JP5116218B2 - 分散液、分散液の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はLDC等に用いられる反射体を製造する技術に関する。
反射型LCD(Liquid Crystal Display)用の反射体に用いられる反射膜としては高反射率が必要とされるため、従来、純Al膜やAlを主成分とするAl合金系膜、また、純Ag膜やAgを主成分とするAg合金系膜等が用いられている。
このうち、Al膜は塩分や水分等で腐食し易い上、経時的に反射率が低下するという問題があるため、Al膜よりも反射特性の優れているAg膜の使用が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この場合、Ag膜の形成方法としては、真空蒸着又はスパッタリングが用いられ、そのパターニングにはリソグラフィーが用いられているのが現状である。Ag膜は、Al膜と比較して可視光域の範囲では反射特性は優れているが、耐熱性に問題がある。
LCD製造工程中には、通常250℃程度の熱処理工程が数回行われ、トータルの熱処理時間が1時間程度にもなり、またLCDが製品となった後も、LCDの動作中に生じる熱負荷によって、Ag膜の反射特性が劣化するという問題がある。
また、Ag膜は耐候性にも問題があり、高湿下での反射特性の劣化、密着性の劣化が生ずる。さらに、従来技術においては、真空蒸着やスパッタリングによる成膜工程、その後のリソグラフィーによるパターニング工程を用いるので、プロセスが複雑であり、設備も大掛かりとなり、当然コスト高となる。
特開2004−231982号公報 特開2001−35255号公報 特開2005−54268号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、反射特性に優れ、かつ耐熱性の高い反射膜を得ることにある。
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、銀を主成分とする金属粒子が分散溶剤に分散され、無機酸化物上に塗布、加熱されて反射膜が形成される反射膜形成用の分散液であって、無極性溶剤と有機錫化合物とが含有され、前記分散液に含有される銀と錫の合計重量に対し、錫が0.1重量%以上5重量%以下含有された分散液である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の分散液であって、前記金属粒子の粒径は100nm以下にされた分散液である。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の分散液であって、前記無極性溶剤として、キシレンとテトラデカンのいずれか一方又は両方が含有された分散液である。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の分散液を作成する分散液の製造方法であって、銀を主成分とする金属材料を、不活性ガスを含有する蒸気雰囲気中で蒸発させて金属粒子を生成し、前記金属粒子の表面に第一の溶剤の蒸気を接触させ、前記金属粒子の表面に前記第一の溶剤の膜を形成し、前記第一の溶剤を第二の溶剤と置換して、前記金属粒子と前記第二の溶剤を有する処理液を作成した後、前記第二の溶剤を無極性溶剤が含有された第三の溶剤に置換し、含有される銀と錫の合計重量に対し、錫を0.1重量%以上5重量%以下の範囲で含有するように有機錫化合物を添加して、前記金属粒子が分散された分散液を作成する分散液の製造方法である。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の分散液の製造方法であって、前記金属材料に錫を含有させる分散液の製造方法である。
請求項6記載の発明は、請求項4又は請求項5のいずれか1項記載の分散液の製造方法であって、前記第一の溶剤に炭素数5以上のアルコール又は有機エステルのいずれか一方又は両方を用いる分散液の製造方法である。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の分散液の製造方法であって、前記炭素数5以上のアルコールにα−テルピネオールを用いる分散液の製造方法である。
請求項8記載の発明は、請求項4乃至請求項7のいずれか1項記載の分散液の製造方法であって、前記第二の溶剤に極性溶剤を用いる分散液の製造方法である。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の分散液の製造方法であって、前記極性溶剤はアセトンである分散液の製造方法である。
請求項10記載の発明は、請求項4乃至請求項9のいずれか1項記載の分散液の製造方法であって、前記無極性溶剤として、キシレンと、テトラデカンのいずれか一方又は両方を用いる分散液の製造方法である。

本発明は上記のように構成されており、本発明の分散液を基板上に塗布、加熱すると、銀を主成分とし、錫が含有された反射膜が得られる。錫が含有された反射膜はガラスやITO(インジウム錫酸化物)等の無機酸化物に対する接着性が高いので、本発明の分散液を用いて形成された反射膜は基板から剥がれ難い。
金属粒子の粒径(平均直径)が100nm以下、より好ましくは10nm以下であれば、低い加熱温度(例えば150℃以上220℃以下)で粒子同士を焼結し、反射膜を形成することができる。
分散溶剤は無極性溶剤を有しており、金属粒子はそのような分散溶剤に対する分散性が高いので、分散液中では金属粒子は均一に分散している。従って、分散液をインクジェットプリンタのノズルから吐出して塗布層を形成する際に、ノズル詰まりが起こらず、金属粒子の濃度が均一な塗布層を形成することができる。
所望形状の塗布層を形成する場合に、反射膜の形成にスパッタ法を用いると、反射膜の成膜後にリソグラフィー工程が必要であり、製造工程が煩雑なので製造コストも高い。これに対し、インクジェットプリンタを用いれば、所望箇所に分散液を吐出して所望形状の塗布層を直接形成できるので、リソグラフィー工程が不要であり、反射膜を簡易に製造できる。
本発明の分散液の製造方法に使用される第一の溶剤は、金属粒子や付着板を濡らすという使用目的から、低沸点溶剤や水やアルコールを用いることが困難であり、第一の溶剤には有機エステルや炭素数5以上のアルコールのような高沸点溶剤(油類)を用いるのが適している。
本発明の分散液を製造する工程で、第一の溶剤を第二の溶剤に置換するのは、金属粒子が形成される際に、第一の溶剤の蒸気が変性されて生じた副生成物を第一の溶剤と一緒に除く目的の他に、分散液に残留する第一の溶剤の量を少なくするためである。
第一の溶剤は低沸点溶剤や水やアルコールに比べて沸点が高いので、分散液に第一の溶剤が残留していると、反射膜を形成する工程で、塗布層の加熱温度が低いと除去されず、反射膜の膜質が悪くなる。従って、分散液を製造する工程で第一の溶剤の量を除去しておけば、膜質の良い反射膜が得られる。
金属粒子は、極性溶剤に分散され難いが、無極性溶剤に対する分散性は高いので、第二の溶剤を第三の溶剤に置換すれば、金属粒子が凝集せず、分散溶剤である第三の溶剤中に均一に分散された分散液が得られる。
本発明の分散液を用いれば、所望形状の反射体を簡易に製造可能であり、その製造コストも安い。本発明により製造された反射体は、反射膜が基板から剥がれ難く、耐熱性や耐候性は高いので、その反射体をLCDに用いれば、信頼性の高いLCDが得られる。
図1の符号1は本発明の金属粒子の製造に用いられる製造装置を示しており、製造装置1は真空槽2を有している。
真空槽2には真空排気系7と、ガス供給系8と、溶剤供給系6とが接続されており、真空排気系7を動作させて真空槽2内部を真空排気し、真空槽2内部から大気を除去して真空雰囲気を形成する。
真空排気を続けながら、真空槽2内部にガス供給系8から不活性ガスを供給し、溶剤供給系6から第一の溶剤を供給する。真空槽2内部に供給された第一の溶剤12は、真空槽2の内部雰囲気に晒されて蒸発し、その蒸気は真空槽2内部に放出される。
真空排気と不活性ガスの供給を続け、真空槽2の内部に全圧が1気圧(101.325Pa)未満であって、不活性ガスの分圧が10Torr以下、第一の溶剤が飽和蒸気圧である蒸気雰囲気を形成する。
真空槽2の内部の底壁側には金属材料3が配置され、真空槽2内部の天井側には付着板5が表面を金属材料3に向けて配置されている。第一の溶剤は有機エステルや炭素数5以上のアルコールのように高沸点溶剤で構成されており、蒸気雰囲気では第一の溶剤は飽和状態にあるので、付着板5を第一の溶剤の沸点よりも低い温度にすれば、付着板5の表面が濡れた状態になる。
製造装置1は不図示の加熱手段を有している。例えば、加熱手段は電子ビーム銃で構成されており、蒸気雰囲気を維持しながら、金属材料3の付着板5と対向する面に向かって加熱手段から電子ビームを照射すると、金属材料3が加熱され、金属材料の蒸気が付着板5に向かって放出される。
金属材料の蒸気は不活性ガスで減速されてから付着板5に到達する。付着板5の表面は第一の溶剤で濡れているから、到達した金属材料の蒸気による膜成長が阻害され、付着板5の表面上で粒径が100nm以下の金属材料の微粒子(金属粒子)が形成される。
金属材料3を所定時間加熱した後、金属材料3の加熱と、不活性ガスの導入と、真空排気とを停止し、付着板5を真空槽2外部に取り出す。
付着板5上の金属粒子は第一の溶剤で覆われており、付着板5の表面を第一の溶剤で洗うと、金属粒子は第一の溶剤と一緒に付着板5から剥離され、第一の溶剤と金属粒子とを含有する第一の処理液が得られる。
第一の処理液に、金属粒子から第一の溶媒を分離しやすい第二の溶媒(例えば極性溶媒)を添加し、第一の溶媒を第二の溶媒に置換すれば、金属粒子と第二の溶媒とを有する第二の処理液が得られる。
次に、第二の溶剤を、無極性溶剤が含有された第三の溶剤と置換すると、金属粒子と第三の溶剤とを有する分散液が得られる。金属粒子は無極性溶媒に対する分散性が高いので、金属粒子は第三の溶媒中で凝集せず、粒子同士が独立して均一に分散される。
金属材料3に銀を主成分とし、錫が0.1重量%以上5重量%以下含有された合金材料を用いた場合には、銀を主成分とし、錫が0.1重量%以上5重量%以下含有された金属粒子が、分散溶剤(第三の溶媒)中に分散された本発明第一例の分散液が得られる。
また、金属材料3が銀を主成分とし、錫が含有されない場合は、錫の銀に対する含有量が0.1重量%以上5重量%以下になるように有機錫化合物を分散液に添加すれば、銀を主成分とする金属粒子が分散溶媒に分散され、錫の銀に対する含有量が0.1重量%以上5重量%以下になるよう有機錫化合物が添加された本発明第二例の分散液が得られる。ここで錫の銀に対する含有量とは、分散液に含まれる金属成分中の錫の含有量のことであり、即ち錫の重量から、金属粒子の重量と錫の重合の合計を除し、100を乗じた値であるので、上記第一、第二例のいずれの分散液も錫の銀に対する含有量の範囲は同じになる。
次に、本発明の分散液を用いて反射体を製造する工程の一例について説明する。図2(a)の符号11は基板を示しており、上記分散液をインクジェットプリンタのタンクに充填し、インクジェットプリンタのノズルを基板11の表面に向け、基板11の表面の所定位置に向かってノズルから分散液を吐出し、基板11の所定箇所に、所定形状の塗布層12を形成する(図2(b))。
次いで塗布層12を加熱すると、第三の溶剤が蒸発して塗布層12から除去されると共に、金属粒子が焼結し、所定形状の金属材料膜(反射膜)が形成される。図2(c)の符号10は基板11の表面に反射膜15が形成された反射体を示している。
この反射膜15は銀を主成分とするので、光(可視光)の反射率が高い。第一、第二例のいずれの分散液を用いた場合も、反射膜15中の錫の含有量は0.1重量%以上5重量%以下になり、このような反射膜15は無機酸化物に対する接着性が強いので、ガラス基板のように、基板11表面に無機酸化物(二酸化ケイ素)が露出する場合には、反射膜15が基板11に強く接着される。
反射膜15が基板11に強く接着されると、熱負荷を受けても基板11からはがれ難いので、本発明により製造された反射体10は耐熱性や耐候性に優れている。従って、この反射体10を用いた反射型LCDは、信頼性の高いものになる。
銀からなる金属材料3と、α−テルピネオールかならなる第一の溶剤を用い、不活性ガス(ヘリウムガス)の分圧が0.5Torrの条件で金属粒子を形成し、粒径(平均直径)が約10nmの金属粒子を20重量%含有する第一の処理液を作成した。
第二の溶剤として、第一の溶剤を溶解せず、第一の溶剤よりも比重の重い極性溶媒(アセトン)を用い、第一の処理液1容量部に対し、第二の溶剤を5容量部添加、攪拌後、2時間静置し、第一の処理液を、第二の溶剤と金属粒子とを有する下層と、第一の溶剤を主とする上層に分離し、下層のみを集め、上層を除去した(洗浄工程)。
この洗浄工程を5回繰り返して第一の溶剤を第二の溶剤に置換し、第二の処理液を得た。第二の処理液中では金属粒子が沈殿しており、その沈殿物に、テトラデカンからなる第三の溶剤を添加し、第二の溶剤を第三の溶剤に置換した。更に有機錫化合物である錫ジオクトエートを添加し、錫の銀に対する含有量が0.1重量%、テトラデカンの濃度が60重量%の本発明第二例の分散液を得た。
上記工程で得られた第二例の分散液のAgの含有量は全体の18重量%であり、粘度は7mPa・sであり、表面張力は32mN/mであった。また、この分散液は非常に安定であって、常温で1ヶ月経過後でも金属粒子の沈降分離は見られなかった。
第二例の分散液を液晶用無アルカリガラス基板の表面にスピンコート法で塗布して塗布層を形成し、大気中で、加熱温度220℃、加熱時間30分間の条件で焼成し、膜厚200nmの反射膜15を形成し、実施例1の反射体10を得た。
これとは別に、第二例の分散液に変えて、錫を含有しない分散液(真空冶金(株)社製のAgナノメタルインク)を用いた以外は実施例1と同じ条件で比較例1の反射体を作成した。更に、第二例の分散液中の錫の銀に対する含有量を変えて実施例2〜6、比較例2、3の反射体を作成した。
実施例1〜6、比較例1〜3の錫の銀に対する含有量を下記表1の「Sn(重量%)」の欄に記載する。
Figure 0005116218
実施例1〜6、比較例1〜3の反射体10の「比抵抗」と、「反射率」を下記の条件で測定し、更に、各反射体10を用いて下記「密着性」試験を行った。
<比抵抗>
抵抗値は、4探針式の抵抗測定器(三菱化学社製の商品名「ロレスタ」)で測定した。
<反射率>
可視光領域(波長400〜800nm)の反射率を分光光度計を用いて測定した。
<密着性>
クロスカット法に従って、反射膜15の表面に縦横にカッターで6本ずつ切り込みを入れ、5mm□のマス目を25個(5×5)形成した。粘着テープ(3M社製の商品名「2422」)をマス目が形成された反射膜15の表面に貼付した後、粘着テープを反射膜15から剥離し、反射膜15の剥がれを観察した。上記表1には、25マス中、反射膜15が剥がれなかったマスの数を記載した。
上記表1から明らかなように、錫の銀に対する含有量が0.1重量%以上であれば、密着性が高くなった。錫の銀に対する含有量が多くなる程密着性が向上したが、その含有量が5重量%を超えると、比抵抗が大きくなるだけでなく、反射率も90%未満に低下した。これらのことから、反射膜15中の錫の含有量を0.1重量%以上5重量%以下にすれば、比抵抗や反射率を損なうことなく密着性が向上する効果が得られることが分かった。
次に、本発明の他の実施例について説明する。
本発明の分散液は、上述したように錫が金属粒子中に含有される場合や、有機錫化合物として含有される場合に限定されるものではない。例えば、銀を主成分とする金属粒子が分散された分散液に、錫を主成分とする他の金属粒子を、錫の銀に対する含有量が0.1重量%以上5重量%以下になるように、添加してもよい。
更に、錫の銀に対するの含有量が0.1重量%以上5重量%以下になるように、第一例の分散液に有機錫化合物や錫粒子を添加したり、錫の銀に対する含有量が0.1重量%以上5重量%以下になるように第二例の分散液に錫を主成分とする金属粒子を添加してもよい。
有機錫化合物は第二の溶剤が置換された後の分散液に添加してもよいし、最終的な分散液の錫で、銀に対する含有量が0.1重量%以上5重量%以下になるのであれば、分散液を製造する途中の工程で有機錫化合物を添加してもよい。
金属粒子の形成方法は特に限定されないが、上述したように、第一の溶剤蒸気と不活性ガスの存在下で金属粒子を形成するガス中蒸発法によれば、粒径が100nm以下であり、粒度が揃った金属微粒子が得られる。金属粒子の粒径は特に限定されないが、その粒径が100nm以下、より好ましくは10nm以下であれば、塗布層の加熱温度が低くても、反射率の高い反射膜が得られる。
金属粒子をガス中蒸発法により製造する場合には、第一の溶剤の配置場所は特に限定されるものではない。例えば、第一の溶剤が金属材料3と接触しない位置に配置されるのであれば、第一の溶剤を真空槽2内から排出しながら、新たな第一の溶剤を真空槽2内に供給し、第一の溶剤を真空槽2内で循環させてもよい。また、第一の溶剤を金属材料3と同じ真空槽2内には配置せず、別の装置内で第一の溶剤の蒸気を発生させ、この蒸気を真空槽2内に導入するようにしてもよい。
金属材料3の加熱法は特に限定されるものではなく、例えばコイルのような磁束発生手段に金属材料3を近接配置し、該磁束発生手段に高周波電流を流して金属材料3を通る磁界を発生させ、金属材料3内に電流を流して金属材料3を発熱させる高周波誘導加熱法を用いることができる。
第二例の分散液に用いる有機錫化合物の種類も特に限定されるものではないが、常温で液体であって、分散液中の溶剤(第二、第三の溶剤)に対して分散又は溶解し、かつ、塗布層の加熱温度(例えば150℃以上220℃以下)で分解するものが好ましい。
本発明に用いることのできる有機錫化合物としては、テトラブチル錫、テトラフェニル錫、テトラプロピル錫、ジブチルジフェニル錫、トリブチルアセトキシ錫等がある。これらの有機錫化合物は1種類を単独で第二の分散液に用いてもよいし、2種類以上を同じ第二の分散液に用いてもよい。
不活性ガスの種類はヘリウムガスに限定されず、ネオンガス、アルゴンガス、キセノンガス、クリプトンガス等を用いることができる。
また、付着板5に付着した金属粒子だけを集めるのではなく、真空槽2の内壁に付着した金属粒子を集めてもよいし、付着板5を真空槽2内に設けずに、真空槽2の内壁に付着した金属粒子だけを集めてもよい。
本発明の分散液の製造方法においては、必要に応じて、第一の処理液及び/又は分散液に、金属粒子の分散性を向上させるための分散剤を添加することができる。分散液に分散剤を添加する場合には、第一の溶剤に溶解しないような分散剤でも使用可能である。
分散液中で使用可能な分散剤としては、特に限定されないが、アルキルアミン、カルボン酸アミド、アミノカルボン酸塩の中から選ばれた1つ若しくは複数のものが用いられる。特にアルキルアミンとしては、炭素数が4以上20以下の主骨格を持つアルキルアミンが好ましく、炭素数8以上18以下の主骨格を持つアルキルアミンが安定性、ハンドリング性の点からさらに好ましい。
アルキルアミンの主鎖の炭素数が4未満であると、アミンの塩基性が強過ぎて金属粒子を腐食する傾向があり、最終的には金属粒子を溶かしてしまうという問題がある。また、アルキルアミンの主鎖の炭素数が20を超えると、分散液中の金属粒子濃度を高くしたときに、分散液の粘度が上昇してハンドリング性がやや劣るという問題がある。また、全ての級数のアルキルアミンが分散剤として有効に働くが、第1級のアルキルアミンが安定性、ハンドリング性の点からは好適に用いられる。
アルキルアミンの具体例としては、例えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘクサドデシルアミン、オクタデシルアミン、ココアミン、タロウアミン、水素化タロウアミン、オレイルアミン、ラウリルアミン、及びステアリルアミンなどのような第1級アミン、ジココアミン、ジ水素化タロウアミン、及びジステアリルアミンなどのような第2級アミン、並びにドデシルジメチルアミン、ジドデシルモノメチルアミン、テトラデシルジメチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、ココジメチルアミン、ドデシルテトラデシルジメチルアミン、及びトリオクチルアミンなどのような第3級アミンや、その他に、ナフタレンジアミン、ステアリルプロピレンジアミン、オクタメチレンジアミン、及びノナンジアミンなどのようなジアミンがある。また、カルボン酸アミドやアミノカルボン酸塩の具体例としては、例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸ラウリルアミド、オレイン酸アミド、オレイン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ラウリルアミド、ステアラニリド、オレイルアミノエチルグリシンなどがある。これらのアルキルアミン、カルボン酸アミドやアミノカルボン酸塩は、1 種以上を使用することができ、それにより安定な分散剤として作用する。
アルキルアミンの含有量は、金属粒子の重量基準でおよそ0 .1重量%以上10 重量%以下、望ましくは0 .2重量%以上7 重量%以下の範囲である。アルキルアミンの含有量が0.1重量%未満であると、金属粒子が独立状態で分散せずに、その凝集体が発生することがあり、また10 重量%を超えると、得られる分散液の粘度が高くなり、最終的にはゲル状物が形成され、塗布層形成性が劣るという問題がある。
第一の溶剤は、ガス中蒸発法の際に用いる金属粒子生成用の溶剤であって、付着板が濡れた状態にするために、比較的沸点の高い溶剤である。第一の溶剤としては、テルピネオール、シトロネオール、ゲラニオール、フェネチルアルコール等の炭素数5以上のアルコール類や、酢酸ベンジル、ステアリン酸エチル、オレイン酸メチル、フェニル酢酸エチル、グリセリド等の有機エステル類を用いることができ、これらの溶剤は1種類単独で第一の溶剤に用いてもよいし、2種類以上を同じ第一の溶剤に用いてもよい。第一の溶剤の種類は、使用する金属粒子の構成元素、又は分散液の用途によって適時選択できる。
第三の溶剤で第一の溶剤を置換できず、第一の溶剤が金属粒子から分離されない場合は、第三の溶剤を添加する前に、第三の溶剤と置換可能な第二の溶剤で、第一の溶剤を置換するとよい。
第二の溶剤は、処理液中の金属粒子を沈降させ、第一の溶剤を分離可能なものであればよく、第一の溶剤よりも低分子量の極性溶剤、例えばアセトン等がある。
分散液の分散媒である第三の溶剤としては、主鎖の炭素数が6以上20以下の無極性炭化水素や、水や、炭素数が15 以下のアルコール系溶剤などのような常温で液体のものを少なくとも一種選択して使用することができる。無極性炭化水素の場合、炭素数が6未満であると、分散液の乾燥が早すぎて分散液のハンドリング上で問題があり、また、炭素数が20を超えると、分散液の粘度の上昇や塗布層の加熱工程で炭素が残留し易いという問題がある。第三の溶剤にアルコールを用いる場合、その炭素数が15を超えると分散液の粘度の上昇や焼成する用途では炭素が残留しやすいという問題がある。
第3の溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、トリメチルペンタンなどの長鎖アルカンや、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの環状アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、テルピネオールなどのアルコールを用いることができる。これらの溶剤は、単独で用いても、混合溶剤の形で用いても良い。例えば、長鎖アルカンの混合物であるミネラルスピリットであっても良い。
分散液中の金属粒子の濃度は特に限定されないが、10 重量%以上70重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以上60重量%以下であり、濃度が10重量%未満だと粘度、表面張力などのインク特性は十分に満たすが、反射膜を形成するには適切ではなく、また、濃度が70重量%を超えると粘度、表面張力などのインク特性を満たさなくなるため、インクジェット用インクとして使用できない。
分散液の塗布法は特に限定されるものではなく、上述したインクジェット法やスピンコート法の他に、バーコート法等一般に用いられる塗布法を広く用いることができる。インクジェット法により分散液を塗布する場合、プリンタヘッドへの分散液の供給安定性や、分散液の液滴形成性や、分散液の吐出安定性や、プリンタヘッドの高速応答性等を考慮すると、通常の動作環境(環境温度が0℃以上50℃以下)において、分散液の粘度が1mPa ・s以上100mPa ・s以下、好ましくは1mPa ・s以上10mPa ・s以下、表面張力が25mN/m以上80mN /m以下 、好ましくは30mN /m以上60mN /m以下であることが必要であり、本発明の分散液はそのような特性を満足する。
本発明の分散液の用途としては、反射膜形成用途以外にも、導電回路形成用などの種々の用途がある。本発明においては、インク組成物、なかでも最近パソコンの周辺機器としての低価格・高性能で普及の著しいインクジェットプリンタにおけるインクジェット用インクとして用い、反射膜を作製するという目的を達成することができる。
このインクジェット用インクのインク特性として要求される粘度や表面張力などの物性は、上述した通りである。また、使用するガラス基板やプラスチック基板等の基体の性質に合わせて、水、アルコール系などの極性溶剤や非極性炭化水素系溶剤を選択するなど、使い方の違いにより分散溶剤の選択条件がきまってくる場合がある。
反射膜15が形成される基板11もガラス基板に限定されるものではない。基板11は反射膜15が形成されるべき部分に無機酸化物が露出しているものであれば、例えば、セラミック基板や、プラスチック基板の表面に無機酸化物層が形成されたものを用いることができる。反射膜15が密着される無機酸化物の層は二酸化ケイ素の層に限定されず、例えばITO(インジウム錫酸化物)の層に反射膜15を密着形成することもできる。
本発明の分散液を塗布、乾燥して反射膜を形成した後、その反射膜上に本発明の分散液を塗布、乾燥して、2層以上の反射膜を形成し、2層以上の反射膜で1つの反射膜を形成することもできる。この方法は、基板11と反射膜の密着性を確保するために有用である。
本発明に用いる製造装置の一例を説明する断面図 (a)〜(c):本発明による反射体の製造工程の一例を説明する断面図
符号の説明
1……製造装置 2……真空槽 3……金属材料 5……付着板 7……真空排気系 8……ガス供給系 10……反射体 11……基板 12……塗布層 15……反射膜

Claims (10)

  1. 銀を主成分とする金属粒子が分散溶剤に分散され、無機酸化物上に塗布、加熱されて反射膜が形成される反射膜形成用の分散液であって、
    無極性溶剤と有機錫化合物とが含有され、
    前記分散液に含有される銀と錫の合計重量に対し、錫が0.1重量%以上5重量%以下含有された分散液。
  2. 前記金属粒子の粒径は100nm以下にされた請求項1記載の分散液。
  3. 前記無極性溶剤として、キシレンとテトラデカンのいずれか一方又は両方が含有された請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の分散液。
  4. 銀を主成分とする金属材料を、不活性ガスを含有する蒸気雰囲気中で蒸発させて金属粒子を生成し、
    前記金属粒子の表面に第一の溶剤の蒸気を接触させ、前記金属粒子の表面に前記第一の溶剤の膜を形成し、
    前記第一の溶剤を第二の溶剤と置換して、前記金属粒子と前記第二の溶剤を有する処理液を作成した後、
    前記第二の溶剤を無極性溶剤が含有された第三の溶剤に置換し、含有される銀と錫の合計重量に対し、錫を0.1重量%以上5重量%以下の範囲で含有するように有機錫化合物を添加して、前記金属粒子が分散された請求項1記載の分散液を作成する分散液の製造方法。
  5. 前記金属材料に錫を含有させる請求項4記載の分散液の製造方法。
  6. 前記第一の溶剤に炭素数5以上のアルコール又は有機エステルのいずれか一方又は両方を用いる請求項4又は請求項5のいずれか1項記載の分散液の製造方法。
  7. 前記炭素数5以上のアルコールにα−テルピネオールを用いる請求項6記載の分散液の製造方法。
  8. 前記第二の溶剤に極性溶剤を用いる請求項4乃至請求項7のいずれか1項記載の分散液の製造方法。
  9. 前記極性溶剤はアセトンである請求項8記載の分散液の製造方法。
  10. 前記無極性溶剤として、キシレンと、テトラデカンのいずれか一方又は両方を用いる請求項4乃至請求項9のいずれか1項記載の分散液の製造方法。
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