JP5367576B2 - 材料製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、重合化反応または置換反応を行わせて材料の分子量を変化させて所望の材料を製造する材料製造方法に関する。
従来から、熱処理によって、通常の酸素分子(O)よりも活性化された状態の活性化酸素を発生させ、この活性化酸素を用いて材料の特性を変化させる方法が知られている(非特許文献1参照)。このような活性化酸素として、スーパーオキシド(・O )、ヒドロキシルラジカル(HO・)、一重項酸素()がある。
社団法人 日本化学会編,「活性酸素種の化学〔季刊 化学総説No.7〕」,初版,学会出版センター,1990年4月,p.29−36
しかしながら、従来の熱処理による方法では、特性変化処理対象の材料に熱を加えることによって、特性変化処理対象以外の他の領域や他の材料も熱せられてしまい、これらの他の部分も変質してしまうため、特性変化処理対象以外の他の領域や他の材料の特性の維持が難しかった。すなわち、従来の熱処理による方法では、活性化酸素を用いて局所的に材料の特性を変化させて所望の材料を製造することは困難であった。
本発明は、活性化酸素を用いて材料の特性を局所的に変化できる材料製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる材料製造方法は、材料内部に酸素分子を透過させた状態、または該材料表面に酸素分子を存在させた状態で少なくとも酸素分子を一重項酸素化できるエネルギーを有した光を照射し一重項酸素を発生させ、該発生させた一重項酸素で前記材料中の分子構造の結合を切断することによって重合化反応または置換反応を行わせて、前記材料の分子量を変化させて所望の材料を製造することを特徴とする。
また、この発明にかかる材料製造方法は、上記発明において、少なくとも1270nm近傍の波長を含む光を照射して前記一重項酸素を発生させることを特徴とする。
また、この発明にかかる材料製造方法は、上記発明において、前記所望の材料は、前記材料よりも分子量が大きいことを特徴とする。
また、この発明にかかる材料製造方法は、上記発明において、前記所望の材料は、前記材料よりも分子量が小さいことを特徴とする。
また、この発明にかかる材料製造方法は、上記発明において、前記材料は、シリコーン樹脂であることを特徴とする。
また、この発明にかかる材料製造方法は、上記発明において、当該材料製造方法は、前記発生させた一重項酸素で前記シリコーン樹脂中のメチル基を切断することによって重合化反応または置換反応を行わせてガラス化することを特徴とする。
また、この発明にかかる材料製造方法は、上記発明において、前記少なくとも酸素分子を一重項酸素化できるエネルギーを有した光とともに前記メチル基以外の基を切断できるエネルギーを有した光を照射することによって、前記メチル基以外の基を切断し、生成した一重項酸素を用いて前記メチル基以外の基を切断した位置で重合化反応または置換反応を行なわせることを特徴とする。
また、この発明にかかる材料製造方法は、上記発明において、1270nm近傍にピークを有する光を照射して前記一重項酸素を発生させることを特徴とする。
また、この発明にかかる材料製造方法は、上記発明において、少なくとも1270nm近傍の波長を含むレーザ光を照射して前記一重項酸素を発生させることを特徴とする。
また、この発明にかかる材料製造方法は、上記発明において、前記材料を酸素雰囲気中に設置した状態で前記少なくとも酸素分子を一重項酸素化できるエネルギーを有した光を照射して前記一重項酸素を発生させることを特徴とする。
本発明によれば、材料に酸素分子を透過させた状態で少なくとも酸素分子を一重項酸素化できるエネルギーを有した光を処理対照部分に照射し一重項酸素を発生させ、該発生させた一重項酸素で材料中の分子構造の結合を切断することによって重合化反応または置換反応を行わせて、材料の分子量を変化させて所望の材料を製造するため、熱処理を行なわなくとも活性化酸素を用いて材料の特性を局所的に変化することが可能になる。
図1は、実施の形態における製造装置の構成を示す図である。 図2は、酸素分子の基底状態および励起状態を説明する図である。 図3は、シリコーン樹脂と一重項酸素との反応を説明する図である。 図4は、図1の製造装置による処理対象領域の例を説明する図である。 図5は、図1の製造装置による処理対象領域の例を説明する図である。 図6は、図1に示すレーザダイオードが発するレーザ光の強度の波長依存を示す図である。 図7は、実施の形態における製造装置の他の構成を示す図である。 図8は、実施の形態における製造装置の他の構成の要部を示す図である。 図9は、図8に示す処理対象物に照射されるレーザ光の波長を説明する図である。 図10は、実施の形態における製造装置の他の構成の要部を示す図である。 図11は、図10に示す処理対象物に照射されるレーザ光の波長を説明する図である。 図12は、本発明にかかる材料製造方法を適用した光モジュールの好ましい実施形態を示す断面図である。 図13は、図12に示した光モジュールの回路の一例を示した図である。 図14は、図12の部分Xを模式的に示す図である。 図15は、メチルレジン系シリコーン樹脂の変質メカニズムを説明するための図である。 図16は、図12に示す半導体レーザの光出射部から出力される出力光信号Lのパワーが、時間が経過するのに伴って上昇していく例を示す図である。 図17は、図12に示す半導体レーザ及び光ファイバから出射光を出力して、光ファイバの光入射端部のコアの端面の間に光導波路を形成する例を示す図である。 図18は、図12に示す光モジュールの他の構成を示す断面図である。 図19は、本発明の他の実施形態1に係る光ファイバ接続構造の模式的な断面図である。 図20は、図19に示す光ファイバ接続構造の製造方法の一例を説明する説明図である。 図21は、本発明の他の実施形態2に係る光経路変換構造の模式的な断面図である。 図22は、図21に示す光経路変換構造の製造方法の一例を説明する説明図である。 図23は、樹脂封止した半導体レーザの光放射遠視野像の半値全角θのフィラー添加量依存性を示す図である。
符号の説明
1,201 製造装置
2,21,22 レーザダイオード
3 ファイバ
4 出射管
5,205 制御部
6 入力部
7 出力部
10 処理対象物
215 酸素供給機構
216 酸素供給管
301 光モジュール
302 本体部
303 フェルール部
310 半導体レーザ
320 透明樹脂
330 光ファイバ
3120 第1部分(透明樹脂の変質部)
3130 第2部分(透明樹脂の未変質部)
3200 光導波路
400 光ファイバ接続構造
401、402 コネクタフェルール
4011〜4014、4021〜4024 光ファイバ
403 導波路フィルム
4031〜4034 変質部
4035 未変質部
404 フィルム基材
500 光光路変換構造
501 光ファイバ
502 プリズム
503 受光素子
504 導波路部材
5041、5042 変質部
5043 未変質部
505 基材
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
図1は、本実施の形態における製造装置の要部構成を示す図である。図1に示すように、本実施の形態における製造装置1は、所定帯域の波長のレーザ光を発するレーザダイオード2、レーザダイオード2が発したレーザ光を伝送するファイバ3、ファイバ3から伝送されたレーザ光の出射口を有する出射管4、製造装置1の各構成部位を制御する制御部5、製造装置1の処理動作に要する諸情報や製造処理に対する指示情報等を外部から取得する入力部6、および、処理結果などの諸情報を出力する出力部7を備える。制御部5は、レーザダイオード2のレーザ光の出射や出力を制御する。
レーザダイオード2は、1270nmをピークとするレーザ光Lを発し、レーザダイオード2が発したレーザ光は、ファイバ3および出射管4を介して、処理対象物10内部の処理対象領域Aに照射される。
処理対象物10は、酸素分子(O)11が内部に透過可能である材料である。言い換えると、処理対象物10は、金属板のように内部に気体が浸入できないものではなく、少なくとも処理対象領域Aまで気体状の酸素分子が透過できる程度のスペースを骨格間に有するものであり、たとえば大気中に設置された場合には、材料内部に気体状の酸素分子が透過できるものである。
ここで、酸素分子は、所定のエネルギーを吸収することによって、基底状態(三重項酸素:Σ(0))から励起状態の一重項酸素になる。具体的には、図2に示すように、酸素分子が、基底状態から、反結合性の軌道の不対電子1個がスピンの向きを変えたΣ (0)の一重項酸素になるためには、1.63eVのエネルギーが必要となる。たとえば、1.63eVに対応する762nmの波長の光が酸素分子に照射されることによって、酸素分子が励起され、Σ (0)の一重項酸素が生成する。
また、酸素分子が、基底状態から、反結合性の軌道の不対電子が別の軌道に入って該別の軌道に存在した異なるスピンの不対電子と対になって互いのスピンを打ち消すようになったΔ(0)の一重項酸素になるためには、0.98eVのエネルギーが必要となる。たとえば、0.98eVに対応する1270nm近傍の波長の光が酸素分子に照射されることによって、酸素分子が励起され、Δ(0)の一重項酸素が生成する。そして、以下の化学反応式(a)に示すように、酸素分子(O)に1270nmの波長の光を照射することによって、Δ(0)の一重項酸素()が生成する。
Figure 0005367576
この一重項酸素は、通常の酸素分子(O)よりも活性化された反応性に富む活性化酸素の一種であり、この活性化酸素の一種である一重項酸素を用いて材料の特性を変化させることができる。
そして、このΣ (0)およびΔ(0)の一重項酸素のうち、Σ (0)の一重項酸素の寿命が7〜12秒と短い。これに対し、Δ(0)一重項酸素の寿命は、数分から数十分と格段に長い。すなわち、Δ(0)の一重項酸素は、一度生成されると、数分から数十分と長時間の間、安定して存在することができる。
本実施の形態においては、活性化酸素の一種である一重項酸素のうち、寿命が格段に長いΔ(0)の一重項酸素の酸素を生成することによって、処理対象物10の処理対象領域Aの特性を変化させている。すなわち、製造装置1は、処理対象物10を大気中に設置し、処理対象領域Aに酸素分子を透過させた状態で、この処理対象領域Aにレーザダイオード2から1270nmの波長のレーザ光Lを照射する。制御部5は、処理対象物10の処理対象領域Aにレーザ光Lが到達するようにレーザダイオード2の出力を制御する。そして、制御部5は、処理対象物10の処理対象領域Aのみにレーザ光Lが照射されるように、レーザダイオード2のスポット径を調整する。そして、制御部5は、レーザダイオード2のレーザ光照射時間に関しても制御を行なう。
この結果、処理対象領域Aに透過していた酸素分子(O)は、1270nmの波長のレーザ光Lのエネルギーを吸収することによって、Δ(0)の一重項酸素()12となる。そして、このΔ(0)の一重項酸素が処理対象物10の処理対象領域Aの材料の特性を変化させて、処理対象領域Aのみを所望の材料に変質させる。
具体的に、処理対象物10とΔ(0)の一重項酸素との反応について説明する。まず、処理対象物10がシリコーン樹脂{(CH−Si−O}(ただし、n=2)であって、内部に気体状の酸素分子(O)が透過可能であるものを例に説明する。図3(1)に示すように処理対象であるシリコーン樹脂{(CH−Si−O}材料10a内部に酸素分子(O)11が透過した状態で、1270nmのレーザ光Lを照射する。このレーザ光Lのエネルギーを吸収することによって、酸素分子(O)11は励起し、図3(2)に示すようにΔ(0)の一重項酸素()11aとなる。この一重項酸素()11aは、反応性に富み、シリコーン樹脂{(CH−Si−O}の側鎖のうち結合性の弱いメチル(CH)基の結合を切断する。この一重項酸素()11aによる側鎖切断によって、図3(3)に例示する中間体12が生成されるとともに、シリコーン樹脂間での重合化反応または置換反応が進行し、図3(4)に示すように、もとのシリコーン樹脂{(CH−Si−O}よりも分子量が大きいシリコーン樹脂{(CH−Si−O}(X=2、Y>m)13が生成する。
さらに、詳しく、一重項酸素()を用いた場合における重合化反応、置換反応について以下に示す化学反応式(b)を参照して説明する。
Figure 0005367576
処理対象であるシリコーン樹脂{(CH−Si−O}材料10aにおける側鎖のメチル基と、一重項酸素()11aとが反応することによって、矢印Y1のように、反応したメチル基の位置はCHOOH基が置換した中間体12aを経た後、矢印Y2のように、CHOOH基の結合が切断してラジカル化した中間体12bと、ヒドロペルオキシド(・OH)と、CHOとが生成する。なお、CHOは、矢印Y3のように、COとHに分離するほか、さらにO分子と反応することによって、矢印Y4のように、HCOOHとなり、または、COとHOとに分離する。
その後、中間体12bおよびヒドロペルオキシド(・OH)は、矢印Y5のように、シリコーン樹脂{(CH−Si−O}材料10aとの重合化によって、2種の中間体12cを経て、矢印Y7のように、シリコーン樹脂{(CH−Si−O}材料10aが重合した中間体12eとなる。また、中間体12bおよびヒドロペルオキシド(・OH)は、矢印Y6のように、シリコーン樹脂{(CH−Si−O}材料10aとの重合化によって、中間体12dおよびHOを経て、矢印Y7のように、シリコーン樹脂{(CH−Si−O}材料10aが重合した中間体12eとなる。なお、この中間体12eは、もとのシリコーン樹脂{(CH−Si−O}材料10aの重合化反応によるものであるため、もとのシリコーン樹脂{(CH−Si−O}材料10aよりも分子量が大きくなる。
そして、中間体12eと一重項酸素()11aとの反応が繰り返されることによって、重合化反応が進み、最終的には、メチル基が一部切断されてガラス化した中間体、および、矢印Y8のように、メチル基が全て切断されてガラス化した酸化シリコン(SiO)13aが生成できる。
また、中間体12bおよびヒドロペルオキシド(・OH)は、互いに反応して、矢印Y9のように中間体10bとなった後に、矢印Y10のように、一重項酸素()11aとの反応によって中間体12fおよびHOを経る。次いで、中間体12fと一重項酸素()11aとの反応が繰り返されることによって、重合化反応を進み、矢印Y11のように、最終的には、ガラス化した中間体、および、ガラス化した酸化シリコン(SiO)13aが生成できる。なお、このガラス化した中間体および酸化シリコン(SiO)13aは、もとのシリコーン樹脂{(CH−Si−O}材料10aよりも分子量が小さくなる。そして、ガラス化するため、この中間体および酸化シリコン(SiO)13aの屈折率は、もとのシリコーン樹脂{(CH−Si−O}材料10aの屈折率(1.40)よりも高くなり、1.46に近づく。
このように、一重項酸素()11aで、シリコーン樹脂{(CH−Si−O}材料10a中のメチル基を切断することによって、重合化反応または置換反応を行なわせて、ガラス化された中間体および酸化シリコンを製造することができる。
また、処理対象領域Aを構成する材料がフェニル基を有するメチルフェニルレジンである場合には、以下の化学反応式(c)に示すように、フェニル基よりも結合性の弱いメチル基が一重項酸素()によって切断され、切断位置にて、他のメチルフェニルレジンと重合化してガラス化され、もとの材料よりも分子量および屈折率が大きく変化なる。なお、Δ(0)の一重項酸素はフェニル基を切断できる程度の反応性は有していない。
Figure 0005367576
同様に、処理対象領域Aを構成する材料がメチルレジンである場合には、メチル基が一重項酸素()によって切断され、切断位置にて、他のメチルレジンと重合化してガラス化され、もとの材料よりも分子量および屈折率が大きくなる。なお、屈折率は、1.46近くまで大きくなり、ガラスに近づくこととなる。また、処理対象物10は、上述したシリコーン樹脂のみならず、PC(ポリカーボネイト)、ポリエチレン等の樹脂であっても良い。さらに、処理対象物は、一重項酸素生成の円滑化を図るため、酸素分子および光の透過率が良い材料であることが好ましい。
このように、本実施の形態では、処理対象物10の処理対象領域Aに酸素分子を透過させた状態で、この処理対象領域Aにレーザダイオード2から1270nmの波長のレーザ光Lを照射することによって、Δ(0)の一重項酸素を発生させている。そして、本実施の形態では、Δ(0)の一重項酸素で処理対象領域Aの材料中の分子構造の結合を切断することによって、重合化反応または置換反応を行わせて材料の分子量を変化させて所望の材料を製造することができる。すなわち、本実施の形態では、1270nmの波長のレーザ光Lを照射することによって熱処理を行なうことなく一重項酸素を生成できるため、従来問題となっていた熱処理による特性変化処理対象以外の他の領域や他の材料の変質を防止することができる。
さらに、本実施の形態では、レーザダイオード2の出力、出力時間およびスポット径を調整することによって、処理対象物10の所望の領域に所望の時間、レーザ光Lを照射することができるため、レーザ光Lを照射した領域のみに一重項酸素を発生させて、この領域の材料のみを所望の材料に作り分けることができる。たとえば、図4に示すように、処理対象物10内部の領域A1のみにレーザ光Lを照射することによって、領域A1内に浸透した酸素分子(O)11をもとに領域A1のみに一重項酸素を発生させて、領域A1の材料のみを所望の材料に作り変えることができるほか、図5に示すように、処理対象物10の表面領域A2のみにレーザ光Lを照射することによって、この表面領域A2近傍の酸素分子(O)11をもとに表面領域A2のみに一重項酸素を発生させて、表面領域A2の材料のみを所望の材料に作り変えることができる。このように、本実施の形態では、レーザダイオード2の出力、出力時間およびスポット径を調整することによって、活性化酸素である一重項酸素を用いて局所的に材料の特性を変化させて所望の材料を製造することが可能になる。
なお、本実施の形態においては、1270nmにピークを有する波長のレーザ光を発するレーザダイオード2を使用した場合を説明したが、このレーザダイオード2が発するレーザ光は、実際には、図6に示すように、±10nm程度の半値幅を有する。また、レーザダイオードによっては、±30nm程度の半値幅を有するものもある。O分子における原子間距離や全体のスピン状態に応じて、Δ(0)の一重項酸素化に要するエネルギーは、0.98eVを中心として幅を有するため、レーザ光が±10nm〜±30程度の半値幅を有することは酸素分子の一重項酸素化の円滑化を妨げるものではない。
また、本実施の形態においては、使用する光として、1270nmにピークを有する波長の光を用いた場合を例に説明したが、特に1270nmにピークを有する必要はなく、酸素分子を一重項酸素化できる強度の1270nm近傍の波長の光が含まれていれば足り、特には1268.7nmの波長の光が好ましい。また、本実施の形態においては、処理領域に浸透した酸素分子のみを正確かつ効率的に一重項酸素化するために光束が絞られたレーザ光を使用した場合を例に説明したが、もちろんレーザ光以外を使用しても可能である。
また、本実施の形態にかかる製造装置として、処理対象物10を大気中に設置する製造装置1を例に説明したが、酸素分子の一重項酸素化のさらなる効率化のために、図7に示すように、酸素雰囲気中に処理対象物10を設置する製造装置201であってもよい。図7に示すように、製造装置201は、酸素供給管216を介して酸素供給機構215から酸素が供給された容器214の酸素雰囲気中に、処理対象物10を設置できる構成を有する。制御部205は、他の構成部位を制御するとともに酸素供給機構215における酸素供給処理を制御する。この場合、大気中に処理対象物10を配置した場合と比較し、さらに高い密度で酸素分子(O)11が処理対象物10表面および処理対象物10内部に供給されるため、一重項酸素の生成をさらに効率的に行なうことができる。
また、Δ(0)の一重項酸素は、メチル基などの結合性の低い基の切断は行なえるものの、フェニル基などの結合性の高い基の切断は行なえない。このため、図8に示すように、一重項酸素生成化に要する1270nmのレーザ光Lとともに、メチル基以外の切断対象の基を切断できるエネルギーを有する波長のレーザ光L1を照射することによって、メチル基以外の切断対象の基を切断し、生成した一重項酸素を用いて、メチル基以外の基を切断した位置で重合化または置換が起こるようにして、所望の材料を製造してもよい。この場合、製造装置1の構成部位として、1270nmのレーザ光Lを発するレーザダイオード2とともに、レーザ光L1を発するレーザダイオード21、レーザダイオード21が発したレーザ光L1を伝送するファイバ3、ファイバ3から伝送されたレーザ光の出射口を有する出射管4をさらに設ければよい。なお、レーザダイオード21が発するレーザ光の波長は、図9に示すように、切断対象の基の結合性に対応させた1270nmよりもエネルギーの高い短波長側の波長λ1となる。また、この場合、製造装置1は、レーザ光L1を発するレーザダイオード21をさらに設ける構成のほか、図10に示すように、図1のレーザダイオード2に代えて、1270nmおよび波長λ1の双方の波長を含むレーザ光L2を発するレーザダイオード22を備えた場合も同様に、切断対象の基を切断し、生成した一重項酸素を用いて、切断位置で重合化または置換を起こして所望の材料を製造することができる。なお、このレーザ光L2は、図11に示すように、1270nmおよび波長λ1の双方の波長を含むブロードなものとなる。
また、本実施の形態にかかる材料製造方法の応用例として、半導体テープの界面を一重項酸素生成によってシリカ化して粘着性を低減させるテープ取り外し方法、異種材料の接合および接着部分を一重項酸素生成によってシリカ化して表面を改質する方法または接着界面の強度を向上させる方法がある。
また、本実施の形態では、処理対象物10の例として、シリコーン樹脂などの固体を例として説明したが、もちろん粉末状の材料や半固相状態の材料に対しても適用可能である。また、液体状の材料や気体状の材料に対しても、1270nmの波長を含むレーザ光を液中に溶解する酸素分子または気体中に存在する酸素分子に照射して一重項酸素生成を行なうことが可能であることから適用可能である。もちろん、処理対象物は、単一の材料のみならず複数の材料であってもよい。処理対象領域が複数の材料にわたる場合には、この処理対象領域に1270nmの波長を含むレーザ光を照射し、一重項酸素生成を行なって、重合化反応または置換反応を行なわせて所望の材料を製造すればよい。
また、本実施の形態においては、一重項酸素()12としてΔ(0)の一重項酸素を生成する場合を例に説明したが、もちろんこのΔ(0)の一重項酸素に限らない。たとえば、Σ (0)の一重項酸素を生成する場合には、一重酸素生成装置として、レーザダイオード2に代えて、1.63eVに対応する762nmの波長を少なくとも含むレーザ光を発振できるレーザダイオードを備えた構成であればよく、この762nmの波長を少なくとも含むレーザ光を酸素分子に発振して、Σ (0)の一重項酸素を生成すればよい。また、図2に示すΔ(1)の一重項酸素を生成する場合には、一重酸素生成装置として、レーザダイオード2に代えて、1060nmの波長を少なくとも含むレーザ光を発振できるレーザダイオードを備えた構成であればよく、この1060nmの波長を少なくとも含むレーザ光を酸素分子に発振して、Δ(1)の一重項酸素を生成すればよい。このように、生成対象の一重項酸素に対応させて、照射するレーザ光の波長を選択すればよい。すなわち、本実施の形態では、少なくとも酸素分子を一重項酸素化できるエネルギーを有した光を発するレーザダイオードを備え、このレーザダイオードから、酸素分子に少なくとも酸素分子を一重項酸素化できるエネルギーを有した光を発することによって、生成対象の一重項酸素を発生させることが可能になる。
さらに、本実施の形態にかかる材料製造方法を、半導体レーザや光ファイバから出力させた出射光の照射条件を調整して、光が照射されている透明樹脂の一部(半導体レーザの光出射部近傍の第1部分)を積極的に変質させ、この変質させた透明樹脂の一部が半導体レーザの出射光を光ファイバへ導くための光導波路またはレンズを形成する場合に適用した例について説明する。
図12は、本実施の形態にかかる材料製造方法を適用した光モジュールの構成を示す断面図である。図12に示す光モジュールは、一例として光送受信モジュールであり、図12の例では出力光信号L31を送信し、入力光信号L32を受信することができる。
図12に示す光モジュール301は、概略的には本体部302とフェルール部303を有している。まず、本体部302の構造について説明する。
図12に示す本体部302は、基板305と、半導体レーザ310と、モニター用受光素子311と、受光部312と、透明樹脂320と、光ファイバ330などを有している。
基板305は、例えば金属リードフレーム材であり、基板305は絶縁性を有するベース部材306の上に配置されている。基板305の上には、発光部基板307と、受光した入力光信号処理部308が搭載されている。発光部基板307は例えばシリコン基板である。
発光部基板307の上には、半導体レーザ310とモニター用受光素子311が搭載されており、半導体レーザ310とモニター用受光素子311は、外部接続端子309を介して外部の回路に対して電気的に接続されている。
半導体レーザ310は、例えばファブリペロー半導体レーザ(FPLD:Fabry−Perot Laser Diode)、端面発光レーザ(Edge Emitting Laser)などのレーザダイオード(LD)チップを用いることができ、例えば1270nmを含む1310nmの波長を有する出力光信号(上り信号)L31を出力する。モニター用受光素子311は、半導体レーザ310の発生する出力光信号L31の光出力をモニターする。ここで、モニター用受光素子311は、例えばフォトダイオードである。
図12に示す受光部312は、光ファイバ330を通じて入力された入力光信号L32を受光する。ここで、受光部312は、例えばフォトダイオードである。光ファイバ330の途中には、WDM(波長分割多重)フィルタ321が配置されており、光ファイバ330を通じて入射されてきた入力光信号L32は、WDMフィルタ321により反射されて受光部312に入る。WDMフィルタ321は、出力光信号L31を通過させて、入力光信号L32を選択的に反射する機能を有する。入力光信号(下り信号)L32は、例えば1550nmあるいは1490nmの波長を有する。
図12に示す光ファイバ330は、光モジュール301内において光導波路を形成している。
光ファイバ330の光入射端部331は、半導体レーザ310の光出射部に対応して配置されている。光ファイバ330は、コア332とこのコア332の周囲を覆うクラッド333を有している。光ファイバ330は、樹脂成形体319のΩ型断面を有する溝部334内に嵌め込まれており、光ファイバ330の光入射端部331は半導体レーザ310の光出射部に対して高精度に位置決めして保持されている。
図12に示す透明樹脂320としては、例えばシリコーン樹脂を用いることができる。このシリコーン樹脂は、シロキサン結合を骨格とした高分子有機化合物(ポリマー)の総称であり、無色・無臭で撥水性がある。以下、透明樹脂320として、シリコーン樹脂を例に挙げて説明する。
図12に示すように、半導体レーザ310とモニター用受光素子311と光ファイバ330の一部分と受光部312は、透明樹脂320により、封止して保護されている。透明樹脂320にはさらに樹脂成形体319が配置されている。本体部302のホルダ350は、光ファイバ330の途中の部分とフェルール部303を保持している。
次に、フェルール部303の構造について説明する。フェルール部303は、2つのフェルール341,342とスリーブ343を有している。フェルール341は、光ファイバ330の他端部336と、別の接続用の光ファイバ355の端部337を直接光接続している。
図12に示すように、光モジュール301は、発光部360と、光ファイバ保持部361と、出力端部362の各領域に分けることができる。発光部360は、半導体レーザ310とモニター用受光素子311を含む領域であり、光ファイバ保持部361は、光ファイバ330を透明樹脂320で保持している領域である。出力端部362は、ホルダ350とフェルール部303を含む領域である。
図13は、図12に示した光モジュール301の回路の一例を示した図である。
図13は、光ファイバ330と、半導体レーザ310と、モニター用受光素子311と、受光部312と、入力光信号L32の入力光信号処理部308と、レーザダイオードドライバ回路370を示している。
レーザダイオードドライバ回路370は、半導体レーザ310に駆動用の電流を供給して半導体レーザ310を駆動する。駆動された半導体レーザ310は、出力光信号L31を発生する。発生した出力光信号L31は、光ファイバ330を通じて相手側に送られる。
また、半導体レーザ310により発生された出力光信号L31は、モニター用受光素子311により受光される。レーザダイオードドライバ回路370は、モニター用受光素子311によって受光された出力光信号L31の光信号出力をモニターすることにより、一定の光信号出力を有する出力光信号L31を出力する。
一方、受光側の入力光信号L32は、相手側から光ファイバ330を通じて送られてきて、WDMフィルタ321により反射されてバンドパスフィルタ375を通った後に、受光部312に入る。受光された入力光信号L32は、入力光信号処理部308により所定の処理が行われる。このバンドパスフィルタ375は、1480nm〜1500nmのみの波長を有する入力光信号を通す。
図14は、図12の部分Xを示す模式的な図である。部分Xは、半導体レーザ310、光ファイバ330の光入射端部331、及び透明樹脂320の一部分を示している。半導体レーザ310と光ファイバ330との間は、透明樹脂320により埋めてあり、半導体レーザ310と光ファイバ330は透明樹脂320により封止されている。
図14において、半導体レーザ310と光ファイバ330の光入射端部331の距離Mは、例えば15μmである。また、半導体レーザ310の出力光信号L31の光出力は、例えば10mWである。
図12に示す光モジュール301では、図14に示すように、半導体レーザ310が駆動されて半導体レーザ310から出射光であって1270nmの波長を含む出射光である出力光信号L31を発生するときに、出射光の照射条件を調整することにより、効率よく一重項酸素を発生させ、透明樹脂320の半導体レーザ310の光出射部3100の近傍の第1部分3120を変質させて、シリコーン樹脂の主鎖の架橋密度を上げて硬くする。
この第1部分3120の樹脂密度の増加により、透明樹脂320の光出射部3100近傍の第1部分3120の屈折率を、透明樹脂320の光出射部3100近傍以外の第2部分3130の屈折率よりも高めて、半導体レーザ310の出射光を光ファイバ330の光入射端部331に導く光導波路3200を形成することができる。
すなわち、半導体レーザ310からの出射光の波長が、酸素を一重項励起状態にする波長領域(1270nm以下の波長領域)を含むため、出射光のエネルギーにより雰囲気中の酸素分子が活性化して三重項励起状態から一重項励起状態になり、この一重項励起状態の一重項酸素とメチル基を側鎖に有するメチルレジン系シリコーン樹脂と反応するからである。
言い換えると、シリコーン樹脂において、酸素が活性化(三重項状態から一重項状態になる)し、場合によってラジカル反応が起こり、メチル基等の低分子側鎖を切り、主鎖を重合化させる。
具体的に、図15を参照して、一重項酸素存在下におけるシリコーン樹脂の重合化反応について説明する。図15は、メチルレジン系シリコーン樹脂の変質メカニズムを説明するための図である。図15に示すように、酸素雰囲気において、メチル基を側鎖に有するメチルレジン系シリコーン樹脂(状態1)に、1270nm以下の波長領域を満足する波長の出射光を半導体レーザ310から出力すると、メチル基である側鎖を切って一重項励起状態の酸素と結合し(状態2)、主鎖を重合化する(状態3)。この結果、第1部分3120の樹脂密度が増加し、さらに透明樹脂320の光出射部3100近傍の第1部分3120の屈折率が、透明樹脂320の光出射部3100近傍以外の第2部分3130の屈折率よりも高くなるため、半導体レーザ310の出射光を光ファイバ330の光入射端部331に導く光導波路3200が形成される。
ここで、出射光の照射条件を限定することによって、この光導波路3200の形成の効率化を図ることができる。出射光の照射条件としては、少なくとも出射光の波長、雰囲気温度、及び出射光の照射時間が挙げられる。また、少なくとも酸素分子を含む雰囲気で、酸素を活性化させる波長領域(1270nm)の強度を高めることができるように、出射光の波長及び雰囲気温度を調整する。
まず、図16を参照して、図12に示す半導体レーザ310の出射光の波長及び雰囲気温度の関係を説明する。
図16は、半導体レーザ310の光出射部3100から出力される出力光信号L31のパワーが、時間が経過するのに伴って上昇していく例を示す図である。図16では、雰囲気温度(環境温度ともいう)が0℃、−20℃、−40℃の場合を示している。
図16に示すように、雰囲気温度が下がるほど、時間に対して、出力光信号L31のパワーが大きい結果となった。これは、雰囲気温度が0℃のとき、出力光信号L31の波長は1290nm近傍となり、−20℃のとき、出力光信号L31の波長は1280nm近傍となり、−40℃のとき、出力光信号L31の波長は1270nm近傍となるためである。
半導体レーザ310から出力される光信号L31の波長は、幅を持つため、雰囲気温度が0℃のとき、即ち、出力光信号L31の波長は1290nm近傍であっても、酸素を活性化させる1270nm以下の波長も有している。しかし、その分布量は、雰囲気温度が−40℃のときに比較して少ないため、透明樹脂320の第1部分3120の変質による樹脂密度の増加が小さい。そのため、雰囲気温度が下がるほど、時間に対して、出力光信号L31のパワーが大きくなった。
また、図16に示すように、雰囲気温度によって、時間に対して出力光信号L31のパワーの変化は、一定ではないことがわかる。このため、雰囲気温度によって、光結合効率が最適となる出射光の照射時間を、即ち、パワーが最大となる出射光の照射時間を調整し、これにより、透明樹脂320の第1部分3120の変質による樹脂密度を増加させる。
図12及び図14に示したように、半導体レーザ310が、1310nmの波長を有する出力光信号L31を出力する場合は、出射時間を調整するとともに雰囲気温度を室温よりも低温にすることにより、レーザ光のピーク波長を1310nmから1270nmに変化させることができる。このため、室温よりも低温である雰囲気温度下で半導体レーザ310からレーザ光を出射させることによって、このレーザ光のピーク波長を1270nmとして、この1270nmの波長のレーザ光に対応する出力光信号L31で、透明樹脂320の第1部分3120を効率よく変質させ、樹脂密度を増加させることができる。
このように、半導体レーザ310から1270nmの波長を含むレーザ光を発することによって、半導体レーザ310と光ファイバ330の光入射端部331のコア332の端面が透明樹脂320の光導波路3200を通じて直接光結合されて、半導体レーザ310の出射光を光ファイバ330の光入射端部331へ導くための光導波路3200を形成することにより光結合効率を高めることができる。
即ち、透明樹脂320の半導体レーザ310の光出射部3100の近傍の第1部分3120の樹脂密度を増加させることで、透明樹脂320の光出射部3100近傍の第1部分3120は、光信号L31により変質された透明樹脂320の変質部と呼ぶことができるとともに、透明樹脂320の光出射部3100近傍以外の第2部分3130は透明樹脂320の未変質部と呼ぶことができる。この変質部の光の屈折率は未変質部の光の屈折率に比べて高く、この変質部と未変質部との間には光の屈折率差があることから、透明樹脂320は、この屈折率差を利用して半導体レーザ310の光出射部3100と光ファイバ330の光入射端部331のコア332の端面の間に光導波路3200を形成できる。
このように透明樹脂320では、半導体レーザ310の光出射部3100と光ファイバ330の光入射端部331のコア332の端面の間の変質部の第1部分3120が、それ以外の第2部分3130に比べて高屈折率化が可能になるので、半導体レーザ310から出力される出射光の照射条件を調整して出射光のピーク波長を1270nmにすることで、効率よく一重項酸素を発生さシリコーン樹脂の重合化反応を進めることで、変質部(第1部分3120)と未変質部(第2部分3130)との屈折率差が大きくなり、透明樹脂320における光導波路3200を形成できる。
例えば、光モジュール301の置かれた雰囲気が室温よりも低温であれば、効率よく一重項酸素を生成できることから、変質部(第1部分3120)と未変質部(第2部分3130)との屈折率差が大きくなり、透明樹脂320における光導波路を確実に形成できる。
また、半導体レーザ310を駆動して、透明樹脂320に対して半導体レーザ310から出射光を発生するときに、出射光のピーク波長を1270nmにすることで、効率よく一重項酸素を発生させることができるため、透明樹脂320を変質させ、シリコーン樹脂の主鎖の架橋密度が上がって硬くなった光導波路効果が得られる。
また、本発明の光モジュール301の透明樹脂320は、入手し易く加工が容易であるシリコーン樹脂であることから、半導体レーザ310と光ファイバ330の間の封止化も確実かつ簡易に行なうことができる。
また、半導体レーザ310のLDチップとして分布帰還型半導体レーザ(DFB−LD)を用いて、半導体レーザ310からの出力される出射光のピーク波長を1270nmの波長に特定することにより、室温のままでも一重項酸素を効率よく発生させることができるため、透明樹脂320における光導波路3200を円滑に形成できる。
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されず種々の変形例を採用できる。
上述した図12及び図14に示す光モジュールの例では、半導体レーザ310から出力した1270nmの波長を含む出射光により、一重項酸素を発生させ、透明樹脂320の第1部分3120を変質させ、半導体レーザ310の光出射部3100と光ファイバ330の光入射端部331のコア332の端面との間に光導波路3200を形成しているが、図17に示すように、半導体レーザ310からだけでなく、光ファイバ330側からも、1270nmの波長を含む出射光を、光ファイバ330のコア332より出力することにより、光ファイバ330の光入射端部331のコア332の端面の間に光導波路3200を形成することもできる。
即ち、照射時間に対して、半導体レーザ310側から出射光による透明樹脂320の変質部3210の境界を光ファイバ330のコア332の端面に連続的に近づけるとともに、光ファイバ330側から1270nmの波長を含む出射光による透明樹脂320の変質部3220の境界を半導体レーザ310の光出射部3100に連続的に近づけることにより、半導体レーザ310の光出射部3100と光ファイバ330の光入射端部331のコア332の端面との間に光導波路3200となる、少なくとも変質部3210と変質部3220とを含む、変質した透明樹脂320の第1部分3120を短時間で形成することができる。
また、例えば、図12に示す光モジュールの例では、光信号の送信と受信が可能な光送受信モジュールであるが、これに限らず、光モジュールは光信号を送信できる光送信モジュールであってもよい。
また、図12に示すに光モジュール301は、出力光信号L31を発生して光ファイバ330を通じて出力し、光ファイバ330を通じて入力された入力光信号L32を受光できる。しかし、これに限らず、図18に示すように、半導体レーザ310と光導波路としての光ファイバ330Aを備えており、半導体レーザ310と光ファイバ330Aを直接光結合していて、半導体レーザ310と光ファイバ330Aの間が透明樹脂320により埋めてあるような構成であれば、本発明は適用できる。また、透明樹脂320の種類は、シリコーンに限らず、他の種類を採用できる。
(その他の実施形態1)
つぎに、本発明の他の実施形態について説明する。図19は、本発明の他の実施形態1に係る光ファイバ接続構造の模式的な断面図である。この光ファイバ接続構造400は、コネクタフェルール401と、コネクタフェルール402とが、導波路フィルム403を介在させて突き合わせた状態で接続した構造を有している。コネクタフェルール401、402には、それぞれアレイ状に並べた4本の光ファイバ4011〜4014、4021〜4024が挿通固定されている。また、コネクタフェルール401、402は、不図示のラッチ構造またはクリップ等で互いに固定されている。ここで、導波路フィルム403には、たとえば酸化シリコンからなる変質部4031〜4034と、変質部4031〜4034よりも屈折率が低い、たとえばシリコーン樹脂からなる未変質部4035とが構成する光導波路が形成されている。そして、対向して配置された光ファイバ4011と光ファイバ4021は、変質部4031と未変質部4035とが構成する光導波路によって光学的に接続している。また、他の対向する光ファイバ同士もそれぞれ対応する光導波路によって光学的に接続している。なお、変質部4031〜4034の屈折率は1.46に近く、光ファイバ4011〜4014、4021〜4024と屈折率の整合がとれているため、変質部と光ファイバとの界面での反射はきわめて低く抑制されている。
この光ファイバ接続構造400においては、導波路フィルム403に光導波路が形成されているので、従来の屈折率整合剤や屈折率整合シートを用いる場合と比較して、導波路フィルム403の厚さが厚くても接続損失が増大することがない。さらには、この導波路フィルム403は柔軟性を有するので、各光ファイバの端面の位置がばらついているなどの理由により、対向する光ファイバの端面間の距離がばらついていても、そのばらつきにかかわらず、導波路フィルム403が光ファイバの端面間を隙間なく埋めることができる。また、上述した光導波路の効果によって、光ファイバ同士はその端面間距離が大きくても、低接続損失で接続できる。たとえば、光ファイバの端面間の距離が1〜200μm程度であれば、その距離に応じた厚さの導波路フィルム403を用いることによって、その隙間を埋めることができるとともに、低接続損失が実現される。また、言い換えれば、この光ファイバ接続構造400は、各光ファイバの端面の加工精度が低くても、すなわち、端面の位置がばらついていたり、または端面の研磨精度が低かったりしても、低接続損失が実現できるので、低コストで製造できるものとなる。
なお、この光ファイバ接続構造400は、たとえば以下のように製造することができる。図20は、図19に示す光ファイバ接続構造の製造方法の一例を説明する説明図である。図20に示すように、まず光ファイバ4011〜4014、4021〜4024が挿通固定されたコネクタフェルール401、402を準備し、これらを厚さ1〜200μm程度のシリコーン樹脂からなるフィルム基材404を介在させて突き合わせた状態で接続し、固定する。つぎに、アレイ光源等を用いて、光ファイバ4011〜4014のそれぞれの一端から、1270nmの波長を含むレーザ光L41を入力する。すると、レーザ光L41は光ファイバ4011〜4014のフィルム基材404に接する他端から出射されるので、フィルム基材404内で一重項酸素の発生により重合化反応等が起こり、酸化シリコンからなる変質部4031〜4034が徐々に形成され、光導波路が形成される。その結果、フィルム基材404は最終的に導波路フィルム403となり、光ファイバ接続構造400が完成する。
なお、レーザ光L41は、光ファイバ4021〜4024のそれぞれから入力してもよいし、光ファイバ4011〜4014と光ファイバ4021〜4024の両側から入力してもよい。また、導波路フィルム403およびフィルム基材404の材料は、シリコーン樹脂のみならず、PC、ポリエチレン等の樹脂でもよい。
(他の実施形態2)
つぎに、本発明のさらに他の実施形態について説明する。図21は、本発明の他の実施形態2に係る光経路変換構造の模式的な断面図である。この光経路変換構造500は、光ファイバ501と、反射手段としての反射面の反射率を金蒸着等により高めた三角プリズム等のプリズム502と、フォトダイオード等の受光素子503と、導波路部材504とを備える。ここで、導波路部材504は、たとえば酸化シリコンからなる変質部5041、5042と、変質部5041、5042よりも屈折率が低い、たとえばシリコーン樹脂からなる未変質部5043から構成される光導波路が形成されている。変質部5041は、光ファイバ501から出射した光L51をプリズム502へ導波するように配置されている。また、プリズム502は、その反射面5021で光L51を反射し、光L51の伝搬方向を90度だけ回転するように配置されている。また、変質部5042は、表面5021で反射した光L51を受光素子503へ導波するように配置されている。すなわち、この光経路変換構造500は、光ファイバ501から出射した光L51の光路を90度だけ回転するような機能を有するものである。なお、光L51の波長は特に限定されないが、たとえば光ファイバ通信で最も用いられる波長1310nm近傍、あるいは1550nm近傍の光とすることができる。
この光経路変換構造500は、たとえば以下のように製造することができる。図22は、図21に示す光経路変換構造の製造方法の一例を説明する説明図である。図22に示すように、まず光ファイバ501、プリズム502、受光素子503を所定の位置に配置し、これらの間をシリコーン樹脂からなる基材505で埋める。つぎに、光ファイバ501の一端から、1270nmの波長を含むレーザ光L52を入力する。すると、レーザ光L52は光ファイバ501の基材505に接する他端から出射されるので、基材505内で一重項酸素の発生により重合化反応等が起こる。その結果、酸化シリコンからなる変質部5041が徐々に形成され、さらに変質部5041がプリズム502に到るまで形成された後、変質部5042が徐々に形成され、光導波路が形成される。その結果、基材505は最終的に導波路部材504となり、光経路変換構造500が完成する。
この光経路変換構造500は、容易に形成できるとともに、レンズ等の光学系を用いなくても、光ファイバ501と受光素子503との光結合効率を高めることができるので、部材点数を削減でき、小型化かつ安価なものとなる。なお、反射手段は、プリズム502に限らず、金属ミラーや多層膜フィルタでもよい。また、光L51の回転角度も、90度に限らず、適宜設定できる。また、基材505および導波路部材504の材料は、シリコーン樹脂のみならず、PC、ポリエチレン等の樹脂でもよい。
なお、一重項酸素により重合反応を生じさせることができる樹脂については、メチルレジンシリコーン樹脂やメチルフェニルレジンシリコーン樹脂を例として述べたが、これらの樹脂にフィラーを添加する事により、架橋重合の程度を制御することができることが実験的に判っている。このことは、本発明の光導波路への応用において、最適な導波路構造を意図的に作製することができることを示唆している。
以下、図12と同様に半導体レーザを樹脂で封止し、1270nm近傍のレーザ光を出射して樹脂に通光させた場合と、未封止とした場合の実験結果について説明する。図23は、樹脂封止した半導体レーザの光放射遠視野像の半値全角θのフィラー添加量依存性を示す図である。なお、横軸は半導体レーザからのレーザ光を樹脂に通光させる時間を示し、縦軸は半値全角θを示している。また、樹脂としてはシリコーン樹脂を用いた。また、フィラーとしてはナノフィラーを用いた。
この例では,未封止の半導体レーザの半値全角θが23°であるのに対し、ナノフィラーを無添加の樹脂の場合、樹脂に形成された光導波路端からの光放射の遠視野像の半値全角θは5°程度になる。一方、ナノフィラーを1%(重量比)添加した樹脂では半値全角θが10°で安定し、また、ナノフィラーを5%添加した樹脂では半値全角θが15°で安定することが判った。
図23に示す実験結果より、ある種のナノフィラーを添加することにより、一重項酸素による重合反応の程度を制御できると共に、重量比率を増やすことにより、重合反応部の屈折率変化を小さくすることができる。このようにフィラーの添加量を調整することにより,所望の光導波路構造を作ることができる。
なお、光導波路への応用においては、光透過性が必要なため、フィラーの成分はシリカ(SiO)等が好ましく、その形状は、不定形またはコロイダルシリカのような球形のものが適用出来る。その寸法としては数nm〜数十nmのナノフィラーや、数十μmの大きさのマイクロフィラーがある。
本発明は、活性化酸素を用いて局所的に材料の特性を変化させて所望の材料を製造する際に好適に利用できる。

Claims (9)

  1. シリコーン樹脂である材料内部に酸素分子を透過させた状態、または該材料表面に酸素分子を存在させた状態で少なくとも酸素分子を一重項酸素化できるエネルギーを有した光を照射し一重項酸素を発生させ、該発生させた一重項酸素で前記材料中の分子構造の結合を切断することによって重合化反応または置換反応を行わせて、前記材料の分子量を変化させて所望の材料を製造することを特徴とする材料製造方法。
  2. 少なくとも1270nm近傍の波長を含む光を照射して前記一重項酸素を発生させることを特徴とする請求項1に記載の材料製造方法。
  3. 前記所望の材料は、前記材料よりも分子量が大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の材料製造方法。
  4. 前記所望の材料は、前記材料よりも分子量が小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の材料製造方法。
  5. 当該材料製造方法は、前記発生させた一重項酸素で前記シリコーン樹脂中のメチル基を切断することによって重合化反応または置換反応を行わせてガラス化することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の材料製造方法。
  6. 前記少なくとも酸素分子を一重項酸素化できるエネルギーを有した光とともに前記メチル基以外の基を切断できるエネルギーを有した光を照射することによって、前記メチル基以外の基を切断し、生成した一重項酸素を用いて前記メチル基以外の基を切断した位置で重合化反応または置換反応を行なわせることを特徴とする請求項に記載の材料製造方法。
  7. 1270nm近傍にピークを有する光を照射して前記一重項酸素を発生させることを特徴とする請求項2〜のいずれか一つに記載の材料製造方法。
  8. 少なくとも1270nm近傍の波長を含むレーザ光を照射して前記一重項酸素を発生させることを特徴とする請求項2〜のいずれか一つに記載の材料製造方法。
  9. 前記材料を酸素雰囲気中に設置した状態で前記少なくとも酸素分子を一重項酸素化できるエネルギーを有した光を照射して前記一重項酸素を発生させることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の材料製造方法。
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