JP5169227B2 - 吐出パルスの設定方法 - Google Patents
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Description
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、一般的なインクよりも粘度の高い液体について、吐出を安定化させることにある。
(A)液体の供給部とノズルのそれぞれに連通された圧力室と、
(B)前記圧力室の容積を変化させるための動作をする素子と、
(C)前記ノズルから前記液体を吐出させるべく基準容積の圧力室の容積を変化させて前記基準容積に戻す一連の動作を前記素子に行わせる吐出パルスであって、前記液体を前記ノズルから吐出させるべく、前記圧力室を収縮させる動作を前記素子に行わせる吐出部分、及び、前記吐出部分よりも後に生成され、収縮状態の前記圧力室を前記基準容積まで膨張させるための動作を前記素子に行わせる膨張部分を有する吐出パルスを、繰り返し生成する吐出パルス生成部と、
(D)を備えた液体吐出装置用の吐出パルスの設定方法であって、
(E)前記液体の粘度は、6ミリパスカル秒以上であって20ミリパスカル秒以下の範囲内に定められており、
(F)前記液体の粘度が高いほど、前記膨張部分の生成期間を短く定める、
(G)吐出パルスの設定方法である。
このような吐出パルスの設定方法によれば、膨張部分に伴う素子の動作によって圧力室が膨張すると、圧力室内における負圧の度合いが高くなり、液体の供給部側から圧力室側に向けて液体を流入させることができる。このため、6ミリパスカル秒以上であって20ミリパスカル秒以下の粘度を有する液体について、吐出を安定化させることができる。さらに、圧力室内における負圧の度合いは、圧力室の膨張期間に応じて定められる。このため、吐出される液体の粘度に応じて液体の流入量を最適化できる。
このような吐出パルスの設定方法によれば、6ミリパスカル秒以上であって20ミリパスカル秒以下の粘度を有する液体について、吐出を安定化させることができる。
このような吐出パルスの設定方法によれば、6ミリパスカル秒以上であって20ミリパスカル秒以下の液体について、吐出を安定化させることができる。
このような吐出パルスの設定方法によれば、吐出パルスの波形が簡素化でき、液体の吐出周波数を高めることが容易である。
このような吐出パルスの設定方法によれば、圧力室の膨張開始タイミングを定電位部分の長さで調整することができ、吐出をより安定化させることができる。
このような吐出パルスの設定方法によれば、液体の吐出周波数を高めることが容易である。
このような吐出パルスの設定方法によれば、吐出パルスの波形が簡素化でき、液体の吐出周波数を高めることが容易である。
このような液体吐出装置によれば、液滴の吐出速度を確保しつつ、圧力室への液体の供給不足を抑制できる。
<印刷システムについて>
図1に例示した印刷システムは、プリンタ1と、コンピュータCPとを有する。プリンタ1は液体吐出装置に相当し、用紙、布、フィルム等の媒体に向けて、液体の一種であるインクを吐出する。媒体は、液体が吐出される対象となる対象物である。コンピュータCPは、プリンタ1と通信可能に接続されている。プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータCPは、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に送信する。
プリンタ1は、用紙搬送機構10、キャリッジ移動機構20、駆動信号生成回路30、ヘッドユニット40、検出器群50、及び、プリンタ側コントローラ60を有する。
<ヘッドHDについて>
図2Aに示すように、ヘッドHDは、ケース41と、流路ユニット42と、ピエゾ素子ユニット43とを有する。ケース41は、ピエゾ素子ユニット43を収容して固定するための収容空部411が内部に設けられた箱体状である。このケース41は、例えば樹脂材によって作製される。そして、ケース41の先端面には、流路ユニット42が接合されている。
ヘッドHDには、共通インク室426からノズル427に至る一連のインク流路(液体で満たされる液体流路に相当する)が、ノズル427の数に応じた複数設けられている。このインク流路では、圧力室424に対して、ノズル427及びインク供給路425がそれぞれ連通している。このため、インクの流れなどの特性を解析する場合、ヘルムホルツの共鳴器の考え方が適用される。図2Bは、この考え方に基づくヘッドHDの構造を模式的に説明する図である。
プリンタ側コントローラ60は、プリンタ1における全体的な制御を行う。例えば、コンピュータCPから受け取った印刷データや各検出器からの検出結果に基づいて制御対象部を制御し、用紙に画像を印刷させる。図1に示すように、プリンタ側コントローラ60は、インタフェース部61と、CPU62と、メモリ63とを有する。インタフェース部61は、コンピュータCPとの間でデータの受け渡しを行う。CPU62は、プリンタ1の全体的な制御を行う。メモリ63は、コンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保する。CPU62は、メモリ63に記憶されているコンピュータプログラムに従い、各制御対象部を制御する。例えば、CPU62は、用紙搬送機構10やキャリッジ移動機構20を制御する。また、CPU62は、ヘッドHDの動作を制御するためのヘッド制御信号をヘッド制御部HCに送信したり、駆動信号COMを生成させるための制御信号を駆動信号生成回路30に送信したりする。
駆動信号生成回路30は、吐出パルス生成部として機能し、DACデータに基づき、吐出パルスPSを有する駆動信号COMを生成する。図3に示すように、駆動信号生成回路30は、DAC回路31と、電圧増幅回路32と、電流増幅回路33とを有する。DAC回路31は、デジタルのDACデータをアナログ信号に変換する。電圧増幅回路32は、DAC回路31で変換されたアナログ信号の電圧を、ピエゾ素子433を駆動できるレベルまで増幅する。このプリンタ1では、DAC回路31から出力されるアナログ信号は最大3.3Vであるのに対し、電圧増幅回路32から出力される増幅後のアナログ信号(便宜上、波形信号ともいう。)は最大42Vである。電流増幅回路33は、電圧増幅回路32からの波形信号について電流の増幅をし、駆動信号COMとして出力する。この電流増幅回路33は、例えば、プッシュプル接続されたトランジスタ対によって構成される。
ヘッド制御部HCは、駆動信号生成回路30で生成された駆動信号COMの必要部分をヘッド制御信号に基づいて選択し、ピエゾ素子433へ印加する。このため、図3に示すように、ヘッド制御部HCは、駆動信号COMの供給線の途中に、ピエゾ素子433毎に設けられた複数のスイッチ44を有する。そして、ヘッド制御部HCは、ヘッド制御信号からスイッチ制御信号を生成する。このスイッチ制御信号によって各スイッチ44を制御することで、駆動信号COMの必要部分(例えば吐出パルスPS)がピエゾ素子433へ印加される。このとき、必要部分の選択の仕方次第で、ノズル427からのインクの吐出を制御できる。
次に、駆動信号生成回路30によって生成される駆動信号COMについて説明する。図4に示すように、駆動信号COMには、繰り返し生成される複数の吐出パルスPSが含まれている。これらの吐出パルスPSは、いずれも同じ波形をしている。すなわち、電位の変化パターンが同じである。前述したように、この駆動信号COMは、ピエゾ素子433が有する駆動電極435に印加される。これにより、固定電位とされた共通電極434との間に、電位の変化パターンに応じた電位差が生じる。その結果、ピエゾ素子433は、電位の変化パターンに応じて伸縮し、圧力室424の容積を変化させる。
<概要>
この種のプリンタ1では、インクをできるだけ高い周波数で吐出させたいという要望がある。これは、印刷等の処理を高速化できるからである。ここで、一般的なインクの粘度(約1ミリパスカル秒)よりも十分に高い粘度のインク、具体的には粘度が6〜20ミリパスカル秒のインク(便宜上、高粘度インクともいう。)を吐出させた場合には、インクの吐出周波数を高めるとインクの吐出が不安定になってしまうという問題があった。図5Aは、高粘度インクが安定して吐出されている様子を示している。これに対し、図5Bは、高粘度インクが不安定な状態で吐出されている様子を示している。これらの図を比較すると、不安定な状態では、飛行速度が不足しているインク滴や吐出曲がりが生じているインク滴があることが判る。
図6は、粘度が20ミリパスカル秒のインクに適した波形の吐出パルスPS1aを説明する図である。この吐出パルスPS1aでは、膨張部分として機能する第2減圧部分P6の生成期間pwc2を、圧力室424における固有振動周期(以下、記号Tcで示すこともある)の1/4よりも短くしている。図7は、図6の吐出パルスPS1aで1つのインク滴を吐出させた場合における、メニスカスの状態を説明する図である。なお、図6において、縦軸は駆動信号COMの電位であり、横軸は時間である。また、図7において、縦軸はメニスカスの状態をインクの量で示しており、横軸は時間である。縦軸に関し、0ngは、定常状態におけるメニスカスの位置を示す。そして、正側に値が大きくなるほどメニスカスが吐出方向に押し出された状態を示し、負側に値が大きくなるほどメニスカスが圧力室424側に引き込まれた状態を示す。加えて、対象の圧力室424における固有振動周期は7μsである。
図10は、粘度が6ミリパスカル秒のインクに適した波形の吐出パルスPS1bを説明する図である。この吐出パルスPS1bでは、膨張部分として機能する第2減圧部分P6の生成期間pwc2を、圧力室424における固有振動周期の6/7(約0.85倍)よりも短くしている。図11は、図10の吐出パルスPS1bで1つのインク滴を吐出させた場合における、メニスカスの状態を説明する図である。
図6の吐出パルスPS1aと図10の吐出パルスPS1bの比較により、吐出パルスPSが有する第2減圧部分P6、すなわち、収縮状態の圧力室424を基準容積まで膨張させるための動作をピエゾ素子433に行わせる第2減圧部分P6(膨張部分)について、その生成期間pwc2をインクの粘度に応じて適宜定めることにより、高粘度インクに関して吐出を安定化できることが判る。すなわち、圧力室424内へのインクの供給量をインクの粘度に応じて調整できるので、インク滴の連続的な吐出時において圧力室424内のインク量に過不足が生じることを有効に防止できる。
次に、中間電位VBの影響について説明する。図12は、中間電位VBを、最低電位VLよりも駆動電圧Vhの20%だけ高く定めた他の吐出パルスPS2bを説明する図である。図13は、図12の吐出パルスPS2bでインクを1回吐出させた場合における、メニスカスの状態を説明する図である。この場合においても、対象の圧力室424における固有振動周期は7μsであり、インクの粘度は20ミリパスカル秒である。
次に、インクの吐出周波数について説明する。図16は周波数特性の測定に用いた吐出パルスPS3aを説明する図である。図17は、図16の吐出パルスPS3aでインクを1回吐出させた場合における、メニスカスの状態を説明する図である。図18は周波数特性の測定に用いた他の吐出パルスPS3bを説明する図である。図19は、図18の吐出パルスPS3bでインクを1回吐出させた場合における、メニスカスの状態を説明する図である。これらの場合において、対象の圧力室424における固有振動周期は8μsであり、インクの粘度は20ミリパスカル秒である。図20は、図16の吐出パルスPS3aを用いた場合(四角形)、及び、図18の吐出パルスPS3bを用いた場合(菱形)におけるインク滴の吐出量を、吐出周波数毎に示す図である。
以上の説明から判るように、このプリンタ1ではインクの粘度に応じて、第2減圧部分P6(膨張部分)の生成期間pwc2を最適化しているので、高粘度インクの吐出を安定化できる。
前述した実施形態は、主として、液体吐出装置としてのプリンタ1を有する印刷システムについて記載されているが、その中には、液体吐出方法や液体吐出システム等の開示が含まれている。また、この実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
前述した実施形態のヘッドHDでは、ピエゾ素子433として、吐出パルスPSで与えられる電位が高いほど、圧力室424の容積を大きくするための動作をするタイプのものを用いていた。ヘッドに関し、他のタイプのものを用いてもよい。図21に示した他のヘッドHD´は、ピエゾ素子75として、吐出パルスPS4(図22を参照)で与えられる電位が高いほど、圧力室73の容積を小さくするための動作をするタイプのものを用いている。
このプリンタ1では、インクを吐出させるための動作をする素子として、ピエゾ素子433,75を用いている。ここで、吐出動作をする素子は、前述したピエゾ素子433,75に限定されるものではない。印加された電位に応じて動作をし、圧力室424,73内の液体に圧力変化を与える素子であればよい。例えば、磁歪素子であってもよい。そして、この素子として、前述の実施形態のようにピエゾ素子75を用いた場合には、圧力室424,73の容積を吐出パルスPSの電位に基づいて精度良く制御できる。
また、前述の実施形態では、液体吐出装置としてプリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の液体吐出装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
30 駆動信号生成回路,31 DAC回路,32 電圧増幅回路,
33 電流増幅回路,40 ヘッドユニット,41 ケース,
411 収容空部,42 流路ユニット,421 流路形成基板,
422 ノズルプレート,423 振動板,423a ダイヤフラム部,
424 圧力室,425 インク供給路,426 共通インク室,
427 ノズル,428 支持板,428a 島部,429 弾性体膜,
43 ピエゾ素子ユニット,431 ピエゾ素子群,432 固定板,
433 ピエゾ素子,434 共通電極,435 駆動電極,
436 圧電体,44 スイッチ,50 検出器群,
60 プリンタ側コントローラ,61 インタフェース部,
62 CPU,63 メモリ,71 共通インク室,
72 インク供給口,73 圧力室,74 ノズル,75 ピエゾ素子,
76 振動板,CP コンピュータ,HD ヘッド,
HD´ 他のヘッド,HC ヘッド制御部,COM 駆動信号,
PS 吐出パルス,P2 第1減圧部分,P3 第1電位保持部分,
P4 加圧部分,P5 第2電位保持部分,P6 第2減圧部分,
P12 第1減圧部分,P13 第1電位保持部分,
P14 加圧部分,P15 第2電位保持部分,P16 第2減圧部分
Claims (7)
- (A)液体の供給部とノズルのそれぞれに連通された圧力室と、
(B)前記圧力室の容積を変化させるための動作をする素子と、
(C)前記ノズルから前記液体を吐出させるべく基準容積の圧力室の容積を変化させて前
記基準容積に戻す一連の動作を前記素子に行わせる吐出パルスであって、前記液体を前記
ノズルから吐出させるべく、前記圧力室を収縮させる動作を前記素子に行わせる吐出部分
、及び、前記吐出部分よりも後に生成され、圧力室の最少体積が維持される最終タイミングから収縮状態の前記圧力室を前記基準容積まで膨張させるための動作を前記素子に行わせる膨張部分を有する吐出パルスを、繰り返し生成する吐出パルス生成部と、
(D)を備えた液体吐出装置用の吐出パルスの設定方法であって、
(E)前記液体の粘度は、6ミリパスカル秒以上であって20ミリパスカル秒以下の範囲
内に定められており、
(F)前記液体の粘度が高いほど、前記膨張部分の生成期間を短く、
(G)前記液体の粘度が6ミリパスカル秒の場合に、前記膨張部分の生成期間を前記圧力室に
おける固有振動周期の6/7以下の範囲に定め、
前記液体の粘度が20ミリパスカル秒の場合に、前記膨張部分の生成期間を前記圧力室
における固有振動周期の1/3以下の範囲に定める
(H)吐出パルスの設定方法。 - 請求項1に記載の吐出パルスの設定方法であって、前記膨張部分の生成期間を、メニスカスの形状を維持し得る時間以上に定める、吐出パルスの設定方法。
- 請求項1または請求項2の何れかに記載の吐出パルスの設定方法であって、
前記吐出部分を、前記吐出パルスにおける最高電位と最低電位の一方から他方まで電位
を変化させる部分として定め、
前記膨張部分を、前記吐出パルスにおける最高電位と最低電位の他方から前記基準容積
に対応する基準電位まで電位を変化させる部分として定める、吐出パルスの設定方法。 - 請求項3に記載の吐出パルスの設定方法であって、
前記吐出部分の終端と前記膨張部分の始端とを、前記吐出部分の終端電位で一定の定電
位部分で接続する、吐出パルスの設定方法。 - 請求項3又は請求項4に記載の吐出パルスの設定方法であって、
前記吐出パルスは、液体を吐出させるための準備をすべく、前記圧力室を膨張させる動
作を前記素子に行わせる他の膨張部分を有しており、
前記他の膨張部分を、前記基準電位から、前記吐出パルスにおける最高電位と最低電位
の一方まで電位を変化させる部分として定める、吐出パルスの設定方法。 - 請求項5に記載の吐出パルスの設定方法であって、
前記他の膨張部分の終端と前記吐出部分の始端とを、前記他の膨張部分の終端電位で一
定の他の定電位部分で接続する、吐出パルスの設定方法。 - 請求項3から請求項6の何れかに記載の吐出パルスの設定方法であって、
前記基準電位を、前記吐出パルスにおける最高電位と最低電位の他方から、前記吐出パ
ルスの最高電位と最低電位の差の20%以上であって50%以下の範囲に定める、吐出パ
ルスの設定方法。
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