JP5003580B2 - 四輪駆動車の駆動力配分制御装置 - Google Patents

四輪駆動車の駆動力配分制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、車両の駆動源である原動機の出力トルクを、前輪および後輪のうちの一方である主駆動輪に伝達するとともに、トルク配分アクチュエータを介して前輪および後輪のうちの他方である副駆動輪に伝達する四輪駆動車の、前記トルク配分アクチュエータの作動を制御して、前記主駆動輪と前記副駆動輪とのトルク配分を車両状態に応じたものとする駆動力配分制御装置に関するものである。
上述の如き四輪駆動車の駆動力配分制御装置としては従来、例えば特許文献1記載のものが知られており、この駆動力配分制御装置は、トルク配分アクチュエータの作動を制御することにより、主駆動輪と副駆動輪とのトルク配分を車両状態としての静的荷重配分に応じたものとするとともに、ドライバーや総合制御装置等からより高い駆動トルクを要求されると、前輪駆動ベースの四輪駆動車ゆえ副駆動輪としての後輪の、加速による荷重配分の増加に従って、副駆動輪のトルク配分を増加させてその要求に応じている。
特開2001−225658号公報
しかしながら、上記従来の四輪駆動車の駆動力配分制御装置では、より高い駆動トルクを要求されると、主駆動輪の推定許容駆動トルクを勘案せずに常に副駆動輪の荷重配分の増加に従って副駆動輪のトルク配分を増加させて目標伝達トルクを設定している。このため、発進性および加速性には優れるものの、主駆動輪のみで駆動トルクを許容できるような場合でも副駆動輪へトルク配分されることから、副駆動輪側の駆動系に必要以上の駆動負荷が掛かるので、副駆動輪側の駆動系の耐力をより小さく設定して駆動ユニットの軽量化や原価低減を図るのが困難であるという、改良することが望ましい点があった。
それゆえ本発明は、副駆動輪側の駆動系の耐力を小さく設定することができる四輪駆動車の駆動力配分制御装置を提案することを目的としている。
この目的のため本発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置は、車両の駆動源である原動機の出力トルクを、前輪および後輪のうちの一方である主駆動輪に伝達するとともに、トルク配分アクチュエータを介して前輪および後輪のうちの他方である副駆動輪に伝達する四輪駆動車の、前記トルク配分アクチュエータの作動を制御して、前記主駆動輪と前記副駆動輪とのトルク配分を車両状態に応じたものとする駆動力配分制御装置において、各々所定時間ごとに繰返し処理を行う推定主駆動輪許容トルク算出手段と目標伝達トルク設定手段とアクチュエータ制御手段とを具え、前記推定主駆動輪許容トルク算出手段は、前記主駆動輪の推定荷重に基づき推定主駆動輪許容駆動トルクを算出し、前記目標伝達トルク設定手段は、前記原動機の出力トルクに基づく総駆動トルクから前記推定主駆動輪許容駆動トルクを減算した値を前記副駆動輪への目標伝達トルクとして設定して記憶し、次回の処理でより高い駆動トルクが要求された場合に、主駆動輪と副駆動輪との回転差が所定以上発生していなければ前記記憶した目標伝達トルクの値を副駆動輪への目標伝達トルクとして設定し、前記アクチュエータ制御手段は、前記設定された目標伝達トルクを前記副駆動輪に伝達するように前記トルク配分アクチュエータの作動を制御することを特徴としている。
かかる本発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置にあっては、所定時間ごとに繰返し行なう処理により、推定主駆動輪許容トルク算出手段が、主駆動輪の推定荷重に基づき推定主駆動輪許容駆動トルクを算出し、目標伝達トルク設定手段が、原動機の出力トルクに基づく総駆動トルクから推定主駆動輪許容駆動トルクを減算した値を副駆動輪への目標伝達トルクとして設定して記憶し、次回の処理でより高い駆動トルクが要求された場合に、主駆動輪と副駆動輪との回転差が所定以上発生していなければその記憶した目標伝達トルクの値を副駆動輪への目標伝達トルクとして設定し、アクチュエータ制御手段が、目標伝達トルク設定手段が設定した目標伝達トルクを副駆動輪に伝達するようにトルク分配アクチュエータの作動を制御する。
従って、この発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置によれば、例えば高μ路での走行等の、主駆動輪のみで発進または加速が可能な状態では、推定主駆動輪許容駆動トルクが大きく算出されることから、副駆動輪への目標伝達トルクが、副駆動輪の許容駆動トルクに対して小さく設定されるので、副駆動輪側の駆動系に掛かる駆動負荷を低減することができ、それゆえ副駆動輪側の駆動系の耐力をより小さく設定して駆動ユニットの軽量化や原価低減を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置の第1実施例を具えたパワートレーンを示す全体システム図である。
図中符号1は原動機としてのエンジン、2は有段自動変速機、3はフロントディファレンシャル、4はリヤディファレンシャル、5は右前輪、6は左前輪、7は右後輪、8は左後輪、9は通常の電磁式クラッチを具えたトルク配分アクチュエータ、10は通常のマイクロコンピュータを具えたトルク配分コントローラ、11は右前輪速センサ、12は左前輪速センサ、13は右後輪速センサ、14は左後輪速センサ、15はアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ、16はこれも通常のマイクロコンピュータを具えてエンジン1の点火時期等を制御するエンジンコントローラを示している。
この第1実施例の駆動力配分制御装置が適用される四輪駆動車は、主駆動輪としての左右の前輪5,6へはエンジン1の駆動トルクが直接伝達され、副駆動輪としての左右の後輪7,8へはトルク配分アクチュエータ9を介してエンジン1の駆動トルクが伝達される前輪駆動ベースの四輪駆動車である。すなわち、トルク配分アクチュエータ9が解放状態である場合は、前輪:後輪=100:0のトルク配分比となり、トルク配分アクチュエータ9がエンジン1の駆動トルクの1/2トルク以上にて締結されていれば、前輪:後輪=50:50の等トルク配分比となり、トルク配分コントローラ10からの制御指令によって作動するトルク配分アクチュエータ9の締結トルクにより、前輪5,6と後輪7,8とに伝達されるトルク配分比が、前輪:後輪=100:0〜50:50の範囲にて可変に制御される。
トルク配分コントローラ10は、各車輪速センサ11,12,13,14からの車輪速信号と、アクセル開度センサ15からのアクセル開度信号と、エンジンコントローラ16からのエンジン回転信号と、これも通常のマイクロコンピュータを具えて自動変速機2の変速作動を制御する図示しない自動変速機コントローラからのギア位置信号等とを入力する。
そしてトルク配分コントローラ10は、決められた制御則に従った演算処理を短時間(例えば100ms)毎に繰り返し行うことで、主駆動輪の推定荷重に基づき推定主駆動輪許容駆動トルクを算出する推定主駆動輪許容トルク算出部10aと、エンジン1の駆動トルクに基づく総駆動トルクから推定主駆動輪許容駆動トルクを減算した値を副駆動輪への目標伝達トルクとして設定して記憶し、次回の処理でより高い駆動トルクが要求された場合に、主駆動輪と副駆動輪との回転差が所定以上発生していなければ前回記憶した目標伝達トルクの値を副駆動輪への目標伝達トルクとして設定する目標伝達トルク設定部10bと、その設定された目標伝達トルクを副駆動輪に伝達するようにトルク配分アクチュエータの作動を制御するアクチュエータ制御部10cとして機能し、その演算処理結果による制御指令をトルク配分アクチュエータ9に出力する。
図2は、この第1実施例の駆動力配分制御装置のトルク配分コントローラ10が実行するトルク配分制御を示すフローチャートである。
ステップS1では、推定主駆動輪荷重と推定前後荷重配分の算出および推定路面摩擦係数μ(前回値)の読み込みを行う。ここで、推定主駆動輪(前輪)荷重および推定前後荷重配分は、当該車両の仕様に応じてあらかじめ与えられた車両総重量と前後重量配分とから求めることができる。また推定路面μ(前回値)は後述するステップS7〜S9の前回の実行によって記憶している。
次のステップS2では、算出した推定主駆動輪荷重と読み込んだ推定推定路面μ(前回値)とを乗算して、主駆動輪である左右前輪5,6の推定摩擦力に等しい推定主駆動輪許容トルク(前回値)を算出し、続くステップS3では、総駆動力の算出および副駆動輪指令トルク(前回値)の読み込みを行う。ここで、総駆動力は、現在エンジントルク推定値と自動変速機2の現在の変速比とに基づいて定まり、現在エンジントルク推定値はアクセル開度センサ15からのアクセル開度信号とエンジンコントローラ16からのエンジン回転信号とに基づいて求まり、自動変速機2の現在の変速比は上記自動変速機コントローラからのギア位置信号から求まる。そして副駆動輪指令トルク(前回値)は後述のステップS12で設定して記憶している。
次のステップS4では、総駆動力から副駆動輪指令トルク(前回値)を減算して主駆動輪配分トルクを算出し、続くステップS5では、前後輪の回転数差である前後差回転が所定値以上であるか否かを判断する。この判断は、先ず、各車輪速センサ11,12,13,14からの車輪速信号に基づいて前輪右車輪速度と前輪左車輪速度と後輪右車輪速度と後輪左車輪速度を計算する。そして左右前輪車輪速度の平均値と左右後輪車輪速度の平均値との差をとることにより前後回転数差を計算する。なお、この計算は、アンチスキッドブレーキシステム(ABS)が搭載された車両では、ABSコントローラでの計算結果を流用することで省略しても良い。
次いで、上記求めた前後差回転と所定値とを比較して、前後差回転が所定値以下であるか否かを判断する。この所定値は、例えば雨で濡れた路面で前輪のみの二輪駆動走行中にドライバーが気付くか否かの前輪の空転で生ずる程度に設定されており、これにより通常のドライ路面や僅かに濡れた路面では前後差回転が所定値以下となり、例えば雪道や氷結路等では前後差回転が所定値を越えることになる。
ステップS5での判断の結果前後差回転が所定値以下の(YESの)場合には、次のステップS6で、主駆動輪配分トルクが推定主駆動輪許容トルク(前回値)以上か否かを判断し、主駆動輪配分トルクが推定主駆動輪許容トルク(前回値)以上の(YESの)場合には、次のステップS7で、推定路面μの値を、未だ所定上限値に到達していなければ一定値増加させて今回値とする(インクリメントする)。
一方、ステップS5での判断の結果、前後差回転が所定値以下でない(NOの)場合には、ステップS8で、主駆動輪配分トルクと推定主駆動輪許容トルク(前回値)とのうち低い方と推定駆動輪荷重とから推定路面μ(今回値)を算出して推定路面μ(前回値)と比較し、今回値の方が低い場合に、推定路面μの値を、未だ所定下限値に到達していなければ一定値減少させて今回値とする(デクリメントする)。なお、ステップS6での判断の結果、主駆動輪配分トルクが推定主駆動輪許容トルク(前回値)以上でない(NOの)場合には、ステップS9で、推定路面μの今回値として、前回値を維持する。
次のステップS10では、推定路面μの今回値と推定主駆動輪荷重とを乗算して推定主駆動輪許容トルク(今回値)を算出し、続くステップS11では、総駆動力から推定主駆動輪許容トルク(今回値)を減算して副駆動輪配分トルクT1を算出し、次のステップS12では、その副駆動輪配分トルクT1を、目標伝達トルクとしての副駆動輪指令トルク(今回値)として設定および記憶する。そしてこの副駆動輪指令トルク(今回値)に対応した制御指令をトルク配分アクチュエータ9に出力する。
従って、トルク配分コントローラ10の処理のうち、ステップS1〜S10は推定主駆動輪許容トルク算出手段としての推定主駆動輪許容トルク算出部10a、ステップS11〜S12は目標伝達トルク設定手段としての目標伝達トルク設定部10b、ステップS12はアクチュエータ制御手段としてのアクチュエータ制御部10cに相当する。
この第1実施例の駆動力配分制御装置によれば、例えば高μ路での走行等の、主駆動輪のみで発進または加速が可能な状態では、推定主駆動輪許容駆動トルクが大きく算出されることから、副駆動輪への目標伝達トルクが、副駆動輪の許容駆動トルクに対して小さく設定されるので、前輪駆動車に近い前後輪トルク配分で走行し得て、副駆動輪側の駆動系に掛かる駆動負荷を低減することができ、それゆえ副駆動輪側の駆動系の耐力をより小さく設定して駆動ユニットの軽量化や原価低減を図ることができる。
図3は、この発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置の第2実施例を具えたパワートレーンを示す全体システム図であり、図中先の第1実施例と同様の部分はそれと同一の符号にて示す。この第2実施例の四輪駆動車の駆動力配分制御装置は、トルク配分コントローラ10がさらに、目標伝達トルク下限値保持部10dを有する点のみ、第1実施例と異なっており、他の点では第1実施例と同様に構成されている。
図4は、この第2実施例の駆動力配分制御装置のトルク配分コントローラ10が実行するトルク配分制御を示すフローチャートであり、このフローチャートが図2に示す第1実施例のフローチャートと異なる点は、ステップS12以下のみであるので、その異なる点のみについて以下に説明する。
この第2実施例の駆動力配分制御装置では、トルク配分コントローラ10は、ステップS12で、先にステップS1で求めた推定前後荷重配分とステップS3で求めた総躯動力とから、従来と同様にその総躯動力を前後荷重配分に応じて副駆動輪としての後輪側に配分した副駆動輪配分トルクT2を求める。
次のステップS13では、ステップS12で求めた副駆動輪配分トルクT2が副駆動輪指令トルクの所定下限値Tmin1以上か否かを判断して、前後荷重配分に応じた副駆動輪配分トルクT2が所定下限値Tmin1以上の(YESの)場合には、次のステップS14で、ステップS11で求めた、推定主駆動輪許容駆動トルクに基づく副駆動輪配分トルクT1と副駆動輪指令トルクの所定下限値Tmin2(<Tmin1)とを比較して、値が高い方を目標伝達トルクとしての副駆動輪指令トルク(今回値)として設定および記憶する。そしてこの副駆動輪指令トルク(今回値)に対応した制御指令をトルク配分アクチュエータ9に出力する。
一方、ステップS13で、副駆動輪配分トルクT2が所定下限値Tmin1以上でない(NOの)場合には、ステップS15で、前後荷重配分に応じた副駆動輪配分トルクT2を目標伝達トルクとしての副駆動輪指令トルク(今回値)として設定および記憶する。そしてこの副駆動輪指令トルク(今回値)に対応した制御指令をトルク配分アクチュエータ9に出力する。
従って、トルク配分コントローラ10の処理のうちステップS12〜S15は目標伝達トルク下限値保持部10dに相当し、この第2実施例の駆動力配分制御装置によれば、第1実施例と同様の作用効果が得られるのに加え、前後荷重配分に応じた副駆動輪配分トルクT2が所定下限値Tmin1未満の場合はその前後荷重配分に応じた(ゼロにならない)副駆動輪配分トルクT2が目標伝達トルクになり、また前後荷重配分に応じた副駆動輪配分トルクT2が所定下限値Tmin1以上の場合は推定主駆動輪許容駆動トルクに基づく副駆動輪配分トルクT1と副駆動輪指令トルクの所定下限値Tmin2とのうち高い方が目標伝達トルクになるので、車両発進時における主駆動輪の初期空転を抑制し得て、発進性を向上させることができる。
図5は、この発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置の第3実施例を具えたパワートレーンを示す全体システム図であり、図中先の第2実施例と同様の部分はそれと同一の符号にて示す。この第3実施例の四輪駆動車の駆動力配分制御装置はさらに、車両の前後加速度を検出する前後加速度検出手段としての、通常の加速度センサからなる前後加速度検出器17をトルク配分コントローラ10に接続されて具える点のみ、第2実施例と異なっており、他の点では第2実施例と同様に構成されている。なお、この第3実施例の四輪駆動車の駆動力配分制御装置のトルク配分コントローラ10も目標伝達トルク下限値保持部10dを有するが、図示は省略する。
図6は、この第3実施例の駆動力配分制御装置のトルク配分コントローラ10が実行するトルク配分制御を示すフローチャートであり、このフローチャートが図4に示す第2実施例のフローチャートと異なる点は、ステップS0のみであるので、その異なる点のみについて以下に説明する。
この第3実施例の駆動力配分制御装置では、トルク配分コントローラ10は、ステップS0で、前後加速度検出器17から入力した前後加速度値に応じて、次のステップS1で求める推定主駆動輪荷重を補正する。すなわち車両が加速すると、前後荷重配分は、当該車両の仕様に応じてあらかじめ与えられた車両総重量と前後重量配分とから求めた配分よりも副駆動輪(後輪)側が増加するとともに主駆動輪(前輪)側が減少するので、前後加速度値の増大に応じて推定主駆動輪荷重を減少させる。
この第3実施例の駆動力配分制御装置によれば、第2実施例と同様の作用効果が得られるのに加え、前後加速度値に応じて推定主駆動輪荷重を補正するので、後輪への目標伝達トルクをより精度良く算出することができ、車両の発進時および加速時において後方への荷重移動に応じて副駆動輪である後輪への目標伝達トルクを増大させ得て、発進性および加速性を向上させることができる。
図7は、この発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置の第4実施例を具えたパワートレーンを示す全体システム図であり、図中先の第2実施例と同様の部分はそれと同一の符号にて示す。この第4実施例の四輪駆動車の駆動力配分制御装置はさらに、車輪のスリップを検出する車輪スリップ検出手段としての車輪スリップ検出器18を具える点のみ、第2実施例と異なっており、他の点では第2実施例と同様に構成されている。
なお、具体的にはこの第4実施例の四輪駆動車の駆動力配分制御装置のトルク配分コントローラ10が、各車輪速センサ11,12,13,14からの車輪速信号に基づいて前輪右車輪速度と前輪左車輪速度と後輪右車輪速度と後輪左車輪速度を計算し、そして左右前輪車輪速度の平均値と左右後輪車輪速度の平均値との差をとることにより前後回転数差を計算することで、車輪スリップ検出器18としての機能を果たす。また、この第4実施例の四輪駆動車の駆動力配分制御装置のトルク配分コントローラ10も目標伝達トルク下限値保持部10dを有するが、図示は省略する。
図8は、この第4実施例の駆動力配分制御装置のトルク配分コントローラ10が実行するトルク配分制御を示すフローチャートであり、このフローチャートが図4に示す第2実施例のフローチャートと異なる点は、ステップS5-1およびステップS5-2のみであるので、その異なる点のみについて以下に説明する。
この第4実施例の駆動力配分制御装置では、トルク配分コントローラ10は、ステップS5-1で、各車輪速センサ11,12,13,14からの車輪速信号に基づいて、左右前輪5,6および左右後輪7,8のうち1輪以上の空転量が所定値以上か否かを判断し、1輪以上の空転量が所定値以上の(YESの)場合は前述のステップS8へ進み、そうでない場合は次のステップS5-2で、前述のステップS5と同様、前後差回転が所定値以下か否かを判断し、前後差回転が所定値以下の場合は前述のステップS7へ進み、そうでない場合は前述のステップS9へ進む。
この第4実施例の駆動力配分制御装置によれば、第2実施例と同様の作用効果が得られるのに加え、1輪以上の空転量が所定値以上かまたは前後差回転が所定値を越える場合に推定路面μの値を低下させて推定主駆動輪許容駆動トルクを減少させることから、主駆動輪に空転が発生した場合でもエンジントルクダウン等の方法によらず、総駆動力を低減することなくその後の車輪の空転を抑え得て、副駆動輪への配分トルクが小さい状態で雪道等の低μ路に進入して発進加速や中間加速を行った場合でも、副駆動輪への配分トルクを所定値以上として主駆動輪の空転を防止するので、雪道等においてもアスファルト路等と同等の発進加速や中間加速を行うことができる。
図9は、この発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置の第5実施例を具えたパワートレーンを示す全体システム図であり、図中先の第2実施例と同様の部分はそれと同一の符号にて示す。この第5実施例の四輪駆動車の駆動力配分制御装置はさらに、路面の勾配を検出する勾配検出手段としての勾配検出器19を具える点のみ、第2実施例と異なっており、他の点では第2実施例と同様に構成されている。
なお、路面の勾配と車両の前後加速度との間には、同じ総駆動力でも路面の上り勾配の角度が増加するにつれて車両の前後加速度が減少するという関係があることから、具体的にはこの第5実施例の四輪駆動車の駆動力配分制御装置では、トルク配分コントローラ10が、図5に示す第3実施例と同様に前後加速度検出器17を具え、その前後加速度検出器17が検出した車両の前後加速度と、前述のステップS2で前回求めた総駆動力とから、例えばあらかじめ実験によって定めたマップを用いて路面の上り勾配の程度を求めている。また、この第5実施例の四輪駆動車の駆動力配分制御装置のトルク配分コントローラ10も目標伝達トルク下限値保持部10dを有するが、図示は省略する。
図10は、この第5実施例の駆動力配分制御装置のトルク配分コントローラ10が実行するトルク配分制御を示すフローチャートであり、このフローチャートが図4に示す第2実施例のフローチャートと異なる点は、ステップS0のみであるので、その異なる点のみについて以下に説明する。
この第5実施例の駆動力配分制御装置では、トルク配分コントローラ10は、ステップS0で、前後加速度検出器17から入力した前後加速度値から上述の如くして求めた路面の上り勾配に応じて、次のステップS1で求める推定主駆動輪荷重を補正する。すなわち路面の上り勾配の角度が増加すると、前後荷重配分は、当該車両の仕様に応じてあらかじめ与えられた車両総重量と前後重量配分とから求めた配分よりも副駆動輪(後輪)側が増加するとともに主駆動輪(前輪)側が減少するので、路面の上り勾配の角度の増加に応じて推定主駆動輪荷重を減少させる。
この第5実施例の駆動力配分制御装置によれば、第2実施例と同様の作用効果が得られるのに加え、路面の上り勾配の角度に応じて推定主駆動輪荷重を補正するので、後輪への目標伝達トルクをより精度良く算出することができ、車両の発進時および加速時において路面の上り勾配の角度が大きいほど副駆動輪への目標伝達トルクを増大させ得て、発進性および加速性を向上させることができる。
図11は、車両の発進加速時およびその後の中間加速時における、上記各実施例の駆動力配分制御装置による駆動力配分制御の効果を示すタイムチャートであり、図示のように、時刻1秒〜4秒までの発進加速時の3秒間アクセル開度25%に維持してからアクセル開度0%に戻すと、先ず1速で高い総駆動トルクが立ち上がり、車速が上がるにつれて、約3秒の時に2速に、そして約4秒の時に3速にアップシフト変速され、それにつれて総駆動トルクが下がり、約4秒から後のアクセル開度0%の間は総駆動トルク0で変速段を維持してコースト走行する。
この発進加速時に、副駆動輪である後輪への配分トルクは、従来の制御であれば図11の最下部に破線で示すように概ね一定に維持されてしまうが、上記実施例によれば同部に実線で示すように、総駆動トルクを立ち上がり後は低下させることができ、これにより前輪駆動車に近い前後輪トルク配分で走行することができる。
また図示のように、時刻10秒〜15秒までの中間加速時の5秒間アクセル開度50%に維持してからアクセル開度0%に戻すと、先ずコースティングで維持された3速で総駆動トルクが上昇し、車速が上がるにつれて、約13秒の時に4速にアップシフト変速され、それにつれて総駆動トルクが下がり、約15秒から後のアクセル開度0%の間は総駆動トルク0で変速段を維持してコースト走行する。
この中間加速時にも、副駆動輪である後輪への配分トルクは、従来の制御であれば図11の最下部に破線で示すようにある程度の高さに維持されてしまうが、上記実施例によれば同部に実線で示すように、発進加速時に低下したままの低さに維持することができ、これにより前輪駆動車に近い前後輪トルク配分で走行することができる。
従ってこの結果からも、上記各実施例の駆動力配分制御装置は、副駆動輪側の駆動系に掛かる駆動負荷を低減することができるということが判る。それゆえ上記各実施例の駆動力配分制御装置によれば、副駆動輪側の駆動系の耐力をより小さく設定して駆動ユニットの軽量化や原価低減を図ることができる。
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内において種々変更が加えられうるものである。例えば、この発明の駆動力配分制御は、後輪駆動をベースとした四輪駆動車にも適用することができ、その場合には後輪が主駆動輪、前輪が副駆動輪となる。また、上記実施例は有段自動変速機を具える四輪駆動車に適用したが、この発明の駆動力配分制御は無段自動変速機を具える四輪駆動車に適用することもできる。
かくしてこの発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置によれば、例えば高μ路での走行等の、主駆動輪のみで発進または加速が可能な状態では、推定主駆動輪許容駆動トルクが大きく算出されることから、副駆動輪への目標伝達トルクが、副駆動輪の許容駆動トルクに対して小さく設定されるので、副駆動輪側の駆動系に掛かる駆動負荷を低減することができ、それゆえ副駆動輪側の駆動系の耐力をより小さく設定して駆動ユニットの軽量化や原価低減を図ることができる。
なお、この発明においては、前記目標伝達トルク設定手段は、目標伝達トルク下限値を有し、前記設定した目標伝達トルクとその目標伝達トルク下限値とのうち高い方の値を改めて目標伝達トルクとして設定するものであっても良い。このようにすれば、副駆動輪への配分トルクが小さい状態で雪道等の低μ路に進入して発進加速や中間加速を行った場合でも、副駆動輪への配分トルクを所定値以上として主駆動輪の空転を防止するので、雪道等においてもアスファルト路等と同等の発進加速や中間加速を行うことができる。
また、この発明においては、前記駆動力配分制御装置は、前記車両の前後加速度を検出する前後加速度検出手段を具え、前記主駆動輪推定許容トルク算出手段は、前記前後加速度検出手段が検出した車両の前後加速度の大きさに応じて前記主駆動輪の推定荷重を補正するものであっても良い。このようにすれば、後輪への目標伝達トルクをより精度良く算出することができるので、車両の発進時および加速時において後方への荷重移動に応じて副駆動輪である後輪への目標伝達トルクを増大させ得て、発進性および加速性を向上させることができる。
さらに、この発明においては、前記駆動力配分制御装置は、前記車両の前記主駆動輪のスリップを検出する主駆動輪スリップ検出手段を具え、前記主駆動輪推定許容トルク算出手段は、前記主駆動輪スリップ検出手段が主駆動輪のスリップを検出した場合に、前記主駆動輪の推定許容トルクを小さくするものであっても良い。このようにすれば、主駆動輪に空転が発生した場合でもエンジントルクダウン等の方法によらず、総駆動力を低減することなくその後の車輪の空転を抑え得て、副駆動輪への配分トルクが小さい状態で雪道等の低μ路に進入して発進加速や中間加速を行った場合でも、副駆動輪への配分トルクを所定値以上として主駆動輪の空転を防止するので、雪道等においてもアスファルト路等と同等の発進加速や中間加速を行うことができる。
そして、この発明においては、前記主駆動輪は前記車両の前輪であり、前記駆動力配分制御装置は、前記車両が走行している路面の上り勾配を検出する上り勾配検出手段を具え、前記目標伝達トルク設定手段は、上り勾配検出手段が上り勾配を検出した場合に、前記目標伝達トルクを勾配がない場合より大きく設定するものであっても良い。このようにすれば、副駆動輪である後輪への目標伝達トルクをより精度良く算出することができるので、車両の発進時および加速時において路面の上り勾配の角度が大きいほど副駆動輪への目標伝達トルクを増大させ得て、発進性および加速性を向上させることができる。
この発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置の第1実施例を具えたパワートレーンを示す全体システム図である。 上記第1実施例の駆動力配分制御装置のトルク配分コントローラが実行するトルク配分制御を示すフローチャートである。 この発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置の第2実施例を具えたパワートレーンを示す全体システム図である。 上記第2実施例の駆動力配分制御装置のトルク配分コントローラが実行するトルク配分制御を示すフローチャートである。 この発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置の第3実施例を具えたパワートレーンを示す全体システム図である。 上記第3実施例の駆動力配分制御装置のトルク配分コントローラが実行するトルク配分制御を示すフローチャートである。 この発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置の第4実施例を具えたパワートレーンを示す全体システム図である。 上記第4実施例の駆動力配分制御装置のトルク配分コントローラが実行するトルク配分制御を示すフローチャートである。 この発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置の第5実施例を具えたパワートレーンを示す全体システム図である。 上記第5実施例の駆動力配分制御装置のトルク配分コントローラが実行するトルク配分制御を示すフローチャートである。 車両の発進加速時およびその後の中間加速時における、上記各実施例の駆動力配分制御装置による駆動力配分制御の効果を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 エンジン
2 無段変速機
3 フロントディファレンシャル
4 リヤディファレンシャル
5 右前輪
6 左前輪
7 右後輪
8 左後輪
9 トルク配分アクチュエータ
10 トルク配分コントローラ
10a 推定主駆動輪許容トルク算出部
10b 目標伝達トルク設定部
10c アクチュエータ制御部
10d 目標伝達トルク下限値保持部
11 右前輪速センサ
12 左前輪速センサ
13 右後輪速センサ
14 右後輪速センサ
15 アクセル開度センサ
16 エンジンコントローラ
17 前後加速度検出器
18 車輪スリップ検出器
19 勾配検出器

Claims (5)

  1. 車両の駆動源である原動機の出力トルクを、前輪および後輪のうちの一方である主駆動輪に伝達するとともに、トルク配分アクチュエータを介して前輪および後輪のうちの他方である副駆動輪に伝達する四輪駆動車の、前記トルク配分アクチュエータの作動を制御して、前記主駆動輪と前記副駆動輪とのトルク配分を車両状態に応じたものとする駆動力配分制御装置において、
    各々所定時間ごとに繰返し処理を行う推定主駆動輪許容トルク算出手段と目標伝達トルク設定手段とアクチュエータ制御手段とを具え、
    前記推定主駆動輪許容トルク算出手段は、前記主駆動輪の推定荷重に基づき推定主駆動輪許容駆動トルクを算出し、
    前記目標伝達トルク設定手段は、前記原動機の出力トルクに基づく総駆動トルクから前記推定主駆動輪許容駆動トルクを減算した値を前記副駆動輪への目標伝達トルクとして設定して記憶し、次回の処理でより高い駆動トルクが要求された場合に、主駆動輪と副駆動輪との回転差が所定以上発生していなければ前記記憶した目標伝達トルクの値を副駆動輪への目標伝達トルクとして設定し、
    前記アクチュエータ制御手段は、前記目標伝達トルク設定手段が設定した目標伝達トルクを前記副駆動輪に伝達するように前記トルク配分アクチュエータの作動を制御することを特徴とする、四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  2. 前記目標伝達トルク設定手段は、目標伝達トルク下限値を有し、前記設定した目標伝達トルクとその目標伝達トルク下限値とのうち高い方の値を改めて目標伝達トルクとして設定することを特徴とする、請求項1記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  3. 前記駆動力配分制御装置は、前記車両の前後加速度を検出する前後加速度検出手段を具え、
    前記主駆動輪推定許容トルク算出手段は、前記前後加速度検出手段が検出した車両の前後加速度の大きさに応じて前記主駆動輪の推定荷重を補正することを特徴とする、請求項1記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  4. 前記駆動力配分制御装置は、前記車両の前記主駆動輪のスリップを検出する主駆動輪スリップ検出手段を具え、
    前記主駆動輪推定許容トルク算出手段は、前記主駆動輪スリップ検出手段が主駆動輪のスリップを検出した場合に、前記主駆動輪の推定許容トルクを小さくすることを特徴とする、請求項1記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  5. 前記主駆動輪は前記車両の前輪であり、
    前記駆動力配分制御装置は、前記車両が走行している路面の上り勾配を検出する上り勾配検出手段を具え、
    前記目標伝達トルク設定手段は、上り勾配検出手段が上り勾配を検出した場合に、前記目標伝達トルクを勾配がない場合より大きく設定することを特徴とする、請求項1記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
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