JP5235657B2 - 原核生物における可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼの発現 - Google Patents

原核生物における可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼの発現 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、酸化環境を有する原核微生物において可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼを産生する向上した方法を提供する。
関連出願の相互参照
本願は、2005年3月24日に出願された米国特許仮出願第60/665,396号、2005年4月5日に出願された米国特許仮出願第60/668,899号、および2005年10月31日に出願された米国特許仮出願第60/732,409号の恩典を主張する。このそれぞれは全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
連邦政府の支援による研究および開発の下でなされた発明に関する記載
該当なし
発明の背景
真核生物は、商業および治療において有用な、オリゴ糖構造、または糖脂質もしくは糖タンパク質などの複合糖質を合成する。オリゴ糖または複合糖質は、組換え真核生物グリコシルトランスフェラーゼを用いてインビトロで合成することができる。多くの組換えタンパク質の最も効率的な産生方法は、細菌におけるタンパク質の発現である。しかしながら、細菌では、多くの真核生物グリコシルトランスフェラーゼは細菌封入体に入った不溶性タンパク質として発現され、封入体からの活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼタンパク質の収率は非常に低いことがある。さらに、多くの真核生物グリコシルトランスフェラーゼは、これらが由来する細胞ではグリコシル化されたタンパク質として発現される。従って、細菌内でのタンパク質の発現はネイティブなグリコシル化パターンを組み込んでおらず、活性のある真核生物グリコシルトランスフェラーゼタンパク質が発現される期待がさらに薄まると考えられる。例えば、Breton et al., Biochimie 83:713-718(2001)を参照されたい。従って、例えば、細菌などの原核生物において、酵素的に活性な真核生物グリコシルトランスフェラーゼを産生する改善した方法が必要とされている。本発明は、この必要性および他の必要性を解決する。
発明の簡単な概要
1つの局面において、a)真核生物グリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を酸化環境を有する原核生物において発現させ、次いで、b)原核微生物の細胞区画内で可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼの発現を可能にする条件下で、原核微生物を増殖させることによって、酸化環境を有する原核生物において可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼを産生する方法を提供する。
1つの態様において、真核生物グリコシルトランスフェラーゼは、真核生物N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GnTまたはGNT)、真核生物N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(GalNAcT)、真核生物ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)、および真核生物シアリルトランスフェラーゼから選択されるメンバーである。これらのクラスの酵素の各々の例には、例えば、真核生物N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼについては、GnT1、BGnT-1、GnT-II、GnT-III、GnT-IV(例えば、GnT-IVaおよびGnT-IVb)、GnT-V、GnT-VI、GnT-IVH、MGNT1、ならびにOGTタンパク質、真核生物N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼについては、GalNAc-T2、GalNAc-T1、およびGalNAc-T3タンパク質、真核生物ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)については、真核生物β-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT1)または真核生物コアIガラクトシルトランスフェラーゼ(コア1 GalT1)、真核生物シアリルトランスフェラーゼについては、真核生物α(2,3)シアリルトランスフェラーゼ(ST3Gal3)、真核生物α-N-アセチルガラクトサミニドα-2,6-シアリルトランスフェラーゼI(ST6GalNAcT1)または真核生物galβ1,3Ga1NAcα2,3-シアリルトランスフェラーゼ(ST3GalI)が含まれる。
本発明において使用するための真核生物グリコシルトランスフェラーゼの好ましい例には、真核生物N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GnT1またはGNTI)、真核生物N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(GalNAcT)、例えば、GalNAcT1、GalNAcT2、またはGalNAcT3、真核生物β-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT1)、真核生物α-2,3-シアリルトランスフェラーゼ(ST3Gal3)、真核生物α-N-アセチルガラクトサミニドα-2,6-シアリルトランスフェラーゼI(ST6GalNAc-1)、真核生物galβ1,3GalNAcα2,3-シアリルトランスフェラーゼ(ST3Gal-1)、および真核生物コア1ガラクトシルトランスフェラーゼ(コア1-GalT-1)が含まれる。
第1の態様において、原核微生物は、酸化環境を有する大腸菌またはシュードモナス属(Pseudomonas)細菌である。例えば、大腸菌は、内因性還元酵素核酸またはゲノム還元酵素核酸、例えば、txrB遺伝子およびgor遺伝子を不活性化するように操作することができる。使用することができる他の大腸菌株には、例えば、trxB gor supp変異株またはtrxB gshA supp変異株が含まれる。両株とも、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,872,563号に開示される。さらなる態様において、原核微生物、例えば、大腸菌細胞またはシュードモナス属細胞は、真核生物グリコシルトランスフェラーゼが発現されている間、12〜30℃の温度で増殖する。原核微生物はまた、真核生物グリコシルトランスフェラーゼの可溶性を高めるために、さらなるタンパク質、例えば、異種プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)または異種シャペロンタンパク質を発現してもよく、異種PDIおよび異種シャペロンタンパク質を両方とも発現してもよい。
別の態様において、前記方法は、真核生物グリコシルトランスフェラーゼを単離する工程をさらに含む。さらなる態様において、真核生物グリコシルトランスフェラーゼは、精製タグ、例えば、マルトース結合タンパク質ドメインまたはデンプン結合タンパク質ドメインを含む。さらなる態様において、可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼは商業的規模で産生される。商業的規模は、商業的な(マイクログラム、ミリグラム、またはグラム)規模でグリコシル化産物を産生するのに十分な量の酵素の調製を含む。
別の局面において、本発明は、酸化環境を有する原核微生物において産生された可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼを提供する。1つの好ましい態様において、可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼは原核微生物の細胞内で発現される。さらなる態様において、可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼはグリコシル化されないか、または真核細胞、例えば、哺乳動物細胞、酵母細胞、または起源細胞(すなわち、ヒトグリコシルトランスフェラーゼの場合、ヒト細胞)において発現された同じ真核生物グリコシルトランスフェラーゼと比較して、異なるグリコシル化パターンもしくは最小限のグリコシル化パターンを有する。グリコシル化されていない真核生物グリコシルトランスフェラーゼ、異なってグリコシル化された真核生物グリコシルトランスフェラーゼ、または最小限にグリコシル化された真核生物グリコシルトランスフェラーゼは酵素活性を有することが好ましい。
さらなる局面において、本発明は、オリゴ糖の産生を可能にする条件下で、アクセプター基質と、ドナー基質および前段落の可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼを接触させることによって、オリゴ糖を産生するインビトロ方法を提供する。ある態様では、アクセプター基質は、例えば、糖脂質、糖タンパク質、糖ペプチド、タンパク質、またはペプチドに取り付けられる。1つの態様では、糖タンパク質、糖ペプチド、タンパク質、またはペプチドは治療用タンパク質である。治療用タンパク質には、例えば、表2に列挙したタンパク質が含まれる。別の態様では、オリゴ糖は単離される。さらなる態様では、オリゴ糖は商業的規模で産生される。
定義
本発明の方法によって産生された組換えグリコシルトランスフェラーゼタンパク質は、糖類をドナー基質からアクセプター基質に転移するのに有用である。この付加は、一般的に、生体分子にあるオリゴ糖または炭水化物部分の非還元末端で行われる。本明細書で定義される生体分子には、生物学的に重要な分子、例えば、炭水化物、タンパク質(例えば、糖タンパク質)、ならびに脂質(例えば、糖脂質、リン脂質、スフィンゴ脂質、およびガングリオシド)が含まれるが、これに限定されない。
以下の略語が本明細書において用いられる:
Ara=アラビノシル;
Fru=フルクトシル;
Fuc=フコシル;
Gal=ガラクトシル;
GalNAc=N-アセチルガラクトシルアミノ;
Glc=グルコシル;
GlcNAc=N-アセチルグルコシルアミノ;
Man=マンノシル;および
NeuAc=シアリル(N-アセチルノイラミニル)
FTまたはFucT=フコシルトランスフェラーゼ
ST=シアリルトランスフェラーゼ
GalT=ガラクトシルトランスフェラーゼ
アラビア数字またはローマ数字は、特定のグリコシルトランスフェラーゼの身元を示すために当技術分野において用いられる命名規約に従って、本明細書において同義に用いられる(例えば、FTVIIおよびFT7は同じフコシルトランスフェラーゼを指す)。
オリゴ糖は、還元末端にある糖類が実際に還元糖であってもなくても、還元末端および非還元末端を有するとみなされる。一般に認められている命名法によれば、オリゴ糖は、左側に非還元末端、右側に還元末端を向けて本明細書において図示される。
用語「シアル酸」は、9炭素のカルボキシル化糖のファミリーの任意のメンバーを意味する。シアル酸ファミリーの最も一般的なメンバーは、N-アセチル-ノイラミン酸(2-ケト-5-アセトアミド-3,5-ジデオキシ-D-グリセロ-D-ガラクトノヌロピラノス-1-オニック酸(Neu5Ac、NeuAc、またはNANAと略されることが多い)である。ファミリーの第2のメンバーは、NeuAcのN-アセチル基ががヒドロキシル化されているN-グリコリル-ノイラミン酸(Neu5GcまたはNeuGc)である。第3のシアル酸ファミリーメンバーは、2-ケト-3-デオキシ-ノヌロソン酸(KDN)である(Nadano et al. (1986) J. Biol. Chem. 261: 11550-11557; Kanamori et al., J. Biol. Chem. 265: 21811-21819 (1990))。9-置換シアル酸、例えば、9-O-ラクチル-Neu5Acまたは9-O-アセチル-Neu5Acのような9-O-C1-C6アシル-Neu5Ac、9-デオキシ-9-フルオロ-Neu5Ac、および9-アジド-9-デオキシ-Neu5Acも含まれる。シアル酸ファミリーの概要については、例えば、Varki, Glycobiology 2: 25-40 (1992); Sialic Acids: Chemistry, Metabolism and Function, R. Schauer, Ed. (Springer-Verlag, New York (1992))を参照されたい。シアル酸付加手順におけるシアル酸化合物の合成および使用は、1992年10月1日に公開された国際出願WO92/16640に開示されている。
グリコシルトランスフェラーゼの「アクセプター基質」は、ある特定のグリコシルトランスフェラーゼのアクセプターとして作用することができるオリゴ糖部分である。アクセプター基質が対応するグリコシルトランスフェラーゼおよび糖ドナー基質ならびに他の必要な反応混合物成分と接触し、反応混合物が十分な時間インキュベートされると、グリコシルトランスフェラーゼは、糖残基を糖ドナー基質からアクセプター基質へ転移する。アクセプター基質は、多くの場合、異なるタイプの特定のグリコシルトランスフェラーゼについて異なる。例えば、哺乳動物ガラクトシド2-L-フコシルトランスフェラーゼ(α1,2-フコシルトランスフェラーゼ)のアクセプター基質は、オリゴ糖の非還元末端にあるGalβ1,4-GlcNAc-Rを含む。このフコシルトランスフェラーゼは、フコース残基をα1,2結合を介してGalに取り付ける。末端Galβ1,4-GlcNAc-RおよびGalβ1,3-GlcNAc-Rならびにそのシアル酸付加類似体は、それぞれ、α1,3-フコシルトランスフェラーゼおよびα1,4-フコシルトランスフェラーゼのアクセプター基質である。しかしながら、これらの酵素は、フコース残基をアクセプター基質のGlcNAc残基に取り付ける。従って、用語「アクセプター基質」は、ある特定の用途の関心対象のある特定のグリコシルトランスフェラーゼに関連して考慮される。さらなるグリコシルトランスフェラーゼのアクセプター基質が本明細書に記載されている。アクセプター基質には、例えば、糖脂質、ペプチド、タンパク質、糖ペプチド、糖タンパク質、および治療用タンパク質も含まれる。
グリコシルトランスフェラーゼの「ドナー基質」は、活性化されたヌクレオチド糖である。このような活性化糖は、一般的に、糖のウリジン一リン酸誘導体、グアノシン一リン酸誘導体、およびシチジン一リン酸誘導体(それぞれ、UMP、GMP、CMP)、または糖のウリジン二リン酸誘導体、グアノシン二リン酸誘導体、およびシチジン二リン酸誘導体(それぞれ、UDP、GDP、およびCDP)からなる。ここで、ヌクレオシド一リン酸または二リン酸は脱離基として働く。例えば、フコシルトランスフェラーゼのドナー基質はGDP-フコースである。シアリルトランスフェラーゼドナー基質は、例えば、望ましいシアル酸を含む活性化糖ヌクレオチドである。例えば、NeuAcの場合、活性化糖はCMP-NeuAcである。他のドナー基質には、例えば、GDPマンノース、UDP-ガラクトース、UDP-N-アセチルガラクトサミン、CMP-NeuAc-PEG(CMP-シアル酸-PEGとも呼ばれる)、UDP-N-アセチルグルコサミン、UDP-グルコース、UDP-グルコリン酸、およびUDP-キシロースが含まれる。糖には、例えば、NeuAc、マンノース、ガラクトース、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン、グルコース、グルコリオン酸(glucorionic acid)、およびキシロースが含まれる。細菌系、植物系、および真菌系は、時として、他の活性化ヌクレオチド糖を使用することがある。
本明細書で使用する「タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、または糖ペプチドをリモデリングする方法」は、グリコシルトランスフェラーゼを用いたタンパク質、ペプチド、糖タンパク質、または糖ペプチドへの糖残基の付加を意味する。好ましい態様において、糖残基はPEG分子に共有結合している。
本明細書で使用する「真核生物グリコシルトランスフェラーゼ」は、真核生物に由来し、ドナー基質、すなわち、活性化ヌクレオチド糖からアクセプター基質、例えば、オリゴ糖、糖脂質、ペプチド、タンパク質、糖ペプチド、または糖タンパク質への糖残基の転移を触媒する酵素を意味する。好ましい態様において、真核生物グリコシルトランスフェラーゼは、ドナー基質、すなわち、ヌクレオチド糖から、ペプチド、タンパク質、糖ペプチド、または糖タンパク質へ糖を転移する。別の好ましい態様において、真核生物グリコシルトランスフェラーゼは、II型膜貫通グリコシルトランスフェラーゼである。改変されていないII型膜貫通グリコシルトランスフェラーゼは、典型的に、アミノ末端細胞質ドメイン、シグナルアンカーまたは膜貫通ドメイン、ステム領域、および触媒ドメインを含む。例えば、Paulson and Colley、J. Biol. Chem. 264:17615-17618 (1989)を参照されたい。真核生物グリコシルトランスフェラーゼは、真核生物、例えば、単細胞真核生物または多細胞真核生物、植物、無脊椎動物、例えば、ショウジョウバエ(Drosophila)または線虫(C. elegans)、脊椎動物、両生類または爬虫類、哺乳動物、げっ歯類、霊長類、ヒト、ウサギ、ラット、マウス、ウシ、またはブタなどに由来してもよい。真核生物グリコシルトランスフェラーゼの例は以下に記載され、添付の配列表にも見られる。
本明細書で使用する「真核生物シアリルトランスフェラーゼ」は、真核生物に由来するシアリルトランスフェラーゼを意味する。この酵素は、CMP-シアル酸ドナーからアクセプター分子へのシアル酸部分の転移を触媒する。真核生物シアリルトランスフェラーゼはまた、保存されている構造モチーフ、例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、Tsuji, J. Biochem. 120:1-13 (1996)に記載のシアリルモチーフLおよびシアリルモチーフSが存在することで認識することもできる。さらなるシアリルトランスフェラーゼモチーフ、例えば、ベリースモール(very small)(VS)モチーフおよびモチーフIIIが、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、2005年10月5日に電子出版されたPatel and Balaji, Glycobiology, 16:108-116 (2006)に記載されている。真核生物シアリルトランスフェラーゼには、α2→3、α2→6、α2→8を含む様々な結合を形成する酵素が含まれる。真核生物シアリルトランスフェラーゼは、シアル酸部分を、アクセプター分子上にある異なるアクセプター糖、例えば、ガラクトース、GalNAc、および別のシアル酸分子に転移する。特定の反応を触媒する真核生物シアリルトランスフェラーゼ、すなわち、ST3Gal、ST6Gal、ST6GalNAc、またはST8Siaファミリーのメンバーである真核生物シアリルトランスフェラーゼは、これらのファミリー内に保存されているアミノ酸残基が存在することによって特定することができる。このようなファミリーに基づく保存アミノ酸残基は、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、2005年10月5日に電子出版されたPatel and Balaji, Glycobiology, 16:108-116 (2006)に開示されている。真核生物シアリルトランスフェラーゼの例は以下に記載され、添付の配列表にも見られる。
本明細書で使用する「真核生物α(2,3)シアリルトランスフェラーゼ(ST3Gal3)」は、真核生物から単離されたα(2,3)シアリルトランスフェラーゼを意味する。この酵素は、Galβ1,3GlcNAc、Galβ1,3GalNAc、またはGalβ1,4GlcNAcグリコシドのGalへのシアル酸の転移を触媒する(例えば、Wen et al. (1992) J. Biol. Chem. 267: 21011; Van den Eijnden et al. (1991) J. Biol. Chem. 256: 3159を参照されたい)。シアル酸はGalに連結し、2つの糖類間でα結合が形成する。糖類間の結合(連結)は、NeuAcの2位とGalの3位との結合である。他の真核生物グリコシルトランスフェラーゼと同様に、ST3Gal3酵素は、膜貫通ドメイン、ステム領域、および触媒ドメインを有する。この特定の酵素はラット肝臓から単離することができ(Weinstein et al. (1982) J. Biol. Chem. 257: 13845)、ヒトcDNA(Sasaki et al. (1993) J. Biol. Chem. 268: 22782-22787; Kitagawa & Paulson (1994) J. Biol. Chem. 269: 1394-1401)およびゲノム(Kitagawa et al. (1996) J. Biol. Chem. 271: 931-938)DNA配列は公知であるので、この酵素を組換え発現により産生することは容易である。ラットST3Gal3はクローニングされており、配列は公知である。例えば、Wen et al., J. Biol. Chem. 267:21011-21019(1992)およびアクセッション番号M97754を参照されたい。これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。例示的なST3Gal3タンパクは、例えば、SEQ ID NO:22-32に開示されている。
本明細書で使用する「真核生物α-N-アセチルガラクトサミニドα-2,6-シアリルトランスフェラーゼI(ST6GalNAcT1またはST6GalNAc-1)」は、真核生物から単離されたα(2,6)シアリルトランスフェラーゼを意味する。この酵素は、CMP-シアル酸ドナーからアクセプター分子へのシアル酸の転移を触媒する。転移は、N-アセチルガラクトサミン-O-Thr/Serへのα2,6結合である。他の真核生物グリコシルトランスフェラーゼと同様に、ST6GalNAcT1酵素は、膜貫通ドメイン、ステム領域、および触媒ドメインを有する。多数のST6GalNAcT1酵素、例えば、完全長マウス配列, Kurosawa et al., J. Biochem. 127:845-854 (2000)およびアクセッション番号JC7248が単離され、特徴付けられている。これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。例示的なST6GalNAc-1タンパク質は、例えば、SEQ ID NO:62-77に開示されている。
本明細書で使用する「真核生物Galβ1,3GalNAc α2,3-シアリルトランスフェラーゼ(ST3GalIまたはST3Gal-1)」は、真核生物から単離されたGalβ1,3GalNAc α2,3-シアリルトランスフェラーゼを意味する。この酵素は、CMP-シアル酸ドナーからアクセプター分子へのシアル酸の転移を触媒する。転移は、N-アセチルガラクトサミン-O-Thr/Serへのα2,3結合である。他の真核生物グリコシルトランスフェラーゼと同様に、ST3GalI酵素は、膜貫通ドメイン、ステム領域、および触媒ドメインを有する。多数のST3GalI酵素、例えば、完全長ブタ配列,Gillespie et al., J. Biol. Chem. 267:21004-21010(1992)およびアクセッション番号A45073が単離され、特徴付けられている。これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。例示的なST3Gal-1タンパク質は、例えば、SEQ ID NO:53-61に開示されている。
本発明において使用することができる他のシアリルトランスフェラーゼには、例えば、「真核生物βガラクトシドα2,6-シアリルトランスフェラーゼ(ST6GalI)タンパク質が含まれる。例示的なST6Gal1タンパク質は、例えば、SEQ ID NO:78-82に開示されている。
本発明において用いられる真核生物シアリルトランスフェラーゼタンパク質には、α2,8シアリルトランスフェラーゼタンパク質、例えば、ST8SiaI、ST8SiaII、ST8SiaIII、およびST8SiaIVも含まれる。これらのシアリルトランスフェラーゼタンパク質の例は、例えば、SEQ ID NO:83-97に見られる。
本明細書で使用する「真核生物N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ」は、真核生物に由来するN-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼを意味する。この酵素は、UDP-GlcNAcドナーからアクセプター分子へのN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)の転移を触媒する。他の真核生物グリコシルトランスフェラーゼと同様に、N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼは、膜貫通ドメイン、ステム領域、および触媒ドメインを有する。真核生物N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼの例は以下に記載され、添付の配列表にも見られる。
本明細書で使用する真核生物「β-1,2-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GnTIまたはGNTI)」は、真核生物に由来するβ-1,2-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIを意味する。他の真核生物グリコシルトランスフェラーゼと同様に、GnTIは、膜貫通ドメイン、ステム領域、および触媒ドメインを有する。真核生物GnT1タンパク質には、例えば、ヒト,アクセッション番号NP_002397;チャイニーズハムスター,アクセッション番号AAK61868;ウサギ,アクセッション番号AAA31493;ラット,アクセッション番号NP_110488;ゴールデンハムスター,アクセッション番号AAD04130;マウス,アクセッション番号P27808;ゼブラフィッシュ,アクセッション番号AAH58297;アフリカツメガエル(Xenopus),アクセッション番号CAC51119;ショウジョウバエ,アクセッション番号NP_525117;ハマダラカ属(Anopheles),アクセッション番号XP_315359;線虫,アクセッション番号NP_497719;ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens),アクセッション番号CAD22107;ジャガイモ(Solanum tuberosum),アクセッション番号CAC80697;タバコ(Nicotiana tabacum),アクセッション番号CAC80702;イネ(Oryza sativa),アクセッション番号CAD30022;ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana),アクセッション番号CAC82507;およびシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana), アクセッション番号NP_195537が含まれる。これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。例示的なGnT1タンパク質は、例えば、SEQ ID NO:1-11に開示されている。本発明において使用することができる他の真核生物N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼタンパク質には、例えば、SEQ ID NO:140-160に例示される、BGnT-I、GnT-II、GnT-III、GnT-IV(例えば、GnT-IVaおよびGnT-IVb)、GnT-V、GnT-VI、ならびにGnT-IVHが含まれる。
他の真核生物N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼタンパク質は、本発明の方法を用いて産生することができ、例えば、SEQ ID NO:171-175に例示されるmaniac fringeタンパク質、MGNT1、およびOGTタンパク質を含む。
本明細書で使用する「真核生物N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(GalNAcT)」は、真核生物から単離されたN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼを意味する。この酵素は、UDP-GalNAcドナーからアクセプター分子へのN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)の転移を触媒する。他の真核生物グリコシルトランスフェラーゼと同様に、GalNAcT酵素は、膜貫通ドメイン、ステム領域、および触媒ドメインを有する。多数のGalNAcT酵素、例えば、GalNAcT1,アクセッション番号X85018;GalNAcT2,アクセッション番号X85019(両方ともWhite et al., J. Biol. Chem. 270:24156-24165 (1995)に記載);およびGalNAcT3,アクセッション番号X92689(Bennett et al., J. Biol. Chem. 271:17006-17012 (1996)に記載,これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる)が単離され、特徴付けられている。真核生物N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼの例は以下に記載され、図12〜36および添付の配列表にも見られる。例示的なGalNAc-T2、GalNAc-T1、およびGalNAc-T3タンパク質は、それぞれ、例えば、SEQ ID NO:33-40および192-197、126-132および189-191、ならびに133-135に開示されている。
本明細書で使用する「真核生物ガラクトシルトランスフェラーゼ」は、真核生物に由来するガラクトシルトランスフェラーゼを意味する。この酵素は、UDP-Galドナーからアクセプター分子へのガラクトースの転移を触媒する。他の真核生物グリコシルトランスフェラーゼと同様に、ガラクトシルトランスフェラーゼは、膜貫通ドメイン、ステム領域、および触媒ドメインを有する。真核生物ガラクトシルトランスフェラーゼの例は以下に記載され、添付の配列表にも見られる。
本明細書で使用する「真核生物β-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT1)」は、真核生物に由来するβ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼを意味する。この酵素は、UDP-Galドナーからアクセプター分子へのガラクトースの転移を触媒する。他の真核生物グリコシルトランスフェラーゼと同様に、GalT1酵素は、膜貫通ドメイン、ステム領域、および触媒ドメインを有する。多数のGalT1酵素、例えば、完全長ウシ配列, D'Agostaro et al., Eur. J. Biochem. 183:211-217 (1989)およびアクセッション番号CAA32695が単離され、特徴付けられている。これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。例示的なGalT1タンパク質は、例えば、SEQ ID NO:12-21に開示されている。本発明において使用することができる他のガラクトシルトランスフェラーゼは、例えば、SEQ ID NO:136-139を含む。
本明細書で使用する「真核生物コアIガラクトシルトランスフェラーゼ(コア1 GalT1またはコア-1-Gal-T1)」は、コア1β1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質を意味する。他の真核生物グリコシルトランスフェラーゼと同様に、コア1 GalT1酵素は、膜貫通ドメイン、ステム領域、および触媒ドメインを有する。多数のコア1 GalT1酵素、例えば、ショウジョウバエ配列およびヒト配列が単離され、特徴付けられている。ヒトタンパク質は、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、Ju et al., J. Biol. Chem. 277 (1), 178-186 (2002)において特徴付けられている。例示的なコア1 GalT1タンパク質は、例えば、SEQ ID NO:41-52および198-199に開示されている。
本明細書で使用する「真核生物フコシルトランスフェラーゼ」は、真核生物に由来すフコシルトランスフェラーゼを意味する。この酵素は、UDP-フコースドナーからアクセプター分子へのフコースの転移を触媒する。他の真核生物グリコシルトランスフェラーゼと同様に、フコシルトランスフェラーゼは、膜貫通ドメイン、ステム領域、および触媒ドメインを有する。真核生物ガラクトシルトランスフェラーゼの例は以下に記載され、添付の配列表にも見られる。本発明において使用することができる例示的な真核生物フコシルトランスフェラーゼタンパク質は、例えば、SEQ ID NO:98-125に開示されている。本発明の方法には、例えば、SEQ ID NO:167-170に例示されるペプチド-O-フコシルトランスフェラーゼタンパク質も含まれる。
本発明において使用することができる他の真核生物グリコシルトランスフェラーゼタンパク質は、例えば、SEQ ID NO:162に例示される、ドリコールリン酸(dolichyl-phosphate)マンノシルトランスフェラーゼポリペプチド1またはDpm1;SEQ ID NO:163-166に例示される、α-1,6-マンノシルトランスフェラーゼ、α-1,3-マンノシルトランスフェラーゼ、およびβ-1,4-マンノシルトランスフェラーゼタンパク質が含まれる。
本明細書で使用する「治療用タンパク質」は、疾患もしくは機能不全を治療するために、または被験体の健康状態を改善するために被験体に投与される、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、または糖ペプチドを意味する。好ましい態様において、被験体はヒトである。さらに好ましい態様において、治療用タンパク質はヒトタンパク質である。さらなる態様において、治療用タンパク質は、細胞内酸化環境を有する微生物において産生された1種類または複数の種類のグリコシルトランスフェラーゼによってグリコシル化されているか、他のやり方で修飾されている。
本明細書で使用する「不対システイン残基」は、正しく折り畳まれたタンパク質(すなわち、生物学的活性を有するタンパク質)において、別のシステイン残基とジスルフィド結合を形成しないシステイン残基を意味する。
「酸化還元対」は、還元型チオール試薬および酸化型チオール試薬の混合物を意味し、還元型グルタチオンおよび酸化型グルタチオン(GSH/GSSG)、システイン/シスチン、システアミン/シスタミン、DTT/GSSG、およびDTE/GSSGを含む。(例えば、Clark, Cur. Op. Biotech. 12:202-207 (2001)を参照されたい)。
用語「オキシダント」または「酸化剤」は、その環境において分子を酸化する化合物、すなわち、その環境において分子をより酸化した状態に、およびより酸化しつつある状態に変える化合物を意味する。オキシダントは電子を受け入れることによって作用し、それによって、基質を酸化した後に還元された状態になる。従って、オキシダントは、電子を受け入れる薬剤である。
用語「酸化条件」または「酸化環境」は、基質が還元されるより酸化された状態になる可能性が高い条件または環境を意味する。例えば、野生型大腸菌細胞のペリプラズムは酸化環境を構成するのに対して、野生型大腸菌細胞の細胞質は還元環境である。
「酸化状態」にある酵素は、還元型より少ない電子を有する酵素を意味する。
用語「レダクタント」または「還元剤」は、その環境において分子を還元する化合物、すなわち、その環境において分子をより還元した状態に、およびより還元しつつある状態に変える化合物を意味する。還元剤は、電子を供与することによって作用し、それによって、基質を還元した後に酸化された状態になる。従って、還元剤は、電子を供与する薬剤である。還元剤の例には、ジチオスレイトール(DTT)、メルカプトエタノール、システイン、チオグリコレート、システアミン、グルタチオン、および水素化ホウ素ナトリウムが含まれる。
用語「還元酵素」は、チオレドキシン還元酵素、グルタチオンもしくはグルタチオン還元酵素(「酸化還元酵素」とも呼ばれる)、またはチオレドキシン系もしくはグルタレドキシン系のメンバーを還元することができる他の任意の酵素を意味する。
用語「還元酵素経路」は、環境を還元条件に維持する細胞内の系を意味し、グルタレドキシン系およびチオレドキシン系を含む。
用語「還元条件」または「還元環境」は、基質が酸化されるより還元された状態になる可能性が高い条件または環境を意味する。例えば、真核細胞の細胞質は還元環境を構成する。
本明細書において同義に用いられる「ジスルフィド結合形成」または「ジスルフィド結合酸化」は、1つまたは2つのポリペプチドに存在する2つのシステイン間で共有結合を形成するプロセスを意味する。ジスルフィド結合の酸化は、酵素の活性部位システインと標的タンパク質のシステインとのチオール-ジスルフィド交換によって媒介される。ジスルフィド結合形成は、ジスルフィド結合形成の触媒と呼ばれる酵素によって触媒される。
「還元状態」にある酵素は、酸化型より多い電子を有する。
「ジスルフィド結合の還元」は、ジスルフィド結合の切断によって、2つのチオール基が生じるプロセスを意味する。ジスルフィド結合の還元は、酵素の活性部位システインと標的タンパク質のシステインのチオール-ジスルフィド交換によって媒介される。
用語「ジスルフィド結合の異性化」は、異なるシステイン間のジスルフィド結合の交換、すなわち、ジスルフィド結合の再編成を意味する。ジスルフィド結合の異性化は、酵素の活性部位システインと標的タンパク質のシステインのチオール-ジスルフィド交換によって媒介され、イソメラーゼによって触媒される。大腸菌において、異性化は、ペリプラズムのジスルフィド結合酸化還元酵素であるDsbCまたはDsbGによって触媒される。
「ジスルフィド結合形成の触媒」は、ジスルフィド結合形成を刺激する薬剤である。このような薬剤は、活性になるために酸化状態にならなければならない。
「ジスルフィド結合異性化の触媒」は「ジスルフィド結合イソメラーゼ」とも呼ばれ、ジスルフィド結合異性化を刺激する薬剤である。このような薬剤は、活性になるために還元状態にならなければならない。
用語「接触させる」は、以下:組み合わされる、添加される、混合される、通過される、インキュベートされる、流されるなどと共に本明細書において同義に用いられる。
「シャペロンタンパク質」は、新たに合成されたタンパク質の適切な折り畳みを促進することが知られるタンパク質である。シャペロンタンパク質には、例えば、trigger factor; Hsp70シャペロンファミリーのメンバー、例えば、DnaK; Hsp100シャペロンファミリーのメンバー、例えば、ClpB、およびHsp60シャペロンファミリーのメンバー、例えば、GroELが含まれる。例えば、Sorensen and Mortensen, BioMed Central, www.microbialcellfactories.com/content/4/1/1を参照されたい。4℃でタンパク質の折り畳みを可能にするシャペロン、例えば、例えば、オレイスピラ-アンタルチカ(Oleispira antartica)RB8Tに由来するCpn60およびCpn10も知られている。例えば、同上、およびFerrer et al., Nat. Biotechnol. 21:1266-1267 (2003)を参照されたい。
「プロテインジスルフィドイソメラーゼ」または「PDIタンパク質」は、ジスルフィド結合を作成または再編成することができる。PDIタンパク質は、例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、Georgiou et al.米国特許第6,027,888号に記載されている。PDIタンパク質は真核生物および原核生物に由来する。真核生物PDIタンパク質には、InterproファミリーIPR005792プロテインジスルフィドイソメラーゼの真核生物PDIタンパク質が含まれる。例示的な真核生物PDIタンパク質には、例えば、ラット肝臓PDI、サックロミセス属(Sacchromyces)に由来するEro1pおよびPdi1pタンパク質からのPDIタンパク質が含まれる。原核生物タンパク質には、例えば、大腸菌に由来するDsbCが含まれる。例えば、Frand et al., Trends in Cell Biol. 10:203-210 (2000)を参照されたい。
タンパク質ジスルフィド結合の酸化還元状態を維持するように作用する他の原核生物タンパク質には、例えば、大腸菌に由来するDsbB、DsbA、DsbC、DsbD、およびDsbGが含まれる。これらのタンパク質は当技術分野において周知であり、例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、Beckwith et al.,米国特許第6,872,563号に記載されている。
用語「PEG」は、ポリ(エチレングリコール)を意味する。PEGは、ペプチドと結合されてきた例示的な重合体である。ペプチドの免疫原性を下げ、循環からのクリアランス時間を延ばすために、PEGを用いたペプチド治療剤の誘導体化が証明されている。例えば、米国特許第4,179,337号(Davis et al.)は、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコールと結合した非免疫原性ペプチド、例えば、酵素およびペプチドホルモンにかかわった。ペプチド1モル当たり10〜100モルの重合体が用いられ、生理学的活性の少なくとも15%が維持される。
本明細書で使用する用語「比活性」は、酵素、例えば、本発明の組換えグリコシルトランスフェラーゼの触媒活性を意味し、活性単位で表してもよい。本明細書で使用する、1活性単位は、ある特定の温度(例えば、37℃)およびpH値(例えば、pH7.5)で、1分につき1μmolの産物の形成を触媒する。従って、10単位の酵素は、例えば、37℃の温度、例えば、7.5のpH値で、1分間に10μmolの基質が10μmolの産物に変換される、その酵素の触媒量である。
「N結合」オリゴ糖は、アスパラギンを介して、アスパラギン-N-アセチルグルコサミン結合によってペプチドバックボーンに連結されたオリゴ糖である。N結合オリゴ糖は「Nグリカン」とも呼ばれる。天然のN結合オリゴ糖は、Man3GlcNAc2からなる共通した五糖コアを有する。これらは、N-アセチルグルコサミン、ガラクトース、N-アセチルガラクトサミン、フコース、およびシアル酸などの周辺糖の分枝(アンテナ(antennae)とも呼ばれる)の存在および数の点で異なってもよい。任意に、この構造はまた、コアフコース分子および/またはキシロース分子を含有してもよい。本発明の方法によって産生された可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼを使用すると、天然のN結合構造を模倣するオリゴ糖、または使用者によって設計されたオリゴ糖を作成することができる。本発明の1つの態様において、N結合オリゴ糖を生じる可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼは、細胞内酸化環境を有する1種類または複数の種類の微生物において発現される。N結合オリゴ糖を生じる可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼには、例えば、GnT1、GalT1、およびST3Gal3酵素が含まれる。
「O結合」オリゴ糖は、スレオニン、セリン、ヒドロキシプロリン、チロシン、または他のヒドロキシ含有アミノ酸を介してペプチドバックボーンに連結されたオリゴ糖である。本発明の方法によって産生された可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼを使用すると、天然のO結合構造を模倣するオリゴ糖、または使用者によって設計されたオリゴ糖を作成することができる。本発明の1つの態様において、O結合オリゴ糖を生じる可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼは、細胞内酸化環境を有する1種類または複数の種類の微生物において発現される。O結合オリゴ糖を生じる可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼには、例えば、GalNAc-T2、Cor-1-Gal-T1、ST6GalNAc-1、およびST3Gal-1酵素が含まれる。
「実質的に均一なグリコフォーム」または「実質的に均一なグリコシル化パターン」は、糖タンパク質種について言及している場合、関心対象のグリコシルトランスフェラーゼ(例えば、フコシルトランスフェラーゼ)によってグリコシル化されたアクセプター基質のパーセントを意味する。出発物質はグリコシル化アクセプター基質を含有してもよいことが当業者に理解されるだろう。従って、グリコシル化の計算量は、本発明の方法によってグリコシル化されたアクセプター基質、ならびに出発物質において既にグリコシル化されているアクセプター基質を含む。
用語「生物学的活性」は、タンパク質の酵素活性を意味する。例えば、シアリルトランスフェラーゼの生物学的活性は、シアル酸部分をドナー分子からアクセプター分子へ転移する活性を意味する。GalNAcT2の生物学的活性は、N-アセチルガラクトサミン部分をドナー分子からアクセプター分子へ転移する活性を意味する。GalNAcT2タンパク質の場合、アクセプター分子は、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、または糖ペプチドでもよい。GnT1タンパク質の生物学的活性は、N-アセチルグルコサミン部分をドナー分子からアクセプター分子へ転移する活性を意味する。ガラクトシルトランスフェラーゼの生物学的活性は、ガラクトース部分をドナー分子からアクセプター分子へ転移する活性を意味する。
「商業的規模」は、1回の反応でグリコシル化産物をグラムスケールで産生することを意味する。好ましい態様において、商業的規模は、1回の反応で、少なくとも約0.2、0.5、1、2、5、10、15、25、50、75、80、90もしくは100、125、150、175、200、500、または1000グラムのグリコシル化産物を産生することを意味する。真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの商業的規模産生は、真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドをグラムスケールで産生することを意味する。好ましい態様において、商業的規模は、1U/kgタンパク質〜1000U/Kgタンパク質の産生を意味する。
「実質的に均一な」の前記の定義における用語「実質的に」は、一般的に、ある特定のグリコシルトランスフェラーゼについて、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、またはより好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%のアクセプター基質がグリコシル化されることを意味する。
用語「アミノ酸」は、天然および非天然のアミノ酸、例えば、合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸と同じように機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸ミメティクを意味する。天然アミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸、ならびに後で修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、およびO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然アミノ酸と同じ基本化学構造を有する化合物、すなわち、α炭素に水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基が結合している化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを意味する。このような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチドバックボーンを有するが、天然アミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸ミメティクは、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、天然アミノ酸と同じように機能する化合物を意味する。
「タンパク質」、「ポリペプチド」、または「ペプチド」は、単量体がアミノ酸であり、アミド結合によってつながっている重合体、またはポリペプチドと呼ばれる重合体を意味する。アミノ酸がα-アミノ酸である場合、L-光学異性体またはD-光学異性体を使用することができる。さらに、非天然アミノ酸、例えば、β-アラニン、フェニルグリシン、およびホモアルギニンも含まれる。遺伝子によってコードされていないアミノ酸も本発明において使用することができる。さらに、反応基を含むように修飾されているアミノ酸も本発明において使用することができる。本発明において用いられるアミノ酸の全てがD-異性体でもよく、L-異性体でもよい。L-異性体が一般的に好ましい。さらに、他のペプチドミメティックも本発明において有用である。概要については、Spatola, A. F., in CHEMISTRY AND BIOCHEMISTRY OF AMINO ACIDS, PEPTIDES AND PROTEINS, B. Weinstein, eds., Marcel Dekker, New York, p. 267 (1983)を参照されたい。
用語「組換え」は、細胞に関して用いられる場合、細胞が異種核酸を複製するか、異種核酸によってコードされるペプチドまたはタンパク質を発現することを示す。組換え細胞は、ネイティブ(非組換え)型の細胞の中で見出されない遺伝子を含有してもよい。組換え細胞はまた、人為的な手段によって改変され、細胞に再導入された、ネイティブ型細胞において見出される遺伝子を含有してもよい。この用語はまた、細胞から核酸を取り出すことなく改変された、細胞に対して内因性の核酸を含有する細胞も含む。このような改変は、遺伝子置換、部位特異的変異、および関連技法によって得られる改変を含む。「組換えタンパク質」は、組換え細胞によって産生されたタンパク質である。好ましい態様において、組換え真核生物グリコシルトランスフェラーゼは、組換え細菌細胞によって産生される。
「融合タンパク質」は、元のもしくはネイティブな完全長タンパク質もしくはその部分配列をコードするアミノ酸配列に付加したアミノ酸配列を含むタンパク質、元のもしくはネイティブな完全長タンパク質もしくはその部分配列をコードするアミノ酸配列の代わりとなるアミノ酸配列を含むタンパク質、元のもしくはネイティブな完全長タンパク質もしくはその部分配列をコードするアミノ酸配列より小さいアミノ酸配列を含むタンパク質、および/または元のもしくはネイティブな完全長タンパク質もしくはその部分配列をコードするアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含むタンパク質を意味する。本明細書に記載のグリコシルトランスフェラーゼに、1つを超えるさらなるドメイン、例えば、アクセサリードメインおよびエピトープタグもしくは精製タグまたは複数のエピトープタグもしくは精製タグを付加することができる。
融合タンパク質の成分には、「アクセサリー酵素」および/または「精製タグ」が含まれる。本明細書において言及される「アクセサリー酵素」は、反応の触媒に関与する酵素、例えば、グリコシルトランスフェラーゼの基質を形成する酵素である。アクセサリー酵素は、例えば、グリコシルトランスフェラーゼによるドナー部分として用いられるヌクレオチド糖の形成を触媒してもよい。アクセサリー酵素はまた、ヌクレオチド糖の形成に必要なヌクレオチド三リン酸の生成、またはヌクレオチド糖に組み込まれる糖の生成に用いられる酵素でもよい。アクセサリー酵素およびアクセサリー酵素の融合の例は、例えば、1998年12月15日に出願されたPCT出願CA98/01180に開示されている。
本発明の組換えグリコシルトランスフェラーゼは、タンパク質精製を容易にする分子「精製タグ」を一端に有する融合タンパク質として構築および発現することができる。このようなタグはまた、グリコシル化反応中の関心対象のタンパク質の固定化にも使用することができる。適切なタグには、抗体によって特異的に認識されるタンパク質配列である「エピトープタグ」が含まれる。エピトープタグは、一般的に、容易に利用可能な抗体を用いて融合タンパク質を明確に検出または単離するために、融合タンパク質に取り込まれる。「FLAGタグ」は、一般的に用いられるエピトープタグであり、モノクローナル抗FLAG抗体によって特異的に認識され、配列AspTyrLysAspAspAspAspLys(SEQ ID NO:201)または実質的に同一のその変種からなる。本発明において使用することができる他のエピトープタグには、例えば、mycタグ、AU1、AU5、DDDDK(SEQ ID NO:202)(EC5)、Eタグ、E2タグ、Glu-Glu、6残基ペプチド、EYMPME(SEQ ID NO:203)、ポリオーマミドルTタンパク質に由来、HA、HSV、IRS、KT3、S tage、S1タグ、T7タグ、V5タグ、VSV-G、β-ガラクトシダーゼ、Gal4、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼ、プロテインC、プロテインA、セルロース結合タンパク質、GST(グルタチオンS-トランスフェラーゼ)、ステップタグ、Nus-S、PPIアーゼ、Pfg27、カルモジュリン結合タンパク質、dsbAおよびその断片、ならびにグランザイムBが含まれる。エピトープペプチドおよびエピトープ配列に特異的に結合する抗体は、例えば、Covance Research Products, Inc.; Bethyl Laboratories, Inc.; Abcam Ltd.;およびNovus Biologicals, Inc.から市販されている。
他の適切な精製タグは当業者に公知であり、例えば、ニッケルイオンまたはコバルトイオンなどの金属イオンに結合する、ヘキサヒスチジン(SEQ ID NO:204)ペプチドまたは他のポリヒスチジンペプチドなどのアフィニティタグを含む。精製タグを含むタンパク質は、精製タグを結合する結合パートナー、例えば、精製タグに対する抗体、ニッケルイオンもしくはコバルトイオンまたは樹脂、およびアミロース、マルトース、またはシクロデキストリンを用いて精製することができる。精製タグはまた、デンプン結合ドメイン、大腸菌チオレドキシンドメイン(ベクターおよび抗体は、例えば、Santa Cruz Biotechnology, Inc.およびAlpha Diagnostic International, Inc.から市販されている)、ならびにSUMOタンパク質のカルボキシ末端側の半分(ベクターおよび抗体は、例えば、Life Sensors Inc.から市販されている)も含む。デンプン結合ドメイン、例えば、大腸菌に由来するマルトース結合ドメインおよびクロカビ(A.niger)のアミラーゼに由来するSBD(デンプン結合ドメイン)は、参照により本明細書に組み入れられるWO99/15636に記載されている。ベータシクロデキストリン(BCD)誘導体化樹脂を用いた、デンプン結合ドメインを含む融合タンパク質のアフィニティ精製は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、2003年5月5日に出願されたUSSN 60/468,374に記載されている。
グリコシルトランスフェラーゼはまた、「インテイン」などの自己切断タンパク質タグを含んでもよい。インテインは、エピトープタグの除去、例えば、エピトープタグの精製を容易にする。インテインおよびインテインを使用するためのキットは、例えば、New England Biolabsから市販されている。
グリコシルトランスフェラーゼに関する用語「機能ドメイン」は、酵素の活性、例えば、アクセプター基質特異性、触媒活性、結合親和性、ゴルジ体内の局在化、細胞膜への固定、または他の生物学的活性もしくは生化学的活性を付与または調整するグリコシルトランスフェラーゼドメインを意味する。グリコシルトランスフェラーゼの機能ドメインの例には、触媒ドメイン、ステム領域、シグナルアンカーまたは膜貫通ドメイン、およびアミノ末端細胞質テールが含まれるが、これに限定されない。
タンパク質に関する用語「発現レベル」または「発現のレベル」は、細胞によって産生されたタンパク質の量を意味する。細胞によって産生されたタンパク質の量は、本明細書に記載の、または当業者に公知のアッセイ法および活性単位によって測定することができる。当業者であれば、細胞によって産生されたタンパク質の量を、様々なアッセイ法を用いて測定し、様々な単位を用いて説明する方法を知っているだろう。従って、タンパク質、例えば、グリコシルトランスフェラーゼの発現のレベルの定量および量的な説明は、それぞれ、活性を測定するのに用いられるアッセイ法、または活性を説明するのに用いられる単位に限定されない。細胞によって産生されたタンパク質の量は、標準的な公知のアッセイ法によって、例えば、Bradford (1976)によるタンパク質アッセイ法、Pierce (Rockford, Illinois)のビシンコニン酸タンパク質アッセイ法キットによって、または米国特許第5,641,668号に記載のように求めることができる。タンパク質発現を求める別の方法は、ゲル電気泳動、例えば、SDS-PAGEを使用し、その後に、視覚化工程を使用して、タンパク質を含有する溶解産物または他の試料を分析する方法である。視覚化工程には、タンパク質の着色および染色、例えば、クマシー染色もしくは銀染色、またはイムノアッセイ、例えば、関心対象のタンパク質に特異的に結合する抗体を用いたウエスタンブロット分析が含まれる。抗体は、グリコシルトランスフェラーゼに対するものでもよく、タンパク質に共有結合している精製タグもしくはエピトープタグに対するものでもよい。
用語「酵素活性」は酵素の活性を意味し、本明細書に記載の、または当業者に公知のアッセイ法および単位によって測定することができる。グリコシルトランスフェラーゼの活性の例には、酵素の機能ドメインに関連する活性、例えば、アクセプター基質特異性、触媒活性、結合親和性、ゴルジ体内の局在化、細胞膜への固定、または他の生物学的活性もしくは生化学的活性が含まれるが、これに限定されない。
グリコシルトランスフェラーゼに関する「ステム領域」は、ネイティブなグリコシルトランスフェラーゼにおいて、膜領域と最短触媒ドメインの間、シグナルアンカーまたは膜貫通ドメインに隣接して位置し、グリコシルトランスフェラーゼをゴルジ体を維持する保持シグナル(retention signal)として、およびタンパク質分解切断部位として機能することが報告されている、タンパク質ドメインまたはその部分配列を意味する。ステム領域は、一般的に、疎水性膜貫通ドメイン後の最初の親水性アミノ酸から始まり、触媒ドメインで終わるか、または場合によっては、膜貫通ドメイン後の最初のシステイン残基で終わる。例示的なステム領域には、フコシルトランスフェラーゼVIのステム領域,アミノ酸残基40-54;哺乳動物GnT1のステム領域,アミノ酸残基約36〜約103(例えば、ヒト酵素を参照されたい);哺乳動物GalT1のステム領域,アミノ酸残基約71〜約129(例えば、ウシ酵素を参照されたい);哺乳動物ST3GalIIIのステム領域,アミノ酸残基約29〜約84(例えば、ラット酵素を参照されたい);無脊椎動物コア-1-Gal-T1のステム領域,アミノ酸残基約36〜約102(例えば、ショウジョウバエ酵素を参照されたい);哺乳動物コア-1-Gal-T1のステム領域,アミノ酸残基約32〜約90(例えば、ヒト酵素を参照されたい);哺乳動物ST3Gal1のステム領域,アミノ酸残基約28〜約61(例えば、ブタ酵素を参照されたい)またはヒト酵素についてはアミノ酸残基約18〜約58;哺乳動物ST6GalNAc-1のステム領域,アミノ酸残基約30〜約207(例えば、マウス酵素を参照されたい),ヒト酵素についてはアミノ酸35-278またはニワトリ酵素についてはアミノ酸37-253;哺乳動物GalNAc-T2のステム領域,アミノ酸残基約71〜約129(例えば、ラット酵素を参照された)が含まれるが、これに限定されない。
「触媒ドメイン」は、酵素によって行われる酵素反応を触媒するタンパク質ドメインまたはその部分配列を意味する。例えば、シアリルトランスフェラーゼの触媒ドメインは、ドナーからアクセプター糖類へシアル酸残基を転移するのに十分なシアリルトランスフェラーゼの部分配列を含む。触媒ドメインは、酵素全体、その部分配列を含んでもよく、天然で見出されるように酵素に結合していない、さらなるアミノ酸配列またはその部分配列を含んでもよい。例示的な触媒領域は、フコシルトランスフェラーゼVIIの触媒ドメイン,アミノ酸残基39-342;哺乳動物GnT1の触媒ドメイン,アミノ酸残基約104〜約445(例えば、ヒト酵素を参照されたい);哺乳動物GalT1の触媒ドメイン,アミノ酸残基約130〜約402(例えば、ウシ酵素を参照されたい);および哺乳動物ST3Gal3の触媒ドメイン,アミノ酸残基約85〜約374(例えば、ラット酵素を参照されたい)であるが、これに限定されない。GalNAc-T2タンパク質の触媒ドメインおよび切断変異体は、2004年6月3日に出願されたUSSN60/576,530、および2004年8月3日に出願された米国特許仮出願代理人ドケット番号040853-01-5149-P1に記載されている。両方とも、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。触媒ドメインはまた、公知のグリコシルトランスフェラーゼとのアラインメントによって特定することもできる。
「部分配列」は、長い核酸配列の一部を構成する核酸配列または長いアミノ酸配列(例えば、タンパク質)の一部を構成するアミノ酸配列を意味する。
「グリコシルトランスフェラーゼ切断」または「切断型グリコシルトランスフェラーゼ」または文法上の変形は、天然グリコシルトランスフェラーゼより少ないアミノ酸残基を有するが、酵素活性を保持しているグリコシルトランスフェラーゼを意味する。切断型グリコシルトランスフェラーゼには、例えば、切断型GnT1酵素、切断型GalT1酵素、切断型ST3GalIII酵素、切断型GalNAc-T2酵素、切断型コア1GalT1酵素、約32〜約90アミノ酸残基(例えば、ヒト酵素を参照されたい);切断型ST3Gal1酵素、切断型ST6GalNAc-1酵素、および切断型GalNAc-T2酵素が含まれる。酵素が活性を保持する限り、任意の数のアミノ酸残基を欠失することができる。ある態様では、ドメインまたはドメインの一部を欠失することができる。例えば、シグナルアンカードメインを、ステム領域および触媒ドメインを含む切断部を残しながら欠失してもよく、シグナルアンカードメインおよびステム領域の一部を、残りのステム領域および触媒ドメインを含む切断部を残しながら欠失してもよく、シグナルアンカードメインおよびステム領域を、触媒ドメインを含む切断部を残しながら欠失してもよい。グリコシルトランスフェラーゼ切断はまたタンパク質のC末端で行われてもよい。例えば、GalNAcT酵素の中には、酵素活性を下げることなく欠失することができるC末端レクチンドメインを有するものもある。
用語「核酸」は、一本鎖または二本鎖の形をしたデオキシリボヌクレオチド重合体またはリボヌクレオチド重合体を意味し、他に特別の限定が無い限り、天然ヌクレオチドと同じように核酸にハイブリダイズする天然ヌクレオチドの公知の類似体を含む。他に特別の定めが無い限り、特定の核酸配列は、その相補配列を含む。
「組換え発現カセット」または単に「発現カセット」は、このような配列と適合する宿主内での構造遺伝子の発現に影響を及ぼすことができる核酸エレメントを用いて、組換えまたは合成により作成された核酸構築物である。発現カセットは、少なくともプロモーター、任意に、転写終結シグナルを含む。典型的に、組換え発現カセットは、転写しようとする核酸(例えば、望ましいポリペプチドをコードする核酸)およびプロモーターを含む。発現をもたらすのに必要な、または役立つさらなる因子もまた本明細書に記載のように使用することができる。例えば、発現カセットは、宿主細胞から発現タンパク質の分泌を向けるシグナル配列をコードするヌクレオチド配列も含んでよい。転写終結シグナル、エンハンサー、および遺伝子発現に影響を及ぼす他の核酸配列も発現カセットに含めることができる。好ましい態様において、真核生物グリコシルトランスフェラーゼを含むアミノ酸配列をコードする組換え発現カセットが細菌宿主細胞において発現される。
本明細書で使用する「異種配列」または「異種核酸」は、特定の宿主細胞に対して外来の供給源に由来するものか、または同じ供給源に由来する場合、元の形から改変されたものである。従って、真核生物宿主細胞にある異種糖タンパク質遺伝子は、特定の宿主細胞に対して内因性の、改変された糖タンパク質コード遺伝子を含む。異種配列の改変は、例えば、プロモーターに機能的に連結することができるDNA断片を作成するように、DNAを制限酵素で処理することによって行われてもよい。部特異的変異誘発などの技法も異種配列の改変に有用である。
用語「単離された」は、酵素の活性を妨害する成分を実質的にまたは本質的に含まない材料を意味する。本発明の糖類、タンパク質、または核酸の場合、用語「単離された」は、ネイティブな状態で見出されるように、材料に通常伴う成分を実質的にまたは本質的に含まない材料を意味する。典型的に、本発明の単離された糖類、タンパク質、または核酸は、銀染色ゲル上でのバンド強度または純度を求める他の方法によって測定された時に、少なくとも約80%の純度であり、通常、少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%の純度である。純度または均一性は、当技術分野において周知の多数の手段によって示すことができる。例えば、試料中のタンパク質または核酸はポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離することができ、次いで、染色によって視覚化することができる。ある特定の目的では、タンパク質または核酸の高分離が望ましいことがあり、例えば、HPLCまたは類似の精製手段が用いられることがある。
用語「機能的に連結された」は、核酸発現制御配列(例えば、プロモーター、シグナル配列、または転写因子結合部位の配列)と、第2の核酸配列との機能的な連結を意味する。ここで、発現制御配列は、第2の配列に対応する核酸の転写および/または翻訳に影響を及ぼす。
用語「同一の」またはパーセント「同一性」は、2つもしくはそれ以上の核酸またはタンパク質配列の文脈では、以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いて、または目視検査によって測定され、最大限一致するように比較およびアラインメントされた時に、同じであるか、または特定のパーセントの同じアミノ酸残基もしくはヌクレオチドを有する2つもしくはそれ以上の配列もしくは部分配列を意味する。
句「実質的に同一の」は、2つの核酸またはタンパク質の状況では、以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いて、または目視検査によって測定され、最大限一致するように比較およびアラインメントされた時に、少なくとも約60%超の核酸配列同一性またはアミノ酸配列同一性、65%、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のヌクレオチド同一性またはアミノ酸残基同一性を有する、2つまたはそれ以上の配列または部分配列を意味する。好ましくは、実質的な同一性は、少なくとも約50残基長の配列領域にわたって、より好ましくは、少なくとも約100残基の領域にわたって存在し、最も好ましくは、配列は少なくとも約150残基にわたって実質的に同一である。最も好ましい態様において、配列はコード領域の全長にわたって実質的に同一である。
配列比較の場合、典型的に、ある配列が、試験配列と比較する参照配列として働く。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列がコンピュータに入力され、必要に応じて、部分配列の座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を計算する。
比較のための最適な配列アラインメントは、例えば、Smith & Waterman、Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)の局所ホモロジーアルゴリズム、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)のホモロジーアラインメントアルゴリズム、Pearson & Lipman, Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似性手法のための検索、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実行(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIの中のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または目視検査によって行うことができる(概要については、Current Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel et al., eds., Current Protocols, Greene Publishing Associates, Inc.とJohn Wiley & Sons, Inc.の合弁事業(1995 Supplement)(Ausubel)を参照されたい)。
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの例はBLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらは、それぞれ、Altschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-410およびAltschuel et al. (1977) Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402に記載されている。BLAST解析を行うためのソフトウェアは米国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公的に入手することができる。このアルゴリズムは、まず最初に、データベース配列中の長さWのワードとアラインメントした時に正の値の閾値スコアTにマッチまたは適合する、クエリー配列中の長さWの短いワードを特定することによって、高スコア配列対(high scoring sequence pair)(HSP)を特定することを伴う。Tは、隣接ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)と呼ばれる(Altschul et al,前出)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むさらに長いHSPを発見する検索を開始するための種配列(seed)として働く。次いで、このワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加する限り、それぞれの配列に沿って両方向に延長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列の場合、パラメータM(一対のマッチ残基のリワードスコア(reward score);常に、>0)およびN(ミスマッチ残基のペナルティースコア(penalty score);常に、<0)を用いて計算される。アミノ酸配列の場合、累積スコアを計算するためにスコアリングマトリックスが用いられる。累積アラインメントスコアが、その達成される最大値から量Xだけ減少した時に;1つもしくは複数の負のスコアの残基アラインメントの蓄積のために累積スコアが0もしくはそれ以下になった時に;またはいずれかの配列の末端に到達した時に、各方向でのワードヒットの延長は止まる。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXはアラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列の場合)は、デフォルトとして、11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、3のワード長(W)、10の期待値(E)、およびBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用する(Henikoff & Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)を参照されたい)。
BLASTアルゴリズムはまた、パーセント配列同一性を計算することに加えて、2つの配列間の類似性の統計解析も行う(例えば、Karlin & Altschul,Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA 90:5873-5787(1993)を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって得られる類似性の1つの尺度は最小合計確率(smallest sum probability)(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列間の一致が偶然に起こる確率を示す。例えば、試験核酸と参照核酸を比較した時の最小合計確率が約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満であれば、核酸は参照配列に類似しているとみなされる。
2つの核酸配列またはタンパク質が実質的に同一であることをさらに示すものは、下記のように、第1の核酸によってコードされるタンパク質が第2の核酸によってコードされるタンパク質と免疫学的に交差反応することである。従って、例えば、2つのペプチドが保存的置換でしか異ならない場合、典型的に、タンパク質は第2のタンパク質と実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であることを示す別のものは、下記のように、2つの分子がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。
句「特異的にハイブリダイズする」は、ある特定のヌクレオチド配列が複合混合物(例えば、総細胞)DNAまたはRNAに存在する時に、ある分子がストリンジェントな条件下で前記のヌクレオチド配列としか結合しない、二本鎖形成しない、またはハイブリダイズしないことを意味する。
用語「ストリンジェントな条件」は、プローブが標的部分配列とハイブリダイズするが、他の配列とハイブリダイズしない条件を意味する。ストリンジェントな条件は配列に依存し、様々な状況で異なる。長い配列は高い温度で特異的にハイブリダイズする。一般的に、ストリンジェントな条件は、特定のイオン強度およびpHで、特定の配列の熱融点(Tm)より約15℃低くなるように選択される。Tmは、(特定のイオン強度、pH、および核酸濃度で)標的配列に相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度である。(一般的に、標的配列が過剰に存在する時、Tmでは、プローブの50%が平衡状態で占有される)。典型的に、ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0〜8.3で約1.0M未満のNaイオン濃度、典型的に、約0.01〜1.0MのNaイオン濃度(または他の塩)であり、温度が、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)の場合少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば、50を超えるヌクレオチド)の場合少なくとも約60℃の条件である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤を添加することによって得ることができる。選択的または特異的なハイブリダイゼーションの場合、陽性シグナルは、典型的に、バックグラウンドハイブリダイゼーションの少なくとも2倍、好ましくはバックグラウンドハイブリダイゼーションの10倍である。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は以下のようなものでもよい:50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDS、42℃でのインキュベーション、または5×SSC、1%SDS、65℃でのインキュベーション、0.2×SSCおよび0.1%SDS、65℃での洗浄。PCRの場合、低ストリンジェンシー増幅には約36℃の温度が一般的であるが、アニーリング温度はプライマー長に応じて約32〜48℃で変化してもよい。高ストリンジェンシーPCR増幅の場合、約62℃の温度が一般的であるが、高ストリンジェンシーアニーリング温度は、プライマー長および特異性に応じて約50℃〜約65℃にわたってもよい。高ストリンジェンシー増幅および低ストリンジェンシー増幅の典型的なサイクル条件は、90〜95℃、30〜120秒の変性段階、30〜120秒続くアニーリング段階、および約72℃、1〜2分の伸長段階を含む。低ストリンジェンシー増幅反応および高ストリンジェンシー増幅反応のプロトコールおよびガイドラインは、例えば、Innis, et al. (1990) PCR Protcols: A Guide to Methods and Applications Academic Press, N.Y.において入手可能である。
句「タンパク質に特異的に結合する」または「と特異的に免疫反応する」は、抗体について言及している場合、タンパク質および他の生物製剤の不均一な集団の存在下でタンパク質の存在を決定する結合反応を意味する。従って、指定されたイムノアッセイ条件下で、特定の抗体は特定のタンパク質に優先的に結合し、試料中に存在する他のタンパク質と有意な量で結合しない。このような条件下でのタンパク質との特異的な結合は、特定のタンパク質に対する特異性について選択された抗体を必要とする。特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するために、様々なイムノアッセイ形式を使用することができる。例えば、タンパク質と特異的に免疫反応するモノクローナル抗体を選択するために、固相ELISAイムノアッセイが日常的に用いられる。特異的免疫反応性を確かめるために使用することができるイムノアッセイの形式および条件の説明については、Harlow and Lane (1988) Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Publications, New Yorkを参照されたい。
ある特定のポリヌクレオチド配列の「保存的に改変された変化」は、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを意味するか、またはポリヌクレオチドがアミノ酸配列をコードしない場合、本質的に同一の配列を意味する。遺伝暗号の縮重のために、多数の機能的に同一な核酸が任意のタンパク質をコードする。例えば、コドンCGU、CGC、CGA、CGG、AGA、およびAGGは全てアミノ酸アルギニンをコードする。従って、あるコドンによってアルギニンが特定されている全ての位置において、そのコドンは、コードされているポリペプチドを変えることなく、記載の対応する任意のコドンに変更することができる。このような核酸変化は、「保存的に改変された変化」の一種である「サイレント変化」である。タンパク質をコードする本明細書に記載のどのポリヌクレオチド配列も、特に指定した場合を除き、可能な限りのサイレント変化を表している。当業者であれば、機能的に同一の分子を生じるように、(通常、メチオニンの唯一のコドンであるAUG、および通常、トリプトファンの唯一のコドンであるUGGを除く)核酸の各コドンを標準的な技術によって改変できることを理解するだろう。従って、記載の各配列には、タンパク質をコードする核酸のそれぞれの「サイレント変化」が言外に含まれている。
さらに、当業者であれば、コードされている配列において1個のアミノ酸または低パーセント(典型的に、5%未満、より典型的には、1%未満)のアミノ酸を変化、付加、または欠失する個々の置換、欠失、または付加は、これらの変化によってアミノ酸が化学的に類似するアミノ酸で置換される場合、「保存的に改変された変化」であることを理解するだろう。機能的に類似するアミノ酸を示す保存的置換表は当技術分野において周知である。
当業者であれば、タンパク質、例えば、グリコシルトランスフェラーゼ、およびタンパク質をコードする核酸の多くの保存的変化が本質的に同一の産物を生じることを理解するだろう。例えば、遺伝暗号の縮重による「サイレント置換」(すなわち、コードされるタンパク質を変えない核酸配列の置換)は、アミノ酸をコードする全ての核酸配列の言外の特徴である。本明細書に記載のように、配列は、好ましくは、キメラグリコシルトランスフェラーゼを産生するために用いられる特定の宿主細胞(例えば、酵母、ヒトなど)における発現のために最適化される。同様に、アミノ酸配列中の1個または数個のアミノ酸が非常に似た特性を有する異なるアミノ酸で置換される「保存的アミノ酸置換」(前出の定義の項を参照されたい)もまた、特定のアミノ酸配列またはアミノ酸をコードする特定の核酸配列と非常に似ていることが容易に分かる。任意の特定の配列の、このような保存的に置換された変化は、本発明の特徴である。Creighton (1984) Proteins, W.H. Freeman and Companyも参照されたい。さらに、コードされている配列において1個のアミノ酸または低パーセントのアミノ酸を変化、付加、または欠失する個々の置換、欠失、または付加も「保存的に改変された変化」である。
本発明の実施は、組換え核酸の構築、および宿主細胞、好ましくは、細菌宿主細胞における遺伝子発現を伴ってもよい。これらの目的を達成する分子クローニング法は当技術分野において公知である。発現ベクターなどの組換え核酸の構築に適した多種多様なクローニング法およびインビトロ増幅法は当業者に周知である。当業者を多くのクローニング実習に向けるのに十分な、これらの技法および説明書の例は、Berger and Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology volume 152 Academic Press, Inc., San Diego, CA (Berger);およびCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel et al., eds., Current Protocols, Greene Publishing Associates, Inc.とJohn Wiley & Sons, Inc.の合弁事業,(1999 Supplement)(Ausubel)に見られる。組換えポリペプチドを発現するのに適した宿主細胞は当業者に公知であり、例えば、大腸菌などの原核細胞、ならびに昆虫細胞、哺乳動物細胞、および真菌細胞(例えば、クロカビ)を含む真核細胞を含む。
当業者を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、QB-レプリカーゼ増幅、および他のRNAポリメラーゼを介した技法を含むインビトロ増幅法に向けるのに十分なプロトコールの例は、Berger, Sambrook, and Ausubel、ならびにMullis et al. (1987) 米国特許第4,683,202号; PCR Protocols A Guide to Methods and Applications (Innis et al. eds) Academic Press Inc. San Diego, CA (1990) (Innis); Arnheim & Levinson (October 1, 1990) C&EN 36-47; The Journal Of NIH Research (1991) 3: 81-94; (Kwoh et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci USA 86: 1173; Guatelli et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 1874; Lomell et al. (1989) J. Clin. Chem. 35: 1826; Landegren et al. (1988) Science 241: 1077-1080; Van Brunt (1990) Biotechnology 8: 291-294; Wu and Wallace (1989) Gene 4: 560;およびBarringer et al. (1990) Gene 89: 117に見られる。インビトロで増幅された核酸をクローニングずる改善された方法は、Wallace et al., 米国特許第5,426,039号に記載されている。
発明の詳細な説明
I.序論
本発明は、原核生物、例えば、細胞内酸化環境を有する細菌を使用することによって、微生物における可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼの産生を向上する方法を初めて提供する。本発明は、シュードモナス属などの天然で細胞内酸化環境を有する原核生物を使用することによって、グリコシルトランスフェラーゼの発現を改善することを含む。本発明はまた、天然では細胞内還元環境を有するが、細胞内酸化環境を有するように操作された原核生物を使用することを含む。例えば、大腸菌は、一般的に、細胞内還元環境を有する。大腸菌における異種タンパク質の発現は、ジスルフィド結合が正しく酸化されず、タンパク質が誤って折り畳まれ、封入体にタンパク質が発現されるので、往々にして困難であるか、または実現不可能な場合がある。しかしながら、大腸菌および天然の細胞内還元環境を有する他の原核生物は、ジスルフィド結合の酸化に有利な細胞内環境を生じるように操作することができる。例えば、内因性還元酵素タンパク質をコードする核酸を変異させることによって、または細胞内酸化還元サイクルの中にある他のタンパク質活性を操作することによって、内因性還元酵素タンパク質の活性を下げるように大腸菌を操作することができる。例えば、大腸菌では、チオレドキシン還元酵素タンパク質(trxB)、グルタチオン還元酵素タンパク質(gor)、または両タンパク質の不活化変異によって、酸化環境を有する細胞が得られる。trxBおよびgorに変異を有する大腸菌細胞は、例えば、EMD Biosciences, Inc.から市販されている。
好ましい態様において、可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼは、酸化環境を有する原核微生物の中に、すなわち、細胞膜内に細胞内発現され、細胞周辺腔内に発現されず、細胞から分泌されない。
別の好ましい態様において、酸化環境を有する原核微生物において発現された可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼは酵素活性を維持し、真核細胞、例えば、酵母、哺乳動物細胞、または起源細胞、すなわち、ヒトグリコシルトランスフェラーゼの場合、ヒト細胞において発現された時の同じ真核生物グリコシルトランスフェラーゼと比較して、グリコシル化されていないか、または異なってグリコシル化されているか、または最小限にグリコシル化されている。
1つの態様において、細胞内酸化環境を有する原核微生物における可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼの産生は、組換えタンパク質、すなわち、真核生物グリコシルトランスフェラーゼの産生レベルを下げる条件下、最大レベルの産生を下回る条件下で、細胞を増殖させることによってさらに向上する。
別の好ましい態様において、組換えタンパク質の産生レベルを下げる条件下で、例えば、最適増殖温度より低い温度で、細胞を増殖させることによって、細胞内酸化環境を有する原核生物において可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼを産生すると、野生型宿主細胞または還元環境を有する細胞、例えば、大腸菌における発現と比較して、可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼの発現が増大し、活性が上がる。
II.可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼおよび細胞内酸化環境を有する原核微生物における可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼの発現
還元環境、例えば、野生型大腸菌において発現された時にほとんど不溶性である、どのグリコシルトランスフェラーゼも、活性可溶性タンパク質の発現を容易にするために、細胞内酸化環境を有する原核生物において発現させることができる。次いで、グリコシルトランスフェラーゼは、オリゴ糖、糖タンパク質、糖ペプチド、または糖脂質の合成またはリモデリングに用いられる。好ましいグリコシルトランスフェラーゼには、本明細書に記載の真核生物グリコシルトランスフェラーゼが含まれる。
A.真核生物グリコシルトランスフェラーゼ
任意の真核生物グリコシルトランスフェラーゼを本発明の方法において使用することができる。真核生物グリコシルトランスフェラーゼは天然の非改変タンパク質でもよく、触媒活性もしくは安定性またはタンパク質の他の特徴を向上するように改変されたグリコシルトランスフェラーゼでもよい。真核生物グリコシルトランスフェラーゼの改変には、例えば、ステム領域、シグナルアンカードメイン、またはステム領域もしくはシグナルアンカードメインの一部を除去するようなタンパク質の切断、あるいはステム領域およびシグナルアンカードメインの除去;あるいは別のアミノ酸残基との置換による不対システイン残基の除去が含まれる。グリコシルトランスフェラーゼはまた、非触媒ドメインを除去するようにC末端で切断することもできる。例えば、酵素活性を下げることなく、GalNAcT酵素からC末端レクチンドメインを除去することができる。改変されたグリコシルトランスフェラーゼは、例えば、2004年2月4日に出願されたUSSN60/542,210;2004年8月6日に出願されたUSSN60/599,406;2004年11月12日に出願されたUSSN60/627,406;2004年6月3日に出願されたUSSN60/576,433;2005年2月4日に出願されたUSSN60/650,011;2005年6月3日に出願されたPCT/US05/19583;2004年6月3日に出願されたUSSN60/576,530;2004年8月3日に出願されたUSSN60/598,584;2005年6月3日に出願されたPCT/US05/19442;2005年2月4日に出願されたPCT/US05/03856およびWO2004/063344に記載されている。これらはそれぞれ、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
本発明の好ましい態様は、例えば、真核生物N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(GnTIまたはGNTI、GnTIIまたはGNTII、GnTIIIまたはGNTIII、GnTIVまたはGNTIV、GnTVまたはGNTV、GnTIVまたはGNTIV);真核生物N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(GalNAcT、例えば、GalNAcT1、GalNAcT2、またはGalNAcT3);任意のガラクトシルトランスフェラーゼ、例えば、真核生物β-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT1)または真核生物コアIガラクトシルトランスフェラーゼ(コア-1-Gal-T1);任意の真核生物シアリルトランスフェラーゼ、例えば、真核生物α(2,3)シアリルトランスフェラーゼ(ST3Gal3)、または真核生物α-N-アセチルガラクトサミニドα-2,6-シアリルトランスフェラーゼI(ST6GalNAc-1)、または真核生物galβ1,3GalNAcα2,3-シアリルトランスフェラーゼ(ST3Gal-1);および任意の真核生物フコシルトランスフェラーゼを産生する方法を含む。前記の列挙した活性を有するタンパク質の多くの例、特にグリコシルトランスフェラーゼファミリー2、4、6、7、10、1、12、13、14、15、16、17、18、21、22、23、24、25、26、28、29、31、32、34、37、38、41、42、49、52、54、65、または68が公知である。例えば、afmb.cnrs-mrs.fr/CAZY/を参照されたい。開示された方法を用いて産生することができる他のグリコシルトランスフェラーゼは、添付の非公式配列表に見られる。
前述で示したように、グリコシルトランスフェラーゼは、開示された方法を用いて産生される前に改変することができる。改変には、例えば、細胞質ドメイン、シグナルアンカードメイン、ステム領域、および/またはレクチンドメインなどの非触媒ドメインの全てまたは一部を除去するようなグリコシルトランスフェラーゼの切断が含まれる。本発明において産生することができる例示的な切断型グリコシルトランスフェラーゼには、例えば、ST3GalIII(Δ27、Δ28、Δ73、Δ85、Δ86)、ヒトGnTI(Δ103)、ウシGalT1(Δ40、Δ129、Δ70)、ヒトGalNAcT2(Δ51、Δ40、Δ73、Δ94、Δ51Δ445、Δ53、Δ53Δ445)、ST3Gal1(Δ45)、ショウジョウバエコア-1-Gal-T1(Δ31、Δ50)、および表1に示したヒトST6GalNAcl変異体が含まれる。
(表1)ST6GalNAcI変異体
Figure 0005235657
III.細胞内酸化環境
好ましい態様において、可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼは、細胞質酸化環境を有する原核生物において発現される。
A.細胞内酸化環境の特定
タンパク質のリフォールディングおよびタンパク質の活性は、往々にして、正しいジスルフィド結合形成に左右される。ジスルフィド結合は、タンパク質を取り巻く環境の酸化還元状態に大きく影響される可逆的なチオール-ジスルフィド(SH-SS)交換反応である。大腸菌および他の原核生物を含む多くの細胞において、システインを含有するトリペプチドであるグルタチオンは、重要なチオール-ジスルフィド酸化還元緩衝剤である。原核微生物の酸化還元状態は、チオレドキシンなどの他のタンパク質の影響も受ける。そしてまた、還元酵素タンパク質は、グルタチオン、グルタレドキシン、およびチオレドキシンの酸化還元状態を調節する。大腸菌において、gshAおよびgshBによってコードされるグルタチオンはグルタレドキシンの酸化還元状態を調節する。還元酵素タンパク質には、例えば、チオレドキシン還元酵素およびグルタチオン酸化還元酵素が含まれる。大腸菌は、trxA遺伝子およびtrxC遺伝子によってコードされるチオレドキシン、grxA遺伝子、grxB遺伝子、およびgrxC遺伝子によってコードされるグルタレドキシン1、グルタレドキシン2、およびグルタレドキシン3を有する。細胞の酸化状態を調節するタンパク質の多く、例えば、チオレドキシン、グルタチオン、チオレドキシン還元酵素、およびグルタチオン酸化還元酵素は、活性部位CX1X2Cモチーフを含む。これらのタンパク質はまた、チオレドキソインフォールド(thioredxoin fold)と知られるタンパク質構造モチーフも含む。
細胞内酸化環境を有する原核生物を特定する方法の1つは、還元型グルタチオン(GSH)と酸化型グルタチオン(GSSG)の比を測定する方法である。タンパク質フォールディングに最適なGSH/GSSG比が決定されている。インビトロにおいて、正しく折り畳まれたタンパク質の最大収率は、GSH/GSSG比50未満、好ましくは40未満、より好ましくは30未満、さらにより好ましくは20未満、最も好ましくは10未満で得られる。哺乳動物細胞において、細胞質GSH/GSSG比は30/1〜100/1であったのに対して、分泌経路(ここで、ほとんどのタンパク質リフォールディングが起こる)のGSH/GSSG比は1/1〜3/1であった。Hwang et al., Science 257:1496-1502 (1992)。大腸菌は、ジスルフィド結合を有する細胞内タンパク質をごくわずかしか発現しない。ジスルフィド結合を有する大腸菌タンパク質は、酸化環境を有する細胞周辺腔に分泌される。典型的な野生型大腸菌の細胞内GSH/GSSG比は50/1〜200/1であった。Hwang et al. 前記。
本発明の方法は、細胞内酸化環境を有する原核生物において可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼを産生するのに使用することができる。細胞内酸化環境を有する微生物のGSH/GSSG比は、典型的に、50未満、好ましくは40未満、より好ましくは30未満、さらにより好ましくは20未満、最も好ましくは10未満である。従って、ある態様では、本発明の微生物のGSH/GSSG比は、例えば、0〜50、または0.1〜25、または0.5〜10である。
細胞内環境を有する原核微生物は、例えば、原核生物の細胞内GSH/GSSG比を求めることによって特定することができる。総グルタチオン濃度のアッセイ法は、例えば、Sigmaから市販されている。GSH/GSSG比を求めるアッセイ法は、例えば、Hwang et al., Science 257:1496-1502 (1992)に記載されている。N-(1-ピレニル)マレイミド(NPM)による誘導体化の後に、HPLCを使用して定量することによって、GSHおよびGSSGの細胞内含有量を定量する方法が、Ostergaard, et al., J. Cell Biol. 166:337-345 (2004)に記載されている。
原核生物が細胞内酸化環境を有するかどうか確かめる多数のさらなるアッセイ法が当業者に利用可能である。これらのアッセイ法には、グルタチオン還元酵素活性、およびグルタチオンプール酸化還元状態の測定(Tuggle and Fuchs, J. Bacter. 162:448-450 (1985))、増殖培地中のチオール特異的オキシダントに対する感受性(Prinz et al., J. Biol. Chem. 272:15661-15667 (1997))、過酸化水素またはジアミドへの曝露後の大腸菌におけるOxyR遺伝子の転写活性化(Bessette et al., PNAS 96:13703-13708 (1999)、酸化還元感受性緑色蛍光タンパク質(rxYFP)などのレポーター遺伝子の酸化還元状態の測定(Ostergaard et al., J. Cell Biol. 166:337-345 (2004))、グルタチオン感受性色素、例えば、Molecular Probesからのモノクロロビマン、CellTracker Green CMFDA、o-フタルジアルデヒド、およびナフタレン-2,3-ジカルボキシアルデヒドなどを使用したグルタチオンの検出、ならびに4-アセトアミド-4'-マレイミジスチルベン-2,2-ジスルホン酸などのスルフヒドリル-アルキル化試薬に細胞を曝露した後のタンパク質中のシステイン残基の酸化(Jurado et al., J. Mol. Biol. 320: 1-10 (2002))が含まれる。
B.細胞内酸化環境を有する原核微生物
本発明の方法は、細胞内酸化環境を有する原核微生物を用いて実施される。このような微生物には、内因性の細胞内酸化環境を有する原核微生物、および細胞内酸化環境を有するように遺伝子操作された原核微生物が含まれる。
一部の原核生物は内因性の細胞内酸化環境を有し、従って、細胞内のタンパク質ジスルフィド結合の形成を促進する。原核生物における細胞内酸化区画は、具体的に、細菌細胞周辺腔を除く。内因性細胞内酸化環境を有する原核生物は、可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼを細胞内区画において産生するのに使用することができる。内因性細胞内酸化環境を有する原核生物には、例えば、テントステロニ(testosteroni)、プチダ(putida)、アエルギノザ(aeruginosa)、シリンガエ(syringae)、およびフルオレセンス(fluorescens)を含むシュードモナス属種のメンバー;一部のグラム陽性細菌;ならびに一部のグラム陰性細菌が含まれる。さらなるシュードモナス属の種および株は、例えば、例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、2005年8月25日に公開された米国特許出願公開第US2005/0186666号に記載されている。グラム陽性細菌には、例えば、バチルス属(Bacillus)、リステリア属(Listeria)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、連鎖球菌属(Streptococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、およびクロストリジウム属(Clostridium)の種が含まれる。
可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼまたは可溶性活性治療用タンパク質を産生するために、酸化還元経路が改変された原核生物も本発明の方法において使用することができる。改変は、還元環境を有する原核生物、例えば、大腸菌もしくは他のグラム陰性細菌または一部のグラム陽性細菌に対して行うことができる。これらの原核微生物は、細胞内酸化環境を促進し、それによって、例えば、真核生物グリコシルトランスフェラーゼの細胞内ジスルフィド結合形成およびタンパク質リフォールディングが向上するように改変される。
多くの原核生物は、組換え発現タンパク質を含む細胞質タンパク質において形成するジスルフィド結合を還元するために2つの経路を使用する。細胞内酸化環境の形成を促進するために、これらの経路の成分を操作することができる。第1の経路はチオレドキシン系であり、一般的に、チオレドキシン還元酵素およびチオレドキシンを含む。チオレドキシン還元酵素はチオレドキシンを還元状態に維持する。第2の経路はグルタレドキシン系であり、一般的に、グルタチオン酸化還元酵素、グルタチオン、およびグルタレドキシンを含む。これらの酸化還元経路の一部の成分の不活化変異は、最終的に、発現されたタンパク質のジスルフィド結合の形成を高めることができ、原核生物において発現された異種タンパク質の場合、発現異種タンパク質の溶解度および活性を高めることができる。例えば、大腸菌では、チオレドキシン還元酵素活性を無くすと、細胞内区画において酸化酵素として働く酸化型チオレドキシンが蓄積する。
ある好ましい例は、還元酵素活性が低い、または還元酵素活性の無い原核微生物である。例えば、細胞内環境を改変し、それによって、ジスルフィド結合の形成に有利な細胞内酸化環境を生じるために、チオレドキシン還元酵素および/またはグルタチオン酸化還元酵素の活性を下げるか、または無くすことができる。
例えば、チオレドキシン還元酵素遺伝子(trxB)およびグルタチオン酸化還元酵素遺伝子(gor)の両方に変異を有する大腸菌株は、高レベルのジスルフィド結合形成を有するタンパク質を発現することができる。例えば、Prinz et al., J. Biol Chem. 272:15661-15667 (1997)を参照されたい。これらのtrxB gor二重変異体は、ほとんどの増殖培地において非常にゆっくりと増殖するが、DTTなどのレダクタントを添加することによって増殖を速めることができる。しかしながら、二重変異体は、往々にして、trxB gor変異を保持し、DTTを欠く培地において速く増殖するサプレッサー変異株を生じさせる。大腸菌におけるtrxB gorサプレッサー変異の一例は、アルキルヒドロペルオキシダーゼAhpCFの触媒サブユニットをコードする遺伝子ahpCの変異である。このサプレッサー変異は、AhpCF酵素の触媒部位をコードするDNAにトリプレットを付加する。速く増殖する二重変異体大腸菌株、例えば、trxB, gor, supp株およびtrxB, gshA, supp株は、例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,872,563号に開示される。このような操作された大腸菌株、例えば、trxB, gor, supp株は、例えば、EMD Biosciences, Inc.から、例えば、商品名ORIGAMI TM、ORIGAMI 2 TM、およびROSETTA-GAMI TMで市販されている。他の大腸菌変異から、細胞内酸化環境、例えば、trxB, gshAおよびtrxB, gshA supp株を得ることができる。
タンパク質、例えば、真核生物グリコシルトランスフェラーゼにおけるジスルフィド結合形成を高めるために、微生物における酸化還元経路成分の他の操作を使用することができる。例えば、酸化活性を有するタンパク質、例えば、trxB, gor変異株の大腸菌チオレドキシンタンパク質を原核微生物において過剰発現させることができる。別の例は、酸化活性の高いチオレドキシン変異体の発現または過剰発現である。このような変異体の例は、例えば、Bessette, et al. PNAS 96:13703-13708 (1999)に記載されている。細胞内ジスルフィド結合の形成を高めるために、ある特定の酸化酵素の標的化細胞質発現も使用することができる。例えば、典型的に細胞周辺腔内で発現される酸化タンパク質、例えば、DsbCを、例えば、周辺腔標的化配列を欠失させることによって、または細胞質保持配列を含めることによって細菌細胞質内で発現させることができる。細胞質タンパク質の酸化を高めるために、例えば、周辺腔標的化配列を欠失させることによって、または細胞質保持配列を含めることによって、周辺腔にある他の酸化タンパク質を細菌細胞質内で発現させることができる。
チオレドキシン還元酵素核酸、グルタチオン酸化還元酵素核酸、チオレドキシン核酸、グルタチオン核酸、および細胞内酸化還元環境の維持に関与する他のタンパク質をコードする核酸は、他の細菌、例えば、多くの細菌の中で、アゾトバクター属の種(Azotobacter sp.)(例えば、アゾトバクター-ビネランジ(A. vinelandii))、シュードモナス属の種、リゾビウム属の種(Rhizobium sp.)、エルウィニア属の種(Erwinia sp.)、エシェリキア属の種(Escherichia sp.)(例えば、大腸菌)、バチルス属、シュードモナス属、プロテウス属(Proteus)、サルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、赤痢菌属(Shigella)、リゾビウム属(Rhizobia)、ビトレオシラ属(Vitreoscilla)、パラコッカス属(Paracoccus)、およびクレブシエラ属の種(Klebsiella sp.)において同定することができる。このような遺伝子は、配列分析、ならびに公知のチオレドキシン還元酵素遺伝子、グルタチオン酸化還元酵素遺伝子、および細胞内酸化還元環境の維持に関与する他のタンパク質をコードする遺伝子、またはコードされる産物のアミノ酸配列との比較によって同定することができる。コードされるタンパク質は、さらに、酵素アッセイ法、または適切な遺伝子機能の大腸菌変異体の遺伝的相補アッセイ法によって機能的に特定することができる。内因性のチオレドキシン還元酵素遺伝子およびグルタチオン酸化還元酵素遺伝子は、例えば、標準的な分子生物学技法を用いて遺伝子産物を不活化するように変異することができ、これらの変異株は、非変異株と比較して高レベルのジスルフィド結合形成を有するタンパク質を発現するのに使用することもできる。
IV.酸化環境を有する原核微生物における可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼの発現
本発明の可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、大腸菌および他の前記の細菌宿主を含む、細胞内酸化環境を有する様々な原核微生物において発現させることができる。
可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドが、細胞内酸化環境を有する原核生物において発現されたら、グリコシル化産物を産生するのに使用することができる。例えば、可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは標準的なタンパク質精製法を用いて単離することができ、グリコシル化産物を作成するために本明細書に記載のインビトロ反応において使用することができる。部分的に精製された可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドもまた、グリコシル化産物を作成するのにインビトロ反応において使用することができ、同様に、可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドを発現する透過処理した原核生物も使用することができる。
典型的に、真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、酸化環境を有する望ましい原核生物において機能するプロモーターの制御下に配置される。極めて多種多様なプロモーターが周知であり、特定の用途に応じて本発明の発現ベクターにおいて使用することができる。通常、選択されるプロモーターは、プロモーターが働く細胞によって決まる。任意に、リボソーム結合部位、転写終結部位などの他の発現制御配列も含まれる。これらの制御配列の1つまたは複数を含む構築物は「発現カセット」と呼ばれる。従って、本発明は、酸化環境を有する望ましい微生物における高レベル発現のために、融合タンパク質をコードする核酸が組み込まれた発現カセットを提供する。
ある特定の宿主細胞において使用するのに適した発現制御配列は、その細胞において発現される遺伝子をクローニングすることによって得られることが多い。一般的に用いられる原核生物制御配列は、リボソーム結合部位配列と一緒に、任意にオペレーターと共に、転写開始のためのプロモーターを含めるように本明細書において定義され、β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトース(lac)のプロモーター系(Change et al., Nature (1977) 198: 1056)、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel et al., Nucleic Acids Res. (1980) 8: 4057)、tacプロモーター(DeBoer, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1983) 80:21-25)、ならびにλ由来PLプロモーターおよびN-遺伝子リボソーム結合部位(Shimatake et al., Nature (1981) 292: 128)のような一般的に用いられるプロモーターを含む。特定のプロモーター系は本発明にとって重要でなく、原核生物において機能する任意の利用可能なプロモーターを使用することができる。
大腸菌以外の原核細胞において可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドを発現させるために、特定の原核生物種において機能するプロモーターが必要とされる。このようなプロモーターは、その種からクローニングされた遺伝子から得られてもよく、異種プロモーターが用いられてもよい。例えば、ハイブリッドtrp-lacプロモーターは大腸菌に加えてバチルス属において機能する。他の細菌種、例えば、シュードモナス属用のプロモーターが公知である。例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、2005年8月25日に公開された、米国特許出願公開第US2005/0186666号を参照されたい。
本発明の発現カセットには、リボソーム結合部位(RBS)が都合よく含まれる。大腸菌のRBSは、例えば、開始コドンから3〜11ヌクレオチド上流に位置する3〜9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列からなる(Shine and Dalgarno, Nature (1975) 254: 34; Steitz, In Biological regulation and development: Gene expression (ed. R.F. Goldberger), vol. 1, p. 349, 1979, Plenum Publishing, NY)。
構成的または調節性のプロモーターを本発明において使用することができる。調節性プロモーターは、融合タンパク質の発現を誘導する前に宿主細胞を高密度まで増殖できるので有利なことがある。高レベルの異種タンパク質発現は状況によっては細胞増殖を遅くし、全ての状況において望ましくない場合がある。下記を参照されたい。誘導性プロモーターは、発現レベルを、例えば、温度、pH、嫌気条件または好気条件、光、転写因子および化学物質などの環境要因または発生要因によって変えることができる、遺伝子発現を指向するプロモーターである。このようなプロモーターは、本明細書において「誘導性」プロモーターと呼ばれる。このようなプロモーターを使用すると、グリコシルトランスフェラーゼまたはヌクレオチド糖合成に関与する酵素の発現のタイミングを制御することができる。大腸菌および他の細菌宿主細胞について、誘導性プロモーターは当業者に公知である。これらには、例えば、lacプロモーター、バクテリオファージλPLプロモーター、ハイブリッドtrp-lacプロモーター(Amann et al. (1983) Gene 25: 167; de Boer et al. (1983) Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 80: 21)、およびバクテリオファージT7プロモーター(Studier et al. (1986) J. Mol. Biol.; Tabor et al. (1985) Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 82: 1074-8)が含まれる。これらのプロモーターおよびその使用は、Sambrook et al., 前記において議論されている。原核生物における発現に特に好ましい誘導性プロモーターは、ガラクトース代謝に関与する酵素をコードする遺伝子から得られたプロモーター成分(例えば、UDPガラクトース4-エピメラーゼ遺伝子(galE)に由来するプロモーター)と連結したtacプロモーター成分を含むデュアルプロモーターである。デュアルtac-galプロモーターは、PCT特許出願、国際公開公報第WO98/20111号に記載されている。
別の誘導性プロモーターはcspAプロモーターである。cspAプロモーターは、大腸菌において低温で高度に誘導される。例えば、Sorensen and Mortensen, BioMed Central, www.microbialcellfactories.com/content/4/1/1およびMujacic et al. Gene 238:325-3332 (1999)を参照されたい。
適切な宿主細胞に入れられた時にポリヌクレオチドの発現を駆動する遺伝子発現制御シグナルに機能的に連結された関心対象のポリヌクレオチドを含む構築物は「発現カセット」と呼ばれる。本発明の融合タンパク質をコードする発現カセットは、宿主細胞に導入するために発現ベクターに配置されることが多い。ベクターは、典型的に、発現カセットに加えて、1つまたは複数の選択された宿主細胞においてベクターが独立して複製するのを可能にする核酸配列を含む。一般的に、この配列は、宿主染色体DNAと独立してベクターが複製するのを可能にする配列であり、複製起点または自律複製配列を含む。このような配列は様々な細菌について周知である。例えば、プラスミドpBR322に由来する複製起点は、ほとんどのグラム陰性細菌に適している。または、ベクターは、宿主細胞ゲノム相補鎖に組み込まれ、細胞がDNAを複製する時に複製されることによって複製することができる。細菌細胞における酵素の発現に好ましい発現ベクターはpTGKである。pTGKはデュアルtac-galプロモーターを含み、PCT特許出願、国際公開公報第WO98/20111号に記載されている。別の有用なクローニングベクターは、pCWin2-MBPまたはpCWin2の改変5’UTRを有するバージョンである。例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、2005年1月6日に出願されたPCT/US05/00302を参照されたい。
ポリヌクレオチド構築物の構築は、一般的に、細菌において複製することができるベクターの使用を必要とする。細菌からプラスミドを精製するために、極めて多くのキットが市販されている(例えば、EasyPrepJ、FlexiPrepJ、2つともPharmacia Biotech; StrataCleanJ, Stratagene;およびQIAexpress Expression System, Qiagenを参照されたい)。次いで、単離および精製されたプラスミドは、他のプラスミドを生成するためにさらに操作することができ、細胞をトランスフェクトするのに使用することができる。例えば、大腸菌、ストレプトミセス属(Streptomyces)、またはバチルス属におけるクローニングが可能である。
本発明のポリヌクレオチドを発現するのに用いられる発現ベクターには選択マーカーが組み込まれることが多い。これらの遺伝子は、選択培地において増殖させた形質転換宿主細胞の生存または増殖に必要な遺伝子産物、例えば、タンパク質をコードしてもよい。選択用遺伝子を含有するベクターで形質転換されていない宿主細胞は、前記の培地において生き残らない。典型的な選択用遺伝子は、抗生物質または他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、カナマイシン、クロラムフェニコール、またはテトラサイクリンに対する耐性を付与するタンパク質をコードする。または、選択マーカーは、栄養要求性欠損を補う、または複合培地から得られない不可欠な栄養素を供給するタンパク質をコードしてもよい。例えば、バチルス属のD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子。多くの場合、ベクターは、例えば、大腸菌、またはベクターが宿主細胞に導入される前に複製される他の細胞において機能する1種類の選択マーカーを有する。多数の選択マーカーが当業者に公知であり、例えば、Sambrook et al.,前記に記載されている。シュードモナス属の種について、栄養要求性発現系が公知である。例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、2005年8月25日に公開された、米国特許出願公開第US2005/0186666号を参照されたい。
前記で列挙した成分の1つまたは複数を含有する適切なベクターの構築は、前記で引用された参考文献に記載の標準的な連結法を使用する。単離されたプラスミドまたはDNA断片が切断され、調整され、必要とするプラスミドを作成するのに望ましい形に再連結される。構築されたプラスミドにおける正しい配列を確認するために、プラスミドは、制限エンドヌクレアーゼ消化および/または公知の方法による配列分析などの標準的な技法によって分析することができる。これらの目的を達成する分子クローニング法は当技術分野において公知である。組換え核酸の構築に適した多種多様なクローニング法およびインビトロ増幅法が当業者に周知である。当業者を多くのクローニング実習に向けるのに十分な、これらの技法および説明書の例は、Berger and Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology, Volume 152, Academic Press, Inc., San Diego, CA (Berger);およびCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel et al., eds., Current Protocols, Greene Publishing Associates, Inc.とJohn Wiley & Sons, Inc.の合弁事業, (1998 Supplement) (Ausubel)に見られる。
本発明の発現ベクターを構築するための出発物質として使用するのに適した様々な一般的なベクターが当技術分野において周知である。細菌におけるクローニングのために、一般的なベクターには、pBLUESCRIPT(商標)などのpBR322由来ベクターおよびλファージ由来ベクターが含まれる。
選択された原核微生物に発現ベクターを導入する方法は特に重要でなく、このような方法は当業者に公知である。例えば、発現ベクターは、塩化カルシウム形質転換によって大腸菌を含む原核細胞に導入することができ、リン酸カルシウム処理またはエレクトロポレーションによって真核細胞に導入することができる。他の形質転換方法も適している。
発現を増強するために、翻訳共役(translational coupling)が用いられてもよい。この戦略では、翻訳系に本来ある高発現遺伝子に由来する短い上流オープンリーディングフレームが用いられる。短い上流オープンリーディングフレームはプロモーターおよびリボソーム結合部位の下流に配置され、それに続いて、いくつかのアミノ酸コドンの後に終結コドンがくる。終結コドンの直前には第2のリボソーム結合部位があり、終結コドンの後には、翻訳開始のための開始コドンがある。この系は、RNAの二次構造を無くし、翻訳の効率的な開始を可能にする。Squires, et. al. (1988), J. Biol. Chem. 263: 16297-16302を参照されたい。
可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、好ましくは、細胞内で発現される。細胞内発現は、多くの場合、驚くほど高い収率をもたらす。必要に応じて、リフォールディング手順を実施することによって、可溶性活性タンパク質の量を増やすことができる(例えば、Sambrook et al., 前記.; Marston et al., Bio/Technology (1984) 2: 800; Schoner et al., Bio/Technology (1985) 3: 151を参照されたい)。別の態様において、可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼタンパク質は、例えば、精製、分泌、または安定性を容易にするために、プロテインA、マルトース結合タンパク質、デンプン結合タンパク質、またはウシ血清アルブミン(BSA)の部分配列と融合される。
本発明の可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドはまた他の細菌タンパク質とさらに連結されてもよい。このアプローチは、正常な原核生物制御配列が転写および翻訳を指向するので高収率をもたらすことが多い。大腸菌では、異種タンパク質を発現させるために、lacZ融合が用いられることが多い。他の例は以下で議論する。pUR、pEX、およびpMR100シリーズなどの適切なベクターが容易に利用可能である(例えば、Sambrook et al., 前記を参照されたい)。ある特定の用途のために、精製後に、融合タンパク質から非グリコシルトランスフェラーゼアミノ酸を切断することが望ましい場合がある。これは、臭化シアン、プロテアーゼ、または第Xa因子による切断を含む、当技術分野において公知のいくつかの方法のいずれでも達成することができる(例えば、Sambrook et al., 前記.; Itakura et al., Science (1977) 198: 1056; Goeddel et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1979) 76: 106; Nagai et al., Nature (1984) 309: 810; Sung et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1986) 83: 561を参照されたい)。切断部位は、望ましい切断点で、融合タンパク質遺伝子に入れることができる。
複数の転写カセットを1つの発現ベクターに配置することによって、またはクローニング法に用いられる各発現ベクターに異なる選択マーカーを利用することによって、1種類を超える組換えタンパク質を1つの宿主細胞において発現させることができる。例えば、複数の種類のグリコシルトランスフェラーゼ、例えば、N結合グリコシル化を指向するグリコシルトランスフェラーゼまたはO結合グリコシル化を指向するグリコシルトランスフェラーゼを1つの細胞において発現させることができる。
N末端の完全性を維持する大腸菌由来組換えタンパク質を得るのに適した系は、Miller et al. Biotechnology 7:698-704 (1989)に記載されている。この系では、関心対象の遺伝子は、ペプチダーゼ切断部位を含有する酵母ユビキチン遺伝子の最初の76残基のC末端融合として作成される。2つの部分の接合部で切断を行うと、インタクトな本物のN末端残基を有するタンパク質が生じる。
V.可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼの精製
本発明の可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、好ましくは、本発明の方法において細胞内タンパク質として発現され、この形で使用することができる。例えば、発現された細胞内可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドを含有する透過処理した細胞または粗細胞抽出物を、本発明の方法において使用することができる。
または、可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、硫安沈殿、アフィニティカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む当技術分野の標準的な手順に従って精製することができる(概要については、R. Scopes, Protein Purification, Springer-Verlag, N. Y. (1982), Deutscher, Methods in Enzymology Vol. 182: Guide to Protein Purification., Academic Press, Inc. N. Y. (1990)を参照されたい)。少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%の均一性の実質的に純粋な組成物が好ましく、92%、95%、98%〜99%またはそれ以上の均一性が最も好ましい。精製されたタンパク質はまた、例えば、抗体作成用の免疫原として使用されてもよい。
本発明の可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの精製および発現を容易にするために、タンパク質をコードする核酸は、エピトープまたは親和性結合試薬が利用可能な「タグ」、すなわち、精製タグのコード配列も含んでよい。適切なエピトープの例には、mycおよびV-5レポーター遺伝子が含まれる。これらのエピトープを有する融合タンパク質の組換え産生に有用な発現ベクターは市販されている(例えば、Invitrogen (Carlsbad CA)ベクターpcDNA3.1/Myc-HisおよびpcDNA3.1/V5-Hisが哺乳動物細胞における発現に適している)。タグを本発明のグリコシルトランスフェラーゼに取り付けるのに適した、さらなる発現ベクターおよび対応する検出系は当業者に公知であり、いくつかが市販されている(例えば、FLAG''(Kodak, Rochester NY))。適切なタグの別の例が、金属キレートアフィニティリガンドに結合することができるポリヒスチジン配列である。典型的に、6つの隣接するヒスチジン(SEQ ID NO:204)が用いられるが、6より多い、または6より少ないヒスチジンを使用することができる。ポリヒスチジンタグの結合部分として役立つことできる適切な金属キレートアフィニティリガンドには、ニトリロ三酢酸(NTA)(Hochuli, E. (1990) 「Purification of recombinant proteins with metal chelating adsorbents」 In Genetic Engineering: Principles and Methods, J.K. Setlow, Ed., Plenum Press, NY; Qiagen (Santa Clarita, CA)から市販)が含まれる。他の精製タグまたはエピトープタグには、例えば、AU1、AU5、DDDDK(SEQ ID NO:202)(EC5)、Eタグ、E2タグ、Glu-Glu、6残基ペプチド、EYMPME(SEQ ID NO:203)、ポリオーマミドルTタンパク質に由来、HA、HSV、IRS、KT3、S tage、S1タグ、T7タグ、V5タグ、VSV-G、β-ガラクトシダーゼ、Gal4、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼ、プロテインC、プロテインA、セルロース結合タンパク質、GST(グルタチオンS-トランスフェラーゼ)、ステップタグ、Nus-S、PPIアーゼ、Pfg27、カルモジュリン結合タンパク質、dsbAおよびその断片、ならびにグランザイムBが含まれる。エピトープペプチドおよびエピトープ配列に特異的に結合する抗体は、例えば、Covance Research Products, Inc.; Bethyl Laboratories, Inc.; Abcam Ltd.;およびNovus Biologicals, Inc.から市販されている。
精製タグには、マルトース結合ドメインおよびデンプン結合ドメインも含まれる。精製タグを含むタンパク質は、精製タグを結合する結合パートナー、例えば、精製タグに対する抗体、ニッケルイオンもしくはコバルトイオンまたは樹脂、およびアミロース、マルトース、またはシクロデキストリンを用いて精製することができる。精製タグはまた、デンプン結合ドメイン、大腸菌チオレドキシンドメイン(ベクターおよび抗体は、例えば、Santa Cruz Biotechnology, Inc.およびAlpha Diagnostic International, Inc.から市販されている)、ならびにSUMOタンパク質のカルボキシ末端側の半分(ベクターおよび抗体は、例えば、Life Sensors Inc.から市販されている)も含む。デンプン結合ドメイン、例えば、大腸菌に由来するマルトース結合ドメインおよびクロカビのアミラーゼに由来するSBD(デンプン結合ドメイン)は、参照により本明細書に組み入れられるWO99/15636に記載されている。ベータシクロデキストリン(BCD)誘導体化樹脂を用いた、デンプン結合ドメインを含む融合タンパク質のアフィニティ精製は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、2005年2月17日に公開されたWO2005/014779に記載されている。ある態様では、可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは1種類を超える精製タグまたはエピトープタグを含む。
タグとして使用するのに適した他のハプテンは当業者に公知であり、例えば、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals (6th Ed., Molecular Probes, Inc., Eugene OR)に記載されている。例えば、ジニトロフェノール(DNP)、ジゴキシゲニン、バルビツール酸塩(例えば、米国特許第5,414,085号を参照されたい)、および数種類のフルオロフォアがハプテンとして有用であり、同様に、これらの化合物の誘導体も有用である。ハプテンおよび他の部分をタンパク質および他の分子に連結するためのキットが市販されている。例えば、ハプテンがチオールを含む場合、SMCCなどのヘテロ二官能リンカーを使用して、タグを、捕捉試薬に存在するリジン残基に取り付けることができる。
当業者であれば、生物学的機能を下げることなく、可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの触媒ドメインまたは機能ドメインに改変を加えることができることを理解するだろう。改変の中には、触媒ドメインのクローニング、発現、または融合タンパク質への組込みを容易にするために加えられ得るものもある。このような改変は当業者に周知であり、例えば、触媒ドメインをコードするポリヌクレオチドのいずれかの末端にコドンを付加すること、例えば、開始部位を生じるような、アミノ末端に付加されるメチオニンを生じるように、または都合よく配置される制限酵素部位もしくは末端コドンもしくは精製配列を生じるような、いずれかの末端に配置されるさらなるアミノ酸(例えば、ポリHis)を生じるように、コドンを付加することを含む。
好ましい態様において、真核生物グリコシルトランスフェラーゼの精製は、酸化環境を有する微生物においてタンパク質を発現させることによって簡単になる。発現タンパク質の溶解度が上がるので、可溶化、変性、およびリフォールディングなどの時間のかかる精製工程を精製プロトコールから省くことができる。
本発明の方法によって産生された真核生物グリコシルトランスフェラーゼは、グリコシル化タンパク質およびグリコシル化ペプチド産物を産生するのに使用することができる。グリコシル化タンパク質およびグリコシル化ペプチド産物もまた、使用者が所望であれば、本明細書に記載の任意のタンパク質精製法を用いて精製することができる。
VI.タンパク質可溶化の向上および特徴付け
本発明の方法において用いられる真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドなどの、異種的に発現されたタンパク質のジスルフィド結合を還元すると、往々にして、タンパク質は誤って折り畳まれ、溶液から沈殿する。細菌細胞、例えば、大腸菌において、誤って折り畳まれたタンパク質は不溶性の封入体として発現される。タンパク質の可溶化は、一般的に、適切な速度で、適切な期間、遠心分離した後に、水性画分にタンパク質が存在することによって示される。さらに、正しく折り畳まれたタンパク質が発現すると、タンパク質活性レベルが増大する。従って、正しいタンパク質フォールディングが生じたかどうか確かめるために、酵素活性アッセイ法も使用することができる。
酸化環境を有する微生物において発現された真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの可溶化は、還元環境を有する微生物、例えば、還元環境を有する大腸菌株において発現された真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの可溶化と比較することができる。ある態様では、酸化環境を有する微生物において発現された真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、還元環境を有する微生物において発現された同じ真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの可溶性レベルの1.1倍、1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、5倍、10倍、15倍、20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、または10,000倍までのレベルで可溶性画分中に発現される。他の態様において、酸化環境を有する微生物において発現された真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、還元環境を有する微生物において発現された同じ真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの活性レベルの1.1倍、1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、5倍、10倍、15倍、20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、または10,000倍までの活性レベル、例えば、U/細胞またはU/mgタンパク質を有する。
A.タンパク質溶解度の特徴付け
好ましい態様において、真核生物グリコシルトランスフェラーゼは、原核微生物内で可溶性タンパク質として細胞内発現される。真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの溶解度は、前記で開示したように、適切な速度で、適切な期間、遠心分離した後に、水性画分中のタンパク質レベルを測定することによって求めることができる。タンパク質レベルは、当業者に公知の方法、例えば、イムノアッセイまたは、例えば、SDS-PAGEによって分離されたタンパク質の直接比較を用いて求めることができる。イムノアッセイは、関心対象の真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドに特異的な抗体を用いて、または真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドに共有結合したエピトープタグもしくは精製タグに特異的な抗体を用いて実施することができる。
溶解度はまた、原核微生物からの可溶性画分中の真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの酵素活性をアッセイすることによって求めることができる。好ましい態様において、グリコシルトランスフェラーゼ活性は、原核微生物からの可溶性細胞内画分において測定することができる。
真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、インビトロ反応混合物、例えば、オリゴ糖、糖脂質、糖タンパク質、および糖ペプチドを含むインビトロ反応混合物中でグリコシル化産物を作成するのに使用することができる。インビトロ反応混合物は、真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチド、部分的に精製された真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチド、または精製された真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドを含む透過処理した微生物、ならびにドナー基質、アクセプター基質、および適切な反応緩衝液を含んでもよい。インビトロ反応の場合、真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチド、アクセプター基質、ドナー基質、および他の反応混合物成分が水性反応培地中での混合によって組み合わされる。培地は、一般的に、約4.0〜約9.0のpH値を有する。培地の選択は、培地がpH値を望ましいレベルに維持する能力に基づいている。従って、ある態様では、培地は、約7.5のpH値に緩衝される。緩衝液が用いられない場合、培地のpHは、使用する特定のグリコシルトランスフェラーゼに応じて約5〜8.5に維持すべきである。例えば、シアリルトランスフェラーゼの場合、範囲は好ましくは約5.5〜約8.0である。
酵素の量または濃度は、触媒反応の初速度の尺度である活性単位で表すことができる。1活性単位は、ある特定の温度(典型的に37℃)およびpH値(典型的に7.5)で、1分当たりに1μmolの産物の形成を触媒する。従って、酵素10単位は、温度37℃およびpH値7.5で10μmolの基質が1分で10μmolの産物に変換される場合の、その酵素の触媒量である。
反応混合物は二価の金属陽イオン(Mg2+、Mn2+)を含んでもよい。反応媒体は、必要に応じて、可溶化界面活性剤(例えば、TritonまたはSDS)およびメタノールまたはエタノールなどの有機溶媒も含んでよい。酵素は、溶解して遊離した状態で用いられてもよく、重合体などの支持体に結合されてもよい。従って、反応混合物は、最初、実質的に均一であるが、反応中に沈殿物が形成してもよい。
前記のプロセスが行われる温度は、凍結直前から、最も感受性のある酵素が変性する温度にわたってもよい。この温度範囲は、好ましくは約0℃〜約45℃、より好ましくは約20℃〜約37℃である。
このように形成された反応混合物は、グリコシル化しようとする糖タンパク質に取り付けられたオリゴ糖基に存在する、望ましい高収率のオリゴ糖決定基を得るのに十分な期間、維持される。商業的規模の調製の場合、反応は、約0.5〜240時間、より典型的には、約1〜36時間続けられることが多い。
B.タンパク質溶解度の向上
真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの溶解度は、例えば、タンパク質発現速度を下げることによって、またはタンパク質を、例えば、シャペロンタンパク質と組み合わせて発現させることによって、さらに高めることができる。
適切なジスルフィド結合の形成速度を上げることによって、活性可溶性グリコシルトランスフェラーゼの発現を高めることができる。活性可溶性グリコシルトランスフェラーゼの発現を高める別の方法は、発現速度を下げ、それによって、新生ポリペプチドに、安定した可溶性コンホメーションをとる時間をより多く与える方法である。本明細書に記載の2つの方法の組み合わせが本発明の好ましい態様である。異種タンパク質の最大発現は、一般的に、宿主細胞に最適な増殖条件下で生じる。タンパク質発現を遅くする方法の1つは、細胞の増殖速度を遅くすることである。好ましい態様において、宿主細胞は最適増殖温度より低い温度で増殖する。例えば、大腸菌の最適増殖温度は37℃である。従って、大腸菌の最適増殖温度より低い温度は、37℃未満、例えば、4℃〜36℃、8℃〜33℃、12℃〜30℃、または18℃〜26℃、または約20℃、または約24℃である。
タンパク質の産生を遅くするのに用いられる温度は宿主細胞の最適増殖温度に左右される。一例として、大腸菌および多くの他の細菌の最適増殖温度は37℃である。従って、大腸菌または37℃で最適に増殖する他の細菌の最適増殖温度より低い温度は、4〜35℃、12〜30℃、または15〜20℃であり得る。好ましい態様において、大腸菌または37℃で最適に増殖する他の細菌の最適増殖温度より低い温度は18〜23℃である。多くの酵母と同様に、30℃で最適に増殖する細菌の場合、最適増殖温度より低い温度は、10〜25℃、12〜21℃、または15〜20℃であり得る。
異種タンパク質の発現速度を下げる別の方法は、誘導性プロモーターからの発現を調節する分子の濃度を変える方法である。例えば、lacY変異の中には、培地中の誘導分子IPTGの量を変えることによって、タンパク質発現を制御できるものもある。好ましい態様において、例えば、原核微生物において過剰発現した時に封入体を形成しないタンパク質の発現の場合、培地中のIPTGの濃度は最適濃度より低い。
ある態様では、真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、酸化環境を有し、異種シャペロンタンパク質をさらに含む微生物において発現される。シャペロンタンパク質には、例えば、trigger factor; Hsp70シャペロンファミリーのメンバー、例えば、DnaK; Hsp100シャペロンファミリーのメンバー、例えば、ClpB、およびHsp60シャペロンファミリーのメンバー、例えば、GroELが含まれる。例えば、Sorensen and Mortensen, BioMed Central, www.microbialcellfactories.com/content/4/1/1を参照されたい。4℃でタンパク質の折り畳みを可能にするシャペロン、例えば、オレイスピラ-アンタルチカRB8Tに由来するCpn60およびCpn10も知られている。例えば、同上、およびFerrer et al., Nat. Biotechnol. 21:1266-1267 (2003)を参照されたい。例示的なシャペロニンタンパク質には、添付の非公式配列表に列挙したシャペロニンタンパク質が含まれるが、これに限定されない。
他の態様において、真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、酸化環境を有し、異種プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)をさらに含む微生物において発現される。PDIタンパク質はジスルフィド結合を作成または再編成することができる。PDIタンパク質は、例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、Georgiou et al.米国特許第6,027,888号に記載されている。PDIタンパク質には、例えば、ラット肝臓PDI、サックロミセス属に由来するEro1pおよびPdi1pタンパク質が含まれる。原核生物タンパク質には、例えば、大腸菌に由来するDsbCが含まれる。例えば、Frand et al., Trends in Cell Biol. 10:203-210 (2000)を参照されたい。ある態様では、例えば、周辺腔標的化配列を欠失させることによって、または細胞質保持配列を含めることによって、DsbCが細菌細胞質内に発現される。
タンパク質ジスルフィド結合の酸化還元状態を維持するように働く他の原核生物タンパク質には、例えば、大腸菌に由来するDsbB、DsbA、DsbC、DsbD、およびDsbGが含まれる。これらのタンパク質は当技術分野において周知であり、例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、Beckwith et al.米国特許第6,872,563号に記載されている。ある態様では、細胞質タンパク質の酸化を向上させるために、例えば、周辺腔標的化配列を欠失させることによって、または細胞質保持配列を含めることによって、DsbB、DsbA、DsbC、DsbD、およびDsbGが細菌細胞質内に発現される。
さらなる態様において、真核生物グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、酸化環境を有し、異種シャペロンタンパク質、ならびに/または異種PDIタンパク質、ならびに/または大腸菌に由来するDsbB、DsbA、DsbC、DsbD、およびDsbGなどのタンパク質も含む原核微生物において発現される。
C.還元環境を有する原核微生物における活性切断型真核生物グリコシルトランスフェラーゼの発現
予想外にも、切断型真核生物グリコシルトランスフェラーゼの一部は、細胞内還元環境を有する原核生物において活性を有した。典型的に、細胞内還元環境における活性は、細胞内酸化環境を有する原核生物における同じタンパク質の活性よりかなり低かった。ある態様では、切断型真核生物グリコシルトランスフェラーゼは、例えば、マルトース結合ドメインもしくはデンプン結合ドメインまたはその組み合わせと融合される。
例えば、表4は、MBPと融合した野生型切断型GnT1タンパク質の活性が1.7U/literであったことを示す。対照的に、同じタンパク質が大腸菌trxB, gor, supp変異体において発現された時は、活性は45U/literであった。試験した他のグリコシルトランスフェラーゼは、JM109細胞の還元環境では活性が無いように見えた。従って、1つの態様において、本発明は、還元環境を有する微生物、例えば、大腸菌において切断型可溶性活性グリコシルトランスフェラーゼを産生する方法を含む。好ましい態様において、グリコシルトランスフェラーゼはGnT1である。
VII.酸化環境を有する原核微生物によって産生された可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼの使用
本発明は、原核微生物において、好ましくは商業的規模で可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼを産生する方法を提供する。次いで、可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼは、糖タンパク質、糖脂質、およびオリゴ糖部分を酵素的に合成するのに、ならびに治療用タンパクを含む糖タンパク質または糖ペプチドを糖PEG化(glycoPEGylate)するのに、好ましくは商業的規模でも用いられる。本発明の酵素反応は、少なくとも1種類の可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼ、アクセプター基質、およびドナー基質、および典型的に可溶性の二価金属陽イオンを含む反応媒体において行われる。ある態様では、アクセサリー酵素がグリコシルトランスフェラーゼのドナー基質を合成できるように、アクセサリー酵素およびアクセサリー酵素触媒部分の基質も存在する。可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼタンパク質は、アクセプター基質、例えば、可溶性活性治療用タンパク質への糖類の付加を触媒する。
グリコシルトランスフェラーゼを使用して、望ましいオリゴ糖部分を有する糖タンパク質および糖脂質を合成する多くの方法が公知である。例示的な方法は、例えば、WO96/32491, Ito et al.,(1993) Pure Appl. Chem. 65:753、ならびに米国特許第5,352,670号、同第5,374,541号、および同第5,545,553号に記載されている。
本明細書に記載のように調製された可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼタンパク質は、さらなるグリコシルトランスフェラーゼと組み合わせて使用することができる。例えば、可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼタンパク質および細菌グリコシルトランスフェラーゼの組み合わせを使用することができる。同様に、可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼタンパク質は組換えアクセサリー酵素と共に使用することができる。組換えアクセサリー酵素は、可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼタンパク質と融合されてもよく、融合されなくてもよい。
前記のプロセスによって産生された産物は、さらに精製して、またはさらに精製することなく使用することができる。ある態様では、オリゴ糖が産生される。標準的な周知の技法、例えば、薄層クロマトグラフィーもしくは厚層(thick layer)クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、または膜濾過をグリコシル化糖類の回収に使用することができる。また、例えば、同一出願人によるAU Patent No.735695に記載のナノ濾過または逆浸透膜を用いた膜濾過が用いられてもよい。さらなる例として、膜の分子量カットオフが約1000〜約10,000の膜濾過をタンパク質除去に使用することができる。別の例として、次いで、ナノ濾過または逆浸透を塩除去に使用することができる。ナノフィルター膜は、一価の塩を通すが、多価の塩を保持し、使用する膜に応じて約200〜約1000ダルトンより大きな無電荷溶質を保持する逆浸透膜の一種である。従って、本発明の組成物および方法によって産生されたオリゴ糖は膜に保持することができ、汚染塩は通り抜ける。
例えば、グリコシル化タンパク質またはグリコシル化ペプチドである産物も、さらに精製することなく使用することができる。または、使用者が所望であれば、グリコシル化タンパク質またはグリコシル化ペプチドは、標準的なタンパク質精製法を用いて単離または精製することができる。
VIII.ドナー基質/アクセプター基質
本発明の可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼおよび方法によって用いられる適切なドナー基質には、UDP-Glc、UDP-GlcNAc、UDP-Gal、UDP-GalNAc、GDP-Man、GDP-Fuc、UDP-GlcUA、UDP-GlcNH2、UDP-GalNH2、およびCMP-シアル酸が含まれるが、これに限定されない。Guo et al., Applied Biochem. and Biotech. 68: 1-20(1997)。
本発明の可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼタンパク質および方法によって用いられる適切なアクセプター基質には、多糖、オリゴ糖、タンパク質、脂質、ガングリオシド、および本発明の方法によって修飾することができる他の生物学的構造(例えば、細胞全体)が含まれるが、これに限定されない。本発明の方法によって修飾することができる例示的な構造には、当業者に公知の多数の糖脂質、糖タンパク質、および炭水化物構造のいずれかが含まれる。
可溶性真核生物グリコシルトランスフェラーゼタンパク質によって触媒される反応において用いられる適切なアクセプター基質の例は、Guo et al., Applied Biochem. and Biotech. 68: 1-20 (1997)に記載されているが、これに限定されない。
好ましい態様において、アクセプター基質は治療用タンパク質である。細胞内酸化環境を有する微生物を用いて産生されたグリコシルトランスフェラーゼによる修飾に好ましい治療用タンパク質を表2に記載する。
(表2)好ましい治療用タンパク質
Figure 0005235657
細胞内酸化環境を有する原核生物において産生することができる他の好ましい治療用タンパク質は、2002年10月9日に出願された出願番号PCT/US02/32263;2003年2月19日に出願された仮特許出願第60/448,381号;2003年1月6日に出願された仮特許出願第60/438,582号;2002年8月28日に出願された仮特許出願第60/407,527号;2002年8月16日に出願された仮特許出願第60/404,249号;2002年7月17日に出願された仮特許出願第60/396,594号;2002年6月25日に出願された仮特許出願第60/391,777号;2002年6月7日に出願された仮特許出願第60/387,292号;2001年11月28日に出願された仮特許出願第60/334,301号;2001年11月28日に出願された仮特許出願第60/334,233号;2001年10月19日に出願された仮特許出願第60/344,692号;および2001年10月10日に出願された仮特許出願第60/328,523号;ならびに以下の米国特許出願公開第20040142856号、同第20040137557号、同第20040132640号、同第20040126838号、同第20040115168号、同第20040082026号、同第20040077836号、同第20040063911号、および同第20040043446号に開示される。前記の参考文献における好ましい治療用タンパク質もリモデリングに好ましいペプチドと呼ばれる。
ある態様では、治療用タンパク質はO結合グリコシル化部位を含む。O結合グリコシル化部位は、野生型タンパク質もしくは野生型ペプチドにある天然のものでもよく、変異体タンパク質もしくは変異体ペプチド、例えば、非天然のO結合グリコシル化部位が導入された変異体タンパク質もしくは変異体ペプチドにあるものでもよく、または天然および非天然のO結合グリコシル化部位を含む変異体タンパク質もしくは変異体ペプチドにあるものでもよい。O結合グリコシル化部位を有する例示的なタンパク質には、例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、例えば、175および178アミノ酸野生型(N末端メチオニン残基を含む、または含まない)、インターフェロン(例えば、インターフェロンα、例えば、インターフェロンα2b、またはインターフェロンα2a)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、ヒト成長ホルモン、インターロイキン(例えば、インターロイキン2)、および線維芽細胞増殖因子(FGF)が含まれる。野生型および変異体のタンパク質およびペプチドの例は、例えば、2004年5月7日に出願されたPCT/US2004/014254;2003年5月9日に出願された米国仮特許出願第60/469,114号;2003年8月13日に出願された米国仮特許出願第60/494,751号;2003年8月14日に出願された米国仮特許出願第60/495,076号;2003年1月8日に出願された米国仮特許出願第60/535,290号;2005年1月10日に出願されたPCT/US05/000799;2005年1月10日に出願されたUSSN11/033365;2004年1月8日に出願された米国仮特許出願第60/535284号;2004年2月12日に出願された米国仮特許出願第60/544411号;2004年2月20日に出願された米国仮特許出願第60/546631号;2004年3月23日に出願された米国仮特許出願第60/555813号;2004年5月12日に出願された米国仮特許出願第60/570891号;2005年10月31日に出願されたPCT/US05/39226;および2004年10月29日に出願された米国仮特許出願第60/623342号に見られる。これらはそれぞれ、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
本発明はまた、プロテアーゼ耐性を高めるように修飾された治療用タンパク質も含む。1つの態様において、プロテアーゼ耐性治療用タンパク質はヒト成長ホルモンタンパク質である。例示的なプロテアーゼ耐性治療用タンパク質は、例えば、2005年4月8日に出願された米国仮特許出願第60/669736号;2005年8月22日に出願された米国仮特許出願第60/710401号;および2005年9月23日に出願された米国仮特許出願第60/720030号に見られる。これらはそれぞれ、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
VII.修飾糖とペプチドの結合
修飾糖は、結合を媒介する適切な酵素を用いて、グリコシル化されたまたはグリコシル化されていないペプチドまたはタンパク質と結合される。好ましくは、修飾ドナー糖、酵素、およびアクセプターペプチドもしくはタンパク質の濃度は、アクセプターが使い果たされるまでグリコシル化が進行するように選択される。下記の考慮すべき事項はシアリルトランスフェラーゼに関して示したものであるが、他のグリコシルトランスフェラーゼ反応に広く適用することができる。
本発明はまた、修飾ペプチドの産業規模の生産を提供する。本明細書で使用する産業規模は、一般的に、例えば、少なくとも1マイクログラム、1ミリグラム、または1グラムの完成した精製結合体を生産する。
以下の議論において、本発明は、修飾シアル酸部分とグリコシル化ペプチドの結合によって例証される。例示的な修飾シアル酸はPEGで標識される。PEG-修飾シアル酸およびグリコシル化ペプチドに関する以下の議論の焦点は例証をはっきりとさせることであり、本発明がこれらの2つのパートナーの結合に限定されることを含むことを目的としない。当業者であれば、この議論がシアル酸以外の修飾グリコシル部分の付加に広く適用できることを理解する。さらに、この議論は、他の水溶性重合体、治療用部分、および生体分子を含む、PEG以外の薬剤を用いたグリコシル単位の修飾に等しく適用することができる。
PEG化またはPPG化した炭水化物をペプチドまたは糖ペプチドに選択的に導入するために、酵素的アプローチを使用することができる。この方法は、PEG、PPG、またはマスクした反応性官能基を含む修飾糖を使用し、適切なグリコシルトランスフェラーゼと組み合わされる。望ましい炭水化物結合を作るグリコシルトランスフェラーゼを選択し、修飾糖をドナー基質として使用することによって、PEGまたはPPGを、ペプチドバックボーン、糖ペプチドの既存の糖残基、またはペプチドに付加されている糖残基に直接導入することができる。
シアリルトランスフェラーゼのアクセプターは、本発明の方法によって修飾しようとするペプチドに、天然構造として、または組換えにより、酵素的に、もしくは化学的に配置された構造として存在する。適切なアクセプターには、例えば、Galβ1,4GlcNAc、Galβ1,4GalNAc、Galβ1,3GalNAc、ラクト-N-テトラオース、Galβ1,3GlcNAc、Galβ1,3Ara、Galβ1,6GlcNAc、Galβ1,4Glc(ラクトース)、GalNAcおよびシアル酸含有構造、ならびに当業者に公知の他のアクセプターなどのガラクトシルアクセプターが含まれる(例えば、Paulson et al., J. Biol. Chem. 253: 5617-5624 (1978)を参照されたい)。
1つの態様において、シアリルトランスフェラーゼのアクセプターは、糖ペプチドのインビボ合成時に修飾しようとする糖ペプチドに存在する。このような糖ペプチドは、糖ペプチドのグリコシル化パターンの前修飾を行うことなく本発明の方法を用いてシアル酸を付加することができる。または、本発明の方法は、適切なアクセプターを含まないペプチドにシアル酸を付加するのに使用することができる。まず最初に、当業者に公知の方法によってアクセプターを含むようにペプチドを修飾する。例示的な態様では、GalNAcトランスフェラーゼの働きによってGalNAc残基が付加される。
例示的な態様において、ガラクトシルアクセプターは、ガラクトース残基を、ペプチドに連結している適切なアクセプター、例えば、GlcNAcに取り付けることによって組み立てられる。この方法は、修飾しようとするペプチドを、適量のガラクトシルトランスフェラーゼ(例えば、galβ1,3またはgalβ1,4)および適切なガラクトシルドナー(例えば、UDP-ガラクトース)を含有する反応混合物とインキュベートする工程を含む。反応は実質的に完了するまで続けられるか、または予め選択された量のガラクトース残基が付加された時に終了する。選択された糖類アクセプターを組み立てる他の方法は当業者に明らかであろう。
さらに別の態様では、シアリルトランスフェラーゼのアクセプター、または1つもしくは複数の適切な残基を付加することができる部分を曝露して、適切なアクセプターを得るために、糖ペプチドに結合したオリゴ糖が最初に全部または一部「切り落とされる」。グリコシルトランスフェラーゼおよびエンドグリコシダーゼ(例えば、米国特許第5,716,812号を参照されたい)などの酵素が、取り付ける反応および切り落とす反応に有用である。
修飾糖をペプチドまたはタンパク質に結合する方法は、例えば、2001年10月10日に出願されたUSSN60/328,523;2002年6月7日に出願されたUSSN60/387,292;2002年6月25日に出願されたUSSN60/391,777;2002年8月16日に出願されたUSSN60/404,249;およびPCT/US02/32263に見られる。これらはそれぞれ、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる単数形「a」、「and」、および「the」は、特に文脈によってはっきりと規定されていない限り複数の指示物を含むことに留意しなければならない。従って、例えば、「1つの細胞」への言及は複数のこのような細胞および当業者に周知のその均等物などへの言及を含む。
本明細書で議論される刊行物は、単に、本願の出願日前の刊行物を開示するために示される。本明細書には、先行発明に基づいて本発明がこのような刊行物に先行する権利がないと認められると解釈されるものは何もない。さらに、示された公開日は実際の公開日とは異なる場合があり、実際の公開日は別個に確認する必要がある場合がある。引用は参照により本明細書に組み入れられる。
実施例
実施例1:O結合オリゴ糖経路からのグリコシルトランスフェラーゼの発現
一般手順
グリコシルトランスフェラーゼのアミノ末端が切断されたものとマルトース結合タンパク質(MBP)の融合が発現するように構築物を設計した。構築物は、対応する完全長タンパク質から除去された最後のアミノ酸(アミノ末端切断の場合)または除去された最初のアミノ酸(カルボキシル末端切断の場合)の位置を示すΔ(数字)を用いて指定した。以下の構築物:ヒトMBP-GalNAc-T2(Δ51)、ヒトGalNAc-T2(Δ51Δ445)、ショウジョウバエMBP-コア-1-Gal-T1(Δ50)、ブタMBP-ST3Gal-1(Δ45)、およびブタMBP-SBD-ST3Gal-1(Δ45;SBDはデンプン結合ドメインタグであり、MBPと触媒ドメインの間に挿入した)、ならびにヒトMBP-ST6GalNAc-1(Δ35)を使用した。酵素をコードする核酸は、典型的に、pCWin2-MBPまたはpCWin2の改変5’UTRを有するバージョンのBamHI-XhoI部位またはBamHI-EcoRI部位にクローニングした。例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、2005年1月6日に出願されたPCT/US05/00302を参照されたい。クローニングは、標準的な技法(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel, FM, et al, eds. John Wiley & Sons, Inc. 1998)を用いて行った。
タンパク質発現のために、新鮮なプレートからの白金耳量の細胞を用いて、50μg/mlカナマイシン含有マルトーネ(martone)LBの培養物100mLに接種を行った。培養物を180〜200rpmで振盪しながら37℃でインキュベートし、OD620をモニタリングした。OD620が0.4〜0.6に達した時に、培養物を20℃振盪インキュベーター(180〜200rpm)に15〜20分間移した。次いで、IPTGを0.1mM最終濃度まで添加し、20℃での振盪インキュベーションを一晩続けた。細胞を、7000xg、4℃で15分間の遠心分離によって採取した。
タンパク質溶解度の分析および融合タンパク質の部分精製のために、誘導された培養物からの細菌細胞ペレットをTE(20mM Tris pH7.4, 1mM EDTA)30mLに再懸濁し、マイクロフルイダイザーに15,000psiで2回通すことによって機械的破壊によって溶解した。不溶性物質を3000〜5000×g、4℃で10分間の遠心分離によってペレット化した。上清をペレットから分離し、活性アッセイ法分析のために各上清から試料を採取した。残りの上清を最終濃度200mM NaClまで調整し、室温で混合しながら洗浄済みアミロース樹脂とインキュベートした。1〜2時間後、ビーズを短時間の遠心分離によって収集し、10ビーズカラム体積のカラム緩衝液(20mM Tris pH7.4, 200mM NaCl,1mM EDTA)で洗浄し、使い捨てカラムに入れて収集した。精製済み融合タンパク質を、1ビーズカラム体積の10mMマルトース含有カラム緩衝液を用いて溶出させた。不溶性ペレット、上清、およびアミロース樹脂溶出液の試料をSDS-PAGEで分析した。
GalNAc-T2活性アッセイ法のために、反応を、酵素試料と、20mM Tris pH7、10mM MnCl2、1.5mM UDP-GalNAc、1mM合成ペプチドアクセプターの混合物において行った。37℃で30分間のインキュベーション後に、0.01N HClを用いて反応を止め、10,000 MWCO濃縮機で遠心分離を行うことによって、ペプチドアクセプターを反応混合物から分離した。ペプチドおよびGalNAc-ペプチドをRP-HPLCで検出および定量した。
コア-1-Gal-T1活性アッセイ法のために、ガラクトシルトランスフェラーゼ反応を、酵素試料と、3.5mg/mlアシアロ-ウシ顎下腺ムチン(アシアロ-BSM)、50mM MES pH6.5、20mM MnCl2、および放射標識UDP-ガラクトースの混合物において行った。37℃で1時間のインキュベーション後に、反応を止め、タンパク質反応産物を酸沈殿によってUDP-Galから分離した。その後に、アシアロ-BSMに転移した放射性ガラクトースを、シンチレーションカウンターを用いて検出および定量した。
ST6GalNAc-1およびST3Gal-1のアッセイ法のために、シアリルトランスフェラーゼアッセイ法を、固相形式で、アクセプターとしてアシアロ-BSMおよびビオチン化型CMP-NANドナーを用いて行った。簡単に述べると、アシアロ-BSMでコーティングした96ウェルプレートを、20mM BisTris pH6.7、2.5mM MgCl2、2.5mM MnCl2、50mM NaCl、0.05%Tween-80の中で、MBP-ST6GalNAc-1およびビオチン化CMP-NANの試料と37℃で2〜4時間インキュベートした。次いで、マイクロプレートを洗浄し、プレートに結合しているアシアロ-BSMに転移したビオチン化シアル酸をユーロピウム-ストレプトアビジンで標識し、時間分解蛍光によって検出した。
ST3Gal-1
MBP-ST3Gal-1構築物を有するJM109細胞およびtrxB gor supp変異体細胞を、発現のために20℃で一晩誘導した。図1に示したように、可溶性タンパク質としてのMBP-ST3Gal-1の発現は両株において観察され、trxB gor supp変異株において観察された発現レベルの方が高かった。両溶解産物からの可溶性融合タンパク質をアミロース樹脂で精製し(図1)、両溶解産物および部分的に精製されたタンパク質試料に対する活性アッセイ法から、可溶性融合タンパク質は酵素的に活性であり(表3)、trxB gor supp変異体細胞から回収された活性レベルの方が有意に高いことが分かった。
GalNAc-T2
MBP-GalNAcT2をJM109細胞において発現させた時、MBP-GalNAcT2は主に不溶性であり、可溶性画分にはほんの少しの活性レベルしか検出されなかった(表3)。MBPタグ化切断型ヒトGalNAc-T2構築物をtrxB gor supp変異株に導入し、発現のために20℃で一晩誘導した。図2に示したように、MBP-GalNAc-T2は可溶性をもって発現され、アミロース樹脂で容易に精製された。両溶解産物および部分的に精製された試料に対する活性アッセイ法から、可溶性融合タンパク質は、JM109細胞からの溶解産物において観察される可溶性融合タンパク質より非常に高いレベルで発現される活性酵素であることが分かった(表3)。アミノ末端配列およびカルボキシル末端レクチンドメインを欠く切断型GalNAcT2もまた、trxB gor supp変異体細胞において発現された時に可溶性および活性があった(図2bおよび表3)。
コア-1-Gal-T1
MBPタグ化切断型ショウジョウバエコア-1-Gal-T1構築物はJM109細胞において不溶性で発現され、可溶性画分には明らかな活性は無かった(表3)。MBPタグ化切断型ショウジョウバエコア-1-Gal-T1構築物をtrxB gor supp変異株に導入し、発現のために20℃で一晩誘導した。図3に示したように、MBP-GalNAc-T2は、好ましくは、trxB gor supp変異株において可溶性タンパク質として発現され、アミロース樹脂で部分的に精製された。溶解産物試料に対する活性アッセイ法から、trxB gor supp変異体においてMBPタグ化されて、またはタグ化されないで発現された時、可溶性タンパク質は活性酵素であることが分かった(表3)。
ST6GalNAc-1
MBPタグ化ST6GalNAc-1構築物を用いた以前の研究から、JM109細胞において融合タンパク質は不溶性封入体として発現されることが見出された。trxB gor supp変異株において、MBPタグ化切断型ヒトST6GalNAc-1構築物は可溶性タンパク質として発現され、アミロース樹脂で部分的に精製された(図4)。溶解産物試料に対する活性アッセイ法から、シアリルトランスフェラーゼ活性が検出された(表3)。
(表3)O結合グリカングリコシルトランスフェラーゼの観察された酵素活性に基づく収率
JM109またはtrxB gor supp変異体大腸菌において発現させた、指示した融合タンパク質の溶解産物試料における活性の概要。nt,試験せず。
Figure 0005235657
trxB gor supp変異体細胞において発現されるグリコシルトランスフェラーゼの10L発酵
10リットル発酵容器に、以下のタンパク質:MBP-ST3Gal-1、MBP-GalNAc-T2、およびMBP-コア-1-Gal-T1の1つを発現する大腸菌trxB gor supp変異株を播種した。37℃でOD620約0.5まで増殖させた後、温度を20℃にした。培養温度が20℃に達した後、タンパク質発現を誘導するために0.1mM IPTGを添加した。指示した時点で、細胞アリコートを取り出し(図5)、清澄化溶解産物に処理し、酵素活性についてアッセイした。図5に示したように、発現された酵素レベルは、各融合タンパク質の48時間の誘導時間にわたって維持されたか、または増加した。
インターフェロン-α-2bのO-グリコシル化および糖PEG化
インターフェロン-α-2bを、trxB gor supp変異体大腸菌において産生させた真核生物グリコシルトランスフェラーゼを用いてグリコシル化した(図6)。まず最初に、GalNAcを、MBP-GalNAc-T2酵素活性によってインターフェロンに付加した。次いで、ガラクトースを、MBP-コア1-Gal-T1酵素活性によって付加した。反応産物をMALDI-TOF質量分析によって分析した。図6Aは、インターフェロン-α-2bのみである。第1の反応(図6B)は、40μgインターフェロン-α-2b、0.4mM UDP-GalNAc、および20mU/mg MBP-GalNAc-T2を含んだ。第2の反応(図6C)は、インターフェロン-α-2b(40μg)、0.4mM UDP-GalNAc、20mU/mg MBP-GalNAc-T2、0.4mM UDP-Gal、および20mU/mg MBP-コア1-Gal-T1を含んだ。両反応とも、20mM BisTris pH6.7、50mM NaCl、10mM MnCl2、および0.02%NaN3中で、32℃で6時間行った。図6Aおよび6Bに示したように、インターフェロンの質量ピークは、GalNAcの付加と一致して第1の反応において増加した。同様に、図6Cにおいて、インターフェロンの質量は、GalNAc-Galの付加と一致して第2の反応においてさらに増加した。
図7に示したように、trxB gor supp変異体大腸菌において産生させた真核生物グリコシルトランスフェラーゼを、インターフェロン-α-2bを糖PEG化するのにも使用した。まず最初に、インターフェロン-α-2bのグリコシル化反応を、trxB gor supp変異体溶解産物から産生させたMBP-GalNAcT2およびMBP-コア-1-Gal-T1を用いて行った。第1の反応は、40μg インターフェロン-α-2b、0.4mM UDP-Gal、20mU/mg MBP-GalNAc-T2、0.4mM UDP-Gal、20mU/mg MBP-コアl-Gal-T1、20mM BisTris pH6.7、50mM NaCl、10mM MnCl2、および0.02%NaN3を含んだ。32℃で6時間のインキュベーション後、0.08mM CMP-NAN-40kDaPEGおよび50mU/mg MBP-ST3Gal-1を添加した。この反応は32℃で一晩続いた。反応進行は、MBP-GalNAc-T2およびMBP-コア-1-Gal-T1の添加前、MBP-ST3Gal-1添加の直前および直後、ならびに反応終了時に採取したアリコートのSDS-PAGEによってモニタリングした。図7、レーン3に示したように、GalNAc-Galが付加することによって、インターフェロンの電気泳動移動度は識別できるほど小さくなる。インターフェロンがMBP-ST3Gal-1によってさらにシアリルPEG化すると、40kDa PEG-シアル酸付加と一致して移動度が劇的に小さくなる(図7,レーン5)。
実施例2:N結合オリゴ糖経路からの真核生物グリコシルトランスフェラーゼの発現
一般手順
グリコシルトランスフェラーゼのアミノ末端が切断されたものとマルトース結合タンパク質(MBP)の融合が発現するように構築物を設計した。構築物は、対応するネイティブなタンパク質のアミノ末端から除去されたアミノ酸の番号を示すΔ(数字)を用いて指定した。以下の構築物:ヒトMBP-GnT1(Δ103)、ウシMBP-GalT1(Δ129)、ならびにラットMBP-ST3Gal3(Δ72)およびMBP-SBD-ST3Gal3(Δ72;SBDはデンプン結合ドメインタグであり、MBPと触媒ドメインの間に挿入した)、ならびにヒトMBP-ST6GalNAc-1(Δ35)を使用した。GnT1およびGalT1については、1つのミスセンス変異を有する、各酵素の代替バージョンも試験した。酵素をコードする核酸は、典型的に、pCWin2-MBPのBamHI-XhoI部位またはBamHI-EcoRI部位にクローニングした。例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、2005年1月6日に出願されたPCT/US05/00302を参照されたい。クローニングは、標準的な技法(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel, FM, et al, eds. John Wiley & Sons, Inc. 1998)を用いて行った。
タンパク質発現ならびに溶解度および精製の分析は実施例1に記載のように行った。
GnT1活性アッセイ法のために、反応を、一般的な文献方法(例えば、Schachter, Reck, and Paulson (2003) Methods Enzymol 363, 459-475)から開発した方法を用いて行った。簡単に述べると、n-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ活性を、Man1,6(Man1,3)Man-O-オクチル(OM3)への放射標識UDP-GlcNAcの転移としてモニタリングした。基質および産物を逆相によって精製し、シンチレーションカウンターを用いて検出および定量した。
GalT1活性アッセイ法のために、ガラクトシルトランスフェラーゼ反応を、50mM HEPES pH7.5、4.5mMラクト-n-トリオースII、6mM UDP-Gal、および5mM MnSO4中の酵素試料の混合物において行った。37℃で1時間のインキュベーション後、反応を止め、炭水化物反応産物を、10,000 MWCO濃縮機による遠心分離によって分離した。基質および産物をHPLCによって検出および定量した。
ST3Gal3アッセイ法のために、シアリルトランスフェラーゼアッセイ法を、20mM MOPS pH6.5、0.1mg/ml BSA、10mM MnCl2、2mM CMP-NAN、および30mMラクトn-ネオトレハロース中の酵素試料の混合物において行った。30℃で2時間のインキュベーション後、反応を熱不活性化によって止め、反応基質および産物をHPLCによって検出および定量した。
GnT1
MBP-GnT1およびMBP-GnT1 C121Sが発現するように20℃で誘導したJM109およびtrxB gor supp変異体大腸菌の培養物を、融合タンパク質の溶解度および活性について分析した。図8に示したように、trxB gor supp変異株において、両MBP-GnT1融合タンパク質の高い可溶性発現レベルが見られ、アミロース樹脂を用いて可溶性融合タンパク質の全てが回収された。MBP-GnT1試料に対する活性アッセイ法から、trxB gor supp変異体細胞の酵素はJM109細胞の25倍超の活性レベルで発現したことが分かった(表4)。MBP-GnT1 C121Sも可溶性活性酵素として発現されたが、同じ大腸菌株におけるMBP-GnT1構築物の約1/10のレベルであった(表4)。
GalT1
MBP-GalT1およびMBP-GalT1 C342Tが発現するように20℃で誘導したJM109およびtrxB gor supp変異体大腸菌の培養物を、融合タンパク質の溶解度および活性について分析した。図9に示したように、trxB gor supp変異株において、両MBP-GnT1融合タンパク質の高い可溶性発現レベルが観察され、アミロース樹脂を用いて可溶性融合タンパク質の全てが回収された。JM109において発現させたMBP-GalT1に対する活性アッセイ法は酵素活性を検出することができなかったが、trxB gor supp変異体発現試料からは活性MBP-GalT1酵素が回収された(表4)。MBP-GalT1 C342T構築物は両大腸菌株から活性酵素として回収され、trxB gor supp変異体試料において5倍超の活性レベルが観察された。
ST3Gal3
MBP-ST3Gal3およびMBP-SBD-ST3Gal3が発現するように20℃で誘導させたtrxB gor supp変異体大腸菌の培養物を、融合タンパク質の溶解度および活性について分析した。図10に示したように、trxB gor supp変異体細胞において、ST3Gal3融合タンパク質の両バージョンとも可溶性をもって発現し、アミロース樹脂によって回収された。trxB gor supp変異体細胞において可溶性をもって発現された両ST3Gal3融合タンパク質は酵素的に活性であり、MBPタグ化構築物の活性はMBP-SBDタグ化構築物の5倍超であった(表4)。JM109細胞において発現させたMBP-SBD-ST3Gal3には、検出可能な酵素活性が無かった(表4)。
(表4)N結合グリカングリコシルトランスフェラーゼの観察された酵素活性に基づく収率
JM109またはtrxB gor supp変異体大腸菌において発現させた、指示した融合タンパク質の溶解産物試料における活性の概要。nt,試験せず。
Figure 0005235657
実施例3:シュードモナス属における真核生物グリコシルトランスフェラーゼの発現
一般手順
以下の真核生物グリコシルトランスフェラーゼ:ブタST3Gal-1およびニワトリST6GalNAc-1の2つのN末端切断物の活性をシュードモナス属発現系において試験した。対応するネイティブなタンパク質のアミノ末端から除去されたアミノ酸の番号を示す(Δ数字)を有する構築物は、ブタST3Gal-1(Δ45)、ブタST3Gal-1(Δ56)、およびニワトリST6GalNAc-1(Δ231)であった。グリコシルトランスフェラーゼをシュードモナス属分泌配列と融合した。ここで、発現はペリプラズムに標的化される、および/または細胞質に標的化された非融合タンパク質として発現された。IPTG誘導性Ptacプロモーターによって発現を駆動した。クローニングは、標準的な技法(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel, FM, et al, eds. John Wiley & Sons, Inc. 1998)を用いて行った。
P.フルオレセンスDC206株(ΔpyrF, lac1Q1)を、グリコシルトランスフェラーゼを発現する核酸を含むプラスミドで形質転換した。例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる、2005年8月25日に公開された、US2005/0186666を参照されたい。形質転換細胞を、1リットルスケールで、1%グルコースおよび微量元素を添加した最小(M9)培地中で増殖させた。初期増殖期の後に、IPTGを培地に添加することによって、グリコシルトランスフェラーゼ発現を誘導した。細胞を誘導培地において24〜120時間増殖させた。細胞を遠心分離によって採取し、上清を捨て、細胞ペレットを-20℃で凍結および保存した。
細胞溶解産物を調製するために、凍結した細胞ペースト(8〜14グラム湿重量)を融解し、100mM NaClを含有するMES溶解緩衝液(50mM MES,pH6.5)に、約1グラム湿細胞ペースト/2mL溶解緩衝液の比で再懸濁した。懸濁液を、フレンチプレッシャーセルに2回、それぞれ、10,000 psiおよび20,000psiで通すことによって破壊した。不溶性物質を遠心分離によって除去し、上清を、0.45μmおよび0.2μmシリンジフィルターに通すことによってさらに清澄化した。不溶性画分および可溶性画分の試料をSDS-PAGEで分析した。
シアリルトランスフェラーゼ活性アッセイ法のために、反応を、酵素試料と、0.5〜2mg/mlアシアロ-フェチュイン(ST3Gal-1の場合)またはアシアロ-BSM(ST6GalNAc-1の場合)、50mM MESまたはBisTris pH6.5、100mM NaCl、および放射標識CMP-NANの混合物において行った。37℃で30〜60分間のインキュベーション後、反応を止め、タンパク質反応産物を酸沈殿によってCMP-NANから分離した。その後に、アシアロ-フェチュインまたはアシアロ-BSMに転移した放射性シアル酸を、シンチレーションカウンターを用いて検出および定量した。
ST3Gal-1
ペリプラズムST3Gal-1構築物または細胞質ST3Gal-1構築物を発現するシュードモナス属培養物からの細胞溶解産物を、シアリルトランスフェラーゼ活性についてアッセイした。表5にまとめたように、シアリルトランスフェラーゼ活性は、細胞質標的化およびペリプラズム標的化ST3Gal-1Δ45およびΔ56構築物からの試料中に観察され、ST3Gal-1Δ56試料からの活性レベルの方が高かった。
ST6GalNAc-1
細胞質ニワトリST6GalNAc-1を発現するシュードモナス属培養物からの細胞溶解産物を、シアリルトランスフェラーゼ活性についてアッセイした。表5にまとめたように、シアリルトランスフェラーゼ活性は、細胞質標的化ニワトリST6GalNAc-1からの試料中に観察された。
(表5)シュードモナス属において発現させたO結合グリカングリコシルトランスフェラーゼの観察された酵素活性に基づく収率
シュードモナス属を用いたST3Gal-1およびST6GalNAc-1構築物発現および活性試験の概要
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本明細書に記載の実施例および態様は例示にすぎず、本明細書に記載の実施例および態様を考慮すれば、様々な修正または変更が当業者に示唆され、本願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲の中に含まれることが理解される。本明細書において引用された全ての刊行物、特許、および特許出願は、全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
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可溶性MBPタグ化切断型ブタST3Gal-1の発現および部分精製のSDS-PAGE分析を示す。MBP-ST3Gal-1を、JM109(レーン2〜5)およびtrxB gor supp変異体(レーン6〜9)株において発現させた。レーン2〜3および6〜7は、それぞれ、アミロース樹脂とのインキュベーション前および後の清澄化溶解産物である。レーン4〜5および8〜9は、部分的に精製されたMBP-ST3Gal-1を含有するアミロース樹脂からの連続溶出物である。最初のレーンは分子量マーカーである。 trxB gor supp変異体溶解産物からの可溶性MBPタグ化切断型ヒトGalNAc-T2の発現および部分精製のSDS-PAGE分析を示す(レーン2〜4)。レーン2〜3は、それぞれ、アミロース樹脂とのインキュベーション前および後の清澄化溶解産物である。レーン4は、部分的に精製されたMBP-GalNAc-T2を含有するアミロース樹脂からの溶出である。最初のレーンは分子量マーカーである。 trxB gor supp変異体大腸菌において発現させたアミノ切断型およびカルボキシル切断型ヒトGalNAc-T2の発現および溶解度のSDS-PAGE分析を示す。溶解した細胞を、遠心分離によって不溶性(レーン2)画分および可溶性(レーン3)画分に分離し、SDS-PAGEによって分離した。最初のレーンは分子量マーカーである。 可溶性MBPタグ化切断型ショウジョウバエコア-1-Gal-T1の発現および部分精製のSDS-PAGE分析を示す。MBP-コア-1-Gal-T1を、JM109(レーン2〜3)およびtrxB gor supp変異体(レーン4〜5)細胞から発現および精製した。レーン1は分子量マーカーを含む。レーン2および4は清澄化溶解産物であり、部分的に精製されたアミロース樹脂溶出物をレーン3および5に示す。 trxB gor supp変異体細胞からの可溶性MBPタグ化切断型ヒトST6GalNAc-1の発現および部分精製のSDS-PAGE分析を示す。レーン1は分子量マーカーを含む。レーン2および3は、それぞれ、アミロース樹脂とのインキュベーション前および後の清澄化溶解産物である。レーン4は、アミロース樹脂から溶出された部分的に精製されたMBP-ST6GalNAc-1を含む。 MBP-GalNAc-T2、MBP-コア-1-Gal-T1、およびMBP-ST3Gal-1のスケールアップ生産実験からの発現活性収率を示す。指示した構築物を発現するtrxB gor supp変異体細胞を播種した10リットル発酵容器を、48時間誘導した。グリコシルトランスフェラーゼ活性(U/培地リットル)を、指示した誘導後時間で採取したアリコートからモニタリングした。 trxB gor supp変異体大腸菌において産生させた真核生物グリコシルトランスフェラーゼを用いたインターフェロン-α-2bのグリコシル化を示す。反応産物をMALDI TOF質量分析によって分析した。図6Aは非修飾インターフェロン-α-2bを示す。図6Bは、MBP-GalNAc-T2およびUDP-GalNAcとのインキュベーションの結果を示す。図6Cは、MBP-GalNAc-T2、MBP-コア-1-Gal-T1、UDP-GalNAc、およびUDP-Galとのインキュベーションの結果を示す。インターフェロン-α-2bへのGalNAc(推定値+203.2,観察値+209.1)またはGalNAc-Gal(推定値+365.6,観察+365.3)の付加による推定質量が観察された。 trxB gor supp変異体大腸菌において産生させた真核生物グリコシルトランスフェラーゼを用いた糖PEG化反応物のSDS-PAGE分析を示す。まず最初に、インターフェロン-α-2b(レーン2)を、精製済みのMBP-GalNAc-T2、MBP-コア-1-Gal-T1、UDP-GalNAc、およびUDP-Galと32℃で6時間インキュベートした(レーン3)。次いで、精製済みのMBP-ST3Gal-1およびCMP-SA-40kDa-PEGを添加し(レーン4,時点0)、糖PEG化反応が進行するように32℃で一晩インキュベートした(レーン5)。分子量マーカーは最初のレーンにある。 JM109(レーン2〜7)およびtrxB gor supp変異体大腸菌株(レーン8〜13)において発現させたMBPタグ化切断型ヒトGnT1(レーン2〜4,8〜10)およびMBP-GnT1 C121S(レーン5〜7,11〜13)の溶解度および部分精製のSDS-PAGE分析を示す。誘導された培養物からの細胞を溶解し、不溶性物質を遠心分離によって分離した(レーン2,5,8,11)。上清(レーン3,6,9,12)をアミロース樹脂とインキュベートした。次いで、部分的に精製されたMBP融合タンパク質を樹脂から溶出させた(レーン4,7,10,13)。最初のレーンは分子量マーカーである。 JM109(レーン2〜7)およびtrxB gor supp変異体(レーン8〜13)大腸菌株において発現させたMBPタグ化切断型ウシGalT1(レーン2〜4,8〜10)およびMBP-GalT1 C342T(レーン5〜7,11〜13)の溶解度および部分精製のSDS-PAGE分析を示す。誘導された培養物を溶解し、不溶性物質を遠心分離によって分離した(レーン2,5,8,11)。上清(レーン3,6,9,12)をアミロース樹脂とインキュベートした。次いで、部分的に精製されたMBP融合タンパク質を樹脂から溶出させた(レーン4,7,10,13)。最初のレーンは分子量マーカーである。 trxB gor supp変異体大腸菌株において発現させたMBPタグ化切断型ラットST3Gal3(レーン2〜4)およびMBP-SBDタグ化ST3Gal3(レーン5〜7)の可溶性発現および部分精製のSDS-PAGE分析を示す。レーン2〜3および5〜6は、それぞれ、アミロース樹脂とのインキュベーション前および後の清澄化溶解産物である。レーン4および7は、部分的に精製されたST3Gal3融合タンパク質を含有するアミロース樹脂からの溶出物である。最初のレーンは分子量マーカーである。

Claims (7)

  1. 以下の工程を含む、酸化環境を有する原核微生物において可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼを産生する方法:
    a)真核生物グリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を原核微生物において発現させる工程;および
    b)原核微生物の細胞区画内で可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼの発現を可能にする条件下で、微生物を増殖させる工程;
    ここで、原核微生物は、内因性還元酵素核酸に変異を有することにより還元酵素活性が低いのであり、かつ、最適増殖温度より低い温度で増殖
    該真核生物グリコシルトランスフェラーゼが、真核生物N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GnTまたはGNT)、真核生物N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(GalNAcT)、真核生物ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)、および真核生物シアリルトランスフェラーゼからなる群より選択されるメンバーであり、
    該原核微生物が大腸菌(E.coli)であり、
    大腸菌がtrxB遺伝子およびgor遺伝子に変異を有し、18〜26℃の温度で増殖する、
    方法。
  2. 真核生物ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)が、真核生物β-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT1)または真核生物コアIガラクトシルトランスフェラーゼ(コア1 GalT1)であり;真核生物シアリルトランスフェラーゼが、真核生物α(2,3)シアリルトランスフェラーゼ(ST3Gal3)、真核生物α-N-アセチルガラクトサミニドα-2,6-シアリルトランスフェラーゼI(ST6GalNAcT1)、または真核生物galβ1,3GalNAcα2,3-シアリルトランスフェラーゼ(ST3GalI)である、請求項1記載の方法。
  3. 可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼを単離する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  4. 可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼがマイクログラム、ミリグラム、またはグラム規模で産生される、請求項1記載の方法。
  5. 可溶性活性真核生物グリコシルトランスフェラーゼが精製タグを含む、請求項1記載の方法。
  6. 原核微生物が異種プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)を含む、請求項1記載の方法。
  7. 原核微生物が異種シャペロンタンパク質を含む、請求項1記載の方法。
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