JP5162404B2 - 排ガス浄化用触媒及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、排ガス浄化用触媒並びにその製造方法に関する。
従来から、多孔性金属は排ガス浄化触媒の分野に利用されてきた。このような多孔性金属としては、特開2007−63598号公報(特許文献1)において、孔の内部に更に1段以上の孔が形成されている孔が含まれる多孔性金属薄膜が開示されている。また、特開2004−143497号公報(特許文献2)においては、1次粒子の粒径が200nm以下の金属微粒子が複数個集まり、接触部分が融着して形成された孔径1μm以下の多孔性金属粒子が開示されている。更に、特開2006−22367号公報(特許文献3)においては、直鎖状のポリエチレンイミン骨格を有する親水性ポリマーと水系溶媒とを混合し、該混合液を加熱した後冷却するか又は直鎖状のポリエチレンイミン骨格を有する親水性ポリマーと有機溶媒を混合し、該混合液に水を加えることにより前記親水性ポリマーのヒドロゲルを得る工程(I)と、前記ヒドロゲルと金属イオンの水系溶媒溶液とを混合して、金属イオンを自発的に還元させるか又は還元剤により還元させて、前記親水性ポリマーと金属との複合体を得る工程(II)と、前記複合体を水溶性有機溶剤で洗浄し、焼結する工程(III)と有する多孔性金属の製造方法及びその方法を実施して得られる多孔性金属が開示されている。しかしながら、特許文献1〜3に記載のような従来の多孔性金属は、これを排ガス浄化用触媒として利用した場合に十分な触媒活性を有するものではなかった。
特開2007−63598号公報 特開2004−143497号公報 特開2006−22367号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、COの酸化性能に優れ、十分に高度な触媒活性を有する排ガス浄化用触媒及びその触媒の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の金属とAlとを含有する合金(好ましくは金属間化合物)を得た後に、その合金(好ましくは金属間化合物)からAlを溶出させることにより、中心細孔直径が1〜15nmの細孔を有する多孔性金属が得られることを見出すとともに、このような中心細孔直径を有する多孔性金属を備える排ガス浄化用触媒が十分に高度な触媒活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒は、中心細孔直径が1〜15nmの細孔を有する多孔性金属を備えており、且つ、
前記多孔性金属がAuとFeを含有することを特徴とするものである。
さらに、上記本発明の排ガス浄化用触媒においては、前記多孔性金属の比表面積が1〜30m/gであることが好ましい。
また、本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法は、AuとAlとFeとを溶解させて、前記AuとAlとFeとを含有する合金を得る工程と、
前記合金からAlを溶出させて、中心細孔直径が1〜15nmの細孔を有する多孔性金属を得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
また、上記本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法においては、前記合金からAlを溶出させる工程において、前記合金中の全Alの70at%以上のAlを前記合金から溶出させることが好ましい。
更に、上記本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法においては、前記合金が金属間化合物であることが好ましい。
なお、本発明の排ガス浄化用触媒及び排ガス浄化用触媒の製造方法によって、上記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法においては、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag及びAuからなる群から選択される少なくとも1つの金属とAlとを含有する合金(好ましくは金属間化合物)を得た後、その合金(好ましくは金属間化合物)に対していわゆるリーチング処理を施し、前記合金(好ましくは金属間化合物)からAlを溶出させる。このように前記合金(好ましくは金属間化合物)からAlを溶出させることで、残された金属は多孔性金属となる。また、このようなリーチング処理により得られる多孔性金属の中心細孔直径は、上述の特許文献1〜3に記載のような従来の多孔性金属の中心細孔径がいずれもマイクロメートルあるいはサブマイクロメートルスケールであるのに対して、1nm〜15nmの非常に微細なサイズとなる。更に、このようにしてAlを溶出させることによって、多孔性金属の表面には種々の結晶面が露出し、いわゆるステップやキンクが大量に形成されるものと推察される。このようなステップやキンクは、テラスに比べてエネルギー的に不安定で分子を吸着し易いと考えられるため、得られる多孔性金属は十分に高い触媒活性を有するものと推察される。すなわち、本発明にかかる多孔性金属は、従来の多孔性金属と比較して十分に微細な細孔を有するとともに、その表面状態が不規則なものとなるため、分子を吸着し易く十分に高い触媒活性を発揮できるものと推察される。また、本発明にかかる多孔性金属においては、上述のようにステップやキンクが大量に形成されるため、従来十分な触媒活性を示さない金属(不活性金属)であると考えられてきたもの(例えばAu)も、触媒活性種として利用することができる。更に、本発明にかかる多孔性金属は、その単体でも十分に触媒活性を示すため、従来、排ガス浄化用触媒に必須と考えられてきた担体(例えば無機酸化物)を必ずしも用いる必要がなく、これにより使用時の吸着水の蒸発潜熱が不要となるため、低温での触媒活性が十分に向上するものと推察される。従って、このような多孔性金属を備える排ガス浄化用触媒は、十分に高度な触媒活性を示すものと推察される。
本発明によれば、COの酸化性能に優れ、十分に高度な触媒活性を有する排ガス浄化用触媒及びその触媒の製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の排ガス浄化用触媒について説明する。すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒は、中心細孔直径が1〜15nmの細孔を有する多孔性金属を備えることを特徴とするものである。
ここにいう「中心細孔直径」とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径をいい、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、先ず、多孔性金属を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、その吸着量を求める。次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得た後、この吸着等温線を用い、細孔径分布曲線を求める。なお、前記窒素ガスの吸着量は定容量法あるいは重量法等により求めることが可能であるが、本発明においてはBET法を採用して求める。また、吸着等温線から細孔径分布曲線を求める方法としては、Cranston−Inklay法、Pollimore−Heal法、BJH法などの計算法を利用することが可能であるが、本発明においては、BJH法を採用する。
このような多孔性金属の中心細孔直径は、1〜15nmである必要があり、2〜12nmであることがより好ましく、3〜10nmであることが特に好ましい。このような多孔性金属の中心細孔直径が前記下限未満では、その製造が困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、触媒活性が不十分となる傾向にある。
また、このような多孔性金属としては、活性と耐久性とを両立するという観点から、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag及びAuからなる群から選択される少なくとも1つの金属(以下、「金属(A)」という)を含有することが好ましい。このような金属(A)の中でも、Rh、Ir、Pd、Pt、Auがより好ましく、Rh、Pd、Pt、Auが特に好ましい。また、このような多孔性金属は、前記金属(A)の1種の単体からなるものであっても、前記金属(A)の2種以上を含有するものであってもよく、更には、前記金属(A)の1種以上と他の金属の1種以上を含有するものであってもよい。また、このような多孔性金属としては、金属(A)の単体又はその金属(A)を含む合金からなるものであることが好ましい。このような金属(A)を含有する多孔性金属は、十分に高い触媒活性を示す傾向にある。
さらに、前記多孔性金属としては、触媒活性自体の向上の観点から、前記金属(A)を含有するとともに、Fe、Cu、Co及びNiからなる群から選択される少なくとも1つの金属(以下、「金属(B)」という。)を更に含有することが好ましい。このような多孔性金属においては、前記金属(B)の中でも、触媒活性の観点からは、Fe、Cu、Coがより好ましく、Fe、Cuが更に好ましく、Feが特に好ましい。
また、前記多孔性金属中の前記金属(A)の含有割合、又は、金属(A)及び金属(B)の総量の含有割合としては、多孔性金属の全質量に対して60〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましい。このような含有割合が前記下限未満では、十分な触媒活性が得られなくなる傾向にある。
また、前記多孔性金属が前記金属(A)と前記金属(B)とを含有する場合においては、前記金属(A)と前記金属(B)の含有割合がモル比(金属(A):金属(B))で5:1〜1:5であることが好ましい。このような金属(A)の含有比率が前記下限未満では活性が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると2元化の効果が失われる傾向にある。
また、このような多孔性金属の形状は特に制限されず、膜状であっても粉末状であってもよいが、十分な比表面積が得られるという観点からは粉末状であることが好ましい。また、このような粒子状の多孔性金属の平均一次粒子径としては100〜200μmであることが好ましい。このような粒子径が前記下限未満では、その製造が困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、比表面積が低下して触媒性能等が低下する傾向にある。
前記多孔性金属の比表面積は特に制限されないが、1〜30m/gであることが好ましく、3〜30m/gであることがより好ましい。このような比表面積が前記下限未満では、十分な触媒活性が得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、多孔性金属の構造が崩壊する可能性がある。
また、本発明の排ガス浄化用触媒は、前記多孔性金属を備えるものであればよく、前記多孔性金属の単体からなるものであっても、他の触媒との混合物であってもよい。また、このような排ガス浄化用触媒においては、本発明の効果を損なわない範囲で排ガス浄化用触媒に用いることが可能な他の成分(例えばNOx吸蔵材等)を、前記多孔性金属に適宜担持してもよい。また、本発明の排ガス浄化用触媒を製造するための方法としては、後述する本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法を好適に採用することができる。
さらに、本発明の排ガス浄化用触媒の形態は特に制限されず、ハニカム形状のモノリス触媒、ペレット形状のペレット触媒等の形態にしてもよい。このような形態の排ガス浄化用触媒を製造する方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、前記多孔性金属の粉末をペレット状に成型して排ガス浄化用触媒を得る方法や、前記多孔性金属の粉末を含むスラリーを触媒基材にコートして排ガス浄化用触媒を得る方法等を採用してもよい。また、このような触媒基材としては特に制限されず、得られる排ガス浄化用触媒の用途等に応じて適宜選択されるが、DPF基材、モノリス状基材、ペレット状基材、プレート状基材等が好適に採用される。また、このような触媒基材の材質も特に制限されないが、コーディエライト、炭化ケイ素、ムライト等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材が好適に採用される。
次に、本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法について説明する。
本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法は、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag及びAuからなる群から選択される少なくとも1つの金属とAlとを溶解させて、前記金属とAlとを含有する合金(好ましくは金属間化合物)を得る工程(第一工程)と、
前記合金(好ましくは金属間化合物)からAlを溶出させて、中心細孔直径が1〜15nmの細孔を有する多孔性金属を得る工程(第二工程)と、
を含むことを特徴とする方法である。以下、工程ごとに分けて説明する。
先ず、第一工程について説明する。第一工程は、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag及びAuからなる群から選択される少なくとも1つの金属(以下、「金属(A)」という)とAlとを溶解させて、前記金属とAlとを含有する合金(好ましくは金属間化合物)を得る工程である。
このような金属(A)として好適な金属は、前述の本発明の排ガス浄化用触媒に用いられる金属(A)において説明したものと同様である。このような金属(A)を原料金属の1つとして用いることにより、上述の本発明の排ガス浄化用触媒に好適に用いられる金属(A)を含有する多孔性金属を製造することが可能となる。
また、本発明においては、合金(好ましくは金属間化合物)を製造する際の必須の原料金属の1つとして、Alを用いる。このようなAlを用いることにより、得られる合金(好ましくは金属間化合物)に対してリーチング処理を施した際に、十分に微細の中心細孔直径を有する多孔性金属を製造することが可能となる。
また、このような溶解工程においては、目的とする多孔性金属の設計に応じて前記金属(A)およびAl以外に、他の金属を含有させてもよい。このような他の金属としては、最終的に得られる触媒の触媒活性の観点から、Fe、Cu、Co及びNiからなる群から選択される少なくとも1つの金属(以下、「金属(B)」という。)が好ましい。すなわち、本発明においては、前記金属(A)とAlとともに前記金属(B)を溶解させることが好ましい。このような金属(B)として好適な金属の種類は、前述の本発明の排ガス浄化用触媒に用いられる金属(B)において説明したものと同様である。このような金属(B)を、前記金属(A)及びAlとともに原料金属の一つとして用いることにより、上述の本発明の排ガス浄化用触媒に用いられる多孔性金属として好適な前記金属(A)と金属(B)とを含有する多孔性金属を製造することが可能となる。
また、このような原料金属として用いられる金属(金属(A)、金属(B)、Al)の形状としては特に制限されないが、ハンドリングが容易であるという観点から、粉末状であることが好ましい。このような原料金属として用いられる金属の粒子径としては特に制限されない。
さらに、このような原料金属を溶解させる方法としては、これらの金属を溶解させることが可能な方法であればよく特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、アーク溶解炉を用いたアーク溶解法を採用してもよい。また、このような溶解工程においては、前記原料金属の諸金属をそれぞれ別々に溶解させてもよく、前記原料金属の諸金属を同一の炉内において同時に溶解混合させてもよい。なお、前記原料金属の諸金属をそれぞれ別々に溶解させる場合においては、前記原料金属の諸金属を含有する合金(好ましくは金属間化合物)を得るために、諸金属の溶解物を溶解状態のまま混合する必要がある。
さらに、前記原料金属の溶解後においては、前記原料金属の諸金属の溶解混合物を固体化させることにより、前記金属とAlとを含有する合金(好ましくは金属間化合物)を得ることができる。なお、このような固体化のための方法は特に制限されず、公知の方法を適宜利用することができる。また、このようにして得られる合金(好ましくは金属間化合物)は、原料金属として用いられる金属の諸元素が原子レベルで混合した状態となっていることが好ましい。なお、このような合金(好ましくは金属間化合物)の状態はXRD測定により単一の化合物に帰属される回折線を示すか否かを判定することにより確認することができる。
また、前記合金(好ましくは金属間化合物)中に前記金属(B)を含まない場合において、前記合金(好ましくは金属間化合物)中の金属(A)とAlとの比率としては、モル比(金属(A):Al)で2:3〜1:5であることが好ましく、1:2〜1:3であることがより好ましい。このような金属(A)の含有比が前記下限未満では、Alの溶出が困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、安定な合金(好ましくは金属間化合物)の形成が困難となる傾向にある。
また、前記合金(好ましくは金属間化合物)中に前記金属(B)を含む場合において、前記合金中における金属(A)及び金属(B)の総量と、Alとの比率は、用いる金属(A)及び(B)の種類や目的とする多孔性金属の設計等によっても異なるものであり一概には言えないが、モル比(金属(A)及び(B)の総モル量:Alのモル量)で1:5〜2:3であることが好ましく、1:2〜1:3であることが好ましい。また、前記合金(好ましくは金属間化合物)中の金属(A)と金属(B)の比率としては、用いる金属(A)及び(B)の種類や目的とする多孔性金属の設計等によっても異なるものであり一概には言えないが、モル比(金属(A):金属(B))で5:1〜1:5であることが好ましく、4:1〜1:4であることがより好ましい。このようなAlの含有比が前記下限未満では、リーチング時のAlの溶出が困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、安定な合金(好ましくは金属間化合物)の形成が困難となる傾向にある。また、金属(B)の含有比が前記下限未満では、十分な二元化効果を得ることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、二元化効果が失われる傾向にある。
また、このような合金(好ましくは金属間化合物)の形状は特に制限されず、膜状、棒状、粉末状等の種々の形状とすることができる。なお、このような形状に成型する方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、原料金属を溶解後にインゴットを得た後、これを粉砕して粉末状とする方法を採用してもよい。また、より均一な組成とするという観点から、前記固体化後に、合金(好ましくは金属間化合物)に対してアニール処理を施すことが好ましい。このようなアニール処理の条件は特に制限されず、公知のアニール方法で採用する公知の条件を適宜採用することができる。
次に、第二工程について説明する。第二工程は、前記合金(好ましくは金属間化合物)からAlを溶出させて、中心細孔直径が1〜15nmの細孔を有する多孔性金属を得る工程である。
このように前記合金(好ましくは金属間化合物)からAlを溶出させる方法としては、前記合金(好ましくは金属間化合物)からAlを溶出させることが可能な方法であればよく特に制限されないが、酸又は塩基を前記合金(好ましくは金属間化合物)に接触させる方法(酸・塩基リーチング処理)が好ましい。このような酸としては特に制限されないが、Alを十分に溶解し、取扱いが比較的容易であるという観点から、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸及びカルボン酸類が好ましく、硝酸、硫酸、塩酸がより好ましい。また、前記塩基としては特に制限されないが、Alを十分に溶解し、取扱いが比較的容易であるという観点から、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、アルカリ金属の水酸化物がより好ましい。また、このような酸又は塩基を前記合金(好ましくは金属間化合物)に接触させる際には、Alとの反応を迅速且つ容易にするという観点から、前記酸又は塩基は水溶液として接触させることが好ましい。なお、このようにしてAlを溶出させる際には、Alが単に溶出するのではなく、前記合金(好ましくは金属間化合物)中の他の金属(最終的に多孔性金属を形成する金属)も溶出するが、このような他の金属は非常に早い段階で再結晶化し、多孔性金属の一部を形成するものと推察される。
前記合金(好ましくは金属間化合物)からAlを溶出させる工程において、前記合金(好ましくは金属間化合物)から前記合金(好ましくは金属間化合物)中の全Al原子の70at%以上(より好ましくは75at%以上、更に好ましくは80at%以上)のAlを溶出させることが好ましい。このようなAlの溶出量が前記下限未満では十分な多孔性を有する金属が形成されない傾向にある。また、このように前記合金(好ましくは金属間化合物)中の全Alの70at%以上のAlを前記合金(好ましくは金属間化合物)から溶出させる方法としては、合金(好ましくは金属間化合物)の種類や用いる酸・塩基の種類やその濃度等によっても異なるものであるため、一概に言えるものではなく、特に制限されず、Alを前記合金(好ましくは金属間化合物)から70at%以上溶出させることが可能なように酸・塩基の種類やその濃度等や溶出時間等の溶出条件を適宜調整して各種溶出方法を適宜採用することができる。前記溶出方法としてリーチング処理を採用する場合には、例えば、前記合金(好ましくは金属間化合物)中の全Alの量を仕込み量から求め、リーチング処理に用いた溶液中に溶出したAlの量を確認して前記合金(好ましくは金属間化合物)中の全Alの70at%以上となるまでリーチング処理を施す方法を採用してもよく、結合プラズマ発光分光分析装置等を用いて多孔性金属中のAl量を確認し、残存するAlの量がリーチング前の合金(好ましくは金属間化合物)中の全Alの量の30at%以下となるまでリーチング処理する方法を採用してもよい。
また、前述のようにして合金(好ましくは金属間化合物)からAlを溶出させることで、中心細孔直径が1〜15nmの細孔を有する多孔性金属が得られる。このようにして得られる多孔性金属に対しては、合金(好ましくは金属間化合物)からAlを溶出後に洗浄処理や乾燥処理を適宜施してもよい。そして、このようにして得られる多孔性金属を用いることにより排ガス浄化用触媒を得ることができる。なお、このようにして得られる排ガス浄化用触媒は、上述の本発明の排ガス浄化用触媒において説明したものと同様のものである。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
参考例1)
<金属間化合物の合成工程>
先ず、Au(純度:99.95質量%)とAl(純度:99.9質量%)とを各3.92g(Au)、1.08g(Al)秤量して用い、これらをアーク溶解炉装置(株式会社GES製の商品名「GMAC−1100」)の溶解用チャンバー内に導入し、溶解用チャンバー内のAr圧:500Torr、アーク電極電流:120Aの条件で溶解した後、自然放冷して固体化させ、AuとAlとを含有する金属間化合物のインゴットを製造した。次に、前記インゴットを石英反応菅に真空封入(1×10−5Torr)し、前記インゴットに対してアニール処理(800℃、100時間)を行った。次いで、アニール処理後の金属間化合物のインゴットを粉砕し微粉末化させ、最終的に篩を用いて200〜100μmに精粒し、微粉末状の金属間化合物(組成:AlAu)を得た。なお、このようにして得られた金属間化合物をXRDにより測定したところ、金属間化合物はAuとAlとが原子レベルで混合したAlでもAuでもない別の合金状態となっていることが確認された。
<Alの選択的溶出(leaching)工程>
先ず、上述のようにして得られた微粉末状の金属間化合物5gを10%NaOH水溶液250gに投入して攪拌(室温、4時間)し、金属間化合物からAlを溶出させた。次いで、前記水溶液中から前記金属間化合物の残留物を取り出し、水洗、乾燥(50℃、12時間)してAuを含有する多孔性金属を製造し、これをそのまま排ガス浄化用触媒とした。なお、Alの溶出量は、前記金属間化合物中のAlの全量に対して99at%であった。
参考例2)
Alの選択的溶出工程において、10%NaOH水溶液の代わりに10%HNOを用い、撹拌時間を12時間に変更した以外は参考例1と同様にして、多孔性金属からなる排ガス浄化用触媒を得た。なお、Alの溶出量は、前記金属間化合物中のAlの全量に対して70.8at%であった。
参考例3)
Alの選択的溶出工程において、10%NaOH水溶液の代わりに10%HClを用い、撹拌時間を4時間に変更した以外は参考例1と同様にして、多孔性金属からなる排ガス浄化用触媒を得た。なお、Alの溶出量は、前記金属間化合物中のAlの全量に対して100at%であった。
(実施例
金属間化合物の合成工程において、Au(純度:99.95質量%)とAl(純度:99.9質量%)と、Fe(純度:99.9質量%)を各2.63g(Au)、1.66g(Al)、0.74g(Fe)秤量して用いて金属間化合物の組成をAl70Au15Fe15とした以外は参考例1と同様にして、多孔性金属からなる排ガス浄化用触媒を得た。なお、Alの溶出量は、前記金属間化合物中のAlの全量に対して100at%であった。
(実施例
金属間化合物の合成工程において、Au(純度:99.95質量%)とAl(純度:99.9質量%)と、Fe(純度:99.9質量%)を各3.08g(Au)、1.48g(Al)、0.44g(Fe)秤量して用いて金属間化合物の組成をAl70Au20Fe10とした以外は参考例1と同様にして、多孔性金属からなる排ガス浄化用触媒を得た。なお、Alの溶出量は、前記金属間化合物中のAlの全量に対して100at%であった。
参考例4
金属間化合物の合成工程において、Au(純度:99.95質量%)とAl(純度:99.9質量%)と、Co(純度:99.9質量%)を各2.61g(Au)、1.62g(Al)、0.78g(Co)秤量して用いて金属間化合物の組成をAl70Au15Co15とした以外は参考例1と同様にして、多孔性金属からなる排ガス浄化用触媒を得た。なお、Alの溶出量は、前記金属間化合物中のAlの全量に対して100at%であった。
参考例5
金属間化合物の合成工程において、Au(純度:99.95質量%)とAl(純度:99.9質量%)と、Cu(純度:99.9質量%)を各2.67g(Au)、1.48g(Al)、0.88g(Cu)秤量して用いて金属間化合物の組成をAl70Au15Cu15とした以外は参考例1と同様にして、多孔性金属からなる排ガス浄化用触媒を得た。なお、Alの溶出量は、前記金属間化合物中のAlの全量に対して97.7at%であった。
参考例6
金属間化合物の合成工程において、Au(純度:99.95質量%)とAl(純度:99.9質量%)と、Ni(純度:99.9質量%)を各2.81g(Au)、1.36g(Al)、0.86g(Ni)秤量して用いて金属間化合物の組成をAl70Au15Ni15とした以外は参考例1と同様にして、多孔性金属からなる排ガス浄化用触媒を得た。なお、Alの溶出量は、前記金属間化合物中のAlの全量に対して71.8at%であった。
(比較例1)
Alの選択的溶出工程を行わなかった以外は参考例1と同様にして、微粉末状の金属間化合物(組成:AlAu)を製造し、かかる金属間化合物をそのまま比較のための多孔性金属として利用し、これを比較のための排ガス浄化用触媒とした。
(比較例2)
Au(純度:99.95質量%)を5.25g秤量した後、これを単ロール式液体急冷装置(真壁技研社製の商品名「RQM−T−20」)を用いてリボン状に成型し、リボン状形態のAuからなる比較のための多孔性金属を製造し、かかる多孔性金属をそのまま比較のための排ガス浄化用触媒とした。
(比較例3)
所定量のHAuClと所定量のFe(NOとの混合水溶液に、NaCO水溶液を滴下して共沈物を生成し(共沈法)、得られた沈殿物を水洗、乾燥させた後、空気中で焼成(400℃、5時間)して、5質量%のAuとFeとからなる比較のための排ガス浄化用触媒を製造した。
(比較例4)
金属間化合物の合成工程において、Al(純度:99.9質量%)と、Fe(純度:99.9質量%)とを各2.46g(Al)、2.54g(Fe)秤量して用いて金属間化合物の組成をAlFeとした以外は参考例1と同様にして比較のための多孔性金属を製造し、かかる多孔性金属をそのまま比較のための排ガス浄化用触媒として利用した。なお、Alの溶出量は、前記金属間化合物中のAlの全量に対して77.9at%であった。
[実施例1〜2、参考例1〜6及び比較例1〜4で得られた触媒の特性評価]
〈中心細孔直径の測定〉
実施例1〜2、参考例1〜6及び比較例1〜4で得られた各多孔性金属の中心細孔直径を測定した。このような測定に際しては、先ず、各多孔性金属に対して、日本ベル株式会社製ガス吸着法細孔分布測定機(BELSORP−mini)を用い、液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入することにより吸着等温線を測定した。次に、前記吸着等温線を用いてBJH法により、各多孔性金属の細孔分布曲線をそれぞれ求めた。そして、得られた細孔分布曲線から各多孔性金属の中心細孔直径をそれぞれ求めた。結果を表1に示す。
〈比表面積の測定〉
実施例1〜2、参考例1〜6及び比較例1〜4で得られた各多孔性金属の比表面積を測定した。このような比表面積の測定には、日本ベル株式会社製ガス吸着法細孔分布測定機(BELSORP−mini)を用いた。また、比表面積はN吸着(BET1点法)により測定した。結果を表1に示す。
〈走査型電子顕微鏡(SEM)による測定〉
参考例1〜3及び比較例1で得られた各多孔性金属を、走査型電子顕微鏡(SEM)により観測した。各多孔性金属の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、それぞれ図1(参考例1)、図2(参考例2)、図3(参考例3)、図4(比較例1)にそれぞれ示す。
〈触媒活性の評価試験〉
実施例1〜2、参考例1〜6及び比較例1〜4で得られた各排ガス浄化用触媒を用いて、COの酸化活性を評価する試験を行った。このような試験においては、先ず、各排ガス浄化用触媒50mgをそれぞれ石英製反応管(内径:4mm)に充填させたサンプルをそれぞれ製造した後、前記サンプルを常圧固定床流通式反応装置内に設置した。次いで、CO(4容量%)とO(2容量%)とHe(残部)とからなる入りガスを各排ガス浄化用触媒に接触させて、触媒に接触した後の出ガス中に含まれる成分の測定を行った。なお、前記入りガスの流通条件は、50ml/min、SV=120,000h−1とした。また、前記出ガス中の成分は、オンラインガスクロマトグラフィー[検出器:TCD(Shimadzu製の商品名「GC−8A」)、カラム:MS 5A(CO、O)並びにPorapak Q(CO)]により分析した。そして、CO酸化反応(CO+1/2O=CO)によるCO転化率を、下記式(1):
[CO転化率(%)]={([入りガス中のCO濃度]−[出ガス中のCO濃度])/[入りガスCO濃度]}×100 (1)
を計算することにより求めた。なお、かかる試験は触媒ごとに複数回行い、試験中の温度条件を各回ごとに60℃、80℃、100℃、150℃、200℃、250℃、300℃、350℃の各温度のうちのいずれかの温度に設定した。このようにして測定された各温度における各触媒のCO転化率を図5〜図7示す。
表1及び参考例1で得られた多孔性金属のSEM写真(図1)と比較例1で得られた多孔性金属のSEM写真(図4)から、金属間化合物にリーチング処理を施すことにより、十分に微細な細孔が形成されることが分かった。また、表1に示す結果からも明らかなように、2元系の金属間化合物を用いた場合(参考例1〜3)と3元系の金属間化合物を用いた場合(実施例1〜2及び参考例4〜6)の双方において、多孔性金属の細孔の中心細孔直径が1〜15nmの範囲内となっており、細孔がメソ領域に存在することが確認された。すなわち、表1及び図1〜4に示す結果から、実施例1〜2及び参考例1〜6で得られた多孔性金属においては、金属間化合物を酸又は塩基の水溶液でリーチング処理することにより、細孔の中心細孔直径が1〜15nmの範囲内となっていることが確認され、細孔がメソ領域に存在することが確認された。また、このような結果から、Alと特定の金属とを含有する金属間化合物からAlを溶出させる(いわゆるリーチング処理を施す)ことで、微細な細孔を形成させること(多孔質化)ができ、得られる多孔性金属の細孔の中心細孔直径を15nm以下の領域に制御できることが分かった。
一方、表1に示す結果からも明らかなように、比較例1〜4で得られた比較のための多孔性金属においては、測定された中心細孔直径がいずれもμmオーダーとなっており、nmオーダーの微細な細孔が形成されていないことが分かった。なお、一般的に含浸、あるいは共沈法で作成された金属担持酸化物触媒上の金属は微粒子ではあるが細孔構造は有さないことが知られていることから、比較例2で得られた多孔性金属においては、測定された中心細孔径はAuに由来するものではなく、酸化鉄に由来するものである。すなわち、比較例2で得られた多孔性金属の中心細孔径は、その多孔性金属中の酸化鉄の中心細孔径に相当するものである。
また、図5に示す結果からも明らかなように、参考例1〜3及び比較例1〜2で得られた排ガス浄化用触媒(Fe、Cu、Co及びNiを含有していない系)の触媒活性を比較すると、参考例1〜3で得られた多孔性金属は、比較例1〜2で得られた多孔性金属よりも、CO転化率が高いことが確認された。さらに、図6に示す結果からも明らかなように、実施例1〜2及び比較例3〜4で得られた排ガス浄化用触媒(Feを含有する系)の触媒活性を比較すると、実施例1〜2で得られた多孔性金属は、比較例3〜4で得られた多孔性金属よりも、CO転化率が高く、特に低温から十分な触媒活性を有することが確認された。また、AuとFeを含有する系においては、中心細孔直径が1〜15nmの細孔を有し且つAuとFeとを含有してなる多孔性金属を備える触媒(実施例1〜2)の方が、Fe担体上にAuを担持した触媒(比較例3)よりも触媒活性が高く、特に低温になる程、その差が顕著となっていることが分かる。このような結果から、リーチング処理を施して多孔質化することにより十分に高い触媒活性を有する多孔性金属を製造できることが確認された。
また、図5〜7に示す結果からも明らかなように、実施例1〜2、参考例1〜6及び比較例2で得られた排ガス浄化用触媒(Auが多孔性の金属を形成している系)について比較すると、実施例1〜2及び参考例1〜6で得られた排ガス浄化用触媒は、比較例2で得られた排ガス浄化用触媒よりも十分に高い触媒活性を示すことが確認された。このような結果から、多孔性金属の中心細孔直径を1〜15nmの範囲とすることで、十分に高度な触媒活性が得られるようになることが分かる。
さらに、図7に示す結果からも明らかなように、製造時に金属間化合物にAu及びAl以外の金属(Fe、Co、Cu、Ni)を含有させることで、得られる多孔性金属にAu以外の金属を含有させることは、触媒活性の観点で有効であることが確認された。更に、実施例及び参考例4〜6で得られた排ガス浄化用触媒を比較すると、触媒活性の観点から、元素の有効性はFe>Cu>Co>Niの順となることが分かった。
以上説明したように、本発明によれば、COの酸化性能に優れ、十分に高度な触媒活性を有する排ガス浄化用触媒及びその触媒の製造方法を提供することが可能となる。このような本発明の排ガス浄化用触媒は、特に低温での酸化活性に優れるため、排ガスを浄化する際の酸化触媒等の用途に特に有用である。
参考例1で製造された多孔性金属の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 参考例2で製造された多孔性金属の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 参考例3で製造された多孔性金属の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例1で製造された金属間化合物の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 参考例1〜3及び比較例1で得られた排ガス浄化用触媒のCO転化率と温度との関係を示すグラフである。 実施例1〜2及び比較例3〜4で得られた排ガス浄化用触媒のCO転化率と温度との関係を示すグラフである。 参考例1、実施例1及び参考例4〜6で得られた排ガス浄化用触媒のCO転化率と温度との関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 中心細孔直径が1〜15nmの細孔を有する多孔性金属を備えており、且つ、
    前記多孔性金属がAuとFeとを含有することを特徴とする排ガス浄化用触媒。
  2. 前記多孔性金属の比表面積が1〜30m/gであることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. AuとAlとFeとを溶解させて、前記AuとAlとFeとを含有する合金を得る工程と、
    前記合金からAlを溶出させて、中心細孔直径が1〜15nmの細孔を有する多孔性金属を得る工程と、
    を含むことを特徴とする排ガス浄化用触媒の製造方法。
  4. 前記合金からAlを溶出させる工程において、前記合金中の全Alの70at%以上のAlを前記合金から溶出させることを特徴とする請求項3に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
  5. 前記合金が金属間化合物であることを特徴とする請求項3又は4に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
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