JP4987029B2 - シリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボ - Google Patents

シリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボ Download PDF

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Description

本発明は、シリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボに関し、特に、石英ガラスルツボの不透明石英ガラス層の構造に関するものである。
シリコン単結晶の製造には石英ガラスルツボが使用される。チョクラルスキー法(CZ法)では、ポリシリコンを石英ガラスルツボに入れて加熱溶融し、このシリコン融液に種結晶を浸漬し、ルツボを回転させながら種結晶を徐々に引き上げて単結晶を成長させる。半導体デバイス用の高純度なシリコン単結晶を製造するためには、石英ガラスルツボに含まれる不純物の溶出によってシリコン単結晶が汚染されないことが求められ、またルツボ内のシリコン融液の温度制御が容易となるよう十分な熱容量を有することも必要である。そのため、多数の微小な気泡を含む不透明な外層と、気泡を含まない透明な内層とを有する二層構造の石英ガラスルツボが好ましく使用されている(特許文献1参照)。また、ルツボの外層を天然石英で形成して高温下でのルツボの強度を高める一方、シリコン融液に接触するルツボの内層を合成石英で形成して不純物の混入を防止するようにした二層構造の石英ガラスルツボも使用されている(特許文献2参照)。また、単結晶化率を高めるため、側壁部の透明ガラス層の気泡含有率を0.5%以下とし、底部の透明ガラス層の気泡含有率をさらに低い0.01%以下とした石英ガラスルツボも提案されている(特許文献3参照)。
特開平1−197381号公報 特開平1−261293号公報 特開平6−191986号公報
従来の石英ガラスルツボにおいては、不透明石英ガラス層に含まれる気泡の直径は概ね均一且つ気泡含有率もできるだけ一定に収まるように構成されている。しなしながら、そのような構成ではシリコン単結晶の引き上げ初期において赤外線透過率(伝熱性)が低いことにより、ルツボ内のシリコン原料の溶融に時間がかかるという問題がある。また、引き上げ工程の後半において赤外線透過率が比較的高いため熱が逃げやすく、保温性が不十分となり、減少したシリコン融液の温度制御が困難となるという問題がある。シリコン融液の温度が安定しない場合、シリコン単結晶の製造歩留まりが低下するという問題がある。
本発明は上記課題を解決するものであり、シリコン原料を短時間で溶融することが可能であり、且つ、不透明石英ガラス層の経時的な変態によってシリコン単結晶の製造歩留まりを向上させることが可能なシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明によるシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボは、側壁部、湾曲部及び底部を有するシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボであって、ルツボの内表面側に設けられた実質的に気泡を含まない透明石英ガラス層と、ルツボの外表面側に設けられた多数の気泡を内包する不透明石英ガラス層とを備え、前記透明石英ガラス層の気泡含有率は0.1%以下であり、前記不透明石英ガラス層の気泡含有率は前記透明石英ガラス層の気泡含有率よりも大きく、前記不透明石英ガラス層に含まれる気泡の径分布は、40μm未満の直径を有する気泡が10%以上30%未満、40μm以上90μm未満の直径を有する気泡が40%以上80%未満、90μm以上の直径を有する気泡が10%以上30%未満であることを特徴としている。
本発明によれば、不透明石英ガラス層に含まれる比較的小さな気泡が引き上げ工程の初期の段階からルツボの伝熱性に寄与し、また、不透明石英ガラス層に含まれる比較的大きな気泡が長時間の引き上げ工程を経ることによって膨張し、引き上げ工程の後期の段階でルツボの保温性に大きく寄与する。すなわち、ルツボ内に多量のシリコン融液があるシリコン単結晶の引き上げ工程の初期の段階では、比較的小さな気泡が多数含まれることによって赤外線透過率が高く、非常に入熱しやすいルツボとして構成することができ、シリコン融液が減少している引き上げ工程の後半では、保温性が向上した石英ガラスルツボを提供することができる。
本発明において、上記不透明石英ガラス層に含まれる気泡の径分布は、40μm未満の気泡の径分布と90μm以上の気泡の径分布との差が10%未満であることが好ましく、5%未満であることが特に好ましい。両者の差が10%未満であれば、比較的小さな気泡と大きな気泡との存在比率のバランスが良く、引き上げ初期の入熱性や引き上げ後半での保温性の両方が共に良好なルツボを提供することができる。さらに、両者の差が5%未満であればそのような2つの作用がさらに安定的なルツボを提供することができる。
本発明において、ルツボ上部の前記不透明石英ガラス層は、ルツボ下部の前記不透明石英ガラス層に比べて直径の大きな気泡をより多く含む径分布を有し、且つ、より高い気泡含有率を有することが好ましい。また、本発明において、側壁部の前記不透明石英ガラス層は、底部の前記不透明石英ガラス層に比べて直径の大きな気泡をより多く含む径分布を有し、且つ、より高い気泡含有率を有していてもよい。さらに、前記不透明石英ガラス層は、底部から側壁部に向かうにつれて、直径の大きな気泡をより多く含む径分布を有し、且つ、より高い気泡含有率を有していてもよい。いずれの構成であっても、ルツボ上方の不透明石英ガラス層が比較的大きな気泡を多数含むことから、ルツボ上部の軽量化を図ることができ、ルツボの倒れ込みや座屈といった変形を防止することができる。
本発明によれば、シリコン原料を短時間で溶融することが可能であり、且つ、不透明石英ガラス層の経時的な変態によってシリコン単結晶の製造歩留まりを向上させることが可能なシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボを提供することができる。
本発明の第1の実施形態によるシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボの構造を示す略断面図である。 本発明の第2の実施形態によるシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボの構造を示す略断面図である。 本発明の第3の実施の形態によるシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボの構造を示す略断面図である。 不透明石英ガラス層11の気泡径分布を示すグラフであり、(a)はルツボ使用前におけるルツボ上部の気泡径分布、(b)はルツボ使用前におけるルツボ下部の気泡径分布、(c)はルツボ使用後におけるルツボ上部の気泡径分布、(d)は、ルツボ使用後にけるルツボ下部の気泡径分布をそれぞれ示している。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態によるシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボの構造を示す略断面図である。
図1に示すように、本実施形態による石英ガラスルツボ10は二層構造であって、外層を構成する不透明石英ガラス層11と、内層を構成する透明石英ガラス層12とを備えている。
不透明石英ガラス層11は、多数の微小な気泡を内包する非晶質シリカガラス層である。本明細書において「不透明」とは、石英ガラス中に多数の気泡が内在し、見かけ上、白濁した状態を意味する。不透明石英ガラス層11は、ルツボ外周に配置されたヒータからの熱を石英ガラスルツボ中のシリコン融液に均一に伝達する役割を果たす。不透明石英ガラス層11は、透明石英ガラス層12に比べて熱容量が大きいことから、シリコン融液の温度を容易に制御することができる。
不透明石英ガラス層11の気泡含有率は透明石英ガラス層12の気泡含有率よりも大きく、その機能を発揮できる限りにおいて特に限定されないが、0.1%よりも大きく5.0%以下であることが好ましい。不透明石英ガラス層11の気泡含有率が0.1%以下では不透明石英ガラス層11の機能を発揮できないからであり、特に引き上げ前半での保温性が不十分となるからである。また、不透明石英ガラス層11の気泡含有率が5.0%を超える場合には気泡の膨張に起因してルツボが変形する可能性が高く、単結晶化率が低下するおそれがあるからであり、さらに引き上げ前半での伝熱性が不十分となるからである。不透明石英ガラス層11の気泡含有率は、1.0%以上4.0%以下であることが特に好ましい。1.0%以上4.0%以下であれば、ルツボの変形をさらに防止することができ、また引き上げ前半での伝熱性をさらに高めることができる。不透明石英ガラス層の気泡含有率は、比重測定により求めることができる。ルツボから単位体積(1cm3)の不透明石英ガラス片を切り出し、その質量をAとし、気泡を含まない石英ガラスの比重B=2.21g/cm3とするとき、気泡含有率P(%)は、P=(1−A/B)×100となる。
不透明石英ガラス層11は天然石英ガラスからなることが好ましい。天然石英ガラスとは、天然水晶、ケイ石等の天然質原料を溶融して製造されたシリカガラスを意味する。一般に天然石英は合成石英に比べて金属不純物の濃度が高く、OH基の濃度が低いという特性を有している。例えば、天然石英に含まれるAlの含有量は1ppm以上、アルカリ金属(Na,K及びLi)の含有量はそれぞれ0.05ppm以上、OH基の含有量は60ppm未満である。尚、天然石英か否かは一つの要素に基づいて判断されるべきものではなく、複数の要素に基づいて総合的に判断されるべきものである。天然石英は、合成石英に比べて高温における粘性が高いことから、ルツボ全体の耐熱強度を高めることができる。また、天然質原料は合成石英に比べて安価であり、コスト面でも有利である。
透明石英ガラス層12は、実質的に気泡を含まない非晶質シリカガラス層であり、不透明石英ガラス層11とは見かけ上相違する層をいう。透明石英ガラス層12によれば、ルツボ内表面から剥離する石英片の増加を防止することができ、シリコン単結晶化率を高めることができる。ここで、「実質的に気泡を含まない」とは、気泡が原因で単結晶化率が低下しない程度の気泡含有率及び気泡サイズであることを意味し、特に限定されるものではないが、気泡含有率が0.1%以下であり、気泡の平均直径が100μm以下であることをいう。不透明石英ガラス層11から透明石英ガラス層12への気泡含有率の変化は比較的急峻であり、透明石英ガラス層12の気泡含有率が増加し始めた位置からルツボの外表面側に向かって30μm程度進んだところでほぼ不透明石英ガラス層11の気泡含有率に達する。したがって、肉眼では不透明石英ガラス層11と透明石英ガラス層12との境界は明確である。
透明石英ガラス層の気泡含有率は、光学的検出手段を用いて非破壊的に測定することができる。光学的検出手段は、検査する石英ルツボの内表面および内表面近傍の内部に照射した光の反射光を受ける受光装置を備える。照射光の発光手段は内蔵されたものでもよく、また外部の発光手段を利用するものでもよい。また、光学的検出手段は、石英ルツボの内表面に沿って回動操作できるものが用いられる。照射光としては、可視光、紫外線および赤外線のほか、X線もしくはレーザー光などを利用でき、反射して気泡を検出できるものであれば何れも適用できる。受光装置は照射光の種類に応じて選択されるが、例えば受光レンズ及び撮像部を含む光学カメラを用いることができる。表面から一定深さに存在する気泡を検出するには、光学レンズの焦点を表面から深さ方向に走査すればよい。
上記光学検出手段による測定結果は画像処理装置に取り込まれ、気泡含有率が算出される。詳細には、光学カメラを用いてルツボ内表面の画像を撮像し、ルツボ内表面を一定面積ごとに区分して基準面積S1とし、この基準面積S1ごとに気泡の占有面積S2を求め、P(%)=(S2/S1)×100により気泡含有率P(%)が算出される。このような非破壊的気泡含有率測定法は、例えば、特開平3−86249号公報や特開平11−228283号公報に詳述されている。
透明石英ガラス層12は合成石英ガラスからなることが好ましい。合成石英ガラスとは、例えばケイ素アルコキシドの加水分解により合成された原料を溶融して製造されたシリカガラスを意味する。一般に合成石英は天然石英に比べて金属不純物の濃度が低く、OH基の濃度が高いという特性を有している。例えば、合成石英に含まれる各金属不純物の含有量は0.05ppm未満であり、OH基の含有量は30ppm以上である。ただし、Al等の金属不純物が添加された合成石英も知られていることから、合成石英か否かは一つの要素に基づいて判断されるべきものではなく、複数の要素に基づいて総合的に判断されるべきものである。このように、合成石英ガラスは天然石英ガラスと比べて不純物が少ないことから、ルツボからシリコン融液中へ溶出する不純物の増加を防止することができ、シリコン単結晶化率を高めることができる。
不透明石英ガラス層11及び透明石英ガラス層12は共にルツボの側壁部10Aから底部10Bにわたる全体に設けられている。ルツボの側壁部10Aは、ルツボの中心軸(Z軸)と平行な円筒状の部分であって、ルツボの開口から略真下に延びている。但し、側壁部10AはZ軸に対して完全に平行である必要はなく、開口に向かって徐々に広がるように傾斜していてもよい。また、側壁部10Aは直線的であってもよく、緩やかに湾曲していてもよい。特に限定されるものではないが、側壁部10Aは、Z軸と直交するXY平面に対するルツボ壁面の接線傾斜角が80度以上となる領域として定義することができる。
ルツボの底部10Bは、ルツボのZ軸との交点を含む略円盤状の部分であり、底部10Bと側壁部10Aとの間には湾曲部10Cが形成されている。底部10Bは、少なくとも、引き上げるシリコン単結晶の投影面をカバーするものとする。ルツボ底部10Bの形状はいわゆる丸底であってもよく、平底であってもよい。また、湾曲部10Cの曲率や角度も任意に設定することができる。ルツボ底部10Bが丸底の場合には、底部10Bも適度な曲率を有するため、底部10Bと湾曲部10Cとの曲率差は平底に比べて非常に小さい。ルツボ底部10Bが平底の場合には、底部10Bが平坦或いは極めて緩やかな湾曲面をなし、湾曲部10Cの曲率は非常に大きい。なお、平底の場合、底部10Bは、Z軸と直交するXY平面に対するルツボ壁面の接線傾斜角が30度以下となる領域として定義される。
ルツボの肉厚は10mm以上であることが好ましく、13mm以上であることがより好ましい。通常、口径32インチ(約800mm)以上の大型ルツボの肉厚は10mm以上、40インチ(約1000mm)以上の大型ルツボの肉厚は13mm以上であり、これらの大型ルツボは大容量でシリコン融液の温度制御が非常に難しく、本発明による効果が顕著だからである。透明石英ガラス層12の厚さは、0.5mm以上であることが好ましい。透明石英ガラス層12が0.5mmよりも薄い場合には、シリコン単結晶の引き上げ中に透明石英ガラス層12が溶損し切って不透明石英ガラス層11が露出するおそれがあるからである。なお、透明石英ガラス層12の厚さは側壁部10Aから底部10Bまで一定である必要はなく、例えば、湾曲部10Cにおける透明石英ガラス層12の厚さが、側壁部10Aや底部10Bにおける透明石英ガラス層12よりも厚く構成されていてもよい。
不透明石英ガラス層11に含まれる気泡の径分布としては、40μm未満の直径を有する気泡が10%以上30%未満、40μm以上90μm未満の直径を有する気泡が40%以上80%未満、90μm以上の直径を有する気泡が10%以上30%未満であることが必要である。不透明石英ガラス層11に含まれる気泡の径分布が上記のように構成されている場合には、不透明石英ガラス層本来の機能である保温性や均一な伝熱性を確保しつつ、不透明石英ガラス層11に含まれる比較的小さな気泡が引き上げ工程の初期の段階からルツボの伝熱性に寄与し、また、比較的大きな気泡が引き上げ工程中の長時間の加熱によって膨張し、引き上げ工程の後半でルツボの保温性に大きく寄与する。すなわち、ルツボ内に多量のシリコン融液があるシリコン単結晶の引き上げ工程の初期の段階では、赤外線透過率が高く、非常に入熱しやすいルツボを提供することができる。また、シリコン融液が減少している引き上げ工程の後半では、保温性が向上したルツボを提供することができる。
ここで、不透明石英ガラス層11に含まれる40μm未満の直径を有する気泡が10%未満である場合や、90μm以上の直径を有する気泡が30%以上である場合には、不透明石英ガラス層11中に径の大きな気泡が多いことから、引上げ前半での透過率不足となり、ポリシリコンの溶融に時間がかかるという問題がある。また、不透明石英ガラス層11に含まれる40μm未満の直径を有する気泡が30%以上である場合や、90μm以上の直径を有する気泡が10%未満である場合には、径の大きな気泡が少ないことから、引上げ後半での保温性が不足し、ルツボ内の減少したシリコン融液の温度制御が困難となるという問題がある。さらに、不透明石英ガラス層11に含まれる40μm以上90μm未満の直径を有する気泡が40%未満である場合には、引上げ前半での透過率不足と引き上げ後半での保温性不足の両方が問題となる。
以上の理由から、石英ガラスルツボの不透明石英ガラス層11の気泡径分布は、40μm未満の直径を有する気泡が10%以上30%未満、40μm以上90μm未満の直径を有する気泡が40%以上80%未満、90μm以上の直径を有する気泡が10%以上30%未満であることが必要である。この場合において、40μm未満の直径を有する気泡の分布率と90μm以上の直径を有する気泡の分布率との差は10%未満であることが好ましく、5%未満であることがより好ましい。40μm未満の直径を有する気泡の分布率と90μm以上の直径を有する気泡の分布率との差が10%以上の場合には、直径の比較的小さな気泡の含有率と直径の比較的大きな気泡の含有率とのバランスが悪くなり、引き上げ初期の伝熱性及び引き上げ後半の保温性のどちらか一方の効果が不十分となるおそれがある。これにより、不透明石英ガラス層11に含まれる気泡の径分布は、直径が40〜90μmの範囲に比較的緩やかなピークを持つ分布となる。
不透明石英ガラス層11中の気泡の径分布は、不透明石英ガラス層11の断面を顕微鏡で観察し、単位面積内に含まれる各気泡の直径を特定することにより求めることができる。気泡の径分布の測定には、透明石英ガラス層の気泡含有率の測定で用いた光学的検出手段を用いてもよい。この場合、光学レンズの焦点を表面から深さ方向に走査して表面から一定深さに存在する気泡の画像を撮影し、当該画像を画像処理装置において処理して各気泡の直径を求め、気泡の径分布を算出すればよい。
本実施形態による石英ガラスルツボ10は回転モールド法によって製造することができる。回転モールド法では、回転しているカーボンモールド内に不透明石英ガラス層11の原料となる石英粉(第1の石英粉)を充填する。このとき使用する石英粉は、天然石英を粉砕し精製して得られた天然質原料であり、不純物含有量や多孔質性の度合いを考慮して適切な原料を選定すると共に、粒度を調整することにより、上述した気泡の径分布を有する不透明石英ガラス層11を形成することができる。カーボンモールドは一定速度で回転しているので、石英粉はモールド内全体に所定の厚さにて充填された石英粉は遠心力によって内壁面に張り付いたまま一定の位置に留まり、その状態が保持される。
次に、不透明石英ガラス層11の原料となる石英粉が充填されたカーボンモールド内に、透明石英ガラス層12の原料となる石英粉(第2の石英粉)を充填する。この石英粉は、合成石英を原料とするものであり、モールド内全体に所定の厚さにて充填する。その後、モールドの内側からアーク放電を行い、石英粉の内表面全体を石英(SiO2)の融点約1700℃以上に加熱・溶融する。また、この加熱と同時にモールド側から減圧し、モールドに設けた通気孔を通じて石英内部の気体を外層側に吸引し、外部に排出することにより、ルツボ内表面の気泡を部分的に除去し、実質的に気泡のない透明石英ガラス層12を形成する。その後、減圧を弱め、さらに加熱を続けて気泡を残留させることにより、多数の微小な気泡を内包する不透明石英ガラス層11を形成する。以上により、本実施形態によるシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボが完成する。
図2は、本発明の第2の実施の形態によるシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボの構造を示す略断面図である。
不透明石英ガラス層11に含まれる気泡の径分布及び気泡含有率は、ルツボの部位によって異なるように構成されていてもよい。部位によって異なるように構成する場合、不透明石英ガラス層11は、図2に示すように、底部10Bから側壁部10Aに向かうにつれて直径の大きな気泡をより多く含む径分布を有し、且つ、より高い気泡含有率を有することが好ましい。換言すれば、気泡径の分布はルツボの上方に向かうにつれてより緩やかな分布となることが好ましい。そのため、ルツボの側壁部10Aと底部10Bとを比較した場合、ルツボの側壁部10Aの不透明石英ガラス層11は、底部10Bの不透明石英ガラス層11に比べて直径の大きな気泡をより多く含む径分布を有し、且つ、より高い気泡含有率を有することが好ましい。気泡の径分布及び気泡含有率は、ルツボ下端(底部)から上方に向かうにつれて略線形的に変化してもよく、さらには、後述するように、気泡の径分布及び気泡含有率は部位毎或いは部位によらず階層的に変化していてもよい。このように構成した場合、ルツボの倒れ込みや座屈といったルツボの変形を防止することができ、その結果、単結晶化率をより高くすることができる。
図3は、本発明の第3の実施の形態によるシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボの構造を示す略断面図である。
図3に示すように、本実施形態による石英ガラスルツボ30は、外層を構成する不透明石英ガラス層11と、内層を構成する透明石英ガラス層12とを備え、不透明石英ガラス層11は、気泡の径分布及び気泡含有率が異なる第1及び第2の不透明石英ガラス層11a,11bを含んでいる。すなわち、不透明石英ガラス層11は、ルツボ上部に設けられた第1の不透明石英ガラス層11aと、ルツボ下部に設けられた第2の不透明石英ガラス層11bとで構成されている。ここで、「ルツボ上部」とは、「ルツボ下部」に対する相対的な部位であって、厳密に定義されるべきものではないが、ルツボの上端P0から中間位置P1までの範囲に属する部分ということができ、「ルツボ下部」とは、中間位置P1からルツボの下端P2までの範囲に属する部分ということができる。
第1の不透明石英ガラス層11aの気泡の径分布は第2の不透明石英ガラス層11bと異なり、第2の不透明石英ガラス層11bに比べて直径の大きな気泡をより多く含んでいる。第1の不透明石英ガラス層11aに含まれる気泡の径分布は、40μm未満の直径を有する気泡が10%以上30%未満、40〜90μmの直径を有する気泡が40%以上80%未満、90μm以上の直径を有する気泡が10%以上30%未満であることが必要である。また、第2の不透明石英ガラス層11bに含まれる気泡の径分布は、40μm未満の直径を有する気泡が10%以上30%未満、40〜90μmの直径を有する気泡が40%以上80%未満、90μm以上の直径を有する気泡が10%以上30%未満であって、第1の不透明石英ガラス層11aよりも気泡含有率が低いことが必要である。
一例を挙げると、第1の不透明石英ガラス層11aに含まれる気泡の径分布は、40μm未満の直径を有する気泡が20%、40〜90μmの直径を有する気泡が60%、90μm以上の直径を有する気泡が20%であり、さらに、第2の不透明石英ガラス層11bに含まれる気泡の径分布は、40μm未満の直径を有する気泡が15%、40〜90μmの直径を有する気泡が70%、90μm以上の直径を有する気泡が15%である。
第1及び第2の不透明石英ガラス層11a,11bに含まれる気泡の径分布が上記のように構成されている場合には、不透明石英ガラス層11a,11bに含まれる比較的小さな気泡が引き上げ工程の初期の段階からルツボの伝熱性に寄与し、また、比較的大きな気泡が引き上げ工程中の長時間の加熱によって徐々に膨張し、引き上げ工程の後半でルツボの保温性に大きく寄与する。
また、第1の不透明石英ガラス層11aは、第2の不透明石英ガラス層11bよりも高い気泡含有率を有し、直径が比較的大きな気泡をより多く含むことから、ルツボ上部の比重を小さくすることができ、ルツボの軽量化を図ることができる。そのため、口径32インチ以上の大型ルツボにおいて倒れ込みや座屈といったルツボの変形を防止することができ、その結果、単結晶化率をより高くすることができる。
図4は、不透明石英ガラス層11の気泡径分布を示すグラフであり、図4(a)はルツボ使用前におけるルツボ上部の気泡径分布、図4(b)はルツボ使用前におけるルツボ下部の気泡径分布、図4(c)はルツボ使用後におけるルツボ上部の気泡径分布、図4(d)は、ルツボ使用後にけるルツボ下部の気泡径分布をそれぞれ示している。
図4(a)及び(b)に示すように、ルツボ上部の第1の不透明石英ガラス層11aに含まれる気泡の径分布は、ルツボ下部の第2の不透明石英ガラス層11bに比べて、直径の大きな気泡をより多く含んでおり、逆にルツボ下部の不透明石英ガラス層11bは直径の小さな気泡をより多く含んでいることが分かる。ルツボ上部及び下部においてこのような気泡の径分布を有する石英ガラスルツボをシリコン単結晶の引き上げに使用した後の気泡の径分布は図4(c)及び(d)に示す状態となる。すなわち、ルツボ上部及び下部の両部位において気泡が熱膨張し、比較的小さな気泡が減少すると共に比較的大きな気泡が増加する傾向が見られ、ルツボ上部においてそのような変化が顕著に現れることが分かる。したがって、シリコン単結晶の引き上げ工程の初期の段階では、赤外線透過率をより一層高めることができ、シリコン融液が減少している引き上げ工程の後半では、ルツボ底部10Bの保温性をより一層向上させることができる。さらに、上部の不透明石英ガラス層11aは、直径が比較的大きな気泡をより多く含むようになることから、ルツボ上部の比重を小さくすることができ、ルツボの軽量化を図ることができる。
なお、第2及び第3の実施形態による石英ガラスルツボは、第1の実施形態と同様、回転モールド法によって製造することができ、不透明石英ガラス層中の気泡径分布及び気泡含有率の違いは、特性の異なる2種類の石英粉をルツボ上部と下部とで使い分けることによって実現することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を加えることが可能であり、それらも本発明に包含されるものであることは言うまでもない。
例えば、上記第3の実施形態においては気泡の径分布が異なる二層の不透明石英ガラス層を例に挙げたが、不透明石英ガラス層は三層以上であってもかまわない。
また、上記実施形態においては、不透明石英ガラス層11を天然石英ガラス、透明石英ガラス層12を合成石英ガラスとしているが、不透明石英ガラス層11全体が完全に天然石英ガラスからなることは必要ではなく、透明石英ガラス層12との境界付近における不透明石英ガラス層11の一部が合成石英ガラスによって構成されていてもよい。また、透明石英ガラス層12が十分に厚い場合には、不透明石英ガラス層11との界面付近において透明石英ガラス層12の一部が天然石英ガラスによって構成されていてもよい。さらに、合成石英ガラスを使用せず、天然石英ガラスのみを原料として形成することも可能である。
また、上記実施形態においては、外層を不透明石英ガラス層11、内層を透明石英ガラス層12とする二層構造がルツボの側壁部から底部までのルツボ全体に設けられているが、例えば、ルツボの上端部の透明石英ガラス層を省略し、不透明層のみで構成してもかまわない。
(実施例1)
口径32インチ(約800mm)の石英ガラスルツボA1を用意した。この石英ガラスルツボの不透明石英ガラス層の気泡径分布は、表1に示すように、直径が40μm未満の気泡が12.1%、直径が40μm以上90μm未満の気泡が72.9%、直径が90μm以上の気泡が15.0%であった。気泡径分布は、同一原料・同一条件で製造した石英ガラスルツボの断面を顕微鏡観察することにより求めたものである。さらに、使用前の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定した。赤外線透過率Eは、波長0.5〜3.5μm、ピーク波長1.0μmの赤外線ランプから30cm離れた位置に受熱面積1cm2の赤外線パワーメーターを設置し、測定用ルツボ片を挿入しないで赤外線の受熱量Cを直接測定し、次いで受熱面の直前に測定用ルツボ片を挿入して赤外線の受熱量Dを測定し、E=(D/C)×100[%]として算出した。その結果、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は63.8%であった。
次に、この石英ガラスルツボに多結晶シリコン砕片300kgを充填した後、石英ガラスルツボを単結晶引き上げ装置に装填し、ルツボ内の多結晶シリコンを炉内で融解し、直径約300mmのシリコン単結晶インゴッドの引き上げを行った。
その後、使用後の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定した。さらに、引き上げたシリコン単結晶の単結晶化率も求めた。単結晶化率は、原料の多結晶シリコンに対するシリコン単結晶の重量比として定義される。ただし、ルツボ内のすべてのシリコン融液が使用されるわけではなく、またシリコン単結晶のトップ部とテール部を除いた直胴部のみが単結晶化率の計算の対象となることから、単結晶化率は、十分なシリコン単結晶が引き上げられたとしても100%以下であり、80%以上であれば良好である。
表1に示すように、使用後の石英ガラスルツボのサンプルA1の側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は32.1%であった。本実施例による石英ガラスルツボのサンプルA1を使用して引き上げられたシリコン単結晶の単結晶化率は82%となった。このように、実施例1による石英ガラスルツボのサンプルA1は、使用前後において赤外線透過率が63.8%から32.1%まで大きく変化し、その結果として良好な単結晶化率が得られることが分かった。
Figure 0004987029
(実施例2)
口径36インチ(約900mm)の石英ガラスルツボのサンプルA2を用意した。この石英ガラスルツボの不透明石英ガラス層の気泡径分布は、表1に示すように、直径が40μm未満の気泡が16.4%、直径が40μm以上90μm未満の気泡が69.2%、直径が90μm以上の気泡が14.4%であった。さらに、使用前の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は63.0%であった。
次に、実施例1と同一条件下でシリコン単結晶インゴッドの引き上げを行った後、使用後の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、表1に示すように、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は29.9%であった。さらに、引き上げたシリコン単結晶の単結晶化率を求めたところ、単結晶化率は83%となった。すなわち、実施例1と同様、ルツボの使用前後において赤外線透過率が大きく変化し、その結果として良好な単結晶化率が得られることが分かった。
(実施例3)
口径40インチ(約1000mm)の石英ガラスルツボのサンプルA3を用意した。この石英ガラスルツボの不透明石英ガラス層の気泡径分布は、表1に示すように、直径が40μm未満の気泡が13.3%、直径が40μm以上90μm未満の気泡が68.8%、直径が90μm以上の気泡が17.9%であった。さらに、使用前の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は61.4%であった。
次に、実施例1と同一条件下でシリコン単結晶インゴッドの引き上げを行った後、使用後の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、表1に示すように、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は28.7%であった。さらに、引き上げたシリコン単結晶の単結晶化率を求めたところ、単結晶化率は82%となった。すなわち、実施例1及び2と同様、ルツボの使用前後において赤外線透過率が大きく変化し、その結果として良好な単結晶化率が得られることが分かった。
(実施例4)
口径32インチ(約800mm)の石英ガラスルツボのサンプルA4を用意した。この石英ガラスルツボは上部と下部とで不透明石英ガラス層の気泡径分布が異なるものであり、表1に示すように、ルツボ上部の不透明石英ガラス層の気泡径分布は、直径が40μm未満の気泡が22.6%、直径が40μm以上90μm未満の気泡が54.3%、直径が90μm以上の気泡が23.1%であった。また、ルツボ下部の不透明石英ガラス層の気泡径分布は、直径が40μm未満の気泡が15.8%、直径が40μm以上90μm未満の気泡が69.1%、直径が90μm以上の気泡が15.1%であった。さらに、使用前の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は61.4%であった。
次に、実施例1と同一条件下でシリコン単結晶インゴッドの引き上げを行った後、使用後の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、表1に示すように、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は30.4%であった。さらに、引き上げたシリコン単結晶の単結晶化率を求めたところ、単結晶化率は89%となった。すなわち、実施例1〜3と同様、ルツボの使用前後において赤外線透過率が大きく変化し、その結果として良好な単結晶化率が得られることが分かった。さらに、長時間の引き上げにおいてルツボの変形が防止される結果、実施例1〜3よりも5%以上高い単結晶化率が得られることが分かった。
(実施例5)
口径32インチ(約800mm)の石英ガラスルツボのサンプルA5を用意した。この石英ガラスルツボは側壁部と底部とで不透明石英ガラス層の気泡径分布が異なるものであり、表1に示すように、ルツボ側壁部の不透明石英ガラス層の気泡径分布は、直径が40μm未満の気泡が28.1%、直径が40μm以上90μm未満の気泡が45.5%、直径が90μm以上の気泡が26.4%であった。また、ルツボ底部の不透明石英ガラス層の気泡径分布は、直径が40μm未満の気泡が16.6%、直径が40μm以上90μm未満の気泡が68.9%、直径が90μm以上の気泡が14.5%であった。さらに、使用前の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は60.7%であった。
次に、実施例1と同一条件下でシリコン単結晶インゴッドの引き上げを行った後、使用後の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、表1に示すように、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は29.5%であった。さらに、引き上げたシリコン単結晶の単結晶化率を求めたところ、単結晶化率は88%となった。すなわち、実施例1〜4と同様、ルツボの使用前後において赤外線透過率が大きく変化し、その結果として良好な単結晶化率が得られることが分かった。さらに、長時間の引き上げにおいてルツボの変形が防止される結果、実施例1〜3よりも5%以上高い単結晶化率が得られることが分かった。
(実施例6)
口径32インチ(約800mm)の石英ガラスルツボのサンプルA6を用意した。この石英ガラスルツボは側壁部、湾曲部、及び底部の各部位で不透明石英ガラス層の気泡径分布が異なるものであり、表1に示すように、ルツボ側壁部の不透明石英ガラス層の気泡径分布は、直径が40μm未満の気泡が25.6%、直径が40μm以上90μm未満の気泡が49.5%、直径が90μm以上の気泡が24.9%であった。また、ルツボ湾曲部の不透明石英ガラス層の気泡径分布は、直径が40μm未満の気泡が22.7%、直径が40μm以上90μm未満の気泡が58.1%、直径が90μm以上の気泡が19.2%であった。また、ルツボ底部の不透明石英ガラス層の気泡径分布は、直径が40μm未満の気泡が14.1%、直径が40μm以上90μm未満の気泡が71.7%、直径が90μm以上の気泡が14.2%であった。さらに、使用前の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は61.8%であった。
次に、実施例1と同一条件下でシリコン単結晶インゴッドの引き上げを行った後、使用後の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、表1に示すように、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は28.1%であった。さらに、引き上げたシリコン単結晶の単結晶化率を求めたところ、単結晶化率は88%となった。すなわち、実施例1〜5と同様、ルツボの使用前後において赤外線透過率が大きく変化し、その結果として良好な単結晶化率が得られることが分かった。さらに、長時間の引き上げにおいてルツボの変形が防止される結果、実施例1〜3よりも5%以上高い単結晶化率が得られることが分かった。
(比較例1)
口径32インチの石英ガラスルツボのサンプルB1を用意した。この石英ガラスルツボの不透明石英ガラス層の気泡径分布は、表1に示すように、直径が40μm未満の気泡が9.6%、直径が40μm以上90μm未満の気泡が84.1%、直径が90μm以上の気泡が6.3%であった。さらに、使用前の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は49.4%であった。
次に、実施例1と同一条件下でシリコン単結晶インゴッドの引き上げを行った後、使用後の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、表1に示すように、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は37.2%であった。さらに引き上げによって得られたシリコン単結晶の単結晶化率を求めたところ、単結晶化率は56%となり、単結晶化率は大幅に低下した。このように、比較例1による石英ガラスルツボのサンプルB1は、使用前後において赤外線透過率が49.4%から37.2%まで変化したが、実施例1〜3に比べると変化量は小さく、その結果として良好な単結晶化率が得られないことが分かった。
(比較例2)
口径36インチの石英ガラスルツボのサンプルB2を用意した。この石英ガラスルツボの不透明石英ガラス層の気泡径分布は、表1に示すように、直径が40μm未満の気泡が7.9%、直径が40μm以上90μm未満の気泡が88.2%、直径が90μm以上の気泡が3.9%であった。さらに、使用前の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は46.1%であった。
次に、実施例1と同一条件下でシリコン単結晶インゴッドの引き上げを行った後、使用後の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、表1に示すように、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は35.8%であった。さらに引き上げによって得られたシリコン単結晶の単結晶化率を求めたところ、単結晶化率は59%となり、単結晶化率は大幅に低下した。すなわち、比較例1と同様、ルツボの使用前後において赤外線透過率は大きく変化せず、その結果として良好な単結晶化率が得られないことが分かった。
(比較例3)
口径40インチの石英ガラスルツボのサンプルB3を用意した。この石英ガラスルツボの不透明石英ガラス層の気泡径分布は、表1に示すように、直径が40μm未満の気泡が9.5%、直径が40μm以上90μm未満の気泡が85.6%、直径が90μm以上の気泡が4.9%であった。さらに、使用前の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は44.2%であった。
次に、実施例1と同一条件下でシリコン単結晶インゴッドの引き上げを行った後、使用後の石英ガラスルツボの赤外線透過率を測定したところ、表1に示すように、ルツボの側壁部、湾曲部及び底部の赤外線透過率の平均値は34.3%であった。さらに引き上げによって得られたシリコン単結晶の単結晶化率を求めたところ、単結晶化率は62%となり、単結晶化率は大幅に低下した。すなわち、比較例1及び2と同様、ルツボの使用前後において赤外線透過率は大きく変化せず、その結果として良好な単結晶化率が得られないことが分かった。
10 石英ガラスルツボ
10A ルツボの側壁部
10B ルツボの底部
10C ルツボの湾曲部
11 不透明石英ガラス層
11a 第1の不透明石英ガラス層
11b 第2の不透明石英ガラス層
12 透明石英ガラス層
20 石英ガラスルツボ
30 石英ガラスルツボ

Claims (4)

  1. 側壁部、湾曲部及び底部を有するシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボであって、ルツボの内表面側に設けられた透明石英ガラス層と、ルツボの外表面側に設けられた多数の気泡を内包する不透明石英ガラス層とを備え、
    前記透明石英ガラス層の気泡含有率は0.1%以下であり、前記不透明石英ガラス層の気泡含有率は前記透明石英ガラス層の気泡含有率よりも大きく、
    前記不透明石英ガラス層に含まれる気泡の径分布は、40μm未満の直径を有する気泡が10%以上30%未満、40μm以上90μm未満の直径を有する気泡が40%以上80%未満、90μm以上の直径を有する気泡が10%以上30%未満であることを特徴とするシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボ。
  2. ルツボ上部の前記不透明石英ガラス層は、ルツボ下部の前記不透明石英ガラス層に比べて直径の大きな気泡をより多く含む径分布を有し、且つ、より高い気泡含有率を有することを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボ。
  3. 前記側壁部の前記不透明石英ガラス層は、前記底部の前記不透明石英ガラス層に比べて直径の大きな気泡をより多く含む径分布を有し、且つ、より高い気泡含有率を有することを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボ。
  4. 前記不透明石英ガラス層は、前記底部から前記側壁部に向かうにつれて、直径の大きな気泡をより多く含む径分布を有し、且つ、より高い気泡含有率を有することを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボ。
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