JP5410101B2 - 酵素的にカルボン酸エステルを調製する方法 - Google Patents

酵素的にカルボン酸エステルを調製する方法 Download PDF

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Description

本発明は、酵素的にカルボン酸エステルを調製する新規方法に関する。
カルボン酸エステルは、重要な化合物群である。例えば、脂肪酸のエステルは、化粧品製剤の油相としてしばしば用いられる。カルボン酸から始まるそのような化合物を調製するために、様々な方法が知られている。この課題の最初の概要は、Beckerら、“Organikum”、22版、Wiley-VCH、2004年、ワインハイム、ドイツ、472頁以下に見出される。
近年、生体触媒の使用に基づくますます多くの方法が使用されている。これら方法の主な利点は、一般的には、反応条件が穏やかなことであり、比較的低温、典型的には100℃未満での穏やかな変換が可能になる。同時に、酵素的方法の更なる利点を示し得ることも多く、具体的にはその化学選択性、位置選択性、またはエナンチオ選択性がしばしば高い。不均一生体触媒、例えば、不活性支持体上に固定化した酵素または酵素を含んだ微生物の使用は、それらを反応後に簡単に取り除き、適宜、再使用できる利点を有している。酵素の固定化に用いる支持体は、しばしば、適切な粒度分布を有するイオン交換樹脂またはポリマービーズである。これらの例は、市販の製品、Novozymes A/S、バウスヴェア(デンマーク)のNovozym 435、Lipozym RM IMもしくはLipozym TL IM、またはアマノ(日本)のAmano PSである。しかしながら、固定化した酵素調製物を得る他の多くの方法が、例えばK. Faber、“Biotransformations in Organic Chemistry”、Springer、2000年、ベルリン、ドイツ、384頁以下、J. Am. Chem. Soc.、1999年、121巻、9487〜9496頁、J. Mol. Catal. B、2005年、35巻、93〜99頁、または特許出願DE10 2007 031689.7にも記載されている。
再使用可能を確実にするための更なる条件は、使用する触媒に作用し、支持体の壊変を引き起こして顕著に粒径を減少させ、その結果、容易に取り除くことの要求はもはや満たされず、活性が大きく失われることがしばしば観測される、機械力を最小にすることである。そのような力は、特に従来の攪拌反応器(stirred reactor)を用いた場合に起こる。例えばDE10 2007 031689.7には、攪拌フラスコ使用後に起きる酵素固定化物の粒径の減少について記載されている。
使用する触媒の機械的安定性を改善する1つの手段は、固定床反応器(fixed bed reactor)を使用することにある。例えば、Eur. J. Lipid Sci. Technol.2003年、105巻、601〜607頁には、リパーゼ触媒エステル化を行うための固定床反応器の使用が記載されている。ここでは、触媒は充填床(packed bed)の形で使用され、反応混合物は、所望の転換率が達成されるまで、固定床を通って循環して貯蔵容器からポンプで運ばれる。
しかしながら、生成物の最高品質を得るのに望ましい反応温度の低下には、そのような反応を工業的に行うことに対して欠点もある。対応する酸およびアルコールからのカルボン酸エステルの調製は、平衡反応であり、該反応では、高い転換率を達成するために、生成物、典型的には形成された反応水を系から取り除かなければならない。特に高い転換率、例えば99%超を達成するために、実質上完全に水を取り除くことが必要である。これは、一般的には蒸留で行われる。
当業者にはよく知られていることだが、混合物中の物質の蒸気圧は純粋な形態のものと比較して有意に低くなるので(「ラウールの法則」)、混合物から物質を蒸留によって除去することは、除去する物質の濃度が低下するとますます難しくなる。それゆえに、効果的に水を除去するために特殊な方法が必要になる。
熱力学的制御手段は、例えば100℃を優に超えるまで混合物の温度を増加させることにある。しかしながら、この方法は、酵素的方法の選択肢とはならない。なぜなら、第1に、この方法の実際の利点、具体的には低温での反応の実施がなくなり、第2に、そのような高温では使用される酵素の耐用寿命が相当に短くなるためである。
更なる熱力学的制御手段は、周囲気圧が、混合物中の除去すべき水の蒸気圧に非常に近接することにある。しかしながら、この目的のために必要とされる高真空は、生産規模、すなわち容量数トンのプラントでは非常に高いコスト水準および不都合を伴ってしか実施できない。
更なる別の手段は、水の蒸気圧を増大させることまたは共沸的に水を蒸留することが可能な溶媒を使用したものである。しかしながら、溶媒の使用は通常望ましくない。なぜなら、第1に、追加コスト(反応器投入量の減少、リサイクルコストなど)をもたらすからであり、第2に、多くの製品用途、例えば化粧品産業または製薬産業における用途のために、しばしば1桁のppm範囲にまで溶媒残留物の除去を確実にしなければならないからである。このことは通常は基本的に可能であるが、蒸留、抽出、または蒸発などの更なる時間を要する追加の処理工程を一般的には必要とし、したがって、更にそのプロセスの製造コストを増大させ、空時収量(space-time yield)を低下させる。
更なる変形手段は、例えば流下膜式蒸発器を使用する場合に、混合物の表面積を増大させるなどして反応混合物から気相中への物質移動の運動制限を最小にすることにある。この場合も、装置の複雑性がしばしば不釣合いに高い。
J. Biotech、2004年、110巻、209〜217頁には、スパージング反応器(sparged reactor)中でのケトプロフェンの合成のための酵素的エステル開裂が記載されている。しかしながら、その反応は水中で行われるので、有機媒体から除去するのが通常は特に難しい水が除かれるのではなく、2−クロロエタノールが除かれる。しかしながら、40%未満の転換率しか達成されなかった。このような低い転換率では、大量の過剰な水の結果として、平衡に到達することはなく、熱力学的理由により生成物の除去は全く不要であり、したがって反応計画に影響することもない。さらに、著者等は、酵素の3回目の使用後に相当に活性が減少することを見出しており(上記引用文215頁の図6参照)、そのため良好な再使用可能を主張することは正当化されない。固定床反応器に比べてスパージング反応器で初期に観測されるより高い反応速度は、3分の1増加した酵素濃度(酵素300mgに対しエステル40mmolに比して酵素50mgに対しエステル5mmol、上記引用文215頁の図6の脚注参照)、相当に低い転換率でスパージング反応が終了する結果としての生産性の増加、および関連するより高い初期速度利用により説明される。
エステル化反応の工業的実施において、製造コストを最小にするために反応時間を最小にすることが一般的には望ましい。一般的には、総反応時間は24時間未満、好ましくは12時間未満、より好ましくは6時間未満、特に3時間未満でなければならない。この目的のために、研究対象の反応の決定因子に関して理解することが必要である。エステル化反応の場合、これらは使用する触媒量であってもよいし、あるいは、上記に詳述したように、反応水の除去であってもよい。1つ目の場合では触媒量の増加により対処し、2つ目の場合では水の排出の最適化により対処する。
当該技術分野の上述の状況では、理論的には24時間未満、好ましくは12時間未満、より好ましくは6時間未満、特に3時間未満の反応時間を可能にしなければならない酵素量を用いるが、水排出の制限ゆえに実際には相当に長く継続する酵素量を用いる酵素的エステル化のための工業的プロセスが一般的にもたらされる。
反応の効率のために使用できる手段は、特定の転換率を達成するための実際に観測される有効反応時間(ER)を、計算された理論上の最小反応時間(TR)と比較することでもよい。後者は、使用酵素の比活性測定値から、使用量および問題とする反応のための酵素のミカエリス・メンテン定数Kを共に用いて、一次近似で計算することができる。その理論的背景は、例えばVoet, Voet, “Biochemie”(Biochemistry)、初版、Wiley-VCH、1992年、ワインハイム、ドイツ、329〜331頁に見出すことができる。方法の効率を例示するために、有効反応時間ERを理論上の最小反応時間TRで割った商を作ることができる。この有効比(EV)は、酵素的エステル化方法の効率について以下で使用する非常に好適な尺度である。
最小反応時間TRおよび有効比EVの理論的な導出は「材料と方法」の項に詳細に記載してある。
理想的場合では、EVは1であり、実際の反応では、できる限り1に近づけてEVを低下させるのが望ましい。しかしながら、例えば99%を超える特に高い変換率では、観測される有効比は1より優に大きく、しばしば5よりも大きく、または10より大きい。実施例6における適切な計算値のEVとともに、非発明である実施例1および2では、非常に高いEVの従来技術プロセスが示されている。
それゆえに、従来技術の少なくとも1つの欠点を克服する、カルボン酸エステルの酵素的調製のための反応プロセスがなお必要とされている。
ゆえに本発明の目的は、カルボン酸およびアルコールから始める、溶媒を用いない酵素による普遍的なカルボン酸エステル調製法を提供することであり、当該方法により、短い反応時間および同時に多回数の再使用に加えて、非常に高い転換率が可能になる。
明示的に述べていない更なる目的は、以下の記述、実施例、および請求項の文脈から明らかである。
驚くべきことに、この目的は、反応物の混合および反応水の排出の両方が気体の導入を通して達成される反応器の設計により達成されることが判明した。
したがって、本発明は、この反応器の設計を利用したカルボン酸誘導体を調製する方法を提供する。
本発明による方法において、使用する反応混合物ならびに生体触媒はガス流の導入によって混合され、同時に、形成される反応水が除去される。
本発明による方法は反応槽で攪拌器を使用せずに行うことができ、混合がガス供給によって確保されるので、攪拌器により引き起こされる触媒粒子への機械的圧力だけでなく熱圧力も最小限まで減少する。このようなことは、触媒の再使用可能性にとって基本的な必要条件である。
本発明によれば、使用するガスは、反応物、触媒、または反応器材料と全く反応を起こさないものであることができる。空気、希薄空気(lean air)、酸素、窒素、不活性ガス、または二酸化炭素の使用が好ましい。使用するガスは、適切な圧力容器、例えばガス容器から、あるいはコンプレッサーにより供給することができる。廃棄気流は、排出するか、あるいは好適な手段によって再使用し、循環することができる。
本発明により使用する触媒は、通常利用可能なフィルター系で大きな圧力低下を起こさずに触媒が反応容器中で保持され得るような平均粒径、すなわち0.5μm超、好ましくは5μm超、より好ましくは10μm超、特に25μm超のものであることができる。
酵素固定化物を作製するために、対象の酵素またはその混合物を含む全細胞、静止細胞、精製した酵素、または細胞抽出物を用いることが可能である。加水分解酵素、例えばリパーゼ、エステラーゼ、またはプロテアーゼ、例えば、Candida rugosa、Candida antarctica、Pseudomonas種、Thermomyces langosiosus、豚のすい臓、Mucor miehei、Alcaligines種由来のリパーゼ、Candida rugosa由来のコレステロラーゼ、ブタの肝臓由来のエステラーゼの使用が好ましく、リパーゼの使用が特に好ましい。したがって、酵素固定化物は加水分解酵素の部類由来の酵素、好ましくはリパーゼを含むことが好ましい。
酵素または酵素を含む微生物を固定化するために用いられる支持体は、不活性な有機支持体または無機支持体であってもよい。使用する不活性支持体は、微粒子支持体であることが好ましく、あるいは酵素固定化物に存在する該支持体は、少なくとも90%の粒子が0.5〜5000μm、好ましくは10μm〜2000μm、より好ましくは25μm〜2000μmの粒径を有する粒径分布を有したものであることが好ましい。使用する有機支持体は、特に、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルスチレン、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、PTFEおよび/または他のポリマーを含むものか、それからなるものであってよい。使用する支持体材料は、固定化する酵素によるが、特に、酸性または塩基性のイオン交換樹脂であってよく、例えばDuolite A568、Duolite XAD 761、Duolite XAD 1180、Duolite XAD 7HP、Amberlite IR 120、Amberlite IR 400、Amberlite CG 50、Amberlyst 15(すべてRohm and Haasの製品である)またはLewatit CNP 105およびLewatit VP OC 1600(Lanxess(レーバークーゼン、ドイツ)の製品)である。使用する無機支持体は、従来技術分野で既知である酸化物および/またはセラミックの支持体であってもよい。より具体的には、使用する無機支持体は、例えばL.Cao,“Carrier-bound Immobilized Enzymes:Principles, Application and Design”,Wiley-VCH:2005年、ワインハイム、ドイツに記載されているように、例えば、セライト、ゼオライト、シリカ、細孔制御ガラス(CPG)、または他の支持体であってもよい。より好ましくは、酵素固定化物に存在する不活性支持体、または酵素固定化物を調製するために用いる不活性支持体は、ポリスチレン、ポリメタクリレート、またはポリアクリレートからなる。
したがって、本発明は、低い有効比EVを達成しつつ、混合および反応水の排出をガスの導入によって行う、酵素的にカルボン酸エステルを合成する方法を提供する。
本発明は更に、酵素触媒が粒子の形態で支持体材料上に共有結合または非共有結合で固定されている方法を提供する。
本発明は更に、支持体材料が0.5μmを超える平均粒径を有する方法を提供する。
本発明は更に、使用するガスが、空気、希薄空気、酸素、窒素、不活性ガス、または二酸化炭素、好ましくは空気または窒素である方法を提供する。
本発明は更に、反応が20℃〜100℃の温度で行われる方法を提供する。
本発明は更に、有効比EV95<3.0で95%の転換率が達成される方法を提供する。
本発明は更に、有効比EV98<4.0で98%の転換率が達成される方法を提供する。
本発明は更に、有効比EV99<5.0で99%の転換率が達成される方法を提供する。
本発明は更に、有効比EV99.6<8.0で99.6%の転換率が達成される方法を提供する。
本発明によると、酵素触媒は、支持体粒子上に共有結合または非共有結合によって固定化することができる。
本発明に従って用いられる酵素固定化物の例は、Novozymes A/S製(バウスヴェア、デンマーク)のNovozym 435、Lipozym RM IM oder Lipozym TL IMまたはアマノ製(日本)のAmano PSである。
本発明による方法は、20℃〜100℃の温度で、好ましくは40℃〜90℃で行われる。本発明による方法は、エステル化反応において、有効比EV95<3.0、好ましくは<2.5、より好ましくは<2.0、特に<1.75で95%の転換率を達成できることがわかる。
加えて、本発明による方法は、エステル化反応において、有効比EV98<4.0、好ましくは<3.00、より好ましくは<2.50で98%の転換率を達成できることがわかる。
加えて、本発明による方法は、エステル化反応において、有効比EV99<5.0、好ましくは<4.0、より好ましくは<3.0、特に<2.5で99%の転換率を達成できることがわかる。
最後に、本発明による方法は、エステル化反応において、有効比EV99.6<8.0、好ましくは<5.0、より好ましくは<4.0、特に<3.5で99.6%の転換率を達成できることがわかる。
本発明により、当該方法を用いて一般式Iの反応を行うことが好ましい。
Figure 0005410101

式中、Rは、直鎖、分岐、飽和、または不飽和であり、かつ、任意選択により追加で置換された2〜30の炭素数を有するカルボン酸のアシル基(acyl radical)であり、
は、直鎖、分岐、飽和、または不飽和であり、かつ、任意選択により追加で置換された2〜30の炭素数を有するアルキル基(alkyl radical)である。
本発明によれば、R基およびR基の任意選択による追加の置換基は、各々、独立して、例えばヒドロキシル基、エステル基、ポリエステル基、カーボネート基、ポリカーボネート基、エーテル基、ポリエーテル基、ウレタン基、ポリウレタン基、アミド基、ポリアミド基、アルキルアミン基、ジアルキルアミン基、ハロゲン化物、シロキサン基、無機酸、硫酸、リン酸、または類似部分のエステル基であってもよい。
好ましい実施形態において、Rは市販の酸、例えば酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソトリデカン酸、またはイソステアリン酸のアシル基である。
更に好ましい実施形態では、使用するR基は、天然の植物油または動物油に基づく天然脂肪酸のアシル基である。天然脂肪酸、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12―ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ペトロセリン酸(petroselic acid)、エライジン酸、アラキン酸(arachic acid)、ベヘン酸、エルカ酸、ガドレイン酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはアラキドン酸を単独でまたは混合物で使用することが好ましい。同様に該R基は、ヒドロキシ官能酸、例えばポリ−12−ヒドロキシステアリン酸またはポリリシノール酸の重縮合生成物のアシル基でもよい。R基として用いられるアシル基は、工業銘柄の混合物、例えば天然脂肪酸の混合物であってもよく、該天然脂肪酸は、例えば、菜種油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ひまわり油脂肪酸、獣脂油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、ココナツ脂肪酸であり、特定の生成源および使用する精製法に応じて、それらは厳密な組成において変化を受ける場合もあり、不飽和、官能化、または分岐成分などの典型的な二次成分も含む場合がある。さらに、別の起源の酸、例えば石油化学のプロセスに基づく酸の混合物を用いることも可能である。
更に好ましい実施形態では、使用するR基は、例えば、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、またはその異性体、例えば、イソプロパノール、イソブタノール、2−エチルヘキサノール、イソノニルアルコール、イソトリデシルアルコール、多価アルコール、例えば、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、ジヒドロキシアセトン、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、ポリグリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、もしくはN,N−ジメチルエタノールアミンなどのアミノ官能基化アルコールなどの炭化水素基である。更なる例は、天然植物油または動物油に基づく6〜30の炭素数、特に8〜22の炭素数を有する一塩基脂肪酸、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ペトロセリン酸、エライジン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ガドレイン酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはアラキドン酸の単独または混合物から既知の方法で調製されるアルコールの炭化水素基である。
本発明のポリエーテル置換R基の例は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリスチレンオキシド、または、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、スチレンオキシド、およびポリグリセロールの群由来の少なくとも2つのモノマーのコポリマーのアルキル基である。これらのポリエーテル置換基は、同様に再び、更なるOH基上に置換基を有してもよく、例えば、アルキルエーテルもしくはアルケニルエーテルまたはアルキルエステルである。
本発明のポリエステル置換R基の例は、遊離OH基を有し、ε−カプロラクトンまたはγ−バレロラクトンに基づくポリマーであり、例えばDaicel製のPlaccel L212ALである。
本発明のポリカーボネート置換R基の例は、遊離OH基を有し、ジアルキルカーボネートおよびジヒドロキシアルキル単位に基づくポリマーであり、例えばDaicel製のPlaccel CD220である。
本発明のポリシロキサン置換R基の例は、遊離アルキル−OH基を有している有機修飾ポリシロキサンであり、例えば当業者に既知の方法により末端不飽和アルコールでSiH−シロキサンをヒドロシリル化することによって入手可能なものである。具体的に、ここでは、5−ヘキセン−1−オール、または、アリルオキシエタノール、アリルグリセロール、アリルポリグリセロール、アリルトリメチロールプロパン、アリルポリエチレングリコール、アリルポリプロピレングリコール、もしくはアリルポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールコポリマーなどのアリルオキシ誘導体などの直鎖アルケノールを用いることができる。
本発明のポリシロキサン置換R基の例は、例えば当業者に既知の方法で末端不飽和酸を用いてSiH−シロキサンをヒドロシリル化することによって得ることができる遊離カルボキシル基を有する有機修飾ポリシロキサンである。具体的に、ここでは、アクリル酸、メタアクリル酸、またはウンデス−10−エン酸を用いることができる。
以下の例および理論的考察は、保護の範囲を制限することなく、詳細な説明および請求項から明らかである本発明を詳細に例示することを企図している。
本発明をこれら例示した実施形態に制限することを意図せずに、本発明による方法を以下に例として説明する。範囲、一般式、または化合物の部類を以下で特定している場合、それらは、明示的に述べた対応する範囲または化合物群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を選択することによって得ることができる化合物の部分的な範囲および部分的な群のすべても包含するものとする。資料を本説明の文脈において引用する場合、その内容は本発明の開示内容に完全に組み込まれるものとする。異なる単位を2つ以上有する高分子支持体材料、酸、またはエステルなどの化合物が本発明の文脈において記載されている場合、それらはこれらの化合物中にランダム分布で現れてもよいし(ランダムオリゴマー)、あるいは規則的に現れてもよい(ブロックオリゴマー)。そのような化合物中の単位の数に関する情報は、対応する化合物すべてについて平均化された平均値と解釈すべきである。
化学量論比以外の比率で行われるエステル化反応において反応物が用いられる場合、報告された転換率のデータは不足的に用いられている成分に基づくものである。
材料と方法:
Novozym 435(NZ435)は、Novozymes A/S製(バウスヴェア/デンマーク)の市販の酵素固定化物であり、C.antarcticaから得られたリパーゼBをポリメタクリレート上に吸着させて固定化したものである。
Novozym 435により触媒されるミリスチン酸ミリスチルの調製についてのkcatの決定
10mgのNovozym435を5mlの等モルの基質溶液(ミリスチン酸およびミリスチルアルコール)に加え、攪拌しながら60℃でインキュベートした。試料(Vsample:50μl)を5分ごとに25分にわたり採取し、950μlのデカン(内部標準:4mMドデカン)中に移した。kcatを初期の生成物形成速度を用いて決定し、7000μmolmg−1*min−1であると決定した。ミリスチン酸ミリスチルはガスクロマトグラフィーで検出した(Shimadzu 2010、SGE製BTXカラム;長さ25m、I.D.0.22μm;膜:0.25μm;検出器型:300℃でFID;注入温度275℃および注入量1μl、分割比35.0;担体ガス圧(ヘリウム)150kPa;温度プログラム:開始温度60℃、1.5分間保持、温度上昇20℃/分、終了温度250℃、2.5分間保持)。
Novozym 435により触媒されるミリスチン酸ミリスチルの調製についてのKの決定
10mgのNovozym 435を異なる濃度の5mlの等モル基質溶液(ミリスチン酸およびミリスチルアルコール、各々の場合においてメチルシクロヘキサン中10mM〜1000mM)に加え、攪拌しながら60℃でインキュベートした。試料(Vsample:50μl)を各濃度に対して5分ごとに25分にわたり採取し、950μlのデカン(内部標準:4mMドデカン)中に移した。得られた初期速度の、基質濃度に対するプロットにより、150mMのK値で半値(half-maximum)の反応速度と評価された。単純化のために、その定数は、反応の過程での等モル消費により、各個々の成分についてではなく、この特定の混合物について決定した。
有効比EVの導出
研究対象のモデル反応は、C.antarctica由来の固定化リパーゼBを用いたミリスチン酸ミリスチルの調製とした。基質濃度が低下するにつれて実際の反応速度が低下することは当業者にはよく知られている。その数学的関係はミカエリス・メンテン式により表現される(Voet、Voet、“Biochemie”、初版、Wiley-VCH:1992年、ワインハイム、ドイツ、329〜331頁も参照)。
したがって、このことから式1が得られる。
Figure 0005410101

(式中、[S]=平衡時の基質濃度、vmax=kcat・c 式2(c=酵素濃度))。これから式3が導かれる。
Figure 0005410101
時間依存転換率を決定するために、式3を積分して式4を得ることができる。
Figure 0005410101

(式中、TR=転換率nを達成するための理論的な最小反応時間、[S]=t=0のときの基質濃度、および[S]=転換率nのときの基質濃度)。
モデル反応では、この式により、例えば0.4重量パーセントの酵素を用い、kcat=7000μmolmg−1*min−1、およびK=150mmol−1で、目標転換率99.6%の場合、112分のTR99.6となる。
研究されている例の有効反応時間ERと理論的反応時間TRとの比により、式5により、転換率Cに対する有効比EVが与えられる。
EV=ER/TR 式5
(非発明)攪拌フラスコ中でのミリスチン酸ミリスチルの合成
329gのミリスチルアルコールと351gのミリスチン酸を1Lの初期充填容器に入れて60℃まで加熱し、磁気攪拌器により混合した。2.72gのNovozym 435を加え、5mbarの真空を適用することによって形成した反応水を取り除き、その水を蒸留により除去した。酸価滴定により、反応過程を約24時間モニターした(表1参照)。
Figure 0005410101
(非発明)固定床反応器中でのミリスチン酸ミリスチルの合成−反応水を除くための高価な改良流下膜式法
502gのミリスチルアルコールおよび513gのミリスチン酸を底に排出口のついた2lの5口フラスコ中で60℃まで加熱し、機械式攪拌器で混合した。4.06gのNovozym 435を60℃まで加熱した固定床に充填した(高さ2cm、直径3cm)。続いて、反応混合物を、酵素担持固定床を通ってギアポンプで送り出し、60℃に加熱したステンレス鋼管を経由して循環させ、フラスコへ戻した。その流速を50mlmin−1に設定した。反応水を取り除くために、5mbarの真空を適用し、水を蒸留により除去した。水の除去を速めるため、60℃に加熱したガラスカラムの内壁の薄膜約15cmにわたって、反応混合物をフラスコ中に戻す際に流下させた。酸価滴定により、反応過程を約14時間モニターした(表2参照)。
Figure 0005410101
(発明)スパージングによる水の排出を伴うミリスチン酸ミリスチルの合成
11010gのミリスチルアルコールおよび11500gのミリスチン酸を、内径300mm、高さ700mmの60℃に加熱したガラス容器中で、60℃に加熱した。容器の底に装備されたリングスパージャーを通して、5m/hの窒素を混合物中に導入した。90gのNovozym 435を加え、酸価滴定により、反応過程を約6時間モニターした(表3参照)。
Figure 0005410101
(発明)スパージングによる水の排出を伴うミリスチン酸ミリスチルの合成
55305gのミリスチルアルコールおよび56705gのミリスチン酸を、内径300mm、高さ2500mmの60℃に加熱したガラス容器中で、60℃に加熱した。容器の底に装備されたリングスパージャーを通して、5m/hの空気を混合物中に導入した。448gのNovozym 435を加え、酸価滴定により、反応過程を約9時間モニターした(表4参照)。
Figure 0005410101
(発明)スパージングによる水の排出を伴うミリスチン酸ミリスチルの合成
55305gのミリスチルアルコールおよび56780gのミリスチン酸を、内径300mm、高さ2500mmの60℃に加熱したガラス容器中で、60℃に加熱した。容器の底に装備されたリングスパージャーを通して、13.5m/hの空気を混合物中に導入した。448gのNovozym 435を加え、酸価滴定により、反応過程を約7時間モニターした(表5参照)。
Figure 0005410101
(発明)実施例1〜5についてのEVの決定
実施例1〜5について、95%、98%、99%、および99.6%の転換率を達成するために必要な時間を決定した(必要な場合、内挿による)。これらの転換率について、それぞれの場合にTR、ER、およびEVを決定した。
Figure 0005410101
スパージング条件下でのエステル化が、減圧下で従来の攪拌フラスコまたは固定床反応器より相当に速く進むことは、分析より全く明らかである。さらに、スパージング速度は相当な影響を及ぼすこと、すなわち実施例5では、スパージング速度が実施例4に比べて5m/hから13m/hに増加し、これによりEVが平均3分の1低下したことが明らかになる。
触媒の再使用
実施例3〜5と同様に、中間の精製をせずに酵素触媒を再使用して、ミリスチン酸ミリスチルを合成する幾つかの反応を実施し、300分後の転換率を決定した。(各例のバッチサイズは、25.6gのミリスチン酸、25.0gのミリスチルアルコール、0.20gのNovozym 435、1500ml/分の窒素スパージング)。6回繰り返し行った。
Figure 0005410101
触媒を繰り返し使用した場合でさえ、触媒の失活に起因し得る有意な転換率の減少は観測されず、同等の転換率が達成されることが明らかになる。
ヤシ油脂肪酸デシルの調製
429gのデカノール(Aldrich、OHN:340mgKOH/g)および553gのココナツ脂肪酸(Cognis製Edenor HK 8〜18、AN:271.4mgKOH/g)を、内径100mm、高さ500mmの60℃に加熱したガラス容器中で、60℃に加熱した。容器の底に装備されたガラスフリットを通して、窒素を3l/分で混合物中に導入した。3.9gのNovozym 435を加えた。9時間後、反応混合物は0.86mgKOH/gの酸価に達した。
ポリエーテルエステルの調製
418.7gのポリエチレン/ポリプロピレングリコール(モル質量2790g/mol、OHN:40.2mgKOH/g、組成:52%エチレングリコール、48%プロピレングリコール)および55.3gのウンデス−10−エン酸(2当量、Aldrich、AN:304.4mgKOH/g)を、内径100mm、高さ500mmの60℃に加熱したガラス容器中で、60℃に加熱した。容器の底に装備されたガラスフリットを通して2l/分の窒素を混合物中に導入した。9.5gのNovozym 435を加えた。23時間後、反応混合物は1.0mgKOH/gの酸価に達した。
ポリエステルの調製
404.6gのアジピン酸ジエチル(Aldrich)および236.4gの1,6−ヘキサンジオール(Aldrich)を、内径100mm、高さ500mmの60℃に加熱したガラス容器中で、60℃に加熱した。容器の底に装備されたガラスフリットを通して窒素を2l/分で混合物中に導入した。6.4gのNovozym 435を加えた。24時間後、アジピン酸ジエチルに基づく94%の転換率がHNMRにより決定された。GPC分析(Agilent 1100、1ml/分のTHF、標準としてポリスチレン)は、M=3819g/molおよびM=1854g/molのポリマーの形成を示した。

Claims (10)

  1. アルコールおよびカルボン酸から酵素的にカルボン酸エステルを合成する方法であって、
    ガスの導入によって、アルコールおよびカルボン酸を、それらからカルボン酸エステルを合成することができる酵素と混合する工程であって、カルボン酸エステルと水を含む反応混合物を得る工程;および
    ガスの導入によって、前記反応混合物から水を排出する工程;
    を含み、
    前記混合工程および排工程が、ガスの導入によって行われ、
    前記カルボン酸からカルボン酸エステルへの95%の転換率が、有効比EV 95 <3.0で達成される
    (ここで、有効比EV は、n%の転換率を達成するための有効反応時間(ER )と、n%の転換率を達成するための理論的な最小反応時間(TR )から次式:
    EV =ER /TR
    で算出される)
    ことを特徴とする、方法。
  2. 前記素が支持体材料上に粒子形態で共有結合または非共有結合によって固定化されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記支持体材料が0.5μmより大きい平均粒径を有することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 使用する前記ガスが空気、希薄空気、酸素、窒素、希ガス、または二酸化炭素であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 使用する前記ガスが空気または窒素であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. 前記混合する工程が20℃〜100℃の温度で行われることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記カルボン酸からカルボン酸エステルへの98%の転換率が、有効比EV98<4.0で達成されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記カルボン酸からカルボン酸エステルへの99%の転換率が、有効比EV99<5.0で達成されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記カルボン酸からカルボン酸エステルへの99.6%の転換率が、有効比EV99.6<8.0で達成されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記ガスの導入がスパージングによることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
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