JP5280657B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録用紙に関し、特に耐水性に優れていると共に良好なインクジェット記録性を備えた高速インクジェット印刷装置に好適なインクジェット記録用紙に関する。
インクジェット記録方式で使用される記録用紙は、一般PPC用紙に類似している普通紙タイプのものと、塗工紙タイプに大別される。塗工紙タイプのものは用紙基材の表面にインク受容層を有するのに対し、普通紙タイプのものはインク受容層を有しないか、または、有するとしてもごくわずかである。このインク受容層はインク顔料を受け入れて溶媒をこのインク受容層から用紙基材に移行させる機能を有している。
インクジェット記録用紙の市場の拡大に伴い、ユーザは、種々の用途の相違に対応できるように、より高品質なインクジェット記録用紙の提供を製造業者に要求するようになってきている。最も一般的な要求の一つは耐水性及び耐湿性である。
従来からインクジェット記録用紙の製造に際し、良好なインクジェット記録性を達成する材料としてカチオン性ポリマーが知られている。特に、耐水性インクジェット記録用紙はカチオン性ポリマー及びバインダーと結合したシリカ又はアルミナ顔料を有しており、この技術はインクジェット記録用紙の技術分野では一般的な技術となっている。
例えば、下記特許文献1には、良好なインク吸収性と耐水性を達成するために、シリカ粒子、バインダー及びカチオン性ポリマーを用いた例が示されている。また、下記特許文献2には、良好なインクジェット記録性と記録濃度の向上のため、ポリサッカライドとカチオン性ポリマーを使用した例が示されている。また、下記特許文献3には、フェザーリング現象を減らすため、カチオン性ポリマーとシリカ粒子を用いた例が示されている。また、下記特許文献4には、耐水性、耐候性、耐熱及び耐湿性向上のため、無機微粒子、カチオン性ポリマー及びバインダーを用いた例が示されている。また、下記特許文献5には、耐候性、耐水性、耐ガス性及び耐熱性向上のため、無機微粒子及びカチオン性ポリマーを使用した例が示されている。また、下記特許文献6には、耐水性及び耐黄色性向上のため、ビニルピリジン及びメタクリルアミドからなるカチオン性ポリマーを使用した例が示されている。更に、下記特許文献7には、良好なインク吸収性、耐水性、貯蔵安定性に優れたインクジェット記録用紙を得るため、カチオン性ポリマーとしてのポリアクリルアミド及び塩化アルミニウムを使用した例が示されている。
特開2004−237519号公報 特開2004−314395号公報 特開2005−254501号公報 特開2007−015176号公報 特開2007−044950号公報 特開2007−045009号公報 特開2003−211823号公報
上述したように、市場に出回っている大部分のインクジェット記録用紙は、カチオン性ポリマーを用いて、或いは、カチオン性ポリマー、シリカ顔料及びバインダーを組合せて、用紙基材の表面を塗工処理することによって製造されている。カチオン性ポリマーによってのみ処理されたインクジェット記録用紙は、非常に良好なインクジェット記録性を与えるが、低耐水性となってしまう。カチオン性ポリマーは多量に水を吸収する傾向があるので、カチオン性ポリマーによってのみ処理されたインクジェット記録用紙が汗ばんだ手によって取り扱われると、インクは容易に手に付着し、また、高湿度雰囲気下では用紙の表面は少し粘着状態を示す。
また、シリカ顔料を使用すると、インク吸収性が良好であり、汗ばんだ手へのインク移行性がないので、非常に良好なインクジェット記録性を与える。しかし、シリカ顔料は大きな表面積を有しているため、製造時に多くの埃による問題点を生じる。その上、シリカ顔料は、容易に用紙表面に結合せず、しかも、カッターサイズマシンによる取り扱い及び切断工程の間に用紙表面にひっかき傷が付くと言うような多くの問題点の原因となる。
近年、市場で手に入れられるインクジェットプリンターの大部分は水性インク或いは顔料インクを使用している。インクを用紙の表面に固定するには、用紙基材の表面にインク吸収剤及び定着剤が必要である。また、インクジェット記録用紙は、耐水性を要する用途や高速印刷機で印刷できる必要がある請求書のような書類を作成する用途等においても多く使用されるようになっている。埃やひっかき傷も高速印刷機で使用する際によく現れる問題点である。この理由から、これらの高性能なインクジェット記録用途に使用される用紙は、一般的に顔料のみによって用紙の表面処理を行ったものは使用することはできない。
このように、顔料を用いず、しかもポリマーのみを使用することなく、インク吸収性及びインク定着度に優れていると共に、耐水性及び高速印刷性を備えたインクジェット記録用紙の提供が求められている。発明者等は、上述のような従来技術の問題点を解決すべく種々実験を重ねた結果、カチオン性ポリマー、ポリ塩化アルミニウム(塩化水酸化アルミニウムとしても知られている)及びアルカリ土類金属の水酸化物からなる錯塩を使用し、この錯塩をデンプンによってエマルジョン化したものを塗工液として用いることによって、解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、耐水性に優れていると共に良好なインクジェット記録性を備えた高速インクジェット印刷装置に好適なインクジェット記録用紙を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のインクジェット記録用紙は、用紙基材の表面が塗工液で処理されたインクジェット記録用紙において、前記塗工液は、カチオン性ポリマー、ポリ塩化アルミニウム及びアルカリ土類金属の水酸化物の反応によって得られた錯塩が水和デンプンによってエマルジョン化された水溶液からなることを特徴とする。
また、本発明のインクジェット記録用紙では、前記カチオン性ポリマーの含有割合は固形分として前記塗工液の5〜20質量部であり、前記ポリ塩化アルミニウムの含有割合は固形分として前記塗工液の5〜40質量部であり、また、前記アルカリ土類金属の水酸化物の含有割合は固形分として前記塗工液の7〜20質量部であることが好ましい。
本発明によるインクジェット記録用紙は、錯塩によって表面処理されており、非常に良好なインク受容性及びインク定着度を有し、耐水性に富む。この錯塩は、カチオン性ポリマー、ポリ塩化アルミニウム及びアルカリ土類金属の水酸化物からなっており、これらの化合物を水中で十分に撹拌しながら混合させることで作成し得る。この錯塩は容易に用紙基材の表面に供給することはできないので、水和されたデンプンによってエマルジョンに変えることが必要である。このエマルジョンは、埃の問題を生じさせることがなく、用紙基材の表面に塗布されると良好な密着性を有している。このエマルジョンは、簡単なサイズプレス機、自動計量(metering)サイズプレス機、ブレードコーター及びロッドコーターによって用紙基材の表面に供給することができる。塗布質量は大きい方がよいが、コスト条件から一般的に片側5g/m以下にする必要がある。
この錯塩はまた、シリカ顔料と同程度の非常に良好なインク受容性化合物である。なお、アルカリ土類水酸化物としては、Be(OH)、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)を使用できるが、安価であることからMg(OH)又はCa(OH)が好ましい。また、用紙基材としては、インクの乾燥時間を短縮するため、低サイズ度(ステキヒトサイズ度が15秒以下)の用紙が好ましい。インクの乾燥時間が長くなると、インクが用紙基材に移行するので、内部の色の滲みの原因となる。用紙基材の表面に上記の塗工液によってインク受容層を形成すると、インクは用紙基材に移行せず、インク溶液の溶媒のみが用紙基材に移行するため、インクの乾燥時間を短縮することができる。耐水性はインク定着度及びインクブリーディングによって表されるが、本発明によって得られるインクジェット記録用紙は、インク定着度及びインクブリーディング共に非常に良好であり、また均質である。
カチオン性ポリマーの含有量は固形分として前記塗工液の20質量部を超える場合は用紙の表面に粘着するような感触を与えるので好ましくなく、また、カチオン性ポリマーの含有量は固形分として前記塗工液の5質量部未満では耐水性が低下するので好ましくない。更に、ポリ塩化アルミニウムの含有量が固形分として前記塗工液の40質量部を超える場合及び5質量部未満の場合には共に耐水性が低下するので好ましくない。アルカリ土類水酸化物(例えば、Ca(OH)又はMg(OH))の含有割合が固形分として前記塗工液20質量部を超えると、pHが10以上になってしまうため、塗工液の色が茶色がかるようになり、用紙の色に影響を与えてしまう。また、アルカリ土類水酸化物の含有割合が固形分として前記塗工液の5質量部未満では、pHが8未満になってしまい、耐水性が劣るようになるので好ましくない。
また、本発明のインクジェット記録用紙では、前記カチオン性ポリマーがポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(poly−DADMAC)又はポリアミンエポクロルヒドリンからなることが好ましい。
カチオン性ポリマーはポリアクリルアミド系、ポリアミドアミン系のものが多く使用されているが、poly−DADMAC又はポリアミンエポクロルヒドリンを用いると、ポリ塩化アルミニウム及びアルカリ土類金属の水酸化物と安定な錯塩を形成するので好ましい。
また、本発明のインクジェット記録用紙は、インク定着度が100%又はそれ以上であることが好ましい。
インクジェット記録用紙のインク定着度が100%又はそれ以上であると、インクジェット記録用紙が水に浸漬されても実質的にインクが溶け出すことがなくなる。
また、本発明のインクジェット記録用紙は、インクブリーディングが5%未満であることが好ましい。
インクジェット記録用紙のインクブリーディングが5%又はそれ以上であると、インクジェット記録用紙が水に浸漬された際に目視でインクの滲みが分かるようになるので好ましくない。
以下に、表を参照して本発明の最良の実施形態を比較例と共に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのインクジェット記録用紙を例示するものであって、本発明をこのインクジェット記録用紙に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
最初に、実施例及び比較例で共通して用いたインクジェットプリンター及びインクの種類、インク定着度及びインクブリーディングの測定方法について説明する。発明者等は、既に多くの種類のインクジェットプリンターを試験し、結果は同じ傾向を示すことを確認している。以下に示す実施例及び発明では、インクとして水性インクであって他の溶媒を含んでいないことから、コダック社から提供されたインクを使用した。すなわち黒色インクとしてコダック社のFV2003を使用し、カラーインクとしてFV2002(マゼンタ)を使用した。プリンターは全ての測定において同じ条件下で行った。なお、プリンターとしては、EPSON社のStylus C67を使用した。また、用紙の光学濃度(OD)はGregtag Macbeth社製のD19c型デンシトメーターにより行った。
実施例及び比較例で用いた全ての用紙基材は、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)90質量%、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)10質量%を含んでおり、填料として炭酸カルシウムが全パルプ質量の10〜20%となるように添加されている。また、内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(AKD)が用紙生成原料の固形分換算で1トン当たり0.72kgが用いられている。また、カチオン化デンプンが用紙生成原料の固形分換算で1トン当たり8kgが添加されている。更に、蛍光増白剤及び歩留向上剤が通常の用紙と同量添加されている。上記パルプ、填料、内添サイズ剤の種類や量は一例であって、これに制限されるものではなく、一般に使用されているものはほとんど使用することができる。
[水に対するインク定着度及びインクブリーディングの測定方法]
水に対するインク定着度は用紙が水で濡らされたときにインクが用紙表面に保持されている度合いを意味する。また、水に対するインクブリーディングは用紙が水で濡らされたときにインクが印刷された位置に固定されている度合いを意味し、このことはインクが印刷された領域側から広がらない度合いを示すものである。なお、以下の全ての測定方法は、27℃、65%RHの条件下(熱帯国用のISO1897:1990に基づく)で行われた。
最初に用紙試料のODを単独で測定し、これを「用紙のOD」とした。また。別途用紙の手触りから用紙試料の表面に粘着性があるか否かを判断した。次いで、用紙試料に所定のパターンに印刷を行った。印刷パターンは図1Aに示すとおりである。なお、用紙試料及び印刷パターンの大きさは任意であるが、ここでは、1cm×1cmのサイズに所定の色で印刷を行った。
所定パターンの印刷及び各物性の測定は次のようにして行った。
(1)黒色のインクを用いて所定パターンの印刷を行った。
(2)次に、印刷された用紙試料のインク領域(図1A参照)の中央部でODの測定を行い、これを「浸漬前のインク領域のOD」とした。
(3)次に、印刷された用紙試料を純水中に1分間浸漬した。
(4)純水に浸漬した印刷された用紙試料を測定室内(27℃、65%RH)に乾燥するまで少なくとも3時間放置した。
(5)次に、水に浸漬後の印刷された用紙試料の各部の光学濃度の測定を以下のようにして行った。
「インク領域近傍のOD」は、図1Bに示すように、浸漬後のインク領域の端部から2〜3mm離れた位置で3点測定して平均値として求めた。
「浸漬後のインク領域のOD」は、インク領域の中央部で測定した。
(6)更に、マゼンタ色のインクを用いて以上(1)〜(5)の工程を繰り返して測定した。
[測定結果の解析]
水に対するインク定着度(%)は次の式(1)により求めた。
(浸漬後のインク領域のOD/浸漬前のインク領域のOD)×100 (1)
水に対するインクブリーディング(%)は次の式(2)により求めた。
((浸漬後のインク領域近傍のOD−用紙のOD)/浸漬前のインク領域のOD)
×100 (2)
[評価基準]
塗工液の色は、目視により茶色がかって見えると「不可」と判定した。
水に対するインク定着度は、100%又はそれ以上であると「良」と判定した。
水に対するインクブリーディングは、5%未満であると「良」と判定した。
総合結果は次のようにして表した。
○:良(水に対するインク定着度≧100%、水に対するインクブリーディング<5%、塗工液の色:無色)
△:可(上記のいずれか一つの条件を満たさない場合)
×:不可(上記の条件の2つもしくはそれ以上を満たさない場合)
以下に示す実施例1〜11及び比較例1〜11の塗工液は、サイズプレス機で用紙の表面に塗工処理されるサイズプレス溶液である。また、比較例1及び比較例2は上質紙で製造する場合の通常の条件である。なお、以下の実施例及び比較例で使用した錯塩は、カチオン性ポリマー、ポリ塩化アルミニウム及びアルカリ土類金属の水酸化物を水中で十分に撹拌しながら混合させ、次いで所定のデンプンを添加して激しく撹拌してエマルジョン化することにより作成した。
[実施例1〜3及び比較例1〜3]
実施例1〜3及び比較例1〜3では、本発明の錯塩の有無による作用効果の差異をデンプンの種類を変えて各種物性の変化を確認した。まず、実施例1の塗工液は、錯塩がpoly−DADMAC7.5質量部、ポリ塩化アルミニウム20質量部及びCa(OH)9質量部からなり、小麦デンプン100質量部でエマルジョン化されている。得られた溶液のpHは約8であり、この溶液はサイズプレス機に供給するために固形分含有量12.5質量%となるように稀釈された。塗工質量は、それぞれの側で2.5g/mとなるように、また、用紙基材のステキヒトサイズ度が8秒となるように、合わされた。また、実施例2の塗工液はデンプンとしてタピオカデンプン100質量部を用いてエマルジョン化した以外は実施例1の塗工液と同様に作成した。この実施例2の塗工液のpHは約8である。更に、実施例3の塗工液はデンプンとして米デンプン100質量部を用いてエマルジョン化した以外は実施例1の塗工液と同様に作成した。この実施例3の塗工液のpHは約8である。
比較例1の塗工液は、錯塩を含まず、水中に小麦デンプンのみを含んでいる。得られた溶液のpHは約7.5であり、この溶液はサイズプレス機に供給するために固形分含有量12.5質量%となるように稀釈された。塗工質量は、それぞれの側で2.5g/mとなるように、また、用紙基材のステキヒトサイズ度が30秒となるように、合わされた。また、比較例2の塗工液は、デンプンとしてタピオカデンプン100質量部を用いた以外は比較例1の塗工液と同様にして作成した。この比較例2の塗工液のpHは約7.5である。更に、比較例3の塗工液は、デンプンとして米デンプン100質量部を用いた以外は比較例1の塗工液と同様にして作成した。この比較例3の塗工液のpHは約7.5である。
このようにして得られた実施例1〜3及び比較例1〜3の塗工液を用いて得られた用紙の各種測定結果を表1に纏めて示した。
Figure 0005280657
表1に示した結果から以下のことが分かる。すなわち、デンプンの種類によらず、錯塩を含まない比較例1〜3の塗工液の色及び得られた用紙の表面の粘着性は良好であり、また得られた用紙のマゼンタ色インクのインクブリーディングも良好である。しかしながら、これらの比較例1〜3の塗工液を用いて得られた用紙は、デンプンの種類によらず、黒色インク及びマゼンタ色インクともインク定着度が86%以下と劣っており、更に黒色インクの場合にはインクブリーディングも11%以上と非常に劣っている。これに対し、デンプンの種類によらず、錯塩を含む実施例1〜3の塗工液の色及び得られた用紙の粘着性は良好であり、また得られた用紙の黒色インク及びマゼンタ色インクともインク定着度は106%以上であると共にインクブリーディングも3.4%以下と非常に良好な結果が得られている。そのため、総合結果は、実施例1〜3の場合は「○=良」と判定され、比較例1〜3の場合は「×=不可」と判定された。
[実施例4、5及び比較例4、5]
実施例4、5及び比較例4、5では、デンプンとして全て小麦デンプンを用い、錯塩中に含まれるカチオン性ポリマーとしてのpoly−DADMACの含有割合を変化させて各種物性の変化を確認した。まず、実施例4の塗工液は、錯塩がpoly−DADMAC6質量部、ポリ塩化アルミニウム20質量部及びCa(OH)9質量部からなり、小麦デンプン100質量部でエマルジョン化されている。得られた溶液のpHは約8.5であり、この溶液はサイズプレス機に供給するために固形分含有量12.5質量%となるように稀釈された。塗工質量は、それぞれの側で2.5g/mとなるように、また、用紙基材のステキヒトサイズ度が8秒となるように、合わされた。また、実施例5の塗工液はpoly−DADMAC19質量部とした以外は全て実施例4の塗工液と同様に作成した。この実施例5の塗工液のpHは約7.5である。
また、比較例4の塗工液はpoly−DADMAC4質量部とした以外は実施例4の塗工液と同様に作成した。この比較例4の塗工液のpHは約10である。更に比較例5の塗工液はpoly−DADMAC22質量部とした以外は実施例4の塗工液と同様に作成した。この比較例5の塗工液のpHは約7である。
このようにして得られた実施例4、5及び比較例4、5の塗工液を用いて得られた用紙の各種測定結果を実施例1の各種測定結果と共に表2に纏めて示した。
Figure 0005280657
表2に示した結果から以下のことが分かる。すなわち、錯塩中のポリ塩化アルミニウム含有割合が20質量部一定及びアルカリ土類水酸化物としてのCa(OH)9質量部一定の場合、錯塩中のpoly−DADMAC含有割合が4質量部〜22質量部と多くなるに従って塗工液のpHは約10〜7まで減少しており、また、塗工液の色は全て良好な結果が得られている。しかしながら、比較例4の塗工液を用いて得られた用紙は、粘着性は良好であり、黒色インクのインク定着度及びマゼンタ色インクのインクブリーディングはそれぞれ102%及び1.4%と良好な結果が得られているが、マゼンタ色インクのインク定着度及び黒色インクのインクブリーディングはそれぞれ92%及び5.3%であって劣る結果が得られている。また、比較例5の塗工液を用いて得られた用紙は、粘着性は僅かに劣り、黒色インクのインク定着度及びインクブリーディングはそれぞれ125%及び1.0%と良好な結果が得られているが、マゼンタ色インクのインク定着度及びインクブリーディングはそれぞれ98%及び5.1%であって劣る結果が得られている。
これに対し、実施例1、4及び5の塗工液を用いて得られた用紙は、粘着性は良好であり、黒色インク及びマゼンタ色インクともインク定着度は101%以上であると共にインクブリーディングも4.9%以下と非常に良好な結果が得られている。そのため、総合結果は、実施例4及び5の場合は「○=良」と判定され、比較例4の場合は「△=可」と判定され、比較例5の場合は「×=不可」と判定された。
これらの実施例4、5及び比較例4、5(実施例1も含む)の結果から、錯塩中のポリ塩化アルミニウム含有割合が20質量部一定及びアルカリ土類水酸化物としてのCa(OH)9質量部一定の場合、錯塩中のカチオン性ポリマーとしてのpoly−DADMACの含有割合は5質量部以上20質量部以下が好ましいことが分かる。
[実施例6、7及び比較例6、7]
実施例6、7及び比較例6、7では、デンプンとして全て小麦デンプンを用い、錯塩中に含まれるポリ塩化アルミニウムの含有割合を変化させて各種物性の変化を確認した。まず、実施例6の塗工液は、錯塩がpoly−DADMAC7.5質量部、ポリ塩化アルミニウム6質量部及びCa(OH)9質量部からなり、小麦デンプン100質量部でエマルジョン化されている。得られた溶液のpHは約9であり、この溶液はサイズプレス機に供給するために固形分含有量12.5質量%となるように稀釈された。塗工質量は、それぞれの側で2.5g/mとなるように、また、用紙基材のステキヒトサイズ度が8秒となるように、合わされた。また、実施例7の塗工液はポリ塩化アルミニウム40質量部とした以外は全て実施例5の塗工液と同様に作成した。この実施例5の塗工液のpHは約7である。
また、比較例6の塗工液はポリ塩化アルミニウム4質量部とした以外は実施例6の塗工液と同様に作成した。この比較例6の塗工液のpHは約10である。更に比較例7の塗工液はポリ塩化アルミニウム50質量部としたが、pHが6以下と低くなりすぎるのでCa(OH)20質量部添加し、それ以外は実施例6の塗工液と同様に作成した。この比較例7の塗工液のpHは約6.5である。
このようにして得られた実施例6、7及び比較例6、7の塗工液を用いて得られた用紙の各種測定結果を実施例1の各種測定結果と共に表3に纏めて示した。
Figure 0005280657
表3に示した結果から以下のことが分かる。すなわち、錯塩中のpoly−DADMAC含有割合が7.5質量部一定及びアルカリ土類水酸化物としてのCa(OH)9質量部一定の場合、ポリ塩化アルミニウム含有割合が6質量部から50質量部へと増加すると共にpHは約10〜6以下まで減少しており、また、塗工液の色は全て良好な結果が得られている。しかしながら、比較例6の塗工液を用いて得られた用紙は、粘着性は良好であり、マゼンタ色インクのインクブリーディングは3.1%と良好な結果が得られているが、黒色インク及びマゼンタ色インクのインク定着度はいずれも96%以下であり、黒色インクのインクブリーディングは7.8%であって劣る結果が得られている。また、比較例7の塗工液を用いて得られた用紙は、粘着性は良好であり、黒色インク及びマゼンタ色インクのインク定着度及びマゼンタ色インクのインクブリーディングはそれぞれ106%以上及び4.1%と良好な結果が得られているが、黒色インクのインクブリーディングが6.4%と劣る結果が得られている。
これに対し、実施例1、6及び7の塗工液を用いて得られた用紙は、粘着性は良好であり、黒色インク及びマゼンタ色インクともインク定着度は106%以上であると共にインクブリーディングも4.1%以下と非常に良好な結果が得られている。そのため、総合結果は、実施例6及び7の場合は「○=良」と判定され、比較例6の場合は「×=不可」と判定され、比較例7の場合は「△=可」と判定された。
これらの実施例6、7及び比較例6、7(実施例1も含む)の結果から、錯塩中のpoly−DADMAC含有割合が7.5質量部一定及びアルカリ土類水酸化物としてのCa(OH)9質量部一定の場合、ポリ塩化アルミニウム含有割合は5質量部以上40質量部以下が好ましいことが分かる。
[実施例8、9及び比較例8、9]
実施例8、9及び比較例8、9では、デンプンとして全て小麦デンプンを用い、錯塩中に含まれるアルカリ土類水酸化物としてのCa(OH)の含有割合を変化させて各種物性の変化を確認した。まず、実施例8の塗工液は、錯塩がpoly−DADMAC7.5質量部、ポリ塩化アルミニウム20質量部及びCa(OH)7質量部からなり、小麦デンプン100質量部でエマルジョン化されている。得られた溶液のpHは約6.5であり、この溶液はサイズプレス機に供給するために固形分含有量12.5質量%となるように稀釈された。塗工質量は、それぞれの側で2.5g/mとなるように、また、用紙基材のステキヒトサイズ度が8秒となるように、合わされた。また、実施例9の塗工液はCa(OH)19質量部とした以外は全て実施例8の塗工液と同様に作成した。この実施例9の塗工液のpHは約11である。
また、比較例8の塗工液はCa(OH)5質量部とした以外は実施例8の塗工液と同様に作成した。この比較例6の塗工液のpHは約5である。更に比較例9の塗工液はCa(OH)22質量部とした以外は実施例8の塗工液と同様に作成した。この比較例9の塗工液のpHは約12である。
このようにして得られた実施例8、9及び比較例8、9の塗工液を用いて得られた用紙の各種測定結果を実施例1の各種測定結果と共に表4に纏めて示した。
Figure 0005280657
表4に示した結果から以下のことが分かる。すなわち、錯塩中のpoly−DADMAC含有割合が7.5質量部一定及びポリ塩化アルミニウム20質量部一定の場合、Ca(OH)含有割合の増加と共にpHは約5から12まで増加しており、また、塗工液の色は比較例9の場合を除いて良好な結果が得られている。しかしながら、比較例8の塗工液を用いて得られた用紙は、粘着性は良好であり、マゼンタ色インクのインクブリーディングは3.1%と良好な結果が得られているが、黒色インク及びマゼンタ色のインク定着度はいずれも87%以下であり、黒色インクのインクブリーディングは5.7%と劣る結果が得られている。また、比較例9の塗工液を用いて得られた用紙は、粘着性は良好であり、黒色インク及びマゼンタ色のインク定着度及びインクブリーディングはそれぞれ100%以上及び3.0%以下と良好な結果が得られているが、得られた用紙は僅かに茶色がかっていた。
これに対し、実施例1、8及び9の塗工液を用いて得られた用紙は、粘着性は良好であり、黒色インク及びマゼンタ色インクともインク定着度は105%以上であると共にインクブリーディングも4.8%以下と非常に良好な結果が得られている。そのため、総合結果は、実施例8及び9の場合は「○=良」と判定され、比較例8の場合は「×=不可」と判定され、比較例9の場合は「△=可」と判定された。
これらの実施例8、9及び比較例8、9(実施例1も含む)の結果から、錯塩中のpoly−DADMAC含有割合が7.5質量部一定及びポリ塩化アルミニウム20質量部一定の場合、Ca(OH)含有割合は7質量部以上20質量部以下が好ましいことが分かる。
[実施例10、11及び比較例10、11]
実施例10及び比較例10では、デンプンとして全て小麦デンプンを用い、錯塩中に含まれるカチオン性ポリマーとしてポリアミンエポクロルヒドリンを用いた場合の各種物性の変化を確認した。また、実施例11及び比較例11では、デンプンとして全て小麦デンプンを用い、錯塩中に含まれるカチオン性ポリマーとしてpoly−DADMAC、錯塩中に含まれるカアルカリ土類水酸化物としてMg(OH)を用いた場合の各種物性の変化を確認した。
まず、実施例10の塗工液は、錯塩がポリアミンエポクロルヒドリン7.5質量部、ポリ塩化アルミニウム20質量部及びCa(OH)9質量部からなり、小麦デンプン100質量部でエマルジョン化されている。得られた溶液のpHは約8であり、この溶液はサイズプレス機に供給するために固形分含有量12.5質量%となるように稀釈された。塗工質量は、それぞれの側で2.5g/mとなるように、また、用紙基材のステキヒトサイズ度が8秒となるように、合わされた。また、比較例10の塗工液はポリアミンエポクロルヒドリン4質量部とした以外は全て実施例10の塗工液と同様に作成した。この比較例10の塗工液のpHは約10である。
また、実施例11の塗工液は、錯塩がpoly−DADMAC7.5質量部、ポリ塩化アルミニウム20質量部及びMg(OH)9質量部からなり、小麦デンプン100質量部でエマルジョン化されている。得られた溶液のpHは約8であり、この溶液はサイズプレス機に供給するために固形分含有量12.5質量%となるように稀釈された。塗工質量は、それぞれの側で2.5g/mとなるように、また、用紙基材のステキヒトサイズ度が8秒となるように、合わされた。また、比較例11の塗工液はMg(OH)22質量部とした以外は全て実施例10の塗工液と同様に作成した。この比較例11の塗工液のpHは約12である。
このようにして得られた実施例10、11及び比較例10、11の塗工液を用いて得られた用紙の各種測定結果を実施例1の各種測定結果と共に表5に纏めて示した。
Figure 0005280657
表5に示した結果から以下のことが分かる。すなわち、ポリ塩化アルミニウム含有割合が20質量部一定及びCa(OH)9質量部一定の場合、ポリアミンエポクロルヒドリン含有割合が4質量部から7.5質量部へと増加するとpHは約10から8まで減少し、また、塗工液の色はどちらの場合も良好な結果が得られている。しかしながら、比較例10の塗工液を用いて得られた用紙は、粘着性は良好であり、マゼンタ色インクのインクブリーディングは2.5%と良好な結果が得られているが、黒色インク及びマゼンタ色のインク定着度はいずれも99%以下であり、黒色インクのインクブリーディングは5.5%と劣る結果が得られている。
これに対し、実施例10の塗工液を用いて得られた用紙は、粘着性は良好であり、黒色インク及びマゼンタ色のインク定着度及びインクブリーディングはそれぞれ112%以上及び2.3%以下と良好な結果が得られている。そのため、総合結果は、実施例10の場合は「○=良」と判定され、比較例10の場合は「×=不可」と判定された。また、実施例10の結果と実施例1の結果を対比するとほぼ同等の効果が達成されていることが確認できるから、カチオン性ポリマーとしてポリアミンエポクロルヒドリンを用いてもpoly−DADMACを用いた場合と同様の効果を奏することが分かる。
また、錯塩中のカチオン性ポリマーとしてのpoly−DADMAC含有割合が7.5質量%一定及びポリ塩化アルミニウム含有割合が20質量部一定の場合、アルカリ土類水酸化物としてのMg(OH)が9質量部から22質量部へと増加すると、塗工液のpHが約8から12に増加しており、また、塗工液の色はどちらの場合も良好な結果が得られている。しかしながら、比較例11の塗工液を用いて得られた用紙は、粘着性は良好であり、黒色インク及びマゼンタ色インクの場合ともにインク定着度及びインクブリーディングはそれぞれ100%以上及び2.5%以下と良好な結果が得られているが、得られた用紙は僅かに茶色がかっていた。
これに対し、実施例11の塗工液を用いて得られた用紙は、粘着性は良好であり、黒色インク及びマゼンタ色のインク定着度及びインクブリーディングはそれぞれ105%以上及び1.3%以下と良好な結果が得られている。そのため、総合結果は、実施例11の場合は「○=良」と判定され、比較例11の場合は「△=可」と判定された。また、実施例11の結果と実施例1の結果を対比すると、ほぼ同等の効果が達成されていることが確認できるから、アルカリ土類水酸化物としてMg(OH)を用いてもCa(OH)を用いた場合と同様の効果を奏することが分かる。
なお、上記実施例1〜11ではアルカリ土類水酸化物としてMg(OH)及びCa(OH)を使用した例を示したが、これに限らず、Be(OH)、Sr(OH)及びBa(OH)も使用し得る。しかしながら、Be(OH)、Sr(OH)及びBa(OH)は高価であること及び生産量が少ないことから、Mg(OH)又はCa(OH)が好ましい。また、上記実施例1〜11及び比較例1〜11の結果を纏めると、カチオン性ポリマーの含有割合は固形分として前記塗工液の5〜20質量部であり、前記ポリ塩化アルミニウムの含有割合は固形分として前記塗工液の5〜40質量部であり、また、前記アルカリ土類金属の水酸化物の含有割合は固形分として前記塗工液の7〜20質量部であることが好ましいことが分かる。
図1Aは水に浸漬する前の所定のパターンを印刷した用紙のOD測定箇所を説明する図であり、図1Bは水に浸漬した後の所定のパターンを印刷した用紙のOD測定箇所を説明する図である。

Claims (3)

  1. 用紙基材の表面が塗工液で処理されたインクジェット記録用紙において、
    前記塗工液は、カチオン性ポリマー、ポリ塩化アルミニウム及びアルカリ土類金属の水酸化物の反応によって得られた錯塩が水和デンプンによってエマルジョン化された水溶液からなり、
    前記カチオン性ポリマーの含有割合は固形分として前記塗工液の5〜20質量部であり、
    前記ポリ塩化アルミニウムの含有割合は固形分として前記塗工液の5〜40質量部であり、また、
    前記アルカリ土類金属の水酸化物の含有割合は固形分として前記塗工液の7〜20質量部であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 前記カチオン性ポリマーはポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド又はポリアミンエポクロルヒドリンからなることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
  3. 前記インクジェット記録用紙は、インク定着度が100%又はそれ以上であり、且つインクブリーディングが5%未満であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
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