JP5302178B2 - 導圧管の詰まり診断装置および詰まり診断方法 - Google Patents

導圧管の詰まり診断装置および詰まり診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、圧力に揺動を有する液体、スラリー、気体などの測定対象がオリフィスなどの差圧発生機構を通過した際に発生する差圧を、2つの導圧管を介して検出する差圧測定装置に係り、特に導圧管の詰まり状態を診断する詰まり診断装置および詰まり診断方法に関するものである。
従来より、プロセス工業分野では、例えばプロセス変量を検出してプロセスを制御するために、圧力発信器が使用されている。圧力発信器は圧力伝送器とも呼ばれる。この圧力発信器は、2点間の圧力の差、または絶対圧を測定することにより、圧力、流量、液位、比重などのプロセス変量の測定を可能にするものである。一般に、圧力発信器を用いてプロセス変量を測定する場合、液体などの測定対象が流れるプロセス配管に設置されたオリフィスなどの差圧発生機構の両側などから、導圧管と呼ばれる細い管路を介して測定対象を圧力発信器に導入する。
このような装置構成では、測定対象によっては固形物などが導圧管内部に付着し、導圧管が詰まることがある。導圧管が完全に詰まると、プロセス変量を正確に測定できなくなるため、プラントへの影響は甚大である。しかし、導圧管が完全に詰まるまでは圧力発信器に圧力が伝わるため、詰まりの影響はプロセス変量の測定値には現れ難い。このような問題に対して導圧管が不要なリモートシール型の圧力発信器も実用化されている。しかしながら、導圧管を用いてプロセス変量を測定しているプラントは非常に多く、導圧管の詰まり診断機能をオンラインで実現することが求められている。
従来、導圧管の詰まり状態を診断する技術としては、特許文献1に開示された技術が知られている。特許文献1に開示された技術は、差圧および静圧の揺動幅に基づいて導圧管の詰まり状態を診断するものである。
特許第3129121号公報
上記のとおり、特許文献1に開示された技術は、静圧および差圧の揺動幅に基づいて導圧管の詰まり状態を診断するものである。しかしながら、特許文献1に開示された技術には、診断の基準となるしきい値を圧力や流量の大きさに応じて変更する必要があるという問題点があった。以下、従来の問題点を詳細に説明する。
特許文献1の第1の実施例では、高圧側静圧の揺動幅と差圧の揺動幅のそれぞれの増加や減少を検知することで導圧管の詰まり診断を行っている。特許文献1の第2の実施例では、高圧側静圧と差圧に加えて、低圧側静圧の揺動幅の増加や減少も検知することで詰まり診断を行っている。しかし、圧力や差圧の揺動幅はその時の圧力や差圧の大きさによって変化する。また、揺動幅が差圧によって変化するということは、揺動幅が流量によって変化するということである。よって、特許文献1の第1の実施例、第2の実施例を適用する場合、圧力や差圧(流量)によって、揺動幅の増加や減少を検知するしきい値を適宜変更する必要がある。
特許文献1の第3の実施例では、高圧側静圧の揺動幅、低圧側静圧の揺動幅、差圧の揺動幅をそれぞれ求め、各揺動幅の差に基づいて導圧管の詰まり診断を行っている。特許文献1では、揺動幅の差を取ることにより、流量変化による揺動幅の変化をキャンセルすることができると主張しているが、このようなキャンセル効果には限度がある。例えば、特許文献1に記載されたパラメータSは、高圧側静圧の揺動幅から差圧の揺動幅を引いたものである。しかしながら、高圧側静圧の揺動と差圧の揺動は元々発生過程が異なり、ある程度独立に変化しうるものである。よって、高圧側静圧の揺動幅と差圧の揺動幅の増減幅がある程度一致し、圧力や差圧(流量)の影響をキャンセルできるのは、かなり限られた状況か、もしくは流量変化による揺動幅の変化が比較的小さい場合に限られると考えられる。
特許文献1の第4の実施例では、高圧側静圧、低圧側静圧、差圧をサンプリングし、高圧側静圧、低圧側静圧、差圧のそれぞれの1サンプル差分を算出し、さらに差分間の加減乗除により得られるパラメータを基に導圧管の詰まり診断を行っている。しかし、このパラメータも圧力や差圧(流量)の影響を受ける。以下、パラメータが圧力や差圧(流量)の影響を受ける理由を説明する。
圧力値の1サンプル差分は圧力揺動の瞬時値と考えることができる。よって、1サンプル差分の和や積が圧力等の影響を受けるのは明白である。1サンプル差分の差についても、特許文献1の第3の実施例の場合と同様の理由で、圧力や流量の影響をキャンセルできる条件は限られている。1サンプル差分の比については、例えば高圧側静圧の揺動と差圧の揺動が同時に2倍になるといった関係にあれば、圧力や差圧(流量)の影響をキャンセルできる可能性がある。しかし、特許文献1の第3の実施例の場合で述べたように、静圧の揺動と差圧の揺動は発生過程が異なり、独立に変化しうるものなので、高圧側静圧の揺動と差圧の揺動が同時に2倍になるといった関係が成り立つ状況は限られる。
以上のように、特許文献1に開示された技術を用いる場合、圧力の揺動幅や差圧の揺動幅、及びこれらの揺動幅から派生するパラメータが、圧力や差圧(流量)の影響を受けるため、圧力や流量の大きさに応じてしきい値を適宜変更する必要性が生じる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、診断の基準となるしきい値の変更の必要性を軽減することができる導圧管の詰まり診断装置および詰まり診断方法を提供することを目的とする。
本発明の導圧管の詰まり診断装置は、圧力に揺動を有する測定対象が差圧発生機構を通過した際に発生する差圧を、2つの導圧管を介して検出する差圧検出手段と、この差圧検出手段で検出された差圧値に基づいて前記差圧の揺動の速さを検出する揺動速度検出手段と、前記揺動の速さに基づいて前記導圧管の詰まり状態を判定する判定手段とを備え、前記揺動速度検出手段は、前記差圧検出手段で検出された差圧値の時系列を複数の区間に区切り、前記揺動の速さを表す情報として、前記差圧の揺動の上下動回数または上下動回数に相当する情報を区間毎に検出する上下動回数検出手段を備え、前記判定手段は、前記揺動の上下動回数または上下動回数に相当する情報を所定のしきい値と比較して前記導圧管の詰まり状態を判定する比較手段を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の導圧管の詰まり診断装置の1構成例において、前記上下動回数検出手段は、前記差圧検出手段で検出された差圧値の基準値を区間毎に算出する基準値算出手段と、検出対象区間の差圧値が直前の区間で算出された前記基準値と交差する回数を前記上下動回数として区間毎に数える交差回数検出手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の導圧管の詰まり診断装置の1構成例において、前記上下動回数検出手段は、前記差圧検出手段で検出された差圧値の基準値を区間毎に算出する基準値算出手段と、検出対象区間の差圧値が同区間で算出された前記基準値と交差する回数を前記上下動回数として区間毎に数える交差回数検出手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の導圧管の詰まり診断装置の1構成例において、前記基準値は、前記差圧値の平均値または中央値である。
また、本発明の導圧管の詰まり診断装置の1構成例において、前記上下動回数検出手段は、前記差圧検出手段で検出された差圧値と一定時間前の差圧値との差分値を算出する差分値算出手段と、検出対象区間の前記差分値のゼロクロス回数を前記上下動回数として区間毎に数える交差回数検出手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の導圧管の詰まり診断装置の1構成例において、前記上下動回数検出手段は、前記差圧検出手段で検出された差圧値の極大値と極小値の数を前記上下動回数として区間毎に数える極大値・極小値検出手段を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の導圧管の詰まり診断装置の1構成例において、前記上下動回数検出手段は、前記差圧検出手段で検出された差圧値の移動平均値を算出する移動平均値算出手段と、検出対象区間の差圧値が前記移動平均値と交差する回数を前記上下動回数として区間毎に数える交差回数検出手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の導圧管の詰まり診断装置の1構成例において、前記上下動回数検出手段は、前記差圧検出手段で検出された差圧値に対して変化率リミット処理を施す変化率リミット処理手段と、前記変化率リミット処理後の差圧値に対して2次遅れ処理を施す2次遅れ処理手段と、検出対象区間の差圧値が前記2次遅れ処理手段の出力値と交差する回数を前記上下動回数として区間毎に数える交差回数検出手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の導圧管の詰まり診断装置の1構成例において、前記上下動回数検出手段は、前記差圧検出手段で検出された差圧値のトレンドラインを区間毎に算出するトレンドライン算出手段と、検出対象区間の差圧値が前記トレンドラインと交差する回数を前記上下動回数として区間毎に数える交差回数検出手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の導圧管の詰まり診断装置の1構成例において、前記上下動回数検出手段は、各区間の最初の差圧値を基準値として区間毎に採用する基準値導出手段と、検出対象区間の差圧値が同区間の前記基準値と交差する回数を前記上下動回数として区間毎に数える交差回数検出手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の導圧管の詰まり診断装置の1構成例において、前記比較手段は、前記揺動の上下動回数が2つの前記しきい値のうち小さい方のしきい値を継続的に下回ったときに、前記2つの導圧管のいずれか一方もしくは両方に詰まりが発生したと判定し、前記揺動の上下動回数が大きい方のしきい値を継続的に上回ったときに、前記2つの導圧管のいずれか一方に詰まりが発生したと判定することを特徴とするものである。
また、本発明の導圧管の詰まり診断装置の1構成例において、前記判定手段は、さらに前記揺動の上下動回数を1区間のサンプル数で割った比率を区間毎に算出する比率算出手段を備え、前記比較手段は、前記揺動の上下動回数を前記しきい値と比較する代わりに、前記比率を前記しきい値と比較して、前記比率が2つの前記しきい値のうち小さい方のしきい値を継続的に下回ったときに、前記2つの導圧管のいずれか一方もしくは両方に詰まりが発生したと判定し、前記比率が大きい方のしきい値を継続的に上回ったときに、前記2つの導圧管のいずれか一方に詰まりが発生したと判定することを特徴とするものである。
また、本発明の導圧管の詰まり診断装置の1構成例において、前記上下動回数検出手段は、前記差圧検出手段で検出された差圧値の極大値と極小値の時間間隔を前記上下動回数に相当する情報として区間毎に検出する時間間隔検出手段を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の導圧管の詰まり診断装置の1構成例において、前記比較手段は、前記時間間隔が2つの前記しきい値のうち大きい方のしきい値を継続的に上回ったときに、前記2つの導圧管のいずれか一方もしくは両方に詰まりが発生したと判定し、前記時間間隔が小さい方のしきい値を継続的に下回ったときに、前記2つの導圧管のいずれか一方に詰まりが発生したと判定することを特徴とするものである。
また、本発明の導圧管の詰まり診断方法は、圧力に揺動を有する測定対象が差圧発生機構を通過した際に発生する差圧を、2つの導圧管を介して検出する差圧検出手順と、この差圧検出手順で検出された差圧値に基づいて前記差圧の揺動の速さを検出する揺動速度検出手順と、前記揺動の速さに基づいて前記導圧管の詰まり状態を判定する判定手順とを含み、前記揺動速度検出手順は、前記差圧検出手順で検出された差圧値の時系列を複数の区間に区切り、前記揺動の速さを表す情報として、前記差圧の揺動の上下動回数または上下動回数に相当する情報を区間毎に検出する上下動回数検出手順を含み、前記判定手順は、前記揺動の上下動回数または上下動回数に相当する情報を所定のしきい値と比較して前記導圧管の詰まり状態を判定する比較手順を含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、差圧の揺動の速さを検出し、差圧の揺動の速さに基づいて導圧管の詰まり状態を判定することにより、診断の基準となるしきい値を細かく変える必要がなくなり、しきい値変更の必要性を軽減することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る差圧測定装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の動作を説明するための波形図である。 本発明の第1の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の効果を説明するための図である。 本発明の第2の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の動作を説明するための波形図である。 本発明の第5の実施の形態に係る移動平均値算出部の構成例を示すブロック図である。 本発明の第5の実施の形態に係る移動平均値算出部の動作を説明するための波形図である。 本発明の第6の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第6の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の動作を説明するための波形図である。 本発明の第7の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の動作を説明するための波形図である。 本発明の第8の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第9の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の構成を示すブロック図である。 導圧管の詰まりにより圧力揺動の上下動回数が変化することを説明する図である。 圧力揺動のパワースペクトル密度を示す図である。 差圧揺動の生成過程を説明する図である。 差圧揺動と静圧揺動のパワースペクトル密度を示す図である。
[発明の原理]
圧力や差圧の揺動現象は振動的な現象であるから、揺動の振幅と周波数に相当する情報を検出可能である。特許文献1に開示された技術は、概念的には揺動の振幅を基にしたものである。
発明者は、導圧管の詰まり現象を調査した結果として、概念的には圧力や差圧の揺動の周波数(揺動の速さ)を検出する方法によっても導圧管の詰まり状態を診断できることに着眼し、揺動の速さに相当する情報を簡易的に検出する方法として、一定時間内における揺動の上下動回数を数える方法を採用することに想到した。一定時間内における揺動の上下動回数を数える際には、圧力揺動の主要な成分よりも高い周波数を持つノイズを除くことが好ましい。なお、以上の原理は、特願2008−306288において開示している。
特許文献1に開示された技術のように圧力や差圧の揺動の振幅を検出して導圧管の詰まり状態を診断する場合、圧力値や差圧値自体が変化する範囲に連動して揺動の振幅状況が変化するので、この変化に応じて診断の基準となるしきい値を適宜変更する必要がある。
一方、特願2008−306288で提案したように圧力の揺動の上下動回数を検出して導圧管の詰まり状態を診断する場合、揺動の上下動回数は測定対象となる流体の粘性などの変化に連動し、導圧管が正常であれば測定対象の粘性などが変化しない限り上下動回数が大きく変化することはないので、状況変化は極めて限られた範囲に留まる。したがって、特許文献1に開示された技術と同じ問題が発生する可能性は低い。すなわち、特願2008−306288で提案した技術では、しきい値変更の必要性を軽減することができる。
ただし、本発明では、差圧を用いて導圧管の詰まり状態を診断することを想定している。差圧を用いる場合、2つの導圧管の詰まり方によっては差圧の揺動の上下動回数が減るのではなく、増える場合がある。その場合も異常として検出することが必要となるので、特願2008−306288で提案した技術とは異なる対応が必要となる。
2本の導圧管を介して検出される差圧の揺動は、オリフィスなどの差圧発生機構の両端で検出される2つの圧力揺動の差である。そして、導圧管が詰まっていない正常時については、差圧発生機構の両端の圧力揺動が導圧管を介して検出端にそのまま伝わる。そのため、差圧の揺動の上下動回数についても、正常時については圧力揺動の上下動回数の場合と同様、圧力値や差圧値に連動して大きく変わることはなく、状況変化は限られた範囲に留まることが期待される。よって、しきい値変更の必要性を軽減することができる。
ただし、導圧管が詰まった場合の差圧揺動は、1本の導圧管を介して検出される圧力の揺動と比べると、やや複雑な挙動を示す。その理由は、差圧測定では導圧管が2本あるため、片方の導圧管だけが詰まるケースと、両方の導圧管が詰まるケースといったように異常なケースが複数通り存在するためである。また、差圧揺動は、2本の導圧管の詰まりの程度の影響を受けうる。このため、差圧を用いる場合、特願2008−306288で提案した技術とは異なる対応が必要となる。以下、導圧管が詰まった場合に差圧揺動の上下動回数が変化する理由を説明する。
最初に、圧力の揺動が導圧管の詰まりによってどのように変化するかを説明する。図16に示すように、流体が流れている配管1000から1本の導圧管1001が導かれ、導圧管1001の端の圧力検出端1002で圧力を検出する場合を考える。配管1000中の流体の圧力は、不規則かつ頻繁に細かく上下動している。導圧管1001に詰まりが無い場合、流体の圧力がそのまま圧力検出端1002に伝わるため、圧力検出端1002での圧力も同様に上下動する。
しかし、導圧管1001に詰まり1003があると、流体の圧力揺動はそのまま圧力検出端1002に伝わらず、減衰して伝わるようになる。そして、圧力揺動の減衰の程度は高周波ほど大きい。例えば、図17に示すように正常時の圧力揺動のパワースペクトル密度がPSD1のような強度を持っていたとすると、導圧管1001に詰まり1003が発生した時の圧力揺動のパワースペクトル密度はPSD2のようになる。図17から明らかなように、圧力揺動の低周波成分の減衰は比較的小さいが、圧力揺動の高周波成分は大きく減衰する。この結果、圧力検出端1002で検出される圧力揺動は、低周波成分が揺動全体に占める割合が正常時よりも高くなったものになる。その結果、圧力揺動の速さは低下し、上下動回数も減少する。
次に、差圧揺動の生成過程について簡単に述べる。図18は差圧揺動の生成過程を示した模式図である。図18において、2000は配管、2001はオリフィスなどの差圧発生機構、2002は高圧側導圧管、2003は低圧側導圧管、2004は高圧側検出端、2005は低圧側検出端、2006は差圧発信器、2007は高圧側の静圧の揺動、2008は差圧発生機構2001で発生する揺動、2009は静圧揺動の伝達経路、2010は差圧発生機構2001で発生した揺動の伝達経路である。
差圧揺動の主な発生源は2つある。差圧揺動の1つの発生源は、上流側(高圧側)静圧の揺動である。この静圧揺動は、導圧管2002,2003の正常時、高圧側検出端2004と低圧側検出端2005の双方に伝わる。高圧側検出端2004に伝わる静圧揺動と低圧側検出端2005に伝わる静圧揺動とは、差圧発信器2006で差圧を得る際に打ち消しあう。しかし、高圧側検出端2004に伝わる静圧揺動と低圧側検出端2005に伝わる静圧揺動とは、その伝達経路が異なり、低圧側検出端2005に伝わる静圧揺動の伝達経路には差圧発生機構2001が含まれるため、双方の静圧揺動が完全に打ち消しあうのではなく、ある程度の揺動が残る。
差圧揺動のもう1つの発生源は、差圧発生機構2001によって発生する揺動である。差圧発生機構2001の構造にもよるが、流体が差圧発生機構2001を通過すると流れが乱されるため、不規則な圧力揺動が発生する。この揺動は低圧側検出端2005のみに伝わる。差圧発信器2006で実際に検出される圧力揺動は、静圧揺動に起因する揺動と差圧発生機構2001に起因する揺動の2つの和になる。
以上の事実を基に、差圧測定において導圧管に異常があった場合の、差圧揺動の上下動回数の変化について検討する。
高圧側導圧管と低圧側導圧管の各々に関して言えば、詰まった時の圧力揺動の変化は導圧管1本の場合と違いは無い。すなわち、導圧管が詰まれば圧力揺動の高周波成分が伝わりにくくなり、圧力揺動の低周波成分の割合が増すため、各検出端で測定される圧力揺動の上下動回数は減少する。
しかし、差圧発信器は、高圧側検出端と低圧側検出端の両検出端にかかった圧力の差を測定している。また、2本の導圧管の片方だけが詰まるケースが起こりうる。よって、差圧の揺動は、静圧の揺動と比べると、詰まった時の変化が複雑になる。差圧揺動の上下動回数は、導圧管が詰まったときに減少することもあれば、増加することもある。この点で、1本の導圧管で圧力測定する場合と大きく異なる。
一例として、高圧側導圧管、低圧側導圧管の双方が詰まった場合を考える。この場合、高圧側も低圧側も、圧力揺動の周波数が高くなるほど圧力揺動が伝わりにくくなる。よって、静圧揺動に起因する差圧揺動も、差圧発生機構に起因する差圧揺動も、共に揺動の高周波成分が減衰し、揺動の低周波成分の割合が増す。結局、最終的に測定される差圧揺動、すなわち静圧揺動に起因する揺動と差圧発生機構に起因する揺動の和についても、低周波成分の割合が増すため、差圧の上下動回数は減少するということになる。
別の例として、高圧側の静圧揺動が差圧揺動よりもどの周波数においても十分大きく、かつ、低圧側導圧管のみが詰まった場合を考える。図19はこの場合における差圧揺動と静圧揺動のパワースペクトル密度の概略図である。PSD3は導圧管の正常時の差圧揺動のパワースペクトル密度を表し、PSD4は導圧管の正常時の高圧側の静圧揺動のパワースペクトル密度を表している。上記のとおり、差圧揺動のパワースペクトル密度よりも高圧側の静圧揺動のパワースペクトル密度の方がパワーが大きくなっている。
低圧側導圧管だけが詰まった場合、低圧側検出端に到達する揺動は、揺動の周波数が高いほど大きく減衰する。つまり、差圧発信器で検出される差圧揺動の高周波成分は、高圧側検出端で測定される静圧揺動の高周波成分の大きさに近づく。一方、差圧揺動の低周波成分は、低圧側導圧管の詰まりがあっても高周波成分よりは減衰の程度は小さい。そのため、差圧揺動の低周波成分は、高圧側の静圧揺動の低周波成分の大きさに近づくとはいえ、高周波成分ほど顕著に近づく訳ではない。その結果、低圧側導圧管だけが詰まった時の差圧揺動のパワースペクトル密度は、図19に示すPSD5のように周波数が高いほど、正常時の高圧側の静圧揺動のパワースペクトル密度PSD4に近づく形になる。
低圧側導圧管だけが詰まった時の差圧揺動のパワースペクトル密度PSD5を正常時の差圧揺動のパワースペクトル密度PSD3と比べた場合、高周波成分が揺動に占める割合はむしろ増加することになる。よって、差圧揺動の上下動回数は、正常時よりも増加する。この上下動回数の増加現象は以下のように説明することもできる。静圧揺動に起因する差圧揺動は、高圧側検出端に届いた揺動と低圧側検出端に届いた揺動との差なので、導圧管の正常時には高圧側検出端に届いた揺動と低圧側検出端に届いた揺動とがある程度打ち消しあってパワーが抑えられる。しかし、低圧側導圧管が詰まると揺動の打ち消しあいがなくなるため、正常時よりも差圧揺動のパワーが増す。そして、そのパワーの増加率は、導圧管の詰まりによる減衰の影響が大きい高周波成分の方が大きい。よって、揺動全体に占める高周波成分の割合が増加するため、差圧揺動の上下動回数も増加する。なお、差圧発生機構に起因する揺動は元々相対的に小さいため、差圧揺動の上下動回数の変化には寄与しない。
以上のように、差圧測定において導圧管の詰まりという異常が発生した場合、差圧揺動の上下動回数は増える場合もあれば減る場合もある。よって、差圧揺動の上下動回数が正常時より増加した場合と減少した場合の両方を異常として検出することで、導圧管の詰まりに関する様々な異常を診断することが可能となる。
[第1の実施の形態]
次に、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る差圧測定装置の構成を示す斜視図である。1は液体、スラリー、気体などの測定対象の流体が流れる配管、2は配管1に設けられた差圧発生機構であるオリフィス、3,4は導圧管、5は差圧検出手段となる差圧発信器である。
導圧管3,4は、オリフィス2の両側の2点から測定対象を差圧発信器5に導く。差圧発信器5は、測定対象の2点間の差圧を測定する。差圧発信器5は、測定した差圧値を示す電気信号を出力する。
図2は本発明の第1の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の構成を示すブロック図である。詰まり診断装置は、差圧発信器5から出力された信号を受信する受信部10と、差圧発信器5で測定された差圧値に基づいて差圧の揺動の速さを検出する揺動速度検出手段となる上下動回数検出部11と、揺動の上下動回数に基づいて導圧管3,4の詰まり状態を判定する判定部12と、導圧管3,4に詰まりが発生したと判定されたときに警報を発する警報出力部13とから構成される。
上下動回数検出部11は、基準値算出部110と、交差回数検出部111とを有する。判定部12は、比率算出部120と、比較部121とを有する。
次に、本実施の形態の詰まり診断装置の動作を説明する。図3は本実施の形態の詰まり診断装置の動作を説明するための波形図であり、差圧発信器5で測定された差圧値Pの変化の1例を示す図である。なお、図3では、差圧値Pを連続した波形で表しているが、本実施の形態で実際に処理する信号は定期的にサンプリングされた差圧データである。
受信部10は、差圧発信器5から出力されたアナログ信号をA/D変換して差圧データを出力する。なお、差圧発信器5がデジタル出力端子から差圧データを出力し、受信部10が差圧データを受信する形式でもよいことは言うまでもない。
次に、上下動回数検出部11の基準値算出部110は、図3に示すように差圧値Pの時系列を連続した複数の区間S1,S2,S3,S4・・・に区切り、差圧値Pの基準値Prを区間毎に算出する。図3に示すPr1,Pr2,Pr3は、それぞれ区間S1,S2,S3で算出した基準値である。各区間は、一定時間で区切ってもよいし、一定のサンプル数で区切ってもよい。また、基準値としては、基準値算出対象区間における差圧値Pの平均値または中央値がある。
続いて、上下動回数検出部11の交差回数検出部111は、検出対象区間の差圧値Pが直前の区間で算出された基準値Prと交差する回数を区間毎に数える。つまり、検出対象区間がS2であれば、区間S2の差圧値Pが直前の区間S1で算出された基準値Pr1と交差する回数を数える。この交差回数が差圧の揺動の上下動回数となる。
次に、判定部12の比率算出部120は、交差回数検出部111の検出結果を正規化するため、交差回数検出部111が数えた交差回数を1区間のサンプル数で割った比率を区間毎に算出する。
判定部12の比較部121は、比率算出部120が算出した比率と予め定められた2つのしきい値とを比較する。以下、小さい方のしきい値をしきい値A、大きい方をしきい値Bと呼ぶ。比較部121は、比率がしきい値Aを継続的に下回ったときに、導圧管3,4のいずれか一方もしくは両方に詰まりが発生したと判断する。具体的には、比較部121は、比率が所定回数だけ連続してしきい値Aを下回ったとき、あるいは所定数の区間の比率の平均値がしきい値Aを下回ったときに、導圧管3,4のいずれか一方もしくは両方に詰まりが発生したと判断すればよい。
また、比較部121は、比率がしきい値Bを継続的に上回ったときに、導圧管3,4のいずれか一方に詰まりが発生したと判断する。具体的には、比較部121は、比率が所定回数だけ連続してしきい値Bを上回ったとき、あるいは所定数の区間の比率の平均値がしきい値Bを上回ったときに、導圧管3,4のいずれか一方に詰まりが発生したと判断すればよい。
警報出力部13は、導圧管3,4のうち少なくとも一方に詰まりが発生したと判定されたときに、警報を発する。このときの警報通知の例としては、例えばブザーや音声による通知やランプ点灯による通知などがある。
図4は本実施の形態の効果を説明するための図であり、2つの圧力状態における交差回数とサンプル数との比率を示す図である。図4は、図1に示したような差圧測定装置で実際に差圧を測定したデータに基づくものである。図4におけるR1は正常時の比率、R2は上流側の導圧管のみが詰まった時の比率、R3は下流側の導圧管のみが詰まった時の比率、R4は両方の導圧管が詰まった時の比率である。差圧値21[kPa]、8[kPa]は、複数区間の差圧データを平滑化した値である。導圧管の詰まりは差圧発信器5に取り付けられた3方マニホールド弁の開度を絞ることで模擬した。区間のサンプル数にも依るが、交差回数はばらつきがあるので、複数区間の交差回数の集合平均を求め、この平均値を1区間のサンプル数から1引いた数で割って比率を求めている。この比率は0から1の値をとる。
図4によれば、正常時と詰まり発生時で比率が変化しており、導圧管の詰まり診断に必要な十分な差異があることが分かる。図4の例では、例えばしきい値Aを0.15程度、しきい値Bを0.25程度に設定すれば、導圧管が正常な場合と導圧管が詰まった場合を区別できることが分かる。また、測定対象の差圧が21[kPa]、8[kPa]のいずれの状態においても共通のしきい値を利用できることが分かる。
以上のように、本実施の形態によれば、差圧の揺動の上下動回数に基づいて導圧管の詰まり状態を診断することができる。本実施の形態では、診断の基準となるしきい値を細かく変える必要はなく、しきい値変更の必要性を軽減することができる。また、本実施の形態は、交差回数をリアルタイムに数えることができるので、プロセスを稼働させた状態で導圧管の詰まり状態を診断するオンラインでの実施に適している。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図5は本発明の第2の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の構成を示すブロック図であり、図2と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の詰まり診断装置は、受信部10と、上下動回数検出部11aと、判定部12と、警報出力部13とから構成される。
本実施の形態は、差圧の揺動の上下動が切り替わる回数を上下動回数として数えるものである。上下動回数検出部11aは、差分値算出部112と、交差回数検出部113とを有する。
次に、本実施の形態の詰まり診断装置の動作を説明する。上下動回数検出部11aの差分値算出部112は、差圧値Pの時系列を連続した複数の区間に区切り、次式に示すように差圧値P(t)と一定時間前の差圧値P(t−d)との差分値Pd(t)を算出する。
Pd(t)=P(t)−P(t−d) ・・・(1)
一定時間dとしてサンプリング周期を選択すれば、1つ前のサンプル値との差をとることになり、差圧値の1階差分を求めることと等価になる。ただし、一定時間dはサンプリング周期である必要はない。差分値算出部112は、以上のような算出を差圧のサンプル値毎に行う。
上下動回数検出部11aの交差回数検出部113は、差分値算出部112で算出された差分値が0と交差する回数(ゼロクロス回数)を区間毎に数える。このゼロクロス回数が差圧の揺動の上下動回数となる。
第1の実施の形態と同様に、判定部12の比率算出部120は、交差回数検出部113が数えたゼロクロス回数を1区間のサンプル数で割った比率を区間毎に算出する。比較部121および警報出力部13の動作は、第1の実施の形態と同じである。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。本実施の形態は、差圧値をハイパスフィルタ処理することになり、差圧の揺動のみを抽出することができる。
なお、差分値算出部112で差圧値の差分の差分を求めるようにしてもよい。この場合、差圧値により強いハイパスフィルタをかけることになるので、差圧の揺動のみを抽出して強調することができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図6は本発明の第3の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の構成を示すブロック図であり、図2と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の詰まり診断装置は、受信部10と、上下動回数検出部11bと、判定部12と、警報出力部13とから構成される。
本実施の形態は、第2の実施の形態と同様の思想に基づくものであり、差分値のゼロクロス回数の代わりに、差圧の極大値と極小値の数を上下動回数として数えるものである。
上下動回数検出部11bは、極大値・極小値検出部114を有する。極大値・極小値検出部114は、差圧値Pの時系列を連続した複数の区間に区切り、差圧値Pの極大値と極小値の数を区間毎に数える。
第1の実施の形態と同様に、判定部12の比率算出部120は、極大値・極小値検出部114が数えた極大値と極小値の数を1区間のサンプル数で割った比率を区間毎に算出する。比較部121および警報出力部13の動作は、第1の実施の形態と同じである。
こうして、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図7は本発明の第4の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の構成を示すブロック図であり、図2と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の詰まり診断装置は、受信部10と、上下動回数検出部11cと、判定部12と、警報出力部13とから構成される。
上下動回数検出部11cは、移動平均値算出部115と、交差回数検出部116とを有する。
図8(A)、図8(B)は本実施の形態の詰まり診断装置の動作を説明するための波形図であり、図8(A)は差圧発信器5で測定された差圧値Pとその移動平均値Paveの変化の1例を示す図、図8(B)は差圧値Pと移動平均値Paveとの差分値Psを示す図である。なお、図8(A)、図8(B)では、差圧値P、移動平均値Paveおよび差分値Psを連続した波形で表しているが、本実施の形態で実際に処理する信号は定期的にサンプリングされた差圧データであり、移動平均値Paveと差分値Psも離散的なデータとなる。
移動平均値算出部115は、差圧値Pの時系列を連続した複数の区間に区切り、差圧値Pの移動平均値Paveを算出する。移動平均値Paveとしては、通常の移動平均値の他、重み付き移動平均値、再帰的に計算され指数的に減衰する重みを持つ重み付き移動平均値であるEWMA(Exponentially Weighted Moving-Average)などが利用可能である。移動平均値算出部115は、移動平均値Paveの算出を差圧のサンプル値毎に行う。
続いて、交差回数検出部116は、検出対象区間の差圧値Pが移動平均値Paveと交差する回数を区間毎に数える。具体的には、交差回数検出部116は、図8(B)に示すように差圧値Pとその移動平均値Paveとの差分値Psを算出し、差分値Psのゼロクロスを区間毎に数えればよい。このゼロクロス回数が差圧の揺動の上下動回数となる。
第1の実施の形態と同様に、判定部12の比率算出部120は、交差回数検出部116が数えたゼロクロス回数を1区間のサンプル数で割った比率を区間毎に算出する。比較部121および警報出力部13の動作は、第1の実施の形態と同じである。
こうして、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態では、差圧値Pの変動に対する計算の追従性が良好になる。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図9は図7に示した移動平均値算出部115の1構成例を示すブロック図である。移動平均値算出部115は、減算部1150と、リミッタ1151と、加算部1152と、1次遅れ処理部1153,1154とを有する。
図10(A)、図10(B)、図10(C)は本実施の形態の移動平均値算出部115の動作を説明するための波形図であり、図10(A)は差圧発信器5で測定された差圧値Pの変化の1例を示す図、図10(B)は差圧値Pに対して変化率リミット処理を施した後の差圧値Plを示す図、図10(C)は差圧値Plに対して2次遅れ処理を施した後の差圧値Paveを示す図である。なお、図10(A)、図10(B)、図10(C)では、差圧値P,Pl,Paveを連続した波形で表しているが、本実施の形態で実際に処理する信号は定期的にサンプリングされた差圧データであり、差圧値Pl,Paveも離散的なデータとなる。
減算部1150は、差圧値Pから1サンプリング前の前回値を減算する。リミッタ1151は、差圧値Pと前回値との差分値を制限するリミット処理を施す。加算部1152は、リミッタ1151の出力値と1サンプリング前の前回値とを加算する。これにより、加算部1152から出力される1サンプリング前の前回値は、図10(B)に示す差圧値Plのように変化率リミット処理が施された値となる。
続いて、1次遅れ処理部1153は、差圧値Plに対して1次遅れ処理を施し、1次遅れ処理部1154は、1次遅れ処理部1153の出力値に対して1次遅れ処理を施す。こうして、1次遅れ処理部1154から出力される値は、図10(C)に示す差圧値Paveのように2次遅れ処理が施された値となる。
本実施の形態によれば、差圧の揺動現象以外の低周波成分の変動を緩やかにすることができ、第4の実施の形態で説明した移動平均値Paveに十分に近い数値(略平均値)をほぼリアルタイムで得ることができる。また、2次遅れ時定数の調整により、差圧値Pの高周波の信号ノイズの影響も除去することができる。
移動平均値算出部115以外の構成および動作は、第4の実施の形態で説明したとおりである。
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。図11は本発明の第6の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の構成を示すブロック図であり、図2と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の詰まり診断装置は、受信部10と、上下動回数検出部11dと、判定部12と、警報出力部13とから構成される。本実施の形態は、第4、第5の実施の形態と同様の思想に基づくものである。
上下動回数検出部11dは、トレンドライン算出部117と、交差回数検出部118とを有する。
図12(A)、図12(B)は本実施の形態の詰まり診断装置の動作を説明するための波形図であり、図12(A)は差圧発信器5で測定された差圧値PとそのトレンドラインPtの変化の1例を示す図、図12(B)は差圧値PとトレンドラインPtとの差分値Psを示す図である。なお、図12(A)、図12(B)では、差圧値Pおよび差分値Psを連続した波形で表しているが、本実施の形態で実際に処理する信号は定期的にサンプリングされた差圧データであり、差分値Psも離散的なデータとなる。
トレンドライン算出部117は、差圧値Pの時系列を連続した複数の区間に区切り、差圧値PのトレンドラインPtを区間毎に算出する。トレンドラインPtの例としては、例えば差圧値Pの時系列の最小2乗近似直線がある。
続いて、交差回数検出部118は、検出対象区間の差圧値PがトレンドラインPtと交差する回数を区間毎に数える。具体的には、交差回数検出部118は、図12(B)に示すように差圧値PとそのトレンドラインPtとの差分値Psを算出し、差分値Psのゼロクロスを区間毎に数えればよい。このゼロクロス回数が差圧の揺動の上下動回数となる。
第1の実施の形態と同様に、判定部12の比率算出部120は、交差回数検出部118が数えたゼロクロス回数を1区間のサンプル数で割った比率を区間毎に算出する。比較部121および警報出力部13の動作は、第1の実施の形態と同じである。
こうして、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態では、差圧値Pの変動に対する計算の追従性が良好になるが、第1の実施の形態に対して計算量は増加する。
[第7の実施の形態]
第1の実施の形態では、検出対象区間の差圧値Pが直前の基準値算出対象区間で算出された基準値と交差する回数を区間毎に数えていたが、基準値算出対象区間と検出対象区間とを同一にしてもよい。すなわち、検出対象区間において差圧値Pの基準値を算出した後に、検出対象区間の差圧値Pが基準値と交差する回数を数えるようにしてもよい。本実施の形態においても、導圧管の詰まり診断装置の構成は第1の実施の形態と同様であるので、図2の符号を用いて説明する。
図13は本実施の形態の詰まり診断装置の動作を説明するための波形図であり、差圧発信器5で測定された差圧値Pの変化の1例を示す図である。なお、図13では、差圧値Pを連続した波形で表しているが、本実施の形態で実際に処理する信号は定期的にサンプリングされた差圧データである。
本実施の形態の基準値算出部110は、差圧値Pの時系列を連続した複数の区間S1,S2・・・に区切り、差圧値Pの基準値Prを区間毎に算出する。図13に示すPr1,Pr2は、それぞれ区間S1,S2で算出した基準値である。第1の実施の形態と同様に、基準値としては差圧値Pの平均値または中央値がある。
続いて、交差回数検出部111は、検出対象区間の差圧値Pが同区間で算出された基準値Prと交差する回数を区間毎に数える。つまり、検出対象区間がS2であれば、区間S2の差圧値Pが基準値Pr2と交差する回数を数える。この交差回数が差圧の揺動の上下動回数となる。
判定部12および警報出力部13の動作は、第1の実施の形態と同じである。
本実施の形態の効果は第1の実施の形態に準ずるが、区間の全サンプルが揃うまで基準値が確定しないので、交差回数の算出ができない。よって、第1の実施の形態に比べてオンラインでの実施にはやや不向きである。
[第8の実施の形態]
第7の実施の形態では、平均値または中央値を差圧値Pの基準値としたが、検出対象区間の最初の差圧値Pを基準値としてもよい。図14は本発明の第8の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の構成を示すブロック図であり、図2と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の詰まり診断装置は、受信部10と、上下動回数検出部11eと、判定部12と、警報出力部13とから構成される。
上下動回数検出部11eは、基準値導出部119と、交差回数検出部140とを有する。
上下動回数検出部11eの基準値導出部119は、差圧値Pの時系列を連続した複数の区間に区切り、各区間の最初の差圧値Pをその区間の基準値とする。
続いて、上下動回数検出部11eの交差回数検出部140は、検出対象区間の差圧値Pが同区間の基準値と交差する回数を区間毎に数える。この交差回数が差圧の揺動の上下動回数となる。
判定部12および警報出力部13の動作は、第1の実施の形態と同じである。
本実施の形態の場合、リアルタイムに交差回数をカウントできる点は第1の実施の形態と同じであるが、平均値や中央値の算出が不要な分だけ計算量が少なく、実装も容易になる。平均値や中央値ではなく検出対象区間の最初の差圧値を基準値として用いるため、1区間での計算はやや粗くなるが、区間数を十分多くとった上で各区間の交差回数の平均値を求めるようにして、この交差回数の平均値を判定部12に与えるようにすれば、有意な診断結果が得られる。ただし、複数の区間の交差回数の平均値を用いる場合には、診断に要する時間が長くなる。
なお、第1〜第8の実施の形態では、揺動の上下動回数を1区間のサンプル数で割って比率を求め、この比率をしきい値と比較しているが、これに限るものではなく、上下動回数をしきい値と直接比較してもよいことは言うまでもない。
[第9の実施の形態]
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。図15は本発明の第9の実施の形態に係る導圧管の詰まり診断装置の構成を示すブロック図であり、図2と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の詰まり診断装置は、受信部10と、上下動回数検出部11fと、判定部12aと、警報出力部13とから構成される。
本実施の形態は、差圧の揺動の上下動回数に相当する情報として、差圧値Pの極大値と極小値の時間間隔を検出するものである。上下動回数検出部11fは、時間間隔検出部141を有する。判定部12aは、比較部122を有する。
時間間隔検出部141は、差圧値Pの時系列を連続した複数の区間に区切り、差圧値Pの極大値と極小値の時間間隔を区間毎に検出する。例えば図3の例から明らかなように、1つの区間には差圧値Pの極大値と極小値が複数出現することがあるので、1つの区間において検出される時間間隔も複数となる。したがって、時間間隔検出部141が実際に求める時間間隔は、複数の時間間隔の平均値となる。
判定部12aの比較部122は、時間間隔検出部141が求めた時間間隔と予め定められた2つのしきい値とを比較する。時間間隔と上下動回数は反比例の関係にあるので、本実施形態では第1の実施の形態とは逆に、大きい方のしきい値をしきい値A、小さい方をしきい値Bと呼ぶことにする。比較部122は、時間間隔がしきい値Aを継続的に上回ったときに、導圧管3,4のいずれか一方もしくは両方に詰まりが発生したと判断する。具体的には、比較部122は、時間間隔が所定回数だけ連続してしきい値Aを上回ったとき、あるいは所定数の区間の時間間隔の平均値がしきい値Aを上回ったときに、導圧管3,4のいずれか一方もしくは両方に詰まりが発生したと判断すればよい。
また、比較部122は、時間間隔がしきい値Bを継続的に下回ったときに、導圧管3,4のいずれか一方に詰まりが発生したと判断する。具体的には、比較部122は、時間間隔が所定回数だけ連続してしきい値Bを下回ったとき、あるいは所定数の区間の時間間隔の平均値がしきい値Bを下回ったときに、導圧管3,4のいずれか一方に詰まりが発生したと判断すればよい。
警報出力部13の動作は、第1の実施の形態と同じである。こうして、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、第1〜第9の実施の形態において少なくとも上下動回数検出部11,11a,11b,11c,11d,11e,11fと判定部12,12aとは、例えばCPU、メモリおよびインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、メモリに格納されたプログラムに従って第1〜第9の実施の形態で説明した処理を実行する。
本発明は、導圧管の詰まり状態を診断する技術に適用することができる。
1…配管、2…オリフィス、3,4…導圧管、5…差圧発信器、10…受信部、11,11a,11b,11c,11d,11e,11f…上下動回数検出部、12,12a…判定部、13…警報出力部、110…基準値算出部、111,113,116,118,140…交差回数検出部、112…差分値算出部、114…極大値・極小値検出部、115…移動平均値算出部、117…トレンドライン算出部、119…基準値導出部、120…比率算出部、121,122…比較部、141…時間間隔検出部、1150…減算部、1151…リミッタ、1152…加算部、1153,1154…1次遅れ処理部。

Claims (15)

  1. 圧力に揺動を有する測定対象が差圧発生機構を通過した際に発生する差圧を、2つの導圧管を介して検出する差圧検出手段と、
    この差圧検出手段で検出された差圧値に基づいて前記差圧の揺動の速さを検出する揺動速度検出手段と、
    前記揺動の速さに基づいて前記導圧管の詰まり状態を判定する判定手段とを備え
    前記揺動速度検出手段は、前記差圧検出手段で検出された差圧値の時系列を複数の区間に区切り、前記揺動の速さを表す情報として、前記差圧の揺動の上下動回数または上下動回数に相当する情報を区間毎に検出する上下動回数検出手段を備え、
    前記判定手段は、前記揺動の上下動回数または上下動回数に相当する情報を所定のしきい値と比較して前記導圧管の詰まり状態を判定する比較手段を備えることを特徴とする導圧管の詰まり診断装置。
  2. 請求項記載の導圧管の詰まり診断装置において、
    前記上下動回数検出手段は、
    前記差圧検出手段で検出された差圧値の基準値を区間毎に算出する基準値算出手段と、
    検出対象区間の差圧値が直前の区間で算出された前記基準値と交差する回数を前記上下動回数として区間毎に数える交差回数検出手段とを備えることを特徴とする導圧管の詰まり診断装置。
  3. 請求項記載の導圧管の詰まり診断装置において、
    前記上下動回数検出手段は、
    前記差圧検出手段で検出された差圧値の基準値を区間毎に算出する基準値算出手段と、
    検出対象区間の差圧値が同区間で算出された前記基準値と交差する回数を前記上下動回数として区間毎に数える交差回数検出手段とを備えることを特徴とする導圧管の詰まり診断装置。
  4. 請求項または記載の導圧管の詰まり診断装置において、
    前記基準値は、前記差圧値の平均値または中央値であることを特徴とする導圧管の詰まり診断装置。
  5. 請求項記載の導圧管の詰まり診断装置において、
    前記上下動回数検出手段は、
    前記差圧検出手段で検出された差圧値と一定時間前の差圧値との差分値を算出する差分値算出手段と、
    検出対象区間の前記差分値のゼロクロス回数を前記上下動回数として区間毎に数える交差回数検出手段とを備えることを特徴とする導圧管の詰まり診断装置。
  6. 請求項記載の導圧管の詰まり診断装置において、
    前記上下動回数検出手段は、
    前記差圧検出手段で検出された差圧値の極大値と極小値の数を前記上下動回数として区間毎に数える極大値・極小値検出手段を備えることを特徴とする導圧管の詰まり診断装置。
  7. 請求項記載の導圧管の詰まり診断装置において、
    前記上下動回数検出手段は、
    前記差圧検出手段で検出された差圧値の移動平均値を算出する移動平均値算出手段と、
    検出対象区間の差圧値が前記移動平均値と交差する回数を前記上下動回数として区間毎に数える交差回数検出手段とを備えることを特徴とする導圧管の詰まり診断装置。
  8. 請求項記載の導圧管の詰まり診断装置において、
    前記上下動回数検出手段は、
    前記差圧検出手段で検出された差圧値に対して変化率リミット処理を施す変化率リミット処理手段と、
    前記変化率リミット処理後の差圧値に対して2次遅れ処理を施す2次遅れ処理手段と、
    検出対象区間の差圧値が前記2次遅れ処理手段の出力値と交差する回数を前記上下動回数として区間毎に数える交差回数検出手段とを備えることを特徴とする導圧管の詰まり診断装置。
  9. 請求項記載の導圧管の詰まり診断装置において、
    前記上下動回数検出手段は、
    前記差圧検出手段で検出された差圧値のトレンドラインを区間毎に算出するトレンドライン算出手段と、
    検出対象区間の差圧値が前記トレンドラインと交差する回数を前記上下動回数として区間毎に数える交差回数検出手段とを備えることを特徴とする導圧管の詰まり診断装置。
  10. 請求項記載の導圧管の詰まり診断装置において、
    前記上下動回数検出手段は、
    各区間の最初の差圧値を基準値として区間毎に採用する基準値導出手段と、
    検出対象区間の差圧値が同区間の前記基準値と交差する回数を前記上下動回数として区間毎に数える交差回数検出手段とを備えることを特徴とする導圧管の詰まり診断装置。
  11. 請求項乃至10のいずれか1項に記載の導圧管の詰まり診断装置において、
    前記比較手段は、前記揺動の上下動回数が2つの前記しきい値のうち小さい方のしきい値を継続的に下回ったときに、前記2つの導圧管のいずれか一方もしくは両方に詰まりが発生したと判定し、前記揺動の上下動回数が大きい方のしきい値を継続的に上回ったときに、前記2つの導圧管のいずれか一方に詰まりが発生したと判定することを特徴とする導圧管の詰まり診断装置。
  12. 請求項乃至10のいずれか1項に記載の導圧管の詰まり診断装置において、
    前記判定手段は、さらに前記揺動の上下動回数を1区間のサンプル数で割った比率を区間毎に算出する比率算出手段を備え、
    前記比較手段は、前記揺動の上下動回数を前記しきい値と比較する代わりに、前記比率を前記しきい値と比較して、前記比率が2つの前記しきい値のうち小さい方のしきい値を継続的に下回ったときに、前記2つの導圧管のいずれか一方もしくは両方に詰まりが発生したと判定し、前記比率が大きい方のしきい値を継続的に上回ったときに、前記2つの導圧管のいずれか一方に詰まりが発生したと判定することを特徴とする導圧管の詰まり診断装置。
  13. 請求項記載の導圧管の詰まり診断装置において、
    前記上下動回数検出手段は、
    前記差圧検出手段で検出された差圧値の極大値と極小値の時間間隔を前記上下動回数に相当する情報として区間毎に検出する時間間隔検出手段を備えることを特徴とする導圧管の詰まり診断装置。
  14. 請求項13記載の導圧管の詰まり診断装置において、
    前記比較手段は、前記時間間隔が2つの前記しきい値のうち大きい方のしきい値を継続的に上回ったときに、前記2つの導圧管のいずれか一方もしくは両方に詰まりが発生したと判定し、前記時間間隔が小さい方のしきい値を継続的に下回ったときに、前記2つの導圧管のいずれか一方に詰まりが発生したと判定することを特徴とする導圧管の詰まり診断装置。
  15. 圧力に揺動を有する測定対象が差圧発生機構を通過した際に発生する差圧を、2つの導圧管を介して検出する差圧検出手順と、
    この差圧検出手順で検出された差圧値に基づいて前記差圧の揺動の速さを検出する揺動速度検出手順と、
    前記揺動の速さに基づいて前記導圧管の詰まり状態を判定する判定手順とを含み、
    前記揺動速度検出手順は、前記差圧検出手順で検出された差圧値の時系列を複数の区間に区切り、前記揺動の速さを表す情報として、前記差圧の揺動の上下動回数または上下動回数に相当する情報を区間毎に検出する上下動回数検出手順を含み、
    前記判定手順は、前記揺動の上下動回数または上下動回数に相当する情報を所定のしきい値と比較して前記導圧管の詰まり状態を判定する比較手順を含むことを特徴とする導圧管の詰まり診断方法。
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