JP5082972B2 - パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、大電流、高電圧を制御する半導体装置に用いられるパワーモジュール用基板の製造方法に関する。
従来のパワーモジュールとして、セラミックスからなる絶縁基板の一方の面に、アルミニウム製の回路層を積層し、この回路層の上に電子部品となる半導体チップがはんだ付けされ、一方、絶縁基板の他方の面に放熱層が形成され、この放熱層にヒートシンクが接合された構成のものが知られている。この場合、回路層の表面には、一般に、はんだ付け性の向上のためニッケルメッキが施される。
この回路層にニッケルメッキを施す場合、例えば、特許文献1に示されるニッケルメッキ技術が用いられる。この特許文献1に示されるNiめっき技術は、アルミニウム又はその合金からなるアルミニウム基材上にニッケルメッキを施す工程と、該ニッケルメッキで被覆されてなるアルミニウム基材を250℃以上で、かつアルミニウム母材の融点未満の温度で加熱する工程とを有するものであって、このような工程によって、母材に対して密着性の良いニッケルメッキ膜を形成するものである。そして、このニッケルメッキ膜によってはんだ層の濡れ性を向上させ、ボイド率の低減を図るようにしている。
特開昭62‐280395号公報
ところで、このようにして回路層にニッケルメッキを施したパワーモジュール用基板では、通常、その上面に搭載される半導体チップのはんだ付けを酸化防止のために水素を含有する還元雰囲気中で行ない、その後、回路層と半導体チップとを電気的に接続するワイヤボンディングを大気中にて行っている。
しかしながら、回路層へのボンディングワイヤの接合部において、ニッケルメッキ膜が母材から剥がれるという不具合が生じており、その対策が望まれていた。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ボンディングワイヤが接続されるニッケルメッキ膜の剥がれを防止することができるパワーモジュール用基板の製造方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明の製造方法では、絶縁基板の上にアルミニウム製の回路層が形成されるとともに、該回路層の表面にニッケルメッキ膜が形成されてなるパワーモジュール用基板の製造方法において、前記ニッケルメッキ膜を形成した後、不活性ガス雰囲気とした炉内を200〜380℃のピーク温度に到達させた後、冷却する熱処理を行うことを特徴とする。
この製造方法においては、回路層にニッケルメッキを施した後に、不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより、表面からの酸化を防止しながら、ニッケルメッキとアルミニウム製の回路層との界面で両金属どうしが拡散し合って強固に接合するのである。
た、本発明の製造方法において、前記熱処理は、その昇温速度が10〜20℃/分であるとよい。
なお、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を使用することができる。
本発明のパワーモジュール用基板の製造方法では、回路層の表面にニッケルメッキ膜を形成した後に、不活性ガス中で熱処理することにより、回路層とニッケルメッキ膜との密着力を高めることができる。その結果、ニッケルメッキ膜の剥がれによりボンディングワイヤが外れるなどの不具合の発生を確実に防止することができる。また、その熱処理として、不活性ガス雰囲気とした炉内を200〜380℃のピーク温度に到達させた後、冷却する処理とすることにより、ニッケルメッキ膜の密着力をより高めることができ、昇温速度を10〜20℃/分とすることにより、さらに信頼性を向上させることができる。
以下、本発明に係るパワーモジュール用基板の製造方法の一実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るパワーモジュール用基板を用いたパワーモジュールを示している。この図1に示されるパワーモジュール1は、セラミックス等からなる絶縁基板2を有するパワーモジュール用基板3と、該パワーモジュール用基板3の表面に搭載された半導体チップ等の電子部品4と、パワーモジュール用基板3の裏面にベースプレート5を介して接合されたヒートシンク6とから構成されている。
パワーモジュール用基板3は、絶縁基板2の表面側にアルミニウム製の回路層7が積層されるとともに、裏面側に放熱層8が積層され、この放熱層8を介してヒートシンク6が取り付けられた構成である。
また、絶縁基板2は、例えばAlN(窒化アルミニウム)、Si(窒化珪素)等の窒化物系セラミックス、若しくはAl(アルミナ)等の酸化物系セラミックスにより形成され、回路層7は、純アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる母材により形成されている。また、この回路層7は、その表面にはんだの濡れ性を向上させるために、ニッケルメッキ処理によってニッケルメッキ膜9が形成されている。放熱層8は、純度99.0wt%以上の純アルミニウムにより形成されている。この場合、絶縁基板2は平面視四角形状に形成され、放熱層8は、絶縁基板2よりも若干小さいが、同様に平面視四角形状に形成されている。
また、これら絶縁基板2、回路層7、放熱層8の相互間は、Al−Si系、Al−Ge系、Al−Cu系、Al−Mg系またはAl−Mn系等のろう材によって接合されている。放熱層8とベースプレート5との間はSn−Ag−Cu系、Zn−Al系若しくはPb−Sn系等のはんだ材によって接合され、ベースプレート5とヒートシンク6との間は、シリコングリースによって密着させた状態でねじ10によって機械的に固定されている。
ベースプレート5は純アルミニウム又はアルミニウム合金から構成される。ヒートシンク6は、アルミニウム合金の押し出し成形によって、パワーモジュール用基板3に接合される筒体11と、該筒体11の内部流路12内に立設された多数のフィン13とが形成された構成とされている。天板部11は、パワーモジュール用基板3の放熱層8より大きい四角形状の平面形状を有しており、各フィン12は、筒体11の幅方向に等間隔で相互に平行に並べられ、筒体11の長さ方向に沿って設けられている。
そして、回路層7の上に、Sn−Ag−Cu系、Zn−Al系若しくはPb−Sn系等のはんだ材によって電子部品4が接合される。図中符号14がそのはんだ接合層を示す。また、電子部品4と回路層7の端子部との間は、アルミニウムからなるボンディングワイヤ15により接続される。
なお、符号16は放熱層8とベースプレート5との間のはんだ接合層を示している。
そして、このような構成のパワーモジュール用基板3の製造に際しては、まず、絶縁基板2の各面にろう材箔を介して回路層7及び放熱層8を積層し、これら積層体を不活性ガス雰囲気、還元ガス雰囲気又は真空雰囲気において積層方向に加圧した状態で加熱し、ろう材箔を溶融させることによって回路層7及び放熱層8をそれぞれ絶縁基板2に接合する。そして、その回路層7の表面に、無電解めっきにより、ニッケルメッキ膜9を形成する。
その後、不活性ガスが充満された炉(図示略)内にパワーモジュール基板3を置き、炉内の不活性ガス温度をピーク温度である200〜380℃にまで到達させた後、炉内放置により冷却するという熱処理を行なう。この場合、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウムのいずれかが一部又は全割合で含有されたものを使用する。また、ピーク温度までの昇温速度は10〜20℃/分とされ、ピーク温度に到達したら冷却開始するが、そのピーク温度で若干保持してもよい。保持時間としては0〜10分とされる。図2のグラフは、この熱処理における温度の経時的変化を示しており、ピーク温度Tが200〜380℃とされ、そのピーク温度Tへの到達時間Mは15〜30分とされる。この熱処理により、回路層7の表面とニッケルメッキ膜9との接合面における両金属相互の拡散が促進されることにより、両者が界面付近で一体になり、その密着力が高められるのである。
このようにして製造したパワーモジュール用基板3には、その回路層6の上に電子部品がはんだ付けされるとともに、放熱層7がベースプレート5上にはんだ付けされる。これらのはんだ付け作業は窒素と水素を混合した還元ガス雰囲気中で行われる。そして、冷却後に、大気中で電子部品4と回路層7との間でワイヤボンディングされる。最後にヒートシンク6をシリコングリースを介してベースプレート5に接触させ、ねじ10によって固定する。この一連の工程によってパワーモジュール1が完成する。
次に、上記のような構成のパワーモジュール用基板3の回路層7について、ボンディングワイヤの剥離がどのような場合に生じるかについて行った試験の結果を以下に示す。
この試験では、絶縁基板に回路層及び放熱層をろう付けにより積層し、回路層にニッケルメッキ膜を形成した後、そのニッケルメッキ膜の上にワイヤボンディングして試験片とした。使用したボンディングワイヤとしては、材質がAl−1wt%Siのアルミニウム製し、ワイヤ径が150〜500μm、ピッチが1mmで試験片1枚につき15本ずつワイヤボンディングした。このようにして製作した試験片を6枚ずつ、図3(a)に示すように、窒素雰囲気(窒素93%、水素7%)で熱処理した場合(T)、窒素雰囲気で熱処理した後、さらに水素雰囲気(水素100%)で加熱処理した場合(T→H)、事前の熱処理をすることなく、水素雰囲気で加熱処理した場合(H)の3種類の条件で試験した。また、同様にして製作した試験片を同じく6枚ずつ、図3(b)に示すように、アルゴン雰囲気(アルゴン100%)で熱処理した場合(A)、アルゴン雰囲気で熱処理した後、さらに水素雰囲気で加熱処理した場合(A→H)、事前の熱処理をすることなく、水素雰囲気で加熱処理した場合(H)の3種類の条件で試験した。
いずれの熱処理の場合もピーク温度は360℃とし、そのピーク温度までの到達時間は20〜25分、到達後は炉内放置によって冷却した。この熱処理条件において、水素雰囲気での加熱処理は、電子部品を搭載するときのはんだ付け条件を模擬したものである。なお、図3(a)と(b)とで回路層のアルミニウム板のロットが若干異なるものを使用している。
図3において、WB剥離とは、ワイヤボンディング部の剥離を意味しており、ボンディングワイヤを1本ずつ中央で切断して、ワイヤの根元の部分をピンセットでつまんで持ち上げたときに、ワイヤが切れたものあるいはニッケルメッキ膜の表面でワイヤが外れたものは正常、ニッケルメッキ膜から剥離したものをNGとして、試験した。各表の1行目の数値は、試験片6枚中の何枚に剥離が生じたかを分数で示している。また、2行目は、剥離が生じたボンディングワイヤの全本数を示し、1枚につき15本であるから、総本数は90本であり、90本中何本に剥離が生じたかを分数で示している。3行目は、ろう付けした回路層の表面にろうのシミが生じていた場合に、そのシミの部分に固着されたボンディングワイヤの総本数に対して何本に剥離が生じたかを分数で示している。剥離が生じる場合、ろうのシミが発生した部分で生じており、その剥離率を4行目に示した。
この図3の試験結果から明らかなように、水素ガス雰囲気で加熱処理する前に、窒素ガス雰囲気又はアルゴンガス雰囲気で熱処理を加えておくことにより、ボンディングワイヤの剥離率が、窒素ガスでの熱処理の場合は69.0%から7.4%に、またアルゴンガスでの熱処理の場合は73.8%から0%に、それぞれ大幅に低下することが確認された。
以上詳細に説明したように本実施形態に示されるパワーモジュール用基板の製造方法では、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気中で熱処理することによって、回路層7とニッケルメッキ槽9との密着力を高めることができ、その結果、その後に電子部品4をはんだ付けしてワイヤボンディングにより接続したパワーモジュール1は、ニッケルメッキ膜の剥がれに起因する不具合の発生が確実に防止されるものである。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
本発明の実施形態の製造方法が適用されるパワーモジュールの全体構成を示す縦断面図である。 本発明の実施形態における熱処理の温度変化状態を示すグラフである。 ワイヤボンディング部からの剥離を確認するために実施した試験結果を示す表である。
符号の説明
1 パワーモジュール
2 絶縁基板
3 パワーモジュール用基板
4 電子部品
5 ベースプレート
6 ヒートシンク
7 回路層
8 放熱層
9 ニッケルメッキ膜
10 ねじ
11 筒体
12 内部流路
13 フィン
14 はんだ接合層
15 ボンディングワイヤ
16 はんだ接合層

Claims (2)

  1. 絶縁基板の上にアルミニウム製の回路層が形成されるとともに、該回路層の表面にニッケルメッキ膜が形成されてなるパワーモジュール用基板の製造方法において、
    前記ニッケルメッキ膜を形成した後、不活性ガス雰囲気とした炉内を200〜380℃のピーク温度に到達させた後、冷却する熱処理を行うことを特徴とする請求項1記載のパワーモジュール基板の製造方法。
  2. 前記熱処理は、その昇温速度が10〜20℃/分であることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
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