JP5008155B2 - アクリル系樹脂の製造方法、アクリル系樹脂、および成形体 - Google Patents
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Description
これまで、一般的にアクリル系樹脂の機械強度や成形性を改善する公知の方法として、低分子量のアクリル系樹脂で流動性を付与し、高分子量もしくは微架橋構造で機械強度を付与する方法が知られている。それに関連して高分子量もしくは低分子量のアクリル系樹脂を溶融混合したり、分岐構造を用いて分子量分布を拡大する技術が報告されている。(例えば、特許文献1、2、3参照)。
しかし、特許文献1記載のアクリル系樹脂は、2つの異なる分子量のアクリル系樹脂を混合するのみで、高流動性と機械強度とを同時に満足するものではない。また、特許文献2には、低分子量を構成するアクリル系樹脂にメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体を多量共重合させる技術が記載されている。しかし、得られるアクリル系樹脂の流動性は不十分である。
また、特許文献4には、多段重合法を用いることで従来のアクリル系樹脂と比較して機械強度を保持したまま流動性を改善させる技術が開示されている。この技術により、得られる重合体の特性向上は可能となったが、重合時において凝集物量が多くなることもあった。凝集物が増えると、色度の低下が見られることもあり、凝集物を除去すると、収率が低下することから、重合時における凝集物量の低減が求められている。また、アクリル系樹脂中に残存するモノマー量が増加すると、得られたアクリル系樹脂の成形時、成形体にシルバーと呼ばれる銀状痕が残るなど、成形不良を起こすことがあり、樹脂中に残存するモノマー量の低減も求められている。
[1]メタクリル酸エステルを含有するアクリル系樹脂の製造方法であって、メタクリル酸エステル単量体80〜100質量%、及び、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1つ以上のビニル系単量体20〜0質量%を含有する原料から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量が5000〜50000である重合体(I)を該アクリル系樹脂全体に対して5〜45質量%製造した後、重合体(I)の存在下でさらにメタクリル酸エステル単量体および、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1つ以上のビニル系単量体を含む原料を添加して重量平均分子量が60000〜350000である重合体(II)を該アクリル系樹脂全体に対して95〜55質量%製造することを特徴とする、アクリル系樹脂の製造方法であり、重合体(I)の原料を添加してから重合発熱による発熱ピーク温度が観測されるまでの時間をT1とし、重合体(II)の原料を添加してから重合発熱による発熱ピーク温度が観測されるまでの時間をT2としたときに、下記式(1)が成り立つことを特徴とするアクリル系樹脂の製造方法。
0.6<T2/T1<1 ・・・(1)
までの時間T2が、40分以上180分以下であることを特徴とする上記1に記載のアク
リル系樹脂の製造方法。
[3]懸濁重合法により製造することを特徴とする上記1または2に記載のアルカリ系樹
脂の製造方法。
[4]前記ビニル系単量体が、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチ
ルから選ばれる少なくとも1つ以上のビニル系単量体であることを特徴とする上記1〜3
のいずれか一に記載のアクリル系樹脂の製造方法。
[5]前記ビニル系単量体が、アクリル酸メチルであることを特徴とする上記1〜4のいず
れか一に記載のアクリル系樹脂の製造方法。
[6]重合体(I)の原料のメタクリル酸エステル単量体がメタクリル酸メチルである上
記1〜5のいずれか一に記載のアクリル系樹脂の製造方法。
、凝集体の生成を抑えることができるために高い生産性を有し、且つ、樹脂中に残存するモノマーの量が少ないアクリル系樹脂の製造方法を提供するものである。
なお、本発明においては、重合前のモノマー成分のことを「〜単量体」というが、「単量体」を省略することもある。また、重合体を構成する構成単位のことを「〜単量体単位」という。
本発明の製造方法により得られるアクリル系樹脂は、少なくともメタクリル酸エステル単量体を重合して得られるものであり、本発明の効果を発揮できる範囲で、メタクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体を共重合させてもよい。
本発明において用いることのできるメタクリル酸エステル単量体としては、本発明の効果を達成できるものであれば特に制限されないが、好ましい例としては下記一般式(2)で示される単量体が挙げられる。
好適に用いることのできるメタクリル酸エステル単量体の具体例としては、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)などが挙げられ、入手しやすさなどからメタクリル酸メチルである。
上記メタクリル酸エステル単量体は一種または二種以上組み合わせて使用することもできる。
また、上記メタクリル酸エステル単量体は、重合体(I)と重合体(II)で同じものを使用してもよく、異なるものを用いてもよい。
上述のメタクリル酸エステル単量体に加えて、得られる重合体に耐熱性、光学特性、加工性等の特性を向上させる目的などから、ビニル系単量体を適宜添加して共重合させるとよい。一例を挙げると、下記一般式(3)で表されるアクリル酸エステル単量体
上記ビニル系単量体は一種または二種以上組み合わせて使用することもできる。
また、上記ビニル系単量体は、重合体(I)と重合体(II)で同じものを使用してもよく、異なるものを用いてもよい。
上記の単量体は、アクリル系樹脂中の重合体(I)と重合体(II)の組成比が、重合体(I)5〜45質量%であり、重合体(II)95〜55質量%となるように使用することが好ましい。この組成比であることにより、製造時の重合安定性を図ることができ、アクリル系樹脂とした場合の流動性や樹脂成形体の機械強度も向上させることができる。重合安定性、流動性、成形体の機械強度のさらなるバランスを考慮すると、重合体(I)/(II)の比率は、好ましくは5〜40質量%/95〜55質量%、更に好ましくは5〜35質量%/95〜65質量%であり、とりわけ好ましくは10〜35質量%/90〜65質量%である。
重合安定性を特に考慮する必要がある場合、重合体(I)中の共重合可能な他のビニル系単量体中のアクリル酸エステル単量体の配合量は実質的にゼロであることが好ましく、その際、原料であるメタクリル酸エステル単量体に不純物として存在する程度の量は許容される。
アクリル系樹脂中における他のビニル単量体の添加量は、アクリル系樹脂に対して1.5〜20質量%がよい。この範囲であると流動性と耐熱性が向上することから好ましい。より好ましくは1.5〜17質量%であり、さらに好ましくは2〜15質量%である。
重合安定性を特に考慮する必要がある場合、共重合可能な他のビニル系単量体中のアクリル酸エステル単量体の配合量は実質的にゼロであることが好ましい。原料であるメタクリル酸エステル単量体に不純物として含有する量は許容される。
重合体(II)の重量平均分子量は、機械強度、流動性の観点から、重量平均分子量が60000〜350000とすることが好ましい。より好ましくは70000〜320000であり、更に好ましくは75000〜300000である。
本発明において、重合体(I)、重合体(II)におけるメタクリル酸エステルに共重合可能な他のビニル系単量体単位の共重合割合は、本願の効果が発揮できる範囲であれば特に規定はされないが、重合体(I)のメタクリル酸エステルに共重合可能な他のビニル単量体単位の組成比率をMal(質量%)、重合体(II)のメタクリル酸エステルに共重合可能な他のビニル単量体単位の組成比率をMah(質量%)とすると、重合安定性から下記式(4)の関係が成り立つことが好ましい。
Mah≧Mal≧0 ・・・ (4)
高分子量である重合体(II)にメタクリル酸エステルに共重合可能な他のビニル系単量体が組成比率として多く含まれる方が、重合安定性を図れるだけでなく、耐熱性や機械強度を維持しながら流動性の向上を図れる為好ましい。より好ましくは下記式(5)の関係が成り立つことである。
(Mah−0.8)≧Mal≧0・・・・・・・・・・・・・・(5)
(Mah−2)≧Mal≧0・・・・・・・・・・・・・・(6)
組成比率MalとMahの量は、重合体(I)及び重合体(II)それぞれを熱分解ガスクロマトグラフィー法により測定し、決定することが可能である。上記の範囲に組成比率MalとMahを調整するには、1段目および2段目以降の重合時に添加するメタクリル酸エステル単量体に共重合可能な他のビニル系単量体の量を調整すればよい。
本発明におけるアクリル系樹脂の製造方法は、多段重合法に適した方法であれば特に限定されない。多段重合法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合法もしくは乳化重合法のいずれかが好ましい。より好ましくは塊状重合、溶液重合及び懸濁重合法であり、更に好ましくは懸濁重合法である。
1段目の重合工程でメタクリル酸エステル単量体、又はメタクリル酸エステル単量体および少なくとも一種のメタクリル酸エステルに共重合可能な他のビニル単量体とを重合してメタクリル酸エステル系重合体(I)(以下単に重合体(I)という。)を得、2段目以降の重合工程では、その重合体(I)の存在下に、メタクリル酸エステル単量体及び少なくとも1種のメタクリル酸エステルに共重合可能な他のビニル系単量体とを添加し、重合体(II)(以下単に重合体(II)という。)を製造する。この重合法であると、重合体(I)と重合体(II)のそれぞれの組成を制御しやすく、重合時の重合発熱による温度上昇が押さえられ、系内の粘度を安定化できるためである。
重合体(II)の単量体は重合体(I)の重合が完了しないうちに一部重合が開始されている状態で添加されてもよい。
本発明のアクリル系樹脂の製造方法においては、凝集体の抑制及び、残存モノマー量の低減の観点から、重合体(I)の重合時間、すなわち1段目の重合で原料を添加後に重合発熱により発熱ピーク温度に達するまでの時間(T1)と、重合体(II)の重合時間、すなわち2段目以降で原料を添加後に重合発熱により発熱ピーク温度に達するまでに時間(T2)の関係が、下記関係式(1)が成り立つ必要がある。
0.6<T2/T1<1 ・・・(1)
好ましくは0.65<T2/T1<1であり、より好ましくは0.7<T2/T1<1であり、更に好ましくは0.75<T2/T1<1であり、とりわけ好ましくは0.75<T2/T1<0.95であり、特に好ましくは0.8≦T2/T1<0.95である。1段目および2段目以降の発熱ピーク温度に達するまでの時間を関係式(1)のように調整するためには、重合体(I)と重合体(II)の重合割合によっても量比が変動するが、使用する重合開始剤の量を適宜最適な量に調整すればよい。
重合温度は、重合方法に応じて適宜最適の重合温度を選択して製造すればよいが、好ましくは、50℃以上180℃以下である。
以下一例として、懸濁重合法における製造方法について詳細に説明する。
本発明における重合温度は、生産性、凝集体の生成量を考慮すると、60℃以上90℃以下であることが好ましい。より好ましくは65℃以上85℃以下であり、更に好ましくは70℃以上85℃以下、特に好ましくは75℃以上85℃以下である。
重合体(I)及び重合体(II)の重合温度は、同じであっても異なっていてもよい。
懸濁重合法を採用する場合においても、上記の式(1)の関係が成り立つような条件とする。この範囲内とすることにより凝集体の生成量を少なくすることができるうえ、得られるアクリル系樹脂中の残存モノマー量が低減されるという点からも、生産性が向上する傾向にある。
重合体(I)の原料を添加してから重合発熱による発熱ピーク温度に達するまでの時間(T1)は、本発明の効果を発揮できる範囲であれば良いが、好ましくは、60分以上270分以下とするとよい。より好ましくは、70分以上240分以下、更に好ましくは70分以上180分以下、とりわけ好ましくは70分以上170分以下、特に好ましくは70分以上150分以下である。
保持する時間は特に規定はされないが、10分以上180分以下が好ましく、より好ましくは15分以上150分以下、更に好ましくは20分以上150分以下、より好ましくは30分以上140分以下である。
保持する際の温度は重合度を上げることができることから、重合体(I)の重合温度と同じか、重合体(I)の重合温度より高い温度であることが好ましく、より高い温度とする場合は重合温度より5℃以上昇温することが好ましい。昇温温度は、得られる重合体の凝集を防ぐ観点から100℃以下であることが好ましい。具体的には、80℃以上100℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以上99℃以下であり、更に好ましくは85℃以上99℃以下、とりわけ好ましくは88℃以上99℃以下、特に好ましくは90℃以上99℃以下である。
重合体(II)の原料を添加してから重合発熱による発熱ピーク温度が観測された後は、得られるアクリル系樹脂中の残存モノマー量を低減することができることから、重合体(II)の重合温度よりも5℃以上昇温することが好ましく、より好ましくは7℃以上、さらに好ましくは10℃以上である。また、得られる樹脂の凝集を防ぐため、昇温する温度は100℃以下であり、好ましい範囲は85℃以上100℃以下、より好ましくは90℃以上99℃以下、更に好ましくは92℃以上99℃以下である。
製造時に発生する凝集体の量は少ない方が好ましい。生産性や得られる樹脂の無色透明性等を考慮すると1.4%以下であることが好ましく、より好ましくは1.2%以下、更に好ましくは1.0%以下、とりわけ好ましくは0.8%以下である。
また、アクリル系樹脂中に残存するモノマー量は、多く残存する場合、生産量が低下するうえ、押出、成形等で熱履歴をかけた場合に無色透明性が損なわれる傾向にある。また、成形時に成型体に銀状痕(シルバー)が発生する恐れもあることから少ない方が好ましい。具体的には、1.0%以下であり、より好ましくは0.9%以下、更に好ましくは0.8%以下であり、とりわけ好ましくは0.7%以下、特に好ましくは0.6%以下である。上記製造方法の範囲内で適宜条件を調整することにより、凝集体、残留するモノマーの量は低く抑えることができる。
本発明においては、製造する重合体の重合度を調整する目的で、重合開始剤を用いても良い。本発明において、用いることができる重合開始剤の一例を挙げると、ラジカル重合を行う場合は、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどの有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルなどのアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤を挙げることができる。これらは単独でもあるいは2種類以上を併用しても良い。これらのラジカル開始剤と適当な還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として実施しても良い。これらの開始剤は、使用する全単量体の総量100質量部に対して、0〜1質量部の範囲で用いるのが一般的であり、重合を行う温度と開始剤の半減期を考慮して適宜選ぶことができる。
また、90℃以上の高温下で溶液重合法を行う場合には、10時間半減期温度が80℃以上で、かつ用いる有機溶媒に可溶である過酸化物、アゾビス開始剤などが好ましい。具体的には、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等を挙げることができる。これらの開始剤は、例えば、使用する全単量体の総量100質量部に対して、0〜1質量部の範囲で用いることが好ましい。
本発明においては、本発明の目的を損わない範囲で、製造するアクリル系樹脂の分子量の制御を行うことができる。例えば、アルキルメルカプタン類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤、ジチオカルバメート類、トリフェニルメチルアゾベンゼン、テトラフェニルエタン誘導体等のイニファータ等を用いることによって分子量の制御を行うことができる。これらの添加量を調整することにより、分子量を調整することが可能である。これらの添加剤を用いる場合、取扱性や安定性の点からアルキルメルカプタン類が好適に用いられ、例えば、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等が挙げられる。
また、その他の分子量制御方法としては重合方法を変える方法、重合開始剤の量を調整する方法、重合温度を変更する方法などが挙げられる。
これらの分子量制御方法は、一種の方法だけ用いてもよいし、二種以上の方法を併用しても良い。
以下、上記の製造方法により得られるアクリル系樹脂について説明する。
上記の方法で得られるアクリル系樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が60000〜300000となる。この範囲のアクリル系樹脂は機械的強度、および流動性に優れる。流動性と機械強度、耐溶剤性のバランスも考慮すると、60000〜250000以下が好ましく、より好ましくは、80000〜230000となるようにするとよい。
また、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量:Mw/Mn)は、流動性と機械強度、耐溶剤性のバランスを考慮すると、2.4≦Mw/Mn≦5であることが好ましい。
本発明で測定される重量平均分子量及び数平均分子量は、上述のようにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される。あらかじめ、単分散の、重量平均分子量が既知で試薬として入手可能な標準メタクリル樹脂と、高分子量成分を先に溶出する分析ゲルカラムを用い、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成しておく。得られた検量線から各試料の分子量を求めることが出来る。
ここで、ピーク重量平均分子量(Mp)とは、GPC溶出曲線においてピークを示す重量平均分子量を指す。GPC溶出曲線においてピークが複数存在する場合は、存在量が最も多い重量平均分子量が示すピークを指す。
累積エリア面積0〜2%にある重量平均分子量成分を有するメタクリル樹脂中のメタクリル酸エステルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成比率をMh(wt%)とする。一方、累積エリア面積98〜100%、すなわち低分子量を有するメタクリル樹脂中のメタクリル酸エステルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成率をMl(wt%)とする。累積エリア面積0〜2%、98〜100%の測定グラフ上での位置の概略図を図3に示す。
本発明におけるMh(wt%)とMl(wt%)には下記の式(7)の関係が成り立つことが好ましい。
(Mh−0.8)≧Ml≧0・・・・・・・・・・・・・(7)
これは、低分子量成分より高分子量成分のほうが、メタクリル酸エステルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成が0.8wt%以上多いことを示す。低分子量成分には他のビニル単量体が必ずしも共重合していなくても良いことを示す。Mh(wt%)とMl(wt%)の差は流動性向上の効果のために0.8wt%以上が好ましい。より好ましくは1.0wt%であり、更に好ましくは、次の式(8)が成り立つことである。
(Mh−2)≧Ml≧0・・・・・・・・・・・・・(8)
すなわち、高分子量成分中のアクリル系樹脂のメタクリル酸エステルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成を、低分子量成分の平均組成より2wt%以上多くすることで、耐熱性や環境試験におけるクラックや成形品のゆがみの低発生率、機械強度を保持したまま、劇的な流動性向上効果が得られるために好ましい。
アクリル系樹脂中に含まれる重合体(I)は、メタクリル酸エステル単量体80〜100wt%及びメタクリル酸エステルに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成される単量体0〜20wt%からなる重合体である。メタクリル酸エステルに共重合可能な他のビニル単量体は少ないほうが好ましく、使用しなくても良い。
また、重合体(II)はメタクリル酸エステル単量体80〜99.5質量%及びメタクリル酸エステルに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成される単量体0.5〜20質量%からなる重合体である。
本発明により製造されるアクリル系樹脂は、従来公知の樹脂と組み合わせて使用することができる。使用に供される樹脂は何等規定されるものではなく、公知の硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が好適に使用される。一例を挙げると、熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、アクリル系樹脂、AS系樹脂、BAAS系樹脂、MBS樹脂、AAS樹脂、生分解性樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂のアロイ、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。特にAS樹脂、BAAS樹脂は流動性を向上させるのに好ましく、ABS樹脂、MBS樹脂は耐衝撃性を向上させるのに好ましく、また、ポリエステル樹脂は耐薬品性を向上させるのに好ましい。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等は難燃性を向上させる効果が期待できる。
これらの樹脂は、一種単独で用いても、二種以上の樹脂を組み合わせて用いても良い。
本発明において製造されるアクリル系樹脂には、剛性や寸法安定性等の他の特性を付与するため、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤、例えばフタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系などの可塑剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸のモノ、ジ、またはトリグリセリド系などの離型剤、ポリエーテル系、ポリエーテルエステル系、ポリエーテルエステルアミド系、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩などの帯電防止剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等の安定剤、難燃剤、難燃助剤、硬化剤、硬化促進剤、導電性付与剤、応力緩和剤、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤、衝撃付与剤、摺動性改良剤、相溶化剤、核剤、強化剤、補強剤、流動調整剤、染料、増感材、着色用顔料、ゴム質重合体、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、充填剤、消泡剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌・防黴剤、防汚剤、導電性高分子等を添加することも可能である。
また、紫外線吸収剤の融点(Tm)は80℃以上であることが好ましく、更に好ましくは100℃以上、より好ましくは130℃以上、特に好ましくは160℃以上である。
本発明において添加することができる紫外線吸収剤は、23℃から260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の重量減少率が50%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。
本発明により製造されるアクリル系樹脂を加工したり、種々の添加剤や他の樹脂と混合する場合の混練方法としては、従来公知の方法用いればよく、特に規定するものではない。例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。その中でも押出機による混練が、生産性の面で好ましい。混練温度は、本発明により製造されるアクリル系樹脂や混合する他の樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては140〜300℃の範囲、好ましくは180〜280℃の範囲である。
また、本発明により製造されるアクリル系樹脂を単独で又はこれを含む樹脂組成物を成形することにより成形体とすることができる。
本発明により製造されるアクリル系樹脂又はこれを含む樹脂組成物は、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、Tダイ成型、プレス成形、押出成形、発泡成形、流延法によるフィルム成形等、公知の方法で成形することが可能であり、圧空成形、真空成形等の二次加工成形法も用いることができる。
また、本発明により製造されるアクリル系樹脂に硬化性樹脂を配合した樹脂組成物を用いる場合には、樹脂組成物を製造するための成分を、無溶媒で、若しくは、必要に応じて均一に混合できる溶媒を用いて混合した後、溶媒を除去して樹脂組成物を得て、これを金型内へ注形し硬化させた後冷却し、型から取り出すことにより成型品を得ることができる。また、型に注型し、熱プレスにより硬化させることもできる。各成分を溶解させる為の溶媒は各種材料を均一に混合することができ、且つ、使用することによって本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されるものではない。一例としてはトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−ヘキサン、n−ペンタン等が挙げられる。
本発明により製造されるアクリル系樹脂を用いた成型体の用途としては、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、自動車部品用途、ハウジング用途、サニタリー用途や、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイに用いられる導光板、拡散板、偏光板保護フィルム、1/4波長板、1/2波長板、視野角制御フィルム、液晶光学補償フィルム等の位相差フィルム、ディスプレイ前面板、ディスプレイ基盤、レンズ、タッチパネル等が挙げられ、また、太陽電池に用いられる透明基盤等に好適に用いることができる。その他にも、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、レンズ、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバーなどにも用いることができる。また、他の樹脂の改質材として用いることもできる。
本発明により製造されるアクリル系樹脂を用いた成形体は、例えば反射防止処理、透明導電処理、電磁波遮蔽処理、ガスバリア処理等の表面機能化処理をすることもできる。
[原料]
用いた原料は下記のものである。
メタクリル酸メチル:旭化成ケミカルズ製(重合禁止剤として中外貿易製2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール(2,4-di-methyl-6-tert-butylphenol)を2.5ppm添加されているもの)
アクリル酸メチル:三菱化学製(重合禁止剤として川口化学工業製4−メトキシフェノール(4−methoxyphenol)が14ppm添加されているもの)
n−オクチルメルカプタン(n-octylmercaptan):アルケマ製
2エチルヘキシルチオグリコレート(2-ethylhexyl thioglycolate):アルケマ製
ラウロイルパーオキサイド(lauroyl peroxide):日本油脂製
第3リン酸カルシウム(calcium phosphate):日本化学工業製、懸濁剤として使用
炭酸カルシウム(calcium calbonate):白石工業製、懸濁剤として使用
ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate):和光純薬製、懸濁助剤として使用
[I.樹脂の組成、分子量の測定]
1.メタクリル樹脂の組成分析
メタクリル樹脂の組成分析は、熱分解ガスクロマトグラフィー及び質量分析方法で行った。
熱分解装置:FRONTIER LAB製Py−2020D
カラム:DB−1(長さ30m、内径0.25mm、液相厚0.25μm)
カラム温度プログラム:40℃で5min保持後、50℃/minの速度で320℃まで昇温し、320℃を4.4分保持
熱分解炉温度:550℃
カラム注入口温度:320℃
ガスクロマトグラフィー:Agilent製GC6890
キャリアー:純窒素、流速1.0ml/min
注入法:スプリット法(スプリット比1/200)
検出器:日本電子製質量分析装置Automass Sun
検出方法:電子衝撃イオン化法(イオン源温度:240℃、インターフェース温度:320℃)
サンプル:メタクリル樹脂0.1gのクロロホルム10cc溶液を10μl
サンプルを熱分解装置用白金試料カップに採取し、150℃で2時間真空乾燥後、試料カップを熱分解炉に入れ、上記条件でサンプルの組成分析をで行った。メタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルのトータルイオンクロマトグラフィー(TIC)上のピーク面積と以下の標準サンプルの検量線を元にメタクリル樹脂の組成比を求めた。
測定装置:日本分析工業製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(LC−908)
カラム:JAIGEL−4H 1本及びJAIGEL−2H 2本、直列接続
本カラムでは、高分子量が早く溶出し、低分子量は溶出する時間が遅い。
検出器:RI(示差屈折)検出器
検出感度:2.4μV/sec
サンプル:0.450gのメタクリル樹脂のクロロホルム15ml溶液
注入量:3ml
展開溶媒:クロロホルム、流速3.3ml/min
上記の条件で、メタクリル樹脂の溶出時間に対する、RI検出強度を測定した。GPC溶出曲線におけるエリア面積と、検量線を基にメタクリル樹脂の平均分子量を求めた。
検量線用標準サンプルとして、単分散の重量平均分子量が既知で分子量が異なる以下の10種のメタクリル樹脂(EasiCal PM-1 Polymer Laboratories製)を用いた。
重量平均分子量
標準試料1 1,900,000
標準試料2 790,000
標準試料3 281,700
標準試料4 144,000
標準試料5 59,800
標準試料6 28,900
標準試料7 13,300
標準試料8 5,720
標準試料9 1,936
標準試料10 1,020
重合体(I)と重合体(II)が混合している場合には、あらかじめ重合体(I)単独のGPC溶出曲線を測定し重量平均分子量を求めておき、重合体(I)が存在している比率(本願では仕込み比率を用いた)を重合体(I)のGPC溶出曲線に乗じ、その溶出時間における検出強度を重合体(I)と重合体(II)が混合しているGPC溶出曲線から引くことで、重合体(II)単独のGPC溶出曲線が得られる。これから重合体(II)の重量平均分子量を求めた。
重合で得られたポリマー微粒子を含む混合溶液を、1.68mmメッシュの篩に通して微粒子の凝集物を取り除き、得られた凝集物を80℃の乾燥オーブンで12時間乾燥させた後、重量を測定した。得られた重量を、原料(I)と原料(II)の合計量で除して、凝集物生成量(%)を算出した。
[III.平均粒子径の測定]
JIS−Z8801に基づく、ふるい東京スクリーン製JTS−200−45−33(目開き500μm),34(目開き425μm),35(目開き355μm),36(目開き300μm),37(目開き250μm),38(目開き150μm)61(受け皿)を用いて篩い分け試験機TSK B−1を用いて振動力MAXにて10分間ふるいを行ったときの平均粒子径の測定値を用いて、50wt%の粒子径を測定し平均粒子径を求めた。
株式会社島津製作所製 ガスクロマトグラフィー GC−1700を用いて各成分の残留モノマー量を分析し、その合計量を算出した。
[V.物性測定]
1.スパイラル長さの測定
断面積一定の、スパイラル状のキャビティを樹脂が流れた距離によって、相対的流動性を判定する試験である。
射出成形機:東芝機械製IS−100EN
測定用金型:金型の表面に、深さ2mm、幅12.7mmの溝を、表面の中心部からアルキメデススパイラル状に掘り込んだ金型
射出条件
樹脂温度:250℃
金型温度:55℃、
射出圧力:98MPa、
射出時間:20sec
金型表面の中心部に樹脂を上記条件で射出した。射出終了40sec後にスパイラル状の成形品を取り出し、スパイラル部分の長さを測定した。これを流動性評価の指標とした。
2.透明性
ISO13468−1規格に準拠して、3mm厚試験片を用いて全光線透過率の測定を行い、透明性の指標とした。
攪拌機を有する容器に水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し混合液(A)を得た。次いで、60Lの反応器に水26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(A)及び、表1に示す配合量で重合体(I)の原料を投入した。その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、重合体(I)の原料を投入してから120分後に発熱ピークが観測された。
その後、80℃で50分間保持し、重合を終了した。次いで重合体(II)の原料を、表1に示す配合量を反応器に投入し、引き続き約80℃を保って懸濁重合を行ったところ、重合体(II)の原料を投入してから80分後に発熱ピークが観測された。その後、92℃に1℃/minの速度で昇温した後、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。次に50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20wt%硫酸を投入した。次いで、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を240℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレットを得た。得られたペレットの重量平均分子量は、13.2万であり、分子量分布は2.4であった。また、スパイラル長さは23.8cmであった。また、全光線透過率は92%であった。
攪拌機を有する容器に水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し混合液(A)を得た。次いで、60Lの反応器に水26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(A)及び、表1に示す配合量で重合体(I)の原料を投入した。その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、重合体(I)の原料を投入してから100分後に発熱ピークが観測された。
その後、80℃で70分間保持し、重合を終了した。次いで重合体(II)の原料を、表1に示す配合量を反応器に投入し、引き続き約80℃を保って懸濁重合を行ったところ、重合体(II)の原料を投入してから80分後に発熱ピークが観測された。その後、92℃に1℃/minの速度で昇温した後、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。次に50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20wt%鉱酸を投入した。次いで、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を240℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレットを得た。得られたペレットの重量平均分子量は、11.4万であり、分子量分布は2.4であった。また、スパイラル長さは30.8cmであった。全光線透過率は92%であった。
攪拌機を有する容器に水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し混合液(A)を得た。次いで、60Lの反応器に水26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(A)及び、表1に示す配合量で重合体(I)の原料を投入した。その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、重合体(I)の原料を投入してから90分後に発熱ピークが観測された。
その後、80℃で60分間保持し、重合を終了した。次いで重合体(II)の原料を、表1に示す配合量を反応器に投入し、引き続き約80℃を保って懸濁重合を行ったところ、重合体(II)の原料を投入してから85分後に発熱ピークが観測された。その後、92℃に1℃/minの速度で昇温した後、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。次に50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20wt%硫酸を投入した。次いで、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を240℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレットを得た。得られたペレットの重量平均分子量は、11.6万であり、分子量分布は3.5であった。また、スパイラル長さは33.4cmであった。全光線透過率は92%であった。
攪拌機を有する容器に水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し混合液(A)を得た。次いで、60Lの反応器に水26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(A)及び、表1に示す配合量で重合体(I)の原料を投入した。その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、重合体(I)の原料を投入してから130分後に発熱ピークが観測された。
その後、80℃で50分間保持し、重合を終了した。次いで重合体(II)の原料を、表1に示す配合量を反応器に投入し、引き続き約80℃を保って懸濁重合を行ったところ、重合体(II)の原料を投入してから120分後に発熱ピークが観測された。その後、92℃に1℃/minの速度で昇温した後、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。次に50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20wt%硫酸を投入した。次いで、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を240℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレットを得た。得られたペレットの重量平均分子量は、17.5万であり、分子量分布は3.8であった。また、スパイラル長さは26.1cmであった。全光線透過率は92%であった。
攪拌機を有する容器に水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し混合液(A)を得た。次いで、60Lの反応器に水26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(A)及び、表1に示す配合量で重合体(I)の原料を投入した。その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、重合体(I)の原料を投入してから100分後に発熱ピークが観測された。その後、92℃に1℃/min速度で昇温した後、30分間92℃〜94℃の温度を保持した。その後、1℃/minの速度で80℃まで降温した後、次に重合体(II)の原料を、表1に示す配合量を反応器に投入し、引き続き約80℃を保って懸濁重合を行い、重合体(II)の原料を投入してから75分後に発熱ピークが観測された。その後、92℃に1℃/minの速度で昇温した後、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。次に50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20wt%硫酸を投入した。次いで、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
表1に示す原料を用いて、実施例1〜4と重合時間だけを代えて他は同様の方法で重合を行い(実施例番号と比較例番号が同じものは同一のモノマー仕込み組成)、ポリマー微粒子を得た。重合時間及び、凝集物生成量、残存モノマー量、ポリマー微粒子の粒子径、スパイラル長さの測定結果を表3に示す。なお、比較例1及び2では、成形時に投入口でポリマー微粒子がつまりやすい傾向にあった。
Claims (6)
- メタクリル酸エステル単位を含有するアクリル系樹脂の製造方法であって、メタクリル
酸エステル単量体80〜100質量%、及び、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1つ以上のビニル系単量体20〜0質量%を
含有する原料から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量
が5000〜50000である重合体(I)を該アクリル系樹脂全体に対して5〜45質
量%製造した後、重合体(I)の存在下でさらにメタクリル酸エステル単量体および、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、
アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1つ
以上のビニル系単量体を含む原料を添加して重量平均分子量が60000〜350000
である重合体(II)を該アクリル系樹脂全体に対して95〜55質量%製造することを
特徴とする、アクリル系樹脂の製造方法であり、重合体(I)の原料を添加してから重合
発熱による発熱ピーク温度が観測されるまでの時間をT1とし、重合体(II)の原料を
添加してから重合発熱による発熱ピーク温度が観測されるまでの時間をT2としたときに
、下記式(1)が成り立つことを特徴とするアクリル系樹脂の製造方法。
0.6<T2/T1<1 ・・・(1) - 重合体(II)の原料を添加してから重合発熱による発熱ピーク温度が観測されるまで
の時間T2が、40分以上180分以下であることを特徴とする請求項1に記載のアクリ
ル系樹脂の製造方法。 - 懸濁重合法により製造することを特徴とする請求項1または2に記載のアクリル系樹脂
の製造方法。 - 前記ビニル系単量体が、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル
から選ばれる少なくとも1つ以上のビニル系単量体であることを特徴とする請求項1〜3
のいずれか一項に記載のアクリル系樹脂の製造方法。 - 前記ビニル系単量体が、アクリル酸メチルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクリル系樹脂の製造方法。
- 重合体(I)の原料のメタクリル酸エステル単量体がメタクリル酸メチルである請求項
1〜5のいずれか一項に記載のアクリル系樹脂の製造方法。
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