JP5377873B2 - ウェーハ研磨装置及び該研磨装置を用いたウェーハ研磨方法 - Google Patents

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Description

この発明は、ウェーハ研磨装置に関するものであり、特に、研磨形状補正機構を改良したウェーハ研磨装置及び該研磨装置を用いたウェーハ研磨方法に関するものである。
高密度半導体デバイスの製造には、上面に研磨パッドを貼付した円形ターンテーブルであるプラテンと、研磨パッドの表面へシリコンウェーハを押し付ける研磨ヘッドとからなり、プラテンと研磨ヘッドとを夫々回転駆動してウェーハ自体の表面或いはウェーハの表面に形成された薄膜を研磨するCMP式のウェーハ研磨装置が用いられている。
この種のウェーハ研磨装置は、研磨の平坦性を確保するために、ウェーハの保持機構や研磨ヘッドの支持構造などに種々の工夫がこらされてはいるものの、ウェーハの中心から半径方向に研磨ムラが生じることがある。
研磨ムラの形態としては、外周縁部が研磨過剰となる場合や、外周縁部に近い箇所や中央部が研磨不足となる場合など種々の形態があり、その原因は或る一つには特定できず、ごく薄いウェーハの外周面を保持することによるウェーハの撓み、ウェーハが押し付けられる研磨パッドの弾性反力による撓み、研磨パッドとウェーハとの間に進入するスラリーの量がウェーハの中心部と周縁部とで異なることによる研磨レートの差異、ウェーハの被研磨面の反対側の平面度の影響など、種々の要因が絡み合っていると考えられる。
ウェーハは回転して研磨されることから、研磨ムラは回転中心から半径方向に円形或いは環状の凸部或いは凹部となって現れ、フォトリソグラフィーによる感光工程では微細パターンの露光に支障を来し、Cuなどの薄膜の除去工程では研磨過剰が導電パターンの断線を引起こし、研磨不足が導電パターンの短絡を引起こすことがある。
上記のような研磨ムラを解消するための技術としては、以下のような特許文献記載の技術が知られている。
特許文献1には、研磨面を有するターンテーブルとトップリングとを備え、前記ターンテーブルとトップリングとの間に、ポリッシング対象物を介在させて、所定の力で押圧することによって該ポリッシング対象物を研磨し、平坦かつ鏡面化するポリッシング装置において、前記トップリングがポリッシング対象物を保持する保持面を可変の流体圧によって変形可能とし、かつトップリングの周囲に配置され可変の押圧力で前記研磨面を押圧するとともにポリッシング対象物をトップリングの保持面内に保持するリテーナリングを設けたことを特徴としている。
特許文献2には、トップリング内に設けられるとともに弾性膜で覆われ流体が供給される流体室と、流体室を形成する弾性膜と基板Wとの間に介装され弾性膜を介して基板Wに押圧力を加わるための複数の加圧部材とを備えている。
これにより、流体室内の流体から複数の加圧部材に押圧力が付与され、基板はこれら加圧部材によってターンテーブル上の研磨面に押圧される。そのため、基板の全面に亘って均一な押圧力を加えることができ、基板の被研磨面の全面を均一に研磨できるとしている。
特許文献3には、基板を保持するトップリング本体と、基盤に当接する弾性パッドと、
弾性パッドを支持する支持部材があり、支持部材の下面に弾性パッドに当接する弾性膜を備えた当接部材を有し、弾性パッドと支持部材との間に形成される空間の内部には、当接部材の内部に形成される第1の圧力室と該当接部材の外部に形成される第2の圧力室とを有する構成としている。
言い換えれば、第1の圧力室と第2の圧力室は隣接した構成になっており、夫々の圧力室には独立した圧力がかけられるようになっている。
特許文献4には、ウェーハ保持具の底面に環状の凸部を設け、この凸部により局部的に研磨圧力を強化するようにした装置や、特許文献2,3と同様に、ウェーハ保持具の内部を半径方向に分割して複数の空気室を形成し、夫々の空気室の底面に形成した孔を通じてウェーハの上面へ空気圧を作用させ、ウェーハを研磨パッドへ押し付けるとともに、各空気室の空気圧を制御し、ウェーハの内周部分と外周部分とで押し付け圧力を相違させてウェーハの各部の研磨量を制御する装置が記載されている。
特開2001−179605号公報 特開2001−138224号公報(図4参照) 特開2002−187060号公報 特表2001−513451号公報(図9参照)
特許文献1記載の構成は、例えばダイヤフラム型トップリングの面内加圧分布制御方式を使用してウェーハ面内の加圧制御を行っている。ダイヤフラムの内側は一つのエアー室から構成され、そのエアーを負圧にするとダイヤフラムは凹んで外周部を押圧し、ダイヤフラムに与えるエアーを正圧にするとダイヤフラムは膨らんでウェーハ中心部を比較的強く押圧する。
しかし、かかる構成を有する特許文献1記載の研磨装置を用いる場合は、ダイヤフラムの撓み剛性が面内でばらつくことが存在する。ダイヤフラム内はパスカルの原理で均等に押圧されているだけであるから、ダイヤフラムの撓み剛性の偏りを補正する応力は作用しないため、終始ダイヤフラムの撓み剛性のばらつきがウェーハを押圧する圧力ばらつきになる。
又、内圧によって、凸状ないしは凹状に変化するダイヤフラムは、ウェーハと略同径に製作されている。そのため、ダイヤフラムの撓みの支点は、ウェーハの外周エッジと略同一位置になる。このように撓み変形の支点は、圧力として特異的な挙動をもたらす。特に、撓み変形の場合、その撓み部材の支持形態によってその近傍は変化する。
通常、ダイヤフラムのような加圧容器を形成する場合、ダイヤフラムの支持部分は両端固定状態となる。両端固定でダイヤフラムが固定される場合、たとえ、ウェーハ中央部付近は撓んでいたとしても、支点付近の変位は0となる。また、撓みの傾きも0となり、実質的に圧力はかからない。ウェーハの内周部分に移るに従って、ダイヤフラムの傾きが徐々に大きくなるが、その傾きは変曲点を持つことになる。そのため、圧力分布は理論上、滑らかに変化することはなく、特異な圧力分布になることが予測される。(特許文献1図参照)
又、ダイヤフラムが伸縮性の弾性部材で構成される場合は、こうした圧力分布の特異点は存在するが、その特異点による影響が顕著でない場合もある。これは、ダイヤフラム自身の伸縮、弾性変形の変形しろが大きいため、ダイヤフラム内で吸収し、見かけ上滑らかな形状になる。しかし、こうした弾性部材でダイヤフラムを形成する場合、局所的な加圧分布を、ダイヤフラムの撓み剛性によって緩和する能力は大きく低下する。即ち、ダイヤ
フラムに局所的な荷重がかかっても、その局所部分だけが変形するため局所荷重を分散して分布を持たせた圧力を伝達するといった応力分散板としての機能は殆どなくなってしまう。
このようなことから、ダイヤフラムは応力を分散する程度のある程度の剛性を持つ必要があるが、ウェーハと略同径の場合、ウェーハエッジ付近には特異的な圧力がかかることになり、ウェーハエッジ部の均一性を大きく損なうことになる。
又、更にダイヤフラムの周囲には弾性膜(メンブレン)が外周部で約90°に折り曲げられて巻き付けられている。このようにエッジ部付近で約90°折り曲げられて円柱体に固定されている場合、弾性シートであってもエッジ部付近は弾性シートが局部的に撓んで変形しているため、過剰な変形歪がそこに蓄えられ、弾性シートの弾性率はウェーハエッジ部分だけ急激に大きくなる。その結果、ウェーハエッジ部分は折り曲げられた弾性シートによる変形抵抗もあって過剰な応力が及ぼされた。
以上の状況から、ウェーハ面内の研磨形状を補正する、乃至は研磨形状にある程度の分布を形成することは可能であるかもしれないが、その反面、副作用としてウェーハエッジ部に至るまで安定した均一な圧力分布を形成することは非常に困難である。
特許文献2記載の研磨装置は、流体室8内の流体から押圧力が付与された多数の加圧ピンにより半導体ウェーハWを分割して荷重をかけられるのでウェーハWの厚みによらず、半導体ウェーハWの中央部から周縁部に至るまで全面に亘って均一な研磨圧力を加えることができるとしている。しかし、その反面、夫々の複数の加圧部材を完全に制御できないことや、複数の加圧部材は独立しているため、滑らかな加圧変化を形成することは原理的に不可能である。
更に、ウェーハ保持具の内部を半径方向に分割して複数の空気室を形成する構成は、半径方向の分割点から中心部にかけての部位と、半径方向の分割点から外縁部にかけての部位との研磨圧力を個別に制御できて対応性が広いが、空気室の分割点(隔壁或いは空気室間の間隙)ではウェーハに圧力が加わらず、極端にいえば空気室の分割点に対応する箇所に研磨不足による凸状円環形の段差が生じた不連続な仕上がり形状となる。
特許文献3記載の研磨装置は、成膜時の膜厚分布を補正するために、研磨形状を変化させて研磨後の膜厚分布を均一にするための研磨装置を提供することを目的としている。
基板を保持するトップリング本体と、基板の外周縁の上面に当接するシールリングと、外シールリングを支持する支持部材とを備え、シールリングと支持部材との間に形成される空間の内部には、当接部材の内部に形成される第1の圧力室と、当接部材外部に形成される第2の圧力室とを有して、夫々の圧力室に独立した流体または真空を供給する。
こうした構成の場合、第1の圧力室と第2の圧力室は、独立した圧力が付与されるが、第1の圧力室によって押圧されるウェーハ領域と、第2の圧力室によって押圧されるウェーハ領域とで明らかに圧力が変化するため、結果的に階段状の圧力分布が形成される。その結果、研磨形状が滑らかにならず、階段状の研磨形状が形成される。
特に第1の圧力室及び第2の圧力室を覆う弾性膜が非常に軟らかい材料を使用した場合、特に、階段状の圧力分布が顕著に現れるため、階段状の研磨形状はより顕著になる。
通常、成膜時の膜厚分布は滑らかな分布であるため、こうした階段状の圧力分布を与える方式においては、必ずしも膜厚分布を完全に補正できない。
一方、第1の圧力室及び第2の圧力室を覆う弾性膜が、多少の剛性を有する部材が使用された場合、第1の圧力室に封入された流体の圧力は、弾性膜を撓ませるための圧力として使用され、圧力室に圧入された圧力が、ウェーハを押圧する圧力として効果的に与えられなくなる。よって、圧力室が隣接して存在する場合、夫々独立した圧力を与えながらもその結果、滑らかな圧力分布を与えることは非常に難しい。
本発明で解決する課題は、初期の滑らかな膜厚分布に対してそれに対応させる圧力分布も滑らかな圧力分布を形成し、その結果滑らかな研磨形状を得ようとするものである。
特許文献4中のウェーハ保持具の底面に環状の突起を設け、この突起により局部的に研磨圧力を強化するようにした装置は、或る特定の箇所のみの研磨圧力を強化できるもので、各種のウェーハ面状態にあわせるためには、ウェーハ毎に突起の位置調整、或いは突起位置の異なるウェーハ保持具への交換などの作業を要して実用性に乏しい。
又、同文献中には、ウェーハ保持具の空気室をチャンバシールで内側チャンバと、外側チャンバとに分割し、薄膜(ウェーハへ圧力を付与するシート部材)の内側部分と外側環状部分にかかる下向き荷重を独立して調整できるようにした構成が記載されているが(同文献4、図9、段落0060,0061参照)、この場合も、チャンバシールによるチャンバの分割点での研磨圧力の不連続性の問題は存在する。
そこで、ウェーハの内周部と外周部の研磨圧力を制御可能なウェーハ研磨装置において、ウェーハ保持具の複数に分割した空気室からウェーハにかかる研磨圧力の不連続性を可及的に解消して、研磨精度を向上するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は以下の課題を解決することを目的とする。
初期の滑らかな膜厚分布に対応させて、研磨形状を制御することにより、研磨後に均一な膜厚分布を得る研磨装置を提供する。
ウェーハ裏面に加圧した際に、夫々の圧力をかけた領域(エリア)に対して、導入圧力を忠実に反映する独立した加圧機構を有しながらも、領域で別れることにより階段状に圧力が変化する不連続変化を緩和して、滑らかな圧力分布形成の下で、滑らかな研磨形状を得る装置を提供する。
ウェーハエッジ部付近において、可撓板の支点(固定端)がウェーハ外周付近に存在し、それにより部材撓みの変曲点によるエッジ部の過剰な圧力、もしくは特異な圧力分布をなくし、ウェーハ内部からウェーハ外周に到るまで滑らかな圧力分布の下で滑らかな研磨形状を得る装置を提供する。
ウェーハエッジ部分において、部材が急激に曲げられることによる変形歪によって生じるエッジ過剰研磨を防止する。
ウェーハに滑らかな圧力分布を与える一方で、ウェーハ裏面にキズや汚れを付けない研磨装置を提供する。
この発明は、上記目的を達成するために提案するものであり、請求項1記載の発明は、ウェーハを保持する研磨ヘッドを備え、研磨ヘッドが保持したウェーハをプラテン上の研磨パッドの表面へ押し付け、プラテンと研磨ヘッドを夫々相対的に運動させて、ウェーハを研磨するウェーハ研磨装置であって、
前記研磨ヘッドの底面であるウェーハ装着面に複数のウェーハ押圧部分を配置し、複数の前記押圧部分に空気を個々に独立して供給して、その空気圧により前記複数の押圧部分が独立して変位する機構を有し、
その複数の押圧部分を包絡するとともに、ウェハへの押圧分布を緩和する撓み性を有する可撓板を装着したことを特徴とするウェーハ研磨装置を提供するものである。
この発明は、上記目的を達成するために提案するものであり、請求項1記載の発明は、ウェーハを保持する研磨ヘッドを備え、研磨ヘッドが保持したウェーハをプラテン上の研磨パッドの表面へ押し付け、プラテンと研磨ヘッドを夫々相対的に運動させて、ウェーハを研磨するウェーハ研磨装置であって、
研磨ヘッドの底面であるウェーハ装着面に複数のウェーハ押圧領域を配置し、
複数の前記押圧領域異なる圧力の空気を供給して、その異なる圧力により前記複数の押圧領域が独立して変位して押圧する機構を有し、
その複数の異なる圧力の押圧領域を包絡するように撓み性を有する可撓板を装着したことを特徴とするウェーハ研磨装置を提供するものである。
この構成によれば、従来の複数の独立したエアー圧力によってウェーハ裏面に圧力が伝達される機構では、ウェーハだけの撓み剛性では、階段状の圧力分布を緩和することができず、結果として、階段状の圧力分布形成の下でそれに対応した研磨形状が形成された。
しかし、この構成によれば、夫々のヘッド内のウェーハを押圧する領域が個別に変化していたとしても、可撓板が圧力の分散効果を有するため結果的に独立した圧力を与えたとしても、滑らかな研磨形状となって現れる。これにより、従来の本質的な階段形状の圧力分布形成による階段状の研磨形状の形成は回避される。
尚、先程の特許文献1に示すダイヤフラムにおいても、ダイヤフラム内の圧力を制御することで、ダイヤフラム表面を凸状や凹状に変形することは可能である。しかし、ダイヤフラムが変形する場合、ダイヤフラムを支えている部材は、ダイヤフラム内は中空(空気)であるため、該ダイヤフラムを強制的に押し戻す力は働かない。なぜなら、ダイヤフラムが変形しようとも、パスカルの原理によってダイヤフラム内には絶えず一様な圧力がかかるだけであり、変形した部分に局所的に回復させようとする力が働かないからである。そのようなことから、ダイヤフラムを変形させるウェーハに対するせん断方向の応力が働いた場合において、ダイヤフラムの広がり方が面内で変形すると、それを補正する力が作用しないため、結果的に片削れした研磨形状が形成される場合が想定される。
しかし、本願のように可撓板の下に独立した圧力を与える機構を有する場合、可撓板が変形したとしても、その下に存在する独立した圧力を与える機構における圧力設定値は変化しないため、局所的に可撓板が変形したとしても、それを下から押し戻す力が作用する。その結果、研磨圧力も下支えされた独立加圧機構の下で、絶えず安定した圧力が可撓板を通じてウェーハに与えられることになる。
この構成によれば、ウェーハ面内の各々の領域を覆う弾性膜により、弾性膜内に封じ込められたエアーの圧力が、弾性膜を押し出す際に、弾性膜自身からの反発を受ける反発弾性の影響を殆ど受けず、弾性膜内に封じたエアーの圧力を忠実に伝達することが可能となる。例えば、弾性膜ではなく、硬質部材であれば内部に封じ込めた圧力を忠実に伝達できなくなるのはいうまでもない。夫々の弾性膜内には異なるエアー圧が入っているため、夫々のエアーの圧力を忠実に伝達するものが、一方でウェーハ裏面を押圧する圧力はエアー圧の領域に対応して段階的になる。このエアー圧は夫々のエリアではパスカルの原理で一様になるため、静止したエアー圧を滑らかに変化させることは原理的に不可能である。
そこで、ウェーハに与える圧力は滑らかにする必要があることから、その弾性膜を包絡するように可撓板を上に載せることにより、部材の撓みの効果によって段階的なエアー圧力を緩和させて緩やかに変化する圧力分布を形成し、その圧力分布をウェーハに与えることでウェーハ面内を緩やかな研磨形状にすることが可能となる。
本発明は、ウェーハに押し付け圧力を付与するにあたって、空気圧を直接ウェーハに付与するか、又は柔軟な樹脂シートを介してウェーハを押す従来の構成とは異なり、ウェーハよりも剛性の高い圧力ディスクを介してウェーハに圧力を加えるので、複数の圧力空気室への空気圧を制御して研磨する構成において、空気室間の隔壁部分での圧力不足による研磨ムラを解消でき、研磨精度が向上する。
更に、ウェーハ以上の撓み剛性を有する圧力ディスクを用いることにより、撓み剛性の低いものを用いた場合より全体的な圧力の連続性がより向上する。
又、空気室内の気圧を負圧としてウェーハを圧力ディスクの下面へ吸着することによりウェーハを確実に保持でき、研磨ヘッドの移動時にウェーハが脱落する虞が解消される。
更に又、撓み剛性の異なる圧力ディスクの交換や研磨ヘッドのクリーニングなどのメンテナンスを容易に行える。
本発明は、ウェーハの内周部と外周部の研磨圧力を制御可能なウェーハ研磨装置において、ウェーハ保持具の複数に分割した空気室からウェーハにかかる研磨圧力の不連続性を可及的に解消して研磨精度を向上させるという目的を達成するためにウェーハを保持する研磨ヘッドを備え、研磨ヘッドが保持したウェーハをプラテン上の研磨パッドの表面へ押し付け、プラテンと研磨ヘッドを夫々相対的に運動させて、ウェーハを研磨するウェーハ研磨装置であって、研磨ヘッドの底面であるウェーハ装着面に複数のウェーハ押圧部分を配置し、複数の前記押圧部分に空気を供給して、その空気圧により前記複数の押圧部分が独立して変位する機構を有し、その複数の押圧部分を包絡するように撓み性を有する可撓板を装着したことを特徴とするウェーハ研磨装置を提供することにより実現した。
以下、本発明の好適な実施例を図1乃至図3に従って説明する。図1はウェーハ研磨装置1を示し、円盤形のプラテン2はプラテン駆動モータ3を用いた回転駆動機構4の上に取付けられていて、プラテン2の上面に研磨パッド5が貼付けられている。プラテン2の上方且つプラテン2の回転中心から変位した位置に配置された研磨ヘッド6は、プラテン2よりも小径の円盤形であり、その下面に研磨対象であるウェーハWが取付けられている。
図示は省略しているが、研磨ヘッド6の軸7はヘッドキャリアアームの先端に配置したモータによる回転駆動機構へ取付けられており、ヘッドキャリアアームにより図1の研磨位置とプラテン2上から退避した位置とへの移動及び昇降が行われる。又、エアポンプ、空圧制御弁、空圧レギュレータを含む空圧制御装置からの複数の空気配管がロータリジョイント及び中空の軸7の内部を通じて研磨ヘッド6のトップカバー8内へ通じている。
研磨工程においては、研磨パッド5の上面に薬液供給装置(図示せず)から研磨薬液又は研磨スラリーが滴下され、研磨ヘッド6はウェーハWがパッド5の上面へ接触する高さまで下降されるとともに、プラテン2と研磨ヘッド6が夫々同一の方向へ回転駆動されてウェーハWの被研磨面(下面)が研磨される。
図2は研磨ヘッド6の研磨形状補正構造を説明するための解説図である。トップカバー8の外周から下方へ延びる外周リング部9の下にリテーナリング10が配置されており、リテーナリング10の内部に円盤状のキャリア11が装着されていて、トップカバー8、外周リング部9、リテーナリング10、キャリア11は軸7と一体的に回転駆動される。
キャリア11の底面には、同心円をなす環状溝である内側空気室12、中間空気室13、外側空気室14が形成されている。ここでは、キャリア11の空気室を三つに分割しているが、二分割或いは四分割以上でもよい。内側空気室12、中間空気室13、外側空気室14の三つの空気室は、夫々キャリア11の上面へ貫通する孔が形成されており、夫々の孔は空気管路15,16,17を通じて空圧制御装置(図示せず)へ接続され、個別に空気圧を制御される。尚、公知技術と同様にリテーナリング10を昇降可能な状態に支持し、空気圧によってリテーナリング10の押し付け圧を制御してもよい。
ここで、夫々の空気室の表面は柔らかいゴム材料で覆われている。例えば、ゴム材料としては、クロロプレンゴムやスチレンゴムなどが望ましい。又、軟らかい材料であっても空気室が膨張した後、その膨張後に空気がなくなれば略完全に元の状態に回復する圧縮永久歪の小さいゴム材料であることが望ましい。仮に、この空気室を覆う材料が硬質の可撓性部材などを使用した場合、空気室に導入した圧力を忠実に反映されず、ウェーハを押圧する基礎となる圧力状態を形成できない。よって、空気室内の圧力を忠実に伝達するためには、空気室を覆う材料は極力弾性係数の小さいゴム材料が好適である。
キャリア11の底面には、三つの空気室12,13,14の空気圧を直接受ける圧力ディスク18と被研磨材であるウェーハWが装着されている。圧力ディスク18とウェーハWの直径はキャリア11の直径と略等しく、外周面がリテーナリング10の内周面に接触して、リテーナリング10の内周面とキャリア11の底面とが形成する空間に保持される。
圧力ディスク18は、シリコン素材の薄いウェーハWよりも撓み剛性が高い樹脂又は金属の板状部材であって、キャリア11の底面に接触するように装着され、圧力ディスク18の底面にウェーハWが重ね合わされる。
圧力ディスク18は、先程の空気室を覆うゴム材料とは大きく異なり、剛性の高い可撓性部材が使用される。これは、空気室に導入された基礎となる圧力を緩和して、ウェーハWに与えるためである。
空気室では区画化して独立した圧力しか与えられないが、実際のウェーハWに与える圧力分布は滑らかな圧力分布を形成する必要がある。そのため、先程の夫々の空気室で形成された基礎となる圧力分布状態を包絡するような機能を有する程度の剛性の高い可撓性部材が好適に使用される。
使用される材料として、例えば塩ビプレート(3mm程度の厚み)、アクリル板(3mm程度の厚み)、SUS板(1mm厚)などでよい。表面は硬質で圧力を受けても圧縮変形するものではなく、撓み変形するような母材を使用する。
図2(a)に示すように、外側空気室14、中間空気室13、内側空気室12に印加する空気圧を夫々a,b,cとすると、圧力ディスク18の外側空気室14、中間空気室13、内側空気室12に対応する三箇所の部位は、夫々a,b,cの空気圧を受け、その直下のウェーハWをa,b,cの圧力分布に応じて研磨パッド5へ押し付ける(ただし、圧力ディスク18の剛性により空気圧a,b,cよりも減衰した圧力)。
その結果、空気室の壁の部分、即ち、区画化した境界の部分においては、圧力がかからなくなるため、ウェーハWに与えられる圧力分布としては連続した滑らかな分布にならず、図3(b)に示すように多少くびれた形状になる。
このとき、ウェーハキャリア11の各空気室12,13,14を区画する隔壁の直下の位置では、圧力ディスク18が有する剛性により隔壁の片側の空気圧から他方の側の空気圧へ遷移する圧力がかかり、ウェーハ全体としては滑らかな圧力分布となる。例えばa<b<cの関係で空気圧を供給した場合の圧力分布グラフを図2(b)に示す。
圧力ディスク18を入れた場合では、夫々の空気室における圧力分布形態を包絡するような形態に圧力の分布が緩和される。
空気室の圧力分布は、個別の圧力を形成するため、夫々独立した圧力を導入し、結果として不連続な圧力分布しか形成されないが、圧力ディスク(可撓性のプレート)を挿入することによって、部材の撓み剛性の作用によって圧力が緩和されるようになり、aとb、bとcの間の圧力が滑らかに遷移する。尚、空気圧a,b,cの設定はウェーハWの面状態に応じて任意に設定するものであって、図2(b)の例は一例である。
図2(a)の実施形態から圧力ディスク18を除いた状態を図3(a)に示す。これは従来の空気室を半径方向で分割した構成と同一の状態である。この状態で図2と同様に外側空気室14、中間空気室13、内側空気室12に夫々a,b,cの空気圧を供給すると、ウェーハWの各空気室12,13,14へ対応する部分は、夫々a,b,cの空気圧を受け、a,b,cの圧力分布に応じて研磨パッド5へ押し付けられるが、ウェーハWが各空気室12,13,14の圧力a,b,cに応じて撓むことにより、キャリア11の各空気室12,13,14を区画する隔壁の直下の位置では、研磨ヘッド6の下降圧力以上はかからない。
そのため、隔壁の直下の位置では、圧力分布形態がくびれた状態になる場合や、たとえ隔壁の幅を殆ど0としたとしても、階段状の圧力分布となって滑らかな圧力分布の形態を得られるものではない。
例えば、図2(a)と同様にa<b<cの関係で空気圧を供給すると、図3(b)に示すように、隔壁の直下の位置では殆ど圧力がかからないため、隔壁の直下の位置では外側空気室14、中間空気室13、内側空気室12の直下位置のようには研磨が進行せず研磨不足となり、この部分が環状に残って段差となる。
以上は、請求項1〜3記載の発明の実施の形態についての説明であるが、ウェーハWに押し付け圧力を付与するにあたって、空気圧を直接又は柔軟な樹脂シートを介してウェーハWを押す従来の構成とは異なり、ウェーハWよりも剛性の高い圧力ディスク18を介してウェーハWに圧力を加えるので、複数の同心円の圧力空気室への空気圧を制御して研磨する機械構成において、空気室間の圧力の不連続性を解消でき、空気室間の隔壁部分での研磨不足を解消できる。
請求項4記載の発明の実施例は、圧力ディスク18(可撓性プレート)の下面には軟質の保護フィルム(図示せず)が装着される。これは、圧力ディスク18は先に述べたように硬質部材を使用しているため、その母材がウェーハWに当接するとウェーハW裏面を傷つけるからである。よって、圧力ディスク18の表面にはウェーハWに当接してもウェーハWを傷つけないような部材を使用するのが望ましい。
例えば、市販のウェーハマウント材やスウェードタイプのパッキングフィルム材料などが好適に使用される。又、保湿性のよいPVAスポンジなどのポーラス材料などであってもよい。
更に又、請求項5記載の発明は、図4に示すように圧力ディスク18や保護フィルムの
表裏を貫通する吸引孔19,19…が設けられており、該吸引孔19,19…を介してウェーハWを圧力ディスク18へ吸着させる。ウェーハWは、研磨前ウェーハWを搬送する際に、この吸引孔19,19…からエアーと共にウェーハWを吸い込むことで圧力ディスク18上の軟質部材表面に減圧吸着される。これによって、ウェーハWを搬送系から研磨部分へ該ウェーハWを研磨ヘッド6に吸着した状態で搬送することが可能となる。
又、リテーナリング10内へ装着されている圧力ディスク18は着脱が可能であり、容易に交換や機器のメンテナンスが行える。
又、請求項6および7記載の発明は、図5に示すように、上記圧力ディスク18(可撓性プレート)は更に別に設けられた可撓膜20に貼付け装着されている。該可撓膜20に使用される材料は、たとえばPFAシート(0.3mm厚)やPEシート(0.5mm)などが好適である。圧力ディスク18と比較して該可撓膜20は比較的、軟質もしくは薄手の材料が使用される。
これは、圧力ディスク18は、ウェーハW面内の個々の設定圧力を包絡した機能を果たすのに対して、該可撓膜20はウェーハエッジ部の圧力変化を緩和し、エッジ部付近の研磨形状を連続かつ均一にすることが目的であるからである。
仮に、圧力ディスク18だけでエッジまで構成すると、エッジ部分に対して応力が集中しやすくなる。特にウェーハWが存在する領域と存在しない領域の境界部分で、局所的な応力がエッジ部に作用し、その結果ウェーハWはエッジ部分での過剰研磨を引き起こす。それを少しでも緩和するために、エッジ部については薄手の可撓膜20の撓み性を利用して、圧力変化を緩和することによって滑らかなエッジ形状を得ることが可能となる。
又、図2に示すように請求項8記載の発明は、この圧力ディスク18を取り付けた前記可撓膜20は、更にリテーナリング10に挟持される。それにより次の作用効果が得られる。
従来のようにキャリア11に可撓膜20を取り付けた場合、キャリア11の周りにはウェーハW周囲を保護するリテーナリング10が存在するため、可撓膜20を急激に折り曲げて取り付ける必要があった。該可撓膜20を急激に折り曲げてキャリア11に取り付ける場合、折り曲げた部分で応力が蓄積され、その結果、その折り曲げた部分に対応するウェーハエッジ部分が、局所的に過剰な応力を受けて過剰に研磨される問題があった。
それに対して、圧力ディスク18を貼付けた該可撓膜20をリテーナリング10部分に取り付けることにより、可撓膜20を略水平状態でウェーハW外周部まで引き伸ばすことが可能となる。更に、可撓膜20を保持する支点を、ウェーハエッジより少しはなれた部分に設定することが可能となるため、ウェーハW領域に対応する可撓膜20部分は急激な折り曲げなどによる形状変化がなく、滑らかに変形してウェーハエッジ部の圧力分布が形成される。
請求項9記載の発明は図1に示す上記ウェーハ研磨装置において、複数の押圧部分を包絡する圧力ディスク18はさらに剛性の低い可撓膜20に取り付けられ、その可撓膜20はウェーハWの外周を保護するリテーナリング10に対して張力を設定して固定され、該リテーナリング10は、ウェーハWを押圧するキャリア11と独立した加圧機構を有する。リテーナリング10の加圧により可撓膜20の外周部に圧力が与えられ、ウェーハエッジ部の圧力を変化させることが可能となる。
請求項10記載の発明は、図6(a)に示すようにウェーハW吸着の際には、剛性の低
い可撓膜20はキャリア11の外周部の間で可撓膜20がキャリア11外周に巻き付く形でシールし、ウェーハWを吸着搬送することが可能となる。
一方、同図(b)に示すように、ウェーハW研磨時にはキャリア11から供給される圧力エアーによって剛性の低い可撓膜20を介してウェーハWを押圧するとともに、キャリア11とその可撓膜20との間でエアー層を形成するため、安定して一様な圧力分布をウェーハWに与えることが可能となる。
又、供給された余剰のエアーは、キャリア11外周部と可撓膜20との間の部分から外部へ抜け出す。これにより、連続的に供給されるエアーの下でウェーハW裏面をエアー層を介して押圧することが可能となる。
以上から、ここでは可撓性膜とキャリアヘッドの外周部は弁構造になる。
次に請求項11記載の発明は、ウェーハWを保持する研磨ヘッド6を備え、研磨ヘッド6が保持したウェーハWをプラテン2上の研磨パッド5の表面へ押し付け、プラテン2と研磨ヘッド6を夫々相対的に運動させてウェーハWを研磨するウェーハ研磨装置であって、研磨ヘッド6の底面であるウェーハ装着面に複数のウェーハ押圧部分を配置し、複数の前記押圧部分に空気を供給してその空気圧により前記複数の押圧部分が独立して変位する機構を有し、その複数の押圧部分を包絡するように撓み性を有する圧力ディスク18を装着し、複数の押圧部分に異なる段階状の押圧力を与えるとともに、複数の押圧部分を包絡する圧力ディスク18によって段階状の押圧力を緩和することによって、ウェーハWに滑らかな圧力分布を与える。
尚、この発明は上記の実施形態に限定するものではなく、この発明の技術的範囲内において種々の改変が可能であり、この発明がそれらの改変されたものに及ぶことは当然である。
ウェーハ研磨装置の斜視図。 (a)本発明のウェーハ研磨装置の研磨ヘッドの縦断面図、(b)ウェーハにかかる半径方向の圧力分布グラフ。 (a)図2の研磨ヘッドから圧力ディスクを除いた状態の縦断面図、(b)ウェーハにかかる半径方向の圧力分布グラフ。 図2の研磨ヘッドに装着した圧力ディスクの平面図。 図2の研磨ヘッドに装着した圧力ディスク上面に可撓膜を装着し、ウェーハを吸着した状態を示す参考図。 (a)図2の研磨ヘッドに装着した圧力ディスク上面に可撓膜を装着し、ウェを吸着した状態を示す断面図、(b)上記(a)からウェーハを圧力エアを押圧した状態を示す断面図。
符号の説明
1 ウェーハ研磨装置
2 プラテン
3 プラテン駆動モータ
4 回転駆動機構
5 研磨パッド
6 研磨ヘッド
7 軸
8 トップカバー
9 外周リング部
10 リテーナリング
11 キャリア
12 内側空気室
13 中間空気室
14 外側空気室
15,16,17 空気管路
18 圧力ディスク
19 吸引孔
20 可撓膜
W ウェーハ

Claims (1)

  1. ウェーハを保持する研磨ヘッドを備え、研磨ヘッドが保持したウェーハをプラテン上の研磨パッドの表面へ押し付け、プラテンと研磨ヘッドを夫々相対的に運動させて、ウェーハを研磨するウェーハ研磨装置であって、
    前記研磨ヘッドの底面であるウェーハ装着面に複数のウェーハ押圧部分を配置し、複数の前記押圧部分に空気を個々に独立して供給して、その空気圧により前記複数の押圧部分が独立して変位する機構を有し、
    その複数の押圧部分を包絡するとともに、ウェハへの押圧分布を緩和する撓み性を有する可撓板を装着したことを特徴とするウェーハ研磨装置。
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