JP4983856B2 - 回転装置の組付方法及び治具 - Google Patents

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本発明は、オイルポンプ、ウォータポンプ等の外部からの回転力によって回転軸を駆動し流体を加圧する回転装置、又は油圧モータ等の加圧された流体によって回転軸を回転駆動する回転装置の組付方法及び回転装置の組付に用いる治具に関するものである。
従来より、回転軸と、ハウジングに形成される区画室と、前記区画室に流体を導く導入孔と、前記区画室から流体を排出する排出孔と、前記回転軸を前記区画室に挿入可能な孔と、前記孔と対向する補助孔と、前記回転軸に一体で回転可能に前記区画室内に配置されたロータとからなる回転装置は、多数提案されている。例えば、ハウジングに形成した区画室内に外歯を備えたインナーロータと、インナーロータの外歯に嵌合可能な内歯を備えたアウターロータを偏心配置して、回転軸と一体に回転するインナーロータの回転によって、導入孔に連通する吸入ポートと排出孔に連通する吐出ポートの容積変化を行って流体を加圧するトロコイドタイプのオイルポンプに関しては、特開昭63−223382号(以下、第1の従来技術という)や特開平10−77973号(以下、第2の従来技術という)がある。これらの従来技術に開示された技術を始め全ての回転装置は、区画室内でロータが回転することによって吸入ポートと吐出ポートの容積変化を行っているので、区画室内に配置されたロータの外側には空間が存在する。この空間の存在によって、回転装置の組付時、つまりロータと回転軸とを接合する前の状態においては、ロータは区画室内で位置が固定されていない状態となっている。また、ロータと回転軸との接合は、ロータと回転軸とが相対回転しないように、ロータに回転軸が貫通する貫通孔を設け、貫通孔の内径と回転軸の外径とのそれぞれにスプライン溝を形成して回転軸をロータに挿入したり、貫通孔の内径に突出部を設けた異円形状とし且つ回転軸の外径も同様の形状として回転軸をロータに挿入している。一方、区画室に回転軸を挿入するための孔の大きさは、区画室内部の流体を外部に漏らさないために、回転軸の外径よりも若干大きな大きさとして、回転軸と孔との間にシール材(オイルシール等)を配置しているのが一般的である。従って、回転装置の組付は、区画室内にロータを配置した後に、ハウジングの外側から回転軸をハウジングに形成した孔を介して挿入し、更に回転軸をロータの貫通孔に挿入して、ロータを区画室内で回転軸と連動して回転させることができるように組付られる。
このような組付を行うにあたり、第1の従来技術においては、回転軸を挿入した際に、ロータの貫通孔の位置がハウジングに設けた孔の内径と合致するように、ロータの側面に回転軸の軸方向に突出した環状リングを形成し、このリングの外周をハウジングに設けた孔の内径に噛み合わせている。この噛み合いによって、回転軸の挿入前であっても、ロータはハウジングに設けた区画室内で所定の位置から移動することを規制されている。また、第2の従来技術においては、ロータの貫通孔の内側に2つの向かい合う突出部を形成して二面幅部を設け、この二面幅部に回転軸の軸方向に突出した円弧状の突起を形成して、この突起の外側壁をハウジングに設けた孔の内径に微少隙間を介して当接可能となっている。詳しく説明すると、第2の従来技術に開示される技術は、第1の従来技術に開示される環状リングがハウジングに設けた孔の内径に噛み合っていることによって、オイルポンプの作動時に摺動抵抗が発生することを防止するために、突起の外側壁とハウジングに設けた孔の内径との間で微少の隙間を設定したものである。従って、組付の容易さとポンプ作動時の摺動抵抗の面に関して第2の従来技術は、回転軸をロータに挿入して接合する際に、微少隙間の範囲でロータの貫通孔の位置は所定の位置からずれる可能性があるものの、ポンプの作動時にはロータに設けた突起とハウジングに設けた孔の内径との摺動による抵抗を抑えることができるものである。
特開昭63−223382号公報 特開平10−77973号公報
ところで、上記の説明から明らかなように、第1の従来技術、第2の従来技術のそれぞれに開示されるロータに設けた回転軸の軸方向に突出する突起は、オイルポンプの組付性を向上させるために区画室内でロータの移動を規制するものである。従って、第1の従来技術のようにこの突起をハウジングに設けた孔の内径に当接するようにすれば、組付性は最良のものとなるが、ポンプ作動時に摺動抵抗を発生させる。第2の従来技術のようにこの突起とハウジングに設けた孔の内径との間で隙間を形成するようにすれば、ポンプ作動時の摺動抵抗はなくなるが、ロータの位置が固定されないために組付性が劣るものとなる。
そこで本発明は、組付性と摺動抵抗の相反する問題を一挙に解決した、回転装置の組付方法及びそのための治具を提供することを、その技術的課題とする。
回転軸と、ハウジングに形成される区画室と、前記区画室に流体を導く導入孔と、前記区画室から流体を排出する排出孔と、前記回転軸を前記区画室に挿入可能な前記ハウジングに形成された孔と、前記区画室に配置され且つ前記回転軸に一体回転可能に接合されたロータとからなる回転装置の組付方法であって、前記回転軸は前記ロータに設けた貫通孔に貫通して接合されるものであり、前記回転軸は一方に前記貫通孔に嵌合する中径部の径方向の長さよりも径方向の長さが短い小径部を有し、前記回転軸の前記小径部を覆うことができる底部を有する内孔が形成されていると共に前記内孔が開口している端面を最大径として前記内孔の前記底部側に向かうにつれて徐々に径が小さくなるテーパ部を有する治具が備えられ、前記回転軸の中径部の径方向の長さ及び前記テーパ部の前記最大径の径方向の長さ前記ハウジングの前記孔径方向の長さ以下に設定され、前記回転軸に前記治具を取付け、前記回転軸を前記ロータに設けた貫通孔に貫通して接合する際に前記治具に設けたテーパ部で前記ロータを案内することで前記区画室内の前記ロータの位置決めを行うことを特徴とする。
この発明の基本的な考え方は、回転軸をロータに設けた貫通孔に貫通して接合する前の段階においては、ロータの移動を区画室内で規制しないことによりロータの区画室内での移動は許容している。しかし、ハウジングに形成される孔とロータに形成される貫通孔が合致していないまでも、一般的にはハウジングに形成される孔の中に、ロータに形成される貫通孔の一部は少なからず位置している。このことに着眼し、孔と貫通孔の重複部分に回転軸の端部に設けたテーパ部により、ロータの区画室内での位置を案内してロータを回転軸と接合可能とする位置に移動し得る。
好ましくは、前記ロータと前記ハウジングとが摺接する前記ロータの面には、凹凸がないと良い。
本発明によれば、回転装置の区画室内に配置されるロータに回転軸に組付するために、区画室内でのロータの移動を規制するための突起等の回転装置の回転時に回転抵抗を増大させる部材を設ける必要がなく、且つ簡単にインナーロータを回転軸に組付することができる。
本発明の組付方法により組付されるオイルポンプの断面を示した断面図である。 オイルポンプのインナーロータに接合されるクランクシャフトの端部を示す図面である。 本発明の組付方法に用いる治具の単品図である。 図3のA−A断面図である。 本発明の組付方法によるオイルポンプの取付状態を示す図面であり、オイルポンプが治具により案内されている状態を示している。 本発明の組付方法によるオイルポンプの取付状態を示す図面であり、オイルポンプが治具からクランクシャフトに乗り移る状態を示している。 本発明の組付方法によるオイルポンプの取付状態を示す図面であり、オイルポンプがクランクシャフトの所定位置に案内された状態を示している。
以下、本発明の望ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1には、本発明による組付方法により組付されるオイルポンプ10の断面図を示している。このオイルポンプ10は、ハウジング12と、ハウジング内部に配置したインナーロータ14と、アウターロータ16とを主要構成部材とするものである。ハウジング12には、区画室を形成する円形状の凹部18を形成し、凹部18内にはアウターロータ16が配置される。アウターロータ16の外周は凹部18の内壁に摺動可能に回転可能であり、アウターロータ16の内周には複数の内歯17が形成されている。インナーロータ14はアウターロータ16の回転中心C1から、図1にLで示す所定量離れた回転中心C2を有する位置に配置され、その外周にはアウターロータ16の内歯17と噛み合い可能な外歯15が形成されている。また、インナーロータ14の中心には、エンジンのクランクシャフト30の挿入を許容する貫通孔20が設けられ、この貫通孔20にはクランクシャフト30が貫通している。クランクシャフト30の外周とインナーロータ14の貫通孔20には、共に2つの平面部32、22が設けられており、クランクシャフト30が回転することによってインナーロータ14は相対回転することなくクランクシャフト30と一体的に回転する。なお、インナーロータの貫通孔20の形状は、平面部22を形成するために、平面部22の領域のみ径方向内側に突出している。また、ハウジング12には、ハウジング12に形成される凹部18を略2分割するように、吸入ポート24と吐出ポート26が形成されており、吸入ポート24はハウジング12に形成した通路25を介して図示しないオイルパンに連通し、吐出ポート26はハウジング12に形成した通路27を介してオイルポンプ10で加圧されたオイルを必要とする図示しない各機関に連通している。なお、図5乃至図7に示すように、ハウジング12にはクランクシャフト30と、後述するキャップ(治具)40及びクランクシャフト30が貫通できる孔28及び補助孔29が設けられている。また、図5乃至図7に示すように、オイルポンプ10のハウジング12は、アルミ系材料で鋳造される本体部12aと蓋部12bとから構成されており、本体部12aと蓋部12bとは複数のボルト13によって固定されている。
図1に示したオイルポンプ10は、図1に矢印Yで示す方向にクランクシャフト30が回転することによってインナーロータ14が一体に回転し、インナーロータ14の外歯15と噛み合うアウターロータ16の内歯17によってアウターロータ16が連動して回転する。このとき、吸入ポート24の範囲では、インナーロータ14の外歯15とアウターロータ16の内歯17との間に形成されるポンプ室19の容積が回転に伴って大きくなることにより、通路25を介してオイルパンからオイルを吸入する。逆に、吐出ポート26の範囲では、インナーロータ14の外歯15とアウターロータ16の内歯17との間に形成されるポンプ室19の容積が回転に伴って小さくなることにより、通路27を介して加圧したオイルを各機関に向けて吐出する。
図2は、クランクシャフト30の端部の拡大図を示している。図2に示すように、クランクシャフトの先端には、クランクシャフトの回転を図示しないエンジンのカムシャフト等の別の部材に伝達するためのタイミングプーリ(図示省略)を取り付けるための小径部34と、インナーロータ14に形成される貫通孔20に嵌合する中径部36が形成されている。また、中径部36には、貫通孔20の平面部22に嵌合する平面部32が形成されている。なお、小径部34には、後述する治具40の内孔42に形成する凹部44に挿入可能な凸条突起38が軸方向に設けられている。
図3乃至図4は、本発明の組付方法に用いる治具40の単品図を示している。治具40は、鉄系の材料で形成されるインナーロータ14に形成する貫通孔20を案内するので、鉄系の材料又は鉄系の材料よりも堅い材料を用いている。図3に示すように、治具40の内部にはクランクシャフト30の小径部34を覆うことができる空洞(内孔)42が形成されており、この空洞42の断面形状は図4に示すようにクランクシャフト30の小径部34の断面形状にほぼ一致している。即ち、クランクシャフト30の小径部32の径とほぼ同径の円筒部分と、クランクシャフト小径部の外周に設けた凹部44が形成されている。また、治具40の外周には、クランクシャフト30の平面部32の位置に対応する位置に平面部46が形成されている。更に、治具40の先端は半球形状の先端部41を有し、治具40の外形は空洞42が開口している取付端面43を最大径として先端部41に向けて徐々に径が小さくなる先細形状となっている。この先細形状に伴って、図3に示すように治具40の外周に形成される平面部46の形状も先端部41に近づくに連れて軸方向の幅は小さくなっている。
次に、図5乃至図7に基づいて、オイルポンプ10をクランクシャフト30に固定する本発明の組付の工程を説明する。なお、図5乃至図7に示されるオイルポンプ10は、図1のB−B断面図のオイルポンプを示している。
先ず、オイルポンプ10のハウジング12の本体部12aに形成された円形状の凹部18の中に、インナーロータ14とアウターロータ18とを配置し、蓋部12bをボルト13で本体部12aに固定する。
次いで、クランクシャフト30の小径部34を覆うように治具40をクランクシャフト30の先端部に取り付ける。このとき、小径部34に設けた凸条突起38を、治具40の空洞42に形成した凹部44に沿って挿入することで、治具40の平面部46とクランクシャフト30の平面部32との位置合わせが容易にできる。
その後、クランクシャフト30に取り付けた治具40の先端部41をインナーロータ14の貫通孔20とハウジング12に設けた孔28との重複部分に挿入する。このとき、アウターロータ16はハウジング12に形成した円形状の凹部18と略同一径である外周となっているので凹部18内で移動することはないが、インナーロータ14はインナーロータ14の外側に複数のポンプ室19を形成しているのでアウターロータ16の内歯17内で自由に移動できる状況となっている。しかしながら、複数のポンプ室19を形成する領域に比べて、インナーロータ14に形成される貫通孔20及びハウジング12の蓋部12bに形成される孔28の領域は充分に大きくなっており、インナーロータ14の貫通孔20とハウジング12に設けた孔28との重複部分は必ず確保でき、且つこの重複部分に治具40の先端部41が挿入可能となっている。このように、図5に示すように、オイルポンプ10を治具40に挿入することによって、インナーロータ14の貫通孔20も治具40に挿入され、治具40の基端部43に近づくに連れてインナーロータ14の位置が本来配置されるべく設定位置に近づく。そして、図6に示すように、治具40の基端部43の外径とクランクシャフト30の中径部36の外径とが同一径となっているので、治具40に案内されたオイルポンプ10をクランクシャフト30の中径部36に簡単に乗り移らせることができる。そして、図7に示すように、オイルポンプ10がクランクシャフト30の中径部36の最も奥の位置まで案内されて、クランクシャフト30とオイルポンプ10との接合位置が決定する。
最後に、治具40をクランクシャフト30から取り外すことで、クランクシャフト30とオイルポンプ10との接合が完了する。
なお、本実施の形態によれば、治具40の外周に平面部46を形成し、この平面部46を治具40のクランクシャフト30への取付時にクランクシャフト30の平面部32と位置合わせを行うので、インナーロータ14の貫通孔20に形成した平面部22とクランクシャフト30の平面部32との位置合わせが容易に行うことができる。
また、本実施の形態においては、トロコイドタイプのオイルポンプを用いて本発明の組付方法を説明したが、本発明の組付方法及び治具は、トロコイドタイプのオイルポンプに限定されることなく、ベーン式等の他の形式のオイルポンプ、他の用途のための容積型ポンプに適用できる。更に、本発明の組付方法及び治具は、ポンプのみならず、加圧された流体を供給して回転軸を回転されるモータ、例えばエンジンの冷却水を冷却するためのラジエターに風を供給するためのファンを回転させるために用いる油圧モータ等にも適用できる。
10・・・オイルポンプ(回転装置)
12・・・ハウジング
14・・・インナーロータ(ロータ)
18・・・凹部(区画室)
20・・・貫通孔
24・・・吸入ポート(導入孔)
26・・・吐出ポート(排出孔)
28・・・孔
29・・・補助孔
40・・・治具

Claims (1)

  1. 回転軸と、
    ハウジングに形成される区画室と、
    前記区画室に流体を導く導入孔と、
    前記区画室から流体を排出する排出孔と、
    前記回転軸を前記区画室に挿入可能な前記ハウジングに形成された孔と、
    前記区画室に配置され且つ前記回転軸に一体回転可能に接合されたロータとからなる回転装置の組付方法であって、
    前記回転軸は前記ロータに設けた貫通孔に貫通して接合されるものであり、
    前記回転軸は一方に前記貫通孔に嵌合する中径部の径方向の長さよりも径方向の長さが短い小径部を有し、
    前記回転軸の前記小径部を覆うことができる底部を有する内孔が形成されていると共に前記内孔が開口している端面を最大径として前記内孔の前記底部側に向かうにつれて徐々に径が小さくなるテーパ部を有する治具が備えられ、
    前記回転軸の中径部の径方向の長さ及び前記テーパ部の前記最大径の径方向の長さ前記ハウジングの前記孔径方向の長さ以下に設定され、
    前記回転軸に前記治具を取付け、前記回転軸を前記ロータに設けた貫通孔に貫通して接合する際に前記治具に設けたテーパ部で前記ロータを案内することで前記区画室内の前記ロータの位置決めを行うことを特徴とする回転装置の組付方法。
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