JP5355478B2 - フレキシブルプリント基板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、狭ギャップ(小さな半径)で屈曲可能なフレキシブルプリント基板及びその製造方法に関するものである。
電磁波シールド層の導電性樹脂層の厚さを1[μm]〜20[μm]とし、同じく電磁波シールド層の絶縁性樹脂層の厚さを3[μm]〜20[μm]としたフレキシブルプリント回路板が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2008−98613号公報
上記のフレキシブルプリント回路板では、スクリーン印刷で形成された電磁波シールド層の導電性樹脂層が屈曲性に与える影響については検討されていない。
このため、フレキシブルプリント回路版の屈曲性を十分に向上させることができない場合があった。
本発明が解決しようとする課題は、屈曲性を向上させるフレキシブルプリント基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、スクリーン印刷によってシールド導電層を形成する際に、印刷版のメッシュによってシールド導電層の表面に凹凸が必然的に形成される点、及び、この凹凸によって屈曲時のフレキシブルプリント基板に局所的な応力集中が生じてしまう点に着目し、鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、シールド導電層の引張弾性率とシールド絶縁層の引張弾性率との比率を所定の範囲内とすることにより、シールド導電層の凹凸に起因する応力集中を緩和することができ、上記目的を達成できることを見出した。
本発明に係るフレキシブルプリント基板は、絶縁性基板と、前記絶縁性基板に積層された回路配線と、前記回路配線に積層された回路保護層と、前記回路保護層に積層されたシールド導電層と、前記シールド導電層に積層されたシールド絶縁層と、を備えたフレキシブルプリント基板であって、下記(1)式を満たすことを特徴とする。
0.75≦E/E≦1.29 …(1)式
但し、Eは前記シールド導電層の引張弾性率であり、Eは前記シールド絶縁層の引張弾性率である。
上記発明において、下記(2)式を満たしていてもよい。
1.8[GPa]≦E≦3.1[GPa]…(2)式
上記発明において、前記シールド導電層おいて前記シールド絶縁層と対向する面が凹凸状となっていてもよい。
本発明に係るフレキシブルプリント基板の製造方法は、上記のフレキシブルプリント基板の製造方法であって、前記回路保護層に導電性ペーストをスクリーン印刷して、前記導電性ペーストを硬化させることで前記シールド導電層を形成するシールド導電層形成工程と、前記シールド導電層に絶縁性インクをスクリーン印刷して、前記絶縁性インクを硬化させることで前記シールド絶縁層を形成するシールド絶縁層形成工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、フレキシブルプリント基板が上記(1)式を満たすことで、シールド導電層の凹凸に起因する応力集中を緩和することができるので、フレキシブルプリント基板の屈曲性を向上させることができる。
図1は、本発明の実施形態におけるスライド式携帯電話の斜視図である。 図2は、図1のII-II線に沿ったフレキシブルプリント基板の拡大断面図である。 図3は、図2のIII部の部分断面図である。 図4は、本発明の実施形態におけるフレキシブルプリント基板の製造方法を示すフローチャートである。 図5は、図4のシールド導電層形成工程を示す拡大断面図である(その1)。 図6は、図4のシールド導電層形成工程で用いる印刷版のメッシュを示す写真である。 図7は、図4のシールド導電層形成工程を示す拡大断面図である(その2)。 図8は、本発明の実施例及び比較例における回路配線の平面図である。 図9は、本発明の実施例1〜5、比較例1及び2におけるスライド試験の結果を示すグラフである。 図10は、本発明の実施例6〜10、比較例3及び4におけるスライド試験の結果を示すグラフである。 図11は、本発明の実施例11〜15、比較例5及び6におけるスライド試験の結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態におけるスライド式携帯電話の斜視図、図2は図1のII-II線に沿ったフレキシブルプリント基板の拡大断面図、図3は図2のIII部の部分断面図である。
本実施形態におけるフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)2は、例えば、図1に示すように、小さな半径R(例えば0.7mm程度)で実質的に180度に屈曲し、ギャップGが狭くなった状態で、スライド式携帯電話1に組み込まれている。
このフレキシブルプリント基板2は、図2に示すように、絶縁性基板21と、回路配線22と、回路保護層23と、シールド導電層24と、シールド絶縁層25と、を備えている。
絶縁性基板21は、図2に示すように、フレキシブルプリント基板2が屈曲した状態において、最も内側に位置する層である。この絶縁性基板21は、例えばポリイミド(Polyimide)等の可撓性を有する材料で構成されている。なお、絶縁性基板21を、ポリエチレンナフタレート(PEN:Polyethylene Naphthalate)やポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene Terephthalate)等で構成してもよい。
回路配線22は、図2に示すように、絶縁性基板21と回路保護層23の間に積層され、その両端が回路保護層23から露出している。この回路配線22は、例えば銅等の導電性を有する材料で構成されている。この回路配線22は、例えば片面銅張積層板(銅箔)をエッチングすることで形成されている。
回路保護層23は、回路配線22に積層され、回路配線22を保護している。この回路保護層23としては、例えばカバーレイフィルムを挙げることができる。
回路保護層23は、接着層231と、絶縁性フィルム232と、を有している。
接着層231は、図2に示すように、回路配線22を覆っており、回路配線22と絶縁性フィルム232を接着している。この接着層231は、例えばエポキシ系樹脂からなる接着剤で構成されている。
絶縁性フィルム232は、図2に示すように、接着層231に積層され、回路配線22を保護している。この絶縁性フィルム232は、例えばポリイミド等の可撓性を有する材料で構成されている。
シールド導電層24は、絶縁性フィルム232に積層され、回路配線22を外部から電磁的に遮蔽している。このシールド導電層24は、導電性ペーストをスクリーン印刷して硬化させることで形成されている。ここで、本実施形態では、このシールド導電層24の引張弾性率をEとする。
このシールド導電層24においてシールド絶縁層25と対向する表面は、図3に示すように、連続的な凹凸状となっている。なお、この凹凸状表面は、スクリーン印刷における印刷版30のメッシュ32(図6参照)の粗さに伴って生じるものである。この凹凸状表面について詳細に説明すると、スクリーン印刷の際に、メッシュ32のワイヤ32a(図6参照)と対向していた位置に、凹凸状表面の凹部24aが形成され、メッシュ32の開口部分32b(図6参照)と対向していた位置に凹凸状表面の凸部24bが形成されている。
また、シールド導電層24を形成する導電性ペーストとしては、銀ペーストを挙げることができる。この銀ペーストは、銀の粒子と、バインダと、を含んでいる。バインダの材料としては、例えばポリエステル系樹脂を挙げることができる。なお、シールド導電層24を形成する導電性ペーストは、銀ペーストに限定されない。例えば、導電性ペーストを、金ペースト、銅ペースト、カーボンペースト等で構成することもできる。また、バインダの材料についても、特に限定されない。
シールド絶縁層25は、シールド導電層24に積層され、シールド導電層24を保護している。このシールド絶縁層25は、絶縁性インク(黒インク)を、スクリーン印刷して硬化させた有機被覆膜で構成されている。なお、絶縁性インクの材料としては、ポリエステル系樹脂を挙げることができるが、特に限定されない。ここで、本実施形態では、このシールド絶縁層25の引張弾性率をEとする。
このシールド絶縁層25は、シールド導電層24と対向する側の表面がシールド導電層24の形状(凹凸)に追従した凹凸状となっている。一方で、シールド絶縁層25において、シールド導電層24とは反対側の外表面は、平坦に形成されている。
ここで、本実施形態におけるフレキシブルプリント基板2では、シールド導電層24の引張弾性率Eと、シールド絶縁層25の引張弾性率Eと、が下記(1)式を満たすことが好ましく、下記(3)式を満たすことがより好ましい。なお、シールド導電層の引張弾性率Eと、シールド絶縁層の引張弾性率Eと、が同一であることが、さらに好ましい(E=E)。
0.75≦E/E≦1.29 …(1)式
0.79≦E/E≦1.20 …(3)式
また、本実施形態におけるフレキシブルプリント基板2では、シールド絶縁層25の引張弾性率Eが、下記(2)式を満たすことが好ましく、下記(4)式を満たすことがより好ましい。
1.8[GPa]≦E≦3.1[GPa]…(2)式
1.9[GPa]≦E≦2.88[GPa]…(4)式
なお、本実施形態におけるフレキシブルプリント基板2では、絶縁性基板21の一方(外側)の主面に、回路配線22と、回路保護層23と、シールド導電層24と、シールド絶縁層25と、が積層されているが、特に限定されない。例えば、絶縁性基板の内側の主面に、回路配線と、回路保護層と、シールド導電層と、シールド絶縁層と、を積層させてもよい。或いは、絶縁性基板の両面に、回路配線と、回路保護層と、シールド導電層と、シールド絶縁層と、を積層させてもよい。
次に、本実施形態の作用について説明する。
シールド導電層をスクリーン印刷で形成したフレキシブルプリント基板では、上述のようにシールド導電層の表面が凹凸状となることから、シールド導電層の引張弾性率とシールド絶縁層の引張弾性率とが大きく相違すると、フレキシブルプリント基板に局所的な応力集中が生じ易くなる。
詳細に説明すると、このようなフレキシブルプリント基板では、硬い層が厚い部分と、硬い層が薄い部分と、が交互に生じるので、フレキシブルプリント基板全体の硬さが不均一となる。このため、硬い層が薄い部分(曲がり易い部分)の屈曲半径が局所的に小さくなり、この部分において応力集中が生じやすく易くなる。
例えば、シールド導電層が比較的軟らかく、シールド絶縁層が比較的硬い場合には、フレキシブルプリント基板において、シールド絶縁層が厚い部分(シールド導電層の凹部に対応する部分)よりも、シールド絶縁層が薄い部分(シールド導電層の凸部に対応する部分)の方が折れ曲がり易くなるので、フレキシブルプリント基板においてシールド絶縁層が薄い部分に局所的な応力集中が生じる。これによって、応力集中が生じている部分の回路配線にクラックが入り、回路配線が断線し易くなる。
これに対して、本実施形態では、上記(1)式に示すように、シールド導電層24の引張弾性率Eとシールド絶縁層25の引張弾性率Eとの比率を所定の範囲内とし、シールド導電層24とシールド絶縁層25の硬さを出来るだけ合わせる。これにより、スクリーン印刷によって、シールド導電層24の表面が凹凸状となっても、局所的な応力集中が発生するのを抑制することができる。
また、これに加えてシールド絶縁層25の引張弾性率Eが、上記(2)式を満たすことで、応力集中がより緩和され、フレキシブルプリント基板の屈曲性がより向上する。
次に、本実施形態におけるフレキシブルプリント基板の製造方法について説明する。
図4は本実施形態におけるフレキシブルプリント基板の製造方法を示すフローチャート、図5及び図7は図4のシールド導電層形成工程を示す拡大断面図、図6は図4のシールド導電層形成工程で用いる印刷版のメッシュを示す写真である。
本実施形態におけるフレキシブルプリント基板の製造方法は、図4に示すように、回路配線形成工程S10と、回路保護層形成工程S11と、シールド導電層形成工程S12と、シールド絶縁層形成工程S13と、を備えている。なお、フレキシブルプリント基板2の製造の際には、絶縁性基板21の片面に銅箔が積層された片面銅張積層板を用意する。
まず、回路配線形成工程S10においては、片面銅張積層板の銅箔をエッチングして回路配線22を形成する。
次いで、回路保護層形成工程S11においては、カバーレイフィルムを回路配線22に積層して、回路保護層23を形成する。この際に、回路配線22の両端がカバーレイフィルムから露出するように、カバーレイフィルムの接着層231を回路配線22に接着させる。
シールド導電層形成工程S12では、カバーレイフィルムの絶縁性フィルム232上に導電性ペーストをスクリーン印刷して硬化させて、シールド導電層24を形成する。このシールド導電層形成工程S12について詳細に説明すると、図5に示すように、乳剤によってマスク31が形成された印刷版30の上面に、スキージ40で導電性ペーストAを押し付けながら移動させる。
この印刷版30は、図6に示すように、ワイヤ32aを格子状に編んだメッシュ32を備えている。このメッシュ32の粗さは、例えば200メッシュ程度である。一方、このメッシュ32を通過する導電性ペーストのバインダは、例えば、200[dPa・s at 25℃]〜300[dPa・s at 25℃]程度の比較的高い粘度を有している。
このため、本実施形態におけるシールド導電層形成工程S12では、図7に示すように、絶縁性フィルム232上において、メッシュ32の開口部分32bと対向する部分で導電性ペーストAが厚く積層され、ワイヤ32aと対向する部分で導電性ペーストAが薄く積層される。そして、この導電ペーストAが硬化すると、表面が連続的な凹凸状となったシールド導電層24が形成される。
次いで、シールド絶縁層形成工程S13において、ポリエステル系樹脂からなる絶縁性インクを、凹凸状となったシールド導電層24の表面にスクリーン印刷し、硬化させる。
このシールド絶縁層形成工程S13のスクリーン印刷でも、シールド導電層形成工程S12のスクリーン印刷と同様に、ワイヤによってメッシュが形成された印刷版を用いる。因みに、このシールド絶縁層形成工程S13で用いる印刷版のメッシュの粗さは、例えば150メッシュ程度である。
また、このシールド絶縁層形成工程S13で使用される絶縁性インクの粘度は、上述の導電性ペーストAのバインダの粘度と比較して相対的に低く、例えば50[dPa・s at 25℃]〜150[dPa・s at 25℃]程度である。
そのため、凹凸状に形成されたシールド導電層24上に絶縁性インクを印刷すると、シールド絶縁層25においてシールド導電層24と接する面では、絶縁性インクがシールド導電層24の凹凸内に入り込む一方で、シールド絶縁層25の外表面は平坦となる(図3参照)。
このように、シールド導電層をスクリーン印刷で形成するフレキシブルプリント基板の製造方法では、シールド導電層の表面が必然的に凹凸状となる。このため、シールド導電層の引張弾性率Eとシールド絶縁層の引張弾性率Eとが大きく相違すると、フレキシブルプリント基板において、硬い層(例えばシールド絶縁層)が厚い部分と、硬い層が薄い部分と、が生じて、硬い層が薄い部分では屈曲半径が局所的に小さくなり、フレキシブルプリント基板に局所的な応力集中が生じ易くなる。
これに対し、上記(1)式又は(3)式に示すように、シールド導電層24の引張弾性率Eとシールド絶縁層25の引張弾性率Eとの比率を所定の範囲内とすることで、上述のような局所的な応力集中を緩和し、フレキシブルプリント基板2の屈曲性を向上させている。
具体的には、引張弾性率E,Eが上記(1)式又は(3)式を満たすように、シールド導電層24を構成する導電性ペーストと、シールド絶縁層25を構成する絶縁性インクと、を選択する。なお、より好ましくは、引張弾性率E,Eが同一(E=E)となるように、シールド導電層24を構成する導電性ペーストと、シールド絶縁層25を構成する絶縁性インクと、を選択する。
また、これに加えてシールド絶縁層25の引張弾性率Eが、上記(2)式又は(4)式を満たすことで上述の応力集中がより緩和され、フレキシブルプリント基板の屈曲性がより向上する。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下に、本発明をさらに具体化した実施例及び比較例により本発明の効果を確認した。以下の実施例及び比較例は、上述した実施形態におけるフレキシブルプリント基板の屈曲性の向上についての効果を確認するためのものである。
図8は実施例及び比較例における回路配線の平面図、図9〜図11は、実施例及び比較例におけるスライド試験の結果を示すグラフである。
<実施例1>
実施例1では、上述した実施形態と同一構造のフレキシブルプリント基板のサンプルを10個作製した(サンプル1〜10)。
これらの実施例1のサンプルでは、絶縁性基板をポリイミドで構成し、回路配線を銅で構成し、回路保護層をカバーレイフィルムで構成し、シールド導電層を銀ペーストで構成し、シールド絶縁層を絶縁性インクで構成した。なお、カバーレイフィルムの接着層を、エポキシ系樹脂からなる接着剤で構成し、絶縁性フィルムを、ポリイミドで構成した。また、銀ペーストのバインダには、粘度が200[dPa・s at 25℃]〜300[dPa・s at 25℃]程度のポリエステル系樹脂を用いた。また、絶縁性インクには、粘度が50[dPa・s at 25℃]〜150[dPa・s at 25℃]程度のポリエステル系樹脂を用いた。
これらの実施例1のサンプルでは、絶縁性基板の厚さを12.5[μm]とし、回路配線の厚さを12[μm]とし、接着層の厚さを20[μm]とし、絶縁性フィルムの厚さを12.5[μm]とした。また、シールド導電層の平均厚さを10[μm]とし、シールド絶縁層に平均厚さを10[μm]とした。
また、実施例1のサンプルでは、エッチングによって、回路配線22を図8に示すようなパターンで形成した。なお、回路配線22の幅lを75μmとし、回路配線間22の間隔lも75μmとした。
また、実施例1のサンプルでは、銀ペーストを絶縁性フィルムにスクリーン印刷し、当該銀ペーストを硬化させることで、シールド導電層を形成した。なお、銀ペーストのスクリーン印刷には、200メッシュの印刷版を用いた。
また、実施例1のサンプルでは、絶縁性インクをシールド導電層にスクリーン印刷し、当該絶縁性インクを硬化させることでシールド絶縁層を形成した。なお、絶縁性インクのスクリーン印刷には、150メッシュの印刷版を用いた。
この実施例1のサンプルについて、スライド試験を行った。このスライド試験は、絶縁性基板を内側にし、フレキシブルプリント基板を半径0.7[mm]で180度に屈曲させた状態(図2に示すギャップGが1.4[mm]の状態)で、フレキシブルプリント基板の一端を固定し、他端を繰り返し往復スライド移動(最大40万回)させて、回路配線が断線した時の往復スライド移動のサイクル数を調べた。
このスライド試験では、往復スライド移動のストロークを20[mm]とし、2秒間に1サイクルの割合で、往復スライド移動をさせながら、回路配線(図8中のBとCの間)の電気抵抗値を測定した。本実施例では、当該電気抵抗値が初期値に比べて20%以上上昇した時点で、回路配線に断線が生じたものとみなし、その時のサイクル数を「断線時のサイクル数」とした。実施例1の測定結果を表1及び図9に示す。
なお、表1中の「評価」では、10個のサンプルの中で1個でも断線時のサイクル数が20万回未満のものがあれば不合格「×」とし、10個のサンプルの全てにおいて断線時のサイクル数が20万回以上であれば合格の「○」とし、10個のサンプルの全てにおいて断線時のサイクル数が25万回以上であれば合格の中でも好ましい「◎」とした(実施例2〜15及び比較例1〜6において同じ)。また、図9のグラフには、実施例1のサンプル1〜10の断線時の各サイクル数をプロットした(実施例2〜5、比較例1及び2おいて同じ)。
なお、実施例1のサンプルでは、シールド導電層の引張弾性率Eが2.4[GPa]であり、シールド絶縁層の引張弾性率Eが1.8[GPa]であると推定した。なお、シールド導電層及びシールド絶縁層の引張弾性率の推定は、次のような方法で行った(実施例2〜15及び比較例1〜6において同じ)。
シールド導電層については、実施例1のサンプルとは別の推定用サンプルを作成し、この推定用サンプルに対して日本工業規格(JIS)のJIS K 7127の規格に基づいて引張試験を行い、引張弾性率Eを推定した。
具体的には、シールド導電層の推定用サンプルを、ビク型の刃型を用いて同規格の試験片タイプ2の形状に打ち抜き加工し、試験片タイプ2の形状となった推定用サンプルを、50[mm/min]の引張スピードで破断するまで引っ張った。
この際に、印加した荷重に対する推定用サンプルの伸びを測定して、縦軸を応力(荷重)とし、横軸をひずみ(伸び)とする応力−ひずみ線図を作成した。本例では、この応力−ひずみ線図における原点から降伏点までの区間で、原点と各測定データとをそれぞれ直線で結び、各直線の傾きの中の最大値をシールド導電層の引張弾性率Eと推定した。
なお、このシールド導電層の推定用サンプルについては、次のようにして作製した。まず、実施例1のサンプルと同様の銀ペーストをフィルムに印刷して、実施例1のサンプルと同様の温度で銀ペーストを硬化させ、さらに、実施例1のサンプルと同様の絶縁性インク硬化温度(絶縁性インクを硬化させるためにサンプルに印加する熱の温度)で、銀ペーストを加熱した。すなわち、この銀ペーストに実施例1のシールド導電層と同じ熱履歴を付与した。その後、硬化した銀ペーストをフィルムから剥離することで、シールド導電層の推定用サンプルを作製した。
シールド絶縁層についても、実施例1のサンプルとは別の推定用サンプルを引張試験して、上述したシールド導電層と同様の方法で、シールド絶縁層の引張弾性率Eを推定した。なお、このシールド絶縁層の推定用サンプルの引張試験も、上述したシールド導電層の推定用サンプルの引張試験と同様であり、日本工業規格(JIS)のJIS K 7127の規格に基づいて行った。
また、シールド絶縁層の推定用サンプルは、次のようにして作製した。まず、実施例1のサンプルと同様の絶縁性インクをフィルムに印刷して、実施例1のサンプルと同様の温度で絶縁性インクを硬化させた。すなわち、この絶縁性インクに実施例1のシールド絶縁層と同じ熱履歴を付与した。その後、硬化した絶縁性インクをフィルムから剥離することで、シールド絶縁層の推定用サンプルを作製した。
<実施例2〜5>
実施例2〜5では、表1に示すように、シールド絶縁層の引張弾性率Eをそれぞれ1.9[GPa]、2.4[GPa]、2.88[GPa]、3.1[GPa]としたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルをそれぞれ10個作製した。
これらの実施例2〜5のサンプルに対し、実施例1と同様の要領でスライド試験を行った。実施例2〜5についての結果を表1及び図9に示す。
<実施例6>
実施例6では、カバーレイフィルムの接着層の厚さを30[μm]としたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルをそれぞれ10個作製した(サンプル1〜10)。これらの実施例6のサンプルに対し、実施例1と同様の要領でスライド試験を行った。実施例6についての結果を表2及び図10に示す。なお、図10のグラフには、実施例6のサンプル1〜10の断線時の各サイクル数をプロットした(実施例7〜10、比較例3及び4おいて同じ)。
<実施例7〜10>
実施例7〜10では、表2に示すように、シールド絶縁層の引張弾性率Eをそれぞれ1.9[GPa]、2.4[GPa]、2.88[GPa]、3.1[GPa]とし、且つカバーレイフィルムの接着層の厚さを30[μm]としたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルをそれぞれ10個作製した(サンプル1〜10)。
これらの実施例7〜10の各サンプルに対し、実施例1と同様の要領でスライド試験を行った。実施例7〜10についての結果を表2及び図10に示す。
<実施例11>
実施例11では、シールド導電層の平均厚さを20[μm]としたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルをそれぞれ10個作製した(サンプル1〜10)。これらの実施例11のサンプルに対し、実施例1と同様の要領でスライド試験を行った。実施例11についての結果を表3及び図11に示す。なお、図11のグラフには、実施例11のサンプル1〜10の断線時の各サイクル数をプロットした(実施例12〜15、比較例5及び6おいて同じ)。
<実施例12〜15>
実施例12〜15では、シールド導電層の平均厚さを20[μm]とし、且つ表3に示すように、シールド絶縁層の引張弾性率Eをそれぞれ1.9[GPa]、2.4[GPa]、2.88[GPa]、3.1[GPa]としたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルをそれぞれ10個作製した(サンプル1〜10)。
これらの実施例12〜15の各サンプルに対し、実施例1と同様の要領でスライド試験を行った。実施例12〜15についての結果を表3及び図11に示す。
<比較例1>
比較例1では、表1に示すように、シールド絶縁層の引張弾性率Eを1.5[GPa]としたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルをそれぞれ10個作製した(サンプル1〜10)。
これらの比較例1のサンプルに対し、実施例1と同様の要領でスライド試験を行った。比較例1についての結果を表1及び図9に示す。
<比較例2>
比較例2では、表1に示すように、シールド絶縁層の引張弾性率Eを3.5[GPa]としたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルをそれぞれ10個作製した(サンプル1〜10)。
これらの比較例2のサンプルに対し、実施例1と同様の要領でスライド試験を行った。比較例2についての結果を表1及び図9に示す。
<比較例3及び4>
比較例3及び4では、表2に示すように、シールド絶縁層の引張弾性率Eをそれぞれ1.5[GPa]、3.5[GPa]とし、且つカバーレイフィルムの接着層の厚さを30[μm]としたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルをそれぞれ10個作製した(サンプル1〜10)。
これらの比較例3及び4の各サンプルに対し、実施例1と同様の要領でスライド試験を行った。比較例3及び4についての結果を表2及び図10に示す。
<比較例5及び6>
比較例5及び6では、シールド導電層の平均厚さを20[μm]とし、且つ表3に示すように、シールド絶縁層の引張弾性率Eをそれぞれ1.5[GPa]、3.5[GPa]としたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルをそれぞれ10個作製した(サンプル1〜10)。
これらの比較例5及び6の各サンプルに対し、実施例1と同様の要領でスライド試験を行った。比較例5及び6についての結果を表3及び図11に示す。
<考察>
実施例1〜5では、表1に示すように、合格を示す「◎」又は「○」であった。一方、比較例1及び2では、表1に示すように、ほとんどのサンプルが20万回未満のサイクル数で断線し、不合格であった。
以上のことから、下記(1)式を満たすことで、フレキシブルプリント基板の屈曲性が向上し、下記(3)式を満たすことで、フレキシブルプリント基板の屈曲性がさらに向上することが分かる。
0.75≦E/E≦1.29 …(1)式
0.79≦E/E≦1.20 …(3)式
なお、上述のように、Eはシールド導電層の引張弾性率であり、Eはシールド絶縁層の引張弾性率である。
さらに、表1及び図9に示す実施例3のように、シールド導電層の引張弾性率Eとシールド絶縁層の引張弾性率Eとが同一であると(E=E)、フレキシブルプリント基板の屈曲性が顕著に向上することが分かる。
また、フレキシブルプリント基板が下記(2)式を満たすことで、フレキシブルプリント基板の屈曲性が向上し、下記(4)式を満たすことで、フレキシブルプリント基板の屈曲性がさらに向上することが分かる。
1.8[GPa]≦E≦3.1[GPa]…(2)式
1.9[GPa]≦E≦2.88[GPa]…(4)式
なお、実施例6〜10、比較例3及び4の結果からカバーレイフィルムの接着層の厚さが変わっても、上記の実施例1〜5、比較例1及び2と同様の傾向となることが分かる。
また、実施例11〜15及び比較例5,6の結果から、シールド導電層の平均厚さが変わっても、上記の実施例1〜5、比較例1及び2と同様の傾向となることが分かる。
1…スライド式携帯電話
2…フレキシブルプリント基板
21…絶縁性基板
22…回路配線
23…回路保護層
231…接着層
232…絶縁性フィルム
24…シールド導電層
24a…凹部
24b…凸部
25…シールド絶縁層
30…印刷版
31…マスク
32…メッシュ

Claims (4)

  1. 絶縁性基板と、
    前記絶縁性基板に積層された回路配線と、
    前記回路配線に積層された回路保護層と、
    前記回路保護層に積層されたシールド導電層と、
    前記シールド導電層に積層されたシールド絶縁層と、を備えたフレキシブルプリント基板であって、
    下記(1)式を満たすことを特徴とするフレキシブルプリント基板。
    0.75≦E/E≦1.29 …(1)式
    但し、Eは前記シールド導電層の引張弾性率であり、Eは前記シールド絶縁層の引張弾性率である。
  2. 請求項1記載のフレキシブルプリント基板であって、
    下記(2)式を満たすことを特徴とするフレキシブルプリント基板。
    1.8[GPa]≦E≦3.1[GPa]…(2)式
  3. 請求項1又は2記載のフレキシブルプリント基板であって、
    前記シールド導電層において前記シールド絶縁層と対向する面が凹凸状となっていることを特徴とするフレキシブルプリント基板。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載のフレキシブルプリント基板の製造方法であって、
    前記回路保護層に導電性ペーストをスクリーン印刷して、前記導電性ペーストを硬化させることで前記シールド導電層を形成するシールド導電層形成工程と、
    前記シールド導電層に絶縁性インクをスクリーン印刷して、前記絶縁性インクを硬化させることで前記シールド絶縁層を形成するシールド絶縁層形成工程と、を備えたことを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法。
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