JP5000314B2 - プレス機の成形条件決定システムおよび成形条件決定方法 - Google Patents
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Description
ところで、近年、サーボモータを用いたサーボプレス機が知られている。このサーボプレス機では、成形中にスライド速度およびダイクッション圧を自在に変化させることができるため、プレス成形の自由度が高く、サイクルタイムを短縮できる。
この方法によれば、パンチの速度をリアルタイムで制御することで、成形品の生産性を向上できる。
特に、サーボプレス機では、成形中にスライド速度やダイクッション圧を自在に変化させることができるため、試作の回数を大幅に削減できる。
そこで、この発明によれば、成形条件判定手段では、最小主ひずみ及び板厚減少率、または、最小主ひずみ及び相当塑性ひずみに基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定したので、プレス成形品の不具合を確実に予測できる。
この発明によれば、摩擦係数を、材料とプレス機の金型との摺動速度および接触面圧を考慮して決定した。また、応力−ひずみ関係を、ひずみ速度を考慮して決定した。したがって、スライド速度やダイクッション圧が変化するサーボプレス機についての成形シミュレーションを高精度で実行できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る成形条件決定システム1の概略構成を示す図である。成形条件決定システム1は、プレス機30に接続され、種々のプログラムを実行する演算処理装置10と、ハードディスク等の情報を記憶する記憶装置20とを備える。
プレス機30は、サーボで駆動するサーボプレス機であり、成形条件決定システム1は、このプレス機30にスライド速度とダイクッション圧を含むプレス成形条件を出力する。
記憶装置20は、データベースであり、スライド速度の範囲、スライド加速度の範囲、ダイクッション圧の範囲などのプレス機30の動作条件が記憶されている。これらの動作条件は、サイクルタイムや搬送速度などに基づいて、予め設定されている。
プレス制御データ生成手段13は、成形条件最適化手段11で決定された成形条件に基づいて、プレス機30を動作させるためのデータを生成する。
プレス機30は、いわゆるサーボプレス機であり、ワークとしての鋼板32の下側に配置された下型41を有する下型機構40と、下型41に対して、上型51を接近、離隔させる上型機構50と、これら下型機構40および上型機構50を制御する制御装置31と、を有する。
上述のドロー成形では、スライダ56つまり上型51を、図4に示すように変位させて、絞り加工を行う。具体的には、上型51を上死点(X1)から所定のスライド速度で下降させ、鋼板に接触する位置(X2)の直前で速度を低下させて、この遅いスライド速度で鋼板に接触し、その後、速度を上昇させつつ、プレス成形する。上型51が下死点(X0)に到達すると、この上型51を、元のスライド速度(所定速度)で上昇させる。
成形条件最適化手段11は、成形条件生成手段60と、ダイクッション圧最適化手段61と、スライド速度最適化手段62と、成形条件判定手段63と、を備える。
成形条件生成手段60は、記憶装置20に記憶された動作条件を参照して、スライド速度およびダイクッション圧の組み合わせが異なる成形条件を複数種類生成する。
スライド速度最適化手段62は、成形条件生成手段60で生成された成形条件のうちスライド速度が最適なものを選択する。
成形条件判定手段63は、成形シミュレーション手段12で行われた成形シミュレーション解析の結果に基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定する。
まず、S11では、成形条件生成手段60により、スライド速度およびダイクッション圧の組み合わせが異なる成形条件を複数種類生成し、これら生成した組み合わせを解析条件として成形シミュレーション手段12に出力し、成形シミュレーション手段12から解析結果を受け取る。
図7は、プレス機のダイクッション圧と成形時間との関係を示す図である。
図7に示すように、ダイクッション圧は、成形時間の前半と後半とで、2段階に設定される。よって、成形時間前半のダイクッション圧、成形時間後半のダイクッション圧、および、ダイクッション圧の切り替えタイミングについて最適値を探索する。
これは、板厚減少率が大きくなると、亀裂(割れ)が生じやすく、最小主ひずみが小さくなると、しわや面ひずみが生じやすいためである。
図8は、プレス機のスライド速度と成形時間との関係を示す図である。
図8に示すように、スライド速度の最大値およびスライド速度が最大となる期間について、最適値を探索する。
S15の判別がNoの場合には、S16に移り、Yesの場合には、終了する。
S17の判別がNoの場合には、S14に戻り、Yesの場合には、終了する。
S31では、成形条件が入力される。具体的には、プレス機30の金型の形状、ワークの形状、スライド速度、ダイクッション圧、ワークの応力−ひずみ関係や、摩擦係数が入力される。ここで、応力−ひずみ特性は、ひずみ速度に依存しており、摩擦係数は、ワークと金型との摺動速度および接触面圧に依存する。
図10に示すように、応力−ひずみ関係は、ひずみ速度に依存し、ひずみ速度が大きいほど、同一のひずみ量における応力は大きくなる傾向がある。
具体的には、同一のひずみ量におけるひずみ速度は、ひずみ速度10、1、0.1、0.01の順に小さくなる。
具体的には、ひずみ速度が1、0.1、0.01のいずれであっても、ひずみ速度が0.1に変化した場合には、応力は、ひずみ速度0.1のグラフに従う。
すなわち、図12に示すように、実験などにより、所定のひずみ速度について、所定の相当塑性ひずみと相当応力との関係を求め、点列データを生成する。
計算対象となる相当塑性ひずみ値が図13で定義された2つの相当塑性ひずみの間に位置する場合には、これら2つの相当塑性ひずみの内挿値を用いて、相当応力−相当塑性ひずみ関係を求める。
なお、以上の内挿値は、一次関数(直線)を用いて求めてもよいし、二次以上の関数を用いて求めてもよい。
ひずみ速度zの相当塑性ひずみd、eにおける相当応力を求める場合、まず、2つのひずみ速度x、yの点列データの内挿値を、ひずみ速度zの点列データとする。そして、このひずみ速度zの点列データのうち、相当塑性ひずみa、b、cにおける相当応力za、zb、zcの内挿値を、ひずみ速度zの相当塑性ひずみd、eにおける相当応力とする。
これにより、図14中太線Aで示すように、任意のひずみ速度における相当応力―相当塑性ひずみ関係を容易に計算できるうえに、変形途中でひずみ速度が変化しても、ひずみ速度が変化した後の相当応力−相当塑性ひずみ関係も容易に計算できる。
続いて、S39では、ワークと金型との摺動速度および接触面圧に基づいて、摩擦係数を決定する。この摩擦係数の決定は、終了時刻に達するまで、所定サイクル毎に行われる。
図15に示すように、ワークと金型との間に洗浄油等の潤滑機能を有する流体が存在する場合、摩擦係数は、ワークと金型との摺動速度に依存し、摺動速度が大きいほど小さくなる傾向がある。
また、ワークと工具との接触面圧が大きいほど、摩擦係数は摺動速度に大きく依存する傾向がある。つまり、ワークと工具との接触面圧が大きいほど、摺動速度が大きくなるに従って摩擦係数が小さくなる。
なお、絞り成形では、ワークと金型との接触面積が小さいため、接触面圧が大きくなり、張出し成形では、接触面積が大きいため、接触面圧が小さくなる傾向がある。
すなわち、図16に示すように、実験などにより、所定の接触面圧について、所定の摺動速度と摩擦係数との関係を求め、点列データとする。
ここでは、所定の接触面圧を、1、2、5、10とし、所定の摺動速度を、1、5、10、50、100、200とした。そして、これら点列データを、図17に示すように、グラフ上にプロットし、各点同士を直線で結んだ。
計算対象となる摺動速度が図16で定義された2つの摺動速度の間に位置する場合には、これら2つの摺動速度の内挿値を用いて、摺動速度および接触面圧と摩擦係数との関係を求める。
なお、以上の内挿値は、一次関数(直線)を用いて求めてもよいし、二次以上の関数を用いて求めてもよい。
接触面圧8kgf/cm2の摺動速度hにおける摩擦係数を求める場合、まず、2つの接触面圧5kgf/cm2および接触面圧10kgf/cm2の点列データの内挿値を、接触面圧8kgf/cm2の点列データとする。そして、この接触面圧8kgf/cm2の点列データのうち、摺動速度f、gにおける摩擦係数rf、rgの内挿値を、接触面圧8kgf/cm2の摺動速度hにおける摩擦係数とする。
この出力結果には、亀裂の指標となる板厚減少率、しわや面ひずみの指標となる最小主ひずみが含まれる。
(1)成形条件決定システム1に、成形条件最適化手段11、成形シミュレーション手段12、およびプレス制御データ生成手段13を設けたので、ダイクッション圧およびスライド速度を自動的に決定できるから、実際のプレス機や材料を用いた試作の回数を大幅に削減でき、コストを低減できる。さらには、製品の形状を設計する段階で成形条件を予測することで、複雑な形状の製品を成形できる。
特に、サーボプレス機30では、成形中にスライド速度やダイクッション圧を自在に変化させることができるため、試作の回数を大幅に削減できる。
例えば、本実施形態では、板厚減少率の最大値および最小主ひずみを用いて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定したが、これに限らず、相当塑性ひずみ及び最小主ひずみを用いて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定してもよい。これは、相当塑性ひずみが大きくなると、亀裂(割れ)が生じやすいためである。したがって、具体的には、相当塑性ひずみの最大値が所定値以下であり、かつ、最小主ひずみが所定値以上であるか否かを判定する。この判定がYesの場合には、プレス成形品の品質が一定基準に達すると判定し、Noの場合には、プレス成形品の品質が一定基準に達していないと判定する。
11 成形条件最適化手段
12 成形シミュレーション手段
30 プレス機
60 成形条件生成手段
61 ダイクッション圧最適化手段
62 スライド速度最適化手段
63 成形条件判定手段
Claims (8)
- プレス機の成形条件を決定する成形条件決定システムであって、
記憶された前記プレス機の動作条件を参照して、ダイクッション圧およびスライド速度の組み合わせが異なる成形条件を複数種類生成する成形条件生成手段と、
成形条件生成手段が生成した成形条件のうち、ダイクッション圧が最適なものを選択するダイクッション圧最適化手段と、
成形条件生成手段が生成した成形条件のうち、スライド速度が最適なものを選択するスライド速度最適化手段と、
前記成形条件生成手段により生成された成形条件を解析条件として、応力−ひずみ関係を用いて成形シミュレーションを実行する成形シミュレーション手段と、
前記成形シミュレーション手段による成形シミュレーション解析の結果に基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定する成形条件判定手段と、を備え、
前記成形条件判定手段でプレス成形品の品質が一定基準に達すると判定されるまで、ダイクッション圧最適化手段、成形条件判定手段、スライド速度最適化手段、成形条件判定手段の順に繰り返すことを特徴とするプレス機の成形条件決定システム。 - 請求項1に記載のプレス機の成形条件決定システムにおいて、
前記成形条件判定手段は、成形シミュレーション解析の結果として出力される、最小主ひずみ及び板厚減少率、または、最小主ひずみ及び相当塑性ひずみに基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定することを特徴とするプレス機の成形条件決定システム。 - 請求項1または2に記載のプレス機の成形条件決定システムにおいて、
前記成形シミュレーション手段は、前記応力−ひずみ関係を、ひずみ速度を考慮して決定することを特徴とするプレス機の成形条件決定システム。 - 請求項3に記載のプレス機の成形条件決定システムにおいて、
前記成形シミュレーション手段は、摩擦係数を用いて成形シミュレーションを実行し、
前記摩擦係数を、材料とプレス機の金型との摺動速度および接触面圧を考慮して決定することを特徴とするプレス機の成形条件決定システム。 - プレス機の成形条件を決定する成形条件決定方法であって、
記憶された前記プレス機の動作条件を参照して、ダイクッション圧およびスライド速度の組み合わせが異なる成形条件を複数種類生成する成形条件生成手段が生成した成形条件のうち、ダイクッション圧が最適なものを選択するダイクッション圧最適化手順と、
前記成形条件生成手段が生成した成形条件のうち、スライド速度が最適なものを選択するスライド速度最適化手順と、
前記成形条件生成手段により生成された成形条件を解析条件として、応力−ひずみ関係を用いて成形シミュレーションを実行する成形シミュレーション手段による成形シミュレーション解析を行い、この解析結果に基づいて、プレス成形品の品質が一定基準に達するか否かを判定する成形条件判定手順と、を備え、
前記成形条件判定手順でプレス成形品の品質が一定基準に達すると判定されるまで、ダ
イクッション圧最適化手順、成形条件判定手順、スライド速度最適化手順、成形条件判定
手順の順に繰り返すことを特徴とするプレス機の成形条件決定方法。 - 請求項5に記載のプレス機の成形条件決定方法において、
前記成形条件判定手順では、成形シミュレーション解析結果として出力される、最小主
ひずみ及び板厚減少率、または、最小主ひずみ及び相当塑性ひずみに基づいて、プレス成
形品の品質が一定基準に達するか否かを判定することを特徴とするプレス機の成形条件決
定方法。 - 請求項5または6に記載のプレス機の成形条件決定方法において、
前記成形条件判定手順では、応力−ひずみ関係を用いて成形シミュレーションを実行し、前記応力−ひずみ関係を、ひずみ速度を考慮して決定することを特徴とするプレス機の
成形条件決定方法。 - 請求項7に記載のプレス機の成形条件決定方法において、
前記成形条件判定手順では、摩擦係数を用いて成形シミュレーションを実行し、前記摩擦係数を、材料とプレス機の金型との摺動速度および接触面圧を考慮して決定することを特徴とするプレス機の成形条件決定方法。
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