以下、添付図面を用いて本発明に係る排気浄化装置の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す内燃機関の排気浄化装置全体の概略構成図である。図1において、1は内燃機関本体、2は燃焼室、3は点火装置、4は燃料噴射装置、5は酸素供給装置、6は排気系、7は三元触媒、8はA/Fセンサー、9は背圧センサー、10はEGR装置、11は排気再循環通路、12は排気再循環量制御バルブ、13はインタークーラー、14はH2O除去タンク、15は背圧制御バルブ、16は吸気系、17はサージタンク、18はエアフローメータ、19はスロットルバルブ、20は吸気圧センサー、21は機関回転数検出手段、22はアクセル開度検出手段、23は触媒温度検出手段、24は燃焼圧センサー、25は電子制御装置(以下、ECUと称する)、26はモータ・ジェネレータ、27はモータ・ジェネレータ制御装置、28はバッテリ、29は排気温度センサー、のそれぞれを示す。
内燃機関本体1の燃焼室2には、点火装置3、燃料噴射装置4および燃焼圧センサー24が配設される。点火装置3は、燃焼室2内の混合気に確実に着火させるために、タイミングよく火花をスパークプラグのギャップ間で飛ばせる役割を果すものであり、点火時期は、後述するECU25にて制御される。燃料噴射装置4は、燃料を噴射する時期などを電子制御で行い、電磁噴射ノズルで燃料を燃焼室2に噴射するものであり、具体的には、後述するECU25にて最適な燃料噴射量を算出し、所定の圧力で燃料を電磁噴射ノズルで噴射するものである。燃焼圧センサー24は燃焼室2内の圧力を検出する役割を果すものである。尚、本実施形態においては、ガソリン内燃機関を想定しているが、本排気浄化装置はディーゼル内燃機関にも適用可能である。ディーゼル内燃機関の場合には、点火装置3は通常含まれない。
酸素供給装置5は、後述するEGR装置10により吸気系に再循環された排気中に、少なくとも空気中の酸素濃度よりも高い酸素濃度を有する高濃度酸素ガスを供給する役割を果すものである。
本発明の内燃機関の排気浄化装置においては、内燃機関始動直後の排気浄化触媒の浄化性能が期待できない機関冷間始動時において、排気浄化触媒よりも下流の排気系の排気の略全量を吸気系に戻して、該排気中に高濃度酸素ガスを供給することで、該排気中の有害成分となるCOおよびHCを再燃焼させ、排気エミッションの改善を図る。
吸気系に再循環された排気中のCOおよびHCを再燃焼させるべく該排気中に酸素を供給する方策の一つとして、後述するスロットルバルブ19を制御することにより吸気系に新気すなわち新しい空気を導入することが考えられる。
しかしながら、大量の排気を吸気系に再循環させた場合、燃焼室2に導入される全ガス量のうち新気の占める割合は小さく制限され、また、新気中には約21%の酸素しか含有されていないため、大量の排気中のCOおよびHCを再燃焼させるのに十分な酸素を排気中に供給することは現実的に困難である。
そこで、本発明の排気浄化装置においては、吸気系に再循環された排気中のCOおよびHCを再燃焼させるための酸素を、少なくとも新気中の酸素濃度よりも高い酸素濃度を有する高濃度酸素ガスを供給できる酸素供給装置5により供給することで、新気を導入する場合と比較して、より多くの量の排気中のCOおよびHCを再燃焼させることができ、排気エミッションの改善を図ることを可能とする。
酸素供給装置5の構成については種々の構成が想定されるが、大量の排気が吸気系に再循環された際に、より多くの量の排気中のCOおよびHCを再燃焼させるためには、酸素供給装置5は酸素ガスのみを直接供給できるように構成されることが最適であり、本実施形態においては、例えば加圧され圧縮された酸素ガスのみを封入した酸素ボンベと、該酸素ボンベからの酸素ガスの供給量を制御する酸素供給量制御バルブとを有して構成される。しかしながら、酸素供給装置5は他の構成とされてもよく、例えば、酸素ボンベの代わりに、通常の空気の酸素濃度を越える酸素ガスをもたらすような高濃度酸素ガス発生装置が使用されてもよい。
また、酸素供給装置5の配置については、吸気系に再循環された排気中に高濃度酸素ガスを供給できるように構成配置されていれば、大量の排気が吸気系に再循環された際に、より多くの量の排気中のCOおよびHCを再燃焼させることができ、どのような位置に配置されてもよい。
本実施形態においては、酸素供給装置5は、吸気系16に高濃度酸素ガスを供給できるように構成配置されている。しかしながら、酸素供給装置5は、燃焼室2内に高濃度酸素ガスを直接供給できるように構成配置されてもよい。酸素供給装置5が、燃焼室2内に高濃度酸素ガスを直接供給できるように構成配置される場合においては、内燃機関の圧縮行程において、燃焼室2内の多くの割合を占める再循環された排気に対して燃料のみならず酸素ガスをも点火プラグ近傍に集約することができ、酸素供給装置5が吸気系に高濃度酸素ガスを供給するように構成された場合と比較して、より少量の燃料で燃焼させることができる成層燃焼を可能とし、より燃費の向上の実現を図れるものとなる。
内燃機関本体1の排気系には排気中の有害成分を浄化するための排気浄化触媒として三元触媒7が配置されている。三元触媒7は、該三元触媒7の雰囲気が理論空燃比のときに、排気中の有害成分となるHC、COおよびNOxを最大効率で浄化する役割を果すものであり、具体的には、三元触媒雰囲気が理論空燃比のときに排気中のHCおよびCOの酸化と、NOxの還元を同時に行い、排気中のこれらの有害成分を無害なCO2(二酸化炭素)、H2O(水)およびN2(窒素)に浄化するものである。尚、本実施形態においては、内燃機関本体1の排気系に配置され排気中の有害成分の浄化をするための排気浄化触媒を三元触媒7としたが、排気中の有害成分を触媒反応により浄化しうる排気浄化触媒であればいかなる排気浄化触媒も本発明に適用可能であり、例えば、HCの浄化を目的とした選択酸化触媒なども本発明の排気浄化装置に適用可能である。
また、内燃機関本体1と三元触媒7との間の排気系には空燃比センサー8(以下、A/Fセンサーと称する)が配設される。該A/Fセンサー8は、内燃機関本体1と三元触媒7との間の排気系を流れる排気の空燃比、三元触媒7に流入する排気の空燃比を検出する役割を果すものであり、排気の空燃比にほぼ比例する出力特性を有するセンサーである。
EGR装置10は、三元触媒7よりも下流の排気系から内燃機関の吸気系に内燃機関本体1から排出された排気を再循環させる機能を果すものである。EGR装置10は、三元触媒7よりも下流の排気系と吸気系とを流体連通する排気再循環通路11を有し、該排気再循環通路11には、該排気再循環通路11を流れる排気(以下、再循環ガスと称する)の流量を制御する排気再循環量制御バルブ12と、再循環ガスを冷却するためのインタークーラー13と、再循環ガス中のH2Oが冷却されたことによりもたらされる液体のH2O(水)を貯蔵し除去するH2O除去タンク14とが配設される。排気再循環通路11が、三元触媒7よりも上流の排気系と吸気系とを流体連通するように形成されているのではなく、三元触媒7よりも下流の排気系と吸気系とを流体連通するように形成されることで、内燃機関本体1から排出された排気の熱による三元触媒温度の迅速な触媒活性温度への昇温を可能とする。よって、EGR装置10は触媒暖機手段としての役割も果すことになる。
EGR装置10は、更に、三元触媒7よりも下流の排気系に配置された背圧センサー9および背圧制御バルブ15を有する。背圧センサー9は、三元触媒7よりも下流の排気系の背圧を検出する役割を果すものである。ここで、背圧とは、内燃機関で仕事すなわち燃焼がされた後に吐き出されるガスの圧力を示すものであり、排気浄化触媒よりも下流の排気系の背圧とは、内燃機関で燃焼がされた後に吐き出された排気の圧力であって、排気浄化触媒よりも下流の排気系を流れる排気の圧力を示す。背圧制御バルブ15は、背圧センサー9からの検出情報に基づいて、背圧を予め定められた所定の範囲内に制御し、且つ、EGR装置10の排気再循環通路11を介して吸気系に再循環させる排気の割合を制御する役割を果すものである。本実施形態においては、背圧センサー9は、三元触媒7よりも下流の排気系から排気再循環通路11が分岐する場所と三元触媒7との間に配設される。また、背圧制御バルブ15は三元触媒7よりも下流の排気系から排気再循環通路11が分岐する場所よりも下流の排気系に配設される。
内燃機関の吸気系には、スロットル弁開度が電子制御されるスロットルバルブ19と、該スロットルバルブ19により調整された吸入空気流量を測定するエアフローメータ18と、該エアフローメータ18の精度に悪影響を与える吸気脈動や吸気干渉を防止するサージタンク17と、内燃機関の吸気圧を検出する吸気圧センサー20とが配置される。エアフローメータ18は、該エアフローメータ18の中を流れる空気の流量に基づいて内燃機関本体1に導入される空気量を計測する役割を果すものであって、ポテンシオメータ等を内蔵して吸入空気流量に比例したアナログ電圧の出力信号を発生するものである。
機関回転数検出手段21は、内燃機関の回転数を検出する役割を果すものであり、具体的には、内燃機関の出力軸の回転数を検出する回転速度センサーを有して構成され、該回転速度センサーにより内燃機関の回転数を検出するものである。アクセル開度検出手段22は、内燃機関運転中のアクセル開度を検出する役割を果すものである。
触媒温度検出手段23は、三元触媒温度を推定する機能を有する。三元触媒温度は、例えば、三元触媒7の内燃機関本体1に近い上流側あるいは内燃機関本体1から遠い下流側に配置された排気温度センサー29により検出された温度情報に基づいて推定される。この場合、触媒温度検出手段23は、排気温度センサー29を主要素として構成されることになる。ただし、例えば、三元触媒7と排気温度センサー29との間には多少の隔たりがあり、この隔たりにおける温度勾配等を推定すべく、回転負荷、空燃比、熱伝達係数、触媒反応速度等のパラメータを用いて補正が行われることになり、これらの各情報を検出する各要素もまた、当該触媒温度検出手段23の構成要素となる。
ECU25は、CPU(中央演算装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)、入出力ポートを双方向バスで接続した公知のデジタルコンピュータからなり、各種センサーや駆動装置と信号をやり取りして機関回転数や吸入空気量などの制御に必要なパラメータを算出するとともに、算出されたパラメータに基づいて燃焼空燃比制御あるいは燃料噴射量制御や点火時期制御等の内燃機関の運転に関する種々の制御を行う役割を果すものである。
ECU25には、エアフローメータ18およびスロットルバルブ19が接続されており、エアフローメータ18からの検出情報をECU25に取り込むことができ、ECU25からの信号によってスロットルバルブ19のスロットル弁開度を制御することができるように構成されている。また、ECU25には、A/Fセンサー8、背圧センサー9、吸気圧センサー20、機関回転数検出手段21、アクセル開度検出手段22、触媒温度検出手段23、燃焼圧センサー24及び排気温度センサー29が接続されており、これらのセンサーおよび手段からの各検出情報をECU25に取り込むことができるように構成されている。更に、ECU25には、点火装置3、燃料噴射装置4、酸素供給装置5、背圧制御バルブ15、及び、排気再循環量制御バルブ12が接続されており、上記各種センサーおよび手段からの検出情報に基づいて、ECU25からの信号によって、点火装置3による点火の制御、燃料噴射装置4による燃料噴射の制御、酸素ガス供給装置5による酸素ガス供給量の制御、背圧制御バルブ15による背圧およびEGR装置10に再循環させる排気の割合の制御、及び、排気再循環量制御バルブ12による吸気系に導入する再循環ガス量の制御を行うことができるように構成されている。
モータ・ジェネレータ26は、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機としての機能と、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電動機としての機能とを兼ね備えている。本実施形態においては、モータ・ジェネレータ26は、内燃機関の出力軸上に取付けられ、また、モータ・ジェネレータ制御装置27に接続される。モータ・ジェネレータ制御装置27は直流高圧電流を発生するバッテリ28に接続される。また、モータ・ジェネレータ制御装置27はECU25に接続され、モータ・ジェネレータ26の作動は、ECU25によって制御される。
モータ・ジェネレータ26を電動機として駆動せしめる時には、バッテリ28の直流高電圧がモータ・ジェネレータ制御装置27にて三相交流に変換され、この三相交流がモータ・ジェネレータ26に供給される。モータ・ジェネレータ26の発生トルクすなわち駆動トルクは三相交流の電流値にほぼ比例し、この電流値はモータ・ジェネレータ26の要求駆動トルクに基づいて決定される。
一方、モータ・ジェネレータ26を外力により駆動する状態にすると発電機として作動せしめることができ、このときに発生した電力がバッテリ28に回生される。そして、モータ・ジェネレータを発電機として機能させることで、内燃機関に回生制動トルクを付与することができる。モータ・ジェネレータ26を発電機として作動せしめる場合には、モータ・ジェネレータ制御装置27によりモータ・ジェネレータ26によって発生せしめられた電力がバッテリ28に回生させるように制御される。
上述した各構成要素を有する図1に示す実施形態の内燃機関の排気浄化装置の作用効果について以下に説明する。
図2は、本排気浄化装置が適用された図1に示す内燃機関で実行される排気浄化処理の制御ルーチンの第一の実施形態を示すフローチャート図である。
図2に示す制御ルーチンでは、内燃機関始動直後から三元触媒7(以下、触媒と称する)の温度が浄化機能を発揮できる触媒活性温度に達するまでの間、EGR装置10および酸素供給装置5による排気中のCOおよびHCの浄化処理を実行する。また、機関本体から排出される既燃ガスの熱を触媒7の暖機に利用し、触媒7の暖機の促進を図る。更に、触媒7の温度が触媒活性温度に達するまでの間、排気が再循環されているときに、内燃機関の出力トルクを要求トルクにあわせつつ、燃焼室内の燃料の燃焼による有害成分の発生が少なく且つ触媒を迅速に昇温できるような排気エミッション上最適な運転状態にて内燃機関を運転し続けることができるように、モータ・ジェネレータ26によるトルク制御が実行される。
以下に各ステップの詳細について説明する。
まず、ステップ101においては、内燃機関が運転状態にあるか否かが判定され、内燃機関が運転状態にないと判定された場合には、続くステップ102において、内燃機関への始動要求の有無が確認される。具体的には、これらの判定は、機関回転数検出手段21やエアフローメータ18などからの検出情報に基づいてECU25により判定あるいは確認される。ステップ102において、内燃機関への始動要求が確認されると、続くステップ103およびステップ104へと進む。
ステップ103およびステップ104においては、ECU25からの信号により背圧制御バルブ15が全閉制御され、その後、内燃機関が始動される。内燃機関が始動される前に、背圧制御バルブ15が全閉制御されることにより、内燃機関の始動直後の内燃機関本体1から排出される略全ての排気を吸気系に再循環させるような排気の流れをもたらすことを可能とする。背圧制御バルブ15が全閉制御され、内燃機関が始動されると、続くステップ105に進む。
ステップ105においては、触媒温度が触媒活性温度すなわち触媒7が浄化機能を発揮することができる温度に達しているか否かの判定がなされる。具体的には、触媒温度検出手段23からの検出情報に基づいてECU25により、触媒温度が触媒活性温度に達しているか否かの判定がなされ、触媒温度が触媒活性温度に達していないと判定された場合には、続くステップ106に進む。
ステップ106においては、触媒7よりも下流の排気系の背圧が予め定められた目標所定値の範囲内にあるか否かの判定がなされる。具体的には、触媒7よりも下流の排気系に配設された背圧センサー9の検出情報に基づいて、ECU25にて背圧が予め定められた目標所定値の範囲内にあるか否かの判定がなされる。尚、背圧の目標所定値は、EGR装置10により再循環ガスが吸気系に再循環されている際における、背圧の安定性や排気系から燃焼室内に直接吹き戻される排気量などが考慮されて決定される。
内燃機関始動直後から触媒7が触媒活性温度に達するまでの間の排気エミッションの改善を図る上では、内燃機関始動直後から触媒7が触媒活性温度に達するまでの間を通して、内燃機関本体1から排出された排気の全てを再循環ガスとして吸気系に再循環させ、排気中のCOおよびHCを再燃焼させ浄化させることができるように背圧の目標所定値が決定されることが最も望ましい。
しかしながら、本排気浄化装置においては、後述するステップ109にて詳細に述べるが、吸気系に再循環される再循環ガス中のCOおよびHCを再燃焼させるべく、酸素供給装置5により再循環ガス量の約21%に当たる酸素ガスを付加供給するため、内燃機関始動直後から触媒7が触媒活性温度に達するまでの間を通して内燃機関本体1から排出された排気の全てを再循環ガスとして吸気系に再循環させるようにした場合、再循環ガスが吸気系に再循環される毎に、再循環ガス量が約21%ずつ増加することになる。本実施形態においては、排気再循環通路11にインタークーラー13およびH2O除去タンク14を備えることで、再循環ガス中のH2Oを液化して除去することができ、再循環ガスが排気再循環通路11を通過している間に再循環ガス量を減少させることで、上述したような酸素供給装置5による酸素ガス付加によりもたらされる再循環ガス量の増加を抑制することができる。しかしながら、再循環ガス中のH2O成分は10%であることが想定され、上述したような酸素ガス供給装置5による酸素付加によりもたらされる再循環ガス量の増加を抑制するには十分とは言えない。このことは、背圧を増加させていき、排気系から燃焼室2内に直接吹き戻される排気量の増加をもたらし、背圧を不安定とし安定した再循環ガスの再循環を阻害し、最悪の場合においては、内燃機関のストール(停止)をもたらすことにもなる。
そこで、本排気浄化装置においては、背圧の目標所定値は、EGR装置10により再循環ガスが吸気系に再循環されている際に、背圧が安定している状態を維持することができる値であって、排気系から燃焼室2内に直接吹き戻される排気量が極端に大きくならないようにすることができる値とされ、予め実行された解析あるいは試験により得られたデータに基づいて決定される。具体的には、少なくとも、吸気系に再循環された再循環ガス量の約21%のガスについては、EGR装置10に再循環させることなく背圧制御バルブ15よりも下流の排気系に排出されるような値に、背圧の目標所定値が設定されることが想定される。これにより、内燃機関始動直後から触媒7が触媒活性温度に達するまでの間の再循環ガスの再循環を安定させることができ、排気エミッションの改善を図ることを可能とする。
ステップ106において、触媒7よりも下流の排気系の背圧が予め定められた目標所定値の範囲内にないと判定されると、続くステップ107に進み、ステップ107においては、背圧が目標所定値の範囲内となるように制御される。具体的には、背圧センサー9の検出情報に基づいて、ECU25により背圧制御バルブ15の弁開閉を制御することで、EGR装置10に再循環されることなく背圧制御バルブ15よりも下流の排気系に排出されるガス量を制御することができ、これにより、背圧の目標所定値の範囲内への制御が可能となる。ステップ107にて背圧制御バルブ15が一定量開弁あるいは閉弁された後に、ステップ106に戻り、再び、背圧が予め定められた目標所定値の範囲内にあるか否かの判定がなされる。本ステップ107における背圧制御バルブ15の一定量の弁開閉制御は、ステップ106において背圧が予め定められた目標所定値の範囲内にあると判定されるまで繰り返し実行される。尚、背圧制御バルブ15の弁開閉制御する際の一定量の弁開閉量は、内燃機関の設計仕様に応じて適当に決定されるものである。ステップ106において、背圧が予め定められた目標所定値の範囲内にあると判定されると、続くステップ108に進む。
ステップ108においては、まず、内燃機関の構成などに基づいて、内燃機関の燃焼室内の燃料の燃焼による有害成分の発生が少なく且つ触媒を迅速に昇温できるような排気エミッション上最適な運転条件、本実施形態においては最適な機関負荷が設定される。該機関負荷は、本実施形態においては出力トルクあるいは機関回転数と燃焼室内に導入されるガス量とに基づいて算出されるものとする。また、少なくともエンストをもらすことがないようなトルクであって、車両の乗員に騒音として認識され車両の商品性を損ねる結果を招くような機関回転数の過剰な上昇をもたらすことがないようなトルクが、要求トルクとして設定される。尚、運転者によりアクセルペダルが踏まれている場合には、アクセル開度検出手段22の検出情報に基づいて要求トルクが設定される。
次に、設定された最適な機関負荷と要求トルクとから、最適な機関負荷を実現するために必要な燃焼室内に導入される再循環ガス量がマップなどを使用してECU25にて算出され、算出された量の再循環ガスを吸気系に循環させるべく、背圧や吸気管負圧などに基づいて排気再循環量制御バルブ12の開度が制御されるとともに、スロットルバルブ19が全閉される。尚、算出された再循環ガス量が実際に再循環できるガス量よりも多い場合には、必要ガス量を満たすべくスロットルバルブ19を制御することにより不足分の量の新気を導入する。実際に再循環できるガス量は、排気再循環量制御バルブ12が全開状態での、吸気圧センサー20から検出された吸気圧、背圧センサー9から検出された背圧、および、再循環ガスが流れる排気再循環通路11の流路面積などからECU25にて算出される。
ところで、新気を導入することなく、再循環ガス中のCO及びHCを再燃焼させ浄化させるために、燃焼室内に導入される再循環ガス量に応じた量の酸素供給及び燃料噴射が実行される場合においては、内燃機関の出力トルクは燃焼室内に導入される再循環ガス量が多いほど大きくなり、また、機関回転数は、内燃機関の出力トルクが大きいほど高くなる。従って、算出された燃焼室内に導入される再循環ガス量が大量である場合には、出力トルクが要求トルクよりも高くなってしまい、機関回転数が過剰に高くなってしまう場合が起こりうる。この過剰に高い機関回転数は、車両の乗員に騒音として認識され、車両の商品性を損ねる結果をもたしうる。また、過剰に大きな出力トルクは、アイドル運転状態から走行状態に移る際に危険な急発進をもたらしうる。また、算出された燃焼室内に導入される再循環ガス量が少量である場合には、小さな出力トルクしたもたらされない可能性がある。例えば、該出力トルクが要求トルクを過剰に下回る場合には、機関のフリクションとのバランスを損ねて、エンストをもたらしうる。このように、機関冷間始動時における機関回転数の制約や、必要最低限トルクなどの制約から、排気エミッション上最適な運転状態にて内燃機関を運転することができない場合が起こりうる。
そこで、本排気浄化装置においては、内燃機関の出力トルクに所望量のトルクを付加する駆動トルク、あるいは、内燃機関の出力トルクから所望量のトルクを吸収する制動トルクを内燃機関に付与し内燃機関の出力トルクを要求トルクに一致させるトルク制御手段、本実施形態においてはモータ・ジェネレータ26を備えることにより、燃焼室内に導入される再循環ガス量に依存することなく、内燃機関の出力トルクを要求トルクに一致させることを可能とする。
これにより、排気を再循環させているときに、内燃機関の出力トルクを要求トルクにあわせつつ、燃焼室内の燃料の燃焼による有害成分の発生が少なく且つ排気浄化触媒を迅速に昇温できるような排気エミッション上最適な運転状態にて内燃機関を運転し続けることができ、排気浄化触媒の迅速な暖機及び排気エミッションの更なる改善を図ることを可能とする。
このことに基づいて、ステップ108においては、算出された再循環ガス量と設定された要求トルクとに基づいて、モータ・ジェネレータ26により内燃機関に付与する所望の制動トルク量あるいは駆動トルク量が算出される。ステップ108にて、再循環ガス量、要求トルク量、及び、モータ・ジェネレータ26による内燃機関に付与する所望の制動トルク量あるいは駆動トルク量が算出されると、続くステップ109に進む。
ステップ109においては、燃焼室内に導入された再循環ガス量に応じて必要量の酸素ガスの供給及び燃料の噴射を実行し、着火をもたらすことで、吸気系に再循環された再循環ガス中の有害成分となるCOおよびHCを再燃焼させ浄化する。具体的には、ステップ108にて算出された再循環ガス量に応じて酸素供給装置5により必要量の酸素ガスが供給され、また、燃料噴射装置4により必要量の燃料が噴射され、点火装置3により燃焼室内の着火がもたらされる。
ここで、酸素供給装置5により供給する酸素の必要量とは、燃焼室内に導入された再循環ガスを燃焼させるのに必要な酸素量を意図しており、本実施形態においては、再循環ガス中に酸素成分は存在しないものと仮定して、燃焼室内に導入された再循環ガス量に対して約21%の量の酸素ガスが酸素供給装置5により供給される。尚、必要に応じて燃焼室2内に供給される新気については、該新気中には約21%の酸素が含有されているため、新気に対して酸素供給装置5により新たな酸素ガスの供給を考慮する必要はない。また燃料噴射装置4により噴射される燃料の必要量とは、燃焼室2内に導入された全ガスを燃焼させるのに必要な燃料量を意図しており、必要に応じて新気が燃焼室2内に導入された場合には、燃焼室2内に導入された再循環ガスと新気とを合わせた量のガスが燃焼室2内に導入された全ガスとなる。
また、ステップ109においては、触媒の温度が触媒活性温度に達するまでの間、算出された量の排気を再循環させているときに、内燃機関の出力トルクを要求の出力トルクにあわせつつ、燃焼室内の燃料の燃焼による有害成分の発生が少なく且つ排気浄化触媒を迅速に昇温できるような排気エミッション上最適な運転状態にて内燃機関を運転し続けることができるような、モータ・ジェネレータ26によるトルク制御が実行される。具体的には、ステップ108において算出された所望の制動トルク量あるいは駆動トルク量を内燃機関に付与するように、モータ・ジェネレータ26が制御される。
更に、ステップ109においては、内燃機関始動直後から触媒温度が触媒活性温度に達するまでの間、内燃機関が所定の空燃比にて運転されるように、フィードバック制御が行われる。該フィードバック制御は、具体的には、内燃機関本体1と触媒7との間の排気系に配置されたA/Fセンサー8の検出情報に基づいて、酸素供給装置5による酸素ガス供給量および燃料噴射装置4よる燃料噴射量がECU25により適当にフィードバック制御されることで実行される。これにより、より確実な燃焼室2内での再循環ガス中のCOおよびHCの再燃焼をもたらすことができ、排気エミッションの向上を図ることを可能とする。
尚、暖機実行中、モータ・ジェネレータ26により、酸素供給装置5による酸素供給によりもたらされる背圧の上昇に応じた駆動トルクが内燃機関に付与されるようにされてもよい。
酸素供給装置5により酸素が排気中に供給されると燃焼圧力が上昇し、これに伴い背圧が上昇する。そして、背圧が上昇すると、排気が吸気系に再循環される構成においては吸気圧力が上昇して筒内流入ガス量が増加し、圧縮行程における必要な圧縮力が高くなり、より大きな駆動トルクが必要となる。そこで、モータ・ジェネレータ26より、酸素供給装置5による酸素供給によりもたらされる背圧の上昇に応じた駆動トルクを内燃機関に付与することで、背圧の上昇による必要駆動トルクの増加を補うことが可能となる。
以上述べてきたステップ101からステップ109までの制御ルーチンは、内燃機関始動直後から触媒温度が触媒活性温度に達するまで繰り返し実行され、ステップ105において、触媒温度検出手段23からの検出情報に基づいて触媒温度が触媒活性温度以上となったことがECU25確認されると、すなわち、暖機が完了したことが確認されると、続くステップ110およびステップ111に進む。
ステップ110及びステップ111においては、現状の運転状態に適した再循環ガス量が算出され、該算出された再循環ガス量に基づいて排気再循環量制御バルブ12の開度が制御される通常のEGR制御が実行される。その際、背圧制御バルブ15が全開されるようにECU25により制御される。尚、排気再循環量制御バルブ12が全開とされ、算出された再循環ガス量に基づいて背圧制御バルブ15の開度が制御されるEGR制御が実行されてもよい。
図3は、本排気浄化装置が適用された図1に示す内燃機関で実行される排気浄化処理の制御ルーチンの第二の実施形態を示すフローチャート図である。
図3に示す制御ルーチンでは、図2に示す始動直後の機関冷間始動時おける排気浄化処理の第一の実施形態の制御ルーチンにおいて、内燃機関の始動要求があった際に、内燃機関を始動する前に、燃焼を伴うことなくモータ・ジェネレータ26により内燃機関を駆動するモータリングを実行し、該モータリングにより加熱されたガスを触媒7に通過させてから排気再循環通路11を介して吸気系16に再循環させ触媒7を含む排気系の予備暖機を実行することで、触媒暖機の更なる促進を図ることを可能とする。
以下に各ステップの詳細について説明する。
まず、ステップ201及びステップ202においては、図1に示す制御ルーチンのステップ101及びステップ102と同様に、内燃機関が運転状態にあるか否か、また、内燃機関の始動要求の有無が確認される。ステップ202において、内燃機関への始動要求が確認されると、続くステップ203へと進む。
ステップ203においては、排気温度が所定値未満であるか否かが、排気温センサー29からの検出値に基づいてECU25により判定される。ここでの所定値は、内燃機関の構成や設計仕様に基づいて適当に予め設定されるものである。そして、排気温度が所定値未満であると判定されると、続くステップ204及びステップ205へと進む。
ステップ204及びステップ205においては、燃焼を伴うことなくモータ・ジェネレータにより内燃機関を駆動するモータリングを実行し、該モータリングにより加熱されたガスを触媒7に通過させてから排気再循環通路11を介して吸気系16に再循環させ触媒7を含む排気系の予備暖機を実行することで、触媒暖機の更なる促進を図る。
まず、ステップ204において、ECU25からの信号により背圧制御バルブ15及びスロットルバルブ19が全閉され、また、排気再循環量制御バルブ12は微開とされる。そして、ステップ205において、燃焼を伴うことなくモータ・ジェネレータ26により内燃機関を駆動するモータリングが実行される。
これにより、スロットルバルブ19から背圧制御バルブ15の間に存在する空気を、大気にもらすことなく、モータリングにより排気再循環通路11を介して吸気系16と排気系6との間で循環させることができる。そして、モータリングによりピストンが往復運動されることになるが、ピストンを往復運動させるためになされるモータ・ジェネレータ26の仕事に起因してもたらされる熱により、循環している空気の温度を徐々に上昇させることができ、これにより、触媒7を含む排気系6の予備暖機が可能となる。また本実施形態においては、排気再循環量制御バルブ12は微開とし、循環している空気の通路を狭くし、ピストンを往復運動させる際のモータ・ジェネレータ26の仕事量を増加させることで、循環している空気にもたらさる熱の促進を図っている。このモータリングによる予備暖機は、排気温度が所定値以上となるまで繰り返し実行される。ステップ203において排気温度が所定値以上であると判定されると続くステップ206、ステップ207及びステップ208に進む。
内燃機関の始動要求があった際に、排気温度が所定値以上あった場合には、ステップ204及びステップ205に進むことがないため、ステップ206及びステップ207において、背圧制御バルブ15が全閉されているか否かが確認され、背圧制御バルブ15が全閉されていないと判定された場合には、背圧制御バルブ15が全閉され、続くステップ208に進み、内燃機関が始動される。
ステップ208に続く、内燃機関始動後のステップ209からステップ215については、図2に示す制御ルーチンのステップ105からステップ111と同様の制御が実行されることになり、ここでの詳細な説明は省略する。
尚、図3に示される制御ルーチンは、内燃機関の始動要求があった際に、内燃機関を始動する前にモータリングによる予備暖機がなされるものであるが、モータリングによる暖機が、内燃機関の燃焼を伴う運転により触媒7を含む排気系6がある程度昇温された状態でなされるような制御ルーチンとされてもよい。この場合、モータリングによる暖機は、内燃機関の燃焼を伴う運転により触媒7を含む排気系6がある程度昇温された状態で、内燃機関の燃焼を伴う運転を停止し、モータリングにより、内燃機関本体から排出された既燃ガスを触媒7に通過させてから吸気系16に再循環させる。燃焼を伴う内燃機関の運転を停止しても、モータリングより排気熱を高めることができ且つ内燃機関本体から排出された既燃ガスを触媒7に通過させてから排気再循環通路11を介して吸気系16に再循環させることができるため、触媒7の昇温を継続させることができ、更に、モータリングは燃焼を伴わないため背圧の過剰な上昇及び排気エミッションの悪化を抑制することが可能となる。図4は、モータリングによる暖機が、内燃機関の燃焼を伴う運転により触媒7を含む排気系6がある程度昇温された状態でなされるような場合における触媒温度の時間推移及びモータリングによる暖機時期の一実施形態を示す図である。
図5は、本排気浄化装置が適用された図1に示す内燃機関で実行される排気浄化処理の制御ルーチンの第三の実施形態を示すフローチャート図である。
触媒7の暖機完了後すなわち触媒温度が活性温度以上となった後に、内燃機関を燃費面にて最適な運転状態とする場合であって、燃費面にて最適な運転状態とするために大量の再循環ガスが燃焼室内に導入された場合、再循環ガスには多くのCO2が含まれているために燃焼速度が低下し燃焼が不安定となり、これに伴いトルク変動が増加し、ドライバビリティの悪化がもたらされうる。
そこで、図5に示す制御ルーチンでは、図2に示す機関冷間始動時おける排気浄化処理の第一の実施形態の制御ルーチンにおける触媒7の暖機完了後すなわち触媒温度が活性温度以上となった後において、内燃機関を燃費面にて最適な運転状態とし、必要に応じてモータ・ジェネレータ26により駆動トルクあるいは制動トルクを内燃機関に付与することで、機関運転中のトルク変動を低減してドライバビリティの悪化させることなく、燃費上最適な運転状態にて内燃機関を運転することを可能とする。
以下に各ステップの詳細について説明する。
図5に示す制御ルーチンにおいて、触媒温度が活性温度に達する前のステップ301からステップ309については図2に示す制御ルーチンのステップ101からステップ109と同様の制御が実行されることになり、ここでの詳細な説明は省略する。
ステップ305において、触媒温度が活性温度以上であると判定されると、ステップ310及びステップ311に進み、現機関運転状態での燃費面から見て最適な再循環ガス量が算出され、算出された量の再循環ガスを燃焼室内に導入させるように、背圧制御バルブ15及び排気再循環量制御バルブ12の開度がECU25により制御される。また、この際、算出された再循環ガス量に基づいて、酸素供給量及び燃料噴射量も算出される。
ステップ311にて、背圧制御バルブ15及び排気再循環量制御バルブ12の開度がECU25により制御されると、続くステップ312にて、内燃機関のトルク変動が所定値を越えているか否かがECU25により判定され、トルク変動値が所定値よりも大きいと判定された場合には、続くステップ313に進み、モータ・ジェネレータ26によるトルク変動低減制御が実行される。具体的は、モータ・ジェネレータ26により、適当な駆動トルクあるいは制動トルクを内燃機関に付与することで、トルク変動値を所定値内に入るように制御する。
これにより、触媒温度が活性温度以上となった後において、内燃機関を燃費面にて最適な運転状態とするために大量の再循環ガスが燃焼室内に導入された場合であっても、トルク変動を低減してドライバビリティの悪化を抑制しつつ、燃費上最適な運転状態にて内燃機関を運転することが可能となる。