JP5373652B2 - 回路シミュレーション装置、回路シミュレーション方法 - Google Patents

回路シミュレーション装置、回路シミュレーション方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体集積回路の設計における回路シミュレーション技術に関し、特にSTI(Shallow Trench Isolation)に起因する応力を考慮した回路シミュレーション技術に関する。
半導体集積回路の開発においては、回路シミュレーションが重要な役割を果たしている。回路シミュレーションによって設計した半導体集積回路の動作検証を行い、当該半導体集積回路が設計仕様を満足するか確かめることにより、所望の機能や性能を有する半導体集積回路を開発することができる。
伝統的な回路シミュレーションの手順は、概略的には、以下の通りである:まず、MOSトランジスタのレイアウト寸法(例えば、ゲート長L、ゲート幅Wその他)が様々に異なる各MOSトランジスタの特性を実測する。次に実測によって得られた測定データから、各MOSトランジスタの特性を表すトランジスタモデルパラメータを抽出する。回路シミュレーションは、そのトランジスタモデルパラメータを用いて行われる。回路シミュレータとしては、SPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)が標準的に使用される。この場合、SPICEの形式に即したトランジスタモデル(例えば、BSIM3(Berkley Short Channel IGFET Model 3)やBSIM4)で定義されるトランジスタモデルパラメータが抽出され、回路シミュレーションに使用される。回路シミュレーションの精度の向上は、半導体集積回路の動作検証を適切に行う上で重要である。
近年、回路シミュレーションの精度を落とす要因の一つとして着目されているのが、MOSトランジスタに作用する応力の影響である。半導体集積回路のプロセスの微細化により、MOSトランジスタに作用する物理的応力の影響が増大している。特に、応力の影響によるチャネル移動度や閾値電圧などの電気特性の変動は、無視しえないものとなってきている。半導体集積回路に対する微細化技術の進歩に対応して、MOSトランジスタのチャネルに近接してSTIが形成され、そのSTIの応力を変化させる隣接拡散層とチャネルとの距離が、より小さくなってきている。そのため、微細化された半導体集積回路では、STI(Shallow Trench Isolation:素子分離膜)に起因する応力がMOSトランジスタに作用するときの現象を考慮した回路シミュレーションを実行することが望ましい。
図1は、回路シミュレーションの対象となるMOSトランジスタ130のレイアウトを示すレイアウト図である。MOSトランジスタ130は、拡散層領域131とゲート132とを備えている。ゲート132は、拡散層領域131を横断するように設けられている。拡散層領域131のうち、ゲート132の直下に位置する部分が、MOSトランジスタ130のチャネル領域として機能する。
拡散層領域131を取り囲むように、隣接拡散層領域133〜隣接拡散層領域136が設けられている。隣接拡散層領域133、隣接拡散層領域134は、拡散層領域131にゲート幅方向に隣接する活性領域(拡散層領域)である。また、隣接拡散層領域135、隣接拡散層領域136は、拡散層領域131にゲート長方向に隣接する活性領域(拡散層領域)である。拡散層領域131と隣接拡散層領域133〜隣接拡散層領域136とは、STI(shallow trench isolation)絶縁膜によって分離されている。
図1に示されているように、MOSトランジスタ130のゲート長は、ゲート長Lで表されている。また、MOSトランジスタ130のゲート幅は、ゲート幅Wで表されている。拡散層領域131のゲート長方向における長さは、拡散層長さLODで表されている。拡散層領域131と、その拡散層領域131にゲート長方向に隣接する活性領域(即ち、隣接拡散層領域135)との距離は、距離PDXで表されている。同様に、拡散層領域131から、隣接拡散層領域136までの距離も、距離PDXで表されている。拡散層領域131と、その拡散層領域131にゲート幅方向に隣接する隣接拡散層領域133との距離は、距離PDYで表されている。同様に、拡散層領域131から隣接拡散層領域134までの距離も、距離PDYで表されている。
以下に、本実施形態の回路シミュレーション技術の概略について説明する。まず、各MOSトランジスタのレイアウト寸法(即ち、ゲート長L、ゲート幅W、拡散層長さLOD、距離PDXおよび距離PDY2)に基づいて、パラメータ変調量が算出される。ここで、パラメータ変調量とは、回路シミュレーションで使用されるトランジスタモデルパラメータを修正する場合において、その修正量を表す数値である。
パラメータ変調量の算出に使用される演算式には、MOSトランジスタの拡散層領域に作用する応力を表す応力モデル式が含まれている。従って、パラメータ変調量は、拡散層領域に作用する応力に応じて算出されることになる。算出されたパラメータ変調量を用いてトランジスタモデルパラメータが修正される。修正されたトランジスタモデルパラメータを用いて回路シミュレーションが行われる。
SPICEで使用されるトランジスタモデルのトランジスタモデルパラメータU0、VTH0を、応力に応じて修正する場合を例示して、パラメータ変調量の算出について説明する。U0は、チャネル領域における移動度に対応するパラメータであり、VTH0は、MOSトランジスタの閾値電圧に対応するパラメータである。
この場合、パラメータ変調量とは、修正量Δμ、Δν、又は、これらに1対1に対応する数値を意味している。ここで、Δμ、Δνは、トランジスタモデルパラメータU0、VTH0の修正後の値をμ、νとした場合に
Δμ=μ−U0,
Δν=ν−VTH0,
で定義される数値である。
トランジスタモデルパラメータU0、閾値パラメータVTH0は、あくまでトランジスタモデルパラメータであり、実測によって得られるチャネル領域の移動度や、MOSトランジスタの閾値電圧とは異なり得る。トランジスタモデルパラメータの一つとしてのトランジスタモデルパラメータU0を、μ0と記載し、トランジスタモデルパラメータの一つとしての閾値パラメータVTH0を、ν0と記載するとき、修正量Δμ、Δνは、
Δμ=μ−μ0,
Δν=ν−ν0,
として定義されることになる。
トランジスタモデルパラメータμ0(U0)のパラメータ変調量をMULU0として、修正量Δμではなく、下記式で定義される値が使用される:
MULU0=1+Δμ/μ0.
一方、トランジスタモデルパラメータν0(VTH0)のパラメータ変調量は、DELVT0として、修正量Δνがそのまま使用される。即ち、
DELVT0=Δν,
である。
算出されたパラメータ変調量(MULU0、DELVT0)は、SPICEに与えられる。SPICEでは、パラメータ変調量(MULU0、DELVT0)だけトランジスタモデルパラメータU0、VTH0が修正され、修正後のトランジスタモデルパラメータを用いて回路シミュレーションが行われる。
図1に示されるようなMOSトランジスタ130に対して、SPICEモデルパラメータU0を補正するインスタンスパラメータMULU0は、横方向の拡散層間の距離である距離PDXと、縦方向の拡散層間の距離である距離PDYを用いて、下記(1)式のように、解析式fで表現される。
Figure 0005373652
・・・ (1)
ここで、横方向とは、チャネル(対象とするMOSトランジスタ130のゲート132と拡散層領域131との重なり部分)に流れる電流の向きに平行な方向を意味している。また、縦方向とは、その横方向に直交するウェハ面内の方向を意味している。
MULU0は、シミュレーションに用いられるネットリストの、MOSトランジスタの記述行に直接記述される。実際のシミュレーションでは、SPICEモデルパラメータとして元から定義されているU0の代わりに、U0×MULU0が使用される。また、MOSトランジスタによって、隣り合う拡散層との距離が異なるため、MULU0は、MOSトランジスタごとに個別に指定される。
半導体集積回路に対する微細化技術の進歩に対応して、拡散層のパターンを単純な矩形以外の形状にすることが可能となってきている。MOSトランジスタの周囲の拡散層のパターンの形状によっては、横方向の拡散層間の距離である距離PDXや、縦方向の拡散層間の距離である距離PDYを特定することが困難な場合がある。MOSトランジスタと、それの周囲の拡散層領域との距離を単純に求めることが困難な場合に、MOSトランジスタに作用する応力を考慮して回路シミュレーションを行う技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1(特開2009−087169号公報)には、MOSトランジスタのチャネル領域に印加される応力を適切に考慮し、精度が高い回路シミュレーションを行うための技術が開示されている。その特許文献2に記載の技術では、より高精度に回路シミュレーションを行うために、対象MOSトランジスタのレイアウト寸法を示す図形情報を生成し、その図形情報に基づいてパラメータ補正量を計算している。そして、回路シミュレータに与えられたトランジスタモデルパラメータを、計算によって得られたパラメータ補正量に応じて修正し、その修正されたトランジスタモデルパラメータを用いて対象MOSトランジスタを含む回路の回路シミュレーションを行っている。
そのパラメータ補正量の計算は、図形情報に基づいて演算式によって行われ、この演算式は、MOSトランジスタのチャネル領域に作用する応力を表す応力モデル式を含んでいる。ここにおいて、その応力モデル式は、応力の大きさが、MOSトランジスタのチャネル領域が形成されている活性領域から、それに隣接する活性領域までの距離である隣接距離Sdの増加に対して単調に減少し、且つ、隣接距離Sdが無限に大きい場合に一定値に収束し、且つ、応力の隣接距離Sdに対する微分係数の大きさが単調に減少し、且つ、隣接距離Sdが無限に大きい場合に、その微分係数が0に収束するように決定されている。
図2は、特許文献1におけるパラメータ補正量の計算を概念的に示す概念図である。特許文献1に記載の技術では、MOSトランジスタのチャネルを、隣に配置された拡散層との距離が一定となる小領域に区分している。その小領域のチャネル長(ゲート長)を、Lとし、その小領域における縦方向の拡散層間の距離をPDYとしている。このとき、もとのMOSトランジスタのチャネル長をLとして、MULU0を下記の(2)式で求めている。
Figure 0005373652
・・・ (2)
また、特許文献2(特開2006−178907号公報)には、所定の素子分離用絶縁膜幅でパラメータフィッティングされたトランジスタモデルをもとに、連続的な数式モデルを使用することで、広範囲の素子分離用絶縁膜幅に対して高精度のトランジスタモデルを作成する技術が開示されている。その技術は、ゲート幅方向における隣接活性領域までの距離を応力の指標として用いている。そして、そのゲート幅方向における隣接活性領域までの距離から補正近似式によってトランジスタモデルパラメータを補正することによって、高精度のトランジスタモデルを作成している。
図3は、特許文献2におけるパラメータ補正量の計算を概念的に示す概念図である。特許文献2に記載の技術では、予め決められた寸法だけチャネル長よりも広い範囲(Aとする)を特定している。その範囲で、隣接活性領域までの距離を、その隣接幅に加重平均し、MULU0を下記の(3)式で求めている。
Figure 0005373652
・・・ (3)
特開2009−087169号公報 特開2006−178907号公報
上述したように、従来の回路シミュレーション技術では、チャネル領域と隣接拡散層との距離を考慮して応力を計算している。たとえば、特許文献1に記載の技術では、MOSトランジスタのチャネル領域から、STIを挟んでそのチャネル領域に対向する隣接拡散層までの距離が、チャネル長やチャネル幅に沿って一定では無い場合の応力を計算している。その計算結果に基づいて回路シミュレーションを実行している。また、特許文献2に記載の技術では、チャネル領域よりも広い範囲を特定し、その範囲とSTIとの界面から、その界面に対向した隣接拡散層までの距離を考慮した応力に基づいて回路シミュレーションを実行している。
微細化された半導体集積回路の設計において、MOSトランジスタの電気的特性を高精度に再現するために、チャネル領域に印加される応力を、より正確に計算する技術が求められる。
以下に、[発明を実施するための形態]で使用される番号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
上記の課題を解決するために、図形情報生成手段と、パラメータ補正量計算手段と、回路シミュレーション手段とを備える回路シミュレーション装置によって以下の方法で、回路シミュレーションを行う。その方法は、(a)その図形情報生成手段から供給される図形情報に基づいてMOSトランジスタのチャネル領域を特定するステップと、(b)そのチャネル領域とSTI領域との境界における、チャネル長方向の中点を特定するステップと、(c)ゲート幅方向を縦方向とし、その中点を原点としてそのMOSトランジスタとそのMOSトランジスタの隣の拡散層との距離を縦方向隣接拡散層距離とするとき、その縦方向隣接拡散層距離を、そのチャネル長方向の位置Xに応じて変化する縦方向の距離の関数として特定するステップと、(d)その縦方向隣接拡散層距離の関数と重み付け関数とを掛け合わせた乗算式を生成するステップと、(e)その乗算式に基づいて、パラメータ補正量を算出するステップを具備する回路シミュレーション方法である。
上述の回路シミュレーション方法では、その(c)ステップは、その縦方向隣接拡散層距離を、そのチャネル長方向の位置Xに応じて変化する縦方向の距離の関数f(PDY(X))として特定するステップを含婿とが好ましい。また、その(d)ステップは、
その重み付け関数を、関数wf(X)として特定するステップとを含むことが好ましい。また、その(e)ステップは、そのパラメータ補正量をMULU0として、関数f(PDY(X))と関数wf(X)とに基づいて、後述する(4)式で算出した値を用いることが好ましい。
また、上述の回路シミュレーション方法では、その(c)ステップは、その縦方向隣接拡散層距離を、そのチャネル長方向の位置Xに応じて変化する縦方向の距離の関数f(PDY(X))として特定するステップを含むことが好ましい。また、その(d)ステップは、
その重み付け関数を、関数wf(X)として特定するステップと、
X軸をΔXで分割し、分割された区分毎のその隣接拡散層距離をPDYとして特定するステップと、
その区分におけるその関数wf(X)の平均値をwfとするステップとを含むことが好ましい。そして、その(e)ステップは、そのパラメータ補正量をMULU0として、PDYとwfとに基づいて、後述する(5)式で算出した値を用いることが好ましい。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、MOSトランジスタに作用する応力の影響を高精度に見積もり、その応力の影響に基づいて回路シミュレーションをすることが可能となる。
図1は、回路シミュレーションの対象となるMOSトランジスタ130のレイアウトを示すレイアウト図である。 図2は、従来のパラメータ補正量の計算を概念的に示す概念図である。 図3は、従来のパラメータ補正量の計算を概念的に示す概念図である。 図4は、本実施形態の回路シミュレーション装置の構成を例示するブロック図である。 図5は、本実施形態の回路シミュレーション装置1の接続関係を例示するブロック図である。 図6は、LVS(Layout Versus Schematic)ツール13がパラメータ補正量を算出する手順を示す機能ブロック図である。 図7は、MOSトランジスタ40のレイアウトを示すレイアウト図である。 図8は、パラメータ補正量32を算出する動作の詳細を例示するフローチャートである。 図9は、縦方向隣接拡散層距離とその重み付け関数wf(X)との対応を例示する図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、実施の形態を説明するための図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下では、SPICEを用いて回路シミュレーションを行い、且つ、トランジスタモデルパラメータU0を、応力に応じて修正する場合を例に挙げて、本実施形態の回路シミュレーション技術を詳細に説明する。ただし、他のトランジスタモデルパラメータを応力に応じて修正することも可能である。
図4は、本実施形態の回路シミュレーション装置の構成を例示するブロック図である。本実施形態の回路シミュレーション装置1は、情報処理装置本体2と入力装置3とを備えている。情報処理装置本体2は、高速に演算を実行するコンピュータなどに例示される処理装置である。以下の実施形態においては、その情報処理装置本体2が、回路シミュレーターとして機能する場合を例示する。入力装置3は、ユーザが情報処理装置本体2へデータを入力するとき、そのデータを情報処理装置本体2で処理できる形式に変換して供給するマンマシンインターフェースである。出力装置4は、情報処理装置本体2から供給されるデータを、ユーザに認識できる形式に変換して表示するマンマシンインターフェースである。
情報処理装置本体2は、中央演算処理装置5と、メモリ6と、大容量記憶装置7とを備え、それらはバス8を介して接続されている。中央演算処理装置5は、情報処理装置本体2に備えられた各種装置の制御やデータの処理を行う。情報処理装置本体2は、入力装置3などから受け取ったデータを解釈して演算し、その演算結果を出力装置4などで出力する。メモリ6は、中央演算処理装置5が処理するデータを記憶する記憶媒体である。中央演算処理装置5は、情報処理装置本体2がコンピュータプログラムを実行するときに使用される。大容量記憶装置7は、HDDや不揮発性記憶装置などに代表されるストレージデバイスである。
大容量記憶装置7は、回路設計及び回路シミュレーションを支援するEDAツール9と、データベース10とを備えている。EDAツール9は、回路図エディタ11と、レイアウトエディタ12と、LVS(Layout Versus Schematic)ツール13と、回路シミュレータ14と、ソルバー15とを含んでいる。データベース10は、ネットリスト21と、レイアウトデータ22と、テストパターンレイアウトデータ23と、テストパターン測定データ24と、ストレスモデルパラメータファイル25と、補正後ネットリスト26と、トランジスタモデルパラメータ27と、出力結果28とを含んでいる。
回路図エディタ11は、回路図エディタ11は、ネットリスト21を生成するために使用される。レイアウトエディタ12は、ネットリスト21から回路のレイアウトを示すレイアウトデータ22を生成するために使用される。LVS(Layout Versus Schematic)ツール13は、レイアウトデータ22から抽出されたネットリストと回路図エディタ11によって生成されたネットリストとを比較して、両者が一致しているかどうかを調べ、不一致箇所があれば、レイアウトデータ22を修正する。回路シミュレータ14は、LVSツール13によって生成された補正後ネットリスト26と、事前に抽出されたトランジスタモデルパラメータ27とを用いて回路シミュレーションを行う。ソルバー15は、ストレスモデルパラメータ及び感度パラメータを抽出するために使用される
図5は、本実施形態の回路シミュレーション装置1の接続関係を例示するブロック図である。回路図エディタ11は、ネットリスト21を生成するために使用されるソフトウェアである。回路図エディタ11によって生成されたネットリスト21は、適宜の記憶装置(大容量記憶装置7のデータベース10)に保存されてレイアウトエディタ12に引き渡される。本実施形態では、ネットリスト21は、SPICEに対応した形で生成される。
レイアウトエディタ12は、ネットリスト21から、回路のレイアウトを示すレイアウトデータ22を生成するために使用されるソフトウェアである。生成されたレイアウトデータ22は、適宜の記憶装置(大容量記憶装置7のデータベース10)に保存されてLVS(Layout Versus Schematic)ツール13に引き渡される。
LVS(Layout Versus Schematic)ツール13は、レイアウトデータ22から抽出されたネットリストと回路図エディタ11によって生成されたネットリスト21とを比較して、両者が一致しているかどうかを調べ、不一致箇所があれば、レイアウトデータ22を修正するツールである。本実施形態では、LVS(Layout Versus Schematic)ツール13は、レイアウトデータ22から、各MOSトランジスタのパラメータ補正量32を算出するためにも使用される。パラメータ補正量32の算出は、必要な演算式をLVS(Layout Versus Schematic)ツール13のルールファイルに記述することによって行われる。パラメータ補正量32の算出に関する詳細な説明は、後述する。
回路シミュレータ14は、LVS(Layout Versus Schematic)ツール13によって生成された補正後ネットリスト26と、事前に抽出されたトランジスタモデルパラメータ27とを用いて回路シミュレーションを行うソフトウェアである。回路シミュレータ14は、補正後ネットリスト26に記述されたパラメータ補正量32に応じてトランジスタモデルパラメータ27を修正し、修正されたトランジスタモデルパラメータを用いて回路シミュレーションを行う。回路シミュレーションの結果は、出力結果28として出力される。本実施形態では、回路シミュレータ14としてはSPICEが使用され、トランジスタモデルパラメータ27は、SPICEに対応した形式で用意される。トランジスタモデルパラメータ27は、特定のMOSトランジスタの特性から抽出される。トランジスタモデルパラメータ27の抽出に使用されたMOSトランジスタのレイアウトパターンを、以下では、『SPICE抽出パターン』と呼ぶ。
ソルバー15は、ストレスモデルパラメータ及び感度パラメータを抽出するために使用されるソフトウェアである。ストレスモデルパラメータ及び感度パラメータの抽出は、概略的には、以下のようにして行われる。まず、様々なレイアウトのMOSトランジスタが用意され、そのMOSトランジスタの特性が測定される。ストレスモデルパラメータの抽出に使用されたMOSトランジスタのレイアウト寸法は、テストパターンレイアウトデータ23としてソルバー15に与えられ、測定されたMOSトランジスタの特性は、テストパターン測定データ24としてソルバー15に与えられる。ソルバー15は、テストパターンレイアウトデータ23及びテストパターン測定データ24からストレスモデルパラメータと感度パラメータとを抽出し、ストレスモデルパラメータファイル25に格納する。ストレスモデルパラメータと感度パラメータの抽出は、基本的には、同一のプロセスについては一度だけ行われれば十分である。
図6は、LVS(Layout Versus Schematic)ツール13がパラメータ補正量を算出する手順を示す機能ブロック図である。LVS(Layout Versus Schematic)ツール13は、レイアウトデータ22から各MOSトランジスタのレイアウト寸法(即ち、ゲート長L、ゲート幅W、拡散層長さLOD、距離PDX1、距離PDX2、距離PDY1、及び距離PDY2)を抽出する。LVS(Layout Versus Schematic)ツール13は、抽出したレイアウト寸法を図形情報31として記憶装置に格納する(ステップS01)。
更にLVS(Layout Versus Schematic)ツール13は、図形情報31に記述されたレイアウト寸法からパラメータ補正量を算出する(ステップS02)。本実施形態では、トランジスタモデルパラメータU0のパラメータ補正量MULU0が算出される。図6では、パラメータ補正量32としてまとめて表記されている。
パラメータ補正量32の算出に使用される演算式には、MOSトランジスタの拡散層領域に作用する応力を表す応力モデル式と、パラメータ補正量を算出する関数式とが含まれている。LVS(Layout Versus Schematic)ツール13のルールファイルには、この応力モデル式と関数式が記述されている。LVS(Layout Versus Schematic)ツール13のルールファイルに記述された応力モデル式には、パラメータが未定のまま残されている。このパラメータは、実際に適用される応力モデル式を最終的に決定するためのパラメータであり、以下において『ストレスモデルパラメータ』と呼ばれる。また、パラメータ補正量を算出する関数式にも、それに含まれるパラメータが未定のまま残されている。
このパラメータは、応力がパラメータ補正量に寄与する程度を表しており、以下では、『感度パラメータ』と呼ばれる。ストレスモデルパラメータと感度パラメータとを適切に決定することは、MOSトランジスタのチャネル領域に作用する応力を精度よく算出し、更に、応力がパラメータ補正量に及ぼす影響を的確に考慮するために重要である。
応力モデル式とパラメータ補正量32を算出する関数式を使用する際には、ストレスモデルパラメータファイル25が参照される。ストレスモデルパラメータファイル25には、予めソルバー15によって抽出されたストレスモデルパラメータと感度パラメータとが記述されている。ストレスモデルパラメータファイル25に記述されたストレスモデルパラメータと感度パラメータとによって実際に適用される応力モデル式及び関数式を決定した後、その応力モデル式及び関数式を含む様々な演算式を用いてパラメータ補正量32が算出される。
更に、LVS(Layout Versus Schematic)ツール13は、算出されたパラメータ補正量32をネットリスト21に追加して補正後ネットリスト26を生成する(ステップS03)。生成された補正後ネットリスト26は、適宜の記憶装置に記憶される。
以下に、本実施形態のパラメータ補正量32の算出に関し、詳細な説明を行う。図7は、本実施形態における、パラメータ補正量32の算出の対象となるMOSトランジスタ40のレイアウトを示すレイアウト図である。MOSトランジスタ40は、拡散層領域41とゲート42とを備えている。ゲート42は、拡散層領域41を横断するように設けられている。拡散層領域41のうち、ゲート42の直下に位置する部分が、MOSトランジスタ40のチャネル領域として機能する。MOSトランジスタ40の近傍に、隣接拡散層領域43が設けられている。隣接拡散層領域43は、拡散層領域41にゲート幅方向に隣接する活性領域(拡散層領域)である。拡散層領域41と隣接拡散層領域43とは、STI(shallow trench isolation)絶縁膜によって分離されている。
図8は、本実施形態における、パラメータ補正量32を算出する動作の詳細を例示するフローチャートである。以下では、上述のMOSトランジスタ40に対し、そのMOSトランジスタ40に対応したパラメータ補正量32を算出する動作を例示する。ここにおいて、図8に示される動作は、LVS(Layout Versus Schematic)ツール13によって、図形情報31の生成が完了すると開始する。
ステップS101において、図形情報31に基づいて、MOSトランジスタ40のチャネル領域42aを抽出する。ステップS102において、抽出したチャネル領域42aの中点を抽出する。図9は、パラメータ補正量32を算出する動作を概念的に例示する概念図である。図9の(a)に示されているように、ステップS102において、MOSトランジスタ40のチャネル領域42aの幅方向の端部(STIとの界面側)を特定する。そして、その端部におけるチャネル長方向の長さを特定し、その中点Pを抽出する。
ステップS103において、抽出したチャネルの中点Pを原点として、縦方向隣接拡散層距離関数を抽出する。このとき、その縦方向隣接拡散層距離関数は、チャネル長方向座標に対する関数としてf(PDY(X))で与えられ、MOSトランジスタ40のチャネル長方向の位置Xに応じて変化する。
ステップS104において、重み付け関数wf(X)と、隣接拡散層距離関数とを掛け合わせる。図9は、縦方向隣接拡散層距離とその重み付け関数wf(X)との対応を例示する図である。図9(b)は、その重み付け関数wf(X)を例示している。その重み付け関数wf(X)は、MOSトランジスタ40のチャネル長方向の位置Xを変数として、上述の中点Pで左右対称である。また、その重み付け関数wf(X)は、全域で非負であり、積分値が1である。図9(b)に示されているように、その重み付け関数wf(X)は、原点(中点P)において最大値をとり、その原点(中点P)から遠くなるにつれて減少し、十分離れた点ではゼロとなるように設定される。
ステップS105において、掛け合わせた結果を下記(4)式に基づいて積分し、インスタンスパラメータMULU0を算出する。ここで、そのMULU0は、回路シミュレーションに用いられるネットリストに記述されるSPICEモデルパラメータの移動度U0の補正量を表している。(4)式において、縦方向隣接拡散層距離は、Xの関数と見なせるため、明示的にPDY(X)と表記する。
Figure 0005373652
・・・ (4)
ステップS106において、算出されたMULU0に基づいて、MOSトランジスタ40のパラメータ補正量を決定し、ネットリストに反映させる。
そのMULU0を指定することによって、回路シミュレーションにおいて、本来のSPICEモデルパラメータU0の変わりに、MULU0×U0が用いられる。また、PDY(X)は、Xに応じて変化する縦方向隣接拡散層距離を示している。fは、横方向、縦方向のそれぞれの隣接拡散層距離(PDX,PDY)が一定である場合の、それらに応じて変化するSTIストレスによるMULU0の変動を算出するコンパクトモデルである。
上述のように、本実施形態の回路シミュレーション装置1は、上記に(4)式に基づいてMULU0を決定している。その(4)式におけるwf(X)を適切に設定することより、縦方向隣接拡散層の、横方向に見たときのチャネルへの距離に応じた特性変動への寄与度の、任意の変化に対応することができる。
上述のように、本実施形態の回路シミュレーション装置1は、特性が異なる複数のMOSトランジスタの電気的特性を再現しようとする場合に、それらの素子の各々に固有の演算式を設けることなく、チャネル領域に印加される応力を計算し、その計算結果に基づいて回路シミュレーションをすることができる。
[第2実施形態]
以下に、本願発明の第2実施形態について説明を行う。(4)式に示されているように、第1の実施形態のMULU0は、式中に積分式を含んでいる。第2実施形態においては、計算速度や運用面などの状況によっては、X軸をストレス考慮の観点から考えて十分に小さい区分ΔXで分割してMULU0を求めている。
分割された区分ごとの隣接拡散層距離をPDYiとし、その区分におけるwf(X)の平均値をwfとしたとき、MULU0を下記(5)式で求める。
Figure 0005373652
・・・ (5)
第2実施形態の回路シミュレーション装置1において、上述のMULU0に基づいて、MOSトランジスタ40のパラメータ補正量を決定し、ネットリストに反映させることで、第1実施形態の回路シミュレーション装置1と同様の効果を奏することが可能となる。また、第2実施形態の回路シミュレーション装置1においては、積分演算を行わない(5)式を用いている。そのため、計算速度を向上させることができ、シミュレーションに要する時間を短縮することができる。また、数式が実装されているLVSツールのためのルールファイルに直接記述することができる。
以上、本願発明の実施の形態を具体的に説明した。本願発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
1…回路シミュレーション装置
2…情報処理装置本体
3…入力装置
4…出力装置
5…中央演算処理装置
6…メモリ
7…大容量記憶装置
8…バス
9…EDAツール
10…データベース
11…回路図エディタ
12…レイアウトエディタ
13…LVS(Layout Versus Schematic)ツール
14…回路シミュレータ
15…ソルバー
21…ネットリスト
22…レイアウトデータ
23…テストパターンレイアウトデータ
24…テストパターン測定データ
25…ストレスモデルパラメータファイル
26…補正後ネットリスト
27…トランジスタモデルパラメータ
28…出力結果
31…図形情報
32…パラメータ補正量
40…MOSトランジスタ
41…拡散層領域
42…ゲート
42a…チャネル領域
43…隣接拡散層領域
130…MOSトランジスタ
131…拡散層領域
132…ゲート
133…隣接拡散層領域
134…隣接拡散層領域
135…隣接拡散層領域
136…隣接拡散層領域
L…ゲート長
W…ゲート幅
LOD…拡散層長さ
PDX…距離
PDX1…距離
PDX2…距離
PDY…距離
PDY1…距離
PDY2…距離
U0…トランジスタモデルパラメータ
VTH0…閾値パラメータ

Claims (12)

  1. 図形情報生成手段と、パラメータ補正量計算手段と、回路シミュレーション手段とを備える回路シミュレーション装置によって回路シミュレーションを行う方法であって、
    (a)前記図形情報生成手段から供給される図形情報に基づいてMOSトランジスタのチャネル領域を特定するステップと、
    (b)前記チャネル領域とSTI領域との境界における、チャネル長方向の中点を特定するステップと、
    (c)ゲート幅方向を縦方向とし、前記中点を原点として前記MOSトランジスタと前記MOSトランジスタの隣の拡散層との距離を縦方向隣接拡散層距離とするとき、前記縦方向隣接拡散層距離を、前記チャネル長方向の位置Xに応じて変化する縦方向の距離の関数として特定するステップと、
    (d)前記縦方向隣接拡散層距離の関数と重み付け関数とを掛け合わせた乗算式を生成するステップと、
    (e)前記乗算式に基づいて、パラメータ補正量を算出するステップ
    を具備する
    回路シミュレーション方法。
  2. 請求項1に記載の回路シミュレーション方法において、
    前記(c)ステップは、
    前記縦方向隣接拡散層距離を、前記チャネル長方向の位置Xに応じて変化する縦方向の距離の関数f(PDY(X))として特定するステップを含み、
    前記(d)ステップは、
    前記重み付け関数を、関数wf(X)として特定するステップとを含み、
    前記(e)ステップは、
    前記パラメータ補正量をMULU0として、関数f(PDY(X))と関数wf(X)とに基づいて、下記式
    Figure 0005373652
    で算出した値を用いる
    回路シミュレーション方法。
  3. 請求項1に記載の回路シミュレーション方法において、
    前記(c)ステップは、
    前記縦方向隣接拡散層距離を、前記チャネル長方向の位置Xに応じて変化する縦方向の距離の関数f(PDY(X))として特定するステップを含み、
    前記(d)ステップは、
    前記重み付け関数を、関数wf(X)として特定するステップと、
    X軸をΔXで分割し、分割された区分毎の前記隣接拡散層距離をPDYとして特定するステップと、
    前記区分における前記関数wf(X)の平均値をwfとするステップとを含み、
    前記(e)ステップは、
    前記パラメータ補正量をMULU0として、PDYとwfとに基づいて、下記式
    Figure 0005373652
    で算出した値を用いる
    回路シミュレーション方法。
  4. 請求項2または3に記載の回路シミュレーション方法において、
    前記パラメータ補正量を、
    回路シミュレータで定義された特性変動のためのインスタンスパラメータとして算出し、回路シミュレーションに使用する
    回路シミュレーション方法。
  5. 請求項4に記載の回路シミュレーション方法において、
    前記重み付け関数は、
    前記チャネル長方向の位置Xを変数として、前記中点で左右対称な関数として定義され、全域で非負であり、積分値が1となるように設定される
    回路シミュレーション方法。
  6. 請求項5に記載の回路シミュレーション方法において
    前記重み付け関数は、
    前記中点において最大値をとり、前記中点から遠くなるにつれて減少するような関数として定義され、前記中点から十分離れた点ではゼロとなるように設定される
    回路シミュレーション方法。
  7. 図形情報生成手段と、
    パラメータ補正量計算手段と、
    回路シミュレーション手段とを具備し、
    前記パラメータ補正量計算手段は、
    前記図形情報生成手段から供給される図形情報に基づいてMOSトランジスタのチャネル領域を特定し、
    前記チャネル領域とSTI領域との境界における、チャネル長方向の中点を特定し、
    ゲート幅方向を縦方向とし、前記中点を原点として前記MOSトランジスタと前記MOSトランジスタの隣の拡散層との距離を縦方向隣接拡散層距離とするとき、前記縦方向隣接拡散層距離を、前記チャネル長方向の位置Xに応じて変化する縦方向の距離の関数として特定し、
    前記縦方向隣接拡散層距離の関数と重み付け関数とを掛け合わせた乗算式を生成するし、
    前記乗算式に基づいて、パラメータ補正量を算出し、
    前記回路シミュレーション手段は、
    前記パラメータ補正量に基づいて、回路シミュレーションを行う
    回路シミュレーション装置。
  8. 請求項7に記載の回路シミュレーション装置において、
    前記パラメータ補正量計算手段は、
    前記縦方向隣接拡散層距離を、前記チャネル長方向の位置Xに応じて変化する縦方向の距離の関数f(PDY(X))として特定し、
    前記重み付け関数を、関数wf(X)として特定し、
    前記パラメータ補正量をMULU0として、関数f(PDY(X))と関数wf(X)とに基づいて、下記式
    Figure 0005373652
    で算出した値を前記パラメータ補正量として用いる
    回路シミュレーション装置。
  9. 請求項7に記載の回路シミュレーション装置において、
    前記パラメータ補正量計算手段は、
    前記縦方向隣接拡散層距離を、前記チャネル長方向の位置Xに応じて変化する縦方向の距離の関数f(PDY(X))として特定し、
    前記重み付け関数を、関数wf(X)として特定し、
    X軸をΔXで分割し、分割された区分毎の前記隣接拡散層距離をPDYとし、前記区分における前記関数wf(X)の平均値をwfとして、
    前記パラメータ補正量をMULU0として、PDYとwfとに基づいて、下記式
    Figure 0005373652
    で算出した値を前記パラメータ補正量として用いる
    回路シミュレーション装置。
  10. 請求項8または9に記載の回路シミュレーション装置において、
    前記パラメータ補正量を、
    回路シミュレータで定義された特性変動のためのインスタンスパラメータとして算出し、回路シミュレーションに使用する
    回路シミュレーション装置。
  11. 請求項10に記載の回路シミュレーション装置において、
    前記重み付け関数は、
    前記チャネル長方向の位置Xを変数として、前記中点で左右対称な関数として定義され、全域で非負であり、積分値が1となるように設定される
    回路シミュレーション装置。
  12. 請求項11に記載の回路シミュレーション装置において
    前記重み付け関数は、
    前記中点において最大値をとり、前記中点から遠くなるにつれて減少するような関数として定義され、前記中点から十分離れた点ではゼロとなるように設定される
    回路シミュレーション装置。
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