以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態に係る面発光型の半導体レーザ1の上面図を、図2は図1の半導体レーザ1のA−A矢視方向の断面構成をそれぞれ表すものである。なお、図1,図2は模式的に表したものであり、実際の寸法、形状とは異なっている。
この半導体レーザ1は、GaN基板10の上に、400nm前後の波長(例えば405nm)の光を積層方向に向けて射出可能なレーザ構造部LD1と、CD用の700nm帯(例えば780nm)の光を積層方向に向けて射出可能なレーザ構造部LD2と、DVD用の600nm帯(例えば650nm)の光を積層方向に向けて射出可能なレーザ構造部LD3とを備えたものである。したがって、この半導体レーザ1は3波長レーザとしての機能を有する。
また、この半導体レーザ1では、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3は、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3から射出されるレーザ光の光軸間の距離が互いに極力近づくようにGaN基板10の一の面側に配置されている。例えば、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3は、図1に示したように、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3の積層面内方向における中心が三角形の頂点の位置に対応するように配置されている。なお、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3の積層面内方向のスケールが比較的小さい場合には、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3を、図1に示したような配置にする必要はなく、例えば、積層面内方向に一列に配置してもよい。
(レーザ構造部LD1)
レーザ構造部LD1は、GaN基板10上での結晶成長により形成されたものであり、窒化物系III−V族化合物半導体により構成されている。なお、窒化物系III−V族化合物半導体とは、短周期型周期率表における3B族元素群のうちの少なくとも1種と、短周期型周期率表における5B族元素のうちの少なくともN(窒素)とを含むものを指しており、例えばGaN,AlGaN(窒化アルミニウム・ガリウム),あるいはAlGaInN(窒化アルミニウム・ガリウム・インジウム)などを含むものである。なお、窒化物系III−V族化合物半導体は、可視から赤外までの光に対して透明な材料である。
このレーザ構造部LD1は、例えば、GaN基板10側から、下部DBR層20、下部スペーサ層21、活性層22、上部スペーサ層23、上部DBR層24および上部コンタクト層25をこの順に積層してなる積層構造となっている。
ここで、GaN基板10は、例えばn型GaNにより構成されている。下部DBR層20は、低屈折率層(図示せず)および高屈折率層(図示せず)を交互に積層して構成されたものである。低屈折率層は例えば光学厚さがλ1/4(λ1は発振波長)のn型Alx1Ga1−x1N(0<x1<1)からなり、高屈折率層は例えば光学厚さがλ1/4のn型Alx2Ga1−x2N(0≦x2<x1)からなる。下部スペーサ層21は、例えばn型Alx3Ga1−x3N(0≦x3<1)からなる。GaN基板10、下部DBR層20および下部スペーサ層21には、例えばケイ素(Si)などのn型不純物が含まれている。
活性層22は、例えば、アンドープのInx4Ga1−x4N(0<x4<1)からなる井戸層(図示せず)およびアンドープのInx5Ga1−x5N(0<x5<x4)からなる障壁層(図示せず)を交互に積層してなる多重量子井戸構造となっている。なお、活性層33のうち積層面内方向における中央部分が発光領域22Aとなる。
上部スペーサ層23は、例えばp型Alx6Ga1−x6N(0≦x6<1)からなる。上部DBR層24は、低屈折率層(図示せず)および高屈折率層(図示せず)を交互に積層して構成されたものである。低屈折率層は例えば光学厚さがλ1/4のp型Alx7Ga1−x7N(0<x7<1)からなり、高屈折率層は例えば光学厚さがλ1/4のp型Alx8Ga1−x8N(0≦x8<x7)からなる。上部コンタクト層25は、例えばp型Alx9Ga1−x9N(0≦x9<1)からなる。上部スペーサ層23、上部DBR層24および上部コンタクト層25には、例えばマグネシウム(Mg)などのp型不純物が含まれている。
本実施の形態のレーザ構造部LD1には、上部コンタクト層25の上面に環状の電極層26が形成されている。この電極層26は、例えば、例えばチタン(Ti)層,白金(Pt)層および金(Au)層をこの順に積層して構成されたものであり、上部コンタクト層25と電気的に接続されている。
また、本実施の形態の半導体レーザ1では、GaN基板10のレーザ構造部LD1側の表面のうちレーザ構造部LD1の形成されていない領域に、絶縁層11、接着層12および電極層13がGaN基板10側から順に形成されている。また、GaN基板10のレーザ構造部LD1側とは反対側の表面には、電極層14が形成されている。
ここで、絶縁層11は、例えばSiO2(酸化けい素)やSiN(窒化けい素)などの絶縁性材料により構成されている。接着層12は、例えば多結晶シリコン層またはアモルファスシリコン層などの半導体層からなり、絶縁層11との間に高い親和性を持っている。これにより、接着層12は、電極層13と絶縁層11との間に高い密着強度を持たせている。電極層13は、例えば、金やパラジウムなどの導電性材料により構成されている。電極層14は、例えばAuとGe(ゲルマニウム)との合金,Ni(ニッケル)およびAuをGaN基板10側から順に積層した構造を有している。
(レーザ構造部LD2)
レーザ構造部LD2は、GaN基板10とは異なる基板、例えばGaAs基板上での結晶成長により形成されたものであり、GaAs系III−V族化合物半導体により構成されている。なお、GaAs系III−V族化合物半導体とは、短周期型周期表における3B族元素のうちの少なくともGaと、短周期型周期表における5B族元素のうちの少なくともAs(ヒ素)とを含むものを指す。なお、GaAs系III−V族化合物半導体は、可視から赤外までの光に対して不透明な材料である。
このレーザ構造部LD2は、電極層13上に形成されており、電極層13側から、例えば、下部コンタクト層30、下部DBR層31、下部スペーサ層32、活性層33、上部スペーサ層34、電流狭窄層35、上部DBR層36および上部コンタクト層37をこの順に積層してなる積層構造となっている。
ここで、下部コンタクト層30は、例えばn型Alx10Ga1−x10As(0≦x10<1)からなる。下部DBR層31は、低屈折率層(図示せず)および高屈折率層(図示せず)を交互に積層して構成されたものである。低屈折率層は例えば光学厚さがλ2/4(λ2は発振波長)のn型Alx11Ga1−x11As(0<x11<1)からなり、高屈折率層は例えば光学厚さがλ2/4のn型Alx12Ga1−x12As(0≦x12<x11)からなる。下部スペーサ層32は、例えばn型Alx13Ga1−x13As(0≦x13<1)からなる。下部コンタクト層30、下部DBR層31および下部スペーサ層32には、例えばケイ素(Si)などのn型不純物が含まれている。
活性層33は、例えば、アンドープのInx14Ga1−x14As(0<x14<1)からなる井戸層(図示せず)およびアンドープのInx15Ga1−x15N(0<x15<x14)からなる障壁層(図示せず)を交互に積層してなる多重量子井戸構造となっている。なお、活性層33のうち電流注入領域35A(後述)との対向領域が発光領域33Aとなる。
上部スペーサ層34は、例えばp型Alx16Ga1−x16As(0≦x16<1)からなる。上部DBR層36は、低屈折率層(図示せず)および高屈折率層(図示せず)を交互に積層して構成されたものである。低屈折率層は例えば光学厚さがλ2/4のp型Alx17Ga1−x17As(0<x17<1)からなり、高屈折率層は例えば光学厚さがλ2/4のp型Alx18Ga1−x18N(0≦x18<x17)からなる。上部コンタクト層37は、例えばp型Alx19Ga1−x19N(0≦x19<1)からなる。上部スペーサ層34、上部DBR層36および上部コンタクト層37には、例えばマグネシウム(Mg)などのp型不純物が含まれている。
電流狭窄層35は、その外縁領域に電流狭窄領域35Bを有し、その中央領域に電流注入領域35Aを有している。電流注入領域35Aは、例えばp型Alx20Ga1−x20As(0<x20≦1)からなる。電流狭窄領域35Bは、例えば、Al2 O3 (酸化アルミニウム)を含んで構成され、後述するように、側面から電流狭窄層35Dに含まれる高濃度のAlを酸化することにより得られるものである。従って、電流狭窄層35は電流を狭窄する機能を有している。
本実施の形態のレーザ構造部LD2には、上部コンタクト層37の上面に環状の電極層38が形成されている。この電極層38は、例えば、例えばTi層,Pt層およびAu層をこの順に積層して構成されたものであり、上部コンタクト層37と電気的に接続されている。
(レーザ構造部LD3)
レーザ構造部LD3は、GaN基板10とは異なる基板、例えばGaAs基板上での結晶成長により形成されたものであり、GaAs系III−V族化合物半導体およびGaP系III−V族化合物半導体を含んで構成されている。なお、GaP系III−V族化合物半導体とは、短周期型周期表における3B族元素のうちの少なくともGa(ガリウム)と、短周期型周期表における5B族元素のうちの少なくともP(リン)とを含むものを指す。なお、GaP系III−V族化合物半導体は、可視から赤外までの光に対して不透明な材料である。
このレーザ構造部LD3は、電極層13上に形成されており、電極層13側から、例えば、下部コンタクト層40、下部DBR層41、下部スペーサ層42、活性層43、上部スペーサ層44、電流狭窄層45、上部DBR層46および上部コンタクト層47をこの順に積層してなる積層構造となっている。
ここで、下部コンタクト層40は、例えばn型Alx21Ga1−x21As(0≦x21<1)からなる。下部DBR層41は、低屈折率層(図示せず)および高屈折率層(図示せず)を交互に積層して構成されたものである。低屈折率層は例えば光学厚さがλ3/4(λ3は発振波長)のn型Alx22Ga1−x22As(0<x22<1)からなり、高屈折率層は例えば光学厚さがλ3/4のn型Alx23Ga1−x23As(0≦x23<x22)からなる。下部スペーサ層42は、例えばn型Alx24Ga1−x24As(0≦x24<1)からなる。下部コンタクト層40、下部DBR層41および下部スペーサ層42には、例えばケイ素(Si)などのn型不純物が含まれている。
活性層43は、例えば、アンドープのInx25Ga1−x25As(0<x25<1)からなる井戸層(図示せず)およびアンドープのInx26Ga1−x26N(0<x26<x26)からなる障壁層(図示せず)を交互に積層してなる多重量子井戸構造となっている。なお、活性層43のうち電流注入領域45A(後述)との対向領域が発光領域43Aとなる。
上部スペーサ層44は、例えばp型Alx27Ga1−x27As(0≦x27<1)からなる。上部DBR層46は、低屈折率層(図示せず)および高屈折率層(図示せず)を交互に積層して構成されたものである。低屈折率層は例えば光学厚さがλ3/4のp型Alx28Ga1−x28As(0<x28<1)からなり、高屈折率層は例えば光学厚さがλ3/4のp型Alx29Ga1−x29N(0≦x29<x28)からなる。上部コンタクト層47は、例えばp型Alx30Ga1−x30N(0≦x30<1)からなる。上部スペーサ層44、上部DBR層46および上部コンタクト層47には、例えばマグネシウム(Mg)などのp型不純物が含まれている。
電流狭窄層45は、その外縁領域に電流狭窄領域45Bを有し、その中央領域に電流注入領域45Aを有している。電流注入領域45Aは、例えばp型Alx31Ga1−x31As(0<x31≦1)からなる。電流狭窄領域45Bは、例えば、Al2 O3 (酸化アルミニウム)を含んで構成され、後述するように、側面から電流狭窄層45Dに含まれる高濃度のAlを酸化することにより得られるものである。従って、電流狭窄層45は電流を狭窄する機能を有している。
本実施の形態のレーザ構造部LD3には、上部コンタクト層47の上面に環状の電極層48が形成されている。この電極層48は、例えば、例えばTi層,Pt層およびAu層をこの順に積層して構成されたものであり、上部コンタクト層47と電気的に接続されている。
また、レーザ構造部LD1,LD2,LD3および電極層26,38,49の表面を含むGaN基板10のレーザ構造部LD1,LD2,LD3側の表面全体に渡って保護膜15が形成されている。この保護膜15は、例えばSiO2(酸化けい素)やSiN(窒化けい素)などの絶縁性材料により構成されている。この保護膜15のうちレーザ構造部LD1,LD2,LD3の形成されていない領域の一部に開口部が形成されており、この開口部から電極層13の一部(電極パッド13A)が露出している。また、この保護膜15のうち電極層26,38,49との対向領域の一部にも開口部が形成されており、この開口部を介して、電極層26と電気的に接続された電極パッド27と、電極層38と電気的に接続された電極パッド39と、電極層48と電気的に接続された電極パッド49とが保護膜15の表面に形成されている(図1参照)。
このような構成を有する半導体レーザ1は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、レーザ構造部LD2を製造する。そのためには積層構造を、例えば、MOCVD法により形成する。この際、GaAs系III−V族化合物半導体の原料としては、例えば、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMG(トリメチルガリウム)、TMIn(トリメチルインジウム)、AsH3(アルシン)を用いる。
具体的には、GaAs基板130上に、酸化剥離層131D、下部コンタクト層30、下部DBR層31、下部スペーサ層32、活性層33、上部スペーサ層34、電流狭窄層35D、上部DBR層36および上部コンタクト層37をこの順に積層する(図3(A))。
ここで、上記した電流狭窄層35Dは、電流注入領域35Aと同一の材料により構成されており、後述の酸化処理により電流狭窄層35となるものである。また、酸化剥離層131Dは、電流注入領域35Aと同様、酸化され易い材料により構成されており、電流狭窄層35Dよりも積層面内方向の酸化速度が速くなるように、例えば、流狭窄層35Dの厚みよりも厚くなっている。このときの酸化剥離層131Dの厚みは、後述の酸化処理において、酸化剥離層131Dがほとんど全て酸化されたときに、流狭窄層35Dのうち未酸化領域の径が所望の値となるように設定されている。
なお、酸化剥離層131Dは、上記したように、流狭窄層35Dよりも厚くなっていることが好ましいが、流狭窄層35Dとほぼ同一の厚さとなっていてもよい。ただし、この場合には、酸化剥離層131Dは、電流狭窄層35Dよりも酸化され易い材料により構成されていることが必要となる。
次に、例えばドライエッチング法により、上部コンタクト層37からGaAs基板130の一部までを選択的にエッチングして、メサ形状を形成する(図3(B))。これにより、酸化剥離層131Dがメサの側面に露出する。
次に、水蒸気雰囲気中において、高温で酸化処理を行い、メサの側面から電流狭窄層35Dと、酸化剥離層131Dとを選択的に酸化する。このとき、酸化剥離層131Dのほとんど全てが酸化され、電流狭窄層35Dの未酸化領域の径が所望の値となるまで、酸化処理を行う。これにより、酸化剥離層131Dのほとんど全てが絶縁層(酸化アルミニウム)となり、酸化剥離層131が形成される(図4(A))。また、酸化狭窄層35Dの外縁領域が絶縁層(酸化アルミニウム)となるので、外縁領域に電流狭窄領域35Bが形成され、その中央領域が電流注入領域35Aとなる。このようにして、GaAs基板130上にレーザ構造部LD2が形成される(図4(A))。
次に、例えば真空吸着や光硬化性粘着シートなどを用いて、レーザ構造部LD2をGaAs基板130から剥離する(図4(B))。このとき、レーザ構造部LD2を構成する各層の界面のうち、酸化剥離層131と下部コンタクト層30との界面において、酸化剥離層131と下部コンタクト層30とが互いにグレーデッドに接していない。つまり、酸化剥離層131と下部コンタクト層30との界面には、双方の材料が混じり合った中間層が存在していないか、または存在しているとしても他の界面における中間層の厚さと比べると無視できるくらいわずかしか存在していない。そのため、酸化剥離層131と下部コンタクト層30との界面には、酸化によって生じたストレスが加わっているので、この剥離工程により、酸化剥離層131と下部コンタクト層30との境界において比較的簡単にレーザ構造部LD2を剥離することができる。
なお、剥離工程の前に、300℃〜400℃程度で加熱(アロイ)してもよい。このようにした場合には、酸化剥離層131と下部コンタクト層30との境界におけるストレスが更に大きくなるので、より簡単にレーザ構造部LD2を剥離することができる。また、レーザ構造部LD2側に酸化剥離層131が残留している場合には、ウエットエッチングなどにより、レーザ構造部LD2側に残留している酸化剥離層131を除去する。
次に、レーザ構造部LD3を製造する。そのためには積層構造を、例えば、MOCVD法により形成する。この際、GaAs系III−V族化合物半導体の原料としては、上記したものと同様のものを用い、GaP系III−V族化合物半導体の原料としては、例えば、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMG(トリメチルガリウム)、TMIn(トリメチルインジウム)、PH3(フォスフィン)を用いる。
具体的には、GaAs基板130上に、酸化剥離層141D、下部コンタクト層40、下部DBR層41、下部スペーサ層42、活性層43、上部スペーサ層44、電流狭窄層45D、上部DBR層46および上部コンタクト層47をこの順に積層する(図5(A))。
ここで、上記した電流狭窄層45Dは、電流注入領域45Aと同一の材料により構成されており、後述の酸化処理により電流狭窄層45となるものである。また、酸化剥離層141Dは、電流注入領域45Aと同様、酸化され易い材料により構成されており、電流狭窄層45Dよりも積層面内方向の酸化速度が速くなるように、例えば、流狭窄層45Dの厚みよりも厚くなっている。このときの酸化剥離層141Dの厚みは、後述の酸化処理において、酸化剥離層141Dがほとんど全て酸化されたときに、流狭窄層45Dのうち未酸化領域の径が所望の値となるように設定されている。
なお、酸化剥離層141Dは、上記したように、流狭窄層45Dよりも厚くなっていることが好ましいが、流狭窄層45Dとほぼ同一の厚さとなっていてもよい。ただし、この場合には、酸化剥離層141Dは、電流狭窄層45Dよりも酸化され易い材料により構成されていることが必要となる。
次に、例えばドライエッチング法により、上部コンタクト層47からGaAs基板130の一部までを選択的にエッチングして、メサ形状を形成する(図5(B))。これにより、酸化剥離層141Dがメサの側面に露出する。
次に、水蒸気雰囲気中において、高温で酸化処理を行い、メサの側面から電流狭窄層45Dと、酸化剥離層141Dとを選択的に酸化する。このとき、酸化剥離層141Dのほとんど全てが酸化され、電流狭窄層45Dの未酸化領域の径が所望の値となるまで、酸化処理を行う。これにより、酸化剥離層141Dのほとんど全てが絶縁層(酸化アルミニウム)となり、酸化剥離層141が形成される(図6(A))。また、酸化狭窄層45Dの外縁領域が絶縁層(酸化アルミニウム)となるので、外縁領域に電流狭窄領域45Bが形成され、その中央領域が電流注入領域45Aとなる。このようにして、GaAs基板130上にレーザ構造部LD3が形成される(図6(A))。
次に、例えば真空吸着や光硬化性粘着シートなどを用いて、レーザ構造部LD3をGaAs基板130から剥離する(図6(B))。このとき、レーザ構造部LD3を構成する各層の界面のうち、酸化剥離層141と下部コンタクト層40との界面において、酸化剥離層141と下部コンタクト層40とが互いにグレーデッドに接していない。つまり、酸化剥離層141と下部コンタクト層40との界面には、双方の材料が混じり合った中間層が存在していないか、または存在しているとしても他の界面における中間層の厚さと比べると無視できるくらいわずかしか存在していない。そのため、酸化剥離層141と下部コンタクト層40との界面には、酸化によって生じたストレスが加わっているので、この剥離工程により、酸化剥離層141と下部コンタクト層40との境界において比較的簡単にレーザ構造部LD3を剥離することができる。
なお、剥離工程の前に、300℃〜400℃程度で加熱(アロイ)してもよい。このようにした場合には、酸化剥離層141と下部コンタクト層40との境界におけるストレスが更に大きくなるので、より簡単にレーザ構造部LD3を剥離することができる。また、レーザ構造部LD3側に酸化剥離層141が残留している場合には、ウエットエッチングなどにより、レーザ構造部LD3側に残留している酸化剥離層141を除去する。
次に、レーザ構造部LD1を製造する。そのためには積層構造を、例えば、MOCVD法により形成する。この際、窒化物系III−V族化合物半導体の原料としては、例えば、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMG(トリメチルガリウム)、TMIn(トリメチルインジウム)、アンモニア (NH3)を用いる。
具体的には、大型のGaN基板10上に、下部DBR層20、下部スペーサ層21、活性層22、上部スペーサ層23、上部DBR層24および上部コンタクト層25をこの順に積層する(図7)。その後、例えばドライエッチング法により、上部コンタクト層25から下部DBR層20までを選択的にエッチングして、メサ形状を形成する(図8)。これにより、レーザ構造部LD1が形成される(図8)。
次に、GaN基板10のレーザ構造部LD1側の表面のうちレーザ構造部LD1の形成されていない領域に、絶縁層11、接着層12および電極層13をGaN基板10側から順に形成する(図9)。続いて、電極層13上に、レーザ構造部LD2,LD3を、下部コンタクト層30,40側を下にして配設する(図10)。
次に、レーザ構造部LD1,LD2,LD3の上面に、電極層26,38,49を形成する。続いて、レーザ構造部LD1,LD2,LD3および電極層26,38,49の表面を含むGaN基板10のレーザ構造部LD1,LD2,LD3側の表面全体に渡って保護膜15を形成したのち、レーザ構造部LD1,LD2,LD3の形成されていない領域の一部に開口部を形成して、電極層13の一部(電極パッド13A)を露出させると共に、この保護膜15のうち電極層26,38,49との対向領域の一部にも開口部(図示せず)を形成し、保護膜15のうち電極層26,38,49との対向領域の一部に形成された開口部および保護膜15の表面上に、電極パッド27,39,49を形成する。このようにして、本実施の形態の半導体レーザ1が製造される。
本実施の形態の半導体レーザ1では、電極層26に電気的に接続された接続パッド27と、電極層14との間に所定の電圧が印加されると、活性層22に電流が注入され、電子−正孔再結合によって発光が生じ、素子内で誘導放出が繰り返される結果、所定の波長λ1でレーザ発振が生じ、波長λ1(400nm前後の波長(例えば405nm))のレーザ光が電極層26の開口部から外部に出力される。また、電極層38に電気的に接続された接続パッド39と、電極層13との間に所定の電圧が印加されると、活性層33に電流が注入され、電子−正孔再結合によって発光が生じ、素子内で誘導放出が繰り返される結果、所定の波長λ2でレーザ発振が生じ、波長λ2(700nm帯(例えば、780nm))のレーザ光が電極層38の開口部から外部に出力される。また、電極層48に電気的に接続された接続パッド49と、電極層13との間に所定の電圧が印加されると、活性層43に電流が注入され、電子−正孔再結合によって発光が生じ、素子内で誘導放出が繰り返される結果、所定の波長λ3でレーザ発振が生じ、波長λ3(600nm帯(例えば、650nm))のレーザ光が電極層48の開口部から外部に出力される。
ところで、本実施の形態では、GaN基板10上に、GaN基板10上での結晶成長により形成されたレーザ構造部LD1と、GaN基板10とは異なる基板(GaAs基板130)上での結晶成長により形成されたレーザ構造部LD2,LD3とが設けられている。つまり、レーザ構造部LD1と、レーザ構造部LD2,LD3とは互いに異なる基板上での結晶成長により形成されているので、レーザ構造部LD1と、レーザ構造部LD2,LD3との波長差を大きくすることができる。これにより、例えば、レーザ構造部LD1から400nm帯のレーザ光を射出し、レーザ構造部LD2から700nm帯のレーザ光を射出し、レーザ構造部LD3から600nm帯のレーザ光を独立に射出することができるので、半導体レーザ1を光ディスク装置の光源に適用することが可能である。
また、本実施の形態では、各レーザ構造部LD2,LD3が共通のGaN基板10の上に設けられているので、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3を別個の基板上にそれぞれ形成したレーザチップを支持基体などの上に並設した場合よりも、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3から射出されるレーザ光の光軸の間隔を十分に狭くすることができる。これにより、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3から射出されるレーザ光を単一の光学系で伝播させることができるので、搭載されるデバイス(光ピックアップ装置および光ディスク装置)の小型化を実現することができる。
[第1の実施の形態の変形例]
なお、上記実施形態において、下部コンタクト層30,40と酸化剥離層131,141との界面の性質を利用してレーザ構造部LD2,LD3からGaAs基板130を剥離していたが、下部コンタクト層30,40および酸化剥離層131,141を用いずに、GaAs基板130をラッピングすることによりレーザ構造部LD2,LD3からGaAs基板130を除去または薄くするようにしてもよい。このような方法により得られたレーザ構造部LD2,LD3を半導体レーザ1に適用すると、例えば、図11に示したように、レーザ構造部LD2,LD3の底部に若干、GaAs基板130が残っており、このGaAs基板130が電極層13と電気的に接することになる。また、図12に示したように、図11のレーザ構造部LD2,LD3を共通のGaAs基板130上で形成し、その共通のGaAs基板130を残した状態で、電極層13上に配設するようにしてもよい。
[第2の実施の形態]
図13は本発明の第2の実施の形態に係る面発光型の半導体レーザ2の上面図を表すものである。図14は図13の半導体レーザ2のA−A矢視方向の断面構成を、図15は図13の半導体レーザ2のB−B矢視方向の断面構成をそれぞれ表すものである。なお、図13〜図15は模式的に表したものであり、実際の寸法、形状とは異なっている。
この半導体レーザ2は、上記第1の実施の形態のレーザ構造部LD2がGaN基板10の裏側(GaN基板10のレーザ構造部LD1,3とは反対側の表面)に配設されたものであり、その点で主に上記実施形態の半導体レーザ1の構成と相違する。そこで、以下では、上記実施形態と共通する構成、作用、効果についての記載を適宜省略し、上記実施形態との相違点について主に説明する。
本実施の形態の半導体レーザ2では、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3は、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3から射出されるレーザ光の光軸間の距離が互いに極力近づくようにGaN基板10の両面に配置されている。例えば、レーザ構造部LD1,LD3は、電極層14,48をGaN基板10とは反対側に向けてGaN基板10の一方の面側に配置されており、レーザ構造部LD2は、電極層38をGaN基板10側に向けてGaN基板10の他方の面側に配置されており、さらに、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3を積層面内方向に一列に配置されている。つまり、レーザ構造部LD1,LD3の光射出方向と、レーザ構造部LD2の光射出方向とが互いに同じ方を向くように、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3がGaN基板10上に一列に配置されている。さらに、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3は、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3から射出されるレーザ光が他のレーザ構造部LD1,LD2,LD3によって遮られないように、GaN基板10の両面に互い違いに配置されている。
ここで、レーザ構造部LD2は、第1の実施の形態の場合とは異なり、GaAs基板130を剥離したり、ラッピングにより薄くしたものではなく、GaAs基板130上に形成した状態でGaN基板10の裏面に接着層53を介して貼り合わされている。また、レーザ構造部LD2の形成されたGaAs基板130は、GaN基板10よりも大きく、後述する電極パッド56,57へのワイヤボンディングがGaN基板10によって遮られることがないようになっている。
また、図13,図14に示したように、レーザ構造部LD2の側面およびGaAs基板130のうちレーザ構造部LD2の形成されていない部分の表面には、絶縁層51が形成されている。また、絶縁層51のうちレーザ構造部LD2の形成されていない部分の表面には、引出電極54と、引出電極54に電気的に接続された電極パッド56とが形成されている。さらに、この引出電極54上に、GaN基板10の裏面に形成された電極層14と当接したバンプ55が形成されている。これにより、電極層14は、バンプ55、引出電極54および電極パッド56によってGaAs基板130上のレーザ構造部LD2側の表面に引き出されている。なお、バンプ55は、レーザ構造部LD2の光軸の向きを安定化させるための支持部材としての機能も有している。
また、図13,図15に示したように、絶縁層51のうちレーザ構造部LD2の形成されていない部分の表面には、レーザ構造部LD2上の電極層38に電気的に接続された電極パッド57が形成されている。従って、各電極パッド13A,27,49,56,57は、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3のレーザ光が射出される側の表面に形成されている。
本実施の形態の半導体レーザ2では、レーザ構造部LD2が駆動されると、レーザ構造部LD2からのレーザ光はGaN基板10を透過して、GaN基板10のレーザ構造部LD1,LD3側の表面から射出する。このとき、レーザ構造部LD2はレーザ構造部LD1,LD3とは異なる面に配設されているので、レーザ構造部LD1と、レーザ構造部LD3との間隙を上記実施形態の場合よりも詰めて、各レーザ構造部LD1,LD2,LD3の光軸の間隔を上記実施形態の場合よりも狭くすることが可能である。その結果、例えば、3つのレーザ構造部LD1,LD2,LD3を一画素とする画像表示パネルを構築することも可能となる。
上記各実施の形態では、本発明を面発光型の半導体レーザに対して適用した場合ついて説明したが、以下では、本発明を端面発光型の半導体レーザに対して適用した場合ついて説明する。
[第3の実施の形態]
図16は本発明の第3の実施の形態に係る端面発光型の半導体レーザ3の上面図を、図17は図16の半導体レーザ3のA−A矢視方向の断面構成をそれぞれ表すものである。なお、図16,17は模式的に表したものであり、実際の寸法、形状とは異なっている。
この半導体レーザ3は、GaN基板10の上に、400nm前後の波長(例えば405nm)の光を積層面内方向に向けて射出可能なレーザ構造部LD4と、CD用の700nm帯(例えば780nm)の光を積層面内方向に向けて射出可能なレーザ構造部LD5と、DVD用の600nm帯(例えば650nm)の光を積層面内方向に向けて射出可能なレーザ構造部LD6とを備えたものである。したがって、この半導体レーザ3は3波長レーザとしての機能を有する。
また、この半導体レーザ3では、各レーザ構造部LD4,LD5,LD6は、各レーザ構造部LD4,LD5,LD6から射出されるレーザ光の光軸間の距離が互いに極力近づくようにGaN基板10の一の面側に並列に配置されている。
(レーザ構造部LD4)
レーザ構造部LD4は、GaN基板10上での結晶成長により形成されたものであり、窒化物系III−V族化合物半導体により構成されている。このレーザ構造部LD4は、例えば、GaN基板10側から、下部クラッド層60、活性層61、上部クラッド層62および上部コンタクト層63をこの順に積層してなる積層構造となっており、この積層構造の上部(具体的には、クラッド層62の上部および上部コンタクト層63)に積層面内方向であって、かつ、へき開面である前側端面91および後側端面92の対向方向に延在する帯状のリッジ部65を有している。なお、活性層61のうちリッジ部65の底部と対応する部分が発光領域61Aとなる。
ここで、下部クラッド層60は、例えばn型AlGaNからなる。活性層61は例えばアンドープのGaInN多重量子井戸構造となっている。上部クラッド層62は例えばp型AlGaNからなる。上部コンタクト層63は例えばp型GaNからなる。なお、図示していないが、下部クラッド層60と活性層61との間に例えばn型GaNからなる下部ガイド層を設けると共に、上部クラッド層62と活性層61との間に例えばp型GaNからなる下部ガイドを設けてもよい。
また、リッジ部65の両側面、ならびに下部クラッド層60、活性層61および上部クラッド層62の側面は絶縁膜15により覆われている。なお、絶縁膜15は、後述するように、この他にレーザ構造部LD5,LD6の側面も覆っている。
また、リッジ部65の上面には、リッジ部65の延在方向に延在する帯状の電極層64が形成されている。また、電極層64には、レーザ構造部LD5,LD6の上を横切るように延在する連結部64Aが形成されており、この連結部64Aが、絶縁膜15の表面のうちレーザ構造部LD4,LD5,LD6の形成されていない部分に対応して形成されている電極パッド66に電気的に接続されている。また、電極層75,85の表面のうち連結部64Aとの対向部分には、絶縁層77,87が形成されており、電極層75,85と、連結部64Aとが互いに短絡するのを防止している。ここで、電極層64および電極パッド66は、例えばパラジウム(Pd)層および白金(Pt)層をこの順に積層することにより構成されている。絶縁層77,87は、例えばSiO2(酸化けい素)やSiN(窒化けい素)などの絶縁性材料により構成されている。
また、本実施の形態では、GaN基板10のレーザ構造部LD4側の表面のうちレーザ構造部LD4の形成されていない領域に、絶縁層11、接着層12および電極層13がGaN基板10側から順に形成されている。また、GaN基板10のレーザ構造部LD4側とは反対側の表面には、電極層14が形成されている。
(レーザ構造部LD5)
レーザ構造部LD5は、GaN基板10とは異なる基板、例えばGaAs基板上での結晶成長により形成されたものであり、GaAs系III−V族化合物半導体により構成されている。このレーザ構造部LD5は、電極層13上に形成されており、電極層13側から、例えば、下部コンタクト層70、下部クラッド層71、活性層72、上部クラッド層73および上部コンタクト層74をこの順に積層してなる積層構造となっており、この積層構造の上部(具体的には、クラッド層73の上部および上部コンタクト層74)に積層面内方向であって、かつ、へき開面である前側端面91および後側端面92の対向方向に延在する帯状のリッジ部76を有している。なお、活性層72のうちリッジ部76の底部と対応する部分が発光領域76Aとなる。
ここで、下部コンタクト層70は、例えばn型GaAsからなる。下部クラッド層71は、例えばn型AlGaAsからなる。活性層72は例えば互いに組成比の異なるアンドープのAlGaAs多重量子井戸構造となっている。上部クラッド層73は例えばp型AlGaAsからなる。上部コンタクト層74は例えばp型GaAsからなる。
また、リッジ部76の両側面、ならびに下部コンタクト層70、下部クラッド層71、活性層72および上部クラッド層73の側面は絶縁膜15により覆われている。また、リッジ部76の上面には、リッジ部76の延在方向に延在する帯状の電極層75が形成されている。また、電極層75には、レーザ構造部LD6の上を横切るように延在する連結部75Aが形成されており、この連結部75Aが、絶縁膜15の表面のうちレーザ構造部LD4,LD5,LD6の形成されていない部分に対応して形成されている電極パッド78に電気的に接続されている。また、電極層85の表面のうち連結部75Aとの対向部分には、絶縁層87が形成されており、電極層85と、連結部75Aとが互いに短絡するのを防止している。ここで、電極層75および電極パッド78は、例えばPd層およびPt層をこの順に積層することにより構成されている。
(レーザ構造部LD6)
レーザ構造部LD6は、GaN基板10とは異なる基板、例えばGaAs基板上での結晶成長により形成されたものであり、GaAs系III−V族化合物半導体により構成されている。このレーザ構造部LD6は、電極層13上に形成されており、電極層13側から、例えば、下部コンタクト層80、下部クラッド層81、活性層82、上部クラッド層83および上部コンタクト層84をこの順に積層してなる積層構造となっており、この積層構造の上部(具体的には、クラッド層83の上部および上部コンタクト層84)に積層面内方向であって、かつ、へき開面である前側端面91および後側端面92の対向方向に延在する帯状のリッジ部86を有している。なお、活性層82のうちリッジ部86の底部と対応する部分が発光領域86Aとなる。
ここで、下部コンタクト層80は、例えばn型GaAsからなる。下部クラッド層71は、例えばn型AlGaInPからなる。活性層72は例えば互いに組成比の異なるアンドープのAlGaInP多重量子井戸構造となっている。上部クラッド層73は例えばp型AlGaInPからなる。上部コンタクト層74は例えばp型GaAsからなる。
また、リッジ部86の両側面、ならびに下部コンタクト層80、下部クラッド層81、活性層82および上部クラッド層83の側面は絶縁膜15により覆われている。また、リッジ部86の上面には、リッジ部86の延在方向に延在する帯状の電極層85が形成されている。また、電極層85には、レーザ構造部LD6の延在方向と交差する方向に延在する連結部85Aが形成されており、この連結部85Aが、絶縁膜15の表面のうちレーザ構造部LD4,LD5,LD6の形成されていない部分に対応して形成されている電極パッド88に電気的に接続されている。ここで、電極層85および電極パッド88は、例えばPd層およびPt層をこの順に積層することにより構成されている。
このような構成を有する半導体レーザ3は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、レーザ構造部LD5を、例えばMOCVD法により製造する。具体的には、GaAs基板130上に、酸化剥離層171D、下部コンタクト層70、下部クラッド層71、活性層72、上部クラッド層73および上部コンタクト層74をこの順に積層する(図18(A))。なお、酸化剥離層171Dは酸化され易い材料により構成されている。
次に、例えばドライエッチング法により、上部コンタクト層74から下部クラッド層71の一部までを選択的にエッチングしてリッジ部76を形成し、さらにGaAs基板130の一部までを選択的にエッチングしてメサ形状を形成する(図18(B))。これにより、酸化剥離層171Dがメサの側面に露出する。
次に、水蒸気雰囲気中において、高温で酸化処理を行い、メサの側面から酸化剥離層171Dを選択的に酸化する。このとき、酸化剥離層171Dのほとんど全てが酸化されるまで、酸化処理を行う。これにより、酸化剥離層171Dのほとんど全てが絶縁層(酸化アルミニウム)となり、酸化剥離層171が形成される(図19(A))。このようにして、GaAs基板130上にレーザ構造部LD5が形成される。
次に、例えば真空吸着や光硬化性粘着シートなどを用いて、レーザ構造部LD5をGaAs基板130から剥離する(図19(B))。このとき、レーザ構造部LD5を構成する各層の界面のうち、酸化剥離層171と下部コンタクト層70との界面において、酸化剥離層171と下部コンタクト層70とが互いにグレーデッドに接していない。つまり、酸化剥離層171と下部コンタクト層70との界面には、双方の材料が混じり合った中間層が存在していないか、または存在しているとしても他の界面における中間層の厚さと比べると無視できるくらいわずかしか存在していない。そのため、酸化剥離層171と下部コンタクト層70との界面には、酸化によって生じたストレスが加わっているので、この剥離工程により、酸化剥離層171と下部コンタクト層70との境界において比較的簡単にレーザ構造部LD5を剥離することができる。
なお、剥離工程の前に、300℃〜400℃程度で加熱(アロイ)してもよい。このようにした場合には、酸化剥離層171と下部コンタクト層70との境界におけるストレスが更に大きくなるので、より簡単にレーザ構造部LD5を剥離することができる。また、レーザ構造部LD5側に酸化剥離層171が残留している場合には、ウエットエッチングなどにより、レーザ構造部LD5側に残留している酸化剥離層171を除去する。
次に、レーザ構造部LD6を、例えばMOCVD法により製造する。具体的には、GaAs基板130上に、酸化剥離層181D、下部コンタクト層80、下部クラッド層81、活性層82、上部クラッド層83および上部コンタクト層84をこの順に積層する(図20(A))。なお、酸化剥離層181Dは酸化され易い材料により構成されている。
次に、例えばドライエッチング法により、上部コンタクト層84から下部クラッド層81の一部までを選択的にエッチングしてリッジ部86を形成し、さらにGaAs基板130の一部までを選択的にエッチングしてメサ形状を形成する(図20(B))。これにより、酸化剥離層181Dがメサの側面に露出する。
次に、水蒸気雰囲気中において、高温で酸化処理を行い、メサの側面から酸化剥離層181Dを選択的に酸化する。このとき、酸化剥離層181Dのほとんど全てが酸化されるまで、酸化処理を行う。これにより、酸化剥離層181Dのほとんど全てが絶縁層(酸化アルミニウム)となり、酸化剥離層181が形成される(図21(A))。このようにして、GaAs基板130上にレーザ構造部LD6が形成される。
次に、例えば真空吸着や光硬化性粘着シートなどを用いて、レーザ構造部LD6をGaAs基板130から剥離する(図21(B))。このとき、レーザ構造部LD6を構成する各層の界面のうち、酸化剥離層181と下部コンタクト層80との界面において、酸化剥離層181と下部コンタクト層80とが互いにグレーデッドに接していない。つまり、酸化剥離層181と下部コンタクト層80との界面には、双方の材料が混じり合った中間層が存在していないか、または存在しているとしても他の界面における中間層の厚さと比べると無視できるくらいわずかしか存在していない。そのため、酸化剥離層181と下部コンタクト層80との界面には、酸化によって生じたストレスが加わっているので、この剥離工程により、酸化剥離層181と下部コンタクト層70との境界において比較的簡単にレーザ構造部LD6を剥離することができる。
なお、剥離工程の前に、300℃〜400℃程度で加熱(アロイ)してもよい。このようにした場合には、酸化剥離層181と下部コンタクト層80との境界におけるストレスが更に大きくなるので、より簡単にレーザ構造部LD6を剥離することができる。また、レーザ構造部LD6側に酸化剥離層181が残留している場合には、ウエットエッチングなどにより、レーザ構造部LD6側に残留している酸化剥離層181を除去する。
次に、レーザ構造部LD4を、例えばMOCVD法により製造する。具体的には、大型のGaN基板10上に、下部クラッド層60、活性層61、上部クラッド層62および上部コンタクト層63をこの順に積層する(図22)。その後、例えばドライエッチング法により、上部コンタクト層63から下部クラッド層60までを選択的にエッチングして、メサ形状を形成する(図23)。続いて、上部コンタクト層63と、上部クラッド層62の一部とを選択的にエッチングしてリッジ部65を形成する(図24)。これにより、レーザ構造部LD4が形成される。
次に、GaN基板10のレーザ構造部LD4側の表面のうちレーザ構造部LD4の形成されていない領域に、絶縁層11、接着層12および電極層13をGaN基板10側から順に形成する(図25)。続いて、電極層13上に、レーザ構造部LD5,LD6を、下部コンタクト層70,80側を下にして配設する(図26)。
次に、レーザ構造部LD4,LD5,LD6側の表面全体に渡って保護膜15を形成したのち、レーザ構造部LD4,LD5,LD6の形成されていない領域の一部に開口部を形成して、電極層13の一部(電極パッド13A)を露出させると共に、この保護膜15のうちリッジ部65,76,86の上部(上部コンタクト層63,74,84)との対向領域にも開口部を形成する(図27)。
次に、リッジ部65,76,86上に電極層64,75,85を形成すると共に、保護膜15の表面のうちレーザ構造部LD4,LD5,LD6の形成されていない領域に電極パッド66,78,88を形成する。このようにして、本実施の形態の半導体レーザ3が製造される。
本実施の形態の半導体レーザ3では、電極層64に電気的に接続された接続パッド66と、電極層14との間に所定の電圧が印加されると、活性層61に電流が注入され、電子−正孔再結合によって発光が生じ、素子内で誘導放出が繰り返される結果、所定の波長λ4でレーザ発振が生じ、波長λ4(400nm前後の波長(例えば405nm))のレーザ光が前側端面91から外部に出力される。また、電極層75に電気的に接続された接続パッド78と、電極層13との間に所定の電圧が印加されると、活性層72に電流が注入され、電子−正孔再結合によって発光が生じ、素子内で誘導放出が繰り返される結果、所定の波長λ5でレーザ発振が生じ、波長λ5(700nm帯(例えば、780nm))のレーザ光が前側端面91から外部に出力される。また、電極層85に電気的に接続された接続パッド88と、電極層13との間に所定の電圧が印加されると、活性層82に電流が注入され、電子−正孔再結合によって発光が生じ、素子内で誘導放出が繰り返される結果、所定の波長λ6でレーザ発振が生じ、波長λ6(600nm帯(例えば、650nm))のレーザ光が前側端面91から外部に出力される。
ところで、本実施の形態では、GaN基板10上に、GaN基板10上での結晶成長により形成されたレーザ構造部LD4と、GaN基板10とは異なる基板(GaAs基板130)上での結晶成長により形成されたレーザ構造部LD5,LD6とが設けられている。つまり、レーザ構造部LD4と、レーザ構造部LD5,LD6とは互いに異なる基板上での結晶成長により形成されているので、レーザ構造部LD4と、レーザ構造部LD5,LD6との波長差を大きくすることができる。これにより、例えば、レーザ構造部LD4から400nm帯のレーザ光を射出し、レーザ構造部LD5から700nm帯のレーザ光を射出し、レーザ構造部LD6から600nm帯のレーザ光を独立に射出することができるので、半導体レーザ3を光ディスク装置の光源に適用することが可能である。
また、本実施の形態では、各レーザ構造部LD5,LD6が共通のGaN基板10の上に設けられているので、各レーザ構造部LD4,LD5,LD6を別個の基板上にそれぞれ形成したレーザチップを支持基体などの上に並設した場合よりも、各レーザ構造部LD4,LD5,LD6から射出されるレーザ光の光軸の間隔を十分に狭くすることができる。これにより、各レーザ構造部LD4,LD5,LD6から射出されるレーザ光を単一の光学系で伝播させることができるので、搭載されるデバイス(光ピックアップ装置および光ディスク装置)の小型化を実現することができる。
[第3の実施の形態の変形例]
なお、上記第3の実施形態において、下部コンタクト層70,80と酸化剥離層171,181との界面の性質を利用してレーザ構造部LD5,LD6からGaAs基板130を剥離していたが、下部コンタクト層70,80および酸化剥離層171,181を用いずに、GaAs基板130をラッピングすることによりレーザ構造部LD5,LD6からGaAs基板130を除去または薄くするようにしてもよい。このような方法により得られたレーザ構造部LD5,LD6を半導体レーザ3に適用すると、例えば、図28に示したように、レーザ構造部LD5,LD6の底部に若干、GaAs基板130が残っており、このGaAs基板130が電極層13と電気的に接することになる。また、図29に示したように、図28のレーザ構造部LD5,LD6を共通のGaAs基板130上で形成し、その共通のGaAs基板130を残した状態で、電極層13上に配設するようにしてもよい。
[適用例]
上記各実施の形態およびこれらの変形例に係る半導体レーザLDは、記録媒体(光ディスク)に記録された情報を再生する情報再生装置、記録媒体に情報を記録する情報記録装置、これら両機能を備えた情報記録再生装置、または通信装置などのデバイスに種々適用可能であり、以下、その一例について説明する。
図30は、本適用例に係る情報記録再生装置100の概略構成の一例を表すものであり、光装置110と、情報処理部120とを備えている。
情報処理部120は、記録媒体101に記録された情報を光装置100から取得したり、入力された情報を光装置110に送信するようになっている。他方、光装置100は、例えばDVD等による高密度記録再生用の光ピックアップ装置として用いられるものであり、光源としての半導体レーザLDと、DVD等の記録媒体101の載置される領域と半導体レーザLDとの間に設けられた光学系とを備えている。記録媒体101の表面には、例えば数μmの大きさの多数のピット(突起)が形成されている。光学系は、半導体レーザLDから記録媒体101への光路中に配設され、例えば、グレーティング(GRT)111、偏光ビームスプリッタ(PBS)112、平行化レンズ(CL)113、4分の1波長板(λ/4板)114、対物レンズ(OL)115を有している。また、この光学系は、偏光ビームスプリッタ(PBS)112で分離された光路上に、円柱レンズ(CyL)116、フォトダイオードなどの受光素子(PD)117を有している。
この光装置100では、光源(半導体レーザLD)からの光は、GRT111、PBS112、CL113、λ/4板114およびOL115を通って記録媒体101に焦点を結び、記録媒体101の表面のピットで反射される。反射された光は、OL115,λ/4板114,CL113,PBS112,CyL116を通ってPD117に入り、ピット信号、トラッキング信号およびフォーカス信号の読取りが行われる。
このように本実施の形態の光装置100では、光源として半導体レーザLDを用いるようにしたので、半導体レーザLDから射出される各レーザ光を単一の光学系で伝播させることができる。これにより、半導体レーザLDから射出されるレーザ光の種類ごとに光学系を設けた場合と比べて、光装置100を小型化することができる。
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく種々変形可能である。
1〜3…半導体レーザ、10…GaN基板、11,51…絶縁層、12,53…接着層、13,14,26,38,48,52,64,75,85…電極層、13A,27,39,49,56,57,66,78,88…電極パッド、15…保護膜、20,31,41…下部DBR層、21,32,42…下部スペーサ層、22,33,43,61,72,82…活性層、22A,33A,43A,61A,72A,82A…発光領域、23,34,44…上部スペーサ層、24,35,45…電流狭窄層、35A,45A…電流注入領域、35B,45B…電流狭窄領域、24,36,46…上部DBR層、25,37,47,63,74,84…上部コンタクト層、130…GaAs基板、54…引出電極、55…バンプ、60,71,81…下部クラッド層、62,73,83…上部クラッド層、65,76,86…リッジ部、91…前側端面、92…後側端面、100…情報再生記録装置、101…記録媒体、110…光装置、111…GRT、112…PBS、113…CL、114…λ/4板、115…OL、116…CyL、117…PD、120…情報処理部、131,131D,141,141D,171,171D,181,181D…酸化剥離層、LD…半導体レーザ、LD1〜LD6…レーザ構造部。