JP5149686B2 - 電力変換装置及びそれを用いた放電灯点灯装置、並びに車両用前照灯装置 - Google Patents

電力変換装置及びそれを用いた放電灯点灯装置、並びに車両用前照灯装置 Download PDF

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Description

本発明は、トランスやチョークコイル等の電力変換用の磁性素子を有する放電灯点灯装置及びそれを用いた車両用前照灯装置に関する。
従来から、バッテリや交流電源を整流、平滑して得られる直流電圧を放電灯等の負荷が必要とする電力に変換し、放電灯を安定して点灯させるための放電灯点灯装置が知られており、例えば特許文献1に開示されている。この放電灯点灯装置は、図9(a)に示すように、高輝度放電灯(HIDランプ)の点灯装置であり、直流電源1より放電灯5が必要とする電圧に電圧変換部2で電力変換し、電圧変換部2の出力をインバータ部3にて低周波交番電力に変換し、放電開始時に必要な高電圧を印加させる始動部4を介して放電灯5に電力を供給する。
直流電源1はバッテリや交流電源を整流、平滑して得られる直流電源である。電圧変換部2はスイッチング素子21、トランス22、ダイオード23、平滑用コンデンサ24で構成されている。電圧変換部2の出力は、スイッチング素子21のスイッチング状態を調整することで制御する。これにより直流電源1の出力を放電灯5が必要とする電力に変換し、電圧変換部2は放電灯5を安定に点灯させるための安定器として動作する。
放電灯5への供給電力は制御部6で制御される。制御部6は電圧変換部2の出力電圧を検出し、検出された出力電圧に応じて適切な出力電力の指令値を演算部601にて決定し、その出力電力指令値を出力電圧の検出値で割ることにより出力電流の指令値を出力する。また、制御部6は電圧変換部2の出力電流を検出し、検出された出力電流と指令値との差分を誤差増幅器602により増幅し、1次側ピーク電流指令値を作成する。
制御部6は1次側のスイッチング素子21にオン駆動信号を与えるフリップフロップ等よりなるオン・オフ制御部605を備えており、コンパレータ603によりオフタイミング信号、コンパレータ604によりオンタイミング信号を与えている。コンパレータ603は1次電流の検出信号が1次側ピーク電流指令値に達すると、オフタイミング信号を出力する。コンパレータ604は2次電流がゼロとなったことを検出するとオンタイミング信号を出力する。オン・オフ制御部605は最大オン時間と最小オン時間の設定部を有すると共に、後述する最大オフ時間調整回路606が付加されている。
図9(a)の回路では、電圧変換部2としてフライバックコンバータの例を示している。フライバックコンバータはトランス22の1次巻線をスイッチング素子21を介して直流電源1に接続し、トランス22の2次巻線をダイオード23を介して平滑用コンデンサ24に接続したものであり、1次巻線電流11が遮断されたときにダイオード23を介して2次巻線電流12が流れる所謂フライバック動作を行う巻線極性となっている。
スイッチング素子21がオンすると、トランス22の1次巻線電流11が上昇する。スイッチング素子21のオン時間は、制御部6で規定される1次側ピーク電流指令値に達するまでの期間とする。スイッチング素子21がオフした後に2次巻線電流12が流れはじめ、2次巻線電流12が略ゼロになったときにスイッチング素子21を再びオンさせるように駆動する。動作波形で示すと、図9(b)のようなスイッチング動作となる。このようなスイッチング動作を電流臨界モードといい、一般的に回路効率がよい。
しかし、2次巻線電流12がゼロになるまでスイッチング素子21が再オンしないので、高輝度放電灯5ではランプ温度が低い状態ではランプ電圧が低くなることで2次巻線電流12の傾きが緩やかになって、2次巻線電流12がゼロに達するまでの時間が長くなる。これは、スイッチング周波数の低下を招き、同じ出力を得るために1次巻線電流11のピーク値が増大するため、スイッチング素子21の電流耐量の増大や電力変換用トランス22の大型化、平滑用コンデンサ24の大型化を招く。
特に車両用前照灯装置等に用いられる高輝度放電灯の場合、光出力をすばやく立ち上げるため、ランプ温度が低いとき定常状態より過大な電力を加えるため、この欠点の影響が大きい。
そのため、図9(a)の従来例では、図9(c)で示す動作波形のように、最大オフ時間を限定する最大オフ時間調整回路606を付加し、オフ時間がその上限を超えた場合、2次巻線電流12が流れていても強制的にスイッチング素子21をオンに移行させるような電流連続モードで動作させる。これにより、過度なスイッチング周波数の低下を抑制している。
トランス22の2次巻線電流12の検出はゼロ点のみを検出すればよいので、直接的に電流を検出せず間接的にゼロ点を検出する手法がある。一方、1次巻線電流11は出力の調整のため、流れる電流ピークが指令値に達したことを検出するので、電流値に対応した信号の検出が必要となる。
1次巻線電流11を検出するためには、特許文献2に開示されているように、電流検出用の抵抗などによって検出することが一般的であるが、電流検出用の抵抗によって電力損失を生じる。特に、負荷電力が大きいほど、また入力電圧が低いほど、スイッチング素子21に流す電流11は大きくなるため、電流検出用の抵抗が大型化する。電流検出用の抵抗での電力損失を低減するために抵抗値を低く設定すれば、得られる検出信号が小さくなって、外乱ノイズ等に弱くなる。
図10は特許文献3に開示された放電灯点灯装置の回路図である。この従来例では、発振器608から得られた三角波信号出力とオン時間指令信号とをコンパレータ607で比較して得られた信号を電圧変換部2のスイッチング素子21の駆動信号として利用している。この場合、1次巻線電流を検出する必要がなく、電流検出用の抵抗の使用に伴う電力損失がない。また、発振器608の出力信号を比較的任意に設定できるため、信号レベルを比較的高くすれば、外乱ノイズに対する影響を小さくすることができる。
しかしながら、図10の従来例のように、発振器608によってスイッチング素子21のオンデューティを決定するような方式にて電圧変換部2の出力調整を行う放電灯点灯装置の場合、特に電流連続モード(図9(c)参照)で動作させたとき、入力電圧や負荷電圧が少しでも変動したり、スイッチング素子21のオフ時間がノイズ等により僅かにずれたりすると、出力電力が大きく変動しやすい。
即ち、スイッチング素子21がオフしている状態で出力電圧が僅かに上昇すると、2次巻線電流12の傾きが大きくなり、次にスイッチング素子21がオンした時点での1次巻線電流11の初期値が低下する。出力検出の遅延やフィードバック制御の遅延などからスイッチング素子21のオン期間はすぐには変わらない。そのため、スイッチング素子21をオフする時点の1次巻線電流11のピーク値も低下する。出力電力はトランス22の1次巻線ピーク電流の2乗に比例するため、僅かなピーク電流のずれが出力電力に大きく影響する。さらに、負性抵抗特性の放電灯では、出力低下に伴いランプ電圧が上昇する。これにより電圧変換部2の出力電圧がさらに上昇し、出力を減じる方向に動作する。同様に、出力増加の場合でも変動が大きくなる。
図9(a)の従来例では、スイッチング素子21がオフするタイミングは1次巻線電流11がフィードバック制御回路で演算される指令値に達する時間である。指令値が一定の条件で入出力状態が急変してもオフ直前の1次巻線ピーク電流は同じであるため、出力電力への影響が少なく、フィードバック制御回路の応答性が遅い場合でも出力変動が小さい。特に放電灯負荷のように負性抵抗負荷などにおける電流連続モード動作では、図10の従来例と比べて入出力電圧に変動が生じた場合の出力電力安定性に対する効果が高い。
しかし、図10の従来例では、出力電力に影響のあるトランス22の電流を直接検出しないため、出力電力は出力検出値からフィードバック制御回路609によって調整するしかなく、フィードバック制御回路609の応答性が遅ければ、出力変動が大きくなる。
これを防止するためには、フィードバック制御ゲインを大きくし、応答性を早くすればよいが、制御系の安定性を確保するためには得策でない。また、1次巻線電流11を検出していないため、どの程度の1次巻線電流11が流れているかがわからない。そのため、スイッチング素子21の電流許容量を必要以上に上げないよう、またトランス22が飽和しないように過大な1次巻線電流を防止する手段を別途必要とする。
上述のように、図9(a)の従来例及び図10の従来例はそれぞれ問題点を有しているが、これらの問題点を解決する放電灯点灯装置を本願の発明者は開発している。この放電灯点灯装置は、図11に示すように、インダクタやトランス等の電力変換用の磁性素子を流れる電流を検出する代わりに磁性素子の磁束状態或いは磁束変化状態を近似的に模擬する磁束模擬部7を設け、当該回路の信号出力によってスイッチング素子のオン期間を規定するようにしたものである。
具体的には、図12(a)に示すように、磁束模擬部7は、容量CTのコンデンサ70と、その電荷放電用の電流信号源71と、電荷充電用の電流信号源72と、充電と放電とを切り替える切替手段73とから構成されている。切替手段73はスイッチング素子21をオン/オフするRSフリップフロップ62のQ出力により制御されており、充放電の切り替えはスイッチング素子21のスイッチング信号に同期して行われる。即ち、スイッチング素子21がオンの時には電流信号源72によってコンデンサ70を充電し、スイッチング素子21がオフの時には電流信号源71によってコンデンサ70を放電する。したがって、コンデンサ70の電圧は電流信号源71,72の電流値の時間積分となり、磁束模擬信号として利用される。
以下、上記従来例の動作について説明する。スイッチング素子21のオンタイミング信号は発振器61から出力されており、該発振器61の出力をRSフリップフロップ62のセット入力SとすることでRSフリップフロップ62のQ出力がハイレベルとなり、ドライブ回路63を介してスイッチング素子21がオンされると同時に電流信号源72によるコンデンサ70の充電が開始する。コンデンサ70により得られる磁束模擬信号(コンデンサ70の充電電圧)をコンパレータ60によりオン時間指令信号と比較し、指令信号レベルを超えた時にオフタイミング信号を出力する。コンパレータ60の出力はRSフリップフロップ62のリセット入力Rとなっており、コンパレータ60からオフタイミング信号が出力されると、RSフリップフロップ62のQ出力がLレベルとなり、ドライブ回路63を介してスイッチング素子21がオフされる。同時に、切替手段73が切り替えられることで電流信号源71によるコンデンサ70の放電が開始する。
上述のように、磁性素子の電圧を直接検出、あるいは入出力電圧とスイッチング状態などにより間接的に検出した信号を時間積分することで、磁束を近似的に模擬した磁束模擬信号をスイッチング信号のオン期間の調整に用いたので、電流値の大きい磁性素子を流れる電流を検出する必要が無い。このため、電流検出抵抗による電力損失や検出回路の大型化を回避することができ、磁性素子を流れる電流値に応じてスイッチング素子のオン/オフのタイミングを調整できるので、出力電圧の安定性を高めることができる。
また、図12(b)に示すように、上記電流信号源71,72、及び切替手段73を用いる代わりに、2次巻線電圧を抵抗74を介してコンデンサ70の充放電に利用する構成ものもある。この場合、上記電流信号源71,72、及び切替手段73といった複雑な回路を利用せずとも磁束模擬信号を利用することができる。
特開2000−340385号公報 特開平8−182314号公報 特開2004−87339号公報
しかしながら、上記の図12(b)に示す従来例では、磁性素子の磁束における直流分が磁束模擬信号に現れない。このため、図12(c)に示すように、電流連続モードにおいてはコンデンサ70の充電電圧が所定の値に達すると出力電力と比例せずに一定値となってしまうため、磁束模擬信号レベルが一定値となり、オン時間指令信号値に達しないことからスイッチング素子21のオフタイミングを決定することができず、出力を調整することができない。電流連続モードにおいても磁束の瞬時的な変動は磁束模擬信号に現れるため、短時間の出力変動には対処することができるが、平均的な出力調整の場合には、実際の出力を検出してフィードバック制御を行う必要があり、フィードバック制御のゲインを大きくして応答性を高速化しなければならず、結果として安定性が損なわれるという問題があった。
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、電流連続モードにおいても磁束模擬部によって出力を調整することのできる電力変換装置及びそれを用いた放電灯点灯装置、並びに車両用前照灯装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、スイッチング素子のオン時に電源から電力変換用の磁性素子に電流を流して該磁性素子にエネルギを蓄積し、スイッチング素子のオフ時に磁性素子に蓄積されたエネルギを負荷側に放出し、スイッチング素子を高周波でスイッチングすることで電力変換動作を行う電圧変換部と、スイッチング素子のオン/オフを制御する制御部とを有した電力変換装置であって、磁性素子の磁束状態又は磁束変化状態を近似的に模擬し、磁束模擬信号として出力する磁束模擬部と、少なくとも電圧変換部の出力又は入力の何れか一方を検出して検出信号を出力する検出部とを有し、検出信号のうち少なくとも何れか一方の信号を磁束模擬信号に重畳させ、制御部は、少なくともスイッチング素子のオン期間を当該重畳信号によって決定し、磁束模擬部は、磁性素子の巻線に生じた電圧又はその巻線の一部に生じた電圧を信号源とした、或いは該電圧に対応した信号源を含み、信号源からの信号をコンデンサに充放電する回路と、該コンデンサの電圧を直接或いは等価的に検出する回路とを有し、スイッチング素子のオン期間は、少なくともコンデンサの検出電圧が所定値に達することにより規定されることを特徴とする
請求項2の発明は、上記目的を達成するために、スイッチング素子のオン時に電源から電力変換用の磁性素子に電流を流して該磁性素子にエネルギを蓄積し、スイッチング素子のオフ時に磁性素子に蓄積されたエネルギを負荷側に放出し、スイッチング素子を高周波でスイッチングすることで電力変換動作を行う電圧変換部と、スイッチング素子のオン/オフを制御する制御部とを有した電力変換装置であって、磁性素子の磁束状態又は磁束変化状態を近似的に模擬し、磁束模擬信号として出力する磁束模擬部と、少なくとも電圧変換部の出力又は入力の何れか一方を検出して検出信号を出力する検出部とを有し、検出信号のうち少なくとも何れか一方の信号を磁束模擬信号に重畳させ、制御部は、少なくともスイッチング素子のオン期間を当該重畳信号によって決定し、磁束模擬部は、磁性素子の巻線に生じた電圧又はその巻線の一部に生じた電圧を信号源とした、或いは該電圧に対応した信号源を含み、信号源からの信号をコンデンサに充放電する回路と、該コンデンサの電圧を直接或いは等価的に検出する回路とを有し、前記信号源とは別にコンデンサの充電電流のオフセット電流源を有し、該オフセット電流源からのオフセット電流が少なくとも検出部からの検出信号に応じて調整され、スイッチング素子のオン期間は、少なくともコンデンサの検出電圧が所定値に達することにより規定されることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、磁束模擬信号に重畳させる信号は、電圧変換部における入力側の電流、入力側の電力、出力側の電流、出力側の電圧、出力側の電力と対応する各信号のうち少なくとも何れか1つから成ることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の電力変換装置と、電力変換装置の出力電圧を交番させて負荷に供給する極性反転回路とを備えたことを特徴とする。
請求項5の発明は、器具本体と、器具本体に収納されて放電灯が着脱自在に装着されるソケットと、ソケットを介して放電灯に電力を供給する請求項4に記載の放電灯点灯装置とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、電圧変換部の出力又は入力の検出信号を磁束模擬信号に重畳させることで、電流連続モードにおいても磁束模擬信号レベルが増大するため、磁束模擬信号が所定値に達したことを検出してスイッチング素子をオン/オフさせることができ、電流連続モードにおいても磁束模擬部によって出力制御を行うことができる。
以下、本発明に係る電力変換装置及びそれを用いた放電灯点灯装置、並びに車両用前照灯装置の各実施形態を図面を用いて説明する。但し、電力変換装置の各実施形態の基本的な構成は図12(b)に示した従来例と共通であるので、共通する部位には同一の番号を付して説明を省略するものとする。尚、放電灯点灯装置の電力変換装置を除いた構成は従来例と同じであるので、以下では放電灯点灯装置の図示及び説明を省略するものとする。
先ず、本発明に係る電力変換装置の基本構成について図面を用いて説明する。本願発明は、図1(a)に示すように、電圧変換部2の出力端に電圧変換部2の出力を検出する出力検出部8を設け、出力検出部8で得られた出力検出信号を磁束模擬部7からの磁束模擬信号に重畳させることに特徴がある。ここで、磁束模擬信号に重畳させ出力検出信号の極性は、磁束が増大する極性と出力が増大する極性とが同一となるように設定される。したがって、トランスやインダクタ等の磁性素子を流れる電流を直接検出しなくても、これら磁性素子の磁束を近似的に模擬することで磁性素子を流れる電流を想定し、スイッチング信号のオン期間を調整して電圧変換部2の出力制御を行うことができる。
また、磁束模擬信号を生成する場合に、従来例の図12(b)に示すように磁束模擬部7をローパスフィルタから構成しても、上記のように出力検出信号を磁束模擬信号に重畳させることで出力検出信号を磁性素子の磁束の直流分とみなすことができる。したがって、電流連続モードにおいても電圧変換部2の出力電圧の増大に伴って磁束模擬信号レベルが増大するため、磁束模擬信号が所定値に達したことを検出してスイッチング素子21をオフさせることができ、出力制御を行うことができる。
尚、図1(b)に示すように、電圧変換部2の入力端に電圧変換部2の入力を検出する入力検出部9を設け、入力検出部9で得られた入力検出信号を磁束模擬部7からの磁束模擬信号に重畳させる構成であっても構わない。
また、磁束模擬信号に重畳させる出力検出信号又は入力検出信号には、電力検出信号、電圧検出信号、電流検出信号のうち少なくとも何れか1つの検出信号を利用すればよい。例えば、上述のようにフライバックコンバータにより出力調整を行う電力変換装置及びそれを用いた放電灯点灯装置の場合、高輝度放電灯等の負荷ではランプ温度が低い時にランプ電圧が低くなるために、スイッチング素子21のオフ時における2次側の電流の変動が緩やかになって電流連続モードによる動作となる。したがって、ランプ電圧の変動が緩やかであるのに対してランプ電流が大きく変動するため、負荷に高輝度放電灯等を用いる場合には電流検出信号を重畳させるのが望ましい。
上述のように、電流値の大きい磁性素子を流れる電流を検出しなくてもよいので、電流検出抵抗による電力損失や検出回路の大型化を回避することができ、磁性素子を流れる電流値に応じてスイッチング素子21のオン/オフのタイミングを調整できるので、出力電圧の安定性を高めることができる。また、積分回路やローパスフィルタを構成する各素子の定数を調整することで信号振幅を大きくすることができるので、外乱ノイズ等の影響を低減することができる。
尚、図1(a),(b)では、電圧変換部2をフライバックコンバータで構成しているが、チョッパ回路やチョッパ回路とインバータ回路とを兼用させた回路など、磁性素子にスイッチング素子のオン期間の間電流を流してエネルギを蓄積し、オフ期間に蓄積されたエネルギを負荷側に放出する回路構成であれば他の構成であっても構わない。また、図1(a),(b)では、所定周期の信号を発振する発振器によってスイッチング素子のオンタイミングを決定しているが、スイッチング周期を入出力条件に応じて可変したり、オンタイミングを磁性素子のエネルギ蓄積量によって決定する手法、例えば磁束が略ゼロとなる瞬間をオンタイミングとする手法等でも構わない。
(実施形態1)
以下、本発明に係る電力変換装置の実施形態1について図面を用いて説明する。本実施形態は、図2(a)に示すように、磁束模擬部7が抵抗74及びコンデンサ70を有するローパスフィルタから成り、2次巻線電圧V2を抵抗74を介してコンデンサ70の充放電に利用する構成としたものである。尚、本実施形態では、電圧変換部2の出力端の一端がグラウンドに接続されるとともに他端がグラウンドに対して負電位となるように構成されているため、コンデンサ70の充電電圧が負電圧まで低下しないように基準電圧源V1から抵抗75を介してオフセット電圧を重畳する構成となっている。
トランス22の磁束Φは、2次巻線の巻数をN2とすると次式で表される。
Φ=(1/N2)・∫V2dt
したがって、2次巻線電圧V2を時間積分することでトランス22の磁束を模擬することができることがわかる。また、スイッチング周期程度の微小な時間における入出力電圧の変動は小さく、ほぼ一定電圧と見做した場合のトランス22の磁束Φは次式で表される。
Φ=V2・t/N2
このように、トランス22の磁束は2次巻線電圧V2と時間tとの積に比例する。尚、2次巻線電圧V2としては2次巻線に発生する電圧そのものを利用してもよいが、本実施形態では、回路を構成する部品の電圧耐量を下げるためにトランス22の中間タップから生じる電圧を利用している。
コンデンサ70の静電容量をCT、抵抗74の抵抗値をRT、トランス22の2次巻線の中間タップ出力電圧をk・V2とすると、スイッチング素子21のオン時間及びオフ時間が時定数RT・CTに比べてある程度小さい場合(例えば、1/5以下)であれば、コンデンサ70の電圧変動量ΔVは次式で表される。
ΔV=k・V2・t/(RT・CT)
したがって、コンデンサ70の電圧変動量ΔVが上述の磁束と同様に2次巻線電圧V2と時間tとの積に比例することになり、コンデンサ70の充電電圧を近似的な磁束模擬信号として利用できることがわかる。
ここで、トランス22の2次巻線の一端とグラウンドとの間に出力電流を検出するための出力検出部8である検出抵抗80が接続され、該検出抵抗80の一端とコンデンサ70の一端とが接続されている。而して、コンデンサ70で生じる電圧信号(磁束模擬信号)には、出力電流に応じて検出抵抗80で生じる電圧降下分が電流検出信号として重畳される。
以下、本実施形態の動作について説明する。発振器61から出力される所定周期の信号はRSフリップフロップ62のセット端子に入力され、該信号によってRSフリップフロップ62をセットしてスイッチング素子21のオン信号として出力し、ドライブ回路63を介してスイッチング素子21をオンする。スイッチング素子21がオンされると、磁束模擬部7のコンデンサ70は正の傾きを有する電圧信号を磁束模擬信号として出力する。磁束模擬信号はコンパレータ60においてオン時間指令信号と比較され、指令信号を超えるとリセット信号をRSフリップフロップ62に送り、RSフリップフロップ62はスイッチング素子21のオフ信号を出力し、ドライブ回路63を介してスイッチング素子21をオフする。スイッチング素子21がオフされると、磁束模擬部7のコンデンサ70は電圧変換部2の出力電圧Voutに応じた負の傾きを有する電圧信号を磁束模擬信号として出力する。そして、発振器61の信号でスイッチング素子21を再びオンにし、以下上記の動作を繰り返すことでフィードバック制御を実現している。尚、オン時間指令信号は、外部からの出力指令に基づいて検出された出力電流や出力電圧等の実際の出力との誤差演算を行う出力調整用誤差増幅回路64で生成される。
ここで、本実施形態では、電圧変換部2の出力端の一端がグラウンドに接続されるとともに他端がグラウンドに対して負電位となるように構成されているため、検出抵抗80ではグラウンドに対して正電圧が出力される。一方、磁束模擬信号は、コンデンサ70のグランド側の一端を基準とすると、スイッチング素子21がオンの時にはコンデンサ70が充電されて電圧が上昇し、スイッチング素子21がオフの時にはトランス22の2次巻線に逆方向の電圧が発生することからコンデンサ70が放電されて電圧が低下する。即ち、スイッチング素子21がオンとなって磁束が増加する際に、磁束模擬信号の傾きと電流検出信号の傾きとが何れも正極性となる。
したがって、電圧変換部2が電流連続モードで動作している際に、磁束の直流分がカットされた磁束模擬信号であっても電流検出信号を磁束の直流分として利用することで、トランス22を流れる電流値に応じてスイッチング素子21のオン/オフのタイミングを調整できるので、出力電圧の安定性を高めることができる。また、コンデンサ70の静電容量CT等を調整することで磁束模擬信号のレベルを調整して大きくすることができるので、外乱ノイズ等の影響を低減することができる。
また、図2(b)に示すように、電圧変換部2の出力電圧が正電圧となるように構成されている場合には、各信号の極性が反転する点を考慮して磁束模擬信号がオン時間指令信号よりも下回った時にスイッチング素子21をオフするように動作する。また、電流検出信号も負電圧となるため、磁束模擬信号の傾きと電流検出信号の傾きとが何れも負極性となるため、上記図2(b)と同様の動作を実現することができる。
尚、出力検出信号を磁束模擬信号に重畳させる手段は、本実施形態による手段に限定される必要はないことは言うまでもない。
(実施形態2)
以下、本発明に係る電力変換装置の実施形態2について図面を用いて説明する。本実施形態は、図3に示すように、電圧変換部2の出力端に接続された検出抵抗81で電圧変換部2の出力電圧を検出し、出力電圧回路82から出力される電圧検出信号を磁束模擬信号に重畳させる構成となっている。尚、本実施形態では、図2(a)に示した実施形態と同様に電圧変換部2の出力電圧が負電圧となるように構成されているため、出力電圧回路82は差動増幅器を有する反転増幅回路から構成されているが、これに限定されるものではなく、電圧変換部2の出力電圧に応じた電圧検出信号を得られる構成であればよい。
磁束模擬信号に対する電圧検出信号の重畳量は、磁束模擬部7の抵抗74及び出力検出部8の抵抗83で決定される分圧比で調整される。尚、信号の重畳方法はこれに限定されるものではなく、例えば電圧変換部2の出力電圧に応じた電流信号を生成し、磁束模擬部7に加える構成であってもよい。この場合には、信号の重畳量は電流信号へ変換する変換係数と磁束模擬部7の抵抗74の抵抗値とで決定される。
また、本実施形態では、電圧変換部2の出力電圧の増大に伴って出力が増大する正特性の抵抗負荷を想定して、磁束模擬信号と電圧検出信号との極性が一致するように信号を重畳させているが、出力電圧が低いほど出力が増大する放電灯等の負性抵抗負荷に限定する場合は、磁束模擬信号と電圧検出信号とが互いに逆極性となるように信号を重畳させた構成であっても構わない。
(実施形態3)
以下、本発明に係る電力変換装置の実施形態3について図面を用いて説明する。本実施形態は、図4に示すように、入力側の1次巻線、出力側の2次巻線とは別に補助巻線22aを設け、補助巻線22aに発生した電圧を利用して磁束模擬信号を得る構成となっている。この場合、磁束模擬信号に重畳される出力検出信号には前記実施形態と同様に電流検出信号又は電圧検出信号の何れかを採用することができるが、本実施形態では、電流検出信号及び電圧検出信号を電力演算回路84で演算することで電力検出信号に変換し、該電力検出信号を重畳させる構成となっている。尚、信号の重畳量は、出力検出部8の抵抗85と磁束模擬部7の抵抗74とで決定される分圧比で調整される。
(実施形態4)
以下、本発明に係る電力変換装置の実施形態4について図面を用いて説明する。本実施形態は、実施形態3と同様に補助巻線22aで発生した電圧を利用して磁束模擬信号を得る構成であって、図5に示すように、直流電源1の出力端にコンデンサ90及び検出抵抗91の直列回路から成る入力検出部9を接続し、検出抵抗91で得られた入力側の電流検出信号を磁束模擬信号に重畳させる構成となっている。而して、無負荷時等の出力電流が略ゼロの場合において、電圧変換部2が動作開始した直後の電圧立ち上がり条件での過負荷状態を防止することができる。尚、入力電流の検出のために専用の検出抵抗91を必ずしも設ける必要は無く、例えば図示しないが入力端子の電源逆接続時の保護用スイッチング素子や入力フィルタ回路のインピーダンスを利用した構成であっても構わない。
(実施形態5)
以下、本発明に係る電力変換装置の実施形態5について図面を用いて説明する。本実施形態は、図6に示すように、電圧変換部2及び磁束模擬部7のグラウンド側の一端と入力検出部9の検出抵抗91の高圧側の一端とを接続するとともに、該検出抵抗91と出力検出部8の検出抵抗80とを直列接続することで、入力側の電流検出信号と出力側の電流検出信号とを磁束模擬信号に重畳させる構成となっている。
上記実施形態4では、無負荷時等の出力電流が略ゼロの場合において、電圧変換部2が動作開始した直後の電圧立ち上がり条件での過負荷状態を防止することができるが、出力短絡条件では入力電流が微小となり、入力側の電流検出信号だけでは磁束の直流分の模擬が不十分となる。これに対して本実施形態では、出力側の電流検出信号も磁束模擬信号に重畳させているので、上記条件下における制御性能を向上することができる。
(実施形態6)
以下、本発明に係る電力変換装置の実施形態6について図面を用いて説明する。本実施形態は、図7に示すように、磁束模擬部7をトランス22の1次側に設け、トランス22の1次巻線電圧をコンデンサ70の充放電に利用する構成となっており、コンデンサ70の充電電圧をトランジスタ76及び抵抗77から成るエミッタフォロア増幅回路で検出するようになっている。即ち、コンデンサ70の充電電圧はトランジスタ76のエミッタ端子に現れ、当該電圧に応じた電圧が抵抗77に印加され、その電圧に応じた電流がトランジスタ76のエミッタからコレクタ側に流れる。このコレクタ電流が抵抗78を流れることで生じる電圧降下分を磁束模擬信号として利用している。また、抵抗78の一端を出力検出部8の検出抵抗80の一端と接続することで、磁束模擬信号に出力側の電流検出信号を重畳させる構成となっている。
本発明の電力変換装置は、特に放電灯点灯装置において電圧変換部2が電流連続モードで動作している時にも安定して放電灯5を点灯させるように出力制御する用途に好適である。
以下、上記各実施形態のうち何れか1つを搭載した車両用前照灯装置の実施形態について説明する。本実施形態は、乗用車のヘッドライト等に用いられる車両用前照灯装置Bであって、図8に示すように、高輝度の放電灯5及び放電灯5が装着されるランプソケット101を収納した器具本体100と、器具本体100に取り付けられる前記実施形態1〜5のうち何れか1形態の電力変換装置を備えた放電灯点灯装置Aと、放電灯点灯装置Aに電力を供給するバッテリBTと、バッテリBTと放電灯点灯装置Aとの間に介装される点灯スイッチ102及びヒューズ103とから構成される。
上述の車両用前照灯装置Bでは、放電灯5が冷えている始動時においてはランプ電圧が低く、放電灯点灯装置Aを電流連続モードで動作させるが、前照灯であるために光出力を急速且つ滑らかに立ち上げるために必要な過大な出力性能を満足させるために本発明は好適である。また、バッテリBTの電圧変動が大きいため、低電圧入力時にスイッチング周波数の過度の低下を抑制するために電流連続モードで動作させた場合の出力安定性能を満足させるためにも本発明は好適である。
尚、上記各実施形態では、負荷として放電灯5を適用した場合について説明しているが、これに限定される必要は無く、例えば発光ダイオード等の他の負荷であってもよい。
本発明に係る電力変換装置の基本構成を示す図で、(a)は電圧変換部の出力側で検出する場合の回路図で、(b)は電圧変換部の入力側で検出する場合の回路図である。 本発明に係る電力変換装置の実施形態1を示す図で、(a)は電圧変換部が負電圧を出力する場合の回路図で、(b)は電圧変換部が正電圧を出力する場合の回路図である。 本発明に係る電力変換装置の実施形態2を示す回路図である。 本発明に係る電力変換装置の実施形態3を示す回路図である。 本発明に係る電力変換装置の実施形態4を示す回路図である。 本発明に係る電力変換装置の実施形態5を示す回路図である。 本発明に係る電力変換装置の実施形態6を示す回路図である。 本発明に係る車両用前照灯装置の実施形態を示す構成図である。 従来の放電灯点灯装置を示す図で、(a)は回路図で、(b)は電流臨界モードの動作波形図で、(c)は電流連続モードの動作波形図である。 従来の他の放電灯点灯装置を示す回路図である。 従来の磁束模擬信号を利用した放電灯点灯装置を示す回路図である。 (a)は同上の磁束模擬部を示す回路図で、(b)は同上の磁束模擬部の他の構成を示す回路図で、(c)は磁束模擬信号のピーク値と出力電圧との相関図である。
符号の説明
1 直流電源
2 電圧変換部
21 スイッチング素子
22 トランス(磁性素子)
7 磁束模擬部
8 出力検出部

Claims (5)

  1. スイッチング素子のオン時に電源から電力変換用の磁性素子に電流を流して該磁性素子にエネルギを蓄積し、スイッチング素子のオフ時に磁性素子に蓄積されたエネルギを負荷側に放出し、スイッチング素子を高周波でスイッチングすることで電力変換動作を行う電圧変換部と、スイッチング素子のオン/オフを制御する制御部とを有した電力変換装置であって、磁性素子の磁束状態又は磁束変化状態を近似的に模擬し、磁束模擬信号として出力する磁束模擬部と、少なくとも電圧変換部の出力又は入力の何れか一方を検出して検出信号を出力する検出部とを有し、検出信号のうち少なくとも何れか一方の信号を磁束模擬信号に重畳させ、制御部は、少なくともスイッチング素子のオン期間を当該重畳信号によって決定し、磁束模擬部は、磁性素子の巻線に生じた電圧又はその巻線の一部に生じた電圧を信号源とした、或いは該電圧に対応した信号源を含み、信号源からの信号をコンデンサに充放電する回路と、該コンデンサの電圧を直接或いは等価的に検出する回路とを有し、スイッチング素子のオン期間は、少なくともコンデンサの検出電圧が所定値に達することにより規定されることを特徴とする電力変換装置。
  2. スイッチング素子のオン時に電源から電力変換用の磁性素子に電流を流して該磁性素子にエネルギを蓄積し、スイッチング素子のオフ時に磁性素子に蓄積されたエネルギを負荷側に放出し、スイッチング素子を高周波でスイッチングすることで電力変換動作を行う電圧変換部と、スイッチング素子のオン/オフを制御する制御部とを有した電力変換装置であって、磁性素子の磁束状態又は磁束変化状態を近似的に模擬し、磁束模擬信号として出力する磁束模擬部と、少なくとも電圧変換部の出力又は入力の何れか一方を検出して検出信号を出力する検出部とを有し、検出信号のうち少なくとも何れか一方の信号を磁束模擬信号に重畳させ、制御部は、少なくともスイッチング素子のオン期間を当該重畳信号によって決定し、磁束模擬部は、磁性素子の巻線に生じた電圧又はその巻線の一部に生じた電圧を信号源とした、或いは該電圧に対応した信号源を含み、信号源からの信号をコンデンサに充放電する回路と、該コンデンサの電圧を直接或いは等価的に検出する回路とを有し、前記信号源とは別にコンデンサの充電電流のオフセット電流源を有し、該オフセット電流源からのオフセット電流が少なくとも検出部からの検出信号に応じて調整され、スイッチング素子のオン期間は、少なくともコンデンサの検出電圧が所定値に達することにより規定されることを特徴とする電力変換装置。
  3. 前記磁束模擬信号に重畳させる信号は、電圧変換部における入力側の電流、入力側の電力、出力側の電流、出力側の電圧、出力側の電力と対応する各信号のうち少なくとも何れか1つから成ることを特徴とする請求項1又は2記載の電力変換装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の電力変換装置と、電力変換装置の出力電圧を交番させて負荷に供給する極性反転回路とを備えたことを特徴とする放電灯点灯装置。
  5. 器具本体と、器具本体に収納されて放電灯が着脱自在に装着されるソケットと、ソケットを介して放電灯に電力を供給する請求項4に記載の放電灯点灯装置とを備えたことを特徴とする車両用前照灯装置。
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