JP5425326B2 - 断熱材用成形体及びその製造方法 - Google Patents

断熱材用成形体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、断熱材用組成物、断熱材用成形体及びそれらの製造方法に関する。
無機系の断熱材の一つとして、ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト、ウォラストナイト等の結晶質珪酸カルシウム(水和物を含む)を原料として用いた成形体タイプ又は不定形の組成物タイプの断熱材が知られている。この中でも、特にゾノトライト及びトバモライトの少なくとも1種の結晶質珪酸カルシウム水和物を原料として用いた断熱材は、耐熱性、断熱性、機械的強度等に優れており、工業的に広く利用されている。
上記結晶質珪酸カルシウム水和物を用いた断熱材の断熱性を更に改善するために、従来、様々な工夫が試みられている。例えば、結晶質珪酸カルシウム水和物を炭酸化して非晶質シリカと炭酸カルシウムに転化する試み(特許文献1)、炭酸化後に更に塩酸などで酸処理して炭酸カルシウムを水可溶性のカルシウム塩に変えて、その後水洗してカルシウム塩を取り除いて非晶質シリカだけにする試み(特許文献2)が知られている。
これらの試みは、結晶質珪酸カルシウム水和物を非晶質シリカに転化して微細孔を増やすことにより断熱性を改善するものである。しかしながら、これらは、成形後の乾燥時に非晶質シリカの収縮により成形体が変形し易く、安定的に所望の成形体を得にくいという問題がある。更に、酸処理及び水洗するものに関しては、水可溶性のカルシウム塩の排水の問題もある。しかも、炭酸化を効率良く行うためには圧力容器が必要であり、特許文献2の場合には圧力容器に加えて酸処理及び水洗という余分な工程が必要であり、いずれも高価な装置及び/又は複雑な工程を必要とするため製造コストのアップにつながっている。
更なる改良の試みとして、結晶質珪酸カルシウム水和物に珪酸アルカリを添加した後に炭酸化し、更に塩酸などで酸処理及び水洗する試み(特許文献3)が行われている。
この試みは、結晶質珪酸カルシウム水和物が炭酸化により転化した非晶質シリカに、珪酸アルカリ由来の粒状の非晶質シリカが付着することで、結晶質珪酸カルシウム水和物から転化した非晶質シリカが補強されて乾燥時の収縮を改善するものであるが、前記同様、水可溶性のカルシウム塩の排水の問題や製造コストのアップの問題は残ったままである。
また、その他に結晶質珪酸カルシウム水和物を有機酸で処理する試み(特許文献4)も行われているが、高価な有機酸を用いることで製造コストのアップにつながるほか、断熱性の向上効果は十分ではない。
よって、ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト、ウォラストナイト等の結晶質珪酸カルシウム(水和物を含む)を原料として用いた断熱材用組成物であって、従来品よりも断熱性に優れるとともに、簡便且つカルシウム塩の排水の問題がない製造方法により得られる、実用的な断熱材用組成物の開発が望まれている。
特公昭60−35318号公報 特公昭61−58436号公報 特公平6−102533号公報 特公平5−13090号公報
本発明は、ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト、ウォラストナイト等の結晶質珪酸カルシウム(水和物を含む:以下、特に断らない限り同様である。)を原料として用いた断熱材用組成物であって、従来品よりも断熱性に優れるとともに、簡便且つカルシウム塩の排水の問題がない製造方法により得られる、実用的な断熱材用組成物を提供することを目的とする。また、当該断熱材用組成物を脱水成形及び乾燥することにより得られる断熱材用成形体を提供することも目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の製造方法により得られる断熱材用組成物が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の断熱材用成形体及び製造方法に関する。
1.1)ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の結晶質珪酸カルシウムと、2)水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、セメント、非晶質珪酸カルシウム水和物、タルク及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の無機物質とを、水の存在下においてリン酸と反応させることにより得られる断熱材用組成物を、断熱材用成形体の密度が0.1〜0.3g/cm となるように脱水成形及び乾燥することにより得られる、密度が0.1〜0.3g/cm である断熱材用成形体
2.前記断熱材用組成物は、リン酸のカルシウム塩及びリン酸のマグネシウム塩の少なくとも1種のリン酸塩と非晶質シリカとを含有する組成Aを含む、上記項1に記載の断熱材用成形体
3.前記断熱材用組成物は、前記組成Aに、ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の結晶質珪酸カルシウムを加えた組成Bを含む、上記項1に記載の断熱材用成形体
4.前記断熱材用組成物は、前記組成Aに、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、セメント、非晶質珪酸カルシウム水和物、タルク及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の無機物質を加えた組成Cを含む、上記項1に記載の断熱材用成形体
5.前記断熱材用組成物は、前記組成Aに、ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の結晶質珪酸カルシウム、並びに、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、セメント、非晶質珪酸カルシウム水和物、タルク及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の無機物質を加えた組成Dを含む、上記項1に記載の断熱材用成形体
6.前記結晶質珪酸カルシウムは、ゾノトライト及びトバモライトの少なくとも1種を含有する結晶質珪酸カルシウム水和物の二次粒子である、上記項1〜5のいずれかに記載の断熱材用成形体
7.前記無機物質は、水酸化カルシウムである、上記項1〜6のいずれかに記載の断熱材用成形体
8.前記無機物質は、水酸化カルシウム及びセメントである、上記項1〜6のいずれかに記載の断熱材用成形体
9.1)ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の結晶質珪酸カルシウムと、2)水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、セメント、非晶質珪酸カルシウム水和物、タルク及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の無機物質とを、水の存在下においてリン酸と反応させることにより断熱材用組成物を得た後、当該断熱材用組成物を、断熱材用成形体の密度が0.1〜0.3g/cm となるように脱水成形及び乾燥する、密度が0.1〜0.3g/cm である断熱材用成形体の製造方法
10.前記結晶質珪酸カルシウムは、ゾノトライト及びトバモライトの少なくとも1種を含有する結晶質珪酸カルシウム水和物の二次粒子である、上記項に記載の製造方法。
11.前記無機物質は、水酸化カルシウムである、上記項又は10に記載の製造方法。
12.前記無機物質は、水酸化カルシウム及びセメントである、上記項又は10に記載の製造方法。
13.前記結晶質珪酸カルシウムと前記無機物質と水とを含有する混合物を調製し、当該混合物を攪拌しながらそこにリン酸を加えることにより前記断熱材用組成物を得る、上記項12のいずれかに記載の製造方法。
14.前記結晶質珪酸カルシウムと水とを含有する混合物を撹拌しながらそこにリン酸を加えて得られる混合物Aと、前記無機物質と水とを含有する混合物を撹拌しながらそこにリン酸を加えて得られる混合物Bとを調製し、混合物Aと混合物Bとを更に混合することにより前記断熱材用組成物を得る、上記項12のいずれかに記載の製造方法。
以下、本発明の断熱材用組成物、断熱材用成形体及び製造方法について説明する。
断熱材用組成物及び断熱材用成形体
本発明の断熱材用組成物は、1)ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の結晶質珪酸カルシウムと、2)水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、セメント、非晶質珪酸カルシウム水和物(CSH)、タルク及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の無機物質とを、水の存在下においてリン酸と反応させることにより得られることを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の断熱材用組成物は、特定の結晶質珪酸カルシウムと無機物質とを、水の存在下においてリン酸と反応させることにより得られ、従来品の結晶質珪酸カルシウムを原料(反応原料)として用いた断熱材用組成物と比べて断熱性が向上している上、簡便且つカルシウム塩の排水の問題がない製造方法により得られる。本発明の断熱材用組成物及びこれを成形することにより得られる断熱材用成形体は、断熱性が向上した実用的な断熱材として有用である。
本発明の断熱材用組成物は、特定の結晶質珪酸カルシウムと無機物質とが、水の存在下においてリン酸と当量で反応した場合には、結晶質珪酸カルシウムからリン酸のカルシウム塩(ヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)、ウィトロカイト(Ca3(PO4)2)等)及び非晶質シリカが生成し、無機物質からリン酸のカルシウム塩(モネタイト(CaPO3(OH))、ブラッシャイト(CaPO3(OH)・2H2O)、ヒドロキシアパタイト、ウィトロカイト等)及びリン酸のマグネシウム塩(リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム等)の少なくとも1種が生成する。なお、上記反応後の生成物は粉末X線回折分析によって確認できる。
つまり、本発明の断熱材用組成物の基本的組成(リン酸との当量反応物)は、リン酸のカルシウム塩及びリン酸のマグネシウム塩の少なくとも1種のリン酸塩と非晶質シリカとを含有する組成Aである(なお、詳細は後述するが、副原料の添加は許容される。)。
しかしながら、当量以外で反応させる場合には、本発明の断熱材用組成物は、下記に例示する組成B〜Dを含む場合も採り得る。なお、各組成の詳細は、製造条件(反応条件)に依存した内容であるため、製造方法の項目にて後記する。
組成Bは、組成Aに、ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の結晶質珪酸カルシウムを加えた組成である。つまり、原料物質のうち、無機物質は全て反応し、結晶質珪酸カルシウムの一部が未反応で残った組成である。
組成Cは、組成Aに、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、セメント、非晶質珪酸カルシウム水和物、タルク及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の無機物質を加えた組成である。つまり、原料物質のうち、結晶質珪酸カルシウムは全て反応し、無機物質の一部が未反応で残った組成である。
組成Dは、組成Aに、ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の結晶質珪酸カルシウム、並びに、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、セメント、非晶質珪酸カルシウム水和物、タルク及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の無機物質を加えた組成である。つまり、原料物質のうち、結晶質珪酸カルシウム及び無機物質の両方において、一部が未反応で残った組成である。
断熱材用組成物は、組成A〜Dのいずれかのみで構成されていてもよく、必要に応じて公知の副原料(添加剤)を含有してもよい。副原料の含有量は限定されないが、断熱材用組成物中の組成A〜Dの含有量が50〜100重量%となる範囲で目的及び用途に応じて調整すればよい。
副原料の種類は限定的ではないが、例えば、金属酸化物、金属炭化物(例、炭化珪素),金属窒化物(例、窒化珪素)などの赤外線遮蔽物質,顔料,染料,繊維(有機繊維,無機繊維,炭素繊維),重合体(樹脂),撥水剤,珪藻土やベントナイトなどの既存の充填剤,セメント(リン酸と反応させないもの),乳酸アルミニウム,硫酸アルミニウム,エボニックデクサ社のアエロジル(商品名)やキャボット社のナノゲル(商品名)などの撥水性の微小シリカ,界面活性剤,凝集剤,分散剤,凝結剤,消泡剤等が挙げられる。
また、副原料の添加時期は、本発明の効果を損なわない範囲で製造工程のいずれの時期でも良く、例えば、結晶質珪酸カルシウムの合成時、リン酸との反応前、リン酸との反応後等のいずれかの時期に添加することができる。なお、結晶質珪酸カルシウムの合成時やリン酸との反応時に副原料を添加した際、副原料自体が反応に関与する可能性がある場合には、意図せぬ副反応を防止する観点及び副原料に期待される作用を十分に得る観点から副原料はリン酸との反応後に添加することが好ましい。
なお、副原料とは異なるが、断熱性に影響しない範囲で前記結晶質珪酸カルシウムは、ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイト以外に、少量の他の結晶質珪酸カルシウムが混在することは許容される。この点、本発明では、ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイトの合計量として結晶質珪酸カルシウムを80重量%以上含有するものであれば、請求項1、10等における「ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の結晶質珪酸カルシウム」として取り扱う。
本発明では、結晶質珪酸カルシウムとしては、ゾノトライト及びトバモライトの少なくとも1種が好ましく、特にゾノトライト及びトバモライトの少なくとも1種を含有する結晶質珪酸カルシウム水和物の二次粒子がより好ましい。
本発明では、無機物質としては、「水酸化カルシウム」や「水酸化カルシウムとセメントを組み合わせたもの」を用いることが好ましい。水酸化カルシウムを用いることで断熱性能等が向上し、セメントを用いることで乾燥収縮等が低減できる。
本発明の断熱材用組成物は、脱水成形及び乾燥することにより、断熱材用成形体として用いることができる。脱水成形及び乾燥の条件は、製造方法の項目にて後記する。
断熱材用組成物及び断熱材用成形体の密度は限定的ではないが、0.05g/cm以上、好ましくは0.1〜1.2g/cm、より好ましくは0.1〜0.6g/cm、更に好ましくは0.1〜0.3g/cm程度である。この密度は、目的及び用途に応じて適宜設定すればよい。
断熱材用組成物は、不定形タイプの断熱材が使用されている用途で利用でき、例えば、断熱性(遮熱性)や耐熱性(耐火性)が要求される目地材,パテ材,吹き付け材や、断熱材の補修材や、複雑な形状の装置類や配管類の練り付け保温材などに適用できる。
断熱材用成形体は、成形体タイプの断熱材が使用されている用途で利用でき、大きさ,形状は限定的ではなく、施工する対象物の大きさ,形状、施工性、取扱い性、要求される断熱性能、生産性等を考慮して適宜設定することができる。具体的には、板状の断熱材用成形体の場合の単板の厚みは、通常、数mm〜100mm程度が好ましい。
また、本発明の断熱材組成物及び断熱材用成形体は、調湿性も有しているため調湿建材(塗材を含む)に利用できるほか、不燃建材などにも利用できる。
断熱材用組成物及び断熱材用成形体の製造方法
本発明の断熱材用組成物の製造方法は、1)ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の結晶質珪酸カルシウムと、2)水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、セメント、非晶質珪酸カルシウム水和物、タルク及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の無機物質とを、水の存在下においてリン酸と反応させることを特徴とする。
ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の結晶質珪酸カルシウムとしては、結晶水を有さないもの及び結晶水を有する水和物のいずれも使用できる。また、結晶質珪酸カルシウムの結晶(一次粒子)やその凝集物(二次粒子)など、既存のものが使用できる。
例えば、特公昭54−1727号公報等に示されるゾノトライトを主成分とする結晶質珪酸カルシウム水和物の二次粒子(凝集物)又はその水性スラリー、特開昭58−185432等に示されるトバモライトを主成分とする結晶質珪酸カルシウム水和物の二次粒子(凝集物)又はその水性スラリー、特公昭60−29643等に示されているジャイロライトを主成分とする結晶質珪酸カルシウム水和物の二次粒子(凝集物)、特公昭50−29493号公報等に示されている上記ゾノトライトやトバモライトを主成分とする二次粒子(凝集物)を加熱して得られるウォラストナイトを主成分とする結晶質珪酸カルシウムの二次粒子(凝集物)などを好ましく用いることができる。
即ち、結晶質珪酸カルシウムとしては、成形性や物性などの観点から、二次粒子であることが好ましい。また、結晶質珪酸カルシウムとリン酸との反応が均一に行われるように、通常、水の存在下に珪酸カルシウム水和物又は珪酸カルシウムを攪拌しながらリン酸を加えるので、珪酸カルシウム水和物又は珪酸カルシウムとしては、上記の様に最初から水性スラリー状になっているものが好ましく利用できる。
特に、ゾノトライト及びトバモライトの少なくとも1種を含有する結晶質珪酸カルシウム水和物の二次粒子が、断熱性や成形性等の性能面から好ましく利用できる。
具体的には、例えば、ゾノトライトの二次粒子の場合は、原料中のCaO/SiOのモル比が1.0程度になるように調整した、石灰質原料、珪酸質原料及び水を含む原料スラリーを撹拌下に水熱反応させることにより、ゾノトライトの二次粒子よりなる水性スラリーが得られる。石灰質原料としては限定されないが、例えば、生石灰(酸化カルシウム)、消石灰(水酸化カルシウム)、カーバイド滓、塩化カルシウム等を用いることができる。
また、珪酸原料としては、珪石、珪砂、シリカゲル、ホワイトカーボン、珪藻土、フェロシリコンダスト、シラス、籾殻灰等の一種類以上を併用することができる。
また、水の含有量は石灰質原料及び珪酸質原料の合計量に対して通常5重量倍以上(好ましくは10〜70重量倍)である。
また、トバモライトの二次粒子の場合は、上記に於いて原料中のCaO/SiOのモル比を0.8程度になるように調整すればよい。
原料スラリーの水熱反応の条件は、ゾノトライト、トバモライト等の結晶質珪酸カルシウム水和物の二次粒子が生成される限り限定されないが、例えば、原料スラリーを撹拌しながらオートクレーブ中で加圧及び加熱すればよい。
水熱反応時の温度、圧力については、圧力は8〜50kgf/cm程度が好ましく、温度は170〜260℃程度が好ましい。
また、石灰質原料中のCaOと珪酸質原料中のSiOの配合割合であるモル比(CaO/SiO)はゾノトライトで1.0前後(0.9〜1.2程度)、トバモライトで0.8前後(0.7〜0.9程度)が好ましい。
また、水熱反応により得られるゾノトライト、トバモライト等の結晶質珪酸カルシウム水和物の二次粒子の粒径は限定的ではないが、5〜150μm程度であり、二次粒子を構成する一次粒子の長さは1〜20μm程度である。これらの粒径は、顕微鏡観察により測定した値である。
水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、セメント、非晶質珪酸カルシウム水和物、タルク及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の無機物質としては、既存のものが使用できる。タルク及び水酸化マグネシウムについては、市販の化学薬品,工業薬品,工業製品,工業原料などが利用できる。
非晶質珪酸カルシウム水和物(CSH)については、特公昭58−30259号公報に示されているCSHなどが利用できる。
水酸化カルシウムについては、市販の化学薬品,工業薬品,工業製品などを利用できるほか、生石灰を水や温水で消和して得られる石灰乳(水酸化カルシウムの懸濁液)や、その石灰乳をホモミキサー等で処理して微細化したものなどを利用できる。また、無機物質の中で、水酸化カルシウムが断熱性等の性能面から好ましく利用でき、水酸化カルシウムとセメントを組み合わせたものも好ましく利用できる。
炭酸カルシウムについては、カルサイト,バテライト及びアラゴナイトのいずれの結晶系のものも使用でき、市販の化学薬品,工業薬品,工業製品などを利用できる。
セメントについては、ポルトランドセメント,アルミナセメント,高炉セメント,フライアッシュセメント,混合セメント等の公知のセメントが利用できる。
前記結晶質珪酸カルシウムと無機物質とを、水の存在下においてリン酸と反応させる条件は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定すれば良いが、反応を均一に行わせるために攪拌下にリン酸を加える方法が好ましい。
リン酸と反応させる接触温度、リン酸の添加速度、リン酸の濃度等について特に制限は無く適宜設定すればよい。例えば、接触温度は常温又は加温のいずれでもよく、オートクレーブを用いて200℃程度に加熱した状態でリン酸を圧入して接触させることもできる。また、リン酸の添加速度もゆっくり添加してもよいし急速に添加してもよい。リン酸は原液又は希釈液のいずれでも使用でき、特にリン酸濃度が5〜50重量%の水溶液が好ましい。なお、リン酸は市販の化学薬品、工業薬品など既存の薬品を利用できる。
また、結晶質珪酸カルシウムと、無機物質とを、水の存在下でリン酸と反応させる反応割合についても、全部をリン酸と反応させてもよいし、一部をリン酸と反応させてもよい。珪酸カルシウム水和物又は珪酸カルシウムの場合は、例えば10〜100重量%をリン酸と反応させることができ、断熱性能などを考慮すると60重量%程度以上が好ましい。
前記無機物質はリン酸と全部が反応するようにした方が好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で反応しないものが残ってもよい。また、前記無機物質を、リン酸と反応しやすいように、リン酸と反応させる前にホモミキサー等を用いて微細化してもよい。
結晶質珪酸カルシウムの全部をリン酸と反応させると、ヒドロキシアパタイト、ウィトロカイト等のリン酸のカルシウム塩と非晶質シリカが生成物となる。一部を反応させると、上記生成物に未反応の結晶質珪酸カルシウムが残存する。
無機物質の全部をリン酸と反応させると、リン酸のカルシウム塩、リン酸のマグネシウム塩の少なくとも1種からなるリン酸塩が生成物となる。一部を反応させると、前記生成物に未反応の無機物質が残存する。例えば、無機物質が水酸化カルシウムの場合には、リン酸と反応させることにより、モネタイト、ヒドロキシアパタイト、ウィトロカイト等のリン酸のカルシウム塩が生成物となる。
なお、結晶質珪酸カルシウムと無機物質とリン酸の具体的配合割合については、以下の(i)〜(iii)を定めることにより決定でき、先ず(i)を定めた後に(ii)及び(iii)を順に定めればよい。
(i)「結晶質珪酸カルシウムと無機物質の配合割合を決定する」
結晶質珪酸カルシウムと無機物質との配合割合は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定すればよいが、結晶質珪酸カルシウム中のCaのモル量に対する無機物質中のCa又はMgのモル量の比(原子比)の値が0.01〜3程度になるように配合することが好ましい。例えば、結晶質珪酸カルシウムがゾノトライトであり、無機物質が水酸化カルシウムである場合は、ゾノトライト中のCaのモル量に対する水酸化カルシウム中のCaのモル量の比(原子比)の値が0.08〜1.35程度の範囲のものが好ましい。また、結晶質珪酸カルシウムがトバモライトであり、無機物質が水酸化カルシウムである場合は、トバモライト中のCaのモル量に対する水酸化カルシウム中のCaのモル量の比(原子比)の値が0.1〜1.6程度の範囲のものが好ましい。
(ii)「結晶質珪酸カルシウムとリン酸の配合割合を決定する」
結晶質珪酸カルシウムとこれと反応させるリン酸との配合割合は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定すればよいが、結晶質珪酸カルシウムと反応させるリン酸中のPのモル量に対する結晶質珪酸カルシウム中のCaのモル量の比(原子比)の値が16.67〜1.67程度になるように配合することが好ましい。
(iii)「無機物質とリン酸の配合割合を決定する」
無機物質とこれと反応させるリン酸の配合割合は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定すればよいが、無機物質と反応させるリン酸中のPのモル量に対する無機物質中のCa又はMgのモル量の比(原子比)の値が、Caの場合には1.0(モネタイト,ブラッシャイト組成)〜1.67(ヒドロキシアパタイト組成)程度、Mgの場合には1.0(リン酸水素マグネシウム組成)〜1.5(リン酸マグネシウム組成)程度になるように配合することが好ましい。
また、結晶質珪酸カルシウムと無機物質とを、水の存在下においてリン酸と反応させる態様(手順)は限定されない。例えば、
(1)結晶質珪酸カルシウムと無機物質と水とを含有する混合物を調製し、当該混合物を攪拌しながらそこにリン酸を加える態様、
(2)結晶質珪酸カルシウムと水とを含有する混合物を撹拌しながらそこにリン酸を加えて得られる混合物Aと、無機物質と水とを含有する混合物を撹拌しながらそこにリン酸を加えて得られる混合物Bとを調製し、混合物Aと混合物Bとを更に混合する態様、
(3)結晶質珪酸カルシウムと水とを含有する混合物を撹拌しながらそこにリン酸を加えて得られる混合物Aに、無機物質と水とを含有する混合物を調製して加えて混合し、得られた混合物Cを撹拌しながらそこにリン酸を加える態様、
(4)無機物質と水とを含有する混合物を撹拌しながらそこにリン酸を加えて得られる混合物Bに、結晶質珪酸カルシウムと水とを含有する混合物を調製して加えて混合し、得られた混合物Dを撹拌しながらそこにリン酸を加える態様、
(5)結晶質珪酸カルシウム、無機物質及びリン酸の配合割合の総量を上記(i)〜(iii)の手順により予め決定した後、当該総量を使い切ることを前提とし、上記(1)〜(4)の各反応態様において、結晶質珪酸カルシウム、無機物質及びリン酸の少なくとも1種を分割して2以上のタイミングで添加する態様、
(6)結晶質珪酸カルシウム、無機物質及びリン酸の配合割合の総量を上記(i)〜(iii)の手順により予め決定した後、当該総量を使い切ることを前提とし、上記(1)〜(5)の2種以上を組み合わせる態様、等が挙げられる。
断熱材用成形体の場合の脱水成形方法としては、プレス脱水成形、抄造法、ロール脱水成形法、遠心成形法、押出成形法、鋳型注入法等の既存の脱水成形方法が利用できる。
また、乾燥方法も風乾、加熱乾燥、熱風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、真空凍結乾燥、調湿乾燥、雰囲気制御置換型乾燥、超臨界乾燥等の既存の乾燥方法が利用でき、乾燥温度及び乾燥度合(含水率)は成形体(断熱材)の組成や目的及び用途に応じて適宜設定できる。
本発明の断熱材用組成物は、特定の結晶質珪酸カルシウムと無機物質とを、水の存在下においてリン酸と反応させることにより得られ、従来品の結晶質珪酸カルシウムを原料として用いた断熱材用組成物と比べて断熱性が向上している上、簡便且つカルシウム塩の排水の問題がない製造方法により得られる。本発明の断熱材用組成物及びこれを成形することにより得られる断熱材用成形体は、断熱性が向上した実用的な断熱材として有用である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
なお、以下では使用原料中のCa,Mg,Pの量を事前に蛍光X線分析装置(株式会社リガク製,ZSX PrimusII)を用いて分析し、配合割合の計算などを行った。
実施例1
水中で強制分散させたフェロシリコンダストに、12倍の質量の温水中で消和した生石灰をモル比(CaO/SiO)が1.00になるように混合し、更にこれに水を加えて、水対固形分比を30として原料スラリーとした。これを撹拌翼付きオートクレーブ(容量約800リットル)に入れて、回転数29rpmで撹拌翼を回転させながら飽和水蒸気圧15kgf/cmで3時間反応させて、ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物の二次粒子(ゾノトライトの一次粒子(結晶)が凝集した粒子)を含む水性スラリー(「ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー」とも言う。)を得た。
分取した所定量の上記水性スラリーに、生石灰を12倍の質量の温水中で消和して得た石灰乳(水酸化カルシウムの懸濁液)を添加して混合水性スラリーを得た。ここで、上記石灰乳の添加量は、上記分取した水性スラリー中のCaのモル量に対する上記石灰乳中のCaのモル量の比(原子比)の値が0.667になる量とした。
混合水性スラリーを70℃に加温し、攪拌しながら、これに10%濃度のリン酸水溶液を添加して反応させ、ゾノトライトとヒドロキシアパタイトと非晶質シリカからなる組成Bの生成物を含む水性スラリーを得た。ここで、上記リン酸水溶液の添加量は、量Aと量Bの合計量(量A+量B)であり、それぞれ次のように特定される量である。
量Aは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=2.78となる量である。また、量Aは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、上記ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaの60%がリン酸と反応する量に相当する。
量Bは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記添加した石灰乳中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.67となる量である。また、量Bは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、上記添加した石灰乳中のCaの100%がリン酸と反応する量に相当する。
生成物(組成B)は、X線回折装置(株式会社島津製作所製,粉末X線回折装置XRD−6100,X線管球:Cu(1.54060Å),管電圧:40.0kV,管電流:30.0mA,速度:2.00度/分,ステップ幅:0.0200度,計数時間:0.60秒,スリット(DS):1.00度,スリット(SS):1.00度,スリット(RS):0.30mm)にて同定された生成物である。他の実施例、比較例でも同定条件は同じである。
なお、実施例1を行うに当たり、上記結晶質珪酸カルシウム水和物と上記石灰乳の混合物にリン酸を反応させる場合、石灰乳の全量がリン酸と反応し、余った量のリン酸と結晶質珪酸カルシウム水和物が反応することを、事前に上記X線回折装置による構成結晶の同定結果から確認し、上記の通りのリン酸添加量とした。
組成Bの生成物を含む水性スラリーの所定量(水性スラリーの固形分が94質量部)に、ガラス繊維を3質量部、パルプを3質量部、界面活性剤(花王株式会社製,ペレックスOT−P)を上記水性スラリーの固形分に対して5質量%となるように、添加混合した後、脱水成形し、150℃で乾燥して成形体(150mm×50mm×30mm)を得た。
得られた成形体は良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ(米倉製作所製,万能試験機YS−5Dを使用し、スパン長12cmとした3点曲げ試験)、熱伝導率(京都電子工業株式会社製,迅速熱伝導率計QTM−500を使用し、150℃での熱伝導率を測定)の測定結果を表1の実施例1に示す。なお、表1の熱伝導率は、比較例1の熱伝導率を基準とし、それと比較した熱伝導率の低下量(%)で表している。他の実施例、比較例でも上記物性の測定方法及び熱伝導率の表示方法は同じである。
≪実施例1の補足≫
また、上記成形体を用いて、JIS A 1470−1(湿度応答法)により、中湿域の吸放湿性能を測定したところ、「吸湿量(12時間値):109g/m」、「放湿量(12時間値):83g/m」であった。
また、成形体の密度と熱伝導率との関係を調べるために、組成Bの生成物を含む水性スラリーの所定量(水性スラリーの固形分が79質量部)に、ガラス繊維を3質量部、パルプを3質量部、炭化珪素を15質量部、界面活性剤(花王株式会社製,ペレックスOT−P)を上記水性スラリーの固形分に対して5質量%となるように、添加混合した後、3種の異なる条件で脱水成形し、150℃で乾燥して密度の異なる3種の成形体(310mm×310mm×30mm)を得た。
得られた成形体(密度0.17g/cm,0.20g/cm,0.25g/cmの3種)を用いてGHP法(平板直接法)で平均温度150℃,300℃,500℃,700℃の熱伝導率を測定した。その結果、密度0.17g/cmの成形体は上記各温度でそれぞれ0.041(W/mK),0.052(W/mK),0.071(W/mK),0.096(W/mK)であった。密度0.20g/cmの成形体は上記各温度でそれぞれ0.041(W/mK),0.050(W/mK),0.066(W/mK),0.086(W/mK)であった。密度0.25g/cmの成形体は上記各温度でそれぞれ0.041(W/mK),0.048(W/mK),0.060(W/mK),0.073(W/mK)であった。
実施例2
実施例1において、リン酸水溶液の添加量(量A、量B)を下記の通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてゾノトライトとヒドロキシアパタイトと非晶質シリカからなる組成Bの生成物を含む水性スラリーを得た。また、実施例1と同様にして成形体を得た。
リン酸水溶液の添加量(量A、量B)は下記の通りである。
量Aは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する、ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=16.67となる量である。また、量Aは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaの10%がリン酸と反応する量に相当する。
量Bは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する、添加した石灰乳中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.67となる量である。また、量Bは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、添加した石灰乳中のCaの100%がリン酸と反応する量に相当する。
得られた成形体はほぼ良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の実施例2に示す。
実施例3
実施例1において、混合水性スラリーを調製する際の石灰乳の添加量、並びに、組成Bの生成物を含む水性スラリーを調製する際のリン酸水溶液の添加量(量A、量B)を下記の通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてゾノトライトとヒドロキシアパタイトと非晶質シリカからなる組成Bの生成物を含む水性スラリーを得た。また、実施例1と同様にして成形体を得た。
石灰乳の添加量は、分取した水性スラリー中のCaのモル量に対する石灰乳中のCaのモル量の比(原子比)の値が0.083になる量とした。
リン酸水溶液の添加量(量A、量B)は下記の通りである。
量Aは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する、ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=2.78となる量である。また、量Aは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaの60%がリン酸と反応する量に相当する。
量Bは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する、添加した石灰乳中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.67となる量である。また、量Bは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、添加した石灰乳中のCaの100%がリン酸と反応する量に相当する。
得られた成形体は良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の実施例3に示す。
実施例4
実施例1において、混合水性スラリーを調製する際の石灰乳の添加量、並びに、組成Bの生成物を含む水性スラリーを調製する際のリン酸水溶液の添加量(量A、量B)を下記の通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてゾノトライトとヒドロキシアパタイトと非晶質シリカからなる組成Bの生成物を含む水性スラリーを得た。また、実施例1と同様にして成形体を得た。
石灰乳の添加量は、分取した水性スラリー中のCaのモル量に対する石灰乳中のCaのモル量の比(原子比)の値が1.33になる量とした。
リン酸水溶液の添加量(量A、量B)は下記の通りである。
量Aは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する、ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=2.78となる量である。また、量Aは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaの60%がリン酸と反応する量に相当する。
量Bは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する、添加した石灰乳中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.67となる量である。また、量Bは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、添加した石灰乳中のCaの100%がリン酸と反応する量に相当する。
得られた成形体はほぼ良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の実施例4に示す。
実施例5
実施例1と同じ石灰乳を用意した。石灰乳の所定量を70℃に加温し、攪拌しながら、これに10%濃度のリン酸水溶液を添加して反応させ、次いでホモミキサーで分散し、ヒドロキシアパタイトからなる反応生成物を含有する水性スラリー(1)を得た。
ここで、リン酸水溶液の添加量は、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記石灰乳中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.67となる量とした。この添加量は、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、石灰乳中のCaの100%がリン酸と反応する量に相当する。
実施例1と同じゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリーを用意した。当該スラリーの所定量を70℃に加温し、攪拌しながら、これに10%濃度のリン酸水溶液を添加して反応させ、ヒドロキシアパタイトと非晶質シリカからなる反応後組成物を含有する水性スラリー(2)を得た。
ここで、リン酸水溶液の添加量は、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.67となる量とした。この添加量は、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、上記ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaの100%がリン酸と反応する量に相当する。
上記水性スラリー(2)に、上記水性スラリー(1)を混合し、ヒドロキシアパタイトと非晶質シリカからなる組成Aの生成物を含有する水性スラリーを得た。ここで、水性スラリー(2)に水性スラリー(1)を混合する量は、換算値として、上記ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaのモル量に対する石灰乳中のCaのモル量の比(原子比)の値が0.667になる量とした。
上記以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
得られた成形体はほぼ良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の実施例5に示す。
実施例6
炭酸カルシウム粉末(白石カルシウム株式会社,Brilliant-1500)に水を加え、ホモミキサーを用いて分散した分散液(炭酸カルシウム分散液)を用意した。当該分散液の所定量を70℃に加温し、攪拌しながら、これに10%濃度のリン酸水溶液を添加して反応させ、リン酸のカルシウム塩(ヒドロキシアパタイト及びブラッシャイト)を含有する水性スラリー(1)を得た。
ここで、リン酸水溶液の添加量は、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記炭酸カルシウム分散液中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.67となる量とした。この添加量は、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、上記炭酸カルシウム分散液中のCaの100%がリン酸と反応する量に相当する。
実施例1と同じゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリーを用意した。当該スラリーの所定量を70℃に加温し、攪拌しながら、これに10%濃度のリン酸水溶液を添加して反応させ、ヒドロキシアパタイトと非晶質シリカからなる反応後組成物を含有する水性スラリー(2)を得た。
ここで、リン酸水溶液の添加量は、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=2.78となる量とした。この添加量は、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、上記ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaの60%がリン酸と反応する量に相当する。
上記水性スラリー(2)に、上記水性スラリー(1)を混合し、ゾノトライトとリン酸のカルシウム塩と非晶質シリカとからなる組成Bを含有する水性スラリーを得た。ここで、水性スラリー(2)に水性スラリー(1)を混合する量は、換算値として、上記ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaのモル量に対する上記炭酸カルシウム分散液中のCaのモル量の比(原子比)の値が0.667になる量とした。
上記以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
得られた成形体は良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の実施例6に示す。
実施例7
ポルトランドセメント(宇部三菱セメント株式会社製)に水を加え、ホモミキサーを用いて分散した分散液(ポルトランドセメント分散液)を用意した。当該分散液の所定量を70℃に加温し、攪拌しながら、これに10%濃度のリン酸水溶液を添加して反応させ、リン酸のカルシウム塩(ブラッシャイト)を含有する水性スラリー(1)を得た。
ここで、リン酸水溶液の添加量は、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記炭酸カルシウム分散液中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.67となる量とした。この添加量は、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、上記ポルトランドセメント分散液中のCaの100%がリン酸と反応する量に相当する。
実施例6と同じ水性スラリー(2)を用意した。
上記水性スラリー(2)に、上記水性スラリー(1)を混合し、ゾノトライトとリン酸のカルシウム塩と非晶質シリカとからなる組成Bを含有する水性スラリーを得た。ここで、水性スラリー(2)に水性スラリー(1)を混合する量は、換算値として、ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaのモル量に対する上記ポルトランドセメント分散液中のCaのモル量の比(原子比)の値が0.513になる量とした。
上記以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
得られた成形体は良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の実施例7に示す。
実施例8
CSH水性スラリー(原料に石灰乳とフェロシリコンダストと水を用い、CaO/SiO=1.00となるよう配合し、攪拌下90℃で1.5時間反応させて得た。)を調製した。当該CSH水性スラリーの所定量を70℃に加温し、攪拌しながら、これに10%濃度のリン酸水溶液を添加して反応させ、次いでホモミキサーで分散し、ヒドロキシアパタイトと非晶質シリカからなる反応後組成物を含有する水性スラリー(1)を得た。
ここで、リン酸水溶液の添加量は、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記CSH水性スラリー中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.67となる量とした。この添加量は、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、上記CSH水性スラリー中のCaの100%がリン酸と反応する量に相当する。
実施例6と同じ水性スラリー(2)を用意した。
上記水性スラリー(2)に、上記水性スラリー(1)を混合し、ゾノトライトとヒドロキシアパタイトと非晶質シリカとからなる組成Bの生成物を含有する水性スラリーを得た。ここで、水性スラリー(2)に水性スラリー(1)を混合する量は、換算値として、ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaのモル量に対する上記CSH水性スラリー中のCaのモル量の比(原子比)の値が0.385になる量とした。
上記以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
得られた成形体は良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の実施例8に示す。
実施例9
タルク粉末(日本タルク株式会社製,ミクロエースP−3)に水を加えた分散液(タルク分散液)を用意した。当該タルク分散液の所定量を常温(20℃)で攪拌しながら、これに10%濃度のリン酸水溶液を添加し、200℃で4時間反応させた後、生成物を水洗濾過し、リン酸水素マグネシウム及び未反応のタルクを含む水性スラリー(1)を得た。
ここで、リン酸水溶液の添加量は、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記タルク分散液中のMgのモル量の比(原子比)Mg/P=1.50となる量とした。この添加量は、生成するリン酸のマグネシウム塩がリン酸マグネシウムであるとして計算した場合には、上記タルク分散液中のMgの100%がリン酸と反応する量に相当する。
実施例6と同じ水性スラリー(2)を用意した。
上記水性スラリー(2)に、上記水性スラリー(1)を混合し、ゾノトライトとヒドロキシアパタイトと非晶質シリカとリン酸水素マグネシウムと未反応のタルクからなる組成Dの生成物を含有する水性スラリーを得た。ここで、水性スラリー(2)に水性スラリー(1)を混合する量は、換算値として、ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaのモル量に対する上記タルク分散液中のMgのモル量の比(原子比)の値が0.398になる量とした。
上記以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
得られた成形体は良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の実施例9に示す。
実施例10
水酸化マグネシウム粉末(キンセイマテック株式会社製)に水を加えた分散液を用意した。当該水酸化マグネシウム分散液の所定量を常温(20℃)で攪拌しながら、これに10%濃度のリン酸水溶液を添加し、200℃で4時間反応させた後、生成物を水洗濾過し、リン酸水素マグネシウムを含む水性スラリー(1)を得た。
ここで、リン酸水溶液の添加量は、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記水酸化マグネシウム分散液中のMgのモル量の比(原子比)Mg/P=1.50となる量とした。この添加量は、生成するリン酸のマグネシウム塩がリン酸マグネシウムであるとして計算した場合には、上記水酸化マグネシウム分散液中のMgの100%がリン酸と反応する量に相当する。
実施例6と同じ水性スラリー(2)を用意した。
上記水性スラリー(2)に、上記水性スラリー(1)を混合し、ゾノトライトとヒドロキシアパタイトと非晶質シリカとリン酸水素マグネシウムからなる組成Bの生成物を含有する水性スラリーを得た。ここで、水性スラリー(2)に水性スラリー(1)を混合する量は、換算値として、ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaのモル量に対する上記水酸化マグネシウム分散液中のMgのモル量の比(原子比)の値が0.762になる量とした。
上記以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
得られた成形体は良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の実施例10に示す。
実施例11
トバモライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物の二次粒子よりなる粉体(トバモライトパウダーTK,日本インシュレーション株式会社製)に、25倍の質量の水を加えて得られた水性スラリー(以下、「トバモライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー」とも言う。)を得た。
分取した所定量の上記水性スラリーに、実施例1と同じ石灰乳を添加して混合水性スラリーを得た。ここで、上記石灰乳の添加量は、上記分取した水性スラリー中のCaのモル量に対する上記石灰乳中のCaのモル量の比(原子比)の値が0.75になる量とした。
混合水性スラリーを70℃に加温し、攪拌しながら、これに10%濃度のリン酸水溶液を添加して反応させ、トバモライトとヒドロキシアパタイトと非晶質シリカからなる組成Bを含有する水性スラリーを得た。ここで、上記リン酸水溶液の添加量は、量Aと量Bの合計量(量A+量B)であり、それぞれ次のように特定される量である。
量Aは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記トバモライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=2.78となる量である。また、量Aは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、上記トバモライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaの60%がリン酸と反応する量に相当する。
量Bは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記添加した石灰乳中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.67となる量である。また、量Bは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、上記添加した石灰乳中のCaの100%がリン酸と反応する量に相当する。
なお、実施例11を行うに当たり、上記結晶質珪酸カルシウム水和物と上記石灰乳の混合物にリン酸を反応させる場合、石灰乳の全量がリン酸と反応し、余った量のリン酸と結晶質珪酸カルシウム水和物が反応することを、事前にX線回折装置による構成結晶の同定結果から確認し、上記の通りのリン酸添加量とした。
上記以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
得られた成形体は良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の実施例11に示す。
実施例12
実施例1と同じゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリーを用意した。当該スラリーの所定量に、実施例6と同じ炭酸カルシウム分散液を添加して混合水性スラリーを得た。ここで、上記炭酸カルシウム分散液の添加量は、上記ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaのモル量に対する上記炭酸カルシウム分散液中のCaのモル量の比(原子比)の値が0.667になる量とした。
混合水性スラリーを70℃に加温し、攪拌しながら、これに10%濃度のリン酸水溶液を添加して反応させ、炭酸カルシウムとヒドロキシアパタイトと非晶質シリカからなる組成Cを含有する水性スラリーを得た。ここで、上記リン酸水溶液の添加量は、量Aと量Bの合計量(量A+量B)であり、それぞれ次のように特定される量である。
量Aは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=2.78となる量である。また、量Aは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、上記ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー中のCaの60%がリン酸と反応する量に相当する。
量Bは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記炭酸カルシウム分散液中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.67となる量である。また、量Bは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、上記添加した炭酸カルシウム分散液中のCaの100%がリン酸と反応する量に相当する。
上記以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
得られた成形体は良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の実施例12に示す。
実施例13
実施例1において、水対固形分比を30から24に変更した以外は、実施例1と同様にしてゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー(以下、「ゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー(2)」とも言う。)を得た。
上記水和物スラリー(2)の所定量に、実施例1と同じ石灰乳、及びポルトランドセメント(宇部三菱セメント株式会社製)に水を加えた分散液(ポルトランドセメント分散液)を添加し、水和物スラリー(2)と石灰乳とポルトランドセメントよりなる混合水性スラリーを得た。
ここで、石灰乳の添加量は、水和物スラリー(2)中のCaのモル量に対する石灰乳中のCaのモル量の比(原子比)の値が0.331になる量とした。また、ポルトランドセメント分散液の添加量は、水和物スラリー(2)中のCaのモル量に対するポルトランドセメント分散液中のCaのモル量の比(原子比)の値が0.036になる量とした。
混合水性スラリーを70℃に加温し、攪拌しながら、これに10%濃度のリン酸水溶液を添加して反応させ、ゾノトライトとヒドロキシアパタイトと非晶質シリカからなる組成Bの生成物を含有する水性スラリーを得た。ここで、上記リン酸水溶液の添加量は、量Aと量Bと量Cの合計量(量A+量B+量C)であり、それぞれ次のように特定される量である。
量Aは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記水和物スラリー(2)中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.84となる量である。また、量Aは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には上記水和物スラリー(2)中のCaの95%がリン酸と反応する量に相当する。
量Bは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記添加した石灰乳中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.67となる量である。また、量Bは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、上記添加した石灰乳中のCaの100%がリン酸と反応する量に相当する。
量Cは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記添加したポルトランドセメント分散液中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.67となる量である。また、量Cは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、上記添加したポルトランドセメント分散液中のCaの100%がリン酸と反応する量に相当する。
得られた水性スラリーの所定量(水性スラリーの固形分が79質量部)に、炭化珪素を15質量部、ガラス繊維を3質量部、パルプを3質量部、界面活性剤(三洋化成工業株式会社製,サンモリンOT−70)を上記水性スラリーの固形分に対して3質量%、凝集剤(伯東株式会社製,ハクロックAU)を上記水性スラリーの固形分に対して0.1質量%となるように、添加混合した後、脱水成形し、150℃で乾燥して成形体(150mm×50mm×30mm)を得た。成形体は良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の実施例13に示す。
実施例14
実施例13と同じゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー(2)の所定量に、実施例13と同じポルトランドセメント分散液を添加して、上記水和物スラリー(2)とポルトランドセメントよりなる混合水性スラリーを得た。
ここで、ポルトランドセメント分散液の添加量は、上記水和物スラリー(2)中のCaのモル量に対する上記ポルトランドセメント分散液中のCaのモル量の比(原子比)の値が0.276になる量とした。
混合水性スラリーを70℃に加温し、攪拌しながら、これに10%濃度のリン酸水溶液を添加して反応させ、ゾノトライトとヒドロキシアパタイトと非晶質シリカからなる組成Bを含有する水性スラリーを得た。ここで、上記リン酸水溶液の添加量は、量Aと量Bの合計量(量A+量B)であり、それぞれ次のように特定される量である。
量Aは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記水和物スラリー(2)中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=2.78となる量である。また、量Aは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には上記水和物スラリー(2)中のCaの60%がリン酸と反応する量に相当する。
量Bは、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記添加したポルトランドセメント分散液中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.67となる量である。また、量Bは、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、上記添加したポルトランドセメント分散液中のCaの100%がリン酸と反応する量に相当する。
得られた水性スラリーの所定量(水性スラリーの固形分が77質量部)に、炭化珪素を15質量部、ガラス繊維を4質量部、パルプを3質量部、ポルトランドセメントを1質量部、凝集剤(伯東株式会社製,ハクフロックAU)を上記水性スラリーの固形分に対して0.1質量%となるように、添加混合した後、脱水成形し、150℃で乾燥して成形体(150mm×50mm×30mm)を得た。成形体は良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の実施例14に示す。
実施例15
実施例13と同じゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリー(2)を用意した。上記水和物スラリー(2)の所定量を70℃に加温し、攪拌しながら、これに10%濃度のリン酸水溶液を添加して反応させ、ゾノトライトとヒドロキシアパタイトと非晶質シリカからなる水性スラリーを得た。
ここで、リン酸水溶液の添加量は、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記水和物スラリー(2)中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=2.38となる量とした。この添加量は、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には上記水和物スラリー(2)中のCaの70%がリン酸と反応する量に相当する。
得られた水性スラリーに、実施例1と同じ石灰乳を添加して、ゾノトライトとヒドロキシアパタイトと非晶質シリカと石灰乳よりなる混合水性スラリーを得た。
ここで、石灰乳の添加量は、上記ゾノトライトとヒドロキシアパタイトと非晶質シリカからなる水性スラリー中のCaのモル量に対する石灰乳中のCaのモル量の比(原子比)の値が0.668になる量とした。
混合水性スラリーを70℃に加温し、攪拌しながら、10%濃度のリン酸水溶液を添加して反応させ、ゾノトライトとヒドロキシアパタイトと非晶質シリカからなる組成Bの生成物を含有する水性スラリーを得た。
ここで、リン酸水溶液の添加量は、リン酸水溶液中のPのモル量に対する上記添加した石灰乳中のCaのモル量の比(原子比)Ca/P=1.67となる量とした。この添加量は、生成するリン酸のカルシウム塩がヒドロキシアパタイトであるとして計算した場合には、上記添加した石灰乳中のCaの100%がリン酸と反応する量に相当する。
得られた水性スラリーの所定量(水性スラリーの固形分が78質量部)に、炭化珪素を15質量部、ガラス繊維を4質量部、パルプを3質量部、界面活性剤(三洋化成工業株式会社製,ナロアクティCL−100)を上記水性スラリーの固形分に対して2質量%、凝集剤(伯東株式会社製,ハクロックAU)を上記水性スラリーの固形分に対して0.2質量%、凝結剤(伯東株式会社製,ハクトロンZ−152)を上記水性スラリーの固形分に対して0.1質量%、消泡剤(花王株式会社製,アンチフォームE−20)を上記水性スラリーに対して0.01質量%となるように、添加混合した後、脱水成形し、150℃で乾燥して成形体(150mm×50mm×30mm)を得た。成形体は良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の実施例15に示す。
実施例16
実施例13において、ポルトランドセメントをアルミナセメント(AGCセラミックス株式会社製,アサヒフォンジュ(AF))に置き換えた以外は、実施例13と同様にして成形体を得た。成形体は良好なものであった。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の実施例16に示す。
比較例1
実施例1と同じゾノトライトからなる結晶質珪酸カルシウム水和物スラリーを用意した。石灰乳を添加しない点及びリン酸を添加しない点以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。成形体には乾燥収縮による変形が少し見られた。
成形体の密度、乾燥収縮率、曲げ強さ、熱伝導率の測定結果を表1の比較例1に示す。
Figure 0005425326

Claims (14)

  1. 1)ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の結晶質珪酸カルシウムと、2)水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、セメント、非晶質珪酸カルシウム水和物、タルク及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の無機物質とを、水の存在下においてリン酸と反応させることにより得られる断熱材用組成物を、断熱材用成形体の密度が0.1〜0.3g/cm となるように脱水成形及び乾燥することにより得られる、密度が0.1〜0.3g/cm である断熱材用成形体
  2. 前記断熱材用組成物は、リン酸のカルシウム塩及びリン酸のマグネシウム塩の少なくとも1種のリン酸塩と非晶質シリカとを含有する組成Aを含む、請求項1に記載の断熱材用成形体
  3. 前記断熱材用組成物は、前記組成Aに、ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の結晶質珪酸カルシウムを加えた組成Bを含む、請求項1に記載の断熱材用成形体
  4. 前記断熱材用組成物は、前記組成Aに、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、セメント、非晶質珪酸カルシウム水和物、タルク及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の無機物質を加えた組成Cを含む、請求項1に記載の断熱材用成形体
  5. 前記断熱材用組成物は、前記組成Aに、ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の結晶質珪酸カルシウム、並びに、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、セメント、非晶質珪酸カルシウム水和物、タルク及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の無機物質を加えた組成Dを含む、請求項1に記載の断熱材用成形体
  6. 前記結晶質珪酸カルシウムは、ゾノトライト及びトバモライトの少なくとも1種を含有する結晶質珪酸カルシウム水和物の二次粒子である、請求項1〜5のいずれかに記載の断熱材用成形体
  7. 前記無機物質は、水酸化カルシウムである、請求項1〜6のいずれかに記載の断熱材用成形体
  8. 前記無機物質は、水酸化カルシウム及びセメントである、請求項1〜6のいずれかに記載の断熱材用成形体
  9. 1)ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト及びウォラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の結晶質珪酸カルシウムと、2)水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、セメント、非晶質珪酸カルシウム水和物、タルク及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の無機物質とを、水の存在下においてリン酸と反応させることにより断熱材用組成物を得た後、当該断熱材用組成物を、断熱材用成形体の密度が0.1〜0.3g/cm となるように脱水成形及び乾燥する、密度が0.1〜0.3g/cm である断熱材用成形体の製造方法
  10. 前記結晶質珪酸カルシウムは、ゾノトライト及びトバモライトの少なくとも1種を含有する結晶質珪酸カルシウム水和物の二次粒子である、請求項に記載の製造方法。
  11. 前記無機物質は、水酸化カルシウムである、請求項又は10に記載の製造方法。
  12. 前記無機物質は、水酸化カルシウム及びセメントである、請求項又は10に記載の製造方法。
  13. 前記結晶質珪酸カルシウムと前記無機物質と水とを含有する混合物を調製し、当該混合物を攪拌しながらそこにリン酸を加えることにより前記断熱材用組成物を得る、請求項12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 前記結晶質珪酸カルシウムと水とを含有する混合物を撹拌しながらそこにリン酸を加えて得られる混合物Aと、前記無機物質と水とを含有する混合物を撹拌しながらそこにリン酸を加えて得られる混合物Bとを調製し、混合物Aと混合物Bとを更に混合することにより前記断熱材用組成物を得る、請求項12のいずれかに記載の製造方法。
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