲイン切り替えに伴うDCオフセット切り替わりへの追従はよくなるが、DC近傍の有効な信号まで削ってしまうため(図17Bを参照のこと)、OFDM復調特性を劣化させることになる。
HPFには過渡応答の収束速度が求められるので、カットオフ周波数fcは大きくしなければならない。図15に示したプリアンブル構成では、STSにおいてはDC成分とこれに最も近いサブキャリアとは1.25MHzの間隔があるので、カットオフ周波数を高くしてもDC近傍のサブキャリアの信号を削ることはない。一方、LTS以降では、DCに最も近いサブキャリアは312.5kHzの間隔しかないので、HPFを挿入すると、DC近傍のサブキャリアの信号を削ってしまい、復調特性の劣化を招来する。
図18には、DCオフセットと周波数オフセットを同時に推定する受信機の構成を模式的に示している(例えば、非特許文献3を参照のこと)。図示の受信機では、最尤推定を用いてDCオフセットと周波数オフセットを同時に推定して補償するようになっている。しかしながら、最尤推定は計算量が多く計算時間がかかるため、オフセット補償を行なう時間が限られているシステムへの実装は困難である。図15に示したプリアンブル構成で言えば、DCオフセット推定は、先頭のt1〜t4程度のSTSすなわち3.2マイクロ秒を用いて終了する必要がある。
また、図19には、DCオフセットと周波数オフセットを並列に推定する受信機の構成を模式的に示している(例えば、非特許文献4、特許文献1〜2を参照のこと)。DCオフセット推定部では、プリアンブル全体を平均化してDCオフセットを推定する。後続の周波数オフセット推定部では、プリアンブル信号の相関関数を計算し、推定されたDCオフセットを引き算して、DCオフセットが除去された信号から正確な周波数オフセットを推定することができる。しかしながら、プリアンブル受信の途中で低雑音アンプのゲインの切り替えなどによりDCオフセットのレベルが変化すると、DCオフセットの推定が不正確になる。
また、図20には、DCオフセット推定と周波数オフセット補償を繰り返し行なう受信機の構成を模式的に示している(例えば、特許文献3〜6を参照のこと)。図示の受信機によれば、DCオフセット除去部によりDCオフセットを除去し、その後、周波数オフセットを推定する。周波数オフセットを補償した後、DCオフセットを推定し、残余DCオフセットをさらにキャンセルする。この方式は、DCオフセット除去のためのフィードバック・ループの収束に時間が必要であり、短いプリアンブルに適用することは困難である。また、低雑音アンプのゲイン切り替えなどによりDCオフセットが変動すると、周波数オフセットの推定に誤差が生じてしまう。
DCオフセット・レベルは、低雑音アンプに設定するゲインを切り換えることに応じて変動することが知られている。しかしながら、図18〜図20に示したいずれの受信機においても、低雑音アンプにおけるゲイン切り替えに伴ってDCオフセットが時間的に変動することを十分には考慮していない。
他方、ダイレクト・コンバージョン方式のOFDM受信機においては、ローカル信号の自己ミキシングに起因するDCオフセットだけでなく、IQ不平衡の問題がある。ダイレクト・コンバージョン方式では、デジタル領域でIF信号を持たないので、IQ直交復調をデジタル領域ではなくアナログ領域で行なわなければならない。このため、in位相(I)と直角位相(Quadrature:Q)の不釣合いな成分によって、IQ不平衡が生じる。とりわけ、位相に関するIQ不平衡は、I及びQの各チャネルのミキサに入力されるローカル信号間の位相差が正確に90度でないことに起因し、ゲインに関するIQ不平衡は、I及びQの各チャネルの信号のゲイン差に起因する(例えば、非特許文献5を参照のこと)。IQ不平衡は、DCオフセットとともに周波数オフセットの推定精度を劣化する要因となり、ひいては復号特性にも影響する。
このように、ダイレクト・コンバージョン方式を採用するOFDM受信機構成では、周波数オフセット、DCオフセット、IQ不平衡により、受信信号の品質が損なわれる。図18〜図20に示した受信機はいずれも、DCオフセットの時間的変動とIQ不平衡を同時に考慮するものではない。
米国特許公開2003/0174790号公報 米国特許公開2005/0078509号公報 米国特許公開2005/0020226号公報 米国特許公開2003/0133518号公報 米国特許公開2004/0202102号公報 米国特許公開2005/0276358号公報 Anuj Batra,"03267r1P802−15_TG3a−Multi−band−OFDM−CFP−Presentation.ppt",pp.17,July 2003. W.Namgoong、T.H.Meng共著"Direct−Conversion RF Receiver Design"(IEEE Trans. on Commun. Vol.49,No.3,March 2001) G.T.Gil、I.H.Sohn、J.K.Park、Y.H.Lee共著"Joint ML Estimation of Carrier Frequency, Channel, I/Q Mismatch,and DC Offset in Communication Receivers"(IEEE Trans. on Vehi.Tech.,Vol.54,No.1,Jan 2005) C.K.Ho、S.Sun、P.He共著"Low Complexity Frequency Offset Estimation in the Presence of DC Offset"(Proc. of IEEE International Conference on Communications 2003, Vol.3,pp.2051−2055, May 2003) T.Yuba, Y.Sanada共著"Decision Directed Scheme for IQ Imbalance Compensation on OFDCM Direct Conversion Receiver"(IEICE Trans. on Communications,vol.E89−E,no.1,pp.184−190,Jan.2006) J.Olsson著"WLAN/WCDMA Dual −Mode Receiver Architecture Design Trade−Offs"(Proc. of IEEE 6th CAS Symp,vol.2,pp.725−728,31 May−2 June,2004) M.Itami著"OFDM Modulation Technique"(Triceps,2000) IEEE802.11a−Part11:Wireless LAN MEdium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) specifications;Highspeed Physical Layer in the 5GHZ Band. IEEE802.11g−Part11:Wireless LAN MEdium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) specifications;Highspeed Physical Layer in the 2.4GHZ Band. S.Otaka,T.Yamaji,R.Fujimoto,H.Tanimoto著"A Low Offset 1.9GHz Direct Conversion Receiver IC with Spurious Free Dynamic Range of over 67dB"(IECE Trans. on Fundamentals,vol.E84−A,no.2,pp.513−519,Feb.2001)
本発明の目的は、ダイレクト・コンバージョン方式を採用し、DCオフセットが時間的に変動する状況下において、周波数オフセットを好適に除去して、より高い特性でOFDM復調を行なうことができる、優れた無線通信装置を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、受信したOFDMシンボルに時間変動するDCオフセット、IQ不平衡、及び周波数オフセットが同時に存在する場合に、DCオフセットを除去するとともに周波数オフセットの正確な推定を行なうことができる、優れた無線通信装置を提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、OFDM変調された信号からなるパケットを受信する無線通信装置であって、
所望帯域のOFDM信号を抽出するバンドパス・フィルタと、
受信信号の強度に応じてゲイン制御され、該所望のOFDM信号を増幅する低雑音アンプと、
該増幅されたOFDM信号をベースバンド信号にダウンコンバートする周波数変換部と、
ベースバンド信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部と、
パケットの所定のプリアンブル部分に相当するベースバンド信号について、DCオフセットを除去する第1のハイパス・フィルタと、
前記第1のハイパス・フィルタによりDCオフセットを除去した後の信号から周波数オフセットを推定する周波数オフセット推定部と、
周波数オフセットの推定に使用した以降の受信ベースバンド信号から、該推定された周波数オフセットを除去する周波数オフセット補正部と、
周波数オフセットを補償した後のベースバンド信号から周波数軸上に並んだサブキャリア信号を復調する復調部と、
を具備することを特徴とする無線通信装置である。
本発明は、ダイレクト・コンバージョン方式によりOFDM信号の受信を行なう無線通信装置に関する。ダイレクト・コンバージョン方式によれば、IFフィルタを用いないため受信機の広帯域化が容易となり、受信機の構成の柔軟性が増すが、ローカル信号の自己ミキシングによりDCオフセットが発生するため、周波数オフセットやタイミング検出に影響を及ぼすという問題がある。
そこで、本発明に係る無線通信装置では、パケットの所定のプリアンブル部分に相当するベースバンド信号について、第1のハイパス・フィルタを用いてDCオフセットを除去した後に、周波数オフセットを高い精度で推定する。そして、周波数オフセットの推定を終了した以降の受信ベースバンド信号から、該推定された周波数オフセットを除去するようにした。
ここで、DCオフセットを除去する第1のハイパス・フィルタとして、回路構成が簡素な微分フィルタを使用する。これによって、プリアンブル受信の途中で低雑音アンプのゲインの切り替えなどによりDCオフセットのレベルが変化しても、充分に追従することができる。
また、DCオフセット除去のためのカットオフ周波数fcを大きくすると、低雑音アンプのゲイン切り替えに伴うDCオフセット切り替わりへの追従はよくなる反面、DC近傍の信号まで削ってしまい復調特性を劣化させるという問題があるが(図17Bを参照のこと)、周波数オフセット推定に用いるプリアンブル部分を分岐してDCオフセット除去を行なう構成なので、カットオフ周波数fcを大きくとっても、後続のデータ部分の復調特性に悪影響を与える心配はない。
また、低雑音アンプのゲイン切り替えなどによりDCオフセットが急激に変化したときには、DCオフセットが微分フィルタを通過してしまうことがある。そこで、第1のハイパス・フィルタとしての微分フィルタは、DCオフセットの急激な変化を検出すると、検出信号を後段の周波数オフセット推定部に入力するようにする。そして、周波数オフセット推定部は、この検出信号が入力された時点では、微分フィルタからのサンプル出力はDCオフセットを含む信号として周波数オフセット推定の対象から除外することで、高い推定精度を維持することができる。
本発明に係る無線通信装置に入力されるOFDM信号はDCサブキャリアを用いていないものとする。また、周波数オフセット推定部は、同じOFDM信号が2シンボル送信されたプリアンブルを用いて周波数オフセットの推定を行なう。
具体的には、1つのOFDMシンボルはn個のサブキャリアからなり、該2回送信されるOFDMシンボルの時間波形のi番目のサンプルをs(i)とし、1回目に送信されるOFDMシンボルのサンプルを{s(0),s(1),…,s(n−1)}、2回目に送信されるOFDMシンボルのサンプルを{s(n),s(n+1),…,s(2n−1)}、周波数オフセットをΔf、DCオフセットをDとおくと、下式(3)で表される受信ベースバンド信号に対し、第1のハイパス・フィルタは下式(4)で表される処理を行なって、サンプル信号d(i)を出力する。
Figure 0004983365
Figure 0004983365
そして、周波数オフセット補正部は、該サンプル信号d(i)を用いて下式(5)で表される処理を行なうことで、受信ベースバンド信号r(i)に含まれる周波数オフセットΔfを推定することができる。
Figure 0004983365
本発明を適用する無線通信システムの一例であるIEEE802.11a/gでは、同じシンボルが繰り返し送信されるショート・プリアンブルやロング・プリアンブルをパケット先頭に含んでいるので、上記の処理により、DCオフセットを除去した後の信号から周波数オフセットをより正確に推定することができる。
また、上式(4)には微分フィルタで構成される第1のハイパス・フィルタが出力するサンプル信号d(i)を示したが、より正確には、下式(6)に示すように、i番目とi+1番目のサンプル間でのDCオフセットの変化D(i+1)−D(i)が加算される。このため、DCオフセットの変化が少なければ問題ないが、低雑音アンプのゲイン切り替えなどによりサンプル信号間でDCオフセットが大きく変動すると、DCオフセットが周波数オフセットの推定に影響する。
Figure 0004983365
そこで、第1のハイパス・フィルタは、i番目とi+1番目のサンプル間でのDCオフセットの変化D(i+1)−D(i)によりサンプル出力d(i)の絶対値が大きくなったときに、検出信号を後段の周波数オフセット推定部に出力する。そして、周波数オフセット推定部は、この検出信号の入力に応答して、i番目のサンプルにおける上式(5)を用いた周波数オフセットの推定を除外することで、高い推定精度を維持することができる。
上述したように、周波数オフセット推定部は、DCオフセットを除去した信号から周波数オフセットを推定する。一方、周波数オフセット補正部は、周波数オフセットの推定に使用した以降の(すなわちDCオフセットを除去していない)受信ベースバンド信号から、周波数オフセット推定部で推定された周波数オフセットを除去する。言い換えれば、周波数オフセットの推定を行なうプリアンブル部分についてのみDCオフセットの除去を行なうが、周波数オフセットを推定に使用した以降のプリアンブル部分並びにペイロード部分については周波数オフセットを除去するものの、DCオフセットを除去しない。このような場合、周波数オフセットの推定自体が高精度であったとしても、DCオフセットの影響が後段の復調回路に伝播してしまうという問題が考えられる。
そこで、受信ベースバンド信号の周波数オフセットの推定を終了した以降の部分についても、DCオフセットの除去を行なう手段を備えることが好ましい。
例えば、周波数変換部がダイレクト・コンバージョン方式を採用している場合には、周波数オフセット推定部において推定された周波数オフセットに基づいて、ローカル発振器において発振するローカル周波数の位相を逆回転させることによって、周波数オフセットの推定を終了した以降のDCオフセットを含んだ受信ベースバンド信号に対して、DCオフセット及び周波数オフセットの影響を同時に除去することができる。
あるいは、アナログ−デジタル変換部によるデジタル変換後のベースバンド信号におけるDCオフセットを推定するDCオフセット推定部をさらに備え、該推定されたDCオフセットをデジタル変換後のベースバンド信号から除去するようにしてもよい。
DCオフセットの推定は、通常、デジタル変換されたベースバンド信号の平均化によって行なわれる。このため、低雑音アンプのゲイン切り替えなどによりDCオフセットが急激に変化したときには、平均値は意味を持たなくなり、DCオフセット推定を継続すると精度が劣化してしまう。そこで、微分フィルタは、DCオフセットの急激な変化を検出すると、検出信号をDCオフセット推定部に入力するようにする。そして、DCオフセット推定部は、この検出信号が入力されるまでに推定された推定データを除外し、再度算出し直すことにより、推定精度の低下を防ぐようにする。
あるいは、ダイレクト・コンバージョン方式によりダウンコンバートされた受信ベースバンド信号を第2のハイパス・フィルタでフィルタリングして、ローカル信号の自己ミキシングなどによって発生したDCオフセットの除去を行なってから、デジタル信号に変換するようにしてもよい。第2のハイパス・フィルタは、すべての信号が通過することから、OFDMシンボルのDC近傍の信号を削らないように比較的小さなカットオフ周波数を設定することが好ましい。
カットオフ周波数が小さいと第2のハイパス・フィルタの応答が遅くなるため、DCオフセットの影響が長く残るが、充分大きなカットオフ周波数を持った第1のハイパス・フィルタでDCオフセットを除去してから、周波数オフセットの推定を行なうので、高い推定精度を得ることができる。また、大きなカットオフ周波数でフィルタリングするのは周波数オフセット推定を行なうプリアンブル部分のみであり、それ以降の信号について復調特性を劣化させることはない。
また、一般に、周波数オフセット推定だけでなく、パケット検出や粗タイミング検出などの信号処理においてもDCオフセットに対して特性劣化の感度が大きい。
そこで、無線通信装置は、微分フィルタによってDCオフセットが除去された信号を用いてパケット検出及び粗タイミングを検出する検出部をさらに備えるようにしてもよい。
また、アナログ−デジタル変換部の出力端を、第1のハイパス・フィルタ又はDCオフセット補正部のパスに排他的に接続するスイッチをさらに備えていてもよい。このスイッチは、粗タイミング検出部において周波数オフセット推定を行なうための所定のプリアンブル部分の終了を検出したタイミングで、アナログ−デジタル変換部の出力端を、第1のハイパス・フィルタへのパスからDCオフセット補正部へのパスに切り替えるように作動する。
所定のプリアンブル部分の終了を検出するまでの間では、アナログ−デジタル変換部の出力端は、第1のハイパス・フィルタへのパスに接続されているから、周波数オフセット推定部は、所定のプリアンブル部分が終了するまでの期間を用いて、第1のハイパス・フィルタを用いてDCオフセットが除去された受信ベースバンド信号を用いて、高い精度で周波数オフセットの推定を行なう。
一方、DCオフセット推定部は、所定のプリアンブル部分が終了するまでの期間を用いてDCオフセット推定を行なう。そして、所定のプリアンブル部分の終了を検出すると、アナログ−デジタル変換部の出力端は前記DCオフセット補正部へのパスに切り替えられる。そして、所定のプリアンブル部分が終了した以降の受信ベースバンド信号については、これまでの長い時間にわたってDCオフセット推定部によって高い精度で推定されたDCオフセットを用いて、DCオフセットの補正を行なうことができる。また、所定のプリアンブル部分が終了した以降の受信ベースバンド信号では、第1のハイパス・フィルタを用いたDCオフセット除去は行なわれないので、SNR特性の劣化を考慮する必要はない。
また、周波数オフセット補正部は、所定のプリアンブル部分が終了するまでの間に周波数オフセット推定部が推定した周波数オフセットを用いて、所定のプリアンブル部分が終了した以降の受信ベースバンド信号に対して周波数オフセットの補正を行なうようにする。
本発明の適用対象の1つとして、IEEE802.11aで規定される無線通信システムが挙げられる。IEEE802.11aでは、サブキャリア間隔が比較的大きいショート・トレーニング系列からなるショート・プリアンブル部と、サブキャリア間隔が比較的小さいロング・トレーニング系列からなるロング・プリアンブル部がパケットの先頭に付加される。
本発明に係る無線通信装置は、ショート・プリアンブル部ではサブキャリア間隔が比較的大きいことを利用して、充分大きなカットオフ周波数を持った微分フィルタでDCオフセットを除去してから、周波数オフセットの推定を行なうことによって、高い推定精度を得るようにしている。すなわち、ショート・プリアンブル部のみを用いて周波数オフセット補正を行なうから、ショート・プリアンブル部が終了してロング・プリアンブル部が開始するタイミングに応じて、スイッチ部において、アナログ−デジタル変換部の出力端を第1のハイパス・フィルタへのパスからDCオフセット補正部へのパスに切り替える。
そして、周波数オフセット補正部は、周波数オフセット推定部がショート・プリアンブル部において推定した周波数オフセットをロング・プリアンブル部から除去し、また、DCオフセット補正部は、DCオフセット推定部がショート・プリアンブル部において推定したDCオフセットをロング・プリアンブル部から除去する。
ショート・プリアンブル部に続いて伝送されるロング・プリアンブル部を受信側でどのように使用するかは任意であるが、一般には、ショート・プリアンブル部を使って粗い周波数オフセット補正が行なわれた後に、ロング・プリアンブル部を用いてより精緻な周波数オフセット補正並びにチャネル推定が行なわれる。したがって、より正確なチャネル推定を実現するには、ショート・プリアンブル部において周波数オフセットを適切に推定する必要がある。
例えば、無線通信装置は、ショート・プリアンブル部に続くロング・プリアンブル部において周波数オフセットの推定及び除去をそれぞれ行なう第2の周波数オフセット推定部及び第2の周波数オフセット補正部をさらに備えていてもよい。第2の周波数オフセット推定部には、ショート・プリアンブル部で推定された該周波数オフセット及び該DCオフセットが除去された後のロング・プリアンブル部以降の受信ベースバンド信号が入力され、周波数オフセットを推定する。そして、第2の周波数オフセット補正部は、第2の周波数オフセット推定部で推定された周波数オフセットをロング・プリアンブル部以降の受信ベースバンド信号から除去する。
あるいは、ショート・プリアンブル部で推定された該周波数オフセット及び該DCオフセットが除去された後のロング・プリアンブル部以降の受信ベースバンド信号を周波数オフセット推定部に帰還して、ロング・プリアンブル部以降の受信ベースバンド信号から周波数オフセットを推定することができる。そして、周波数オフセット補正部でロング・プリアンブル部以降の受信ベースバンド信号から除去することもできる。
いずれの場合も、ショート・プリアンブル部で推定された該周波数オフセット及び該DCオフセットが除去され、さらにロング・プリアンブル部以降における周波数オフセット推定に基づいて、残留周波数オフセットの補正が行なわれた受信ベースバンド信号からチャネル推定を行なうことで、より高い精度でチャネル情報を獲得することができる。
さらに、受信ベースバンド信号にIQインバランスが含まれている場合、周波数オフセット補正を施したとしても、所望の受信特性を確保できない可能性がある。かかる場合を想定し、IQインバランス推定部及びIQインバランス補正部を設ける装置構成とすることも可能である。この構成を採用した場合、受信ベースバンド信号に含まれるIQインバランスを除去することが可能であることから、受信特性をさらに向上することが可能となる。
他方、ダイレクト・コンバージョン方式のOFDM受信機においては、DCオフセットだけでなく、IQ各軸のミキサに入力されるローカル信号の位相差と各ミキサ間の振幅差に起因するIQ不平衡の問題がある。IQ不平衡は、DCオフセットとともに周波数オフセットの推定精度を劣化する要因となり、ひいては復号特性にも影響する。
周波数オフセット補正部が、DCオフセットは除去できたがIQ不平衡が残存する受信ベースバンド信号を用いて周波数オフセットを推定すると、周波数オフセット情報は、本来の周波数オフセットの値Δfの他に、IQ不平衡に起因して発生する成分すなわちIQ不平衡成分を含んでしまう。
通常の通信システムにおいては、送信機からはプリアンブル・シンボルが複数回にわたって送信されており、受信機側では、周波数オフセット推定部は、プリアンブル・シンボル毎に周波数オフセットの推定を行なうことができる。ここで、周波数オフセットは複素空間上のベクトルとして表現することができるが、IQ不平衡成分を表すベクトルの向きはプリアンブル・シンボル毎に区々である。したがって、周波数オフセット推定部は、プリアンブル・シンボル毎に推定した周波数オフセットを逐次加算していくことで、周波数オフセット推定値に含まれるIQ不平衡成分を相対的に小さくすることができ、最終的にはより精度の高い周波数オフセットを得ることができる。
ここで、受信機は一般に、受信信号を増幅する低雑音アンプと、前記低雑音アンプのゲインを調整するゲイン制御部を備えている。周波数オフセット推定部が周波数オフセットの推定を行なっている期間に低雑音アンプのゲイン切り換えが行なわれると、大きなゲインが設定されているときに推定された周波数オフセットに含まれるIQ不平衡成分が大きくなるため、複数のプリアンブル・シンボルにわたって推定された周波数オフセットを単純に加算すると、IQ不平衡成分の占める割合を十分に小さくすることはできないことが懸念される。
そこで、周波数オフセット推定部は、プリアンブル・シンボル毎に推定した各周波数オフセットに対して、対応するプリアンブル・シンボル受信時に低雑音アンプに設定されたゲインに応じた重み付け加算して最終的な周波数オフセット値を得るようにすれば、周波数オフセット推定値に含まれるIQ不平衡成分を相対的に小さくすることができ、最終的にはより精度の高い周波数オフセットを得ることができるようになる。
受信機では、通常、信号検出開始時には低雑音アンプに大きなゲインが決定され、その後は受信信号電力に適応して低いゲインに切り換えられる。そこで、周波数オフセット推定部は、低雑音アンプに大きなゲインが設定されている最初の数プリアンブル・シンボルにおいて推定された周波数オフセットに対して小さな重みを与える一方、小さなゲインに切り換えられた以降のプリアンブル・シンボルにおいて推定された周波数オフセットに対してはより大きな重みを与え、これらを加算することで、最終的な周波数オフセットを得る。ここで言う周波数オフセットへの重みの付与は、具体的には、周波数オフセット推定用ベクトル(後述)若しくは微分フィルタの出力に重み係数を掛けることに相当する。
具体的には、周波数オフセット推定部は、プリアンブル・シンボル毎に推定した周波数オフセットの絶対値に基づいて重み係数を計算し、プリアンブル・シンボル毎の周波数オフセットをそれぞれの重み係数で重み付け加算して最終的な周波数オフセット値を得るようにする。
例えば、周波数オフセット推定部は、絶対値が所定の閾値を超える周波数オフセットに対して重み係数0を与えるとともに、対値が所定の閾値を超えない周波数オフセットに対して重み係数1を与えて、プリアンブル・シンボル毎の周波数オフセットをそれぞれの重み係数で重み付け加算して最終的な周波数オフセット値を得る。これは、低雑音アンプに大きなゲインが設定されているプリアンブル区間において推定された周波数オフセットを無視することに相当する。ここで言う所定の閾値は、例えば受信信号強度に基づいて決定することができる。
あるいは、周波数オフセット推定部は、絶対値の逆数からなる重み係数を各周波数オフセットに与えて、プリアンブル・シンボル毎の周波数オフセットをそれぞれの重み係数で重み付け加算して最終的な周波数オフセット値を得るようにしてもよい。
本発明によれば、ダイレクト・コンバージョン方式を採用し、DCオフセットが時間的に変動する状況下において、周波数オフセットを好適に除去して、より高い特性でOFDM復調を行なうことができる、優れた無線通信装置を提供することができる。
また、本発明によれば、受信したOFDMシンボルに時間変動するDCオフセット、IQ不平衡、及び周波数オフセットが同時に存在する場合に、DCオフセットを除去するとともに周波数オフセットの正確な推定を行なうことができる、優れた無線通信装置を提供することができる。
本発明に係る無線通信装置は、ダイレクト・コンバージョン方式によりOFDM信号の受信を行なうが、OFDM信号にDCオフセットが含まれる場合であっても、微分フィルタを用いてDCオフセットを除去することにより、高速且つ正確な周波数オフセット推定を行なうことができる。また、低雑音アンプのゲインの切り替えなどによりDCオフセットが急激に変化したときには、微分フィルタの出力からその変化を検出して、周波数オフセットの推定から除外することで、周波数オフセットの推定精度を高めることができる。
また、本発明によれば、周波数オフセット情報を含んだベクトル信号を積算する際に、対応するプリアンブル信号の電力すなわち低雑音アンプのゲインに応じた重み係数を乗算することにより、周波数オフセット推定時におけるIQ不平衡及びDCオフセットの時間的変動により影響を抑制して、簡単な信号処理でより正確な周波数オフセットの推定を行なうことができる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
本発明は、ダイレクト・コンバージョン方式によりOFDM信号の受信を行なう無線通信装置に関する。ダイレクト・コンバージョン方式によれば、IFフィルタを用いないため受信機の広帯域化が容易となり、受信機の構成の柔軟性が増す。
OFDM通信システムでは、送受信機にそれぞれ搭載されている発振器の周波数の微妙な誤差に起因して、周波数オフセットの問題があり、受信機側のデジタル部分では受信信号の位相の回転という現象として観測される。このため、パケットの先頭の付加された既知のトレーニング系列を用いて周波数オフセットの観測を行ない、これを補正することが一般的に行なわれる。
ところが、ダイレクト・コンバージョン方式の受信機においては、ローカル信号の自己ミキシングによって、ダウンコンバータ出力に直流成分すなわちDCオフセットが発生するという問題がある。周波数オフセット推定及びタイミング検出の精度はDCオフセットの影響を受け易く、DCオフセットが存在したままで周波数オフセットを推定しても、正確な推定を行なうことはできない。
これに対し、本発明に係る無線通信装置では、微分フィルタを用いてDCオフセットを除去することにより、高速且つ正確な周波数オフセット推定を行なうようにした。
(1)第1の実施形態
図1には、本発明の第1の実施形態に係る無線通信装置の受信機系統の構成を示している。図示の装置は、OFDM信号のダイレクト・コンバージョン受信機の構成を備え、且つ、周波数オフセットを補償するモジュールを含んでいる。
アンテナにおいて受信したOFDM信号のうち所望の周波数帯域だけがバンドパス・フィルタ(BPF)1を透過し、低雑音アンプ(LNA)2により増幅される。ここで、受信RF信号には、送受信機間におけるローカル発振器の周波数誤差に起因する周波数オフセットが付加されている。
受信信号の電力を適切な一定レベルに保つために、自動ゲイン制御回路(AGC)によって低雑音アンプ2のゲインが調整される。例えばIEEE802.11a/gでは、50dB若しくはそれ以上の範囲でゲイン調整が必要とされている。一般には、信号検出開始時には低雑音アンプ2に大きなゲインが設定されるが、例えばショート・プリアンブル区間の中央近辺(本実施形態ではt4の最後端)の位置において、受信信号電力に適応して低いゲインに切り換えられる。ゲインの切り換えレベルは20dB程度である。なお、AGCの仕組み自体は周知なので、ここでは説明を省略する。
増幅された受信信号は、ミキサ3でローカル発振器が発生するローカル周波数fLOと乗算され、ダイレクト・コンバージョン方式によりベースバンド信号に周波数変換される。そして、このベースバンド信号は、AD変換器(ADC)4によりデジタル変換される。
受信系のダイレクト・コンバージョンでは、受信周波数とローカル周波数が等しくなるため、ローカル信号の自己ミキシングによって、ダウンコンバータ出力に直流成分すなわちDCオフセットが発生する。自動ゲイン制御により低雑音アンプのゲインを切り換えると、これに伴ってDCオフセットが時間的に変動する例えば、非特許文献9を参照のこと)。よって、この時点での受信ベースバンド信号には、周波数オフセットとともに時間変動するDCオフセットが付加されている。
デジタル・ベースバンド信号のうちプリアンブル信号の所定区間は分岐して微分フィルタ5に入力され、DCオフセット成分を除去してから周波数オフセット推定部6に入力され、推定されたDCオフセットを引き算して、DCオフセットが除去された信号からより正確な周波数オフセットを推定する。図21には、微分フィルタ5及び周波数オフセット推定部6の具体的な構成例を示している。微分フィルタ5は、遅延器201と加算器202で構成される。また、周波数オフセット推定部6は、遅延器203と、複素共役計算回路204と、乗算器205と、加算器206と、記憶素子207と、位相検出回路208で構成される。
微分フィルタ5は、ハイパス・フィルタの一種であるが、回路構成が簡素であるとともに、応答性が良い。ショート・プリアンブルt4の最後端の位置で、受信信号電力に適応して低雑音アンプ2の低いゲインに切り換えられると(前述)、DCオフセットのレベルが変化するが、微分フィルタ5はこれに充分に追従して、高周波成分の通過を抑制することができる。
また、DCオフセット除去のためのカットオフ周波数fcを大きくすると、低雑音アンプのゲイン切り替えに伴うDCオフセット切り替わりへの追従はよくなる反面、DC近傍の信号まで削ってしまい復調特性を劣化させるという問題がある(図17Bを参照のこと)。これに対し、図示の受信機では、周波数オフセット推定に用いるプリアンブル部分(サブキャリア間隔が比較的大きなSTS)を分岐してDCオフセット除去を行なう構成となっている。言い換えれば、周波数オフセットの推定を行なうプリアンブル部分についてのみDCオフセットの除去を行なうが、周波数オフセット推定に使用した以降のプリアンブル部分並びにペイロード部分については、周波数オフセットを除去するものの、DCオフセットを除去しない。したがって、カットオフ周波数fcを大きくとっても、後続(サブキャリア間隔が短くなるLTS以降)のデータ部分の復調特性に悪影響を与える心配はない。
また、低雑音アンプ2のゲイン切り換えなどによりDCオフセットが急激に変化したときには、DCオフセットが微分フィルタ5を通過してしまうことがある。このようなインパルス上の波形が周波数オフセット推定部6に入力されると、平均2乗誤差(Mean Square Error:MSE)の増加を招来するおそれがある。そこで、微分フィルタ5は、DCオフセットの急激な変化を検出すると、検出信号を周波数オフセット推定部6に入力する。周波数オフセット推定部6は、この検出信号が入力された時点では、微分フィルタ5からのサンプル出力はDCオフセットを含む信号として周波数オフセット推定の対象から除外することで、高い推定精度を維持することができる。
なお、微分フィルタ5においてDCオフセットの急激な変化を検出するための閾値は、例えばゲイン切り替えの回数と受信信号レベルに基づいて計算することができる。
周波数オフセットの推定値は、周波数オフセット補正部7に入力され、周波数オフセットを推定に使用した以降のOFDMシンボル部分のベースバンド信号の周波数オフセットが補償される。
そして、周波数オフセット部7の出力は離散フーリエ変換部(Discrete Fourier Transform:DFT)7に入力され、周波数軸上に並んだサブキャリア信号が復調される。
本発明に係る受信機に入力されるOFDM信号は、DCサブキャリアを用いないものとする(DCはOFDM変調方式におけるベースバンド信号の0Hzの位置に相当する)。また、周波数オフセット推定部6では、パケットのプリアンブル(サブキャリア間隔が比較的大きなSTS)で周波数オフセットの推定が行なわれ、同じOFDM信号を2シンボル送信するプリアンブルが存在する。
本発明を適用する無線通信システムの一例は、IEEE802.11a/gに従う無線LANシステムである。図2には、同無線LANシステムのOFDMシンボルのサブキャリア構成を示している。図示のように、1つのOFDMシンボルは64個のサブキャリアからなるが、このうち52個のサブキャリアを情報信号に変調し、4個のサブキャリアをパイロット信号として用いる。また、DC成分を含む残りのサブキャリアには信号を送信しない(ヌル信号とする)ものとする。
一方、受信ベースバンド信号のうち周波数オフセットの推定に使用した以降(LTS以降)のDCオフセット及び周波数オフセットの影響を受けた部分は、周波数オフセット補正部7に入力されると、ハイパス・フィルタによってDCオフセットを除去することに伴う復調特性の劣化を受けることなく、周波数オフセットを正確に補償して、復調することが可能となる。
図15には、IEEE802.11a/gで規定されているプリアンブル構成を示した。このうち、ロング・プリアンブルでは、3.2マイクロ秒の同じロング・トレーニング系列(LTS)からなるOFDMシンボルを2回連続して送信する。このOFDMシンボルの時間波形のi番目のサンプルをs(i)とする。但し、{s(0),s(1),…,s(63)}が1個目のOFDMシンボルに対応し、{s(64),s(65),…,s(127)}が2個目のOFDMシンボルに対応する(離散フーリエ変換の次数をNとすると、1個目のOFDMシンボルは{s(0),s(1),…,s(N/4−1)}であり、2個目のOFDMシンボルは{s(N/4),s(N/4+1),…,s(2N/4−1)}である)。
このときの周波数オフセットをΔfとし、DCオフセットをDとすると、i番目のショート・プリアンブルに対する受信ベースバンド信号は下式のように表される。
Figure 0004983365
微分フィルタ5は、遅延器201と加算器202で構成される。遅延器201の入力には、AD変換器4によるAD変換信号を入力する。また、加算器202の第1の入力にAD変換信号を入力するとともに、第2の入力に遅延器201の出力を反転入力して、両信号を引き算する。したがって、微分フィルタ5は、この受信ベースバンド信号に対し、下式(8)のような処理を行なう(同式は、i番目のショート・プリアンブルに対する微分フィルタ5の出力信号である)。
Figure 0004983365
続く周波数オフセット推定部6は、遅延器203と、複素共役計算回路204と、乗算器205と、加算器206と、記憶素子207と、位相検出回路208で構成される。上記の加算器202の出力は、遅延器203及び乗算器205の第1の入力に入力される。遅延器203では、ショート・プリアンブル長に相当するN/4(=16)サンプル分だけ入力信号を遅延させて、後段の複素共役計算回路204に出力する。複素共役計算回路204の出力は、乗算器205の第2の入力に入力される。したがって、乗算器206では、ショート・プリアンブルt1、t2…毎に下式に示す相互相関処理を行なう。
Figure 0004983365
加算器206の第1の入力には乗算器205の出力が接続され、その第2の入力には記憶素子207の出力が接続される。また、加算器206の出力は、記憶素子207及び位相検出回路208に入力される。これにより、すべてのショート・プリアンブルにわたる上式(9)の相互相関結果を、加算器206を用いて加算し、周波数オフセットΔfが推定される。
そして、周波数オフセット補正部7では、周波数オフセットの推定に使用した以降の周波数オフセットの影響を受けた受信ベースバンド信号は、周波数オフセット補正部7において周波数オフセットの補償が行なわれる。具体的には、周波数のずれに対応してデータの位相を逆回転することにより周波数オフセットの補正が行なわれる。なお、ショート・トレーニング系列(STS)を用いても、上述と同様に周波数オフセットの推定を行なうことができる(但し、この場合のサンプル数は16個となる)。
図3には、DCオフセット電力対OFDM信号電力が30dBのときの周波数オフセット推定値の2乗誤差とサブキャリア間隔で正規化した周波数オフセットの値を示している。同図から、周波数オフセット推定に使用する受信プリアンブル信号に対して微分フィルタ5を用いてDCオフセットを除去することによって、正確な周波数オフセットの推定が可能となることが分かる。STSでも同じトレーニング系列が繰り返されることから(図15を参照のこと)、同様の処理を用いて周波数オフセットを推定することができる。
ここで、上式()では、DCオフセットが一定すなわち時間的に変動しないことを前提としており、微分フィルタ5によりDCオフセットをキャンセルすることができる。しかしながら、低雑音アンプ2のゲイン切り換えを行なった際には、DCオフセット・レベルの変化が高周波成分として現れるため、微分フィルタ5の出力はDCオフセットの大きさを表すことになる。
具体的には、自動ゲイン制御回路は信号検出開始時には低雑音アンプ2に対して大きなゲインを設定しておき、先頭から4個目までのショート・プリアンブルt1〜t4を用いて(但し、マルチパスの影響により、t1、t2は用いない)受信信号の電力が一定レベルとなるように適切なゲインを決定する。そして、5個目のショート・プリアンブルt5の先頭で低いゲインに切り換えられる。ゲインの切り換えレベルは20dB程度であり、これに伴ってDCオフセット・レベルも変動することから、t5の先頭において微分フィルタ5の出力にも影響する(図22を参照のこと)。
ここで、i番目のサンプルにおけるDCオフセットの値をD(i)とおくと、低雑音アンプ2におけるゲインの切り替えなどによりDCオフセットがOFDMのサンプル中に変化した場合には、微分フィルタ5の出力は下式(10)のようになる。
Figure 0004983365
上式より、DCオフセットが急激に変化したときには、i+1番目とi番目のサンプルのDCオフセットの差分{D(i+1)−D(i)}が残り、微分フィルタ5の出力d(i)の絶対値が大きくなる。これにより、DCオフセットの変化を検出すると、DCオフセットが除去されずに通過してしまう。
そこで、図1に示した受信機では、微分フィルタ5は、出力d(i)の絶対値が所定値を超えたことを検出すると、後段の周波数オフセット推定部6に指示(検出信号)を与えて、周波数オフセット推定からDCオフセットの影響を含んだi番目のサンプルの出力d(i)を除外するようになっている。これによって、周波数オフセット推定部6では、DCオフセットを除外して周波数オフセットの推定を行なうことで推定精度を向上させることができる。また、低雑音アンプ2の自動ゲイン制御が頻繁に行なわれる場合であっても、DCオフセットが通過した成分を除外することで、高い推定精度を維持することができる。
上述したように、図1に示した受信機構成によれば、微分フィルタでDCオフセットを除去してから周波数オフセットを推定するので、DCオフセットと周波数オフセットの両方に対応しながら周波数オフセットの正確な推定を行なうことができる。また、低雑音アンプ2のゲインが切り替わった区間における周波数オフセット推定値を除外するので、高い推定精度を維持することができる。
図1に示した受信機構成では、周波数オフセット補正部7は、周波数オフセットの推定に使用した以降の(すなわちDCオフセットを除去していない)受信ベースバンド信号から、周波数オフセット推定部6で推定された周波数オフセットを除去する。言い換えれば、周波数オフセットの推定を行なうプリアンブル部分についてのみDCオフセットの除去を行なうが、周波数オフセットを推定に使用した以降のプリアンブル部分並びにペイロード部分については周波数オフセットを除去するものの、DCオフセットを除去しない。このような場合、周波数オフセットの推定自体が高精度であったとしても、DCオフセットの影響が後段の復調回路に伝播してしまうという問題が考えられる。
図4には、このような問題を解決する受信機回路の一例を示している。図1に示した受信機構成では、微分フィルタ5に入力してDCオフセットを除去した後に周波数オフセット推定部6で推定した周波数オフセットを用いて、周波数オフセット補正部7では、周波数オフセットを推定に使用した以降のDCオフセットを含んだ受信ベースバンド信号に対して周波数オフセット補償を行なっている。これに対し、図4に示す受信機構成では、微分フィルタ5によりDCオフセットを除去した後に周波数オフセット推定部6で推定した周波数オフセットに基づいて、ローカル発振器11において発振するローカル周波数の位相を逆回転させている。これによって、周波数オフセットを推定に使用した以降のDCオフセットを含んだ受信ベースバンド信号に対して、DCオフセット及び周波数オフセットの影響を同時に除去することができる。
また、この場合においても、微分フィルタ5は、DCオフセットの急激な変化を検出すると、検出信号を周波数オフセット推定部6に入力する。周波数オフセット推定部6は、この検出信号が入力された時点の微分フィルタ5からのサンプル出力を除外して、微分フィルタ5を通過したDCオフセットの影響を受けないようにする(同上)。
また、図5には、周波数オフセットを推定に使用した以降(LTS以降)の受信ベースバンド信号からDCオフセットの影響を除去することができる他の受信機構成例を示している。
図示の受信機では、受信ベースバンド信号のうちプリアンブル信号の所定区間を分岐して、微分フィルタ5に入力してDCオフセットを除去し、さらに、周波数オフセット推定部6では、周波数オフセットを推定する。また、微分フィルタ5は、DCオフセットの急激な変化を検出すると、検出信号を周波数オフセット推定部6に入力する。周波数オフセット推定部6は、この検出信号が入力された時点の微分フィルタ5からのサンプル出力を除外して、微分フィルタ5を通過したDCオフセットの影響を受けないようにする(同上)。
また、周波数オフセットの推定処理と並行して、DCオフセット推定部9は、受信ベースバンド信号に対してDCオフセットを推定し、DCオフセット補正部10は、受信ベースバンド信号からDCオフセットを除去する。その後、周波数オフセット補正部7では、このように周波数オフセットを推定に使用した以降のDCオフセットが除去された受信ベースバンド信号に対して、DCオフセット後に周波数オフセット推定された高い精度の周波数オフセット値に基づいて周波数オフセット補償を行なう。
ここで、DCオフセット推定は、通常、デジタル変換されたベースバンド信号の平均化によって行なわれる。このため、低雑音アンプ2のゲイン切り替えなどによりDCオフセットが急激に変化したときには、平均値は意味を持たなくなり、DCオフセット推定を継続すると精度が劣化してしまう。そこで、微分フィルタ5は、DCオフセットの急激な変化を検出すると、検出信号を周波数オフセット推定部6だけでなくDCオフセット推定部9にも入力するようにする。そして、DCオフセット推定部9は、この検出信号が入力されるまでに推定された推定データを除外し、再度算出し直すことにより、推定精度の低下を防ぐようにする。
また、図6には、周波数オフセットを推定に使用した以降(LTS以降)の受信ベースバンド信号からDCオフセットの影響を除去することができるさらに他の受信機の構成例を示している。
図示の受信機では、ミキサ3でローカル発振器11が発生するローカル周波数fLOと乗算して、ダイレクト・コンバージョン方式によりダウンコンバートする。この受信ベースバンド信号にはローカル信号の自己ミキシングなどによって発生したDCオフセットが付加されているが(図32(a)を参照のこと)、ハイパス・フィルタ(HPF)12を通過させて、DCオフセットの除去を行なう。但し、ハイパス・フィルタ12は、すべての信号が通過することから、OFDMシンボルのDC近傍の信号を削らないように比較的小さなカットオフ周波数を設定する。ハイパス・フィルタ12を通過したベースバンド信号は、AD変換器(ADC)4によりデジタル変換される。
ハイパス・フィルタ12のカットオフ周波数fcを小さく設定している場合、後段での復調特性を保つことができる反面、DCオフセットの変化に対する応答が遅くなる。このため、低雑音アンプ2のゲイン切り替えなどによりDCオフセットが変化すると、その影響が長く残り、DCオフセットが通過し続ける(図32(b)を参照のこと)。そこで、受信ベースバンド信号のうちプリアンブル信号の所定区間を2ブランチに分岐して、その一方のブランチではより高いカットオフ周波数が設定されている微分フィルタ5に入力して、残留DCオフセットを除去する。図32(c)に示すように、微分フィルタ5は、残留DCオフセットを遮断し、t5の先頭位置でゲイン切り替えが行なわれたタイミングでは、急峻なインパルス上の波形のみを出力する。
続いて、周波数オフセット推定部6は、微分フィルタ5の出力の自己相関値に基づいて、周波数オフセットを推定する。そして周波数オフセット補正部7では受信ベースバンド信号から周波数オフセットを除去する。
また、微分フィルタ5は、DCオフセットの急激な変化を検出すると、この検出信号を周波数オフセット推定部6に入力する。インパルス上の波形が周波数オフセット推定部6に入力されると、MSEの増加を招来するおそれがある。そこで、周波数オフセット推定部6は、この検出信号が入力された時点の微分フィルタ5からのサンプル出力を除外して、微分フィルタ5を通過したDCオフセットの影響を受けないようにする(同上)。
微分フィルタ5においてDCオフセットの急激な変化を検出するための閾値は、ゲイン切り替えの回数と受信信号レベルに基づいて計算することができる(同上)。例えば、ハイパス・フィルタ12の後段にRSSI(Received Signal Strength indicator)回路を配設して、受信信号レベルを検出することができる。
一方、周波数オフセットを推定に使用した以降の受信ベースバンド信号に対しては、DCオフセット推定部9においてDCオフセットを推定し、DCオフセット補正部10において受信ベースバンド信号からDCオフセットを除去する。
ここで、微分フィルタ5は、DCオフセットの急激な変化を検出すると、検出信号をDCオフセット推定部9に入力するようにする。そして、DCオフセット推定部9は、この検出信号が入力されるまでに推定された推定データを除外し、再度算出し直すことにより、推定精度の低下を防ぐようにする(同上)。
その後、周波数オフセット補正部7では、このように周波数オフセットの推定に使用した以降のDCオフセットが除去された受信ベースバンド信号に対して、DCオフセットを除去した後に周波数オフセット推定された高い精度の周波数オフセット値に基づいて周波数オフセット補償を行なう。
また、図7には、周波数オフセットを推定に使用した以降(LTS以降)の受信ベースバンド信号からDCオフセットの影響を除去することができるさらに他の受信機構成例を示している。
図示の受信機では、ミキサ3でローカル発振器11が発生するローカル周波数fLOと乗算してダイレクト・コンバージョン方式によりダウンコンバートする。そして、後段のハイパス・フィルタ12を透過させて、ローカル信号の自己ミキシングなどによって発生したDCオフセットを受信ベースバンド信号から除去する。ハイパス・フィルタ12は、パケットに含まれるすべての信号が通過することから、OFDMシンボルのDC近傍の信号を削らないように比較的小さなカットオフ周波数fcを設定する。そして、受信ベースバンド信号は、AD変換器(ADC)4によりデジタル変換される。
ハイパス・フィルタ12のカットオフ周波数fcを小さく設定している場合、後段での復調特性を保つことができる反面、DCオフセットの変化に対する応答が遅くなる。このため、低雑音アンプ2のゲイン切り替えなどによりDCオフセットが変化すると、その影響が長く残り、DCオフセットが通過し続ける(図32(b)を参照のこと)。そこで、受信ベースバンド信号のうちプリアンブル信号の所定区間を2ブランチに分岐して、その一方のブランチではより高いカットオフ周波数が設定されている微分フィルタ5に入力して、残留DCオフセットを除去する。図32(c)に示すように、微分フィルタ5は、残留DCオフセットを遮断し、t5の先頭位置でゲイン切り替えが行なわれたタイミングでは、急峻なインパルス上の波形のみを出力する。
そして、このようにして推定した周波数オフセットに基づいて、ローカル発振器11において発振するローカル周波数の位相を逆回転させている。これによって、周波数オフセットを推定に使用した以降のDCオフセットを含んだ受信ベースバンド信号に対して、DCオフセット及び周波数オフセットの影響を同時に除去することができる。
また、微分フィルタ5は、DCオフセットの急激な変化を検出すると、検出信号を周波数オフセット推定部6に入力する。インパルス上の波形が周波数オフセット推定部6に入力されると、MSEの増加を招来するおそれがある。そこで、周波数オフセット推定部6は、この検出信号が入力された時点の微分フィルタ5からのサンプル出力を除外して、微分フィルタ5を通過したDCオフセットの影響を受けないようにする(同上)。
微分フィルタ5においてDCオフセットの急激な変化を検出するための閾値は、ゲイン切り替えの回数と受信信号レベルに基づいて計算することができる。例えば、ハイパス・フィルタ12の後段にRSSI回路を配設して、受信信号レベルを検出することができる(同上)。
本発明では、同じOFDM信号が2シンボル繰り返して送信されるプリアンブルを用いて周波数オフセットの推定を行なう。図15に示したプリアンブル構成では、STSを用いてパケット検出、粗タイミング検出、周波数オフセット推定及び補正の信号処理を行なう必要がある。これらの信号処理は、一般に、DCオフセットに対して特性劣化の感度が大きい。
図6では、ハイパス・フィルタの一種である微分フィルタ5の出力信号を用いることでDCオフセットの影響を除去することにより、周波数オフセット推定を高い精度で行なうように構成されている。同様に、パケット検出や粗タイミング検出に関しても、ハイパス・フィルタの出力信号を用いることで、DCオフセットに対する特性劣化を抑制することができると考えられる。
図8には、ハイパス・フィルタの出力を用いて周波数オフセット推定及び補正、パケット検出及び粗タイミング検出を行なう同期回路周辺の構成例を示している。
図示の同期回路は、I軸及びQ軸の各入力信号に対し、ハイパス・フィルタ21へのパスとDCオフセット推定部25のパスが設けられ、2つのスイッチ26及び27を排他的にオン/オフ制御することで、パスの切り替えが行なわれる。
STSは、DCに最も近いサブキャリアは1.25MHzとサブキャリア間隔が比較的広い。このことに着目して、ハイパス・フィルタ21のカットオフ周波数を大きくして、DCオフセットの変動に対する応答特性を確保する。これにより、SNR特性の損失を最小にしながら、DCオフセットの影響を抑えることができる。
また、同期処理を行なっている間、DCオフセット推定部25は、受信ベースバンド信号からDCオフセットの推定を行なう。STSは0.8マイクロ秒の周期性を有するので、DCオフセットは移動平均などを用いて推定することができる。STSの先頭4シンボル分t1〜t4を自動ゲイン制御やDCオフセットなどに割いた場合、同期回路では最大6シンボル分t5〜t10すなわち4.8マイクロ秒の推定時間を得ることができるため、高精度のDCオフセット推定を行なうことができる。
STSが終了するまでの間は、IQ入力端はハイパス・フィルタ21のパスに接続されており、周波数オフセット推定部22、パケット検出及び粗タイミング検出部23では、DCオフセットが除去された受信ベースバンド信号から、高い精度で周波数オフセットの推定、並びにパケット及び粗タイミングの検出が行なわれる。
そして、STSが終了するタイミングでスイッチ26及び27のオン/オフが切り替えられ、IQ入力端はハイパス・フィルタ21のパスからDCオフセット補正のパスへ切り替えられる。STSが終了するタイミングには、粗タイミング検出部23の出力信号が用いられる。
DCオフセット推定部25は、STSが終了するまでの充分に長い時間を用いてDCオフセット推定を行なうので、高精度なDCオフセット補正を実現することができる。また、STSが終了するタイミング以降では、ハイパス・フィルタ21へのパスはなくなる。すなわち、サブキャリア間隔が短くなるLTS以降の受信ベースバンド信号に対しては、大きなカットオフ周波数を用いるハイパス・フィルタ21によるDCオフセット除去は行なわれないので、SNR特性の劣化を考慮する必要はない。
また、周波数オフセット補正部24は、STSが終了するまでの間に周波数オフセット推定部22が推定した周波数オフセットを用いて、STSが終了した以降の受信ベースバンド信号に対して周波数オフセットの補正を行なう。
図8に示した同期回路構成では、ハイパス・フィルタ21へのパスと周波数オフセット補正部24へのパスの切り替えタイミングは、粗タイミングの検出信号をそのまま利用している。しかしながら、デジタル回路の処理遅延を考慮すると、STSの終端よりも早い段階で切り替えたほうがよい場合も考えられる。
そこで、図9に示した同期回路構成では、粗タイミング検出部23の検出信号でスイッチ26及び27の切り替えを直接行なうのではなく、スイッチ制御部28を別途設けている。また、図10には、スイッチ制御部28によるスイッチ切り替えタイミングの調整方法の一例を示している。
スイッチ制御部28は、スイッチの切り替えタイミングを、入力信号の相関値の移動平均値を用いて算出する。そして、あらかじめ閾値を設定しておき、移動平均値がその閾値を超えるタイミングをスイッチ26及び27への制御信号として出力する。図10に示すように、閾値を設定することで、スイッチ切り替えタイミングをパケット検出から粗タイミングに至るまでの区間で柔軟に調整することができる。
図11には、ハイパス・フィルタ21の構成例を示している。図11Aは差分フィルタを用いた構成例であり、図11Bは移動平均によるDCオフセット推定と補正を用いた構成例である。
また、図12には、DCオフセット推定部25の構成例を示している。スイッチ制御部28又は粗タイミング検出部23の出力信号を用いて、スイッチ26及び27切り替えタイミングでのDCオフセット推定値をそれ以後も保持できる構成となっている。したがって、DCオフセット補正部は、STSが終了した以降の受信ベースバンド信号に対して、STSが終了した時点での高い精度のDCオフセット推定値を用いてDCオフセット補正を行なうことができる。
図8及び図9に示した同期回路はいずれも、IEEE802.11aで規定されているプリアンブル構成のうちSTS部分のみを用いてDCオフセットを考慮した周波数オフセット補正を行なうように構成されており、STSが終了した以降のLTSの使用方法は任意である。
一般には、STSを使って粗い周波数オフセット補正が行なわれた後に、LTSを用いてより精緻な周波数オフセット補正並びにチャネル推定が行なわれる。したがって、より正確なチャネル推定を実現するには、STSにおいて周波数オフセットを適切に推定する必要がある。
図13には、ロング・プリアンブル区間における周波数オフセット補正並びにチャネル推定を行なう回路モジュールを含んだ同期回路周辺の構成例を示している。図示の例では、STS用の周波数オフセット推定部22及び周波数オフセット補正部24とは別に、LTS用の周波数オフセット推定部31及び周波数オフセット補正部32が独立して設けられ、さらにその後段にチャネル推定部33が配設されている。一方の周波数オフセット推定部22では、ショート・プリアンブルを用いた粗い周波数オフセット推定が行なわれる(但し、先頭から2個目までのショート・プリアンブルt1、t2はマルチパスの影響を被っている可能性があるので、3個目以降のショート・プリアンブルt3〜t10を用いて推定を行なう)。他方の周波数オフセット推定部31では、ロング・プリアンブルT1、T2を用いたより精緻な周波数オフセット推定が行なわれる。
ショート・プリアンブル区間が終了するタイミングにおいて、IQ入力端はハイパス・フィルタ21のパスからDCオフセット補正のパスへ切り替えられる。LTS以降では、DCオフセット補正部は、STSが終了するまでの充分に長い時間を用いて推定された正確なDCオフセットを、IQの各入力信号から引き算することで、DCオフセット補正を行なう。続く周波数オフセット補正部24は、STSが終了するまでの間に周波数オフセット推定部22で推定された周波数オフセットの補正を施す。
周波数オフセット推定部31は、STSを用いて推定されたDCオフセット及び周波数オフセットが除去された後のLTS以降の受信ベースバンド信号を入力すると、さらに精緻な周波数オフセットの推定を行なう。周波数オフセット補正部32は、周波数オフセット推定部31で推定された周波数オフセットをLTS以降の受信ベースバンド信号から除去する。
そして、チャネル推定部33は、LTSを用いて2次的な(残留する)周波数オフセットが除去された受信ベースバンド信号を用いて、より精度の高いチャネル推定を行なうことができる。
図13に示した回路構成では、LTS以降の受信ベースバンド信号について周波数オフセットの推定及び除去を行なう回路モジュールを別途設けているが、周波数オフセット推定部31及び周波数オフセット補正部32がLTS以降の受信ベースバンド信号の周波数オフセットの推定及び除去をそれぞれ行なうように構成することもできる。図14には、後者の場合の同期回路周辺の構成例を示している。
STSが終了するタイミングにおいて、IQ入力端はハイパス・フィルタ21のパスからDCオフセット補正のパスへ切り替えられる。LTS以降では、DCオフセット補正部は、STSが終了するまでの充分に長い時間を用いて推定された正確なDCオフセットをIQの各入力信号から引き算して、DCオフセット補正を行なう。続いて、周波数オフセット補正部24は、STSが終了するまでの間に周波数オフセット推定部22で推定された周波数オフセットの補正を施す。
また、STSが終了するタイミングにおいて、スイッチ27´もオンになり、周波数オフセット補正部24の出力端を周波数オフセット推定部22に帰還するパスができる。
周波数オフセット推定部31は、STSを用いて推定されたDCオフセット及び周波数オフセットが除去された後のLTS以降の受信ベースバンド信号を入力して、さらに周波数オフセットの推定を行なう。周波数オフセット補正部32は、周波数オフセット推定部31で推定された周波数オフセットをLTS以降の受信ベースバンド信号から除去する。
そして、チャネル推定部33は、LTSを用いて2次的な(残留する)周波数オフセットが除去された受信ベースバンド信号を用いて、より精度の高いチャネル推定を行なうことができる。
ここまでは、ダイレクト・コンバージョン方式のOFDM受信機において、低雑音アンプのゲイン変動に伴ってDCオフセットが変動する場合に、周波数オフセット推定に対するDCオフセットの変動の影響を低減する方法について述べてきた。
他方、ダイレクト・コンバージョン方式のOFDM受信機においては、ローカル信号の自己ミキシングに起因するDCオフセットだけでなく、IQ各軸のミキサに入力されるローカル信号の位相差と各ミキサ間の振幅差に起因するIQ不平衡の問題がある。IQ不平衡は、DCオフセットとともに周波数オフセットの推定精度を劣化する要因となり、ひいては復号特性にも影響する。そこで、以下では、IQ不平衡、並びに時間変動するDCオフセットが存在する場合における周波数オフセットの推定方法について詳解する。
図1に示した受信機構成では、低雑音アンプのゲイン切り替えに伴ってDCオフセットのレベルが変動して、微分フィルタ5の出力がDCオフセットの変動が所定値以上となった場合には(図22を参照のこと)、そのシンボルを周波数オフセット推定から除外することによって、周波数オフセット推定に対するDCオフセットの変動の影響を低減するようになっている。しかしながら、IQ不平衡の影響に関しては十分考慮していない。
ダイレクト・コンバージョン方式のOFDM受信機においては、ローカル信号の自己ミキシングに起因するDCオフセットだけでなく、IQ不平衡の問題がある。ダイレクト・コンバージョン方式では、デジタル領域でIF信号を持たないので、IQ直交復調をデジタル領域ではなくアナログ領域で行なわなければならない。このため、in位相(I)と直角位相(Quadrature:Q)の不釣合いな成分によって、IQ不平衡が生じる。とりわけ、位相に関するIQ不平衡は、I及びQの各チャネルのミキサに入力されるローカル信号間の位相差が正確に90度でないことに起因し、ゲインに関するIQ不平衡は、I及びQの各チャネルの信号のゲイン差に起因する。
図23には、IQ不平衡の原因を図解している。同図では、1つのローカル発振器からのローカル信号を2つのブランチに分配し、そのうちの1つのブランチの位相を90°だけ変化させることにより余弦(cosine)信号と正弦(sine)信号を生成している。この2つの信号の位相関係が90°よりずれたり若しくは振幅が異なったりすると、周波数変換後のベースバンド信号に歪が生じる。このような場合をIQ不平衡という。IQ不平衡はその歪の影響が微分フィルタを通過するため、周波数オフセットの推定精度を劣化させる。
ここで、仮にcosine信号とsine信号の位相差をθ、振幅差をλ[dB]とおくと、ローカル周波数fcのローカル信号のI成分及びQ成分は以下の通りとなり、それぞれのミキサに入力される。
Figure 0004983365
但し、αは、振幅差λによって以下のように表される。
Figure 0004983365
そして、これらのローカル信号は各ミキサで受信信号r(i)と周波数乗算される。但し、複素伝送シンボルをXn=an+jbnとする。
Figure 0004983365
Figure 0004983365
したがって、IQ不平衡を考慮しない場合の受信ベースバンド信号は上式(7)のように表されたが、IQ不平衡の影響を受けた場合には、複素受信ベースバンド信号は下式(11)のように表される。但し、iはショート・プリアンブルにおけるサンプル番号であり、同式中の上付き文字*は複素共役を表す。
Figure 0004983365
したがって、IQ不平衡の影響を受けた場合の微分フィルタ5から出力される差分信号は下式(12)の通りとなる。
Figure 0004983365
そして、周波数オフセット推定部6では、上式(12)の差分信号を基に周波数オフセットを行なわれる。乗算器205では、N/4サンプル分だけ遅延した差分信号と乗算して、サンプル毎の周波数オフセット推定用ベクトルを得る。IQ不平衡を含んだ微分フィルタ5出力の自己相関値(すなわち周波数オフセット推定用ベクトル)は下式(13)の通りとなる。
Figure 0004983365
ここで、上式(13)で表される周波数オフセット情報は4つの項からなるが、各項を複素空間上にベクトルとして表現すると、図24の通りとなる。
上式(13)の第1項は周波数オフセットにのみ依存するベクトルである。すなわち、受信ベースバンド信号にIQ不平衡が含まれない場合には、乗算器205からは第1項のみが出力され、このベクトルの角度から周波数オフセットを推定することができる。
また、上式(13)の第2〜4項は、IQ不平衡によって発生する項であり,これらの項が周波数オフセットの推定精度を劣化させる。ここで、第4項に関しては|ψ|2は極めて小さい値なので無視する(αは0.1程度、θは0.05°程度であり、ψが小さいことは明らかである)。また、第2項と第3項は複素共役の関係にあり、これら2つの項を加算すると実数成分のみが残り、これが周波数オフセットの推定精度を劣化する主な要因になると思料される。
乗算器205によりショート・プリアンブル毎の相互相関結果を、加算器206を用いてすべてのショート・プリアンブルにわたって加算して、周波数オフセットΔfが推定される。この相互相関結果の合計に含まれる歪みは、合計するサンプル数や、プリアンブル信号のパターンに依存する。
図21には微分フィルタ5及び周波数オフセット推定部6の構成例を示したが、これは、時間変動するDCオフセットには配慮したものの、周波数オフセット推定の際にIQ不平衡の影響を十分に考慮したものではない。そこで、IQ不平衡の影響を抑制する微分フィルタ5及び周波数オフセット推定部6の構成例として図25を提案する。同図において、微分フィルタ5は、遅延器301と加算器302で構成される。また、周波数オフセット推定部6は、遅延器303と、複素共役計算回路304と、乗算器305と、乗算器306と、係数計算回路307と、加算器309と、記憶素子310と、位相検出回路311で構成される。
以下、図25を参照しながら、周波数オフセット推定時におけるIQ不平衡及びDCオフセットの時間的変動により影響を抑制して、より正確な周波数オフセットの推定を行なうための動作について説明する。
アンテナによる受信信号は、バンドバス・フィルタ1及び低雑音アンプ2を通過して、所望のOFDM信号だけが増幅される。増幅された信号は、ミキサ3によりローカル発振器11からのローカル信号と乗算され、ベースバンド信号に変換される。この受信ベースバンド信号はAD変換器4によりデジタル信号に変換される。ここで、IQ不平衡に起因する振幅差をαとし、位相差をθとすると、受信ベースバンド信号は、上式(11)のように表される。
微分フィルタ5は、遅延器301と加算器302で構成される。遅延器301の入力には、AD変換器4によるAD変換信号を入力する。また、加算器302の第1の入力にAD変換信号を入力するとともに、第2の入力に遅延器301の出力を反転入力して、両信号を引き算する。したがって、微分フィルタ5は、この受信ベースバンド信号に対し、下式(12)のような処理を行なう。
続く周波数オフセット推定部6は、遅延器303と、複素共役計算回路304と、乗算器305と、乗算器306と、係数計算回路307と、加算器309と、記憶素子310と、位相検出回路311で構成される。上記の加算器302の出力は、遅延器303及び乗算器305の第1の入力に入力される。遅延器303では、ショート・プリアンブル長N/4(=16)サンプル分だけ入力信号を遅延させて、後段の複素共役計算回路304に出力する。複素共役計算回路304の出力は、乗算器305の第2の入力に入力される。したがって、周波数オフセット推定部6では、ショート・プリアンブルt1、t2…毎に上式(13)に示した処理を行なう。
上式(13)の第1項は周波数オフセットΔfを含んだベクトルである。このベクトルを加算器309及び記憶素子310で加算し、その回転角を位相検出器311で検出することによって、周波数オフセット値Δfの値を推定することができる。
既に述べたように、上式(13)の第2〜4項はIQ不平衡によって発生する項であり、これらの項が周波数オフセットの推定精度を劣化させる。このうち第4項に関しては、ψの絶対値が小さいので無視することができる(前述)。そして、第2項と第3項は複素共役の関係にあり、これら2つの項を加算すると実数成分のみが残り、その成分が周波数オフセットの推定精度を劣化する主な要因になる。
ここで、第2項及び第3項はショート・プリアンブルr(i)のパターンと周波数オフセットに依存したベクトルであり、その方向は一定ではない。したがって、乗算器305から出力されるプリアンブル・シンボル毎の周波数オフセット推定値を、記憶素子310と加算器309を用いて十分なサンプル数にわたって加算すれば、式(13)の第1項が増加する一方で、第2〜4項の歪成分は相対的に第1項に比べて小さくなる。後段の位相検出回路311で検出すれば、より正確な周波数オフセットを推定することができる
ところが、周波数オフセット推定部6が周波数オフセットの推定を行なっている期間に低雑音アンプ2のゲイン切り替えが行なわれると、大きなゲインが設定されているときに推定された周波数オフセットに含まれるIQ不平衡成分が大きくなるため、複数のプリアンブル・シンボルにわたって推定された周波数オフセットを単純に加算すると、IQ不平衡成分の占める割合を十分に小さくすることはできないことが懸念される。
受信機では、通常、信号検出開始時には低雑音アンプ2に大きなゲインが決定され、その後は受信信号電力に適応して低いゲインに切り換えられる。具体的には、自動ゲイン制御回路は信号検出開始時には低雑音アンプ2に対して大きなゲインを設定しておき、先頭から4個目までのショート・プリアンブルt1〜t4を用いて適切なゲインを決定して、5個目のショート・プリアンブルt5の先頭で低いゲインに切り換えられる。ゲインの切り換えレベルは20dB程度である。
先頭から2個目までのショート・プリアンブルt1〜t2はマルチパスの影響を考慮して周波数オフセット推定に使用しないものとすると、低雑音アンプ2のゲイン切り替えが行なわれる前後における(乗算器305が出力する)周波数オフセットを複素空間上で表した周波数オフセット推定用のベクトルは、例えば図26に示すようにベクトルの大きさが著しく相違する。すなわち、ショート・プリアンブル・シンボルt3とt4に対応した乗算器305の出力の絶対値は大きくなる一方、ショート・プリアンブル・シンボルt5とt10に対応した乗算器305の出力の絶対値は小さくなる。t3とt4に対応した乗算器305の出力は15サンプルしかない。したがって、t3とt4に対応した乗算器305の出力に含まれる上式(13)の第2項並びに第3項の合成ベクトルは、第1項に比べて比較的大きい値のまま記憶素子310に残る。
図21に示した構成では、t3からt10に至るすべてのショート・プリアンブルの相互相関結果を合計して周波数オフセットの推定を行なう。相互相関をとったサンプル数が大きいほど、上式(13)中の第2項及び第3項に依拠する歪みを抑制することができる。しかしながら、低雑音アンプ2のゲイン切り替えを行なうと、ショート・プリアンブル・シンボルt3とt4に関するサンプルの振幅が他のプリアンブル・シンボルに比べ極めて大きいことから、第2項及び第3項に依拠する歪み成分が推定ベクトルに残存してしまう。この結果、ショート・プリアンブル・シンボルt5とt10に対応した乗算器205の出力79サンプルを記憶素子310の出力に順次加算して得られる合成推定ベクトル(図27を参照のこと)による周波数推定の精度は劣化する。
これに対し、図25に示した周波数オフセット推定部6の構成では、リアンブル・シンボル毎に推定した各周波数オフセットに対して、対応するプリアンブル・シンボル受信時に低雑音アンプ2に設定されたゲインに応じた重み付け加算して最終的な周波数オフセット値を得るようにしている。したがって、低雑音アンプ2のゲイン切り換えを行なった以降のサンプルに対してより大きな重み付けを行なう(あるいは、ゲイン切り換え前のサンプルを周波数オフセット推定に使用しない)ことにより、周波数オフセット推定値に含まれるIQ不平衡成分を相対的に小さくすることができ、最終的にはより精度の高い周波数オフセットを得ることができるようになる。
具体的には、乗算器305の出力信号の絶対値を係数計算回路307に入力し、対応した係数を乗算器306に入力する。係数計算回路307では、乗算器305の出力信号の絶対値に応じて、例えば以下のいずれかの方法により重み係数を計算する。乗算器305の出力信号の絶対値に応じた重み係数を計算することは、低雑音アンプ2に対して設定されるゲインの大小に応じた重み係数を計算することとほぼ等価である。
(方法1)
閾値を設けて乗算器305の出力信号の絶対値が閾値を超えたら係数を0とし、閾値を超えなかったら係数を1とする。この閾値は例えばRSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度)から算出する。この場合、周波数オフセットは以下の式(14)より推定される。
Figure 0004983365
この(方法1)を言い換えると、低雑音アンプ2のゲイン切り換えを行なった以降のショート・プリアンブルt5〜t10から周波数オフセットを推定することに相当する。この場合、相互相関をとるサンプル数が増えるとともに、IQ不均衡に依拠する歪み項を減らすことができる。
(方法2)
乗算器305の出力信号の絶対値の逆数を係数とする。この場合、周波数オフセットは以下の式より推定される。
Figure 0004983365
但し、ここでは図26に示したようにショート・プリアンブルt4とt5の間で低雑音アンプ2のゲイン切り替えが瞬時に行なわれるものとする。このような処理によって、IQ不平衡に起因して加算器302の出力に表れる歪成分の影響を低減することができる。
図28には、上記の(方法1)を用いた場合に周波数オフセット推定部6で得られる合成推定ベクトルを示している。図示のように、低雑音アンプ2のゲインを低下する前のショート・プリアンブル・シンボルt3とt4を用いて得られる推定ベクトルはキャンセルされるので、図27に示した例とは相違し、十分なサンプル数にわたって加算すれば、式(13)の第1項が増加する一方で、第2〜4項の歪成分は相対的に第1項に比べて小さくなる。
また、図29には、上記の(方法1)を用いた場合の周波数オフセット推定精度(平均2乗誤差対正規化周波数オフセット値)の値を、図21に示した構成を用いた場合と比較して示している。
このように、図1に示した受信機において、微分フィルタ5及び周波数オフセット推定部6を図25に示すように構成することによって、IQ不平衡及び時間変動するDCオフセットが存在する場合にも簡単な信号処理で正確に周波数オフセットを推定することができる。
(2)第2の実施形態
上述した第1の実施形態では、ダイレクト・コンバージョン方式のOFDM受信機はIQ不平衡及び時間変動するDCオフセットが存在する環境下においても簡単な信号処理により正確に周波数オフセットを推定するための手法を採用している。しかし、このような装置構成は、あくまでも適切な周波数オフセット推定を実現するためのものであって、周波数オフセットと併せてIQインバランスを補正するためのものとはなっていない。その一方において、本発明の基本構成の下では、単純な周波数オフセット補正のみならずIQインバランスの補正を併せて実現することも可能となっている。
そこで、以下では、本発明の基本構成を確保しつつ、IQインバランスを補正する構成も備えた第2の実施形態について説明する。
図33及び図34には、本発明の第2の実施形態に係る無線通信装置の受信機系統の構成を示しているが、いずれの装置もIQインバランスの推定、並びに推定したIQインバランスの補正を行なう仕組みを備えているという点を十分理解されたい。各図において、図1並びに図21に示したものと同一の構成要素に関しては同一の参照番号を付与している。
各図に示すOFDM受信機では、微分フィルタ5からの出力信号は、周波数オフセット推定部6のみならず、IQインバランス推定部1000にも入力されている。
微分フィルタ5からの出力信号は上式(12)に示したとおりであるが、この出力信号に対してN/4(=16)サンプル分だけ遅延した信号は、下式(16)のように表されることになる(但し、η=r(i)−r(i−1)、γ=exp(j2πΔf(N/4))とする)。
Figure 0004983365
同様に、上式(12)により示される信号に対してN/4サンプル分だけ進んだ信号は、下式(17)のように表される。
Figure 0004983365
上記の各式(16)及び(17)中、γは上式(13)から得られる値であるから、周波数オフセット推定部6内の位相検出回路208による処理で得られる。したがって、位相検出回路208における算出値をIQインバランス推定部1000にフィードバックすることによって、上記の各式(16)及び(17)から未知数を1つ削減することができ、各式(16)及び(17)をd、φ及びηの関数として扱うことができる。この結果、3個の未知の変数φ、η及びdに対して、3式(12)、(16)、及び(17)が得られ、すべての変数に対して解を導き出すことができることが分かる。
そこで、上記の3式(12)、(16)、及び(17)の各々に対応する3つのサンプルに対して、以下の式(18)及び(19)に対応した処理を施す。
Figure 0004983365
Figure 0004983365
したがって、これらの式(18)及び(19)から、下式(20)に示す関係が得られることになる。
Figure 0004983365
一方、上述した式(11)より、φ及びψはそれぞれ下式のように表される。
Figure 0004983365
したがって、両式をそれぞれ近似すると、φ及びψは以下のように表される。
Figure 0004983365
なお、これらの式に含まれるα及びθは、既に述べたように、以下を表すものである。
(i)α=I成分及びQ成分の振幅値
(ii)θ=cosine信号とsine信号の位相差
ここで、IQインバランスは、信号のI成分とQ成分が以下の2つの関係(a)及び(b)を有することに起因して発生する。
(a)周波数変換を行なうため、ミキサ3に入力されるローカル信号(すなわち、ローカル信号発振器11の出力信号)は、PLLからの出力信号を2つに分配し、その1つを90度位相器に通すことによって生成される。ここで、PLLからの出力信号が高周波の信号である場合、この位相器の位相回転量が正確に90度にならず(すなわち、信号のI成分とQ成分が直交せず)、この結果、位相差θが発生すること。
(b)位相器による損失やIQ成分間の増幅器の増幅度の誤差などによりA/D変換器入力におけるI成分とQ成分に新婦草が荘司、αの値がゼロとならないこと。
これらの関係(a)及び(b)から、3つのサンプルd(i−N/4)、d(i)、d(i+N/4)に基づいて、α及びθの値を算出する。そして、当該算出されたα及びθの値に基づいて、複素受信ベースバンド信号に補正を施すことによって、IQインバランスを補正することができる。
そこで、本実施形態に係るOFDM受信機は、IQインバランス推定部1000において、α及びθを算出する(すなわち、IQインバランスを推定する)とともに、この算出値に対応する補正係数をIQインバランス補正部1100により複素受信ベースバンド信号に乗算することで、IQインバランスの補正を実現するように構成されている。
以下では、IQインバランス推定部1000において、α及びθを算出する際の具体的な手法について説明する。
まず、上式(20)にφ及びψの近似式を代入すると、下式(21)が得られる。
Figure 0004983365
ここで、上式(21)を実数部分と虚数部分にそれぞれ分けて解くと、下式(22)及び(23)の通りとなる。
Figure 0004983365
Figure 0004983365
上式(22)及び(23)から、α及びθは、それぞれ下式(24)及び(25)なる値として得られる。
Figure 0004983365
Figure 0004983365
ここで、εは上式(20)で示される。一方、同式(20)内の変数dは、微分フィルタ5からの出力信号として得られるものである。また、γは、位相検出回路208で算出されるものであり、微分フィルタ5からの出力信号(すなわち、dに対応)と、位相検出回路208からのフィードバック信号(すなわち、γに対応)からεを算出して、α及びθを算出できることが分かる。
本実施形態において、IQインバランス推定部1000は、上記の処理を実行して、α及びθを算出し、この算出値に対応する補正係数を乗算器からなるIQインバランス補正部1100に出力する。この結果、当該補正係数がIQインバランス補正部1100により複素受信ベースバンド信号に乗算され、複素受信ベースバンド信号に発生したIQインバランスが補正されることになる。
なお、IQインバランス補正部1100には、ADC4とDFT8の間のいずれかの場所に配設される。但し、IQインバランス補正部1100を周波数オフセット補正部7よりも上流側に配設することにより、受信特性を向上することができることが実験的に判っている。また、微分フィルタ5への分岐点xよりも上流側でIQインバランス補正を行ない、当該補正後の信号を微分フィルタ5に分岐させた場合、分岐点xよりも下流でIQインバランス補正を行なう場合よりも、受信特性をさらに向上することができることが実験的に判っている。かかる観点から、本実施形態に係るOFDM受信機では、図33に示したように、ADC4と、分岐点xの間にIQインバランス補正部1100を配設する構成を採用している。
勿論、IQインバランス補正部1100を配設する位置を変更しても、所望の効果を得ることは可能である。したがって、本発明の要旨はIQインバランス補正部1100の特定の配設位置に限定されるものでない、ということを十分理解されたい。
また、本発明の要旨は、α及びθの値に基づいて補正係数を決定する特定の手法に限定されるものではない。例えば、IQインバランス推定部1000にα及びθの算出値に対応する補正係数を実験的に求めておき、当該実験値をα及びθの各値と対応付けしたテーブルをIQインバランス推定部1000に装備するようにしてもよい。また、他の手法としては、α及びθの値から、直接的に算出するようにすることも可能である。後者の場合、以下の方法を採用することができる。
すなわち、上式(11)より、複素受信ベースバンド信号は下式(26)として得られる。
Figure 0004983365
したがって、下式(27)となる補正係数を求めて、複素受信ベースバンド信号に乗算すれば、IQインバランスを補正することができることになる。他の要素の構成及び動作に関しては、第1の実施形態と同様である。
Figure 0004983365
このように、本実施形態に係るOFDM受信機によれば、微分フィルタ5からの複素受信ベースバンド信号に基づいてIQインバランス補正部1000が補正係数を算出する。そして、この算出された補正係数をIQインバランス補正部1100により複素受信ベースバンド信号に乗算することで、複素受信ベースバンド信号中に含まれるIQインバランスを補正することが可能となる。
かかる手法を採用したときのOFDM受信機におけるMSE特性を図35及び図36に示しているが、良好な状態であることを理解できよう。なお、これら両図の実験値は、LNAにおいてゲイン切り換えがなされていない環境下で、α=0.05、θ=5度とした場合のMSEであり、図35がαの誤差推定のMSEであり、図36がθの誤差推定のMSEである。
これまでは、図1に示した第1の実施形態に係るOFDM受信機において、図21に示した微分フィルタ5及び周波数オフセット推定部6に対応したIQインバランス補正方法について述べてきた。さらに他の受信機構成に対しても上記のIQインバランス補正方法を同様に適用することができるので、以下で説明する。
(2−1)微分フィルタ5及び周波数オフセット推定部6の他の構成
図37には、図25に示した微分フィルタ5及び周波数オフセット推定部6に対応したOFDM受信機に対してIQインバランス補正を適用した(すなわち、IQインバランス推定部1000を追加した)構成例を示している。但し、同図において、図25と同一の構成要素については同一の参照番号を付与している。
図37では、図34に示した構成と同様に、微分フィルタ5(すなわち、遅延器301及び加算器302)の出力信号がIQインバランス推定部1000に入力されるとともに、位相検出回路311からのyに対応した信号がフィードバックされるように構成されている。IQインバランス推定部1000は、これらの入力信号に基づいて、上式(16)〜(25)に対応した処理を実行し、IQインバランスの補正係数を算出する。そして、この算出された補正係数が、IQインバランス補正部1100において複素受信ベースバンド信号と乗算されることによって、複素受信ベースバンド信号に発生したIQインバランスを補正することができる。なお、図37中の他の構成要素における処理は図25と同様なので、ここでは説明を省略する。
(2−2)OFDM受信機の他の構成
(2−2−1)他の形態1
図33にはOFDM受信機の構成を示したが、それ以外にも図38〜図41に示した受信機構成も可能である。図38では、図4に示したOFDM受信機に対してIQインバランス補正を行なうための構成要素を追加した受信機の構成を示している。また、図39、図40、図41はそれぞれ、図5、図6、図7に示したOFDM受信機に対してIQインバランス補正を行なうための構成要素を追加した受信機の構成を示している。
図38〜図41のいずれに示した受信機においても、IQインバランス推定部1000に対して、(i)微分フィルタ5(図34を参照のこと)からの出力信号が入力されるとともに、(ii)位相検出回路311からyに対応した信号がフィードバックされ、IQインバランス推定部1000が、これらの入力信号に基づいて上式(16)〜(25)に対応した処理を実行して、補正係数を算出するようになっている。そして、この補正係数に基づいて、IQインバランス補正部1100が複素受信ベースバンド信号に発生したIQインバランスを補正する。なお、他の構成要素とその動作については、図4、図5、図6、図7に示したものと同様なので、ここでは説明を省略する。
ここで、図38〜図41のいずれのOFDM受信機構成においても、上述したようにIQインバランス補正部1100を配設する位置は任意であり、ADC4と、DFT8の間であればいずれに場所に配置することもできる。但し、図38〜図41に示した各OFDM受信機では、受信特性を向上させるべく、以下のような手法を採用している。
(i)図38及び図41に示したOFDM受信機の場合
微分フィルタ5に対してIQインバランスを補正した後の信号を入力するために、ADC4と分岐点xの間にIQインバランス補正部1100を配設している。
(ii)図39及び図40に示したOFDM受信機の場合
以下の2つの理由から、DCオフセット補正部10からの出力信号に対してIQインバランスの補正を施し、その後に周波数オフセット補正を行なう構成を採用している。
<理由1>
DCオフセット補正する前にIQインバランス補正を行なうよりも、DCオフセット補正した後にIQインバランス補正を行なう方が、受信特性が向上する。
<理由2>
IQインバランス補正する前に周波数オフセット補正を行なうよりも、IQインバランスを補正した後に周波数オフセット補正を行なう方が、受信特性が向上する。
(2−2−2)他の形態2
図8及び図9に示した同期回路構成においても、IQインバランス補正を行なうための構成を追加することができる。図42及び図43には、図8及び図9に示した同期回路に対してIQインバランス補正を行なうための構成要素を追加した構成例をそれぞれ示している。但し、図42及び図43中で図8及び図9に示したものと同一の構成要素については同一の参照番号を付与している。以下、各図に示した装置構成について説明する。
図42に示した同期回路を備えたOFDM受信機では、図8と同様、I軸及びQ軸の各入力信号は、2つのスイッチ26及び27を排他的にオン/オフ制御することによって、HPF21又はDCオフセット推定部25のいずれかに入力されるように入力切り換えがなされる。入力信号がHPF21に入力されているときに、IQインバランス推定部1000が補正係数を算出することになる。なお、同図中の他の構成要素に関しては図8と同様なので、ここでは説明を省略する。
図42に示した同期回路を備えたOFDM受信機では、図8と同様、I軸及びQ軸の各入力信号は、2つのスイッチ26及び27を排他的にオン/オフ制御することによって、HPF21又はDCオフセット推定部24のいずれかに入力されるように入力切り換えがなされる。入力信号がHPF21に入力されているときに、IQインバランス推定部1000が補正係数を算出することになる。なお、同図中の他の構成要素に関しては図8と同様なので、ここでは説明を省略する。
図43に示した同期回路は、パケット検出及び粗タイミング検出器23の検出信号でスイッチ26及び27のオン/オフ制御を直接行なうのではなく、図9と同様に、スイッチ制御部28によって制御されるように構成されている。また、図42と同様に、DCオフセット補正部25と周波数オフセット補正部24の間にIQインバランス補正部1100が配設されている。HPF21からの出力信号は、周波数オフセット推定部22とパケット検出及び粗タイミング検出部23に入力される他、IQインバランス推定部1000にも入力されている。これらの入力信号に基づいて、上式(16)〜(25)に対応した処理を実行して、補正係数が算出される。この算出された補正係数は、IQインバランス推定部1000からIQインバランス補正部1100に供給され、当該補正係数に基づいて複素受信ベースバンド信号に対してIQインバランス補正が施される。
一方、図42及び図43に示した同期回路構成のように、STSのみを用いてDCオフセット補正、IQインバランス補正、及び周波数オフセット補正を行なうだけでなく、さらに以降に続くLTSを用いることによって、これらの補正処理をより適格に実施することが可能である。図13及び図14にはLTSにおける周波数オフセット補正及びチャネル推定を行なう同期回路構成を示したが、図44及び図45には、図13及び図14に示した同期回路に対してIQインバランス補正を行なうための構成要素を追加した構成例をそれぞれ示している。但し、図44及び図45中で図13及び図14に示したものと同一の構成要素については同一の参照番号を付与している。以下、各図に示した装置構成について説明する。
図44に示した同期回路を備えたOFDM受信機では、図13と同様、ショート・プリアンブル区間が終了するタイミングにおいて2つのスイッチ26及び27のオン/オフ切り換えが行なわれ、IQ入力端はHPF21からDCオフセット推定部25へ切り替えられる。LTS以降では、IQインバランス補正部1300は、STSが終了するまでの間に算出された補正係数を複素受信ベースバンド信号に乗算することによってIQインバランス補正を行なう。その後、LTSを用いて2次的な(すなわち残留する)IQインバランスがIQインバランス推定部1400により推定され、IQインバランス補正部1500により補正が行なわれる。
図44に示した同期回路を備えたOFDM受信機では、図13と同様、ショート・プリアンブル区間が終了するタイミングにおいて2つのスイッチ26及び27のオン/オフ切り換えが行なわれ、IQ入力端はHPF21からDCオフセット推定部24へ切り替えられる。LTS以降では、IQインバランス補正部1300は、STSが終了するまでの間に算出された補正係数を複素受信ベースバンド信号に乗算することによってIQインバランス補正を行なう。その後、LTSを用いて2次的な(すなわち残留する)IQインバランスがIQインバランス推定部1400により推定され、IQインバランス補正部1500により補正が行なわれる。
図44に示した回路構成では、LTS以降の複素受信ベースバンド信号についてIQインバランス補正を行なう回路モジュール1400及び1500を別途配設している。これに対し、図45に示した同期回路では、IQインバランス推定部1600及びIQインバランス補正部1700がSTSを用いたIQインバランス補正を行なうとともに、LTS以降のIQインバランス補正も併せて行なうように構成されている。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
本明細書では、IEEE802.11で規定される無線通信システムに適用した実施形態を中心に説明してきたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。DCサブキャリアをヌル信号とし、プリアンブル部で同じOFDMシンボルを繰り返し送信する無線通信システムに本発明に係る受信機を適用することで、同様に正確な周波数オフセットの推定を行なうことができる。本発明は、無線LAN以外にも、地上波デジタル放送、第4世代移動通信、電力線搬送通信(Power Line Communicaition)といった、OFDM伝送方式のさまざまなデジタル通信技術に適用することができる。
また、本発明は、ダイレクト・コンバージョン方式を適用する受信機において生じるDCオフセットの問題を解決することができるが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。その他の周波数変換方式によりRF受信信号をダウンコンバートする受信機であっても、DCオフセットと周波数オフセットの問題が同時に発生する場合において、本発明を好適に適用することができる。
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信装置の受信機系統の構成を示した図である。 図2は、IEEE802.11a/gに従う無線LANシステムにおけるOFDMシンボルのサブキャリア構成を示した図である。 図3は、DCオフセット電力対OFDM信号電力が30dBのときの周波数オフセット推定値の2乗誤差とサブキャリア間隔で正規化した周波数オフセットの値を示した図である。 図4は、無線通信装置の受信機系統についての他の構成例を示した図である。 図5は、無線通信装置の受信機系統についての他の構成例を示した図である。 図6は、無線通信装置の受信機系統についての他の構成例を示した図である。 図7は、無線通信装置の受信機系統についての他の構成例を示した図である。 図8は、ハイパス・フィルタの出力を用いて周波数オフセット、パケット検出及び粗タイミング検出を行なう同期回路周辺の構成例を示した図である。 図9は、ハイパス・フィルタの出力を用いて周波数オフセット、パケット検出及び粗タイミング検出を行なう同期回路周辺についての他の構成例を示した図である。 図10は、スイッチ制御部28によるスイッチ切り替えタイミングの調整方法の一例を示した図である。 図11Aは、差分フィルタを用いたハイパス・フィルタ21の構成例を示した図である。 図11Bは、移動平均によるDCオフセット推定と補正を用いたハイパス・フィルタ21の構成例を示した図である。 図12は、DCオフセット推定部25の構成例を示した図である。 図13は、LTSにおける周波数オフセット補正並びにチャネル推定を行なう回路モジュールを含んだ同期回路周辺の構成例を示した図である。 図14は、周波数オフセット推定部22及び周波数オフセット補正部24がLTS以降の受信ベースバンド信号の周波数オフセットの推定及び除去をそれぞれ行なうように構成された同期回路周辺の構成例を示した図である。 図15は、IEEE802.11a/gで規定されているプリアンブル構成を示した図である。 図16は、HPFを用いてDCオフセットを除去する受信機の構成を模式的に示した図である。 図17Aは、サブキャリア間隔に対して充分小さなHPFでOFDM信号のDC成分を除去する様子を示した図である。 図17Bは、サブキャリア間隔に対して大きなHPFでOFDM信号のDC成分を除去し、付近の信号を削ってしまう様子を示した図である。 図18は、DCオフセットと周波数オフセットを同時に推定する受信機の構成を模式的に示した図である。 図19は、DCオフセットと周波数オフセットを並列に推定する受信機の構成を模式的に示した図である。 図20は、DCオフセット推定と周波数オフセット補償を繰り返し行なう受信機の構成を模式的に示した図である。 図21は、微分フィルタ5及び周波数オフセット推定部6の具体的な構成例を示した図である。 図22は、自動ゲイン制御による低雑音アンプ2のゲイン切り換えが微分フィルタ5の出力に与える影響を説明するための図である。 図23は、IQ不平衡の原因を説明するための図である。 図24は、周波数オフセット情報を複素空間上でベクトル表現した図である。 図25は、微分フィルタ5及び周波数オフセット推定部6の具体的な構成例を示した図である。 図26は、低雑音アンプ2のゲイン切り替えが行なわれる前後における周波数オフセットの推定ベクトルを例示した図である。 図27は、ショート・プリアンブル・シンボルt3とt4に対応した乗算器305の出力15サンプルとショート・プリアンブル・シンボルt5とt10に対応した乗算器305の出力79サンプルを記憶素子310の出力に順次加算して得られる合成推定ベクトルを示した図である。 図28は、乗算器305の出力信号の絶対値に応じた重み係数により重み付け加算して得られる合成推定ベクトルを示した図である。 図29は、従来方式と提案方式の周波数オフセット推定精度(平均2乗誤差対正規化周波数オフセット値)の値を示した図である。 図30は、IEEE802.11a/gにおけるサブキャリア配置を示した図である。 図31は、DCオフセットの周波数オフセットへの影響を説明するための図である。 図32は、微分フィルタ5によって残留DCオフセットを除去する様子を示した図である。 図33は、本発明の第2の実施形態に係る無線通信装置の受信機系統の構成を示した図である。 図34は、微分フィルタ5、周波数オフセット推定部6、及びIQインバランス推定部1000の具体的な構成を示した図である。 図35は、LNAにおいてゲイン切り換えがなされていない環境下でα=0.05、θ=5度としたときのαの誤差推定のMSEを示した図である。 図36は、LNAにおいてゲイン切り換えがなされていない環境下でα=0.05、θ=5度としたときのθの誤差推定のMSEを示した図である。 図37は、微分フィルタ5、周波数オフセット推定部6、及びIQインバランス推定部1000の具体的な構成を示した図である。 図38は、無線通信装置の受信機系統についての他の構成例を示した図である。 図39は、無線通信装置の受信機系統についての他の構成例を示した図である。 図40は、無線通信装置の受信機系統についての他の構成例を示した図である。 図41は、無線通信装置の受信機系統についての他の構成例を示した図である。 図42は、ハイパス・フィルタの出力を用いて周波数オフセット補正、パケット検出及び粗タイミング検出を行なう同期回路周辺の構成例を示した図である。 図43は、ハイパス・フィルタの出力を用いて周波数オフセット補正、パケット検出及び粗タイミング検出を行なう同期回路周辺の構成例を示した図である。 図44は、LTSにおける周波数オフセット補正、IQインバランス補正、並びにチャネル推定を行なう回路モジュールを含んだ同期回路周辺の構成例を示した図である。 図45は、LTSにおける周波数オフセット補正、IQインバランス補正、並びにチャネル推定を行なう回路モジュールを含んだ同期回路周辺の構成例を示した図である。
符号の説明
1…バンドパス・フィルタ(BPF)
2…低雑音アンプ(LNA)
3…ミキサ
4…AD変換器(ADC)
5…微分フィルタ
6…周波数オフセット推定部
7…周波数オフセット補正部
8…離散フーリエ変換部(DFT)
9…DCオフセット推定部
10…DCオフセット補正部
11…ローカル発振器
12…ハイパス・フィルタ(HPF)
21…ハイパス・フィルタ
22…周波数オフセット推定部
23…パケット検出及び粗タイミング検出部
24…周波数オフセット補正部
25…DCオフセット推定部
26、27…スイッチ
28…スイッチ制御部
31…周波数オフセット推定部
32…周波数オフセット補正部
33…チャネル推定部
201…遅延器
202…加算器
203…遅延器
204…複素共役計算回路
205…乗算器
206…加算器
207…記憶素子
208…位相検出回路
301…遅延器
302…加算器
303…遅延器
304…複素共役計算回路
305…乗算器
306…乗算器
307…係数計算回路
309…加算器
310…記憶素子
311…位相検出回路
1000、1200、1400、1600…IQインバランス推定部
1100、1300、1500、1700…IQインバランス補正部

Claims (30)

  1. OFDM変調された信号からなるパケットを受信する無線通信装置であって、
    所望帯域のOFDM信号を抽出するバンドパス・フィルタと、
    受信信号の強度に応じて利得制御され、該所望のOFDM信号を増幅する低雑音アンプと、
    該増幅されたOFDM信号をベースバンド信号にダウンコンバートする周波数変換部と、
    ベースバンド信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部と、
    パケットの所定のプリアンブル部分に相当するベースバンド信号について、DCオフセットを除去する第1のハイパス・フィルタと、
    前記第1のハイパス・フィルタによりDCオフセットを除去した後の信号から周波数オフセットを推定する周波数オフセット推定部と、
    周波数オフセットの推定に使用した以降の受信ベースバンド信号から、該推定された周波数オフセットを除去する周波数オフセット補正部と、
    周波数オフセットを補償した後のベースバンド信号から周波数軸上に並んだサブキャリア信号を復調する復調部と、
    を具備し、
    前記第1のハイパス・フィルタは、DCオフセットの急激な変化を検出すると、検出信号を周波数オフセット推定部に入力し、
    前記周波数オフセット推定部は、該検出信号が入力された時点での前記第1のハイパス・フィルタからのサンプル出力を周波数オフセット推定の対象から除外する、
    ことを特徴とする無線通信装置。
  2. OFDM変調された信号からなるパケットを受信する無線通信装置であって、
    所望帯域のOFDM信号を抽出するバンドパス・フィルタと、
    受信信号の強度に応じて利得制御され、該所望のOFDM信号を増幅する低雑音アンプと、
    該増幅されたOFDM信号をベースバンド信号にダウンコンバートする周波数変換部と、
    ベースバンド信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部と、
    パケットの所定のプリアンブル部分に相当するベースバンド信号について、DCオフセットを除去する第1のハイパス・フィルタと、
    前記第1のハイパス・フィルタによりDCオフセットを除去した後の信号から周波数オフセットを推定する周波数オフセット推定部と、
    周波数オフセットの推定に使用した以降の受信ベースバンド信号から、該推定された周波数オフセットを除去する周波数オフセット補正部と、
    周波数オフセットを補償した後のベースバンド信号から周波数軸上に並んだサブキャリア信号を復調する復調部と、
    前記アナログ−デジタル変換部によるデジタル変換後のベースバンド信号におけるDCオフセットを推定するDCオフセット推定部と、
    該推定されたDCオフセットをデジタル変換後のベースバンド信号から除去するDCオフセット補正部と、
    を具備し、
    前記第1のハイパス・フィルタは、DCオフセットの急激な変化を検出すると、検出信号をDCオフセット推定部に入力し、
    前記DCオフセット推定部は、該検出信号が入力されるより前に算出されたDCオフセット推定値を除外し、推定値を再度計算し直す、
    ことを特徴とする無線通信装置。
  3. 前記第1のハイパス・フィルタは微分フィルタからなる、
    ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の無線通信装置。
  4. 入力されるOFDM信号はDCサブキャリアを用いず、
    前記周波数オフセット推定部は、同じOFDM信号が2シンボル送信されたプリアンブルを用いて周波数オフセットの推定を行なう、
    ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の無線通信装置。
  5. 1つのOFDMシンボルはn個のサブキャリアからなり、該2回送信されるOFDMシンボルの時間波形のi番目のサンプルをs(i)とし、1回目に送信されるOFDMシンボルのサンプルを{s(0),s(1),…,s(n−1)}、2回目に送信されるOFDMシンボルのサンプルを{s(n),s(n+1),…,s(2n−1)}、周波数オフセットをΔf、DCオフセットをDとおくと、下式(1)で表される受信ベースバンド信号に対し、前記第1のハイパス・フィルタは下式(2)で表される処理を行なってサンプル信号d(i)を出力し、前記周波数オフセット補正部は該サンプル信号d(i)を用いて下式(3)で表される処理を行なうことで周波数オフセットΔfを推定する、
    Figure 0004983365
    ことを特徴とする請求項4に記載の無線通信装置。
  6. 前記第1のハイパス・フィルタは、i番目とi+1番目のサンプル間でのDCオフセットの変化D(i+1)−D(i)によりサンプル出力d(i)の絶対値が大きくなったときに、i番目のサンプルにおける上式(3)を用いた周波数オフセットの推定を除外するための検出信号を前記周波数オフセット推定部に出力する、
    Figure 0004983365
    ことを特徴とする請求項5に記載の無線通信装置。
  7. 前記周波数変換部は、ローカル発振器が発生するローカル周波数を用いて、前記の増幅された所望のOFDM信号をダイレクト・コンバージョン方式によりベースバンド信号に変換し、
    前記周波数オフセット推定部において推定された周波数オフセットに基づいて、前記ローカル発振器において発振するローカル周波数の位相を逆回転させる、
    ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の無線通信装置。
  8. 前記アナログ−デジタル変換部によるデジタル変換後のベースバンド信号におけるDCオフセットを推定するDCオフセット推定部と、
    該推定されたDCオフセットをデジタル変換後のベースバンド信号から除去するDCオフセット補正部と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の無線通信装置。
  9. 前記周波数変換部から出力されるベースバンド信号をフィルタリングする第2のハイパス・フィルタをさらに備え、
    前記アナログ−デジタル変換部は、前記第2のハイパス・フィルタを通過した後のベースバンド信号をデジタル信号に変換する、
    ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の無線通信装置。
  10. 前記第2のハイパス・フィルタのカットオフ周波数を前記第1のハイパス・フィルタのカットオフ周波数よりも小さい値に設定する、
    ことを特徴とする請求項9に記載の無線通信装置。
  11. 前記第1のハイパス・フィルタの出力信号を用いてパケット検出及び粗タイミングを検出する検出部をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。
  12. 前記アナログ−デジタル変換部の出力端を、前記第1のハイパス・フィルタ又は前記DCオフセット補正部のパスに排他的に接続するスイッチをさらに備える、
    ことを特徴とする請求項11に記載の無線通信装置。
  13. 前記スイッチは、粗タイミング検出部において周波数オフセット推定を行なうための所定のプリアンブル部分の終了を検出したタイミングで、前記アナログ−デジタル変換部の出力端を、前記第1のハイパス・フィルタへのパスから前記DCオフセット補正部へのパスに切り替える、
    ことを特徴とする請求項12に記載の無線通信装置。
  14. 前記周波数オフセット推定部は、前記所定のプリアンブル部分が終了するまでの期間を用いて、前記第1のハイパス・フィルタを用いてDCオフセットが除去された受信ベースバンド信号を用いて周波数オフセットの推定を行なう、
    ことを特徴とする請求項13に記載の無線通信装置。
  15. 前記DCオフセット推定部は、前記所定のプリアンブル部分が終了するまでの期間を用いてDCオフセット推定を行ない、
    前記DCオフセット補正部は、前記所定のプリアンブル部分が終了した以降の受信ベースバンド信号について、該推定されたDCオフセットの補正を行なう、
    ことを特徴とする請求項13に記載の無線通信装置。
  16. 前記周波数オフセット補正部は、所定のプリアンブル部分が終了するまでの間に前記周波数オフセット推定部が推定した周波数オフセットを用いて、前記所定のプリアンブル部分が終了した以降の受信ベースバンド信号に対して周波数オフセットの補正を行なう、
    ことを特徴とする請求項13に記載の無線通信装置。
  17. 前記アナログ−デジタル変換部の出力信号の相関値の移動平均値を算出し、該移動平均値が所定の閾値を超えるタイミングで前記スイッチの切り替えを制御するスイッチ制御部をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項12に記載の無線通信装置。
  18. 受信するパケットには、サブキャリア間隔が比較的大きい短トレーニング系列からなる短プリアンブル部と、サブキャリア間隔が比較的小さい長トレーニング系列からなる長プリアンブル部が付加されており、
    短プリアンブル部が終了して長プリアンブル部が開始するタイミングに応じて、前記スイッチ部において、前記アナログ−デジタル変換部の出力端を前記第1のハイパス・フィルタへのパスから前記DCオフセット補正部へのパスに切り替える、
    ことを特徴とする請求項12に記載の無線通信装置。
  19. 前記周波数オフセット補償部は、前記周波数オフセット推定部が短プリアンブル部において推定した周波数オフセットを長プリアンブル部から除去し、
    前記DCオフセット補正部は、前記DCオフセット推定部が短プリアンブル部において推定したDCオフセットを長プリアンブル部から除去し、
    短プリアンブル部で推定された該周波数オフセット及び該DCオフセットが除去された後の長プリアンブル部以降の受信ベースバンド信号から周波数オフセットを推定する第2の周波数オフセット推定部と、前記第2の周波数オフセット推定部で推定された周波数オフセットを長プリアンブル部以降の受信ベースバンド信号から除去する第2の周波数オフセット補正部をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項18に記載の無線通信装置。
  20. 前記周波数オフセット補正部は、前記周波数オフセット推定部が短プリアンブル部において推定した周波数オフセットを長プリアンブル部から除去し、
    前記DCオフセット補正部は、前記DCオフセット推定部が短プリアンブル部において推定したDCオフセットを長プリアンブル部から除去し、
    短プリアンブル部で推定された該周波数オフセット及び該DCオフセットが除去された後の長プリアンブル部以降の受信ベースバンド信号を前記周波数オフセット推定部に帰還して長プリアンブル部以降の受信ベースバンド信号から周波数オフセットを推定し、前記周波数オフセット補正部で長プリアンブル部以降の受信ベースバンド信号から除去する、
    ことを特徴とする請求項18に記載の無線通信装置。
  21. 短プリアンブル部で推定された該周波数オフセット及び該DCオフセットが除去され、さらに長プリアンブル部以降における周波数オフセット推定に基づいて周波数オフセット補正が行なわれた受信ベースバンド信号からチャネル推定を行なうチャネル推定部をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項19又は20のいずれかに記載の無線通信装置。
  22. 前記第1のハイパス・フィルタによりDCオフセットを除去した後の信号からIQインバランスを推定するIQインバランス推定部と、
    IQインバランスの推定に使用した以降の受信ベースバンド信号に対してIQインバランス補正を施すIQインバランス補正部と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の無線通信装置。
  23. 前記IQインバランス補正部は、DCオフセットが補正された後の受信ベースバンド信号に対してIQインバランス補正を施す、
    ことを特徴とする請求項22に記載の無線通信装置。
  24. 前記周波数オフセット補正部は、前記IQインバランス補正部によりIQインバランス補正が施された後の受信ベースバンド信号から、該推定された周波数オフセットを除去する、
    ことを特徴とする請求項22に記載の無線通信装置。
  25. 周波数オフセット推定に使用することができるプリアンブル・シンボルが複数回にわたって送信されており、
    前記周波数オフセット推定部は、プリアンブル・シンボル毎に推定した周波数オフセットを加算して最終的な周波数オフセット推定値を得る、
    ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の無線通信装置。
  26. 受信信号を増幅する低雑音アンプと、前記低雑音アンプの利得を調整する利得制御部をさらに備え、
    前記周波数オフセット推定部は、プリアンブル・シンボル毎に推定した各周波数オフセットに対して、対応するプリアンブル・シンボル受信時に前記低雑音アンプに設定された利得に応じた重み付け加算して最終的な周波数オフセット値を得る、
    ことを特徴とする請求項25に記載の無線通信装置。
  27. 前記周波数オフセット推定部は、プリアンブル・シンボル毎に推定した周波数オフセットの絶対値に基づいて重み係数を計算し、プリアンブル・シンボル毎の周波数オフセットをそれぞれの重み係数で重み付け加算して最終的な周波数オフセット値を得る、
    ことを特徴とする請求項25に記載の無線通信装置。
  28. 前記周波数オフセット推定部は、絶対値が所定の閾値を超える周波数オフセットに対して重み係数0を与えるとともに、絶対値が所定の閾値を超えない周波数オフセットに対して重み係数1を与えて、プリアンブル・シンボル毎の周波数オフセットをそれぞれの重み係数で重み付け加算して最終的な周波数オフセット値を得る、
    ことを特徴とする請求項27に記載の無線通信装置。
  29. 前記周波数オフセット推定部は、前記所定の閾値を受信信号強度に基づいて決定する、
    ことを特徴とする請求項28に記載の無線通信装置。
  30. 前記周波数オフセット推定部は、絶対値の逆数からなる重み係数を各周波数オフセットに与えて、プリアンブル・シンボル毎の周波数オフセットをそれぞれの重み係数で重み付け加算して最終的な周波数オフセット値を得る、
    ことを特徴とする請求項27に記載の無線通信装置
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