JP5000314B2 - プレス機の成形条件決定システムおよび成形条件決定方法 - Google Patents

プレス機の成形条件決定システムおよび成形条件決定方法 Download PDF

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Description

本発明は、プレス成形の成形条件決定システムおよび成形条件決定方法に関する。例えば、自動車のボディを製造するプレス成形の成形条件決定システムおよび成形条件決定方法に関する。
従来より、鋼板を絞り成形して自動車のボディを形成する場合、実際にプレス機を用いて成形品の試作を繰り返すことで、最適な成形条件を決定する。
ところで、近年、サーボモータを用いたサーボプレス機が知られている。このサーボプレス機では、成形中にスライド速度およびダイクッション圧を自在に変化させることができるため、プレス成形の自由度が高く、サイクルタイムを短縮できる。
例えば、スライド速度を制御する方法として、以下のような方法が提案されている。すなわち、材料の引き込み量とパンチのストロークとの関係を解析して理想加工曲線としてデータベースに記憶しておき、実加工時には、ワークの引き込み量とパンチストロークとの関係を取得して、記憶した理想加工曲線に基づいて、パンチの速度をフィードバック制御する(特許文献1参照)。
この方法によれば、パンチの速度をリアルタイムで制御することで、成形品の生産性を向上できる。
特許第3768410号公報
しかしながら、上述のサーボプレス機では、速度やダイクッション圧を決定するために膨大な回数の試作を行う必要があり、その結果、工数が増加し、コストが上昇する、という問題がある。特許文献1に示された方法を採用しても、理想加工曲線を作成するために、同様の問題が生じる。
本発明は、コストを低減できるプレス機の成形条件決定システムおよび成形条件決定方法を提供することを目的とする。
本発明のプレス機の成形条件決定システムは、プレス機の成形条件を決定する成形条件決定システムであって、ダイクッション圧を最適化するダイクッション圧最適化手段と、スライド速度を最適化するスライド速度最適化手段と、成形シミュレーション解析の結果に基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定する成形条件判定手段と、を備え、前記成形条件判定手段でプレス成形品の品質が一定基準に達すると判定されるまで、ダイクッション圧最適化手段、成形条件判定手段、スライド速度最適化手段、成形条件判定手段の順に繰り返すことを特徴とする。
この発明によれば、ダイクッション圧およびスライド速度を自動的に決定できるから、実際のプレス機や材料を用いた試作の回数を大幅に削減でき、コストを低減できる。さらには、製品の形状を設計する段階で成形条件を予測することで、複雑な形状の製品を成形できる。
特に、サーボプレス機では、成形中にスライド速度やダイクッション圧を自在に変化させることができるため、試作の回数を大幅に削減できる。
この場合、前記成形条件判定手段は、成形シミュレーション解析の結果として出力される、最小主ひずみ及び板厚減少率、または、最小主ひずみ及び相当塑性ひずみに基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定することが好ましい。
板厚減少率や相当塑性ひずみが大きくなると、亀裂(割れ)が生じやすく、最小主ひずみが小さくなると、しわや面ひずみが生じやすことが判明している。
そこで、この発明によれば、成形条件判定手段では、最小主ひずみ及び板厚減少率、または、最小主ひずみ及び相当塑性ひずみに基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定したので、プレス成形品の不具合を確実に予測できる。
この場合、応力−ひずみ関係を用いて成形シミュレーションを実行する成形シミュレーション手段を備え、当該成形シミュレーション手段は、前記応力−ひずみ関係を、ひずみ速度を考慮して決定することが好ましい。
この場合、前記成形シミュレーション手段は、摩擦係数を用いて成形シミュレーションを実行し、前記摩擦係数を、材料とプレス機の金型との摺動速度および接触面圧を考慮して決定することが好ましい。
従来の成形シミュレーションでは、金型形状に対応して摩擦係数を決定していたが、材料と金型との摺動速度や接触面圧を考慮しておらず、また、応力−ひずみ関係についても、ひずみ速度を考慮していなかった。そのため、成形中にスライド速度やダイクッション圧が変化するサーボプレス機について、高い精度で成形シミュレーションを行うことは困難であった。
この発明によれば、摩擦係数を、材料とプレス機の金型との摺動速度および接触面圧を考慮して決定した。また、応力−ひずみ関係を、ひずみ速度を考慮して決定した。したがって、スライド速度やダイクッション圧が変化するサーボプレス機についての成形シミュレーションを高精度で実行できる。
本発明のプレス機の成形条件決定方法は、プレス機の成形条件を決定する成形条件決定方法であって、ダイクッション圧を最適化するダイクッション圧最適化手順と、スライド速度を最適化するスライド速度最適化手順と、成形シミュレーション解析を行い、この解析結果に基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定する成形条件判定手順と、を備え、前記成形条件判定手順でプレス成形品の品質が一定基準に達すると判定されるまで、ダイクッション圧最適化手順、成形条件判定手順、スライド速度最適化手順、成形条件判定手順の順に繰り返すことを特徴とする。
この場合、前記成形条件判定手順では、成形シミュレーション解析結果として出力される、最小主ひずみ及び板厚減少率、または、最小主ひずみ及び相当塑性ひずみに基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定することが好ましい。
この場合、前記成形条件判定手順では、応力−ひずみ関係を用いて成形シミュレーションを実行し、前記応力−ひずみ関係を、ひずみ速度を考慮して決定することが好ましい。
この場合、前記成形条件判定手順では、摩擦係数を用いて成形シミュレーションを実行し、前記摩擦係数を、材料とプレス機の金型との摺動速度および接触面圧を考慮して決定することが好ましい。
上述のプレス機の成形条件決定方法は、上述の成形条件決定システムをプレス機の成形条件決定方法として展開したものであり、上述の成形条件決定システムと同様の効果を奏する。
本発明によれば、ダイクッション圧およびスライド速度を自動的に決定できるから、実際のプレス機や材料を用いた試作の回数を大幅に削減でき、コストを低減できる。さらには、製品の形状を設計する段階で成形条件を予測することで、複雑な形状の製品を成形できる。特に、サーボプレス機では、成形中にスライド速度やダイクッション圧を自在に変化させることができるため、試作の回数を大幅に削減できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る成形条件決定システム1の概略構成を示す図である。成形条件決定システム1は、プレス機30に接続され、種々のプログラムを実行する演算処理装置10と、ハードディスク等の情報を記憶する記憶装置20とを備える。
プレス機30は、サーボで駆動するサーボプレス機であり、成形条件決定システム1は、このプレス機30にスライド速度とダイクッション圧を含むプレス成形条件を出力する。
成形条件決定システム1は、動作制御を行うOS(Operating System)上に展開されるプログラムとしての、成形条件最適化手段11、成形シミュレーション手段12、およびプレス制御データ生成手段13を備える。
成形シミュレーション手段12は、成形プロセスのシミュレーション解析を行うものであり、解析条件が入力されると、この解析条件下で成形シミュレーションを行い、その解析結果を出力する。
記憶装置20は、データベースであり、スライド速度の範囲、スライド加速度の範囲、ダイクッション圧の範囲などのプレス機30の動作条件が記憶されている。これらの動作条件は、サイクルタイムや搬送速度などに基づいて、予め設定されている。
成形条件最適化手段11は、記憶装置20に記憶された動作条件を参照して成形条件を複数種類生成し、これら成形条件を解析条件として成形シミュレーション手段12に出力する。その後、成形シミュレーション手段12から解析結果を受け取り、この解析結果に基づいて、最適な成形条件を決定する。
プレス制御データ生成手段13は、成形条件最適化手段11で決定された成形条件に基づいて、プレス機30を動作させるためのデータを生成する。
図2は、プレス機30の概略構成を示す図である。
プレス機30は、いわゆるサーボプレス機であり、ワークとしての鋼板32の下側に配置された下型41を有する下型機構40と、下型41に対して、上型51を接近、離隔させる上型機構50と、これら下型機構40および上型機構50を制御する制御装置31と、を有する。
上型機構50は、サーボモータ52と、該サーボモータ52によって回転駆動される減速ギア53と、該減速ギア53によって大きいトルクで回転駆動される回転板54と、該回転板54の側面に上端部が揺動可能に軸支されたコネクティングロッド55とを有する。
サーボモータ52は、例えばAC型であって、高い応答性を有するとともにトルクむらが小さい。サーボモータ52の軸回転位置は図示しないエンコーダによって検出され、この検出された軸回転位置に基づいて、サーボモータ52はフィードバック制御される。
上型機構50は、さらに、コネクティングロッド55の下端に軸支されたスライダ56を備え、上型51は、スライダ56の下面に設けられる。
上型51は、下型41とともに鋼板32を挟んでプレス加工するものであって、下面に鋼板32の上面に当接するための型面51aが設けられている。この51は、凹んだ曲面となっており、上型51の周辺には、環状のホルダ57が設けられている。ホルダ57の先端面は水平であり、型面51aよりもやや突出している。したがって、ホルダ57は、鋼板32に対して型面51aよりも先行して当接することになる。
下型機構40は、下型41に加えて、ベースとなる固定台42と、鋼板32の周辺部を支持する環状のブランクホルダ43と、該ブランクホルダ43を昇降させるダイクッション機構44とを有する。
下型41は、固定台42の上部に設けられており、上型51とともに鋼板32を挟んでプレス加工する。この下型41の上面には、鋼板32の下面に当接するための型面41aが設けられている。
ブランクホルダ43は、ホルダ57と対向する位置に設けられ、鋼板31をプレスする際にしわの発生および位置ずれ等を防止するために、該ホルダ57ともに鋼板32の端部を挟持する。
ダイクッション機構44は、下方から固定台42および下型41を貫通してブランクホルダ54の下部を支持する複数のピン45と、これらのピン45を昇降させる図示しない油圧式の昇降機構とを有する。
昇降機構は、ピン45に連結された図示しない油圧シリンダと、この油圧シリンダを駆動する図示しないサーボ機器と、を含んで構成される。このサーボ機器は、制御装置31に接続されており、制御装置31からの信号に基づいて所定の圧力制御を行うことで、ブランクホルダ43とホルダ57とで、鋼板32の周辺部を適切な圧力(ダイクッション圧)で押圧して、しわ押さえを行う。
制御装置31は、サーボモータ52を回転駆動させて上型51を下型41に対して進退させるとともに、ダイクッション機構44を駆動して、ブランクホルダ43を昇降させる。
以上のプレス機30を用いて鋼板32の加工を行う手順について図3を参照しながら説明する。
先ず、ステップS1において、初期設定を行う。つまり、ブランクホルダ43を所定位置まで上昇させておき、該ブランクホルダ43によって未加工の鋼板32を支持する。また、上型51は上死点まで上昇させておく。次に、ステップS2において、制御装置31の作用下に、サーボモータ52を回転駆動してスライダ56を下降させる。
スライダ56をある程度下降をさせると、ホルダ57が鋼板32の上面に接触し、該鋼板32はホルダ57とブランクホルダ43により挟持される。この時点から、制御装置31の作用下にブランクホルダ57を下降させる(ステップS3)。具体的には、制御装置31の作用下にブランクホルダ57が鋼板32の下面を押圧気味となるように適度な力を発生させて鋼板32を確実に保持させながら下降するように圧力制御を行う。つまり、ブランクホルダ57は、ホルダ57によって鋼板32を介して押圧され、該鋼板32に適度な圧力を与えながら押し下げられることになる。これにより、鋼板32はホルダ57とブランクホルダ43によって周辺部を保持(挟持)されながら下降し、次第に上型51と下型41によって製品形状にプレスされる。
ステップS4において、制御装置31は、スライダ56の位置を下死点(つまり、上型51が1ストロークする間の最下点)に到達させる。ステップS5において、制御装置31の作用下に、サーボモータ52を回転駆動して、スライダ56をパネル搬送位置まで上昇させる。
ステップS6において、スライダ56の位置がパネル搬送位置まで達したか否かを確認し、達しているときにはステップS7へ移り、未達のときにはスライダ56の上昇を継続する。ステップS7において、制御装置31の作用下にブランクホルダ43を上昇させる。これによりブランクホルダ43は、スライダ56よりもやや遅れて上昇することになる。
ステップS8において、制御装置31の作用下に、ブランクホルダ43をパネル搬送位置まで上昇させる。ステップS9において、ブランクホルダ43の上昇を一時停止させ、ドロー成形加工が終了した鋼板32を図示しない搬送手段によって次工程のステーションへ搬送する。
ステップS10において、制御装置31は、ブランクホルダ43を再上昇させて、ブランクホルダ43を加工待機位置まで到達させる。ステップS11において、未加工の鋼板を所定の位置に配置する。なお、この間もスライダ56は上昇を継続している。ステップS12において、制御装置31は、スライダ56を上死点まで到達させる。
次に、プレス機30のスライダの変位について図4を参照して説明する。
上述のドロー成形では、スライダ56つまり上型51を、図4に示すように変位させて、絞り加工を行う。具体的には、上型51を上死点(X1)から所定のスライド速度で下降させ、鋼板に接触する位置(X2)の直前で速度を低下させて、この遅いスライド速度で鋼板に接触し、その後、速度を上昇させつつ、プレス成形する。上型51が下死点(X0)に到達すると、この上型51を、元のスライド速度(所定速度)で上昇させる。
図5は、成形条件最適化手段11の概略構成を示すブロック図である。
成形条件最適化手段11は、成形条件生成手段60と、ダイクッション圧最適化手段61と、スライド速度最適化手段62と、成形条件判定手段63と、を備える。
成形条件生成手段60は、記憶装置20に記憶された動作条件を参照して、スライド速度およびダイクッション圧の組み合わせが異なる成形条件を複数種類生成する。
ダイクッション圧最適化手段61は、成形条件生成手段60で生成された成形条件のうちダイクッション圧が最適なものを選択する。
スライド速度最適化手段62は、成形条件生成手段60で生成された成形条件のうちスライド速度が最適なものを選択する。
成形条件判定手段63は、成形シミュレーション手段12で行われた成形シミュレーション解析の結果に基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定する。
成形条件最適化手段11は、成形条件生成手段60を動作し、その後、成形条件判定手段63でプレス成形品の品質が一定基準に達すると判定されるまで、ダイクッション圧最適化手段61と、成形条件判定手段63、スライド速度最適化手段62、成形条件判定手段63の順に繰り返す。
次に、成形条件最適化手段11の動作を図6のフローチャートを用いて説明する。
まず、S11では、成形条件生成手段60により、スライド速度およびダイクッション圧の組み合わせが異なる成形条件を複数種類生成し、これら生成した組み合わせを解析条件として成形シミュレーション手段12に出力し、成形シミュレーション手段12から解析結果を受け取る。
S12では、ダイクッション圧最適化手段61により、プレス機のダイクッション圧を最適化する。
図7は、プレス機のダイクッション圧と成形時間との関係を示す図である。
図7に示すように、ダイクッション圧は、成形時間の前半と後半とで、2段階に設定される。よって、成形時間前半のダイクッション圧、成形時間後半のダイクッション圧、および、ダイクッション圧の切り替えタイミングについて最適値を探索する。
S13では、成形条件判定手段63により、成形シミュレーション解析結果に基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定する。具体的には、成形品を評価する指標として、板厚減少率の最大値および最小主ひずみを用いて、板厚減少率の最大値が所定値以下であり、かつ、最小主ひずみが所定値以上であるか否かを判定する。
これは、板厚減少率が大きくなると、亀裂(割れ)が生じやすく、最小主ひずみが小さくなると、しわや面ひずみが生じやすいためである。
S13の判別がNoの場合には、S12で最適化したダイクッション圧のうち、板厚減少率の最大値が所定値以下となるものを採用し、S14に移る。一方、S13の判別がYesの場合には、終了する。
S14では、スライド速度最適化手段62により、プレス機のスライド速度を最適化する。
図8は、プレス機のスライド速度と成形時間との関係を示す図である。
図8に示すように、スライド速度の最大値およびスライド速度が最大となる期間について、最適値を探索する。
S15では、S13と同様に、成形シミュレーション解析結果に基づいて、板厚減少率の最大値および最小主ひずみを用いて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定する。
S15の判別がNoの場合には、S16に移り、Yesの場合には、終了する。
S16では、再び、ダイクッション圧を最適化する。これは、S12でダイクッション圧を最適化したが、S14でスライド速度を最適化したため、ダイクッション圧を微調整する必要があるためである。
S17では、S13と同様に、成形シミュレーション解析結果に基づいて、板厚減少率の最大値および最小主ひずみを用いて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定する。
S17の判別がNoの場合には、S14に戻り、Yesの場合には、終了する。
次に、成形シミュレーション手段12の動作を図9のフローチャートを用いて説明する。
S31では、成形条件が入力される。具体的には、プレス機30の金型の形状、ワークの形状、スライド速度、ダイクッション圧、ワークの応力−ひずみ関係や、摩擦係数が入力される。ここで、応力−ひずみ特性は、ひずみ速度に依存しており、摩擦係数は、ワークと金型との摺動速度および接触面圧に依存する。
S32では、変形が生じるか否かを判別する。この判別がYesの場合には、S33に移り、Noの場合には、S36に移る。
S33では、変形部分のひずみ速度を計算し、S34では、このひずみ速度に基づいて、応力−ひずみ関係を決定する。なお、この応力―ひずみ関係の決定は、終了時刻に達するまで、所定サイクル毎に行われる。
図10は、応力−ひずみ関係を示す図である。
図10に示すように、応力−ひずみ関係は、ひずみ速度に依存し、ひずみ速度が大きいほど、同一のひずみ量における応力は大きくなる傾向がある。
具体的には、同一のひずみ量におけるひずみ速度は、ひずみ速度10、1、0.1、0.01の順に小さくなる。
また、図11に示すように、変形の途中でひずみ速度が変化すると、ひずみ速度が変化した後の応力−ひずみ関係は、変化前のひずみ速度にかかわらず、変化後のひずみ速度にのみ依存することが判明している。つまり、ひずみ速度が変化した後の応力−ひずみ関係は、ひずみ速度が変化する前の速度履歴の影響を受けないのである。
具体的には、ひずみ速度が1、0.1、0.01のいずれであっても、ひずみ速度が0.1に変化した場合には、応力は、ひずみ速度0.1のグラフに従う。
そこで、応力−ひずみ関係を、相当応力および相当塑性ひずみを用いて、以下のようにして定義する。相当応力とは、一軸(単軸)引張に換算した応力であり、相当塑性ひずみとは、一軸引張に換算した塑性ひずみである。このように換算することによって、簡単に比較ができ、強度評価が容易となるためである。
すなわち、図12に示すように、実験などにより、所定のひずみ速度について、所定の相当塑性ひずみと相当応力との関係を求め、点列データを生成する。
ここでは、所定のひずみ速度を、0.01、0.1、1、10とし、所定の相当塑性ひずみを、0、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25・・・のように、0.05刻みとした。そして、これら点列データを、図13に示すように、グラフ上にプロットし、各点同士を直線で結んだ。
なお、計算対象となるひずみ速度や相当塑性ひずみが上述の点列データに含まれていない場合には、相当応力―相当塑性ひずみ関係を、直接、点列データから求めることができないため、以下の手順で求める。
計算対象となる相当塑性ひずみ値が図13で定義された2つの相当塑性ひずみの間に位置する場合には、これら2つの相当塑性ひずみの内挿値を用いて、相当応力−相当塑性ひずみ関係を求める。
計算対象となるひずみ速度が図13で定義された2つのひずみ速度の間に位置する場合には、これら2つのひずみ速度の内挿値を用いて、相当応力−相当塑性ひずみ関係を求める。
なお、以上の内挿値は、一次関数(直線)を用いて求めてもよいし、二次以上の関数を用いて求めてもよい。
ただし、計算対象となるひずみ速度が図13で定義された最大のひずみ速度よりも大きい場合には、定義された最大のひずみ速度における相当応力−相当塑性ひずみ関係を用いる。また、計算対象となるひずみ速度が図13で定義された最小のひずみ速度よりも小さい場合には、定義された最小のひずみ速度における相当応力−相当塑性ひずみ関係を用いる。つまり、ひずみ速度の外挿値を用いることはしない。
例えば、図14に示すように、ひずみ速度xの点列データをxa、xb、xcとし、ひずみ速度yの点列データをya、yb、ycとする。
ひずみ速度zの相当塑性ひずみd、eにおける相当応力を求める場合、まず、2つのひずみ速度x、yの点列データの内挿値を、ひずみ速度zの点列データとする。そして、このひずみ速度zの点列データのうち、相当塑性ひずみa、b、cにおける相当応力za、zb、zcの内挿値を、ひずみ速度zの相当塑性ひずみd、eにおける相当応力とする。
これにより、図14中太線Aで示すように、任意のひずみ速度における相当応力―相当塑性ひずみ関係を容易に計算できるうえに、変形途中でひずみ速度が変化しても、ひずみ速度が変化した後の相当応力−相当塑性ひずみ関係も容易に計算できる。
S35では、選択された相当応力―相当塑性ひずみ関係を用いて、変形部分の応力を計算し。S36では、ワークと金型とが接触するか否かを判定する。この判別がYesの場合には、S37に移り、Noの場合には、S41に移る。
S37では、ワークと金型との摺動速度を計算し、S38では、ワークと金型との接触面圧を計算する。
続いて、S39では、ワークと金型との摺動速度および接触面圧に基づいて、摩擦係数を決定する。この摩擦係数の決定は、終了時刻に達するまで、所定サイクル毎に行われる。
図15は、摺動速度および接触面圧と摩擦係数との関係を示す図である。
図15に示すように、ワークと金型との間に洗浄油等の潤滑機能を有する流体が存在する場合、摩擦係数は、ワークと金型との摺動速度に依存し、摺動速度が大きいほど小さくなる傾向がある。
また、ワークと工具との接触面圧が大きいほど、摩擦係数は摺動速度に大きく依存する傾向がある。つまり、ワークと工具との接触面圧が大きいほど、摺動速度が大きくなるに従って摩擦係数が小さくなる。
なお、絞り成形では、ワークと金型との接触面積が小さいため、接触面圧が大きくなり、張出し成形では、接触面積が大きいため、接触面圧が小さくなる傾向がある。
そこで、摺動速度および接触面圧と摩擦係数との関係を以下のようにして定義する。
すなわち、図16に示すように、実験などにより、所定の接触面圧について、所定の摺動速度と摩擦係数との関係を求め、点列データとする。
ここでは、所定の接触面圧を、1、2、5、10とし、所定の摺動速度を、1、5、10、50、100、200とした。そして、これら点列データを、図17に示すように、グラフ上にプロットし、各点同士を直線で結んだ。
なお、計算対象となる摺動速度や接触面圧が上述の点列データに含まれていない場合には、摺動速度および接触面圧と摩擦係数との関係を、直接、点列データから求めることができないため、以下の手順で求める。
計算対象となる摺動速度が図16で定義された2つの摺動速度の間に位置する場合には、これら2つの摺動速度の内挿値を用いて、摺動速度および接触面圧と摩擦係数との関係を求める。
計算対象となる接触面圧が図16で定義された2つの接触面圧の間に位置する場合には、これら2つの接触面圧の内挿値を用いて、摺動速度および接触面圧と摩擦係数との関係を求める。
なお、以上の内挿値は、一次関数(直線)を用いて求めてもよいし、二次以上の関数を用いて求めてもよい。
ただし、計算対象となる接触面圧が図16で定義された最大の接触面圧よりも大きい場合には、定義された最大の接触面圧における摺動速度および接触面圧と摩擦係数との関係を用いる。また、計算対象となる接触面圧が図16で定義された最小の接触面圧よりも小さい場合には、定義された最小の接触面圧における摺動速度および接触面圧と摩擦係数との関係を用いる。つまり、接触面圧の外挿値を用いることはしない。
例えば、図17に示すように、接触面圧5kgf/cm2の点列データをpf、pgとし、接触面圧10kgf/cm2の点列データをqf、qgとする。
接触面圧8kgf/cm2の摺動速度hにおける摩擦係数を求める場合、まず、2つの接触面圧5kgf/cm2および接触面圧10kgf/cm2の点列データの内挿値を、接触面圧8kgf/cm2の点列データとする。そして、この接触面圧8kgf/cm2の点列データのうち、摺動速度f、gにおける摩擦係数rf、rgの内挿値を、接触面圧8kgf/cm2の摺動速度hにおける摩擦係数とする。
続いて、S40では、接触する部分の接触反力を計算し、S41では、各要素の運動方程式を解く。S42では、終了時刻に達したか否かを判別し、この判別がNoの場合には、S32に戻り、Yesの場合には、結果を出力し(S43)、終了する。
この出力結果には、亀裂の指標となる板厚減少率、しわや面ひずみの指標となる最小主ひずみが含まれる。
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)成形条件決定システム1に、成形条件最適化手段11、成形シミュレーション手段12、およびプレス制御データ生成手段13を設けたので、ダイクッション圧およびスライド速度を自動的に決定できるから、実際のプレス機や材料を用いた試作の回数を大幅に削減でき、コストを低減できる。さらには、製品の形状を設計する段階で成形条件を予測することで、複雑な形状の製品を成形できる。
特に、サーボプレス機30では、成形中にスライド速度やダイクッション圧を自在に変化させることができるため、試作の回数を大幅に削減できる。
(2)成形条件判定手段63では、板厚減少率および最小主ひずみに基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定したので、プレス成形品の不具合を確実に予測できる。
(3)摩擦係数を、材料とプレス機の金型との摺動速度および接触面圧を考慮して決定するとともに、応力−ひずみ関係を、ひずみ速度を考慮して決定した。したがって、スライド速度やダイクッション圧が変化するサーボプレス機30についての成形シミュレーションを高精度で実行できる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本実施形態では、板厚減少率の最大値および最小主ひずみを用いて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定したが、これに限らず、相当塑性ひずみ及び最小主ひずみを用いて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定してもよい。これは、相当塑性ひずみが大きくなると、亀裂(割れ)が生じやすいためである。したがって、具体的には、相当塑性ひずみの最大値が所定値以下であり、かつ、最小主ひずみが所定値以上であるか否かを判定する。この判定がYesの場合には、プレス成形品の品質が一定基準に達すると判定し、Noの場合には、プレス成形品の品質が一定基準に達していないと判定する。
本発明の一実施形態に係る成形条件決定システムの概略構成を示す図である。 前記実施形態に係る成形条件決定システムのプレス機の概略構成を示す図である。 前記実施形態に係るプレス機の加工手順を示すフローチャートである。 前記実施形態に係るプレス機のスライダの変位と成形時間との関係を示す図である。 前記実施形態に係る成形条件決定システムの成形条件最適化手段の概略構成を示すブロック図である。 前記実施形態に係る成形条件最適化手段の動作を示すフローチャートである。 前記実施形態に係るプレス機のダイクッション圧と成形時間との関係を示す図である。 前記実施形態に係るプレス機のスライド速度と成形時間との関係を示す図である。 前記実施形態に係る成形条件決定システムの成形シミュレーション手段の動作を示すフローチャートである。 前記実施形態に係る成形シミュレーションにおける応力−ひずみ関係を示す図である。 前記実施形態に係る応力−ひずみ関係における、ひずみ速度が変化した場合を説明するための図である。 前記実施形態に係る相当応力の点列データを示す図である。 前記実施形態に係る相当応力の点列データをプロットした図である。 前記実施形態に係る相当応力の内挿値を求める手順を説明するための図である。 前記実施形態に係る成形シミュレーションにおける摺動速度および接触面圧と摩擦係数との関係を示す図である。 前記実施形態に係る摩擦係数の点列データを示す図である。 前記実施形態に係る摩擦係数の点列データをプロットした図である。
符号の説明
1 成形条件決定システム
11 成形条件最適化手段
12 成形シミュレーション手段
30 プレス機
60 成形条件生成手段
61 ダイクッション圧最適化手段
62 スライド速度最適化手段
63 成形条件判定手段


Claims (8)

  1. プレス機の成形条件を決定する成形条件決定システムであって、
    記憶された前記プレス機の動作条件を参照して、ダイクッション圧およびスライド速度の組み合わせが異なる成形条件を複数種類生成する成形条件生成手段と、
    成形条件生成手段が生成した成形条件のうち、ダイクッション圧が最適なものを選択するダイクッション圧最適化手段と、
    成形条件生成手段が生成した成形条件のうち、スライド速度が最適なものを選択するスライド速度最適化手段と、
    前記成形条件生成手段により生成された成形条件を解析条件として、応力−ひずみ関係を用いて成形シミュレーションを実行する成形シミュレーション手段と、
    前記成形シミュレーション手段による成形シミュレーション解析の結果に基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定する成形条件判定手段と、を備え、
    前記成形条件判定手段でプレス成形品の品質が一定基準に達すると判定されるまで、ダイクッション圧最適化手段、成形条件判定手段、スライド速度最適化手段、成形条件判定手段の順に繰り返すことを特徴とするプレス機の成形条件決定システム。
  2. 請求項1に記載のプレス機の成形条件決定システムにおいて、
    前記成形条件判定手段は、成形シミュレーション解析の結果として出力される、最小主ひずみ及び板厚減少率、または、最小主ひずみ及び相当塑性ひずみに基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定することを特徴とするプレス機の成形条件決定システム。
  3. 請求項1または2に記載のプレス機の成形条件決定システムにおいて、
    前記成形シミュレーション手段は、前記応力−ひずみ関係を、ひずみ速度を考慮して決定することを特徴とするプレス機の成形条件決定システム。
  4. 請求項3に記載のプレス機の成形条件決定システムにおいて、
    前記成形シミュレーション手段は、摩擦係数を用いて成形シミュレーションを実行し、
    前記摩擦係数を、材料とプレス機の金型との摺動速度および接触面圧を考慮して決定することを特徴とするプレス機の成形条件決定システム。
  5. プレス機の成形条件を決定する成形条件決定方法であって、
    記憶された前記プレス機の動作条件を参照して、ダイクッション圧およびスライド速度の組み合わせが異なる成形条件を複数種類生成する成形条件生成手段が生成した成形条件のうち、ダイクッション圧が最適なものを選択するダイクッション圧最適化手順と、
    前記成形条件生成手段が生成した成形条件のうち、スライド速度が最適なものを選択するスライド速度最適化手順と、
    前記成形条件生成手段により生成された成形条件を解析条件として、応力−ひずみ関係を用いて成形シミュレーションを実行する成形シミュレーション手段による成形シミュレーション解析を行い、この解析結果に基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定する成形条件判定手順と、を備え、
    前記成形条件判定手順でプレス成形品の品質が一定基準に達すると判定されるまで、ダ
    イクッション圧最適化手順、成形条件判定手順、スライド速度最適化手順、成形条件判定
    手順の順に繰り返すことを特徴とするプレス機の成形条件決定方法。
  6. 請求項5に記載のプレス機の成形条件決定方法において、
    前記成形条件判定手順では、成形シミュレーション解析結果として出力される、最小主
    ひずみ及び板厚減少率、または、最小主ひずみ及び相当塑性ひずみに基づいて、プレス成
    形品の品質が一定基準に達するか否かを判定することを特徴とするプレス機の成形条件決
    定方法。
  7. 請求項5または6に記載のプレス機の成形条件決定方法において、
    前記成形条件判定手順では、応力−ひずみ関係を用いて成形シミュレーションを実行し、前記応力−ひずみ関係を、ひずみ速度を考慮して決定することを特徴とするプレス機の
    成形条件決定方法。
  8. 請求項7に記載のプレス機の成形条件決定方法において、
    前記成形条件判定手順では、摩擦係数を用いて成形シミュレーションを実行し、前記摩擦係数を、材料とプレス機の金型との摺動速度および接触面圧を考慮して決定することを特徴とするプレス機の成形条件決定方法。
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