JP5077110B2 - ナノインプリント用モールドおよびその製造方法 - Google Patents
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1)ガラス形成原料を火炎加水分解させて多孔質石英ガラス体を形成する。次いで得られた多孔質石英ガラス体をフッ素化合物ガスおよび不活性ガス雰囲気下で1400℃以上に加熱し透明ガラス化する方法(特許文献3参照。)。
2)VAD法によりガラス微粒子体を仮焼成するにあたって、ガラス原料ガスまたは燃焼ガス中に、時間的に変化しない濃度のフッ素化合物ガスを含有させて供給する。これらのガスを火炎加水分解反応により、ターゲット軸方向にガラス微粒子を堆積させ、その後にガラス微粒子を透明ガラス化して光ファイバ用ガラス母材を得る方法(特許文献4参照。)。
本発明においてナノインプリント用「モールド母材」とは、モールド面に凹凸の微細パターン(以下、単に微細パターンともいう。)が形成される前の成形体(このモールド面は通常平面である)であり、モールド面に微細パターンを形成することによりナノインプリント用「モールド」となるものをいう。モールド母材における「モールド面」とは、微細パターンが形成されてモールドのモールド面となる面をいう。この「モールド母材」は、モールド面の微細パターンの有無の相違を除きモールドと同一のものであってもよく、モールド面に微細パターンを形成する前または形成した後、他の構成部材との組合せによりモールドを構成する構成部材であってもよい。「ナノインプリント用モールド」は、ナノインプリントに使用されるモールドをいい、そのモールド面に微細パターンを有する。
本発明において、ナノインプリント用のモールド母材やモールドのモールド面はフッ素化合成石英ガラスの表面からなる。これらは、合成石英ガラス成形体の表面をフッ素化して製造されることが好ましい。以下、フッ素化される前の合成石英ガラス成形体を合成石英ガラス基材または単に基材という。合成石英ガラス基材を製造する方法としては、特に限定されず公知の方法が利用できる。具体的には、直接法、スート法(VAD法、OVD法)、プラズマ法等を挙げることができる。中でも、製造時の温度が低く、塩素および金属などの不純物の混入を避けることができる観点で、スート法が好ましい。また、必要に応じて他の合成石英ガラスを選択することができる。
本発明において、モールド面におけるフッ素化合成石英ガラス表面のフッ素原子濃度は1000ppm以上である。上限は15%であることが好ましい。フッ素化合成石英ガラス表面のフッ素原子濃度は2000ppm以上5%未満であることがより好ましく、3000ppm以上3%未満であることが特に好ましい。フッ素化合成石英ガラス表面のフッ素原子濃度が1000ppm未満であると、充分な撥油性を発現することができず、15%以上では、フッ素化合成石英ガラスが安定に存在することが困難である。
本発明において、母材およびモールドにおけるモールド面を有する成形体は、合成石英ガラス基材を用いてその表面をフッ素化して得られる成形体が好ましい。合成石英ガラス基材をフッ素化剤でフッ素化すると、その表面がフッ素化されるとともに、表面から内部へフッ素化剤が浸透して反応し、所定の深さまでフッ素化される。この場合、フッ素化された合成石英ガラスのフッ素原子濃度は、表面が最も高く、表面より深さ方向に傾斜的に減少して、所定深さまでがフッ素化合成石英ガラスとなる。本発明の母材およびモールドは、このような合成石英ガラス基材の少なくともモールド面となる表面をフッ素化して得られるものであることが好ましい。なお、モールド面となる表面以外の表面は、このフッ素化と同時にフッ素化されてもよく、その表面をフッ素化剤と接触させないことによりフッ素化前の基材表面とすることもできる。
上記のように、本発明における母材やモールドのモールド面は、合成石英ガラス基材のモールド面となる表面をフッ素化して、モールド面をその表面から深さ方向にフッ素原子濃度を傾斜的に減少させた表面とすることが好ましい。基材を表面からフッ素化してモールド面のフッ素原子濃度を傾斜的に減少させることは、モールド面のクラック発生抑制などに有効である。例えば、フッ素原子を含有する合成石英ガラスの領域とフッ素原子を含有しない合成石英ガラスの領域とを有する合成石英ガラスをNI法1など熱膨張が生じる用途に利用する場合、これら2つの領域の界面に熱膨張によるクラックが発生するのを抑制することができる。クラック発生抑制のための物性変化の傾斜の度合いは、フッ素原子を含有する合成石英ガラス領域とフッ素原子を含有しない合成石英ガラスの領域の線膨張係数によって決まる。クラックを抑制するためには、深さ方向の線膨張係数の変化量を0.05ppm/℃・nm以下となるような傾斜の度合いにするのが好ましい。例えば、フッ素原子を1.6%含有する合成石英ガラスの領域の線膨張係数は0.4ppm/℃であり、フッ素原子を含有しない合成石英ガラスの領域の線膨張係数は0.65ppm/℃であることが知られている(Proc. SPIE,Vol.6116,61160Y,(2006)参照)。したがって、具体的に、例えば、表面のフッ素原子濃度が1.6%であり、内部にフッ素原子を含有しない合成石英ガラス製のNI用モールドを200℃の温度で使用する場合、深さ方向の線膨張係数の変化量を0.05ppm/℃・nm以下とするには、深さ方向にフッ素原子濃度が3000ppm/nm以下で減少するのが好ましい。この場合のフッ素原子濃度の減少は、2500ppm/nm以下がより好ましく、2000ppm/nm以下がさらに好ましい。
合成石英ガラス基材表面のフッ素化は、基材表面にフッ素化剤を接触させて反応させることにより行われる。表面に接触したフッ素化剤は表面から内部へ拡散等により浸透し、表面下の内部の合成石英ガラスもフッ素化する。フッ素化剤の種類やフッ素化条件などにより、表面のフッ素原子濃度、深さ方向へのフッ素原子濃度低減割合、フッ素化される深さなどが変化する。
モールド面の微細パターンは表面の微細な凸凹の集合からなる。本発明において、微細パターンは表面材料の選択的除去により形成されるものであるから、微細パターンは当初表面における凹部(当初表面を有しない部分)の集合とみなすことができる。この場合、凸部は隣接する凹部の境界部などの当初表面を有する部分となる。また、凹部(当初表面を有しない部分)内表面にも凹凸を形成されることがあり、この部分の凸部は当初表面を有しない。以下の凸部は当初表面を有するものをいう。
前記モールド(モールド面に微細パターンを有するもの)はナノインプリント法におけるモールドとして使用される。すなわち、モールド面の微細パターンが表面に転写された(モールド面の凹凸パターンが反転した凹凸パターンが形成された)転写体を製造するために使用される。具体的には、モールド面の微細パターンを転写材料に転写し、その後転写体(転写された微細パターンを表面に有する成形体)をモールド面から剥離して転写体を得る方法に使用される。転写材料としては固体の可塑性材料、固化しうる液体材料、固体化可能な気体材料などがある。
<合成石英ガラスのフッ素濃度>
合成石英ガラスの表面および内部のフッ素原子濃度はSIMS分析装置(アルバックファイ社製、ADEPT1010)により、一次イオン:Cs+、加速電圧:5kV、ビームカレント:100nA、ラスターサイズ:300×300μm2、試料角度:60°として測定した。このSIMS分析条件は、エッチングレートが約1.0nm/minとなるように決定され、分析間隔は3分とした。つまり、本発明における「表面」におけるフッ素原子濃度とは、表面から約3nmまでの深さにおける平均フッ素原子濃度に相当する。フッ素原子濃度は、合成石英ガラス中のフッ素原子濃度が既知である標準試料を、前述の条件にてSIMS分析し、フッ素原子の相対二次イオン強度と濃度との検量線を作成することで求めた。ここで、フッ素原子の相対二次イオン強度とは、フッ素原子の二次イオン強度(19F−)からバックグラウンドシグナル強度(19F− BG)を差し引いた値と、母体材料のケイ素原子の二次イオン強度(28Si−)との強度比[(19F−−19F− BG)/28Si−]である。バックグラウンドシグナル強度(19F− BG)は、フッ素原子が含まれていない合成石英ガラスをSIMS分析することで求めた。また、表面からの深さは、SIMS分析によって形成されるスパッタクレータの深さを触針式膜厚計によって測定し求めた。
合成石英ガラスの算術平均粗さ(Ra)は原子間力顕微鏡(セイコーインスツル社製、Nanopics1000)を用いて測定した。測定領域を4μm×4μmとし、同一サンプル内の異なる3ヶ所において、それぞれRaの値を測定し、その平均を算出した。
合成石英ガラスのn−ヘキサデカンの接触角を、接触角測定装置(協和界面化学製、製品名;CA−X150)を用いて測定した。被測定表面が清澄な状態で、接触角の測定をする必要がある。被測定表面を洗浄し清澄な状態とする方法としては、表面を壊さない範囲で、公知の洗浄方法が利用できる。例えば、アルコールなどによる溶媒洗浄、UVランプによる光洗浄などが挙げられる。本実施例では、アセトンによる溶媒を採用した。
合成石英ガラスの仮想温度は文献(A.Agarwal、K.M.Dabis and M.Tomozawa、“A simple IR spectroscopic method for determining fictive temperature of silica glass”、J.Non−Cryst.Solids.、185、191−198 (1995))に従って、赤外分光光度計を用いて波数2260cm−1付近の吸収ピークの位置により求めた。
仮想温度分布は以下のように測定できる。所定のサイズに成形した合成石英ガラス体をスライスし、20mm×20mm×2.5mmの合成石英ガラスブロックとする。この合成石英ガラスブロックの20mm×20mm面について、10mmピッチの間隔で前述の方法に従い仮想温度の測定を行うことで、成形石英ガラス体の仮想温度分布を求める。
OH基濃度は以下のように測定した。赤外分光光度計による測定を行い、2.7μm波長での吸収ピークからOH基濃度を求めた(J.P.Wiiliams et.al.,Ceramic Bulletin,55(5),524,1976)。本法による検出限界は0.1ppmである。
VAD法で製造した、フッ素を含まない合成石英ガラス(石英1)の平板(2cm×2cm×t2.5mm)をSUS316製のホルダーに担持させ、ホルダーとともにニッケル製オートクレーブ(容積1L)に入れた後、オイルバスを用いてオートクレーブ外部より加熱し、昇温速度0.5〜2℃/minの範囲で常温から80℃まで昇温した。装置内を80℃に保ったまま、装置内の圧力が絶対圧266Pa以下となるまで真空脱気し、1時間保持した。ついで、窒素ガスで1vol%に希釈した元素状フッ素のガス(以下、希釈フッ素ガスと記す。)を、装置内の圧力をゲージ圧0.18MPaとなるまで導入した。希釈フッ素ガスを導入した後、1時間保持することでフッ素化処理を行い、表面がフッ素化された合成石英ガラスを得た。
VAD法で製造した、フッ素を含まない合成石英ガラス(石英2)の平板(2cm×2cm×t0.8mm)をSUS316製のホルダーに保持させ、ホルダーとともにニッケル製オートクレーブ(容積1L)に入れた後、オイルバスを用いてオートクレーブ外部より加熱し、昇温速度0.5〜2℃/minの範囲で常温から80℃まで昇温した。装置内を80℃に保ったまま、装置内の圧力が絶対圧266Pa以下となるまで真空脱気し、1時間保持した。ついで、表1に示す条件にて、フッ素化処理を行い、表面がフッ素化された合成石英ガラスを得た。温度の調整は、−2〜2℃/minの範囲の速度で所定の温度まで昇温もしくは冷却した。窒素ガスで所定の濃度に希釈した希釈フッ素ガスを用い、装置内の圧力をゲージ圧0.18MPaとなるまで導入した。
上述の方法により、VAD法で製造した、フッ素を含まない合成石英ガラス(石英1)の平板(2cm×2cm×t2.5mm)のフッ素原子濃度を測定した結果、合成石英ガラス表面のフッ素濃度は本質的に0ppmであった。
例2〜4と同じ方法でVAD法で製造した、フッ素を含まない合成石英ガラス(石英2)の平板(2cm×2cm×t0.8mm)をオートクレーブ(容積1L)にて、昇温、真空脱気し、1時間保持する。
Claims (13)
- モールド面がフッ素化合成石英ガラスの表面からなり、該表面におけるフッ素原子濃度が1000ppm以上であることを特徴とするナノインプリント用モールド母材。
- 表面から2μmを超える深さにおけるフッ素原子濃度が100ppm未満または0である、請求項1に記載のナノインプリント用モールド母材。
- フッ素原子濃度が表面から深さ方向に傾斜的に減少している、請求項1または請求項2に記載のナノインプリント用モールド母材。
- 表面のn−ヘキサデカンに対する接触角が15度以上である、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のナノインプリント用モールド母材。
- 合成石英ガラスのOH基濃度が100ppm以下である、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のナノインプリント用モールド母材。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のナノインプリント用モールド母材のモールド面に凹凸の微細パターンを形成してなる、ナノインプリント用モールド。
- 凹凸の微細パターンを有するモールド面を有し、該モールド面がフッ素化合成石英ガラスの表面からなり、該表面におけるフッ素原子濃度が1000ppm以上であることを特徴とするナノインプリント用モールド。
- モールド面がフッ素化合成石英ガラスの表面からなるナノインプリント用モールド母材を製造する方法であって、合成石英ガラス基材のモールド面となる表面からその内部へフッ素化剤を浸透させてフッ素化することを特徴とするナノインプリント用モールド母材の製造方法。
- フッ素化剤のガスをモールド面となる表面から内部へ浸透させてフッ素化する、請求項8に記載の製造方法。
- フッ素化剤が、元素状フッ素およびフッ化水素から選ばれる少なくとも1種である、請求項8または請求項9に記載の製造方法。
- フッ素化合成石英ガラスの表面からなりかつ凹凸の微細パターンを有するモールド面を有するナノインプリント用モールドを製造する方法であって、合成石英ガラス基材のモールド面となる凹凸の微細パターンを有する表面からその内部へフッ素化剤を浸透させてフッ素化する工程を含むことを特徴とするナノインプリント用モールドの製造方法。
- 請求項6または請求項7に記載のナノインプリント用モールドの微細パターンを有するモールド面に可塑性材料を圧接して該モールド面の微細パターンを該可塑性材料に転写し、その後微細パターンが転写された表面を有する該可塑性材料の成形体をモールド面から剥離することを特徴とするナノインプリント用モールドの使用方法。
- 請求項6または請求項7に記載のナノインプリント用モールドの微細パターンを有するモールド面に液状硬化性材料を供給して該液状硬化性材料の層を形成し、該液状硬化性材料を硬化させ、その後微細パターンが転写された硬化体をモールド面から剥離することを特徴とするナノインプリント用モールドの使用方法。
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