JP5311223B2 - スピーカ用センターキャップ及びキャップ付スピーカユニット - Google Patents

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本発明は、振動板の中心に装着されるスピーカ用センターキャップと、センターキャップを備えたスピーカユニットに関する。
従来、ボイスコイルの先端に接合する振動板の中心にセンターキャップを装着したスピーカユニットが一般に広く知られている(例えば、特許文献1)。
実開平5−18197号公報
上記のようなスピーカ用センターキャップは、ボイスコイルに連通するコーン型振動板の中心孔を覆うドーム状の部材であって、振動板を駆動する磁気回路内への塵埃の侵入を防止する役割を担うほか、振動板の一部として高音域の再生にも寄与している。
尚、振動板は、軽量で剛性が高く内部損失の大きいものが理想とされるが、その中心部に装着されるセンターキャップも振動板に連れて振動しスピーカの音響特性に影響を及ぼすため、振動板と同じく軽量で剛性が高く内部損失の大きいものであることが望まれる。
センターキャップが軽量であれば振動板の動きを阻害せず、駆動力に対して感度よく反応するため、再生音の音圧が向上するなどの効果が得られる。又、剛性(ヤング率)が高ければ、センターキャップが定形を維持して振動するので歪みの少ないクリアな音を再生することができ、しかも相関して音波の伝搬速度(ヤング率E/密度ρの平方根)が大きくなるので再生帯域を広げることができる。一方、内部損失は、外部からの振動エネルギーを吸収する減衰性能をあらわすもので、これが大きいものであれば、音質を劣化させる分割振動を吸収できるため残響を生じ難く、音質を向上させることができる。
しかしながら、これまでスピーカ用センターキャップの多くは、高音域を伸ばすことなどを目的として、金属系材料から成形されていたため、高域特性は向上するものの、金属製のセンターキャップでは内部損失が小さいことに起因して、高音域での共鳴による耳障りな異音や残響を発生しやすいという問題がある。
この点、特許文献1のように金属製センターキャップの裏面に紙製シートを貼り付けると、高音域での共鳴の発生を抑制することはできるが、高域限界周波数が低下して高域特性の劣化を招く。又、センターキャップには金属以外にも種々の素材が用いられるが、金属その他の均一素材からなるセンターキャップでは、上下左右の全方向で音波の伝搬速度が等しくなる(音波の伝搬速度に等方性を有する)ために音質の劣化要因となる定在波を発生しやすく、しかも高域での音の広がりに乏しく大きな音場空間を創成することが困難となる。
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は高域での音質向上と指向特性の拡大を図ることのできるスピーカ用センターキャップとこれを備えたスピーカユニットを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係るスピーカ用センターキャップ7は、第1の音波の伝搬速度及び第1の内部損失を有し、中心孔5aを有する振動板5の前記中心孔5aを覆うキャップ本体71と、前記第1の音波の伝搬速度よりも高い第2の音波の伝搬速度及び前記第1の内部損失よりも小さい第2の内部損失を有し、前記キャップ本体71の裏面に貼付された環状部72aと前記環状部72aから中心に向かう突片部72bと前記環状部72aから外周部に向けて放射状に広がる突片部72cとを有する薄膜状部材72と、を備えることを特徴とする。
又、本発明に係るキャップ付スピーカユニットは、コイルボビン31の外周に導電線を巻き付けたボイスコイル3と、前記ボイスコイル3に連通する中心孔5aを有する振動板5と、前記キャップ本体71と前記薄膜状部材72とを有するセンターキャップ7と、を備えることを特徴とする。
本発明に係るセンターキャップによれば、振動板の中心孔を覆うキャップ本体に、それよりも音波の伝搬速度が高く且つ内部損失が小さい薄膜状部材を貼付してなることから、高音域を伸ばしてクリアな音を再生しながら高域での異音や残響の発生を抑制することが可能となる。
又、薄膜状部材が、キャップ本体の内周部から外周部に向けて放射状に広がる突片部を有していることから、高音域を広げて指向性を改善し、音場感を高めることができ、しかもキャップ全体として音波の伝播速度に異方性が生ずるために高音域での定在波による共鳴(カラーレーション)を抑制して音質を向上させることができる。
本発明に係るキャップ付スピーカユニットの一実施の形態を示す断面図 一実施の形態のセンターキャップの装着部分を示す拡大断面図 同センターキャップを示す背面図 同センターキャップを背面側からみた斜視図 一実施の形態と従来のセンターキャップの指向性パターンを示すグラフ 薄膜状部材の変形例を示す説明図
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態を詳しく説明する。先ず、図1において、本発明に係るキャップ付スピーカユニットの一実施の形態を説明すれば、係るスピーカユニットは動電型(ダイナミック型)であって、高音から低音までの全帯域を出せるように作られるフルレンジ型のスピーカである。1はスピーカユニットのフレームであり、このフレーム1には磁気回路2(図示例において外磁型)が取り付けられている。
磁気回路2は、厚さ方向に着磁されているリング状のマグネット21と、マグネット21の一方の磁極に装着されているリング状のトッププレート22と、マグネット21の他方の磁極に装着されているバックプレート23と、バックプレート23の中心に設けられているポールピース24とにより構成されており、ポールピース24とトッププレート22との間にはマグネット21の磁束が作用する磁気ギャップGが形成されている。
トッププレート22、バックプレート23、及びポールピース24は、磁気ギャップGにマグネット21の磁束を集めるヨークとなるもので、その磁気ギャップGにはボイスコイル3が挿入される。尚、バックプレート23及びポールピース24を一体として成形することもある。
ボイスコイル3は、紙などからなる非導電性(アルミなどの非磁性体を用いる場合もある)のコイルボビン31の外周に、絶縁被膜を施した銅やアルミなどの導電線を巻き付けて巻線部32とした構成であり、その内周にはポールピース24の先端部が挿入され、外周の巻線部32にはトッププレート22の内周面が臨んでいる。そして、ボイスコイル3は、フレーム1にダンパ4を介して取り付けられ、そのダンパ4により前後方向(ボイスコイル3の中心を通る軸線の方向であって図1の上下方向)に移動可能に支持されており、その先端はコーン型の振動板5に接合している。
振動板5は、紙、木、又はポリプロピレンやポリエステルといった合成樹脂、アルミその他の金属、又は化学繊維などから形成されるコーン型の輻射器で、ボイスコイル3に接合する内側中心部にはボイスコイル3に連通する円形の中心孔5aが形成されており、大径側の外周は振動板5の前後方向の動きを許容するエッジ6を介してフレーム1に支持されている。
又、振動板5の中心には、その中心孔5aを覆うセンターキャップ7が装着される。センターキャップ7は、振動板5の中心孔5aよりも大きいドーム型の部材で、その外周が接着剤にて振動板5に固定されると共に、このセンターキャップ7にもボイスコイル3の先端が接合されている。
そして、以上のように構成されるスピーカユニットによれば、磁気ギャップG内に発生する直流磁界の磁力線に直交するボイスコイル3(正確にはその巻線部32)に音声電流を流すと、周知のようにボイスコイル3が軸方向の起振力を得て振動し、その振動が振動板5を介して空気振動に変換されることにより音を再生することができる。尚、センターキャップ7は、磁気回路2内に塵埃が侵入するのを防ぐ防塵機能を有するが、センターキャップ7それ自体も振動板5に連れて振動するため音響特性に影響を及ぼすことになる。
ここに、一実施の形態のセンターキャップ7の構成について説明すると、係るセンターキャップ7は、図2から明らかなように振動板5に接着固定されるドーム型のキャップ本体71と、そのキャップ本体71に貼付される薄膜状部材72とにより構成される。
キャップ本体7は、振動板5と同じく紙、木、又はプリプロピレンやポリエステルといった合成樹脂などの単一材料ないしは複合材料から形成される単層もしくは積層構造物であり、その裏面(ボイスコイル3側の面)に上記の薄膜状部材72が貼付されている。
一方、薄膜状部材72は、キャップ本体71が有する音波の伝搬速度よりも音波の伝搬速度(以下、音速とする)が高く、且つキャップ本体71が有する内部損失よりも内部損失の小さい部材から形成される厚さ10μ〜150μの薄片で、キャップ本体71の裏面に対して接着剤により固定される。逆に言えば、キャップ本体71には、薄膜状部材72よりも音速が低く、内部損失の大きい部材が選ばれる。尚、薄膜状部材72の厚さが10μ以下では成形や貼付が困難となり、150μ以上の厚さでは重量が増して能率が低下する。
又、音速(ヤング率E/密度ρの平方根)と内部損失(tanδ)は、音響性能を評価する指標となるもので、それらの数値は素材によって異なる。例えば、下表に示すように、
紙では音速が500〜2500m/s、内部損失が0.025〜0.055、木(カバの無垢材)では音速が5039m/s、内部損失が0.022、木(シナの無垢材)では音速が4896m/s、内部損失が0.019、木(ブナの無垢材)では音速が4736m/s、内部損失が0.025、ポリアミド樹脂では音速が3000m/s、内部損失が0.018、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)では音速が2740m/s、内部損失が0.017、ポリプロピレン樹脂では音速が1000m/s、内部損失が0.08、ポリプロピレン樹脂(炭素繊維20重量%含有)では音速が2150m/s、内部損失が0.048、アルミニウムでは音速が5114m/s、内部損失が0.002、マグネシウムでは音速が5068m/s、内部損失が0.005、銅では音速が3800m/s、内部損失が0.001、チタンでは音速が5145m/s、内部損失が0.003である。
Figure 0005311223
従って、キャップ本体71の素材として、紙、カバやブナといった木材、又はポリプロピレン樹脂などの合成樹脂が用いられる場合、薄膜状部材72の素材には金属系材料、とりわけアルミニウム、チタン、銅などが好適に用いられる。特に、センターキャップ72は、振動板5の一部として高音域の再生に寄与するところ、各種素材の中でも音速の高い金属を薄膜状部材72の素材として絶対的に用いることが好ましく、これに対してキャップ本体71に音速が低く且つ内部損失の大きい素材を用いれば高音域での共鳴を抑制することが可能となる。
又、図3及び図4から明らかなように、薄膜状部材72は、キャップ本体71よりも小さく、キャップ本体71の裏面全体を覆わない形状異方性の形態とされる。具体的には、キャップ本体71よりも小径の環状部72aと、その環状部72aの内外に突出する突片部72b,72cとを一体に連ねた形態とされる。このうち、環状部72aはキャップ本体71に対し同心状に固定されてキャップ本体71を補強し、キャップ本体71の変形を防止する働きをする。一方、内側の突片部72bはそれぞれ環状部72aの中心に向けて突出し、高音域成分を前方に放射する働きをする。又、外側の突片部72cは、キャップ本体71の内周部から外周部に向けて放射状に広がり、高音域成分を上下左右方向に放射する働きをする。
そして、上記のような薄膜状部材72をもつセンターキャップ7によれば、音速に異方性が生ずるために高音域での定在波による共鳴(カラーレーション)を抑制して音質を向上させながら、突片部72cの作用により高音域を広げて指向性を改善することができ、しかも薄膜状部材72の形態によって音響特性を容易に制御することができる。
図5は、一実施の形態のセンターキャップ7と従来のセンターキャップに14kHzを入力したときの水平方向の指向性パターンを示す。尚、図5において、実線は一実施の形態のセンターキャップ7の指向性パターンを示し、一点鎖線は従来キャップの指向性パターンを示す。又、従来キャップはポリプロピレン製であり、その裏面に図3に示されるような形態の銅製の薄膜状部材72(厚さ100μ)を貼付したものを一実施の形態のセンターキャップとした。
図5から明らかなように、一実施の形態のセンターキャップは、従来キャップに比べて30〜150度、及び220〜330度の範囲で大きな音圧レベルの向上がみられる。これにより、一実施の形態のセンターキャップによれば、高音域での指向特性に大きな改善効果を有することが判る。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、薄膜状部材72は図3、図4のような形態に限らず、図6(a)〜(e)のうち、図6(a)〜(c)に示すような形態としてもよい
3 ボイスコイル
31 コイルボビン
32 巻線部
5 振動板
5a 中心孔
7 センターキャップ
71 キャップ本体
72 薄膜状部材
72c 突片部

Claims (2)

  1. 第1の音波の伝搬速度及び第1の内部損失を有し、中心孔を有する振動板の前記中心孔を覆うキャップ本体と、
    前記第1の音波の伝搬速度よりも高い第2の音波の伝搬速度及び前記第1の内部損失よりも小さい第2の内部損失を有し、前記キャップ本体の裏面に貼付された環状部と前記環状部から中心に向かう突片部と前記環状部から外周部に向けて放射状に広がる突片部とを有する薄膜状部材と、
    を備えることを特徴とするスピーカ用センターキャップ。
  2. コイルボビンの外周に導電線を巻き付けたボイスコイルと、
    前記ボイスコイルに連通する中心孔を有する振動板と、
    請求項1に記載のスピーカ用センターキャップと、
    を備えることを特徴とするキャップ付スピーカユニット。
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