JP5165933B2 - 標的核酸中の特定部分配列の検出方法及びアレイ - Google Patents

標的核酸中の特定部分配列の検出方法及びアレイ Download PDF

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本発明は、一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphisms)や遺伝子上の変異などの特定塩基配列を有する標的核酸の検出及び定量技術に関する。
ヒトなどにおけるSNPや遺伝子変異は体質や遺伝病のみならず、特定疾患についての罹患率、疾患診断、治療予後、薬剤や治療の選択等にも関連していることがわかっている。SNPや遺伝子変異は、通常、複数個が関連しているとともに、個別化医療の促進のためには、できるだけ多くのSNPや変異を網羅的に検出又は定量することが求められている。
そこで、SNP等を効率的に検出又は定量する方法として、DNAコンピュータ技術を利用した方法が提案されている(非特許文献1)。この方法では、図5に示すように、標識用タグ配列とSNPの特定塩基を含む部分配列に相補的なクエリ配列とを有する2種類の5’クエリプローブと、前記部分配列に隣接する共通部分配列とキャプチャーに相補的な識別用タグ配列とを有する一つの3’クエリプローブと、を用いる。2種類の5’クエリプローブの各標識用タグ配列1、2は、それぞれのクエリ配列を区別可能に、例えば、Cy3とCy5等の異なる標識物質で標識可能に形成されている。
この方法は、これらのプローブと標的核酸とのハイブリダイゼーション反応及びライゲーション反応によって、5’クエリプローブと3’クエリプローブとを連結させる(エンコード)。次いで、得られた連結分子の標識用タグ配列を利用してPCRでラベリングする。こうした連結及びラベリングにより、SNPの特定塩基に関連付けた標識物質を備え、かつ一種類の識別用タグ配列を備える連結分子を得る。さらに、ラベリングした連結分子を識別用タグ配列に相補的なキャプチャープローブが固定化されたアレイで検出するというものである。
この方法では、2種類の異なる標識物質を有する連結分子が識別用タグ配列を介して一つのキャプチャープローブにハイブリダイズしたときの、それぞれの標識物質に基づくシグナル強度のプロットに基づいてSNPのタイプ(2種類のホモと1種類のヘテロ)を検出する。
Analytical Biochemistry 364(2007)78-85
上記非特許文献1に記載の方法は、標的核酸中の特定部分配列に応じたキャプチャープローブを固定化した固相担体を準備することなく、特定塩基を含む部分配列とは無関係に設定した塩基配列を有するキャプチャープローブを固定化したユニバーサルな固相担体を利用できるという利点がある。また、SNPを構成する2種類の塩基置換を2種類の標識物質を用いて一つのキャプチャープローブで検出するため、網羅的に多数のSNPを検出できるという利点もある。
しかしながら、SNPのタイプ判別をシグナル強度のプロットによる以上、連結分子が十分量ない場合や繰り返し数が少ない場合などには、SNPのタイプ判別の精度が十分でないことも考えられる。また、標的核酸中の特定部分配列の検出を異なる標識物質(2種類)を利用して行う以上、標識物質間の退色性などの特性の差が現われた場合には、SNPのタイプ判別において十分な精度を確保できないおそれがある。さらに、こうした事情から、SNPよりもバリエーションに富む遺伝子変異を検出しその変異率などを定量するのは困難な場合があると考えられる。
そこで、本発明は、精度良く標的核酸中の多型や変異などの特定部分配列を検出又は定量する方法及びそのためのアレイを提供することを一つの目的とする。また、本発明は、容易に標的核酸中の変異やその変異率を検出又は定量する方法及びそのためのアレイを提供することを他の一つの目的とする。
本発明者らは、標的核酸中の特定部分配列を検出するのにあたり、クエリプローブの連結分子を、標的核酸中の検出しようとする多型や変異の種類に応じて複数種類の標識物質を対応させるのではなく、多型等の種類に応じて複数種類の識別用タグ配列を対応させて形成し、これらの識別用タグ配列に基づいて異なるキャプチャープローブに連結分子をハイブリダイズさせることで、ユニバーサルな固相担体を用いつつ、標識物質の特性差等に基づく誤差等を抑制して精度よく多型等を検出できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明によれば以下の手段が提供される。
本発明によれば、試料中の1種又は2種以上の標的核酸中の多型又は変異を検出する方法であって、少なくとも一種の前記標的核酸中の検出しようとする前記多型又は前記変異を構成する少なくとも1個の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列と前記特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列とを備える2種類以上の第1のクエリプローブからなる第1のクエリプローブセットと、前記標的核酸の前記特定部分配列に隣接する部分配列に相補的なクエリ配列と標識を付加するための標識用タグ配列とを備える第2のクエリプローブと、標的核酸と、をハイブリダイズ可能に接触させる第1の接触工程と、前記一つの標的核酸にハイブリダイズした前記第1のクエリプローブと前記第2のクエリプローブとを連結してこれらの連結分子を取得する連結工程と、前記連結分子が備える前記標識用タグ配列を用いて前記連結分子を単一の標識物質で標識して標識済み連結分子を取得する標識工程と、前記識別用タグ配列に相補的又は相同的なキャプチャー配列を有し前記特定部分配列に関連付けられた2種類以上のキャプチャープローブを固定化した固相担体上でこれらのキャプチャープローブと前記標識済み連結分子とをハイブリダイズ可能に接触させる第2の接触工程と、ハイブリダイズ後の前記固相担体上の前記標識物質に基づく前記一つの標的核酸についての2種類以上のシグナル強度情報を取得するシグナル強度情報取得工程と、前記2種類以上のシグナル強度情報に基づいて前記一つの標的核酸中の前記多型又は前記変異を検出する検出工程と、を備える方法が提供される。
この方法において、前記検出工程は、前記第1のクエリプローブセット中の各第1のクエリプローブの各識別用タグ配列を介して各前記特定部分配列に関連付けられたキャプチャープローブに対応して得られるシグナル強度の比に基づいて、検出しようとする前記多型又は前記変異の有無を検出する工程としてもよい。
また、この方法において、前記検出工程は、前記第1のクエリプローブセット中の一つの第1のクエリプローブの識別用タグ配列を介して前記特定部分配列に関連付けられたキャプチャープローブに対応して得られるシグナル強度に対する前記第1のクエリプローブセット中の全ての第1のクエリプローブの識別用タグ配列を介して前記特定部分配列に関連付けられた全てのキャプチャープローブに対応して得られるシグナル強度の和の割合に基づいて、検出しようとする前記多型のタイプ判別又は前記変異の比率を求める工程としてもよい。
また、予め準備した、検出しようとする前記多型のタイプを備える1種又は2種以上の参照用オリゴヌクレオチドにつき、前記第1の接触工程、前記連結工程、前記標識工程、前記第2の接触工程及び前記シグナル強度情報取得工程を実施して、前記参照用オリゴヌクレオチドについて取得した参照用シグナル強度情報を利用して前記検出工程を実施することもできる。
さらに、予め準備した、検出しようとする前記変異について所定の比率を備える1種又は2種以上の参照用オリゴヌクレオチドにつき、前記第1の接触工程、前記連結工程、前記標識工程、前記第2の接触工程及び前記シグナル強度情報取得工程を実施して、前記参照用オリゴヌクレオチドについて取得した参照用シグナル強度情報を利用して前記検出工程を実施することもできる。
さらに、2種類以上の前記参照用オリヌクレオチドについて取得した参照用シグナル強度情報に基づく検量線を利用して前記評価工程を実施してもよい。
前記第2の接触工程は、前記標識済み連結分子とともに、前記第1のクエリプローブセット中の各前記第1のクエリプローブの各前記識別用タグ配列と前記単一の標識物質とは異なる他の標識物質とを備え、相互に同一濃度で準備した補正用オリゴヌクレオチドとを、前記固相担体上で前記キャプチャープローブとハイブリダイズ可能に接触させる工程であり、前記シグナル強度情報取得工程は、前記一つの標的核酸についてのシグナル強度情報を取得するとともに、前記補正用オリゴヌクレオチドについての前記他の標識物質に基づく補正用シグナル強度情報を取得する工程であり、前記検出工程は、前記補正用シグナル強度情報を利用することを含む工程としてもよい。
さらに、前記検出しようとする多型又は変異は一塩基多型であって、前記第1のクエリプローブセットは、一塩基多型の一方の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列と前記特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列とを有する一方の第1のクエリプローブと、一塩基多型の他方の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列と前記特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列を有する他方の第1のクエリプローブと、を含むこともできるし、前記検出しようとする多型又は変異は変異であって、前記第1のクエリプローブセットは、前記変異に関し正常な1又は2以上の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列と前記特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列とを有する第1のクエリプローブと、前記変異に関し異常な1又は2以上の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列と前記特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列を有する第1のクエリプローブとの少なくとも2種類の第1のクエリプローブと、を含むこともできる。
前記固相担体は、前記少なくとも一種の前記標的核酸についての前記2種類以上のキャプチャープローブが互いに隣接する配置状態を備えるアレイとすることもできるし、前記固相担体は、前記少なくとも一種の前記標的核酸についての前記2種類以上のキャプチャープローブを互いに隣接する配置状態を備え、かつこれらの隣接するキャプチャープローブ間の融解温度の最大温度差(絶対値)が5℃以下、好ましくは0.2℃以下となるように配置されているアレイであってもよい。
本発明によれば、上記いずれかに記載の検出方法に用いられるキャプチャープローブが固定化された固相担体であって、前記少なくとも一種の標的核酸についての前記2種類以上のキャプチャープローブがその融解温度に基づく順序で配列されている、固相担体が提供される。
本発明によれば、試料中の1種又は2種以上の標的核酸中の多型又は変異を検出するためのキャプチャープローブが固定化された固相担体であって、前記キャプチャープローブは、2個以上であり、前記標的核酸の検出しようとする前記多型又は前記変異の塩基配列とは無関係に設定された同一塩基長のキャプチャー配列を有し、融解温度が40℃以上80℃以下、好ましくは50℃以上70℃以下であって、その融解温度に基づく順序で配列されている、固相担体が提供される。この固相担体において、前記複数のキャプチャープローブは、正規直交化配列、例えば、それぞれ配列番号:1〜配列番号:100から選択されるキャプチャー塩基配列を有することが好ましい。
本発明によれば、試料中の標的核酸を検出するためのプローブセットであって、標的核酸中の検出しようとする多型又は変異を構成する少なくとも1個の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列と前記特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列とを備える2種類以上の第1のクエリプローブからなる第1のクエリプローブセットと、前記標的核酸の前記特定部分配列に隣接する部分配列に相補的なクエリ配列と標識を付加するための標識用タグ配列とを備える第2のクエリプローブと、を備える、プローブセットが提供される。
本発明は、標的核酸の検出方法及び標的核酸を検出するためのアレイに関する。本発明の標的核酸の検出方法によれば、上記のとおりの第1のクエリプローブセット中の第1のクエリプローブと第2のクエリプローブとを標的核酸にハイブリダイズさせて連結することで標的核酸中の特定部分配列の種類に応じた識別用タグ配列を有する連結分子を得て、この連結分子を標識して、前記識別用タグ配列に相補的なキャプチャープローブが固定化された固相担体上でハイブリダイズさせることで異なるキャプチャープローブへの異なる連結分子のハイブリダイズ量を検出することで、異なる標識物質のシグナル強度比による識別によらないで特定部分配列の有無やその量を検出することができる。このため、複数の標識物質を利用することに基づく不確実性を排除してそれによる検出精度低下を回避できる。したがって、精度よく多型や変異等を検出できるとともに、変異等の比率を容易にしかも精度よく検出できる。
また、この方法によれば、標的核酸中に存在する可能性のある特定部分配列毎に一つの第1のクエリプローブを用いることで、第1の接触工程、連結工程及び標識工程により、存在している特定部分配列及びその存在比に応じて標識済み連結分子を得ることができる。得られた連結分子は識別用タグ配列を介して1:1でキャプチャープローブと関連付けられているため、第2の接触工程、シグナル強度情報取得工程及び検出工程により、特定部分配列の存在及びその存在比を特定部分配列毎に関連付けられたキャプチャープローブにおけるシグナル強度情報に基づいて精度よく検出できる。
また、前記識別用タグ配列及びキャプチャー配列は、特定部分配列と無関係に設定することができるため、これらの配列はいずれもどのような標的核酸についても適用することができる。したがって、多型等の検出の利便性や適切コストを確保することができる。また、多数の標的核酸の多型又は変異を同時に検出するのに適している。
また、本発明の固相担体によれば、上記のとおり、2個以上の前記キャプチャープローブが標的核酸中の検出しようとする塩基配列とは無関係に設定された同一塩基長のキャプチャー塩基配列を有し、融解温度が40℃以上80℃以下、好ましくは50℃以上70℃以下であって、その融解温度に基づく順序で配列されているため、このキャプチャープローブによって試料中の標的核酸を隣り合う2種類以上のキャプチャープローブによって検出しようとする場合、キャプチャープローブの融解温度によるハイブリダイゼーション時のハイブリダイズ量の誤差を抑制でき、ハイブリダイズ量に基づいて精度よく標的核酸を検出することができる。
また、こうしたキャプチャープローブを、標的核酸中の特定部分配列に関連付けた識別用タグ配列を介して標的核酸を検出するのに用いることで、検出しようとする標的核酸によらないで標的核酸を検出できるユニバーサルな固相担体として利用できる。さらに、こうした固相担体によれば、多数の標的核酸の多型又は変異を同時検出するのに適している。
以下、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の検出方法の原理を模式的に表す図である。
なお、本明細書において「核酸」とは、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、mRNA、全RNA、hnRNAおよび合成RNAを含む全てのDNAおよびRNA、並びにペプチド核酸、モルホリノ核酸、メチルフォスフォネート核酸およびS-オリゴ核酸などの人工合成核酸を含む。また、1本鎖であっても2本鎖であってもよい。また、本明細書において「標的核酸」とは、任意の配列を有する任意の核酸である。典型的には、体質、遺伝病、癌などの特定疾患についての発症、疾患診断、治療予後、薬剤や治療の選択などのヒトや非ヒト動物における遺伝子上の指標となる塩基配列を有する可能性のある核酸が挙げられる。指標としては、SNPなどの多型や先天的又は後天的変異が挙げられる。また、病原菌やウイルスなどの微生物由来の核酸なども標的核酸に含まれる。
標的核酸は、後述する試料又はその核酸画分をそのまま用いることもできるが、好ましくは、PCRによる増幅反応、より好ましくはマルチプレックスPCRによる増幅反応により、検出対象とする複数の標的核酸の全てが増幅された増幅産物を用いることが好ましい。
本明細書において「試料」とは、標的核酸を含む可能性のある試料をいう。試料としては、細胞、組織、血液、尿、唾液等が含まれ、核酸を含む任意の試料を用いることができる。こうした各種の試料からの核酸を含む画分は当業者であれば適宜従来技術を参照して取得することができる。
本明細書において「多型」とは、一塩基多型及びそれ以外の多型を含む広い意味で使用されるが、典型的には一塩基多型が挙げられる。本明細書において「変異」とは、遺伝子上の1又は2以上の塩基の置換、欠失、挿入及び付加のいずれか1種以上を含む変化をいう。本明細書において「特定部分配列」とは、多型や変異を構成する少なくとも1個の塩基を含む配列をいう。したがって、例えばAがGに置換された一塩基多型にあっては、特定部分配列は2種類存在することになる。
[標的核酸中の多型又は変異を検出する方法]
本発明の検出方法は、第1のクエリプローブセットと、第2のクエリプローブと、標的核酸とを接触させる第1の接触工程と、第1のクエリプローブと第2のクエリプローブとの連結工程と、標識工程と、標識済み連結分子とキャプチャープローブとを接触させる第2の接触工程と、シグナル強度情報取得工程と、検出工程と、を備えている。本発明の検出方法は、1種又2種以上の標的核酸を適用対象とし、これらの標的核酸中の多型又は変異に関する特定部分配列を検出対象とする。以下、一種の標的核酸についての一連の工程を説明するが、以下の工程は、複数又は多数の標的核酸を同時に検出する場合にも適用される。
図1には、本発明の検出方法の概要を示し、図2には、本発明に用いるプローブセットの一例の概要を示し、図3には、識別用タグ配列及びキャプチャープローブの融解温度についての説明図を示す。なお、図1及び図2は、SNPの1塩基置換を検出するための検出方法及びプローブセットについての一例である。
〈第1の接触工程〉
第1の接触工程は、第1のクエリプローブセットと第2のクエリプローブと標的核酸とをハイブリダイズ可能に接触させる工程である。まず、本工程で用いる第1のクエリプローブセットと第2のクエリプローブについて説明する。第1のクエリプローブセットを構成する第1のクエリプローブは、図1及び図2に示すように、標的核酸の検出しようとする少なくとも1個の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列と、前記特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列とを備えている。
(第1のクエリプローブセット)
第1のクエリプローブセットは、複数の第1のクエリプローブから構成される。第1のクエリプローブは、クエリ配列をその3’側に有することができ、識別用タグ配列をその5’側に有することができる。なお、第1のクエリプローブにおけるクエリ配列及び識別用タグ配列の配置は、第2のクエリプローブとの関係で適宜選択することが可能である。
第1のクエリプローブは、検出しようとする特定部分配列の種類の数に応じて準備される。第1のクエリプローブは、存在する可能性のある特定部分配列の種類に応じ、特定部分配列毎に一つの特有のクエリ配列を備えるよう設定される。すなわち、第1のクエリプローブは、存在する可能性のある特定部分配列毎にそれぞれ1種類準備される。例えば、上述のようにAがGに置換される一塩基多型の場合には2種類の特定部分配列が存在し、2種類のクエリ配列をそれぞれ備える2種類の第1のクエリプローブが準備される。また、変異の場合には、2種類又は3種類以上の特定部分配列が存在し、2種類又は3種類以上のクエリ配列をそれぞれ備える2種類又は3種類以上の第1のクエリプローブが準備される。
第1のクエリプローブは、こうしたクエリ配列をそれぞれ有することができる。クエリ配列は、検出しようとする特定部分配列と高い選択性でハイブリダイズ可能な程度に相補的に設定される。好ましくは完全に相補的に設定される。特定部分配列は、プローブの端末を構成するように配置されることが好ましく、例えば、図1及び図2に示す例においては、特定部分配列は、そのまま3’末端を形成するように配置されていることが好ましい。
クエリ配列は、例えば、連続一致長、Nearest-Neighbor法による融解温度予測、ハミング距離、二次構造予測の計算を行うことにより設計される。また、クエリ配列の長さは特に限定されないが、たとえば30塩基長以上であることが好ましい。
第1のクエリプローブは、それぞれ特有の一つの識別用タグ配列を有している。識別用タグ配列は、標的核酸中に存在する可能性のある特定部分配列に対応して設定することができる。第1のクエリプローブは、こうした識別用タグ配列と特有のクエリ配列とをそれぞれ備えることで、標的核酸中の特定部分配列を識別用タグ配列で置き換えすることができる。すなわち、予め設定した識別用タグ配列にエンコード若しくはコード変換することができる。
識別用タグ配列は、標的核酸の塩基配列、すなわち、特定部分配列と無関係に設定することができる。特定部分配列と無関係に設定することで識別用タグ配列は、検出に都合のよい配列とすることができるほか、所定の識別用タグ配列に対応したキャプチャープローブを用いることでどのような特定部分配列であってもキャプチャープローブと識別用タグ配列との組み合わせによって検出することができる。
識別用タグ配列と後述する固相担体に固定化されるキャプチャープローブのキャプチャー配列とは相同的又は相補的であり、好ましくは完全に相同な配列又は完全に相補的な配列である。キャプチャー配列に対して相同的とするか相補的とするかは、標識工程におけるプライマーの設計等に応じて適宜決定されればよく、標識工程後にキャプチャー配列に対して選択的にハイブリダイズ可能な相補性を有していればよい。なお、以下の説明において、キャプチャープローブのキャプチャー配列を基準としてこれと相同的な配列を有する識別用タグ配列を(+)を付加して記載し、これと相補的な配列を有する識別用タグ配列を(−)を付加して記載するものとする。識別用タグ配列(+)及びキャプチャー配列としては、例えば、配列番号:1〜配列番号:100に記載の塩基配列又はこの塩基配列に相補的な塩基配列を用いることができる。これらの塩基配列は全て同一塩基長であり、融解温度(Tm)が40℃以上80℃以下、好ましくは50℃以上70℃以下であって、同一条件でのハイブリダイゼーションにおいて均質なハイブリダイゼーション結果が得られることが期待される。
第1のクエリプローブセットを構成する複数の第1のクエリプローブの識別用タグ配列(+)及びキャプチャー配列の融解温度は、できるだけ近いことが好ましい。より好ましくは、同時に網羅的に複数の標的核酸の複数の特定部分配列を検出しようとする場合には、一つの標的核酸に対して使用する複数の第1のクエリプローブの複数の識別用タグ配列(+)とキャプチャー配列との融解温度は互いに最も近似するように組み合わされていることが好ましい。例えば、図3に示すように、識別用タグ配列(+)及びキャプチャー配列を融解温度の順に配列したとき、一つの標的核酸に対する2種類以上の第1のクエリプローブにおける識別用タグ配列(+)及びキャプチャー配列は、当該順列において隣り合う2種類以上の塩基配列から選択することができる。また、他の標的核酸に対応する第1のクエリプローブセットの識別用タグ配列(+)及びキャプチャー配列は、図3に示すように、既に選択した塩基配列にすぐ隣の一連の塩基配列から選択してもよいし、離れた一連の塩基配列から選択してもよい。同時に検出しようとする標的核酸に対応する全ての第1のクエリプローブセットで使用される識別用タグ配列(+)及びキャプチャー配列の融解温度が前記融解温度の順列において一連の塩基配列を用いることが好ましい。なお、融解温度は、GC%法、Wallace法、Current
Protocols in Molecular Biologyに準拠した方法(秀潤社刊バイオ実験イラストレイテッド3本当に増えるPCRp25に記載)等により算出したものを採用できるが、本発明における融解温度の範囲および塩基配列濃度の影響を加味できるNearest−Neighbor法によって算出されることが好ましい。Nearest−Neighbor法による融解温度は、例えば、Visual OMP(トミーデジタルバイオロジー株式会社製)とのソフトウエアや日本遺伝子研究所(http://www.ngrl.co.jp/)が提供するソフトウエア(Oligo
Calculator;http://www.ngrl.co.jp/tool/ngrl_tool.html)により容易に取得できる。なお、配列番号:1〜配列番号:100は、Visual
OMPによって算出される融解温度(0.1Mプローブ濃度、50mM Na+イオン及び1.5mM
Mg+イオン)の高い順に配列されている。
このような識別用タグ配列(+)及びキャプチャー配列は、正規直交化配列ともいい、たとえば乱数から得られた所定塩基長のDNA配列に対して連続一致長、Nearest−Neighbor法による融解温度予測、ハミング距離、二次構造予測の計算を行うことにより設計される。正規直交化配列は、核酸の塩基配列であって、その融解温度が均一であるもの、即ち融解温度が一定範囲内に揃うように設計された配列であって、核酸自身が分子内(intramolecular)で構造化して、相補的な配列とのハイブリッド形成を阻害することのない配列であり、尚且つこれに相補的な塩基配列以外とは安定したハイブリッドを形成しない塩基配列を意味する。1つの正規直交化配列群に含まれる配列は、所望の組み合わせ以外の配列間および自己配列内において反応が生じ難いか、または反応が生じない。また、正規直交化配列は、PCRにおいて増幅させると、たとえば上述のクロスハイブリダイゼーションのような問題に影響されずに、当該正規直交化配列を有する核酸の初期量に応じた量の核酸が定量的に増幅される性質を有している。上記のような正規直交化配列は、H.Yshida
and A.Suyama,“Solution to 3−SAT by breadth first search”,DIMACS Vol.54 9−20(2000)および特願2003−108126に詳細が記載されている。これらの文献に記載の方法を使用して正規直交化配列を設計することができる。
第1のクエリプローブセットを、標的核酸中に存在可能性のある特定部分配列にそれぞれ対応した第1のクエリプローブのセットとすることによって、異なる標識の信号(シグナル強度)の有無によらないで、特定部分配列を検出することができる。すなわち、従来法では、キャプチャープローブを一つのセルとして用いて当該セル内における2種類の標識物質に基づく信号(シグナル強度)の有無又は程度により標的核酸中のSNPを検出していたが、本方法によれば、存在可能性のある特定部分配列に対応した数の識別用タグ配列及びキャプチャープローブを用いることでデジタル的にしか検出できなかった特定部分配列をその数に応じて個別に検出することができしかもその比率も定量することができる。また、使用可能な標識物質の種類にも拘束されないで特定部分配列を検出することできる。さらに、こうした第1のクエリプローブセットを用いることで、第2のクエリプローブとの組み合わせにより、特定塩基配列を備える標的核酸を選択的に抽出することができるため、網羅的に複数の、好ましくは多数の標的核酸を検出するのに寄与している。
検出しようとする多型又は変異は一塩基多型であるとき、例えば、第1のクエリプローブセットを以下の第1のクエリプローブから構成することができる。すなわち、一塩基多型の一方の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列とこの特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列とを有する第1のクエリプローブと、一塩基多型の他方の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列とこの特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列を有するもう一つの第1のクエリプローブとを用いることができる。こうした第1のクエリプローブセットを用いることで、一塩基多型を、精度よく検出することができる。
また、検出しようとする多型又は変異が遺伝子上の変異であるとき、例えば、第1のクエリプローブセットを以下の第1のクエリプローブから構成することができる。すなわち、変異に関し正常な1又は2以上の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列と前記特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列とを有する第1のクエリプローブと、変異に関し異常な1又は2以上の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列とこの特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列を有する第1のクエリプローブとの少なくとももう一つの第1のクエリプローブとを用いることができる。こうした第1のクエリプローブセットを用いることで、遺伝子上の変異をそのバリエーションに応じて検出することができるとともに、各種変異の存在比率も精度よく検出することができる。
(第2のクエリプローブ)
第2のクエリプローブは、標的核酸の特定部分配列に隣接する共通の部分配列に相補的なクエリ配列と標識物質を付加するための標識用タグ配列とを備えることができる。図1及び図2に示すように、第2のクエリプローブは、クエリ配列をその5’側に有することができ、標識物質を付加するための標識用タグ配列をその3’側に有することができる。なお、第1のクエリプローブと同様、第2のクエリプローブにおけるクエリ配列及び識別用タグ配列の配置は、適宜選択可能である。
第2のクエリプローブが有するクエリ配列は、第1のクエリプローブが有するクエリ配列に対応する特定部分配列に隣接する部分配列と高い選択性でハイブリダイズ可能な程度に相補的な配列とすることができる。好ましくは完全に相補的とすることができる。第2のクエリプローブのクエリ配列は、後述する連結工程において、第1のクエリ配列とリガーゼ反応により連結される。このため、クエリ配列の5’末端側等の連結側末端はリガーゼ反応可能にリン酸エスエル化されていることが好ましい。なお、第2のクエリプローブが有するクエリ配列は、標的核酸に存在する可能性のある多型や変異などの特定塩基部分に対応するものではなく、標的核酸中において保存されている共通の塩基配列に相補的な配列である。第2のクエリプローブにおけるクエリ配列は、第1のクエリプローブにおけるクエリ配列と同様にして設計することができる。
第2のクエリプローブは、標識物質を付加するための標識用タグ配列を備えることができる。それぞれ特有の一つの識別用タグ配列を有している。標識物質は、少なくとも1種類の標的核酸について1種類(共通)とすることが好ましい。標識物質を共通化させることで、標識物質の特性に基づく誤差を排除できるほか、異なる標識物質に基づく信号(シグナル強度)の有無や比に基づいて標的核酸を検出しなくてもすむ。なお、標識物質は、2種以上の標的核酸に対して1種類(共通)とすることもできるし、異なる標的核酸に適宜異なる標識物質を用いることもできる。
標識用タグ配列は、特に限定しないで標識物質の付加に都合のよい配列を適宜設定し又は公知の配列から選択して用いればよい。
第2のクエリプローブは、特定部分配列に隣接する部分配列に相補的なクエリ配列と標識用タグ配列とを有することで、第1の接触工程及び後述する連結工程によって標的核酸中の特定部分配列を選択的に抽出し、かつ標識可能にすることができる。また、こうした第2のクエリプローブは、網羅的に複数の、好ましくは多数の標的核酸を検出するのに寄与している。
第1の接触工程では、これらのクエリプローブと標的核酸とをハイブリダイズ可能に接触させる。ハイブリダイゼーション条件は、標的核酸やその特定部分配列、さらにはこれらの長さに基づいて適宜設定することができる。好ましくは、これらの全てのクエリプローブを含むハイブリダイゼーション液を予め調製しておき、このハイブリダイゼーション液を標的核酸に対して供給する。
第1の接触工程によれば、これらのクエリプローブと標的核酸とを接触させることで、標的核酸中に所定の特定部分配列が存在するときには、その特定部分配列に対応するクエリ配列を有する第1のクエリプローブと第2のクエリプローブとがコンカテマー状(タンデム状)にそれぞれ標的核酸にハイブリダイズすることになる。標的核酸中に所定の特定部分配列が存在しないときには、第1のクエリプローブは標的核酸にハイブリダイズしないが、第2のクエリプローブのみがハイブリダイズすることになる。
(連結工程)
連結工程は、標的核酸にハイブリダイズした第1のクエリプローブと第2のクエリプローブとを連結してこれらの連結分子を取得する工程である。第1の接触工程において説明したように標的核酸中に検出しようとする所定の特定部分配列が存在するとき、その特定部分配列に対応するクエリ配列を有する第1のクエリプローブと第2のクエリプローブとが標的核酸にハイブリダイズする。図1及び図2に示すように、この状態で第1のクエリプローブの5’末端と第2のクエリプローブの3’末端とを連結する。
これらプローブの連結手法は特に限定しない。DNAリガーゼ等のリガーゼを用いる酵素反応を用いることもできるし、化学的な反応を用いることもできる。好ましくは、DNAリガーゼによりこれらのプローブのライゲーション反応を行う。連結するために使用することができるリガーゼには、サーマス・アクアティカス(Thermus
aquaticus)のTaqDNAリガーゼが含まれるが、これに限定されず、標的核酸やプローブの種類に応じて任意のDNAリガーゼ又はRNAリガーゼを使用し得る。
本連結工程によれば、第1のクエリプローブと第2のクエリプローブとを連結することで、標的核酸中に存在する特定部分配列を選択的に抽出し、かつ、予めこの特定部分配列に関連付けた識別用タグ配列に置き換えるとともに標識可能な連結分子を特定部分配列の存在及び存在比に応じて得ることができる。こうした連結分子は、適当な標識を付与することで予め識別用タグ配列とともに設定済みのキャプチャー配列を有するキャプチャープローブによって検出することができる。すなわち、結果として、特定部分配列に応じたキャプチャープローブにて標的核酸を検出することができる。
したがって、本連結工程によれば、上記第1のクエリプローブセットと第2のクエリプローブとを用い上記第1の接触工程及び本連結工程を実施することで、効率的に標的核酸中の特定塩基配列をその存在及び存在比に基づいて抽出でき、ユニバーサルなキャプチャープローブによって特定塩基配列を個別に検出可能な連結分子を得ることができる。
なお、上記第1の接触工程及び本連結工程は、特に連結工程を酵素反応を用いて行う場合など、前記第1の接触工程は、連結工程に先立つハイブリダイゼーション工程として、本連結工程と連続若しくは実質的に一つの工程(エンコード工程ともいう。)として実施することができる。
第1のクエリプローブと第2のクエリプローブとを連結した連結分子は、それのみを回収することなく、次工程へと移行することができる。また、標的核酸とともに適当な方法で回収することができ、例えば、カラム等精製器具等によって連結分子を回収してもよい。また、後段の標識工程に先立って、標的核酸から連結分子を解離させる。解離は、例えば、化学的変性及び熱的変性を含む変性処理によって達成することができる。たとえば、化学的変性によって連結されたオリゴヌクレオチドを解離させる場合には、アルカリ変性などの当業者に周知の処理を行えばよい。熱的変性により連結オリゴヌクレオチドを解離させる場合には、生理的条件下では、85℃以上、好ましくは90℃以上の温度にすればよいが、当業者であれば、適切な解離方法を選択することができる。
(標識工程)
標記工程は、連結分子が備える標識用タグ配列を用いて連結分子を単一の標識物質で標識して標識済み連結分子を取得する工程である。標識工程で、連結分子を標識することで、後述する第2の接触工程を経て後述する検出工程で特定塩基配列に対応する個別のキャプチャープローブへのハイブリダイズ量を検出することができる標識済み連結分子を得ることができる。
標識工程は、標識用タグを用いて標識物質で標識する公知の方法を採用して実施することができる。好ましくは、PCR増幅反応を利用する。プライマーは採用するPCR手法に応じて適宜設計することができる。具体的には、連結分子が保持する識別用タグ配列にハイブリダイズするプライマー及び/又は連結分子が保持する標識用タグ配列にハイブリダイズし標識物質を保持したプライマーでPCR増幅反応を行う。このとき、通常のPCRによる増幅を行ってもよいし、1本鎖の増幅産物が得られる増幅方法として、アシンメトリックPCRによる増幅を行ってもよい。通常のPCR増幅反応を用いて標識物質を付与する場合、第1のクエリプローブに由来する識別用タグ配列(+)は、それ自身に相補的であるとともにキャプチャー配列に相補的な識別用タグ配列(−)に変換される。アシメトリックPCRを用いる場合には、用いるプライマーにより、標識前と同一の識別用タグ配列を維持した標識済み産物を得ることもできるし、標識前の識別用タグ配列に対して相補的な配列に変換した標識済み産物を得ることもできる。いずれにしても、標識後にキャプチャー配列に対して選択的にハイブリダイズ可能に相補的な配列な識別用タグ配列(−)が標識済み産物で得られればよい。
標識物質としては従来公知のものを適宜選択して用いることができる。それ自体励起されると蛍光シグナルを発する蛍光物質などの各種色素であってもよいし、さらに酵素反応や抗原抗体反応により第2成分と組み合わせて各種シグナルを発する物質であってもよい。典型的には、Cy3、Alexa555、Cy5、Alexa647等の蛍光標識物質を用いることができる。
後段の第2の接触工程に先だって、増幅により標識物質を付与した標識済み連結分子分離し、1本鎖としておくことが好ましい。分離は、ビオチンで被覆した磁気ビーズ等の固相担体を用いること等の公知の方法を採用することができ、1本鎖化は、上述した化学的変性又は熱的変性を施す手法等を採用できる。
(第2の接触工程)
第2の接触工程は、標識済み連結分子中の識別用タグ配列(−)に相補的なキャプチャー配列を有する2種類以上のキャプチャープローブを固定化した固相担体上でこれらのキャプチャープローブと標識済み連結分子とをハイブリダイズ可能に接触させる工程である。この工程によれば、標識済み連結分子中の識別用タグ配列(−)がキャプチャープローブ中のキャプチャー配列と一定条件下において選択的にハイブリダイズ部可能な程度に相補的であるとき、これらはハイブリダイズし固相担体上の所定のキャプチャープローブにおいて二重鎖を形成する。標識済み連結分子中にキャプチャープローブと相補的な識別用タグ配列(−)を有していない場合には、固相担体上において二重鎖は形成されない。第1の接触工程後において、適宜洗浄工程をさらに含んでいてもよい。
(キャプチャープローブが固定化された固相担体)
第2の接触工程では、2種類以上のキャプチャープローブを固定化した固相担体を用いることができる。こうした固相担体は、例えばビーズであってもよいし平板であってもよく、材質は特に限定されないが、ガラス製又はプラスチック製の固相担体を用いることができる。好ましくは、固相担体は平板状であり、2種類以上のキャプチャープローブが一定の配列で固定されたアレイである。アレイは、多数個のキャプチャープローブを固定でき、同時に網羅的に各種の多型や変異を検出するのに都合がよい。また、アレイは、一つの固相担体上に複数個の区画された個別のアレイ領域を備えていてもよい。これらの個別のアレイ領域は、それぞれ同一のセットのキャプチャープローブが固定化されていてもよいし、それぞれ別のセットのキャプチャープローブが固定化されていてもよい。
第2の接触工程で用いる固相担体は、標的核酸において検出しようとする特定部分配列に関連付けた2種類以上のキャプチャープローブが互いに隣接する配置状態を備えるアレイであることが好ましい。これらが隣接していることにより、アレイ上におけるハイブリダイゼーションのキャプチャープローブの固定化位置に由来するバラツキを抑制して、精度よく標的核酸中の特定部分配列を検出することができる。
また、好ましい固相担体は、標的核酸において検出しようとする特定部位配列に関連付けた2種類以上のキャプチャープローブがその融解温度に基づく順序で配列された配列状態を備えるアレイである。こうしたアレイを用いて、このキャプチャープローブの順序に沿って、各標的核酸に対応する2種類以上のキャプチャープローブ、換言すれば、識別用タグ配列を割り当てることで、キャプチャー配列の融解温度の差に由来するハイブリダイゼーションのバラツキを抑制して、精度よく標的核酸中の特定部分配列を検出することができる。好ましいアレイの一例を図3に示す。
さらに好ましい固相担体は、標的核酸において検出しようとする特定部分配列に対応する2種類以上のキャプチャープローブを互いに隣接する配置状態を備え、かつこれらの隣接するキャプチャープローブ間の融解温度の最大温度差(絶対値)が5℃以下好ましくは0.2℃以下となるように配置されているアレイである。こうしたアレイを用いることで、アレイ上でキャプチャープローブの固定化位置及びキャプチャープローブの融解温度の差に基づくハイブリダイゼーションのバラツキを抑制できる。典型的には、多数のキャプチャープローブを融解温度に基づく順序で配列したとき連続して配列されているキャプチャープローブを一つの標的核酸の特定部分配列を検出するための2種類以上のキャプチャープローブとして採用すればよい。
また、好ましい固相担体は、一つの標的核酸についての複数のキャプチャープローブは、2個以上であり、標的核酸中の検出しようとする塩基配列とは無関係に設定された同一塩基長のキャプチャー配列を有し、融解温度が40℃以上80℃以下(好ましくは50℃以上70℃以下、より好ましくは55℃以上65℃以下)であって、その融解温度に基づく順序で配列されているアレイである。こうしたアレイによれば、標的核酸の特定部分配列を、キャプチャー配列とハイブリダイズ可能な程度に相補的な識別用タグ配列にコード変換しておくことで、どのような特定部分配列にも対応可能なアレイとして用いることができる。しかも、2個以上、好ましくは64個以上より好ましくは100個以上の多数個のキャプチャープローブを備えることで、多数個の標的核酸又は標的核酸中の複数の特定部分配列を同時に検出することができる。さらに、これらのキャプチャープローブが全て同一塩基長で融解温度が40℃以上80℃以下(好ましくは50℃以上70℃以下、さらに好ましくは55℃以上65℃以下)であるため、均一なハイブリダイゼーションを実現でき、高い精度で標的核酸中の特定部分配列を検出し定量できる。
固相担体に固定化される複数のキャプチャープローブは、それぞれ配列番号:1〜配列番号:100から選択されるキャプチャー配列を有することができる。なお、これらの塩基配列は既に説明したように、一定条件で設計された正規直交化配列である。
キャプチャープローブの固定化形態は特に限定されない。共有結合性であってもよいし非共有結合性であってもよい。キャプチャープローブは、従来公知の各種の方法で固相担体表面に固定化することができる。また、固相担体表面に対しては適当なリンカー配列を備えていてもよい。リンカー配列は、好ましくはキャプチャープローブ間において同一塩基長で同一配列とする。
(シグナル強度情報取得工程)
シグナル強度情報取得工程は、ハイブリダイズ後の固相担体上の標識物質に基づく標的核酸についてのシグナル強度情報を取得する工程である。本件シグナル強度情報取得程によれば、標識済み連結分子における標的核酸中の特定部分配列に対応した識別用タグ配列(−)がキャプチャープローブとハイブリダイズすることで当該キャプチャープローブに関連付けされた状態で標識物質に基づきシグナル強度情報を得ることができる。こうしたキャプチャープローブに関連付けされたシグナル強度情報は、標的核酸中に存在する特定部分配列の数だけ得ることができる。
標的核酸中の特定部分配列は識別用タグ配列及びキャプチャー配列と予め関連付けされているので、所定のキャプチャープローブに関連付けされたシグナル強度情報を取得することで、標的核酸中の特定部分配列の有無やその量等を定量することができる。
シグナル強度情報取得工程は、用いた固相担体の形態や標識物質の種類に応じて、従来公知の手法を適宜選択して採用すればよい。典型的には、固相担体からハイブリダイズしなかったオリゴヌクレオチド等を洗浄操作等によって除去した後、付加した標識物質の蛍光シグナルをアレイスキャナ等により検出したり、標識物質に対して化学発光反応を実施したりすることができる。固相担体にビーズを用いた場合には、フローサイトメーターによる検出方法が挙げられる。
(検出工程)
検出工程は、第1のクエリプローブセット中の各第1のクエリプローブの各識別用タグ配列を介して各前記特定部分配列に関連付けられたキャプチャープローブに対応して得られるシグナル強度情報に基づいて、一つの標的核酸中の前記多型又は前記変異の有無を検出する工程とすることができる。こうした検出工程によれば、同一キャプチャープローブについての異なる標識物質に基づく信号の有無や強度によらないで、異なるキャプチャープローブについての同一標識物質に基づくシグナル強度情報に基づいて、標的核酸中の特定部分配列を検出できる。このため、個々の特定部分配列について精度よく検出でき、この結果、多型又は変異の有無若しくは比率を精度よく検出し定量することができる。
標的核酸中の多型又は変異を検出するには、例えば、2種以上のキャプチャープローブについて得られるシグナル強度の比に基づいて、検出しようとする多型又は変異の有無を検出する工程としてもよい。上記のように、本検出方法によれば、多型や変異を構成する特定部分配列毎にキャプチャープローブが準備され、これらのキャプチャープローブに関してシグナル強度情報を取得できるため、一つの多型や変異に対応する各キャプチャープローブ間の単なるシグナル強度の比に基づいても多型の有無(タイプ)や変異の有無を精度よく検出することができる。
また、図1に示すように、2種以上のキャプチャープローブに対応して得られる一つのシグナル強度に対する2種以上のキャプチャープローブに対応して得られる全てのシグナル強度の和の割合に基づいて、前記一つの標的核酸中の前記多型のタイプ判別又は前記変異の比率を求めるようにしてもよい。すなわち、式:一つの特定部分配列に対応するキャプチャープローブに関して得られるシグナル強度/(標的核酸に存在する可能性のある特定部分配列にそれぞれ対応する2種類以上のキャプチャープローブに関して得られるシグナル強度の和)を用いることで、標的核酸中の前記一つの特定部分配列の存在比率を求めることができる。この存在比率により、多型の有無及びタイプ並びに変異の有無及び変異率を得ることができる。こうした検出工程によれば、精度よく変異のタイプや変異率を求めることができる。しかも、一つの標的核酸中の存在可能性のある特定部分配列が3種類以上であっても、その数に応じて識別用タグ配列を備える第1のクエリプローブを設定すれば、容易に同時にこれらの特定部分配列を検出しその比率を定量できる。
本検出方法が一塩基多型を検出するものである場合、例えば、予め準備した、検出しようとする前記多型のタイプを備える1種又は2種以上の参照用オリゴヌクレオチドにつき、前記第1の接触工程、前記連結工程、前記標識工程、前記第2の接触工程及び前記シグナル強度情報取得工程を実施して、前記参照用オリゴヌクレオチドについて取得した参照用シグナル強度情報を利用して前記検出工程を実施することができる。こうすることで、連結工程において特定部分配列間、すなわち、異なる第1のクエリプローブ間で連結効率に生じる可能性のあるバイアスを補正することができる。
また、本検出方法が、遺伝子変異を検出するものである場合、例えば、予め準備した、検出しようとする前記変異について所定の比率を備える1種又は2種以上の参照用オリゴヌクレオチドにつき、前記第1の接触工程、前記連結工程、前記標識工程、前記第2の接触工程及び前記シグナル強度情報取得工程を実施して、前記参照用オリゴヌクレオチドについて取得した参照用シグナル強度情報を利用して前記検出工程を実施することができる。こうすることで、上記のように、異なる第1のクエリプローブ間で連結効率に生じる可能性のあるバイアスを補正することができる。
こうしたバイアス補正に関し、好ましくは、2種類以上の前記参照用オリヌクレオチドについて取得した参照用シグナル強度情報に基づいて検量線を作製し、この検量線を利用して試料中の標的核酸中の多型や変異などを検出し定量することができる。検量線を用いることで一層効果的に前述のバイアスを補正して精度の高い検出及び定量が可能となる。なお、参照用シグナル強度情報の取得及び検量線の作製は予め行っておいてもよいし、標的核酸の検出時に同時に行ってもよい。
キャプチャープローブは融解温度が近いものを採用しているが、融解温度及びその他の事情によりキャプチャープローブ間におけるハイブリダイズ量にバイアスが生じる可能性があるが、以下のように各工程を実施することでこれを抑制又は回避することができる。
さらに、例えば、第2の接触工程で、標識済み連結分子とともに、前記第1のクエリプローブセット中の各第1のクエリプローブの各識別用タグ配列(−)と前記単一の標識物質とは異なる他の標識物質とを備え、相互に同一濃度で準備した2種類以上の補正用オリゴヌクレオチドとを、固相担体上で前記キャプチャープローブとハイブリダイズ可能に接触させるようにし、シグナル強度情報取得工程で標的核酸についてのシグナル強度情報を取得するとともに、前記補正用オリゴヌクレオチドについての前記他の標識物質に基づく補正用シグナル強度情報を取得し、検出工程で、前記補正用シグナル強度情報を利用するようにしてもよい。こうした補正は、例えば、他の標識物質を同一濃度で用いたとき、キャプチャープローブ間で得られたシグナル強度に差が生じた場合には、そのようなシグナル強度の差が連結分子にも存在するとして補正する。こうした補正用シグナル強度情報を利用した補正は、多型の有無(タイプ)並びに変異の有無及び変異率のいずれを得る場合にも適用できるとともに、既に説明した参照用シグナル強度情報に基づく補正と併用することができる。
なお、補正に関して用いる参照用オリゴヌクレオチド及び補正用オリゴヌクレオチドは、必ずしも1本鎖で準備される必要はなく、2本鎖であってもよい。
(試料中の標的核酸を検出するためのプローブセット)
本発明のプローブセットは、標的核酸中の検出しようとする多型又は変異における少なくとも1個の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列と前記特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列とを備える2種類以上の第1のクエリプローブからなる第1のクエリプローブセットと、前記標的核酸の前記特定部分配列に隣接する部分配列に相補的なクエリ配列と標識を付加するための標識用タグ配列とを備える第2のクエリプローブと、を備えることができる。
本発明のプローブセットにおける第1のクエリプローブ及び第2のクエリプローブ等については既に説明した範囲の各種実施形態をそのまま適用することができる。
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、以下の実施例は本発明を説明するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
本発明の検出方法による遺伝子変異(SNP)の検出を次の手順で行った。以下、これらの順序に従って説明する。
(1)変異遺伝子検出用DNAマイクロアレイの作製
(2)サンプル遺伝子の増幅
(3)ハイブリダイズ及び連結(エンコード反応)
(4)ラベル化反応
(5)DNAマイクロアレイを用いた検出
(6)データ解析
(1)遺伝子変異(SNP)検出用DNAマイクロアレイの作製
東洋鋼鈑社製gene slideガラス基板に、5’末端をアミノ基で修飾した合成オリゴDNA(株式会社日本遺伝子研究所製)を溶かした水溶液をキャプチャープローブとして、日本ガイシ株式会社にてGENESHOT(登録商標である)スポッターを用いてスポットした。表1に示すように、使用した合成オリゴDNA配列は、文献(Analytical Biochemistry 364(2007)78-85)のSupplementary
Table1記載のD1_1からD1_100のうちTmが高い順に、D1_52, D1_71, D1_93, D1_74, D1_41, D1_92, D1_79, D1_78, D1_65の9種とした。スポットの後、80℃、1時間のベークを行った。なお、これらのTmは、Visual OMPによって算出される融解温度(0.1Mプローブ濃度、50mM
Na+イオン及び1.5mM Mg+イオン)の高い順に配列されている。
さらに、以下に記載した手順で、合成オリゴDNAの固定化を行った。すなわち、2×SSC/0.2%SDSで15分洗浄後、95℃ 2×SSC/0.2%SDSで5分洗浄し、その後、滅菌水で洗浄(10回上下振とう)を3回繰り返した。その後、遠心(1000rpm×3分)により脱水した。
(2)遺伝子変異を有する標的核酸の調製と増幅
検出対象とする遺伝子変異を含む塩基配列は、以下の表2に示す変異の周辺配列である150bp程度とし、これらの塩基配列からなる人工遺伝子を標的核酸とした。合計4組の標的核酸を合成した。
次に、これらのサンプルを以下のように増幅した。なお、サンプル増幅用試薬として、TaKaRa Bio社のTaKaRa Ex Taq(カタログ#RR001B)を使用した。サーマルサイクラーとして、Applied
Biosystems社のGeneAmp PCR System9700を使用した。なお、用いたPCRプライマーについてはTm=58.90±0.75℃の範囲となるよう設計を行った。各プライマー配列を表3に示す。なお、Tmは、日本遺伝子研究所(http://www.ngrl.co.jp/)が提供するソフトウエア(Oligo
Calculator;http://www.ngrl.co.jp/tool/ngrl_tool.html)を利用して以下の式に基づいて算出した。
Tm=((ΔH*1000/(ΔS+41.3))−273.15−21.5971)(ただし、塩濃度:0.05M、プライマー濃度:250pmolであり、ΔSはハイブリッドにおける所定の最近接エントロピー変化の合計(cal/mol・K)を表し、ΔHはハイブリッドにおける所定の最近接エントロピー変化の合計(kcal/mol)を表す。)
まず、以下に示す試薬を個々のサンプル(検出変異種)ごとに調製した。なお、サンプルDNAは、検出変異種ごとに、野生遺伝子:変異遺伝子比を100:0、95:5、90:10、75:25、50:50の5通りとし、合計20サンプルを準備した(5通り×4変異種=計20サンプル)。
(試薬調製)
プライマーミックス:F,R混合(20 μM, each) 0.5μl
Ex Taq バッファ (10×) 1.0μl
Ex Taq ポリメラーゼ(5 Unit/μl) 0.1μl
dNTP mix (2.5 nM) 0.8μl
dH 2 O 7.1μl
小計 9.5μl
サンプルDNA(10ng/μl) 0.5μl
合計 10.0μl
次に、サーマルサイクル反応(94℃で30秒後;94℃で40秒、66℃で40秒、72℃で2分を40サイクル;その後4℃に下げる)を行った。そして、個々に増幅した産物を各3.0μlずつ(計4変異種)を変異遺伝子割合ごとにチューブに混ぜ、PCR産物とした。結果として、各変異種につき、野生遺伝子:変異遺伝子比が100:0、95:5、90:10、75:25、50:50の5種類(5チューブ)のPCR産物を調製した。
(3)エンコード反応
実施例2で得たサンプルDNAのPCR産物についてのエンコード反応を以下のようにして行った。エンコード反応にはNew England Biolabs社のTaq DNA Ligase(Catalog
# M0208S)を使用した。加熱にはサーマルサイクラーとして、Applied Biosystems社のGeneAmp PCR System 9700を使用した。なお、サンプルDNAの5’側に相補的なクエリ配列(検出塩基を含む)と識別用タグ配列とを備える5’クエリプローブ(本発明方法における第1のクエリプローブ)の配列を表4に示す。5’クエリプローブは、その5’側に表1に示すキャプチャープローブ配列と相同である識別用タグ配列を備えており、その3’側にクエリ配列を備えている。また、サンプルDNAの3’側に相補的なクエリ配列(検出塩基を含まない)と標識用タグ配列とを備える3’クエリプローブ(本発明方法における第2のクエリプローブ)の配列を表5に示す。3’クエリプローブは、その5'側に5’クエリプローブのクエリ配列に隣接するクエリ配列を有し、3’側に標識用タグ配列を有している。なお、3’クエリプローブの5’末端はリン酸化されている。
エンコード反応は、まず、以下の試薬を調製した。試薬は、実施例2で調製した各変異種につき5種類の野生遺伝子:変異遺伝子比のPCR産物毎に調製した。次に、加熱を行うことでエンコード反応を行った。エンコード反応では、95℃で5分、50℃で1分及び58℃で60分加熱し、その後10℃に下げた。各変異種につき5種類のライゲーション産物を得た。
(試薬調製)
5’クエリプローブ2種/3’クエリプローブMix(2.5μM,each)
0.300μl
Taq DNA リガーゼバッファ (10×) 1.500μl
dH2O 1.075μl
Taq DNA リガーゼ(40 Units/μl) 0.125μl
小計 3.000μl
PCR産物(変異遺伝子割合ごとに調製) 12.000μl
合計 15.000μl
(4)ラベル化反応
実施例3で得たライゲーション産物のラベル化反応を以下のとおり行った。ラベル化反応には、TaKaRa Bio社のTaKaRa Ex Taq(Catalog#
RR001B)を使用した。サーマルサイクラーとして、Applied Biosystems社のGeneAmp PCR System 9700を使用した。ラベル化にはアシメトリーPCRを用い、表1に示す配列と同一配列の各種D1プライマーと、標識用タグ配列に相補的であり、5’側がAlexa555で標識されたプライマーとを用いた(表6)。
ラベル化反応は、まず、以下の試薬を4種の変異種あたり5種類のライゲーション産物につき調製した。次いで、調製した試薬につきサーマルサイクル反応を行った。すなわち、95℃で1分後;95℃で30秒、55℃で6分、72℃で30秒を30サイクル行い;その後10℃に下げた。4つの変異種あたり5種類のラベル化済み産物を得た。
(試薬調製)
D1_プライマーMix (50 μM, each) 0.12μl
Alexa555-ED-1(200 μM) 0.24μl
Ex Taq バッファ (10×) 1.20μl
dNTP mix (2.5 nM) 0.96μl
Ex Taq ポリメラーゼ(5 Unit/μl) 0.12μl
ミリQ水 8.36μl
小計 11.00μl
ライゲーション産物 1.00μl
合計 12.00μl
(5)DNAマイクロアレイを用いた検出
ラベル化済み産物を用いたDNAマイクロアレイへの反応及びその検出手順は以下の通りとした。
(ハイブリダイズ用標識サンプル溶液の調製)
まず、ハイブリダイズ補正用液及びハイブリダイズ用液を以下の組成で調製した。
(ハイブリダイズ用標識サンプル溶液の組成)
ハイブリダイズ補正用液 1.5μl
ハイブリダイズ用液 9.0μl
小計 10.5μl
ラベル化済み産物 7.5μl
合計 18.0μl
(ハイブリダイズ補正用液組成(2.5nM, each))
Alexa647-rD1_52(100nM) 10μl
Alexa647-rD1_71(100nM) 10μl
Alexa647-rD1_93(100nM) 10μl
Alexa647-rD1_74(100nM) 10μl
Alexa647-rD1_41(100nM) 10μl
Alexa647-rD1_92(100nM) 10μl
Alexa647-rD1_79(100nM) 10μl
Alexa647-rD1_78(100nM) 10μl
Alexa647-rD1_65(100nM) 10μl
Alexa555-rD1_65(100nM) 10μl
TE(pH8.0) 300μl
400μl
なお、ハイブリダイズ補正用液に使用したAlexa555または647標識オリゴDNAは、表1のキャプチャープローブ配列に相補な配列の5’末端をAlexa555または647で標識した。
(ハイブリダイズ用液組成(×2))
20×SSC 2.0ml
10%SDS 0.8ml
100% Formamide 12.0ml
100 mM EDTA 0.8ml
ミリQ水 24.4ml
合計 40.0ml
(ハイブリダイズ)
次いで、調製した標識サンプル溶液を、Applied Biosystems社のGeneAmp PCR System 9700を使用し、90℃で1分加熱した後、ヒートブロック(TAITEC社DTU-N)を使用し80℃で1分加熱した。上記サンプル溶液を各9μlずつ、DNAマイクロアレイのスポットエリアにかけ、乾燥防止のためコンフォート/プラス用サーモブロックスライド(エッペンドルフ社製)を使用し、37℃で60分間静置することによりハイブリダイズ反応を行った。
(洗浄)
ハイブリダイズ後、以下の組成の洗浄液を満たしたガラス染色バットに、ハイブリダイズ反応終了後のガラス基板を浸漬し、5分間上下振とうし、滅菌水を入れたガラス染色バットにガラス基板を移し、1分間上下振とうし、2000rpmで1分間遠心乾燥し、ガラス基板表面に残った水分を除去した。
(洗浄液の組成)
ミリ Q水 188.0ml
20×SSC 10.0ml
10%SDS 2.0ml
合計 200.0ml
(スキャナーによる蛍光検出)
Appleied Precision社ArrayWoRxを使用して適宜、露光時間を調節し、蛍光画像を取得した。さらにGenePix Proを使用し、得られた画像の蛍光シグナルの数値化を行った。
(6)データ解析
キャプチャー間のハイブリダイズ効率(量)の差の有無を確認するため、同時にハイブリダイズしたハイブリダイズ補正用液の蛍光シグナルを測定した。変異1遺伝子検出用スポット(D1_52およびD1_71)それぞれの測定結果(Alexa647)を表7に示す。
表7に示すように、変異1遺伝子検出用の2スポット間の蛍光シグナル比はほぼ1であり、これら2スポット間のハイブリダイズ吸着量に大きな差はないと考えられる。よって、変異1遺伝子検出用スポットの補正は不要と判断した。
次に、変異1遺伝子についてスキャナーによる蛍光シグナル検出(D1_52およびD1_71)を行った。測定結果(Alexa555)を表8に示す。また、表8の結果に基づいて横軸を変異遺伝子割合とし、縦軸にB/(A+B)をプロットし、検量線を作成した。検量線を図4に示す。
表8及び図4に示すように、変異遺伝子における変異型の存在を容易に検出することができ、低い変異率であっても容易に精度よく検出することができることが分かった。また、野生型:変異型の比率も容易に精度よく検出できることが分かった。さらに、こうした検量線を利用することで、さらに精度よく変異を検出しその比率を定量できることがわかった。また、本発明によれば、標的核酸中の検出しようとする存在可能性のある特定部分配列の種類毎に1種類の第1のクエリプローブを準備するとともに、これらの第1のクエリプローブ毎にキャプチャープローブを準備することで、精度よく特定部分配列の存在及びその存在比率を検出することができることがわかった。
本発明の検出方法の概要を模式的に示す図である。 本発明に用いる第1のクエリプローブセット及び第2のクエリプローブを説明する図である。 本発明において用いる識別用タグ配列及びキャプチャー配列の一例を示す図である。 実施例6で作成した検量線を示すグラフ図である。 従来の変異検出方法の一例を示す図である。
配列番号1〜109:キャプチャープローブ、配列番号110〜117:人工合成遺伝子、配列番号118〜125:プライマー、配列番号126〜133:5’クエリプローブ、配列番号134〜137:3’クエリプローブ、配列番号138:プライマー

Claims (13)

  1. 試料中の1種又は2種以上の標的核酸中の多型又は変異を検出する方法であって、
    少なくとも一種の前記標的核酸中の検出しようとする前記多型又は前記変異を構成する少なくとも1個の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列と前記特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列とを備える2種類以上の第1のクエリプローブからなる第1のクエリプローブセットと、前記標的核酸の前記特定部分配列に隣接する部分配列に相補的なクエリ配列と標識を付加するための標識用タグ配列とを備える第2のクエリプローブと、標的核酸とをハイブリダイズ可能に接触させる第1の接触工程と、
    前記一種の標的核酸にハイブリダイズした前記第1のクエリプローブと前記第2のクエリプローブとを連結してこれらの連結分子を取得する連結工程と、
    前記連結分子が備える前記標識用タグ配列を用いて前記連結分子を単一の標識物質で標識して標識済み連結分子を取得する標識工程と、
    前記識別用タグ配列に相補的又は相同的なキャプチャー配列を有し前記特定部分配列に関連付けられた2種類以上のキャプチャープローブを固定化した固相担体上でこれらのキャプチャープローブと前記標識済み連結分子とをハイブリダイズ可能に接触させる第2の接触工程と、
    ハイブリダイズ後の前記固相担体上の前記標識物質に基づく前記一つの標的核酸についての2種類以上のシグナル強度情報を取得するシグナル強度情報取得工程と、
    前記2種類以上のシグナル強度情報に基づいて前記一種の標的核酸中の前記多型又は前記変異を検出する検出工程と、
    を備え、
    前記第2の接触工程は、前記標識済み連結分子とともに、前記第1のクエリプローブセット中の各前記第1のクエリプローブの各前記識別用タグ配列と前記単一の標識物質とは異なる他の標識物質とを備え、相互に同一濃度で準備した補正用オリゴヌクレオチドとを、前記固相担体上で前記キャプチャープローブとハイブリダイズ可能に接触させる工程であり、
    前記シグナル強度情報取得工程は、前記一つの標的核酸についてのシグナル強度情報を取得するとともに、前記補正用オリゴヌクレオチドについての前記他の標識物質に基づく補正用シグナル強度情報を取得する工程であり、
    前記検出工程は、前記第1のクエリプローブセット中の一つの第1のクエリプローブの識別用タグ配列を介して前記特定部分配列に関連付けられたキャプチャープローブに対応して得られるシグナル強度に対する前記第1のクエリプローブセット中の全ての第1のクエリプローブの識別用タグ配列を介して前記特定部分配列に関連付けられた全てキャプチャープローブに対応して得られるシグナル強度の和の割合に基づくとともに、前記補正用シグナル強度情報を利用して、前記一つの標的核酸中の前記多型のタイプ判別又は前記変異の比率を求める工程であり、
    前記固相担体は、前記キャプチャープローブが2個以上であり、前記標的核酸の前記多型又は前記変異の塩基配列とは無関係に設定された同一塩基長のキャプチャー配列を有し、融解温度が50℃以上70℃以下であり、
    前記キャプチャー配列は、それぞれ配列番号:1〜配列番号:100から選択される塩基配列を有する、方法。
  2. 予め準備した、検出しようとする前記多型のタイプを備える1種又は2種以上の参照用オリゴヌクレオチドにつき、前記第1の接触工程、前記連結工程、前記標識工程、前記第2の接触工程及び前記シグナル強度情報取得工程を実施して、前記参照用オリゴヌクレオチドについて取得した参照用シグナル強度情報を利用して前記検出工程を実施する、請求項1に記載の方法。
  3. 予め準備した、検出しようとする前記変異について所定の比率を備える1種又は2種以上の参照用オリゴヌクレオチドにつき、前記第1の接触工程、前記連結工程、前記標識工程、前記第2の接触工程及び前記シグナル強度情報取得工程を実施して、前記参照用オリゴヌクレオチドについて取得した参照用シグナル強度情報を利用して前記検出工程を実施する、請求項2に記載の方法。
  4. 2種類以上の前記参照用オリヌクレオチドについて取得した参照用シグナル強度情報に基づく検量線を利用して前記検出工程を実施する、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記検出しようとする多型又は変異は一塩基多型であって、前記第1のクエリプローブセットは、一塩基多型の一方の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列と前記特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列とを有する一方の第1のクエリプローブと、一塩基多型の他方の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列と前記特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列を有する他方の第1のクエリプローブと、を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記検出しようとする多型又は変異は変異であって、前記第1のクエリプローブセットは、前記変異に関し正常な1又は2以上の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列と前記特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列とを有する第1のクエリプローブと、前記変異に関し異常な1又は2以上の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列と前記特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列を有する第1のクエリプローブとの少なくとも2種類の第1のクエリプローブと、を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記固相担体は、前記少なくとも一種の前記標的核酸についての前記2種類以上のキャプチャープローブが互いに隣接する配置状態を備えるアレイである、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記固相担体は、前記少なくとも一種の前記標的核酸についての前記2種類以上のキャプチャープローブがその融解温度に基づく順序で配列された配列状態を備えるアレイである、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記固相担体は、前記標的核酸において検出しようとする特定部分配列に対応する2種類以上のキャプチャープローブを互いに隣接する配置状態を備え、かつこれらの隣接するキャプチャープローブ間の融解温度の最大温度差(絶対値)が5度以下となるように配置されている、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の検出方法に用いられる、キャプチャープローブが固定化された固相担体であって、
    前記固相担体は、前記少なくとも一種の標的核酸についての前記2種類以上のキャプチャープローブがその融解温度に基づく順序で配列されている、固相担体。
  11. 前記固相担体は、前記キャプチャープローブが2個以上であり、それぞれ前記標的核酸の前記多型又は前記変異の塩基配列とは無関係に設定された同一塩基長のキャプチャー配列を有し、融解温度が50℃以上70℃以下である、請求項10に記載の固相担体。
  12. 前記キャプチャープローブは、それぞれ配列番号:1〜配列番号:100から選択されるキャプチャー塩基配列を有する、請求項10又は11に記載の固相担体。
  13. 請求項1〜9のいずれかに記載の試料中の標的核酸の検出方法に用いるプローブ等のセットであって、
    標的核酸中の検出しようとする多型又は変異を構成する少なくとも1個の塩基を含む特定部分配列に相補的なクエリ配列と前記特定部分配列を識別可能な識別用タグ配列とを備える2種類以上の第1のクエリプローブからなる第1のクエリプローブセットと、
    前記標的核酸の前記特定部分配列に隣接する部分配列に相補的なクエリ配列と標識を付加するための標識用タグ配列とを備える第2のクエリプローブと、
    前記第1のクエリプローブセット中の各前記第1のクエリプローブの各前記識別用タグ配列と前記単一の標識物質とは異なる他の標識物質とを備え、相互に同一濃度で準備した補正用オリゴヌクレオチドと、
    を備える、プローブセット。
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