JP5116840B2 - ピン位置決め冶具及びピン装着装置 - Google Patents

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Description

本発明は、機械部品あるいは電子部品等のワーク(親部品)に対して子部品としての円筒状のピンを装着する際に用いるピン位置決め冶具及びピン装着装置に関し、特に、車両用自動変速機等に適用される遊星歯車機構において遊星歯車を回動自在に支持するピンをキャリアに圧入する際に、ピンを軸線回りの所定角度位置に位置決めするピン位置決め冶具及びピン装着装置に関する。
車両に搭載される自動変速機等に適用される遊星歯車機構は、太陽歯車、環状歯車、太陽歯車及び環状歯車に噛合する複数の遊星歯車、遊星歯車を自転及び公転自在に支持するキャリア、遊星歯車をキャリアに対して回動自在に支持するピン等を備えている。
この遊星歯車機構において、遊星歯車は、摩耗や抵抗を低減するために、ニードルベアリングを介してピンにより回動自在に支持されると共に、ピンに潤滑油通路を設けて軸受け領域に潤滑油を供給するように形成されたものが知られている。
ところで、上記のようなピンをキャリアに装着する従来のピン装着装置としては、円筒状をなすピンがその軸線方向において方向性をもつもの(すなわち、上向き及び下向きの区別がある潤滑油通路を設けたもの)を適用することを前提として、遊星歯車を組込んだキャリアを保持するワーク受けプレート、ワーク受けプレートの下方において昇降自在に駆動される昇降板、昇降板を駆動するシリンダ、昇降板に保持されてワーク受けプレートを下方から貫通して遊星歯車の挿入孔及びキャリアの挿入孔の芯合わせを行うと共に直上に搬入されたピンの潤滑通路に挿入される縮径部をもつセンタリングガイド、ワーク受けプレートに保持されたキャリアを上方から押えるキャリア押え部材、キャリアの直上に搬入されたピンを挿入孔に圧入するべく上方から押圧する押圧部材、搬入されたピンの潤滑油通路にセンタリングガイドの縮径部が入り込んだか否かをピンの傾斜状態により判断してピンの上下の向きを確認するセンサ等を備え、ピンが上下方向を間違えることなく装着されるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、遊星歯車機構においては、遊星歯車の軸受け領域に対して、キャリアの回転による遠心力及び遠心ポンプ作用を利用して潤滑油を円滑にかつ効率よく供給するために、円筒状のピンに対して、軸線方向に伸長する潤滑油通路に加えて径方向に貫通する潤滑油孔を設け、この潤滑油孔をキャリアの径方向外側に方向付けるようにしてピンを装着することが提案されている。
しかしながら、上記従来のピン装着装置では、軸線方向において方向性をもつ(上向きか下向きかで潤滑油通路の経路が異なる)ピンを対象としており、軸線回り(周方向)において方向性のあるピンを所定角度に位置決めして装着することは困難である。
また、上記従来のピン装着装置は、センタリングガイドを上下動させるための専用の機構(昇降板、シリンダ等)が必要であり、構成部品を集約して配置することができず、構造の複雑化、装置の大型化及び高コスト化等を招くものである。
特開平7−314266号公報
本発明は、上記従来技術の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、装置の小型化、低コスト化等を図りつつ、軸線回り(周方向)に方向性をもつ円筒状のピンを所定の角度に方向付けて高精度にワーク(親部品)に装着することができるピン位置決め冶具及びピン装着装置を提供することにある。
上記目的を達成する本発明のピン位置決め冶具は、円筒状のピンをワークの挿入孔に装着するべく、ピンを位置決めするピン位置決め冶具であって、ピンをワークの挿入孔と芯合わせするべくピンを収容してワークに嵌合される冶具本体と、ピンをその軸線回りの所定角度位置に方向付けるべく冶具本体上に設けられてピンの回転を規制する規制機構と、を備え、規制機構は、ピンの上端面において中心から偏倚して形成された凹部に対して、ピンの径方向外側から入り込んで係合する係合位置と凹部から離脱する離脱位置との間を移動し得る係合部材と、係合部材を係合位置に向けて付勢する付勢部材とを含む。
この構成によれば、円筒状のピンをワークの挿入孔に対して所定角度位置に方向付けて装着する際に、ピンが冶具本体に収容されかつ規制機構により回転を規制された状態で、ピン位置決め冶具がワークに嵌合される。
これにより、ピンをワークの挿入孔に芯合わせし、かつ、ピンをワークの挿入孔に対して所定角度位置に位置決めした状態で、ピンをワークの挿入孔に高精度に装着することができる。また、ピンを収容したピン位置決め冶具を持ち運ぶ際に、規制機構により位置決めすることにより、ピンの位置ずれを防止することができる。
特に、規制機構として、係合位置と離脱位置を往復動する(例えば、直線的に往復動する又は揺動して往復動する)係合部材及び付勢部材を採用するため、構造の簡素化、小型化等を達成することができる。
上記構成をなすピン位置決め冶具において、係合部材は、揺動自在に形成され、その一端側において凹部に係合し得る係合部、その他端側において凹部から係合部を離脱させるための力を及ぼす操作部を有する、構成を採用することができる。
この構成によれば、ピンを冶具本体に収容する際には、係合部材の操作部を押し下げて係合部をピンの収容領域(例えば、収容孔)から遠ざけた状態で、ピンを所定角度位置に方向付けて冶具本体に収容し、その後、操作部を離すだけで、付勢部材の付勢力により係合部材の係合部をピンの凹部に入り込ませて係合させることができる。このように、簡単な操作で、ピンを位置決めしつつ冶具本体に収容することができる。
上記目的を達成する本発明のピン装着装置は、円筒状のピンをワークの挿入孔に装着するピン装着装置であって、ピンをワークの挿入孔と芯合わせするべくピンを収容してワークに嵌合される冶具本体及びピンをその軸線回りの所定角度位置に方向付けるべく冶具本体上に設けられてピンの回転を規制する規制機構を含むピン位置決め冶具と、ピン位置決め冶具を上方から嵌合したワークを載置するテーブルと、位置決め冶具の冶具本体をワークに向けて押圧する押圧機構と、押圧機構が作動した状態でピンをワークの挿入孔に圧入する圧入機構と、を備え、規制機構は、ピンの上端面において中心から偏倚して形成された凹部に対して、ピンの径方向外側から入り込んで係合する係合位置と凹部から離脱する離脱位置との間を移動し得る係合部材と、係合部材を係合位置に向けて付勢する付勢部材とを含む。
この構成によれば、ピン位置決め冶具によりピンを位置決めした状態で、ピン位置決め冶具を嵌合したワークをテーブルに載置し、押圧機構により冶具本体を押圧して固定し、圧入機構によりピンをワークの挿入孔に圧入することができる。
特に、規制機構として、係合部材及び付勢部材を採用するため、構造の簡素化、小型化等を達成することができる。
上記構成をなすピン装着装置において、圧入機構は、テーブルに対して昇降自在な昇降ヘッドと、昇降ヘッドを昇降駆動する昇降駆動ユニットと、昇降ヘッドに設けられてピンを挿入孔に圧入する圧入ロッドとを含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、圧入機構として、昇降ヘッド、昇降駆動ユニット、及び圧入ロッドを採用するため、構造の簡素化、装置の小型化等を達成しつつ、圧入動作を円滑に行うことができる。
上記構成をなすピン装着装置において、押圧機構は、昇降ヘッドに対して所定範囲を上下動自在に支持された押圧部材と、押圧部材を下方に向けて付勢する付勢バネとを含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、押圧機構として、昇降ヘッドに支持された押圧部材及び押圧部材を下方に付勢する付勢部材を採用するため、押圧部材を支持する専用の部材を設ける場合に比べて、部品点数を削減でき、昇降ヘッド周りの構造を簡素化でき、装置を小型化することができる。
上記構成をなすピン装着装置において、ピンが所定角度位置に方向付けられているか否かを検出する検出機構を、さらに含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、ピンが所定角度位置からずれている場合は、検出機構がそのことを検出するため、ピンの圧入動作を未然に中止することができる。
上記構成をなすピン装着装置において、検出機構は、圧入ロッドに対して上下方向に移動自在に支持されると共に圧入ロッドの下端面から突出するように下向きに付勢されかつピンが所定角度位置に方向付けられた状態にあるときピンの上端面において中心から偏倚して形成された凹部に非接触にて進入し得る可動子と、ピンが所定角度位置からずれた状態にあるとき可動子がピンの上端面に当接して押し上げられる動作に連動して検出信号を発するセンサとを含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、ピンが所定角度位置に方向付けられて位置決め冶具に収容されている場合、圧入ロッドの下端面がピンに当接した状態で、可動子の下端部はピンの凹部に入り込んで上方に押し上げられないため、センサはピンが所定角度位置に方向付けられていることを検出することができ、一方、圧入ロッドの下端面がピンの上端面に当接した状態で可動子の下端部がピンの上端面に当接して可動子が上方に持ち上げられると、センサが可動子の動作に連動して信号を発し、ピンが所定角度位置からずれていることを検出することができる。また、検出機構として、圧入ロッドに支持さえた可動子、可動子の動作に連動して信号を発するセンサを採用するため、ビジュアルセンサ等を採用する場合に要する画像情報の処理等が不要で、構造の簡素化、低コスト化等を達成でき、又、機械的な接触動作に基づくため誤検出等を確実に防止することができる。
上記構成をなすピン装着装置において、規制機構は、ピンの上端面において中心から偏倚して形成された凹部に対して、ピンの径方向外側から入り込んで係合する係合位置と凹部から離脱する離脱位置との間を移動し得る係合部材と、係合部材を係合位置に向けて付勢する付勢部材とを含み、検出機構は、圧入ロッドに対して上下方向に移動自在に支持されると共に圧入ロッドの下端面から突出するように下向きに付勢されかつピンが所定角度位置に方向付けられた状態にあるときピンの上端面において中心から偏倚して形成された凹部に非接触にて進入し得る可動子と、ピンが所定角度位置からずれた状態にあるとき可動子がピンの上端面に当接して押し上げられる動作に連動して検出信号を発するセンサとを含み、係合部材が係合する凹部と可動子が非接触にて進入し得る凹部とは、ピンの上端面において一つ凹部として形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、係合部が係合する凹部と可動子が非接触にて進入し得る凹部が、一つの凹部であるため、ピンを方向付けて冶具本体に組み付ける際に、一つの凹部が所定角度位置を決める目印となり、誤組付けを防止することができる。
上記構成をなすピン装着装置において、圧入ロッドは、昇降ヘッドに対して着脱自在に形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、ピンの種類に応じて圧入ロッドを交換することができるため、ピンの種類(遊星歯車機構の機種)に対応してピンの装着動作を行うことができる。
上記構成をなすピン位置決め冶具及びピン装着装置によれば、構造の簡素化、装置の小型化、低コスト化等を達成しつつ、軸線回り(周方向)に方向性をもつ円筒状のピンを所定の角度に方向付けて高精度にワーク(親部品)に装着することができ、特に、車両用自動変速機等に適用される遊星歯車機構において遊星歯車を回動自在に支持するピンをキャリアに圧入する際にピンを軸線回りの所定角度の方向に高精度に位置決めして装着することができる。
本発明に係るピン位置決め冶具を示す平面図である。 本発明に係るピン位置決め冶具がワークに嵌合された状態を示す(部分断面 本発明における装着の対象となるピンを示す斜視図である。を含む)側面図である。 本発明に係るピン装着装置の一実施形態を示す側面図である。 図4に示すピン装着装置の一部を拡大した部分拡大図である。 図4に示すピン装着装置に含まれる圧入ロッドを示す(部分断面を含む)側面図である。 本発明に係るピン位置決め冶具及びピン装着装置の動作を説明する(部分断面を含む)部分側面図である。 本発明に係るピン位置決め冶具及びピン装着装置の動作を説明する(部分断面を含む)部分側面図である。 本発明に係るピン位置決め冶具及びピン装着装置の動作を説明する(部分断面を含む)部分側面図である。 本発明に係るピン位置決め冶具及びピン装着装置の動作を説明する(部分断面を含む)部分側面図である。 本発明に係るピン位置決め冶具及びピン装着装置の動作を説明する(部分断面を含む)部分側面図である。
符号の説明
W ワーク
W1 キャリア
W2 遊星歯車
W3 ニードルベアリング
W4 挿入孔
W5 仮ピン
10 ベース
20 テーブル
30 垂直フレーム
31 ガイド部
40 昇降ヘッド(圧入機構)
41 被ガイド部
42 連結部
43 嵌合部
44 収容部
45 ガイド部
46 上端面
47 下端面
50 昇降駆動ユニット(圧入機構)
51 モータ
52 ボールネジ
53 ボールナット
60 圧入ロッド(圧入機構)
61 先端部
61a 下端面
62 嵌合部
62a 上端面
63 鍔部
64 ガイド孔
65 収容部
70 押圧部材(押圧機構)
71 円板部
71a 当接部
71b 貫通孔
72 ロッド部
72a 鍔部
80 付勢バネ(付勢部材、押圧機構)
90 検出機構
91 可動子
91a 下端部
91b 上端部
91c 鍔部
91d 付勢バネ
91e 鍔部
92 連動アーム
93 付勢バネ
94 センサ
M ピン位置決め冶具
100 冶具本体
101 中央開口部
102 収容孔
103 固定凹部
104 嵌合部
110 規制機構
111 ホルダ
111a 支軸
111b,111c ストッパ壁
111d 空間部
112 係合部材
112a 係合部
112b 操作部
113 付勢バネ(付勢部材)
RT 回転テーブル
HU ワーク保持ユニット
以下、本発明の最良の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。尚、この実施形態において、ワークWは、図2に示すように、自動車の自動変速装置等に搭載される遊星歯車機構の一部であり、キャリアW1、遊星歯車W2、ニードルベアリングW3、遊星歯車W2をキャリアW1に仮組付けするべくキャリアW1及びニードルベアリングW3により画定される挿入孔W4に挿入された仮ピン(プロセスピン)W5等により構成されている。そして、ワークWに対しては、仮ピンW5と入れ換えるように本来のピンP(アクチュアルピン)が装着されるようになっている。
ピンP(アクチュアルピン)は、図3に示すように、円筒状に形成され、上端面P1、上端面P1において中心(軸線L)から偏倚した位置で径方向Dに伸長するように形成された溝状の凹部P2、軸線L方向に伸長する潤滑油通路P3、潤滑油通路P3に連通すると共に径方向に貫通するように形成された潤滑油孔P4及び潤滑油孔P5等を備えている。ここで、凹部P2は、軸線L回り(周方向)において潤滑油孔P4と同一の角度位置に形成されている。潤滑油孔P4と潤滑油孔P5とは、軸線L回り(周方向)においてお互いに180度ずれた位置に形成されている。また、潤滑油孔P4と潤滑油孔P5とは、軸線L方向において潤滑油孔P4が潤滑油孔P5よりも上端面P1寄りに形成されている。
このように、ピンPには、潤滑油孔P4に対応する角度位置において上端面P1に一つの凹部P2が設けられているため、この凹部P2を確認することにより、ピン位置決め冶具Mに組み付ける際の目印とすることができる。
ピン位置決め冶具Mは、図1及び図2に示すように、略円板状に形成された冶具本体100、冶具本体100の上部に固定されてピンPの回転を規制する複数の規制機構110等を備えている。
冶具本体100は、図1及び図2に示すように、円形をなす中央開口部101、中央開口部101の周りおいて周方向に配列された円筒状の複数の収容孔102、各々の収容孔102に対して径方向の外側に設けられた固定凹部103、ワークWのキャリアW1に嵌合される嵌合部104等を備えている。
中央開口部101は、ワークWの遊星歯車W2と噛合させる太陽歯車を挿入し得るように形成されている。
収容孔102は、ピンPを挿入して軸線Lに垂直な方向への位置ずれを規制してワークWの挿入孔W4と芯合わせすると共に、手作業によりピンPを容易に挿入できる内径寸法に形成されている。
固定凹部103は、規制機構110のホルダ111を部分的に埋設して締結ネジ(不図示)等により固定するように形成されている。
規制機構110は、図1、図2、図7に示すように、冶具本体100の固定凹部103に固定されるホルダ111、ホルダ111に対して揺動自在に支持された係合部材112、係合部材112を収容孔102側(ピンP側)に向けて付勢する付勢部材としての付勢バネ113等を備えている。
ホルダ111は、図7に示すように、冶具本体100の固定凹部103に嵌合して締結ネジ(不図示)等を用いて固定され、係合部材112を揺動自在に支持する支軸111a、係合部材112をピンPの凹部P2に係合する係合位置に停止させるストッパ壁111b、係合部材112を凹部P2から離脱した離脱位置に停止させるストッパ壁111c、付勢バネ113を収容する空間部111d等を備えている。
係合部材112は、図7に示すように、略T字状に形成されると共に支軸111aにより揺動自在に支持され、その一端側においてピンPの凹部P2に係合し得る係合部112a、その他端側において凹部P2から係合部112aを離脱させるための力を及ぼす操作部112b等を備えている。
付勢バネ113は、図7に示すように、コイル状の圧縮バネであり、ホルダ111の空間部111dに所定量圧縮して配置され、係合部材112を係合位置に向けて、すなわち、係合部112aがピンPの凹部P2に係合するように付勢力を及ぼしている。
そして、係合部材112は、操作部112bに力を及ぼさない状態で、付勢バネ113の付勢力によりストッパ壁111bに当接してピンPの凹部P2に係合する係合位置に停止し、付勢バネ113の付勢力に抗して操作部112bを押し下げることによりストッパ壁111cに当接してピンPの凹部P2から離脱する離脱位置に停止するようになっている。
このように、規制機構110として、冶具本体100に固定されるホルダ111、ホルダ111により揺動自在に支持される係合部材112、ホルダ111に収容される付勢バネ113を採用したことにより、規制機構110をモジュール化することができ、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、ピンPを軸線L回りの所定角度位置に方向付けて保持することができる。
次に、ピンPの組付け及びピン位置決め冶具MとワークWとの組付け手順について説明する。
先ず、図2に示すように、キャリアW1に遊星歯車W2が嵌め込まれ、仮ピンW5が挿入孔W4に挿入されたワークWが準備され、このワークWのキャリアW1に嵌合させるようにピン位置決め冶具Mの冶具本体100を嵌合させる。
このとき、冶具本体100は、図7に示すように、仮ピンW5の上端領域が収容孔102の下方領域に入り込むことで、ワークWに対して位置決めされる。
続いて、操作部112bを押し下げて係合部材112を離脱位置に移動させ、この状態において、凹部P2を冶具本体100の径方向外側に方向付けて冶具本体100の収容孔102に挿入する。
そして、操作部112bの押し下げを解除すると、係合部材112が付勢バネ113の付勢力により係合位置に移動して、係合部112aがピンPの凹部P2に入り込んで係合する。これにより、ピンPは、凹部P2すなわち潤滑油孔P4が径方向外側を向くように、軸線L回りの所定角度位置に方向付けられて位置決めされ保持されると共に、ワークWの挿入孔W4と芯合わせが行われる。
このように、簡単な操作で、ピンPを位置決めしつつ冶具本体100に収容することができる。また、ピンPをピン位置決め冶具Mに取り付けた後にピン位置決め冶具Mを持ち運んでも、ピンPの位置ずれを防止することができる。
ピン装着装置は、図4及び図5に示すように、ベース10、ベース10上に設けられて前述のピン位置決め冶具Mを上方から嵌合したワークWを載置するテーブル20、ベース10上に固定された垂直フレーム30、垂直フレーム30に対して昇降自在に支持された昇降ヘッド40、昇降ヘッド40を昇降駆動する昇降駆動ユニット50、昇降ヘッド40に着脱自在に連結された圧入ロッド60、昇降ヘッド40に対して上下動自在に支持された押圧部材70、押圧部材70を下方に向けて付勢する付勢部材としての付勢バネ80、圧入ロッド60及び昇降ヘッド40に設けられた検出機構90、種々の制御を司る制御盤(不図示)等を備えている。
また、ベース10上には、ピン位置決め冶具Mを上方から嵌合したワークWを、テーブル20上に搬入し又圧入処理が済んだワークWをテーブル20から搬出するワーク保持ユニットHUを備える回転テーブルRT等が配置されている。
テーブル20は、図4に示すように、回転テーブルRTから移載されたピン位置決め冶具M及びワークWを所定の高さ位置に載置して保持するように形成されている。
尚、テーブル20には、保持したワークWを一時的に固定する固定機構、あるいは、保持したワークWを二次元又は三次元的に移動させて位置決めする駆動機構等を備えていてもよい。
垂直フレーム30は、図4に示すように、上下方向Zに伸長するように、ベース10に直立して固定されており、昇降ヘッド40を上下方向Zに昇降自在にガイドするガイド部31を有し、又、その内部又は外壁部において昇降駆動ユニット50を保持している。
昇降ヘッド40は、図4及び図5に示すように、垂直フレーム30のガイド部31に対して昇降自在に連結されて上下方向Zにガイドされる被ガイド部41、昇降駆動ユニット50のボールナット53が連結される連結部42、圧入ロッド60を着脱自在に嵌合する嵌合部43、検出機構90の一部を収容する収容部44、押圧部材70のロッド部72を上下動自在にガイドするガイド部45、ロッド部72の鍔部72aを当接させる上端面46、付勢バネ80の上端部を当接させる下端面47等を備えている。
昇降駆動ユニット50は、図4に示すように、直立フレーム30に固定されたモータ51、モータ51に直結されて上下方向Zに伸長するボールネジ52、ボールネジ52に螺合し昇降ヘッド40の連結部42に連結されるボールナット53等を備えている。
そして、昇降駆動ユニット50は、モータ51の起動により、ボールネジ52が一方向に回転すると、ボールナット53を介して昇降ヘッド40を下降させ、一方、ボールネジ52が他方向に回転すると、ボールナット53を介して昇降ヘッド40を上昇させるようになっている。
尚、ここでは、昇降駆動ユニットとして、ボールネジ52及びボールナット53を用いたネジ送り機構を示したが、これに限定されるものではなく、油圧又は空気圧式のシリンダ型のアクチュエータ、ソレノイドを用いた電磁アクチュエータ等を採用してもよい。
圧入ロッド60は、図6に示すように、圧入されるピンPの上端面P1に当接し得る下端面61aを画定すると共に圧入の際に位置決め冶具Mの収容孔102に挿入され得る円柱状の先端部61、昇降ヘッド40の嵌合部43に嵌合されると共に上端面62aを画定する嵌合部62、鍔部63、検出機構90の一部をなす可動子91を上下方向Zに移動自在にガイドするガイド孔64、可動子91の途中に設けられた鍔部91c及び付勢バネ91dを収容する収容部65等を備えている。
そして、圧入ロッド60は、昇降ヘッド40の嵌合部43に対して着脱自在に固定されるようになっている。すなわち、圧入ロッド60を昇降ヘッド40に対して着脱自在としたことにより、ピンPの種類に応じて圧入ロッド60を交換することができる。
すなわち、上記昇降ヘッド40、昇降駆動ユニット50、圧入ロッド60等により、押圧機構が作動した状態で、ピンPをワークWの挿入孔W4に圧入する圧入機構が構成されている。
このように、圧入機構として、昇降ヘッド40、昇降駆動ユニット50、及び圧入ロッド60を採用したことにより、構造の簡素化、装置の小型化等を達成しつつ、圧入動作を円滑に行うことができる。
押圧部材70は、図5及び図8に示すように、外縁部が下向きに突出した当接部71aをもつ円板部71、円板部71に連結されて昇降ヘッド40のガイド部45に上下動自在に通されたロッド部72等を備えている。
円板部71は、図5に示すように、圧入ロッド60を非接触にて通す貫通孔71bを備えている。ロッド部72は、昇降ヘッド40の上端面46に当接し得る鍔部72aを備えている。
付勢バネ80は、図5に示すように、コイル状の圧縮バネであり、その下端部が円板部71の上面に当接され、その上端部が昇降ヘッド40の下端面47に当接されて、所定の圧縮代に圧縮した状態でロッド部72の周りに嵌め込まれている。
そして、押圧部材70は、非作動時において、付勢バネ80により下方に向けて付勢され、その鍔部72aが上端面46に当接して停止している。この状態において、昇降ヘッド40が下降してその当接部71aがピン位置決め冶具Mの冶具本体100(の上面)に当接すると、押圧部材70は下降せずに停止したまま、昇降ヘッド40だけが下降し、昇降ヘッド40の下端面47により付勢バネ80が圧縮される。すなわち、押圧部材70は、付勢バネ80の圧縮による付勢力を利用して、ピン位置決め冶具Mの冶具本体100をワークW(及びテーブル20)に向けて押圧するようになっている。
すなわち、上記押圧部材70、付勢バネ80等により、ピン位置決め冶具Mの冶具本体100をワークWに向けて押圧する押圧機構が構成されている。
このように、押圧機構として、昇降ヘッド40に支持された押圧部材70及び押圧部材70を下方に付勢する付勢バネ80を採用するため、押圧部材70を支持する専用の部材を設ける場合に比べて、部品点数を削減でき、昇降ヘッド40周りの構造を簡素化でき、装置を小型化することができる。
検出機構90は、図5及び図6に示すように、圧入ロッド60により上下方向Zに移動自在に支持された可動子91、可動子91の上下動に連動するべく収容部44に配置された連動アーム92、連動アーム92を一方向に回転付勢するべく収容部44に配置された付勢バネ93、連動アーム92に連動して検出信号を発するべく昇降ヘッド40の外壁に固定されたセンサ94等を備えている。
可動子91は、図6に示すように、下端部91a、上端部91b、鍔部91c、付勢バネ91d、鍔部91e等を画定するように形成され、圧入ロッド60のガイド孔64に挿入されて上下方向Zに移動自在に支持されると共に鍔部91c及び付勢バネ91dが収容部65に収容され、下端部91aが圧入ロッド60の下端面61aに対して出没自在に突出するように下向きに付勢され、上端部91b及び鍔部91eが圧入ロッド60の上端面62aから突出した状態に保持されている。
そして、可動子91は、ピンPが所定角度位置に方向付けられた状態にあるとき、図9に示すように、その下端部91aがピンPの凹部P2に非接触にて進入し得ると共に、ピンPが所定角度位置からずれた状態にあるとき、図10及び図11に示すように、その下端部91aがピンPの上端面P1に当接して押し上げられ、その上端部91bが持ち上がるようになっている。
連動アーム92は、図5に示すように、揺動自在な梃子状に形成されており、付勢バネ93により反時計回りに回転付勢され、一端部92aが可動子91の上端部91bに接触し、他端部92bがセンサ94に接触するように配置されている。
センサ94は、図5に示すように、昇降ヘッド40の外壁に固定されており、連動アーム92が回転して他端部92bが下向きに移動し離脱することで、出力信号を発するようになっている。
すなわち、検出機構90によれば、ピンPが所定角度位置に方向付けられて位置決め冶具Mに収容されている場合、圧入ロッド60の下端面61aがピンPに当接した状態で、可動子91の下端部91aはピンPの凹部P2に入り込んで上方に押し上げられないため、センサ94はピンPが所定角度位置に方向付けられていることを検出することができる。一方、圧入ロッド60の下端面91aがピンPの上端面P1に当接した状態で可動子91の下端部91aがピンPの上端面P1に当接して可動子91が上方に持ち上げられると、可動子91の動作に連動する連動アーム92を介して、センサ94が出力信号を発し、ピンPが所定角度位置からずれていることを検出するようになっている。
このように、検出機構90として、圧入ロッド60に支持された可動子91、可動子91の動作に連動する連動アーム92、連動アーム92に連動して出力信号を発するセンサ94等を採用したことにより、ビジュアルセンサ等を採用する場合に要する画像情報の処理等が不要で、構造の簡素化、低コスト化等を達成でき、又、機械的な接触動作に基づくため誤検出等を確実に防止することができる。
上記のように、係合部材112の係合部112aが係合する凹部P2と可動子91の下端部91aが非接触にて進入し得る凹部P2とは、ピンPの上端面P1において一つ凹部として形成されているため、ピンPを方向付けて冶具本体100に組み付ける際に、一つの凹部P2が所定角度位置を決める目印となり、誤組付けを予め防止することができる。
次に、ピン装着装置の動作について、図8ないし図11を参照しつつ説明する。
先ず、ピンPがセットされたピン位置決め冶具MがワークWに嵌合されて、回転テーブルRT及びワーク保持ユニットHUによりテーブル20上に搬入されると、昇降駆動ユニット50の駆動により、昇降ヘッド40が下降駆動される。
そして、図8に示すように、保持部材70の当接部71aが、冶具本体100の上面外周領域に当接して昇降ヘッド40がさらに下降すると、付勢バネ80が圧縮され、その付勢力により押圧部材70が冶具本体100をワークW及びテーブル20に向けて押圧する。これにより、冶具本体100とワークWはお互いに位置ずれしないように保持される。
そして、ピンPが所定角度位置に方向付けられて冶具本体100に収容されている場合、昇降ヘッド40すなわち圧入ロッド60の下降に伴って、可動子91の下端部91aがピンPの凹部P2に非接触にて入り込み、圧入ロッド60(の先端部61)の下端面61aがピンPの上端面P1に当接する。さらに、昇降ヘッド40が下降すると、圧入ロッド60の先端部61が収容孔102に入り込んでピンPを押し下げ、図9に示すように、ピンPは仮ピンW5を押し下げつつワークWの挿入孔W4に装着される。
一方、図10に示すように、ピンPが所定角度位置からずれた状態で冶具本体100に収容されている場合、昇降ヘッド40すなわち圧入ロッド60の下降に伴って、可動子91の下端部91aがピンPの上端面P1に当接し、可動子91は図11に示すように、その上端部91bが押し上げられ、連動アーム92が時計回りに回転し、センサ94が作動して出力信号を発する。
そして、この出力信号に基づいて、制御盤により制御信号が出力されて、昇降駆動ユニット50が逆向きの駆動力を発生して昇降ヘッド40を上昇させ、ピンPの圧入動作を中止する。これにより、作業者は、ピンPの組付けを手直しすることができ、その後前述同様の圧入操作を開始することができる。
このように、ピンPが所定角度位置からずれて組み付けられた場合は、検出機構90がそのことを検出するため、ピンPの圧入動作を未然に中止して、歩留まり品の発生、不要な回収作業等を減らすことができる。
上記実施形態においては、ピンPの回転を規制する規制機構として、ホルダ111、係合部材112、付勢バネ113を備えるものを示したが、これに限定されるものではなく、ピンPの回転を規制して所定角度位置に方向付けできるものであれば、その他の規制機構を採用することができる。
上記実施形態においては、検出機構90として、可動子91、連動アーム92、付勢バネ93、センサ94等を備えるものを示したが、これに限定されるものではなく、構造的に許されれば、連動アーム92及び付勢バネ93を廃止して、可動子91の動作にセンサ94を直接連動させるように構成してもよい。
以上述べたように、本発明のピン位置決め冶具及びピン装着装置は、構造の簡素化、装置の小型化、低コスト化等を達成しつつ、軸線回り(周方向)に方向性をもつ円筒状のピンを所定角度に方向付けて高精度にワーク(親部品)に装着することができるため、車両用自動変速機等に適用される遊星歯車機構等におけるピンの装着に適用できるのは勿論のこと、軸線回りに方向性をもつピンを装着する必要のあるその他の機械部品、あるいは、電子機器等においても有用である。

Claims (9)

  1. 円筒状のピンをワークの挿入孔に装着するべく、ピンを位置決めするピン位置決め冶具であって、
    ピンをワークの挿入孔と芯合わせするべくピンを収容してワークに嵌合される冶具本体と、ピンをその軸線回りの所定角度位置に方向付けるべく前記冶具本体上に設けられてピンの回転を規制する規制機構と、を備え、
    前記規制機構は、ピンの上端面において中心から偏倚して形成された凹部に対して、ピンの径方向外側から入り込んで係合する係合位置と前記凹部から離脱する離脱位置との間を移動し得る係合部材と、前記係合部材を前記係合位置に向けて付勢する付勢部材と、を含む、
    ことを特徴とするピン位置決め冶具。
  2. 前記係合部材は、揺動自在に形成され、その一端側において前記凹部に係合し得る係合部、その他端側において前記凹部から前記係合部を離脱させるための力を及ぼす操作部を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のピン位置決め冶具。
  3. 円筒状のピンをワークの挿入孔に装着するピン装着装置であって、
    ピンをワークの挿入孔と芯合わせするべくピンを収容してワークに嵌合される冶具本体及びピンをその軸線回りの所定角度位置に方向付けるべく前記冶具本体上に設けられてピンの回転を規制する規制機構を含むピン位置決め冶具と、
    前記ピン位置決め冶具を上方から嵌合したワークを載置するテーブルと、
    前記位置決め冶具の冶具本体をワークに向けて押圧する押圧機構と、
    前記押圧機構が作動した状態で、ピンをワークの挿入孔に圧入する圧入機構と、を備え、
    前記規制機構は、ピンの上端面において中心から偏倚して形成された凹部に対して、ピンの径方向外側から入り込んで係合する係合位置と前記凹部から離脱する離脱位置との間を移動し得る係合部材と、前記係合部材を前記係合位置に向けて付勢する付勢部材と、を含む、
    ことを特徴とするピン装着装置。
  4. 前記圧入機構は、前記テーブルに対して昇降自在な昇降ヘッドと、前記昇降ヘッドを昇降駆動する昇降駆動ユニットと、前記昇降ヘッドに設けられてピンを挿入孔に圧入する圧入ロッドと、を含む、
    ことを特徴とする請求項3に記載のピン装着装置。
  5. 前記押圧機構は、前記昇降ヘッドに対して所定範囲を上下動自在に支持された押圧部材と、前記押圧部材を下方に向けて付勢する付勢バネと、を含む、
    ことを特徴とする請求項4に記載のピン装着装置。
  6. ピンが前記所定角度位置に方向付けられているか否かを検出する検出機構を、さらに含む、
    ことを特徴とする請求項3に記載のピン装着装置。
  7. 前記検出機構は、前記圧入ロッドに対して上下方向に移動自在に支持されると共に前記圧入ロッドの下端面から突出するように下向きに付勢されかつピンが前記所定角度位置に方向付けられた状態にあるときピンの上端面において中心から偏倚して形成された凹部に非接触にて進入し得る可動子と、ピンが前記所定角度位置からずれた状態にあるとき前記可動子がピンの上端面に当接して押し上げられる動作に連動して検出信号を発するセンサと、を含む、
    ことを特徴とする請求項6に記載のピン装着装置。
  8. 前記規制機構は、ピンの上端面において中心から偏倚して形成された凹部に対して、ピンの径方向外側から入り込んで係合する係合位置と前記凹部から離脱する離脱位置との間を移動し得る係合部材と、前記係合部材を前記係合位置に向けて付勢する付勢部材とを含み、
    前記検出機構は、前記圧入ロッドに対して上下方向に移動自在に支持されると共に前記圧入ロッドの下端面から突出するように下向きに付勢されかつピンが前記所定角度位置に方向付けられた状態にあるときピンの上端面において中心から偏倚して形成された凹部に非接触にて進入し得る可動子と、ピンが前記所定角度位置からずれた状態にあるとき前記可動子がピンの上端面に当接して押し上げられる動作に連動して検出信号を発するセンサとを含み、
    前記係合部材が係合する凹部と前記可動子が非接触にて進入し得る凹部とは、ピンの上端面において一つの凹部として形成されている、
    ことを特徴とする請求項6に記載のピン装着装置。
  9. 前記圧入ロッドは、前記昇降ヘッドに対して着脱自在に形成されている、
    ことを特徴とする請求項4に記載のピン装着装置。
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