JP5023637B2 - プロピレンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は炭素数4以上のオレフィンとメタノールおよび/またはジメチルエーテルとを含む原料ガスからプロピレンを製造する方法に関するものである。
プロピレンを製造する方法としては、従来からナフサのスチームクラッキングや減圧軽油の流動接触分解が一般的に実施されており、近年ではエチレンと2−ブテンを原料としたメタセシス反応やメタノールおよび/またはジメチルエーテルを原料としたMTO(メタノール to オレフィン)プロセスも注目を浴びている。一方、炭素数4以上のオレフィンとメタノール等の含酸素化合物を原料として低級オレフィンを製造する方法も知られている(特許文献1)。
US 2003/0181777
特許文献1では、エチレンとプロピレンを得るために炭素数4以上のオレフィンの触媒接触分解反応において、含酸素化合物を共存させることにより芳香族化合物等の高沸炭化水素の生成を抑制できると記載されており、その請求項4において、触媒としてpore size indexが14から29のゼオライトが、また、請求項5では、MTT型のゼオライトがクレームされている。しかしながら、実施例は何れもMTT触媒の例であり、目的とするエチレンとプロピレン生産能力に関する記載が全くなく、プロピレン製造法として十分な生産技術とは言い難い。
このようなことから、現状の方法よりも更に効率よくプロピレンを製造する技術の開発が望まれていた。
本発明は、炭素数4以上のオレフィンとメタノールおよび/またはジメチルエーテルとを含む原料ガスを、触媒と接触させて、効率良くプロピレンを製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ある特定の構造を有するゼオライトを触媒活性成分として使用することにより、プロピレンを効率良く製造することができることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明の第1の要旨は、炭素数4以上のオレフィンとメタノールおよび/またはジメチルエーテルとを含む原料混合ガスを、触媒活性成分としてケージタイプ構造のゼオライトを含む触媒の存在下、接触させるプロピレンの製造方法であって、該ケージタイプ構造のゼオライトが、International Zeolite Association(IZA)で規定されるコードでMWWであることを特徴とするプロピレンの製造方法、に存する。
本発明の第の要旨は、上記方法において、前記反応器に供給する炭素数4以上のオレフィンの量が、該反応器に供給するメタノールのモル数とジメチルエーテルのモル数の2倍との合計に対して、モル比で0.1以上10以下であることを特徴とするプロピレンの製造方法、に存する。
本発明の第の要旨は、上記方法において、前記反応器入口のガス温度が300℃以上700℃以下であることを特徴とするプロピレンの製造方法、に存する。
本発明の第の要旨は、上記方法において、前記反応器が固定床反応器であることを特徴とするプロピレンの製造方法、に存する。
本発明の第の要旨は、上記方法において、前記反応器出口ガスに含まれる炭素数4以上の炭化水素の少なくとも一部を該反応器入口にリサイクルすることを特徴とするプロピレンの製造方法、に存する。
本発明によれば、炭素数4以上のオレフィンとメタノールおよび/またはジメチルエーテルとを原料として、ある特定の構造を有するゼオライトを触媒として使用することにより、高収率でプロピレンを製造することができる。
また、本発明によれば、芳香族化合物の副生が抑制されるため、触媒劣化速度の低減、精製工程の簡略化といった効果も奏され、プロピレンの製造効率が大幅に高められる。
以下に、本発明を実施するための代表的な態様を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の態様に限定されるものではない。
[触媒]
本発明においては、触媒として、ケージタイプ構造のゼオライトを触媒活性成分として含む触媒を用いる。
一般にゼオライトの構造としては、細孔径とほぼ同じ大きさのチャンネルがトンネル状や3次元に交差しながらつながっているタイプのものと、構造の内部に細孔径よりも大きなケージ空間を持つケージタイプ構造のゼオライトがある。前者のタイプとしては、International Zeolite Association(IZA)が規定する構造のコードで、MFIやBEA、MTT、TONなどが挙げられる。これに対して、本発明では後者のケージタイプ構造のゼオライトを用いる。
その中でも本発明で好適なものとして、具体的には、International Zeolite Association(IZA)が規定するコードで、MWW、CHA、DDR、EAB、ERI、FAU、LEV、OFFで表されるゼオライトが挙げられ、より好ましくはMWW構造を有するゼオライトである。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ケージタイプ構造のゼオライトは、ゼオライト中にかご状の大きな空洞(ケージ)が存在することにより、拡散速度が高まったり、空洞内に存在する活性点が有効に反応に寄与したり、通常やや嵩高い構造となる反応の遷移状態を形成しやすいなどの利点が考えられ、反応成績の向上が可能となり、高いプロピレン生成活性が得られる。
なかでもMWW構造を有するゼオライトは、MFI型のゼオライトと同様の10員環のチャンネル構造を有するが、ケージ構造を持たないMFI型のゼオライトと異なり、細孔内部に10員環のチャンネルよりも大きいラグビーボール型の大きなケージを持つことにより、拡散や遷移状態の形成等においても有利となり、選択性、耐久性に優れた触媒となる。
ケージタイプ構造のゼオライトとして、好ましくは、結晶性アルミノシリケート類であり、通常SiO/Alモル比は20以上、好ましくは25以上、より好ましくは50以上、更に好ましくは90以上であって、5000以下、好ましくは1000以下、さらに好ましくは500以下である。
また、これを構成するAlの一部、または全部を周期表の第2族から第14族の原子に置換したものであっても良く、更にはイオン交換サイトがH型のものであっても塩交換により得られるものであってもよい。置換される原子としては、好ましくはB、Ti、V、Fe、Zn、Ga、Ge、Zr、Snなどの1種または2種以上が挙げられる。
上記ゼオライトのBET比表面積は通常200m/g以上、好ましくは250m/g以上、より好ましくは300m/g以上であって、通常2000m/g以下、好ましくは1500m/g以下、より好ましくは1000m/g以下である。細孔容積は通常0.1cc/g以上、好ましくは0.2cc/g以上であって、通常3cc/g以下、好ましくは2cc/g以下である。
上記結晶性アルミノシリケート類として、具体的には、Chabazite、SSZ−13等のCHA構造を有するもの、シグマー1等のDDR構造を有するもの、Bellbergite等のEAB構造を有するもの、エリオナイト等のERI構造を有するもの、USY等のFAU構造を有するもの、Levyne等のLEV構造を有するもの、オフレタイト等OFF構造を有するもの、MCM22、SSZ25、ITQ1、ERB1、PSH3等のMWW構造を有するものが挙げられ、好ましくはMWW構造を有するものであり、特に好ましくはMCM−22である。
これらのゼオライトは各市販品の他、上記のIZA発行の"Verified Syntheses Of Zeolitic Materials"(2nd Revised Edition 2001 Elsevirr)等に記載の公知の方法で合成したものを用いることができる。例えば、CHA構造のゼオライトはUSP4,544,538に記載の公知の方法で合成したもの、DDR構造のゼオライトはStud.Surf.Sci.Catal.,37,57−64(1988)に記載の公知の方法で合成したもの、FAB構造のゼオライトはJ.Chem.Soc.(A).,1470−1475(1970)に記載の公知の方法で合成したもの、ERI構造のゼオライトは特開平11−179158に記載の公知の方法で合成したもの、FAU構造のゼオライトはZeolites,15,90,(1995)に記載の公知の方法で合成したもの、LEV構造のゼオライトはMicroporous Materials,11,269−273(1997)に記載の公知の方法で合成したもの、OFF構造のゼオライトはCryst.Res.Technol.,31,K29−31(1996)に記載の公知の方法で合成したもの、MWW構造のゼオライトはJ.Phys.Chem.B,102,44−51(1998)に記載の公知の方法で合成したものなどを用いることができる。
これらのアルミノシリケート類は合成時にAl量をコントロールすることで、含有Al量を調節することができる。また、アルミノシリケート類を構成するAl、B原子の一部をスチーミングや酸処理等により脱Al、脱Bさせ高シリカアルミナ比にしたものも用いることができるが、このうちSiO/Alモル比は20以上、好ましくは25以上、更に好ましくは50以上であって、5000以下、好ましくは1000以下、さらに好ましくは500以下である。
上記ゼオライト触媒は、そのまま反応に用いても良いし、反応に不活性な物質やバインダーを用いて、造粒・成形して反応に用いても良い。該反応に不活性な物質やバインダーとしては、アルミナまたはアルミナゾル、シリカ、シリカゲル、シリケート、石英、および、それらの混合物等が挙げられる。これらの中でも工業触媒として強固な成形体ができるという点でシリケートが好ましい。これらの物質と混合することは、触媒全体のコスト削減、触媒再生時の熱遮蔽補助用熱シンクとしての作用に有効であり、また、触媒の高密度化、触媒強度増加にも効果的である。
触媒の粒径は合成時の条件により異なるが、通常、平均粒径として0.01μm〜500μm、好ましくは0.1〜10μmである。触媒の粒径が大き過ぎると、触媒活性を示す表面積が小さくなり、小さ過ぎると取り扱い性が劣るものとなり、いずれの場合も好ましくない。この平均粒径は、レーザー回折測定によって求めることができる。ただし、レーザー回折法では0.1μm以下は測定できないので、レーザー回折法で測定した結果が0.1μm以下の場合は、走査型電子顕微鏡(SEM)により求めた値を、本発明でいう平均粒径とする。
[反応原料]
次に、本発明で反応原料とする炭素数4以上のオレフィン、メタノール、ジメチルエーテルについて説明する。
<オレフィン>
反応の原料として用いる炭素数4以上のオレフィンとしては、特に限定されるものではない。例えば、石油供給原料から接触分解法または蒸気分解法等により製造されるもの(C4ラフィネート−1、C4ラフィネート−2等)、石炭のガス化により得られる水素/CO混合ガスを原料としてFT(フィッシャートロプシュ)合成を行うことにより得られるもの、エチレンの二量化反応を含むオリゴマー化反応により得られるもの、炭素数4以上のパラフィンの脱水素法または酸化脱水素法により得られるもの、MTO反応によって得られるもの、アルコールの脱水反応によって得られるもの、炭素数4以上のジエン化合物の水素化反応により得られるもの等の、公知の各種方法により得られる、炭素数4以上、特に炭素数4〜10のオレフィンを任意に用いることができ、このとき各製造方法に起因する炭素数4以上のオレフィン以外の化合物が任意に混合した状態のものをそのまま用いても良いし、精製したオレフィンを用いても良い。
<メタノール、ジメチルエーテル>
反応の原料として用いるメタノールおよび/またはジメチルエーテルの製造由来は特に限定されない。例えば、石炭および天然ガス、ならびに製鉄業における副生物由来の水素/COの混合ガスの水素化反応により得られるもの、植物由来のアルコール類の改質反応により得られるもの、発酵法により得られるもの、再循環プラスチックや都市廃棄物等の有機物質から得られるもの等が挙げられる。このとき各製造方法に起因するメタノールおよびジメチルエーテル以外の化合物が任意に混合した状態のものをそのまま用いても良いし、精製したものを用いても良い。
[反応操作・条件]
以下に、前述の触媒および反応原料を用いる本発明のプロピレン製造反応の操作・条件について説明する。
<反応器>
本発明の製造方法における反応様式としては、炭素数4以上のオレフィンとメタノールおよび/またはジメチルエーテル供給原料が反応域において気相であれば特に限定されず、流動床反応装置、移動床反応装置または固定床反応装置を用いた公知の気相反応プロセスを適用することができる。固定床反応装置の場合、特に附帯設備を含めた設備費、触媒コスト、運転管理の点で有利である。
また、バッチ式、半連続式または連続式のいずれの形態でも行われ得るが、連続式で行うのが好ましく、その方法は、単一の反応器を用いた方法でも良いし、直列または並列に配置された複数の反応器を用いた方法でもよい。
なお、流動床反応器に前述の触媒を充填する際、触媒層の温度分布を小さく抑えるために、石英砂、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ等の反応に不活性な粒状物を、触媒と混合して充填しても良い。この場合、石英砂等の反応に不活性な粒状物の使用量は特に制限はない。なお、この粒状物は、触媒との均一混合性の面から、触媒と同程度の粒径であることが好ましい。
また、反応器には、反応に伴う発熱を分散させることを目的に、反応基質(反応原料)を分割して供給しても良い。
本発明で用いる触媒は、従来の触媒に比べてコーキングが少なく、触媒劣化の速度は遅いが、1年以上の連続運転を行う場合には運転中に触媒再生を行う必要がある。
例えば、固定床反応器を選択する場合、反応器を少なくとも二つ以上設置し、反応と再生を切り替えながら運転することが望ましい。固定床反応器の形態としては、多管式の反応器または断熱型の反応器が選ばれる。
一方、流動床反応器を選択する場合、触媒を連続的に再生槽に送り、再生槽において再生された触媒を連続的に反応器に戻しながら反応を行うことが好ましい。
ここで、触媒の再生操作としては、反応器から導入された触媒を、酸素を含有した窒素ガスや水蒸気などで処理することにより再生するものが挙げられる。
<オレフィンとメタノールおよび/またはジメチルエーテルの供給濃度比>
反応器に供給する炭素数4以上のオレフィンの量は、反応器に供給するメタノールのモル数とジメチルエーテルのモル数の2倍との合計に対して、モル比で通常0.1以上、好ましくは0.2以上であって、通常10以下、好ましくは5以下である。
即ち、炭素数4以上のオレフィンの供給モル量をMc4、メタノールの供給モル量をM、ジメチルエーテルの供給モル量をMdmとした場合、Mc4は(M+2Mdm)の0.1〜10倍、特に0.2〜5倍であることが好ましい。この供給濃度比が低すぎても高すぎても反応が遅くなり好ましくない。
即ち、本発明においては、炭素数4以上のオレフィンとメタノールおよび/またはジメチルエーテルとを適切な濃度比で供給することにより、反応速度が著しく上昇することも特徴である。
なお、炭素数4以上のオレフィンとメタノールおよび/またはジメチルエーテルとを反応器に供給する際には、これらを別々に供給しても、予め一部または全部を混合した後に供給してもよい。
<基質濃度>
反応器に供給する全供給成分中の、炭素数4以上のオレフィンとメタノールとジメチルエーテルの合計濃度(基質濃度)に関して特に制限はないが、炭素数4以上のオレフィンとメタノールとジメチルエーテルの和は、全供給成分中、90モル%以下が好ましい。更に好ましくは20モル%以上70モル%以下である。この基質濃度が高すぎると芳香族化合物やパラフィン類の生成が顕著になりプロピレンの選択率が低下する傾向がある。逆に、この基質濃度が低すぎると、反応速度が遅くなるため多量の触媒が必要となり、反応器、さらに生成物の精製コストや反応設備の建設費も大きくなり経済的でない。
従って、このような好ましい基質濃度となるように、必要に応じて以下に記載する希釈剤で反応基質を希釈することが好ましい。
<希釈剤>
反応器内には、炭素数4以上のオレフィンとメタノールおよび/またはジメチルエーテルの他に、ヘリウム、アルゴン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、水、パラフィン類、メタン等の炭化水素類、芳香族化合物類、および、それらの混合物など、反応に不活性な気体を存在させることができるが、この中でも水(水蒸気)が共存しているのが好ましい。
このような希釈剤としては、反応原料に含まれている不純物をそのまま使用しても良いし、別途調製した希釈剤を反応原料と混合して用いても良い。
また、希釈剤は反応器に入れる前に反応原料と混合しても良いし、反応原料とは別に反応器に供給しても良い。
<空間速度>
ここで言う空間速度とは、触媒(触媒活性成分)の重量当たりの反応原料である炭素数4以上のオレフィンとメタノールおよび/またはジメチルエーテルの流量であり、ここで触媒の重量とは触媒の造粒・成型に使用する不活性成分やバインダーを含まない触媒活性成分の重量である。また、流量は炭素数4以上のオレフィンとメタノールおよび/またはジメチルエーテルの合計の流量(重量/時間)である。
空間速度は、通常、約0.01時間−1以上、好ましくは約0.05時間−1以上、より好ましくは約0.1時間−1以上、通常、約500時間−1以下、好ましくは約200時間−1以下である。空間速度が高すぎると原料のオレフィンとメタノールおよび/またはジメチルエーテルの転化率が低く、また、十分なプロピレン選択率が得られない。また、空間速度が低すぎると、一定の生産量を得るのに必要な触媒量が多くなり反応器が大きくなりすぎると共に、芳香族化合物やパラフィン等の好ましくない副生成物が生成し、プロピレン選択率が低下するため好ましくない。
また、反応を継続するに従って、触媒が反応器内でコーキングを起こし反応活性が低下することとなる。この場合には予備の反応器を用意し、原料供給を切替え、複数基の反応器の切替運転を行い、触媒生成を行うことができる。また、触媒を反応器から抜き出し、例えば酸素含有雰囲気中で蓄積したコークを酸化することにより、その全てまたは一部を取り除き、触媒を再生する事ができる。このように再生された触媒は、再び反応器に再導入される。が、このような触媒の抜き出しおよび再導入という観点からは、複数基の固定床反応器を用意するか、移動床型反応器または流動床型反応器を用いたプロセスの方が操作が簡便となる。
<反応温度>
反応温度の下限としては、通常約200℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上であり、反応温度の上限としては、通常750℃以下、好ましくは700℃以下である。反応温度が低すぎると、反応速度が低く、未反応原料が多く残る傾向となり、更にプロピレンの収率も低下する。一方で反応温度が高すぎると触媒の安定活性が得られにくくプロピレンの収率が著しく低下する。なお、ここで、反応温度とは、触媒層入口の温度をさす。
<反応圧力>
反応圧力の上限は通常5MPa(絶対圧、以下同様)以下好ましくは2MPa以下であり、より好ましくは1MPa以下、特に好ましくは0.7MPa以下である。また、反応圧力の下限は特に制限されないが、通常0.1kPa以上、好ましくは7kPa以上、より好ましくは50kPa以上である。反応圧力が高すぎるとパラフィン類や芳香族化合物等の好ましくない副生成物の生成量が増え、プロピレンの収率が低下する傾向がある。反応圧力が低すぎると反応速度が遅くなる傾向がある。
<反応生成物>
反応器出口ガス(反応器流出物)としては、反応生成物であるプロピレン、未反応原料、副生成物および希釈剤を含む混合ガスが得られる。該混合ガス中のプロピレン濃度は通常5〜95重量%である。
未反応原料は、通常炭素数4以上のオレフィンである。反応条件によってはメタノールおよび/またはジメチルエーテルが含まれるが、メタノールおよび/またはジメチルエーテルの転化率が100%になるような反応条件で反応を行うのが好ましい。それにより、反応生成物と未反応原料との分離が容易になる。
副生成物としてはエチレン、炭素数が4以上のオレフィン類、パラフィン類、芳香族化合物および水が挙げられる。
<生成物の分離>
反応器出口ガスとしての、反応生成物であるプロピレン、未反応原料、副生成物および希釈剤を含む混合ガスは、公知の分離・精製設備に導入し、それぞれの成分に応じて回収、精製、リサイクル、排出の処理を行えば良い。
この分離・精製方法の一つの態様として、反応器出口のガスを冷却・圧縮し、凝縮した大部分の水分を除去する工程を含み、水分を除去した後の一部水分を含んだ炭化水素流体をモレキュラーシーブ等で乾燥し、その後蒸留により各オレフィンおよびパラフィンを精製する工程を含む方法が適用される。上記方法において、圧縮した炭化水素流体を一つの蒸留塔に供給しても良いが、多段階の圧縮機を設置し、凝縮しやすい炭化水素と凝縮しにくい炭化水素を粗分離し、これらを別々の蒸留塔に供給して蒸留を行っても良い。
プロピレン以外の成分(オレフィン、パラフィン等)、特に炭素数4以上の炭化水素の一部または全ては、上記分離・精製された後に反応原料と混合するか、または直接反応器に供給することでリサイクルするのが好ましい。また、副生成物のうち、反応に不活性な成分は希釈剤として再利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[触媒調製]
調製例1(MWW型)
70重量%NaAlO 0.06g、1MのNaOH水溶液 9ml、を31.5gの脱塩水に溶かし撹拌した。透明な水溶液になったところでテンプレートとしてヘキサメチレンイミン2g、シリカ(日本アエロジル株式会社製:アエロジル200)3gを添加して2時間撹拌を続けた。得られたスラリーを100mlのオートクレーブに入れて160℃で4日間回転させながら合成した。オートクレーブを冷やした後、内容物を濾過、水洗し、120℃で乾燥させた。その後、空気気流下、550℃で6時間焼成して、含有しているテンプレートを除去した。
この焼成したサンプル2.0gを1Mの硝酸アンモニウム水溶液40mlに懸濁させ、80℃で2時間撹拌した。処理後の液は吸引濾過により固体成分を分離し、十分水洗を行った後、再度1Mの硝酸アンモニウム水溶液40mlに懸濁させ、80℃で2時間撹拌した。処理後の液は吸引濾過により固体成分を分離し、十分水洗を行った後、100℃で24時間乾燥した。乾燥後、空気流通下500℃で4時間焼成を行い、H型のアルミノシリケート(「触媒A」という)を得た。
この触媒Aは、XRD(X線回折)によりゼオライトの構造がMWW型であることを確認した。この触媒Aの組成を化学分析により定量したところ、SiO/Al=140(モル比)であった。
調製例2(MWW型)
70重量%NaAlO 0.8g、NaOH 1.4gを162gの脱塩水に溶かし撹拌した。透明な水溶液になったところでヘキサメチレンイミン9.9g、シリカ(日本アエロジル株式会社製:アエロジル200)12gを添加して2時間撹拌を続けた。得られたスラリーを2つの100mlのオートクレーブに分けて150℃で7日間タンブリングさせた。オートクレーブを冷やした後、内容物を濾過、水洗し、120℃で乾燥させた。その後、空気気流下、550℃で6時間焼成して、含有しているテンプレートを除去した。
この焼成したサンプル2.0gを1Mの硝酸アンモニウム水溶液40mlに懸濁させ、80℃で2時間撹拌した。処理後の液は吸引濾過により固体成分を分離し、十分水洗を行った後、再度1Mの硝酸アンモニウム水溶液40mlに懸濁させ、80℃で2時間撹拌した。処理後の液は吸引濾過により固体成分を分離し、十分水洗を行った後、100℃で24時間乾燥した。乾燥後の触媒は、空気流通下500℃で4時間焼成を行い、H型のアルミノシリケート(「触媒B」という)を得た。
この触媒Bは、XRD(X線回折)によりゼオライトの構造がMWW型であることを確認した。この触媒Bの組成を化学分析により定量したところ、SiO/Al=31(モル比)であった。
調製例3(MWW型)
NaOH 2.4gを51.3gの脱塩水に溶かしヘキサメチレンイミン20.8gを加え撹拌した。ここに70重量%NaAlO 0.12gを添加し、透明な水溶液になったところで、ホウ酸12.4gを添加し、30分撹拌した。これに、シリカ(日本アエロジル株式会社製:アエロジル200)9gを添加し2時間撹拌を続けた。得られたスラリーを2つの100mlのオートクレーブに分けて175℃で7日間タンブリングさせた。オートクレーブを冷やした後、内容物を濾過、水洗し、120℃で乾燥させた。その後、空気気流下、550℃で6時間焼成して、含有しているテンプレートを除去した。
この焼成したサンプル2.0gを1Mの硝酸アンモニウム水溶液40mlに懸濁させ、80℃で2時間撹拌した。処理後の液は吸引濾過により固体成分を分離し、十分水洗を行った後、再度1Mの硝酸アンモニウム水溶液40mlに懸濁させ、80℃で2時間撹拌した。処理後の液は吸引濾過により固体成分を分離し、十分水洗を行った後、100℃で24時間乾燥した。乾燥後の触媒は、空気流通下500℃で4時間焼成を行い、H型のボロアルミノシリケート(「触媒C」という)を得た。
この触媒Cは、XRDによりゼオライトの構造がMWW型であることを確認した。この触媒Cの組成を化学分析により定量したところ、SiO/Al=276(モル比)、SiO/B=91(モル比)であった。
調製例4(MFI型)
70重量%NaAlO 0.22g、NaOH 0.16gを26gの脱塩水に溶かし撹拌した。透明な水溶液になったところで40重量%テトラプロピルルアンモニウムヒドロキシド水溶液10.2g、シリカゾル6g(日産化学社製:スノーテック40)を添加して2時間撹拌を続けた。得られたスラリーを2100mlのオートクレーブに入れて160℃で2日間回転させながら合成した。オートクレーブを冷やした後、内容物を濾過、水洗し、120℃で乾燥させた。その後、空気気流下、550℃で6時間焼成して、含有しているテンプレートを除去した。
この焼成したサンプル2.0gを1Mの硝酸アンモニウム水溶液40mlに懸濁させ、80℃で2時間撹拌した。処理後の液は吸引濾過により固体成分を分離し、十分水洗を行った後、再度1Mの硝酸アンモニウム水溶液40mlに懸濁させ、80℃で2時間撹拌した。処理後の液は吸引濾過により固体成分を分離し、十分水洗を行った後、100℃で24時間乾燥した。乾燥後の触媒は、空気流通下500℃で4時間焼成を行い、H型のアルミノシリケート(「触媒D」という)を得た。
この触媒Dは、XRDによりゼオライトの構造がMFI型であることを確認した。この触媒Dの組成を化学分析により定量したところ、SiO/Al=50(モル比)であった。
[プロピレンの製造]
以下に上記触媒A〜Dを用いたプロピレンの製造実施例および比較例を示す。
<実施例1>
触媒Aを用いてプロピレンの製造を行った。
反応には常圧固定床流通反応装置を用い、内径6mmの石英製反応管に、上記触媒Aを50mgと、石英砂0.5gの混合物を充填した。この反応器にイソブテン15モル%、メタノール15モル%、および窒素70モル%を、蒸発器を通して混合し供給した。反応開始後、70分後にガスクロマトグラフィーで生成物の分析を行った。表1に反応条件および反応結果を示した。
イソブテン転化率68.3%、炭素基準のプロピレン選択率は55.7モル%であった。
<実施例2〜3>
触媒として触媒B(実施例2)または触媒C(実施例3)を用いた以外は実施例1と同様の反応条件で反応を行った。表1に反応条件および反応結果を示した。
<比較例1>
触媒として、触媒Dを用いた以外は実施例1と同様の反応条件で反応を行った。表1に反応条件および反応結果を示した。
実施例1〜3と比較して芳香族化合物が多くプロピレンの選択率は低かった。
Figure 0005023637

Claims (5)

  1. 炭素数4以上のオレフィンとメタノールおよび/またはジメチルエーテルとを含む原料混合ガスを、触媒活性成分としてケージタイプ構造のゼオライトを含む触媒の存在下、接触させるプロピレンの製造方法であって、
    該ケージタイプ構造のゼオライトが、International Zeolite Association(IZA)で規定されるコードでMWWであることを特徴とするプロピレンの製造方法。
  2. 前記反応器に供給する炭素数4以上のオレフィンの量が、該反応器に供給するメタノールのモル数とジメチルエーテルのモル数の2倍との合計に対して、モル比で0.1以上10以下であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの製造方法。
  3. 前記反応器入口のガス温度が300℃以上700℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロピレンの製造方法。
  4. 前記反応器が固定床反応器であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のプロピレンの製造方法。
  5. 前記反応器出口ガスに含まれる炭素数4以上の炭化水素の少なくとも一部を該反応器入口にリサイクルすることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のプロピレンの製造方法。
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