JP5023802B2 - 医療用バルーンとステントデリバリーシステム及びその製造方法 - Google Patents

医療用バルーンとステントデリバリーシステム及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、概括的に、医療用、例えば血管、食道、気管、尿道、胆管等に形成された狭窄部の拡張治療に使用される医療用バルーンとステントの導入及び配置用のステントデリバリーシステムに関するものであり、特に、心臓冠動脈の狭窄部におけるステントの導入及び配置用のステントデリバリーシステムに関するものである。
ステントは予め決定された寸法へ拡張されるときの機構により以下の2種類に大別される。1つは形状記憶合金等から構成されたステントであり、機械的なステントの拡張なしで拡張可能な自己拡張型ステント(self−expandable stent)である。もう1つは機械的なステントの拡張を必要とするステントであり、一般的には、脈管、特に動脈及び静脈等を拡張するために使用される公知のバルーンカテーテルにより拡張されるバルーン拡張型ステント(balloon−expandable stent)である。
バルーン拡張型ステントは、ステントそのものに拡張機能はなく、ステントを所望の狭窄部へ留置するためには、バルーンカテーテルのバルーン部に装着されたステントを所望の狭窄部まで配置した後、バルーンを拡張し、バルーンの拡張力によりステントを塑性変形させることで狭窄部の内面に密着させる方法が一般的に実施されている。
バルーン拡張型ステントを上記の方法で留置する場合、ステントがバルーン部に装着されたバルーンカテーテルを狭窄部まで挿入する必要があり、挿入時にステントがバルーン上で移動しバルーンカテーテルから脱落する危険性がある。また、バルーンカテーテルに一般的に使用されているバルーンは円筒形状に拡張する直管部の前後に円錐台状のテーパー部が形成された形状であり、前記直管部の外面にバルーン拡張型ステントが装着される。挿入時にステントがバルーン上で移動しバルーンカテーテルから脱落しないまでも、直管部の前後にステントが移動するような場合、ステントの一方の端部がバルーンのテーパー部の外面に位置することとなる。この部分のバルーンはテーパー形状にしか拡張しないためステントの拡張不足を生じ、狭窄部の再狭窄(Restenosis)を生じる可能性が極めて高くなる。
以上の観点から、バルーン拡張型ステントの留置用に用いられるバルーンカテーテルに該ステントの脱落或いは移動を防止する先行技術が開示されている。
特表2001−505116号公報では、バルーンからステントが動かないようにする為のステント保持手段を有するステント送給システムとして、バルーン外面に適合性材料の層を形成する技術、及び該適合性材料の層を有するバルーン外面にステントを埋め込み配置する技術が開示されている。
特開平9−276414号公報では、バルーンからステントが動かないようにする為のステント保持手段を有するステント送給システムとして、バルーン外面に摩擦係数の大きい層とさらに摩擦係数の大きい層との親和性を抑制する層を形成する技術、及びバルーン内部に存在する内管に径の細い部分(サドル或いはシート)を設け、該シート部上のバルーン外面にステントを配置する技術が開示されている。
特表2005−537097号広報では、バルーンからステントが動かないようにする為のステント保持手段を有するステント送給システムとして、バルーン外面に静摩擦を増大させるために、ポリエーテルモノマー、カルボン酸含有モノマー、親水性モノマーおよび光誘導体化型モノマーを含むコーティングの技術が開示されている。
いずれもステント保持手段としては有効であるものの、バルーンカテーテルへの設計要求が増え、デリバリーカテーテルとしての性能低下が予想される。
特許第3408663号公報では、ステントをカプセル化する手段を有する血管内支持装置が開示されている。本先行技術ではバルーンが折畳まれた状態のステントの周りで広がるようにバルーンの加熱と加圧、及び冷却によりカプセル化が実現される。
しかし、こうしたバルーンの加熱と加圧、及び冷却のプロセスによりバルーンに熱的および物理的なダメージが発生し、耐圧強度の低下の発生が懸念されるばかりか、工程の煩雑化が懸念される。また、近年では薬剤をコーティングしたステント(DES)が用いられることが増えており、加熱と加圧、および冷却による薬剤へのダメージが発生し、効用の低下の発生が懸念される。
特表2002−539888号公報では、拡張可能かつ移植可能な医療器具が取り付けられた医療用バルーンであって、医療用バルーンの表面は複数の突出部を有し、該突出部の少なくとも1部は、前記拡張可能かつ移植可能な医療器具を把持するように、前記拡張可能かつ移植可能な医療器具の下方に少なくとも部分的に設けられている医療用バルーンを開示している。
特表2002−539889号公報では、中央部に少なくとも1つの位置マーキングを有する医療用バルーンを開示している。
しかしこれらの先行技術では、金型ヒートセット法によって突出部をバルーンに組み込むところ、マーキング部位でのバルーンの不均一な拡張や耐圧強度の低下が懸念されるばかりか、工程の煩雑化が懸念される。
特表2004−527285号公報では、バルーンのある領域に一連のリッジを確定する、ステント配置装置を開示している。しかし本先行技術では、バルーンを型内で加熱して該リッジを形成するところ、リッジ部位でのバルーンの不均一な拡張や耐圧強度の低下が懸念されるばかりか、工程の煩雑化が懸念される。さらに、以上の先行技術には、バルーン上の突出部は開示も示唆もされていない。
特表2001−505116号公報 特開平9−276414号公報 特表2005−537097号広報 特許第3408663号公報 特表2002−539888号公報 特表2002−539889号公報 特表2004−527285号公報
そこで、以上の問題に鑑み本発明が解決しようとする課題は、既存のバルーンカテーテルの性能に影響を与えず、簡便に形成可能な層を有し、且つステントへの影響を与えることが無く、ステントが装着されたバルーンカテーテルを狭窄部まで挿入する際にステントの脱落や移動が生じない医療用バルーン、ステントデリバリーシステム及びその製造方法を提供することである。
かくして、本発明は、
(1)バルーン表面上に、該バルーンと接続されるシャフトの表面よりも高摩擦である高摩擦層を備え、前記バルーンが折畳まれた状態において前記バルーンの外面にステントが配置されるステントデリバリーシステムに用いられる医療用バルーンであって、前記高摩擦層は、少なくとも
(A)芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートから選択されるイソシアネート化合物とポリオールの組成物である1分子中にイソシアネート基を2つ以上有するポリウレタンプレポリマー、と
(B)低級ジアミン、低級ジオールおよびポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の物質、とを反応させた後、
(C)水酸基を有する低分子量物質、による処理を経て形成されることを特徴とする医療用バルーン。


(2)前記(A)ポリウレタンプレポリマー中のイソシアネート基の総数が、前記(B)低級ジアミン、低級ジオールおよびポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の物質中のアミン基と水酸基との総数以上かつ4倍以下であることを特徴とする請求項1記載の医療用バルーン。
(3)前記高摩擦層の厚みが、5μm以下である、(1)または(2)記載の医療用バルーン。
(4)前記(B)低級ジアミン、低級ジオールおよびポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の物質が、ひまし油である、(1)〜(3)のいずれか記載の医療用バルーン。
(5)前記(C)水酸基を有する低分子量物質が、水および低級アルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の物質で構成されている、(1)〜(4)のいずれか記載の医療用バルーン。
(6)前記(A)ポリウレタンプレポリマーがひまし油と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下4,4’−MDI)の組成物である、(1)〜(5)のいずれか記載の医療用バルーン。
(7)前記バルーンは折畳まれた場合に、表面上に突出部を備える(1)〜(6)いずれか記載の医療用バルーン。
(8)前記バルーンは折畳まれた場合に、表面上に少なくとも1つのウイングを形成し、前記突出部が、前記ウイングの表面上に位置することを特徴とする、(7)記載の医療用バルーン。
(9)圧縮された第1直径から、患部に移植可能な第2直径まで拡張可能であるステントと、バルーンカテーテルから構成されるステントデリバリーシステムであって、前記バルーンカテーテルは、(1)〜(6)のいずれか記載の医療用バルーンと、該バルーンと流体連通可能に接続されるインフレーションルーメンとを有していることを特徴とするステントデリバリーシステム。
(10)線状要素であるストラットを有し、圧縮された第1直径から、患部に移植可能な第2直径まで拡張可能であるステントと、バルーンカテーテルから構成されるステントデリバリーカテーテルであって、前記バルーンカテーテルは、(7)または(8)記載の医療用バルーンと、該バルーンと流体連通可能に接続されるインフレーションルーメンとを有し、ここで、該バルーンが折畳まれた状態において該ステントストラットによって少なくとも1つの、該バルーンの突出部が挟み込まれていることを特徴とするステントデリバリーシステム。
(11)該バルーンの遠位端および近位端の少なくとも一方に形成された少なくとも一つの該ステントの保持部を有することをさらに備える(9)または(10)に記載のステントデリバリーシステム。
(12)該保持部が該バルーンにより形成されていることをさらに備える(11)に記載のステントデリバリーシステム。
(13)
(9)〜(12)のいずれか記載のステントデリバリーシステムの製造方法であって、
(a)バルーン成形用パリソンを用意するステップと、
(b)該パリソンに第1圧力を印加して放射状に膨張させ、該第1圧力を解除し医療用バルーンを用意するステップと、
(c)インフレーションルーメンを有するデリバリーカテーテル用のチューブを、該医療用バルーンに、該医療用バルーンと該インフレーションルーメンとが流体連通可能に接続して、ステントデリバリーカテーテルを得るステップと、
(d)該医療用バルーンに、前記(A)と前記(B)からなる層を形成するステップと
(e)コーティングされた該医療用バルーンを、前記(C)と接触させた後に、折畳むステップと、
(f)線状要素であるステントストラットを有し、患部に移植可能な医療用ステントを用意するステップと、
(g)該ステントの内腔に該医療用バルーンを配置し、該ステントを圧縮された該第1直径までクリンピングするステップと、
を備える、ステントデリバリーシステムの製造方法。
(14)
(13)記載のステントデリバリーシステムの製造方法であって、該(d)ステップで、層を形成する方法がコーティングである、ステントデリバリーシステムの製造方法。
(15)
(13)または(14)記載のステントデリバリーシステムの製造方法であって、該(e)ステップで、さらに該ステントの内径よりも小さい内径のチューブの内腔に該医療用バルーンを配置し、該医療用バルーンに第2圧力を印加して、その後解放して、チューブを取り外すステップと、
該(g)前記ステントストラットによって少なくとも1つの、該バルーンの突出部が挟み込まれるように、該ステントを圧縮された該第1直径までクリンピングするステップとを備える、製造方法。
を提供する。
本発明の医療用バルーンは、安定して高摩擦層が形成されるので、該バルーンがステントデリバリーシステムに配置された場合、該バルーンが折畳まれた状態において、該層により該ステントが該バルーンに固定されることが容易である。また本発明の医療用バルーンは、バルーンの基本性能に影響を与える事無く、ステントを容易に固定することが出来る。また、安全且つ生体に適した高摩擦層を簡便に形成することが可能となる。
また本発明のバルーンを適用したステントデリバリーシステムは、前記ステントが前記バルーンに強固に固定することが可能となる。
また、本発明のステントデリバリーシステムの製造方法は、既存の多様なバルーンに用いる事が可能となる。また、安定して突起部を形成することが可能であり、前記ステントをバルーンに強固に固定することが可能となる。
以下に本発明に係る医療用バルーンおよびステントデリバリーシステムの最良の実施形態を詳細に説明する。
まず、本発明の医療用バルーンを説明する。本発明の好ましい、医療用バルーンは、生体内の狭窄部治療用のバルーンであり、バルーン表面上に高摩擦層を備える医療用バルーンであって、前記高摩擦層は、(A)1分子中にイソシアネート基を2つ以上有するポリウレタンプレポリマーと、(B)低級ジアミン、低級ジオールおよびポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の物質から形成された後、(C)水酸基を有する低分子量物質による処理を経て形成されることを特徴とする医療用バルーンである。前記高摩擦層は、バルーンと接続されるシャフトの表面よりも高摩擦であることが好ましい。
本発明において、前記(A)ポリウレタンプレポリマー中のイソシアネート基の総数は、前記(B)低級ジアミン、低級ジオールおよびポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の物質中のアミン基と水酸基の総数以上かつ4倍以下となる範囲で、前記(B)と前記(A)の割合を調節することが、高摩擦層とバルーンの密着性や安定性の観点から好ましい。また、高摩擦層の厚みは、5μm以下であることが、バルーンの性能への影響を与えないため、より好ましい。
本発明において高摩擦層を形成する前記(B)低級ジアミン、低級ジオールおよびポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の物質としては、低級ジアミンとしては、ベンジジン、p−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、ブタンジアミン等の脂肪族ジアミンが例示される。また低級ジオールとしては、プロピレングリコール、エチレングリコール等の脂肪族グリコールや脂環族グリコール、ブタンジオール、プロピレンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族ジオール、ナフチレンジオール、ビスフェノールA等の芳香族ジオールが例示される。またポリオールとしては、ポリエステル系ポリオール、ポリ(オキシプロピレンエーテル)ポリオール、ポリ(オキシエチレン-プロピレンエーテル)ポリオール等のポリエーテルポリオール、アクリルポリオールなど高分子ポリオールの分岐誘導体、ひまし油およびその誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール等が例示される。これらのうち、高摩擦層の接着性や柔軟性、安全性の観点から、ひまし油が好ましい。
本発明において、前記(C)該水酸基を有する低分子量物質としては、水および低級アルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の物質で構成されている物質が、取り扱いや安全性の観点から好ましい。さらに、該プレポリマーは、1分子中に2個のイソシアネート基を有する官能基を有するイソシアネート化合物とポリオールの組成物であり、イソシアナート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニル4,4’−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、trans−ビニレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、trans−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、cis−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートが用いられ得るが、物理特性や反応性から4,4’−MDIが好ましく、さらにプレポリマーは4,4’−MDIとひまし油の組成物であることがより好ましい。
本発明の医療用バルーンは、折畳まれた場合に、表面上に突出部を備えるバルーンであることが、よりバルーンからステントが動かないようにする為に好ましい。さらに、該バルーンが折畳まれた場合に、該表面上に少なくとも1つのウイングを有し、該突出部が、該ウイングの表面上に形成されることが、バルーン性能に影響を与えることが少なく、より好ましい。
該バルーンが折畳まれた状態において、ステントが有する線状要素であるステントストラットによって、少なくとも該バルーンの一部が挟み込まれることで突起部を形成することが容易である観点から、2枚以上のウイング(羽)形状に折り畳み可能であり、バルーンの内部を減圧しながらインナーチューブ3に沿ってウイングを巻きつけることで細長く折畳むことが可能であるものが好ましい。
該バルーンは折り畳み可能であれば、特に形状、材質および構造等限定されないが、バルーンは円筒形状の直管部と前記直管部の先端側に円錐台形状のテーパー部を、前記直管部の後端側に円錐台形状のテーパー部を有する形状であり、該テーパー部におけるテーパー角度は制限されず、任意の角度を選択可能である。
次に、本発明のステントデリバリーシステムを、図1を用いて説明する。本発明の好ましいステントデリバリーシステムは、図1を参照すると、バルーン1が、ステントデリバリーカテーテル先端部に接続され、該バルーン上にステント10が装着されている。ここで、該バルーン1は、流体連通可能にインフレーションルーメン6に接続されている。本例では、ステントデリバリーカテーテルは、アウターチューブ2と、ガイドワイヤールーメン5を構成するインナーチューブ3と、X線不透過マーカー4と、とから構成される。
図1の例では、同軸二重管状にアウターチューブ2とインナーチューブ3が配設され、前記インナーチューブの内部にガイドワイヤルーメン5及び前記アウターチューブ2の内面と前記インナーチューブ3の外面によって確定されるインフレーションルーメン6を有するコアキシャル(co−axial)型の構造を示しているが、ガイドワイヤルーメン5とインフレーションルーメン6が平行に配設されたデュアルルーメンチューブによるバイアキシャル(bi−axial)型の構造でもよい。また、上記に例示した以外の構造であっても、本発明の効果を何ら制限するものではない。
本発明に係るステントデリバリーカテーテルは、該カテーテルの先端側のみにガイドワイヤルーメン5を有する高速交換型カテーテル、或いは該カテーテルの全長に亘ってガイドワイヤルーメン5を有するオーバー・ザ・ワイヤ型カテーテルのいずれの構造も取り得ることが可能である。
本発明におけるステントは、圧縮された第1直径から、患部に移植可能な第2直径まで拡張可能であることが必要である。また、線状要素であるステントストラットを有しても良い。図1を参照すると、本例におけるステント10はバルーン拡張型ステントであって、ステントストラットで構成されており、バルーン1の外面に収縮状態で配設される時にステントストラット間が均一に狭くなる構造をしているが、ステントの材質や製造方法は制限されず、任意に選択可能である。
図1の例では、一般的なバルーンカテーテルを使用する観点から、本例におけるバルーン1は、円筒形状の直管部1Aと前記直管部の先端側に円錐台形状のテーパー部1Bを、前記直管部の後端側に円錐台形状のテーパー部1Cを有する形状である。前記テーパー部1B及び1Cにおけるテーパー角度は制限されず、任意の角度を選択可能である。折畳まれたバルーン1の外面、好ましくは直管部1Aの外面に収縮状態のステント10を配設することで、バルーンカテーテルを用いてステント10を体内へ挿入可能となる。この時、バルーン1の外面、好ましくはステント10が配設されている直管部1Aの外面の突起部、好ましくはウイングの一部が、ステント10のステントストラットに挟まれ突起部を形成していることが、より好ましい。この突起部は、任意の突起数を選択可能である。
さらに、バルーン1の遠位端と近位端に保持部12を有することで、ステント10とカテーテル表面との間に滑らかな移行部を与えることにより、ステント送出を助けることがより好ましい。バルーンカテーテルの部品点数の増加や工程の煩雑化を避ける観点から、保持部12はバルーン1によって形成されるのがより好ましい。
このような保持部としては、ステントより大きい外径を持ち、柔軟でステント端部と隙間無く接触して、屈曲してもステント端部が露出しない構造のものが好ましい。具体例としては、ステント端部でバルーンが膨らみ、ステント端部を覆う構造のものが挙げられる。
次に、本発明の、ステントデリバリーシステムの製造方法について説明する。バルーン形成用パリソンを用意して、パリソンに第1圧力を印加して放射状に膨張させ、該第1圧力を解除し医療用バルーンを用意する。このような、医療用バルーンを製造するプロセスは、公知であり、例えば特表2002−520099号に開示されている。
一方、インフレーションルーメンを有するデリバリーカテーテル用のチューブを、該医療用バルーンに、該医療用バルーンと該インフレーションルーメンとが流体連通可能に接続してステントデリバリーカテーテルを得る。本プロセスも公知であり、例えば特表平6−507105に開示されている。
本発明の好ましいステントデリバリーシステムは、ステントデリバリーカテーテルに接続された該医療用バルーンに、該プレポリマーと該ポリオールからなる層を形成する。層を形成する方法としては、既存のステントデリバリーカテーテルに容易に適用できる点から、コーティングが好ましい。次に、コーティングされた該医療用バルーンを、該低分子量物質と接触させ、残留したイソシアネート基を処理させた後、該医療用バルーンを折り畳む。この時、イソシアネート基を残留させないためにも、該低分子量物質を十分に接触させ、残留したイソシアネート基を極力反応させることが好ましく、場合によっては加熱を行い、反応を促進させることが、より好ましい。
最後に、ステントストラットを有し、患部に移植可能な第2直径にあるステントを用意し、該ステントの内腔に該医療用バルーンを配置する。次に、該ステントを圧縮された該第1直径までバルーンと共にクリンピングする。
本発明の該バルーンによるステントストラット間の突起部および、該バルーンによるステントの保持部を形成する好ましい方法は、該医療用バルーンを折り畳んだ後、さらに、該医療用バルーンを、該ステントの内径よりも小さく膨らませたことを、さらに備えるものである。具体的には、該医療用バルーンに、該ステントの内径よりも小さい内径のチューブを被せるステップと、続けて該医療用バルーンに、第2圧力を印加するステップと、その後、解除するステップを、さらに有する方法である。該ステントを圧縮された該第1直径までバルーンと共にクリンピングするステップで、該医療用バルーンが小さく膨らみ、撓むことで、該バルーンによるステントストラット間の突起部および、該バルーンによるステントの保持部の形成が容易となる。
以下に本発明に係る具体的な実施例及び比較例について詳説するが、本発明は以下の例に限定されるものではないことは自明である。尚、以下に示されるステント保持力はASTM:F2394−04(Standard Guide for Measuring Securement of Balloon Expandable Stent Mounted on Delivery System)に基づいて測定した。
(実施例1)
(プレポリマーの作製)
4,4’−MDI 200g、ひまし油 100gを、70度5時間攪拌混合してプレポリマーを作製した。プレポリマーのGPC分析結果より、ひまし油由来のピークは見られず、ひまし油と4,4’−MDIが反応していることを確認した。また、プレポリマーの中和滴定分析結果から、プレポリマー中にイソシアネート基は、4,4’−MDIに換算して全重量の約45%程度の量が含まれていることを確認した。以上のことから1分子中にイソシアネート基を2つ以上有するプレポリマーが作製されたことを確認した。
(高摩擦層の形成)
作製したプレポリマー5.4g、ひまし油(水酸基価:168)6.7g、テトラヒドロフラン(以下THF) 68.0gから成るコーティング溶液を作製した。ステントデリバリーカテーテル(φ3.0mm×21mm)のバルーンを、作製したコーティング溶液で、コーティングを行い、その後、水に3分間浸漬させ、高摩擦層を形成した。バルーンを乾燥させた後、高摩擦層の膜厚を測定すると、2.38±0.38μmであった。
(ステントのクリンピング)
コーティングされたバルーンを折り畳み、バルーン直管部に、ステント(φ1.8mm×18mm)を配置し、ステントを縮径(クリンピング)した。ステント保持力を測定した結果、2.07±0.06Nであった。バルーンを拡張したところ限界バルーン圧力でも割れなかった。
(実施例2)
実施例1と同様にしてバルーンをコーティングした。コーティングされたバルーンを折り畳み、内径φ1.25mmのシースを被せて、インフレーションルーメンよりバルーンに27atmの圧力を加えて、バルーンを30秒拡張した後、バルーン内の圧力を開放し、シースを取り除いた。その後、バルーン直管部に、ステント(φ1.8mm×18mm)を配置し、ステントを縮径(クリンピング)した。ステント保持力を測定した結果、2.47±0.40Nであった。バルーンを拡張したところ限界バルーン圧力でも割れなかった。
(比較例1)
実施例1で用いたステントデリバリーカテーテル(φ3.0mm×21mm)のバルーンに高摩擦層を形成することなく使用した。バルーンの直管部に、ステント(φ1.8mm×18mm)を配置し、ステントを縮径(クリンピング)した。ステント保持力を測定した結果、0.95Nであった。バルーンを拡張したところ限界バルーン圧力でも割れなかった。
(比較例2)
比較例1と同様にしてバルーンカテーテル(φ3.0mm×21mm)のバルーンを折り畳み、内径φ1.25mmのシースを被せて、インフレーションルーメンよりバルーンに27atmの圧力を加えて、バルーンを30秒拡張した後、バルーン内の圧力を開放し、シースを取り除いた。その後、バルーン直管部に、ステント(φ1.8mm×18mm)を配置し、ステントを縮径(クリンピング)した。ステント保持力を測定した結果、1.25Nであった。バルーンを拡張したところ限界バルーン圧力でも割れなかった。
バルーンを折り畳み、ステントを配設した場合の概略図である。
符号の説明
1 バルーン
1A 直管部
1B 先端側テーパー部
1C 後端側テーパー部
2 アウターチューブ
3 インナーチューブ
4 X線不透過マーカー
5 ガイドワイヤールーメン
6 インフレーションルーメン
10 ステント
12 保持部

Claims (15)

  1. バルーン表面上に、該バルーンと接続されるシャフトの表面よりも高摩擦である高摩擦層を備え、前記バルーンが折畳まれた状態において前記バルーンの外面にステントが配置されるステントデリバリーシステムに用いられる医療用バルーンであって、前記高摩擦層は、少なくとも
    (A)芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートから選択されるイソシアネート化合物とポリオールの組成物である1分子中にイソシアネート基を2つ以上有するポリウレタンプレポリマー、と
    (B)低級ジアミン、低級ジオールおよびポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の物質、とを反応させた後、
    (C)水酸基を有する低分子量物質、による処理を経て形成されることを特徴とする医療用バルーン。
  2. 前記(A)ポリウレタンプレポリマー中のイソシアネート基の総数が、前記(B)低級ジアミン、低級ジオールおよびポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の物質中のアミン基と水酸基との総数以上かつ4倍以下であることを特徴とする請求項1記載の医療用バルーン。
  3. 前記高摩擦層の厚みが、5μm以下である、請求項1または2記載の医療用バルーン。
  4. 前記(B)低級ジアミン、低級ジオールおよびポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の物質が、ひまし油である、請求項1〜3のいずれか記載の医療用バルーン。
  5. 前記(C)水酸基を有する低分子量物質が、水および低級アルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の物質で構成されている、請求項1〜4のいずれか記載の医療用バルーン。
  6. 前記(A)ポリウレタンプレポリマーがひまし油と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下4,4’−MDI)の組成物である、請求項1〜5のいずれか記載の医療用バルーン。
  7. 前記バルーンは折畳まれた場合に、表面上に突出部を備える請求項1〜6いずれか記載の医療用バルーン。
  8. 前記バルーンは折畳まれた場合に、表面上に少なくとも1つのウイングを形成し、前記突出部が、前記ウイングの表面上に位置することを特徴とする、請求項7記載の医療用バルーン。
  9. 圧縮された第1直径から、患部に移植可能な第2直径まで拡張可能であるステントと、バルーンカテーテルから構成されるステントデリバリーシステムであって、前記バルーンカテーテルは、請求項1〜6のいずれか記載の医療用バルーンと、該バルーンと流体連通可能に接続されるインフレーションルーメンとを有していることを特徴とするステントデリバリーシステム。
  10. 線状要素であるストラットを有し、圧縮された第1直径から、患部に移植可能な第2直径まで拡張可能であるステントと、バルーンカテーテルから構成されるステントデリバリーカテーテルであって、前記バルーンカテーテルは、請求項7または8記載の医療用バルーンと、該バルーンと流体連通可能に接続されるインフレーションルーメンとを有し、ここで、該バルーンが折畳まれた状態において該ステントストラットによって少なくとも1つの、該バルーンの突出部が挟み込まれていることを特徴とするステントデリバリーシステム。
  11. 該バルーンの遠位端および近位端の少なくとも一方に形成された少なくとも一つの該ステントの保持部を有することをさらに備える請求項9または10に記載のステントデリバリーシステム。
  12. 該保持部が該バルーンにより形成されていることをさらに備える請求項11に記載のステントデリバリーシステム。
  13. 請求項9〜12のいずれか記載のステントデリバリーシステムの製造方法であって、(a)バルーン成形用パリソンを用意するステップと、
    (b)該パリソンに第1圧力を印加して放射状に膨張させ、該第1圧力を解除し医療用バルーンを用意するステップと、
    (c)インフレーションルーメンを有するデリバリーカテーテル用のチューブを、該医療用バルーンに、該医療用バルーンと該インフレーションルーメンとが流体連通可能に接続して、ステントデリバリーカテーテルを得るステップと、
    (d)該医療用バルーンに、前記(A)と前記(B)からなる層を形成するステップと
    (e)コーティングされた該医療用バルーンを、前記(C)と接触させた後に、折畳むステップと、
    (f)線状要素であるステントストラットを有し、患部に移植可能な医療用ステントを用意するステップと、
    (g)該ステントの内腔に該医療用バルーンを配置し、該ステントを圧縮された該第1直径までクリンピングするステップと、
    を備える、ステントデリバリーシステムの製造方法。
  14. 請求項13記載のステントデリバリーシステムの製造方法であって、該(d)ステップで、層を形成する方法がコーティングである、ステントデリバリーシステムの製造方法。
  15. 請求項13または14記載のステントデリバリーシステムの製造方法であって、該(e)ステップで、さらに該ステントの内径よりも小さい内径のチューブの内腔に該医療用バルーンを配置し、該医療用バルーンに第2圧力を印加して、その後解放して、チューブを取り外すステップと、
    該(g)前記ステントストラットによって少なくとも1つの、該バルーンの突出部が挟み込まれるように、該ステントを圧縮された該第1直径までクリンピングするステップとを備える、製造方法。
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