JP5427298B2 - 誘導加熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、一般家庭、レストラン及びオフィスなどで使用される誘導加熱調理器を含む誘導加熱装置に関するものである。
近年、鍋やフライパンなどの調理容器を加熱コイルにより誘導加熱する誘導加熱調理器が広く普及している。
従来、この種の誘導加熱調理器においては、調理容器の温度を精度高く検知するために、調理容器の温度に応じて放射される赤外線を検出し、検知した赤外線エネルギーに応じて赤外線検知信号を出力する赤外線検知手段を用いたものが知られている。
また、日本の特許第4311154号公報(特許文献1)には、赤外線検知手段として赤外線センサを用いて、調理容器における低い温度(70℃)を検知し、検知された温度に基づいて加熱制御する構成が提案されている。
誘導加熱調理器に用いられる赤外線検知手段は、加熱される調理容器、調理容器が載置されるトッププレート、誘導加熱するための加熱コイルなどから放射される熱を受けて温度が上昇する。赤外線検知手段が量子型の赤外線受光手段であるフォトダイオードと、このフォトダイオードが出力する電流信号を電流電圧変換して増幅するオペアンプとを備える場合、フォトダイオードの温度が上昇すると、フォトダイオードの内部抵抗である並列抵抗(シャント抵抗)の抵抗値が低下する。このように並列抵抗の抵抗値が低下すると、オペアンプの入力オフセット電圧が増幅されて大きくなる。
その結果、赤外線検知手段から出力される赤外線検知信号には、増幅された入力オフセット電圧が重畳されるため、赤外線検知手段から出力された赤外線検知信号は正確な赤外線エネルギーを示さなくなるという問題がある。このような問題を解決し、赤外線検知信号における調理容器の温度検知の精度の悪化を防止するために、日本の特開2008−52959号公報(特許文献2)にはフォトダイオードから出力される光電流の極性を周期的に反転させる接続制御手段を設けた誘導加熱調理器が提案されている。
一般的な誘導加熱調理器においては、トッププレートの下部に赤外線検知手段を設けて、調理容器における鍋底の温度を検出し、当該調理容器に対する加熱制御が行われている。
誘導加熱調理器において、トッププレートに用いられる耐熱ガラスは、0.5〜2.5μmの波長域で約90%(厚み4mmの場合)の光透過率を持っており、赤外線検知手段はこの波長域の赤外線を検出している。図1において、実線で示す特性曲線は、トッププレートとして一般的に用いられる耐熱ガラスの光透過率の特性を示している。また、図1には、特定温度(60℃、140℃)の黒体の放射エネルギーを破線でそれぞれ示している。なお、後述する赤外線検知部により受光可能な放射エネルギーの領域をハッチングにより示している。
なお、図1において、横軸が波長[μm]を示し、縦軸が光透過率[%]および放射強度[W/sr]を示している。ここで光透過率とは、光の吸収及び反射の程度を示す値であり、入射した光量に対する透過して出射した光量の比率を示している。
日本の特開2009−176553号公報(特許文献3)には、赤外線検知手段としての赤外線センサが、受光する赤外線の検出範囲を特定して、特定の温度領域を検出する誘導加熱調理器が提案されている。この誘導加熱調理器において、赤外線センサには赤外線を集光するために、ポリカーボネートで形成された半球面のレンズが設けられている。レンズを樹脂製とすることにより、赤外線検知手段のコストの低減が図られている。
特許第4311154号公報 特開2008−52959号公報 特開2009−176553号公報
特許文献1に示す赤外線検知手段においては、70℃前後の低い温度が検知対象温度であるため、赤外線検知手段自体の温度が検知対象温度となる場合がある。
このように、赤外線検知手段自体が検知対象温度となった場合、特許文献2における課題である入力オフセット電圧の変動に加えて、赤外線検知手段から出力される赤外線検知信号には負信号(逆電流信号)が重畳されていることが発明者らの実験により確認された。特に、100℃以下の低温度を赤外線検知手段が検出する場合、検知対象である調理容器から放射される赤外線エネルギーは少ないため、赤外線検知信号に負信号が重畳されることは正確な温度検知を阻害する大きな問題である。ここで、赤外線検知信号に重畳される負信号とは、赤外線検知手段が受光した赤外線の赤外線エネルギーに応じて出力される赤外線検知信号とは逆極性となる逆電流信号である。
図2は、赤外線検知手段である赤外線センサから出力される負信号の一例を示しており、温度に対する出力電圧特性を示すグラフである。図2において、横軸が赤外線センサの温度[℃]を示し、縦軸が赤外線センサの出力電圧[V]を示している。図2に示す負信号は、赤外線エネルギーを受けない暗状態において、赤外線センサ自体の温度を上昇させたときの出力信号であり、常温状態(20℃)において0.96Vの電圧信号を基準電圧信号(Vref)として出力するよう構成されている。
図3は、赤外線センサが特定の温度(25℃、50℃、80℃)のときに、調理容器の温度を検出した場合の特性曲線を示している。図3において、実線で示す特性曲線が赤外線センサ自体の温度が25℃の場合であり、破線で示す特性曲線が赤外線センサ自体の温度が50℃の場合であり、そして一点鎖線で示す特性曲線が赤外線センサ自体の温度が80℃の場合である。
図3に示すように、赤外線センサが80℃の場合の出力電圧である赤外線検知信号においては、赤外線センサが25℃の場合に比べて約0.8V低下している。このように、赤外線センサ自体の温度が検知対象温度(例えば、50〜80℃)に上昇することにより、出力された赤外線検知信号には負信号が重畳されていることが理解できる。
上記のように、従来の赤外線検知手段として赤外線センサを用いた場合において、特に検知対象温度が低温度、例えば、100℃以下であり、赤外線検知手段自体がその検知対象温度のときには、赤外線検知信号に大きく影響する負信号が赤外線検知信号に重畳されて出力されている。このため、従来の赤外線センサでは調理容器の温度検知、特に低温度の検知を正確に行うことができないという課題を有していた。
また、以下に説明する理由により、従来の赤外線センサにおいては、特に検知対象温度が低温度の場合には調理容器の正確な温度検知ができないという課題を有していた。
前述のように、特許文献3に開示されている従来の赤外線検知手段としての赤外線センサには、赤外線を集光するために、ポリカーボネートの樹脂で形成された半球面のレンズが設けられている。したがって、赤外線センサは、調理容器から放射され、耐熱ガラス製のトッププレートと、樹脂製のレンズとを透過した赤外線を検出する構成である。トッププレートとレンズでは光透過特性が異なるため、調理容器から放射された赤外線はトッププレートで減衰し、更にレンズにおいて減衰する。このように、トッププレートとレンズにおいて減衰された赤外線を赤外線センサが検出する構成であるため、特に、低温度を検出する赤外線センサが受け取る赤外線エネルギーは少なくなり、加熱対象物である調理容器の正確な温度検知を行うことができないという課題を有していた。
本発明は、前記の従来の誘導加熱調理器における課題を解決するものであり、赤外線検知手段により加熱対象物の温度を、特に低温度(例えば、100℃以下)の場合においても高精度に検出して、加熱対象物を所望の状態に確実に加熱することができる誘導加熱装置の提供を目的とするものである。本発明は、例えば、誘導加熱調理器においては、加熱対象物である調理容器の温度を高精度に検出して、向上した調理性能を有する調理器具を提供するものである。
本発明においては、赤外線検知手段自体の温度が当該赤外線検知手段の検知対象温度以上に上昇して、赤外線検知手段から出力される赤外線検知信号に大きな負信号が重畳されても、加熱対象物の温度を精度高く検出することができる誘導加熱装置を提供することが可能となる。
また、本発明においては、加熱対象物から放射される赤外線が集光レンズを介して加熱対象物の温度を精度高く検出して、加熱対象物の温度制御を高精度に実行することができる誘導加熱装置を提供することが可能となる。
本発明に係る第1の態様の誘導加熱装置においては、
加熱対象物を載置するトッププレートと、
前記加熱対象物を加熱する誘導磁界を発生させる加熱コイルと、
前記加熱コイルに印加する高周波電流を制御して、前記加熱対象物の加熱を行う制御部と、
前記加熱対象物の温度に応じて放射される赤外線を検知し、検知した赤外線の赤外線エネルギーに応じて赤外線検知信号を出力する赤外線検知部と、を備えた誘導加熱装置において、
前記赤外線検知部は、
前記加熱対象物から放射される赤外線を受けて、検知信号を出力する赤外線受光部、
前記赤外線受光部からの検知信号を増幅して、赤外線検知信号を形成する増幅部、および
前記赤外線検知部の温度を検知し、前記制御部へ出力する温度検知部、を含み、
前記制御部は、
前記赤外線検知部が出力する前記赤外線検知信号に重畳される負信号に関する情報であって、前記赤外線検知信号とは逆極性となる前記負信号に関する負信号情報に基づいて、前記赤外線検知部の温度が前記赤外線検知部の検知対象温度以上のとき、前記赤外線検知信号を補正して赤外線実信号を形成する補正部、を含む。このように構成された本発明に係る第1の態様の誘導加熱装置は、赤外線検知部により加熱対象物の温度を高精度に検出して、加熱対象物を所望の状態に加熱することができる。
本発明に係る第2の態様の誘導加熱装置においては、前記の第1の態様における前記制御部は、前記負信号と、前記赤外線検知部の温度とに関する温度特性を示す前記負信号情報が予め記憶されている温度特性記憶部、を含み、
前記補正部は、前記負信号情報における温度特性に基づいて、前記赤外線検知信号を補正して赤外線実信号を形成するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第2の態様の誘導加熱装置は、赤外線検知部の温度が当該赤外線検知部の検知対象温度以上に上昇し、負信号が発生しても加熱対象物の温度を精度高く検知することが可能となり、例えば誘導加熱調理器においては調理性能を向上させることができる。
本発明に係る第3の態様の誘導加熱装置においては、前記の第1の態様における前記制御部は、前記負信号と、前記赤外線受光部におけるカットオフ波長若しくは分光感度波長に関する感度特性を示す前記負信号情報が予め記憶されている感度特性記憶部、を含み、
前記補正部は、前記負信号情報における感度特性に基づいて、前記赤外線検知信号を補正して赤外線実信号を形成するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第3の態様の誘導加熱装置は、赤外線検知部の温度が当該赤外線検知部の検知対象温度以上に上昇し、負信号が発生しても加熱対象物の温度を精度高く検知することが可能となり、例えば誘導加熱調理器においては調理性能を向上させることができる。
本発明に係る第4の態様の誘導加熱装置においては、第1乃至第3の態様における前記制御部を、前記赤外線検知信号が含む入力オフセット電圧信号を補正して赤外線実信号を形成するよう構成してもよい。
本発明に係る第5の態様の誘導加熱装置においては、第1乃至第3の態様における前記赤外線検知部を、前記赤外線受光部が出力する検知信号に対して、一定の基準電圧を重畳させるよう構成してもよい。
本発明に係る第6の態様の誘導加熱装置においては、第1の態様における誘導加熱装置が前記加熱対象物から放射される赤外線が前記赤外線受光部により受光されることを防止する遮光部を備え、
前記制御部が、前記赤外線受光部が前記加熱対象物から放射される赤外線を受光するか、若しくは遮光されるかを、前記遮光部を切替え操作する切替部と、
前記赤外線検知部の温度が前記赤外線検知部の検知対象温度以上のとき、前記赤外線検知信号に重畳される前記負信号を、前記加熱対象物から放射された赤外線が前記赤外線受光部により受光されたときの出力信号と、前記加熱対象物から放射された赤外線が遮光されたときの前記赤外線受光部の出力信号との出力差に基づいて検出して、検出された前記負信号に基づいて前記赤外線検知信号を補正して赤外線実信号を形成する補正部と、を備える構成としてもよい。このように構成された本発明に係る第6の態様の誘導加熱装置は、赤外線検知部の温度が当該赤外線検知部の検知対象温度以上に上昇して、赤外線検知部において負信号が発生しても、加熱対象物の温度を精度高く検出することができる。
本発明に係る第7の態様の誘導加熱装置においては、第1の態様における前記赤外線検知部が、前記加熱対象物の温度に応じて放射される赤外線を検知し、検知した赤外線の赤外線エネルギーに応じて赤外線検知信号を出力する第1の赤外線受光部と、
前記第1の赤外線受光部の近傍に配置され、前記加熱対象物の温度に応じて放射される赤外線を受光しないよう遮蔽されて、暗信号を出力する第2の赤外線受光部と、を備え、
前記赤外線検知部の温度が前記赤外線検知部の検知対象温度以上のとき、赤外線検知信号に重畳して出力される前記負信号を、前記第1の赤外線受光部の赤外線検知信号と、前記第2の赤外線受光部の暗信号との出力差に基づいて検出して、検出された前記負信号に基づいて前記赤外線検知信号を補正して赤外線実信号を形成する補正部と、を備える構成としてもよい。このように構成された本発明に係る第7の態様の誘導加熱装置は、赤外線検知部の温度が当該赤外線検知部の検知対象温度以上に上昇して、赤外線検知部において負信号が発生しても、加熱対象物の温度を精度高く検出することができる。
本発明に係る第8の態様の誘導加熱装置においては、第1乃至第7の態様における前記赤外線検知部が、前記加熱対象物から放射された赤外線をフレネルレンズにより集光して、前記赤外線受光部から検知信号を出力するよう構成してもよい。このように構成された本発明に係る第8の態様の誘導加熱装置は、加熱対象物から放射される赤外線が集光レンズを介して加熱対象物の温度を精度高く検出して、加熱対象物の温度制御を高精度に実行することができる。
本発明に係る第9の態様の誘導加熱装置においては、第1乃至第7の態様における前記赤外線検知部が、前記トッププレートの下部に設けられて、前記加熱対象物から放射された赤外線が前記トッププレートを介して入射され、入射された赤外線が前記トッププレートとは異なる透過特性を有するフレネルレンズにより集光されて、前記赤外線受光部から検知信号を出力するよう構成してもよい。このように構成された本発明に係る第9の態様の誘導加熱装置は、加熱対象物から放射される赤外線がトッププレートおよび集光レンズを介して加熱対象物の温度を精度高く検出することができ、加熱対象物の温度制御を高精度に実行することができる。本発明に係る第9の態様の誘導加熱装置においては、トッププレートと集光レンズの透過特性が異なる構成にであっても、加熱対象物の温度を精度良く検知することが可能となり、例えば、誘導加熱調理器における調理性能を向上させることができる。
本発明に係る第10の態様の誘導加熱装置においては、第1乃至第7の態様における前記赤外線検知部が、前記トッププレートの上部に設けられて、前記加熱対象物から放射された赤外線が入射され、入射された赤外線がフレネルレンズにより集光されて、前記赤外線受光部から検知信号を出力するよう構成してもよい。このように構成された本発明に係る第10の態様の誘導加熱装置は、加熱対象物から放射される赤外線が集光レンズを介して加熱対象物の温度を精度高く検出して、加熱対象物の温度制御を高精度に実行することができる。
本発明に係る第11の態様の誘導加熱装置においては、第1乃至第7の態様における前記赤外線検知部が、前記加熱対象物から放射された赤外線が入射され、入射された赤外線がフレネルレンズにより集光されて、前記赤外線受光部から検知信号を出力するよう構成されており、前記フレネルレンズが樹脂製で形成されることが好ましい。このように構成された本発明に係る第11の態様の誘導加熱装置において、ガラスを用いた従来の集光レンズと比較して、赤外線検知部を低価格で構成することが可能となる。
本発明に係る第12の態様の誘導加熱装置においては、第1乃至第7の態様における前記赤外線検知部が、前記加熱対象物から放射された赤外線が入射され、入射された赤外線がフレネルレンズにより集光されて、前記赤外線受光部から検知信号を出力するよう構成されており、前記フレネルレンズの厚みが1mm以下であることが好ましい。このように構成された本発明に係る第12の態様の誘導加熱装置において、トッププレートと集光レンズの透過特性が異なる構成においても、集光レンズによる減衰を最小化することが可能となり、加熱対象物の温度を精度高く検知することが可能となり、例えば、誘導加熱調理器における調理性能を向上させることができる。
本発明に係る第13の態様の誘導加熱装置においては、第1乃至第7の態様における前記赤外線検知部が、量子型であってもよい。
例えば、加熱対象物としての調理容器から放射される赤外線をトッププレートを介して検知するよう構成した場合、調理容器の熱が熱伝導によりトッププレートに伝わるため、赤外線受光部は、調理容器から放射されトッププレートを透過した赤外線と、トッププレートが放射した赤外線とを受光する。したがって、トッププレートを透過した調理容器からの赤外線が示す温度のみを検知する上では、トッププレートが放射した赤外線は検知誤差となる。
素子温度の上昇によって変化する電気的性質を利用する熱型の赤外線受光部、例えばサーミスタである場合、感度および応答速度は低いが、赤外線の広い波長に感度を有している。一方、光エネルギーによって生じる電気現象を利用する量子型の赤外線受光部、例えばフォトダイオードである場合、検出感度が高く、応答速度に優れている。また、量子型の赤外線受光部は、化合物半導体の場合、組成や組成比を変えることにより感度波長を変更することができるという特徴を持っている。そのため、赤外線受光部を量子型とし、トッププレートの透過波長に当該赤外線受光部の感度波長を合わせることにより、トッププレートが放射した赤外線の影響は低くなる。したがって、本発明に係る第13の態様の誘導加熱装置においては、加熱対象物の温度検知の精度を向上させることができ、例えば、誘導加熱調理器における調理性能を向上させることができる。
本発明に係る第14の態様の誘導加熱装置においては、第1乃至第7の態様における前記赤外線検知部が、100℃以下の温度に対して感度を持つよう構成されてもよい。このように構成された本発明に係る第14の態様の誘導加熱装置において、赤外線検知部が、例えば加熱対象物である調理容器、トッププレート、加熱コイルなどの熱を受けて、温度が上昇し、構成によっては最大100℃程度まで上昇する場合がある。このような場合において、本発明においては赤外線検知部が100℃以下の温度に対し感度を持つよう構成されているため、加熱対象物の温度を高精度に検出することが可能となり、特に有効である。
本発明に係る第15の態様の誘導加熱装置においては、第1乃至第7の態様における前記赤外線検知部の最大感度波長が1.9〜2.0μmであり、検知する前記加熱対象物の温度を60℃以上としてもよい。このように構成された本発明に係る第15の態様の誘導加熱装置において、赤外線検知部が60℃前後の加熱対象物が放射する赤外線エネルギーに対し感度を持つことが可能となる。したがって、本発明によれば、例えば低温度の調理容器に対する高精度な温度検知が必要な機能を有する誘導加熱調理器において、温度検知の精度を高めることが可能となり、誘導加熱調理器の調理性能を向上させることができる。
赤外線検知部においては、最大感度波長が1.9〜2.0μmとした場合、60℃の黒体が放射する赤外線エネルギーにおける僅かのエネルギーしか受光することができない。前述の図1においては、60℃の黒体および140℃の黒体が放射する赤外線エネルギーを破線で示しており、最大感度波長が1.9〜2.0μmである赤外線検知部が受光可能なエネルギーの領域をハッチングで示している。
更に、ポリカーボネートやアクリルなどの樹脂では、1.7μm以上では光透過率が低下する特性を有している。
従来の赤外線検知手段を用いた場合には、加熱対象物から放射された赤外線がトッププレートで減衰し、更に赤外線検知手段の集光レンズにおいて大きく減衰する。このため、加熱対象物が低温度、例えば100℃以下である場合、温度検知を高精度に行うことができないという問題があった。
本発明に係る第15の態様の誘導加熱装置においては、加熱対象物から放射された赤外線を効率高く検知するよう構成されており、特にフルネルレンズを集光レンズとして用いることにより減衰を最小化することが可能となり、低温度の加熱対象物の温度を精度高く検知することができ、例えば誘導加熱調理器においては調理性能を向上させることが可能となる。
本発明に係る第16の態様の誘導加熱装置においては、第1乃至第7の態様における前記赤外線検知部の最大感度波長が1.5〜1.6μmであり、検知する前記加熱対象物の温度を140℃以上としてもよい。
前述の図1に示したように、赤外線検知部においては、最大感度波長を1.5〜1.6μmとした場合、140℃の黒体が放射する赤外線エネルギーにおける僅かの放射エネルギーしか受光することができない。
本発明に係る第16の態様の誘導加熱装置においては、加熱対象物から放射された赤外線を効率高く検知するよう構成されており、特にフルネルレンズを集光レンズとして用いることにより減衰を最小化することが可能となり、加熱対象物の温度を精度高く検知することができ、例えば誘導加熱調理器における調理性能を向上させることができる。
本発明に係る第17の態様の誘導加熱装置においては、第1乃至第7の態様における前記赤外線検知部が、前記加熱対象物から放射された赤外線が入射され、入射された赤外線がフレネルレンズにより集光されて、前記赤外線受光部から検知信号を出力するよう構成されており、前記フレネルレンズが赤外線の反射を低減する反射低減部を備える構成としてもよい。このように構成された本発明に係る第17の態様の誘導加熱装置は、フレネルレンズの表面での反射を最小化することが可能となり、加熱対象物の温度を精度高く検知することができ、例えば誘導加熱調理器における調理性能を向上させることができる。
本発明によれば、赤外線検知手段により加熱対象物の温度を高精度に検出して、加熱対象物を所望の状態に確実に加熱することができる誘導加熱装置を提供することができる。
トッププレートにおける光透過率の特性曲線、および特定温度の黒体の放射エネルギーと特定の最大感度波長を有する赤外線検知部における受光可能なエネルギーを示すグラフ 赤外線センサから出力される負信号の一例を示すグラフ 赤外線センサが特定の温度のときに、調理容器の温度を検出した場合の特性曲線を示すグラフ 本発明に係る実施の形態1の誘導加熱調理器の概略構成を示すブロック図 実施の形態1の誘導加熱調理器における動作を示すフローチャート 本発明に係る実施の形態2の誘導加熱調理器の概略構成を示すブロック図 赤外線受光部のカットオフ波長と負信号との関係を示すグラフ 本発明に係る実施の形態3の誘導加熱調理器の概略構成を示すブロック図 本発明に係る実施の形態4の誘導加熱調理器の概略構成を示すブロック図 本発明に係る実施の形態5の誘導加熱調理器の概略構成を示すブロック図 実施の形態5の誘導加熱調理器における赤外線検知部を示す概略構成図 特定の温度の黒体が放射するエネルギー曲線および特定の最大感度波長を有する赤外線検知部の受光感度特性曲線を示すグラフ 本発明に係る実施の形態6の誘導加熱調理器の概略構成を示すブロック図
以下、本発明の誘導加熱装置に係る実施の形態として誘導加熱調理器について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本発明の誘導加熱装置は、以下の実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、以下の実施の形態において説明する技術的思想と同等の技術的思想および当技術分野における技術常識に基づいて構成される誘導加熱装置を含むものである。
(実施の形態1)
図4は、本発明に係る実施の形態1の誘導加熱調理器の概略構成を示すブロック図である。
図4において、実施の形態1の誘導加熱調理器は、下部外観を構成する外郭ケース103の上部に調理容器102を載置するトッププレート104が設けられて、全体の外観が構成されている。外郭ケース103の内部には、調理容器102を加熱する誘導磁界を発生させる加熱コイル105と、加熱コイル105に印加する高周波電流を制御して調理容器102の加熱を行う制御部106と、トッププレート104を介して調理容器102が温度に応じて放射する赤外線を検知し、検知した赤外線エネルギーに応じて赤外線検知信号を出力する赤外線検知部107、が設けられている。また、トッププレート104の端部直下にはユーザからの入力を受け付ける入力部108と、ユーザへ各種情報の報知を行う報知部109が備えられている。なお、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、加熱対象物である調理物101を収納する調理容器102として鍋が用いられている。
赤外線検知部107は、赤外線を受光して電流信号に変換して検知信号を出力する赤外線受光部107aと、赤外線受光部107aの出力する電流信号を増幅して赤外線検知信号を出力する増幅部107bと、赤外線受光部107a自体の温度を検知する温度検知部107cとを備えている。
制御部106は、補正部106aと温度特性記憶部106bとを備えている。補正部106aは、温度検知部107cが検知した赤外線検知部107、特に赤外線受光部107aの温度と、温度特性記憶部106bからの情報とに基づいて、赤外線検知信号から負信号(逆電流)を相殺するための補正量を算出し、赤外線検知部107から出力された赤外線検知信号を補正する。温度特性記憶部106bは、赤外線検知部107の温度と、負信号との関係を示す負信号情報を記憶している。
実施の形態1の誘導加熱調理器において、外郭ケース103としては金属ケースが用いられており、トッププレート104としては結晶化ガラス板の耐熱ガラスが用いられている。なお、実施の形態1においては、耐熱ガラスとして、製品名ネオセラムN−0が用いられている。制御部106はマイクロコンピュータで構成されている。赤外線検知部107の赤外線受光部107aには、量子型の赤外線センサであるフォトダイオードが用いられている。増幅部107bにはオペアンプが用いられており、温度検知部107cにはサーミスタが用いられている。
ユーザからの入力を受け付ける入力部108は、トッププレートの背面に設けられており、静電容量式スイッチで構成されている。ユーザに対する各種情報の報知を行う報知部109は、LCD(Liquid Crystal Display)で構成されている。
上記のように構成することにより、実施の形態1の誘導加熱調理器を容易に実現することができる。
次に、上記のように構成された本発明に係る実施の形態1の誘導加熱調理器の動作について説明する。図5は、実施の形態1の誘導加熱調理器における動作を示すフローチャートである。
まず、ユーザが入力部108を用いて調理メニューを選択し、加熱開始の操作を行う。入力部108から加熱開始の信号を制御部106が受け付けると(S101)、制御部106は高周波インバータ(図は省略)を動作させて加熱コイル105に高周波電流を印加し、調理容器102に対する加熱動作を開始する(S102)。
加熱コイル105により加熱された調理容器102は、調理容器102自身の温度に応じた赤外線を放射する。調理容器102から放射された赤外線は、トッププレート104で反射、又は吸収され、トッププレート104の光透過特性に応じた赤外線のみが透過する。
赤外線受光部107aは、トッププレート104を透過した赤外線を受光する(S103)。赤外線受光部107aは、受光した赤外線のうち、赤外線受光部107aの感度波長と一致する赤外線の赤外線エネルギーに比例した電流信号を検知信号として出力する(S104)。増幅部107bは、赤外線受光部107aからの電流信号(検知信号)を電流電圧変換して増幅する(S105)。
実施の形態1においては、赤外線受光部107aにフォトダイオードを用い、増幅部107bにオペアンプを用いているため、フォトダイオードが出力する光電流出力Ish(赤外線検知信号)と、赤外線検知部107(赤外線受光部107a)の温度が赤外線検知部107の検知対象温度以上のとき出力される逆電流If(負信号)と、オペアンプの出力Voとの関係は、以下の通りである。
Vo=−(Ish+If)×Rf±Vos×(1+Rf/Rsh) (1)
式(1)において、「Rf」はオペアンプの増幅率を決定するフィードバック抵抗、「Vos」はオペアンプの入力オフセット電圧である。したがって、「(Ish×Rf)」が検出すべき赤外線を示す赤外線実信号であり、「(If×Rf)」が補正すべき量を示す負信号である。また、「Vos×(1+Rf/Rsh)」は、増幅された入力オフセット電圧である。「Rsh」はフォトダイオードの並列抵抗を示している。
上記の式(1)において、「(Ish×Rf)」(赤外線実信号)が赤外線検知信号における本来検知すべき信号成分であり、「(If×Rf)」(負信号)および「Vos×(1+Rf/Rsh)」(増幅された入力オフセット電圧信号)がノイズ成分である。増幅された入力オフセット電圧については、従来の誘導加熱調理器においても補正を行っているため、以下、赤外線実信号と負信号に関する補正ついて主として説明する。
赤外線検知部107は、調理容器102、トッププレート104、加熱コイル105などから熱を受けて温度上昇する。このように、赤外線検知部107の赤外線受光部107aであるフォトダイオードの温度が上昇すると、増幅部107bにおいて並列抵抗Rshが低下し、オペアンプの入力オフセット電圧Vosの増幅率が大きくなる。その結果、増幅部107bは、増幅された入力オフセット電圧Vosが重畳された赤外線検知信号を出力する。
増幅部107bから出力された赤外線検知信号である電圧信号は、制御部106において検知される(S106)。
制御部106は補正部106aを動作させて、補正部106aが温度検知部107cから赤外線受光手段107aであるフォトダイオードの温度を示す温度情報を取得する(S107)。
補正部106aは取得した温度情報に基づき、負信号の逆電流を算出する。この時、温度特性記憶部106bには赤外線検知部107の温度と負信号との相関関係を示す負信号情報が予め記憶されている。例えば、図2に示した赤外線センサ(赤外線検知部)の温度と、その出力電圧との関係を示す負信号情報が、テーブル化され、温度特性記憶部106bに予め記憶されている。補正部106aは、取得した温度情報から温度特性記憶部106bが記憶しているテーブルを参照することにより、負信号である逆電流を算出する。そして、S108において、増幅部107bが出力する電圧信号(赤外線検知信号)から、算出された負信号を相殺し、かつ入力オフセット電圧信号分を補正して赤外線実信号を算出する。
制御部106においては、算出された赤外線実信号に基づいて、選択された調理メニューにおける所定の制御が行われる(S109)。
なお、S107において取得した温度情報において、赤外線受光部107aであるフォトダイオードの温度が赤外線検知部107の検知対象温度未満、或いは検知対象温度における所定温度以下、例えば40℃以下の時は、赤外線検知信号において負信号による影響が少ないと判断して、S107〜S108の補正部106aの補正動作を行わないよう構成してもよい。このように、補正部106aが特定の条件において補正動作を行わないように構成することによって、誘導加熱調理器における処理速度の向上を図ることができる。
なお、温度特性記憶部106bに赤外線受光部107a(フォトダイオード)の温度から負信号を算出する計算式を予め記憶させておき、その計算式に基づいて、S107において、補正部106aが負信号を算出するよう構成しても同様の効果が得られる。
なお、赤外線受光部107aが出力する検知信号に対して、一定の基準電圧を重畳させるよう構成してもよい。このように、一定の基準電圧を重畳させることにより、負信号発生時の赤外線検知部107が出力する電圧信号が0Vで推移することがなくなり、赤外線受光部107aから出力される電流信号を確実に検知することができる。
なお、上記の実施の形態1の説明において、増幅された入力オフセット電圧の補正については省略しているが、同様に、赤外線検知部107から出力された赤外線検知信号に対して、予め設定されたテーブルや計算式等に基づいて入力オフセット電圧を補正し、精度の高い赤外線実信号を算出している。このように、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、負信号および増幅された入力オフセット電圧の補正を行うことにより、調理容器102の検知温度の精度が向上させることができる。勿論、仕様に応じて負信号の逆電流による影響のみを除去するように構成してもよい。
実施の形態1の誘導加熱調理器においては、赤外線受光部107aとして量子型赤外線センサであるフォトダイオードを用いた例で説明したが、量子型以外の赤外線受光手段を用いることも可能である。量子型以外の赤外線受光手段であっても、赤外線検知部の温度が赤外線検知部の検知対象温度以上に上昇した場合、量子型の赤外線受光手段と同様に、出力信号と逆極性となる負信号が出力されて、赤外線検知信号に重畳される。したがって、量子型以外の赤外線受光手段の場合であっても、同様に負信号の補正を行うことにより同様の効果を得ることができる。
なお、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、赤外線受光部107aが100℃以下の温度に対し感度を持つように構成することが、特に好ましい。赤外線受光部107aは、調理容器102、トッププレート104、加熱コイル105などから熱を受けて、温度が上昇する。誘導加熱調理器の構成によっては、赤外線受光部107aが最大で100℃まで上昇する場合がある。そのため、実施の形態1における赤外線受光部107aとしては、100℃以下の温度に対して、感度を持つよう構成した場合において特に有効である。
また、赤外線受光部107aとしては、150℃以上の高い温度に対して、感度を持つように構成することも可能である。但し、赤外線受光部107aが150℃以上の温度に上昇することは、構成上、通常起こり難いため、本発明としての効果は薄い。
なお、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、赤外線受光部107aの最大感度波長が1.9〜2.0μmとなるよう構成されている。このように構成することによって、赤外線受光部107aは60℃前後の調理容器102が放射する赤外線エネルギーに対して、確実に感度を持つことが可能となる。したがって、実施の形態1の誘導加熱調理器の構成によれば、例えば100℃以下の低温度の調理容器102に対して正確な検知温度が必要な場合において、検知温度の精度の向上を図ることが可能となり、誘導加熱調理器の調理性能を飛躍的に向上させることができる。
(実施の形態2)
図6は、本発明に係る実施の形態2の誘導加熱調理器の概略構成を示すブロック図である。
図6に示す実施の形態2の誘導加熱調理器において、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器と異なる点は、制御部106が、温度特性記憶部106bの代わりに、赤外線受光部107aのカットオフ波長を記憶する感度特性記憶部106cを備えている点である。なお、実施の形態2の誘導加熱調理器において、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器とその他の点については同じであるため、異なる点を中心に説明する。以下の実施の形態2の説明においては、実施の形態1の誘導加熱調理器1における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態1の説明を適用する。
図7は、赤外線受光部107aであるフォトダイオードのカットオフ波長と負信号との関係を示すグラフである。ここで、カットオフ波長とは、特定の波長領域に感度を有するフォトダイオードにおいて、感度が急激に減少し、出力が略零になる波長である。
赤外線受光部107a(フォトダイオード)において、カットオフ波長と負信号(逆電流信号)の大きさには相関関係があり、波長が長くなるほど負信号が大きくなるという特性を有する。このことから、赤外線受光部107aのカットオフ波長から負信号の大きさを推定することが可能であることが理解できる。
したがって、カットオフ波長と負信号との間の相関関係を予め把握しておくことにより、赤外線受光部107aのカットオフ波長から負信号の大きさを検知して、赤外線検知信号を補正することが可能となる。
実施の形態2においては、感度特性記憶部106cには赤外線受光部107aのカットオフ波長に関する負信号情報が予め記憶されており、補正部106aは、温度検知部107cからの温度情報から、赤外線受光部107aの温度が検知対象温度となったことを検出したとき、感度特性記憶部106cが記憶するカットオフ波長に関する負信号情報に基づいて、負信号の逆電流を取得する。
そして、補正部106aは、増幅部107bが出力する電圧信号である赤外線検知信号から負信号を相殺して、調理容器の温度を示す赤外線実信号を算出する。
同一ウェハから製造された赤外線受光部107aであれば、カットオフ波長においては大きな差が無いため、ウェハ毎にカットオフ波長を測定し、そのウェハ毎のカットオフ波長情報が感度特性記憶部106cに負信号情報として記憶される。したがって、補正部106aは、取得した温度情報と、感度特性記憶部106cに記憶されているカットオフ波長に関する負信号情報に基づいて、増幅部107bが出力する電圧信号(赤外線検知信号)に対して負信号、および必要であれば入力オフセット電圧信号により補正し赤外線実信号を算出する。このように、上記の実施の形態2の構成においては、赤外線検知信号に対して負信号等の補正を行うことにより、容易に、かつ確実に精度の高い赤外線実信号を得ることができる。
なお、実施の形態2の誘導加熱調理器においては、感度特性記憶部106cに赤外線受光部107aの分光感度特性を記憶させ、その分光感度特性に基づいて、赤外線検知信号の補正を行うよう構成しても同様の効果が得られる。ここで、分光感度特性とは、光の波長に対する感度特性であり、赤外線検知部107における赤外線受光部107aから出力される信号特性である。
(実施の形態3)
図8は、本発明に係る実施の形態3の誘導加熱調理器の概略構成を示すブロック図である。
図8に示す実施の形態3の誘導加熱調理器において、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器と異なる点は、遮光部108が設けられていることと、赤外線検知部107の温度検知部107cが設けられていない点である。実施の形態3の誘導加熱調理器において、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器とその他の点については同じである。以下の実施の形態3の説明においては、実施の形態1の誘導加熱調理器1における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
図8において、実施の形態3の誘導加熱調理器は、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器と同じように、外郭ケース103と、トッププレート104と、加熱コイル105と、制御部106と、赤外線検知部107と、入力部108と、報知部109と、を備えている。なお、実施の形態3の誘導加熱調理器においては、トッププレート104上の加熱対象物としての調理容器102として鍋が用いられている。
実施の形態3の誘導加熱調理器においては、調理容器102から放射された赤外線が赤外線受光部107aにより受光されることを禁止する遮光部110を設けている。
また、実施の形態3の誘導加熱調理器において、制御部106は、調理容器102から放射された赤外線を赤外線受光部107aが受光するか、若しくは赤外線受光部107aに対して赤外線を遮光するかを切り替える切替部106dと、切替部106dの切替動作により得られた検知信号を用いて、赤外線検知信号の補正を行う補正部106aと、を備えている。前述のように、赤外線検知部107が出力する赤外線検知信号においては、赤外線検知信号とは逆極性となる負信号が重畳されており、特に赤外線検知部107の温度が赤外線検知部107の検知対象温度以上に上昇すると、赤外線検知信号に大きな影響を与える負信号が重畳される。
実施の形態3の誘導加熱調理器においては、補正部106aが切替部106cの切替動作において得られた検知信号の差に基づいて、赤外線検知信号に対する負信号の相殺を行う補正が行われている。
また、赤外線検知部107は、調理容器102からの赤外線を受光して、電流信号(検知信号)に変換する赤外線受光部107aと、赤外線受光部107aの出力する電流信号を増幅する増幅部107bとを備えている。
実施の形態3の誘導加熱調理器においては、前述の実施の形態1と同様に、外郭ケース103としては金属ケースが用いられており、トッププレート104としては結晶化ガラス板の耐熱ガラスである製品名ネオセラムN−0が用いられている。制御部106はマイクロコンピュータで構成されている。また、赤外線検知部107の赤外線受光部107aには量子型赤外線センサであるフォトダイオードが用いられており、増幅部107bにはオペアンプが用いられている。赤外線受光部107aに対して赤外線の受光と遮光とを切り替える遮光部110としては、光学チョッパが用いられている。
ユーザからの入力を受け付ける入力部108は、静電容量式スイッチで構成されており、ユーザに対する各種情報の報知を行う報知部109はLCD(Liquid Crystal Display)で構成されている。上記のように構成することにより、実施の形態3の誘導加熱調理器を容易に実現することができる。
次に、上記のように構成された本発明に係る実施の形態3の誘導加熱調理器の動作について説明する。
まず、ユーザが入力部108を用いて調理メニューを選択し、加熱開始の操作を行う。入力部108から加熱開始の信号を制御部106が受け付けると、制御部106は高周波インバータ(図は省略)を動作させて加熱コイル105に高周波電流を印加して調理容器102の加熱動作を開始する。
加熱コイル105により加熱された調理容器102は、調理容器102自身の温度に応じた赤外線を放射する。調理容器102から放射された赤外線は、トッププレート104で反射、又は吸収されて減衰される。トッププレート104に吸収され減衰された赤外線は、トッププレート104の光透過特性に応じた赤外線のみが透過する。
赤外線受光部107aは、トッププレート104を透過して受光した赤外線のうち、赤外線受光部107aの感度波長と一致する赤外線の赤外線エネルギーに比例した電流信号を検知信号として出力する。増幅部107bは、赤外線受光部107aからの電流信号を電流電圧変換して増幅する。
実施の形態3においては、前述の実施の形態1と同様に、赤外線受光部107aのフォトダイオードが出力する光電流出力Ish(赤外線検知信号)と、赤外線検知部107(赤外線受光部107a)の温度が赤外線検知部107の検知対象温度以上のとき出力される逆電流If(負信号)と、オペアンプの出力Voとの関係は、以下の通りである。
Vo=−(Ish+If)×Rf±Vos×(1+Rf/Rsh) (2)
式(2)において、「Rf」はオペアンプの増幅率を決定するフィードバック抵抗、「Vos」はオペアンプの入力オフセット電圧である。したがって、「(Ish×Rf)」が検出すべき赤外線を示す赤外線実信号であり、「(If×Rf)」が補正すべき量を示す負信号である。また、「Vos×(1+Rf/Rsh)」は、増幅された入力オフセット電圧である。「Rsh」はフォトダイオードの並列抵抗を示している。
上記の式(2)において、「(Ish×Rf)」(赤外線実信号)が赤外線検知信号における本来検知すべき信号成分であり、「(If×Rf)」(負信号)および「Vos×(1+Rf/Rsh)」(増幅された入力オフセット電圧信号)がノイズ成分である。
赤外線検知部107は、調理容器102、トッププレート104、加熱コイル105などから熱を受けて温度上昇する。このように、赤外線検知部107の赤外線受光部107aであるフォトダイオードの温度が上昇すると、増幅部107bにおいて並列抵抗Rshが低下し、オペアンプの入力オフセット電圧Vosの増幅率が大きくなる。その結果、増幅部107bは、増幅された入力オフセット電圧Vosが重畳された赤外線検知信号を出力する。
増幅部107bから出力された赤外線検知信号である電圧信号は、制御部106において検知される。
その後、補正部106aが切替部106dを切替動作させることにより、遮光部110が駆動される。遮光部110が駆動されることにより、調理容器102から放射され、トッププレート104を透過した赤外線が、遮光部110により遮光され、赤外線受光部107aによる赤外線の受光が禁止される。
上記のように、赤外線受光部107aにおける受光が禁止された状態において、赤外線受光部107aからは赤外線検知信号が出力されず、負信号のみが出力される。
補正部106aにおいては、赤外線受光部107aが赤外線を受光している時と、遮光部110により遮光されて赤外線を受光していない時との出力差を演算する。補正部106aは、算出された出力差に基づいて、赤外線検知信号に重畳されている負信号を補正して、調理容器102から放射された赤外線を示す赤外線実信号を算出する。
制御部106においては、算出された赤外線実信号に基づいて、選択された調理メニューにおける所定の制御が行われる。
なお、実施の形態3の誘導加熱調理器の構成においては、前述の実施の形態1において説明したように、赤外線受光部107aの温度が赤外線検知部107の検知対象温度未満、或いは検知対象温度における所定温度以下、例えば40℃以下の時は、赤外線検知信号において負信号による影響が少ないと判断して、補正部106aの補正動作を行わないよう構成してもよい。
実施の形態3の誘導加熱調理器においては、前述の実施の形態1において説明したように赤外線受光部107aが出力する検知信号に対して、一定の基準電圧を重畳させるよう構成してもよい。
なお、実施の形態3の誘導加熱調理器においては、切替部106cが遮光部110を駆動して、赤外線受光部107aに対して赤外線の遮光と受光とを切り替える構成したが、赤外線検知部107自体を移動して、赤外線の遮光と受光とを切り替える構成としても同様の効果が得られる。
実施の形態3の誘導加熱調理器においては、実施の形態1の誘導加熱調理器と同様に、赤外線受光部107aとして量子型以外の赤外線受光手段を用いることも可能である。
上記のように構成された実施の形態3の誘導加熱調理器においては、前述の実施の形態1と同様に、赤外線受光部107aとしては、100℃以下の温度に対して、感度を持つよう構成した場合に、精度の高い温度検知が可能となり、特に有効である。
なお、実施の形態3の誘導加熱調理器において、赤外線受光部107aの最大感度波長は、1.9〜2.0μmとなるよう構成している。このように構成することによって、赤外線受光部107aは60℃前後の調理容器102が放射する赤外線エネルギーに対して、確実に感度を持つことが可能となる。したがって、実施の形態3の誘導加熱調理器の構成によれば、例えば100℃以下の低温度の調理容器102に対して正確な検知温度が必要な場合において、検知温度の精度の向上を図ることが可能となり、誘導加熱調理器の調理性能を飛躍的に向上させることができる。
(実施の形態4)
図9は、本発明に係る実施の形態4の誘導加熱調理器の概略構成を示すブロック図である。
図9に示す実施の形態4の誘導加熱調理器において、前述の実施の形態3の誘導加熱調理器と異なる点は、遮光部110を設ける代わりに、2つの赤外線受光部107d、107eを設けて一方を遮光ケース111内に収納した点である。
図9に示すように、実施の形態4における赤外線検知部107は、調理容器102の温度に応じて放射される赤外線を検知し、検知した赤外線エネルギーに応じて信号を出力する第1の赤外線受光部107dと、第1の赤外線受光手段107dの近傍に備えられ、遮光ケース111により赤外線を受光しないよう遮蔽された第2の赤外線受光部107eと、第1の赤外線受光部107dと第2の赤外線受光部107eが出力する電流信号のうちどちらか一方を増幅する増幅部107bと、増幅部107bにより増幅すべき赤外線受光部(107d又は107e)を切り替えるスイッチ107fと、を備えている。
制御部106は、スイッチ107fの切替動作を制御する切替部106dと、第1の赤外線受光部107dと第2の赤外線受光部107eの出力の差により補正を行う補正部106aとを備えている。
実施の形態4の誘導加熱調理器において、その他の構成については、図8に示した実施の形態3の誘導加熱調理器の構成と同じであるため、実施の形態3の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付して説明する。
なお、実施の形態4の誘導加熱調理器において、赤外線検知部107のスイッチ107fとしてアナログスイッチを用いている。ここでアナログスイッチとは、入力信号の状態に応じて切替動作を行うものである。アナログスイッチを用いることにより、実施の形態4の構成を容易に実現することができる。
次に、上記のように構成された本発明に係る実施の形態4の誘導加熱調理器における補正部106aの動作について説明する。
実施の形態4の誘導加熱調理器において、加熱動作が開始されると、まず補正部106aは切替部106dを駆動して、第1の赤外線受光部107dの出力を検知するよう切り替える。
第1の赤外線受光部107dはトッププレート104を透過した赤外線のうち、第1の赤外線受光部107dの感度波長と一致する赤外線を受光すると、受光した赤外線エネルギーに比例した電流信号(検知信号)を、スイッチ107fを介して増幅部107bへ出力する。増幅部107bは入力された電流信号を電流電圧変換し増幅し、補正部106aへ出力する。補正部106aは、増幅部107bからの増幅された電圧信号(赤外線検知信号)を検知する。
この時、補正部106aが検知する赤外線検知信号は、負信号が重畳されている信号であり、赤外線実信号と負信号との和である。その後、所定時間経過後において、補正部106aは切替部106dを駆動して、第2の赤外線受光部107eの出力が増幅部107bに入力されるように、スイッチ107fを切り替える。したがって、第2の赤外線受光部107eの出力が増幅部107bに入力されているとき、第1の赤外線受光部107dからの出力は遮断されており、第2の赤外線受光部107eからの負信号のみが増幅部107bにおいて増幅され、補正部106aに入力される。前述のように、第2の赤外線受光部107eは、赤外線を受けないように遮断ケース111の内部に収納されているため、負信号のみを常時出力している。また、第2の赤外線受光部107eは、第1の赤外線受光手段107dの近傍に設けられており、それぞれが実質的に同じ温度環境に配置されている。
補正部106aにおいては、第1の赤外線受光部107dから出力される負信号が重畳されている赤外線検知信号に対して、第2の赤外線受光部107eから出力された負信号を演算処理(相殺処理)して、調理容器102から放射された実際の赤外線を示す赤外線実信号を算出する。即ち、補正部106aは、調理容器102から放射された赤外線を赤外線受光部(107d,107e)が受光している時と、遮光されて受光していない時の出力差を演算し、負信号を赤外線検知信号から相殺し処理して、実際に調理容器102から放射された放射エネルギーを示す赤外線実信号を算出する。
(実施の形態5)
前述の実施の形態1から実施の形態4の誘導加熱調理器における赤外線検知部として赤外線センサが用いられている。赤外線センサは、赤外線を集光するために樹脂製のレンズが設けられており、調理容器から放射された赤外線において、耐熱ガラス製のトッププレートと、赤外線センサのレンズとを透過した赤外線が検出される構成である。トッププレートとレンズでは光透過特性が異なるため、調理容器から放射された赤外線は、トッププレートで減衰し、更にレンズにおいて減衰する。このように、誘導加熱調理器においては、トッププレートとレンズにおいて減衰された赤外線を赤外線センサが検出する構成であるため、赤外線センサが受け取る赤外線エネルギーが少なくなり、特に低温度の調理容器に対して正確な温度検知を行うことは難しいという課題がある。
このように減衰された赤外線を赤外線センサにより確実に検出するためには、赤外線センサが有する赤外線受光素子が出力する電気信号を増加させる必要がある。
赤外線センサの赤外線受光素子の受光面積を大きく構成した場合には、赤外線受光素子が出力する電気信号は確実に増加する。しかし、このように電気信号を増加させた場合には、暗状態における出力電流である暗電流も増加する。このため、赤外線受光素子が出力する電気信号には増加した暗電流が含まれて、暗電流の分だけ調理容器の温度検知の誤差が大きくなるという問題がある。
また、受光面積を拡大することは、赤外線受光素子のコストが上昇し、製品が高くなるという問題に繋がる。
赤外線センサの赤外線受光素子の感度波長を長波長のものに変更した場合にも、赤外線受光素子が出力する電気信号は増加する。しかし、このような感度波長が長波長である赤外線センサは、より低温の物体から放射される赤外線にも感度を持つことになる。この結果、このような構成の赤外線センサは、検知対象である調理容器以外から放射される赤外線も受光してしまい、赤外線受光素子が出力する電気信号には外乱が含まれるという問題がある。
さらに、赤外線センサの赤外線受光素子として、例えばインジウム・ガリウム・ヒ素の材料のフォトダイオードを用いて、感度波長を長波長化した場合には、並列抵抗の抵抗値が低下して、暗電流が増加する。このように構成した赤外線センサにおいても、赤外線受光素子が出力する電気信号に、増加した暗電流が含まれるため、調理容器の温度検知において誤差が大きくなるという問題を有している。
そこで、本発明においては、前述の実施の形態1から実施の形態4において説明した誘導加熱調理器において以下に説明する構成を持つ赤外線検知部としての赤外線センサを用いることにより、さらに調理容器の温度を高精度に検出することができる構成となる。以下に説明する実施の形態5の誘導加熱調理器は、実施の形態1から実施の形態4において用いている赤外線検知部の具体的な構成である。
図10は、本発明に係る実施の形態5の誘導加熱調理器の概略構成を示すブロック図である。
図10に示す実施の形態5の誘導加熱調理器は、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器における赤外線検知部107の構成を具体的に説明するものである。したがって、実施の形態5の誘導加熱調理器と実施の形態1の誘導加熱調理器との構成は同じである。以下の実施の形態5の説明においては、実施の形態1の誘導加熱調理器1における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
図10において、実施の形態5の誘導加熱調理器は、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器と同じように、外郭ケース103と、トッププレート104と、加熱コイル105と、制御部106と、赤外線検知部107と、入力部108と、報知部109と、を備えている。なお、実施の形態5の誘導加熱調理器においては、トッププレート104上の加熱対象物としての調理容器102として鍋が載置されている。
実施の形態5の誘導加熱調理器における赤外線検知部107としての赤外線センサは、トッププレート104上の調理容器102から放射された赤外線エネルギーを、トッププレート104を介して受け取った場合において、調理容器102における60℃以上の温度を検知できるよう構成されている。
図11は、実施の形態5の誘導加熱調理器における赤外線検知部107としての赤外線センサを示す概略構成図である。図11の(a)は赤外線検知部107の平面図であり、図11の(b)は赤外線検知部107の断面図である。
図11において、赤外線検知部107は、1.9〜2.0μmの最大感度波長を有し、調理容器102から放射された赤外線をトッププレート104を介して受光して、受光した赤外線の赤外線エネルギーを電気信号に変換する赤外線受光素子で構成された赤外線受光部107aと、赤外線受光部107aの出力する電気信号(検知信号)を増幅する増幅部107bと、を備えている。また、赤外線検知部107には、調理容器102から放射され、トッププレート104を通過した赤外線を集光するレンズとして樹脂製のフレネルレンズ107gが用いられている。フルネルレンズ107gは、耐熱ガラス製のトッププレート104とは異なる光透過特性を有している。
図11の(b)に示すように、フレネルレンズ107gは、支持部107hにより回路基板107i上で支持されている。また、回路基板107iは、赤外線受光部107a、増幅部107bを電気的に接続すると共に、赤外線受光部107a、増幅部107bを支持部107cとともに支持する構成である。
図11の(b)に示すように、回路基板107i等は加熱コイル105が発生する誘導磁界を防磁する防磁ケース107jの内部に収納されており、調理容器102から放射されて、トッププレート104を通過した赤外線がフレネルレンズ107gのみを通して赤外線受光部107aに集光するよう構成されている。なお、図11においては、フルネルレンズ107gの形状を誇張して記載しており、実際の薄い円板形状とは異なっている。
実施の形態5の誘導加熱調理器においては、前述の実施の形態1と同様に、外郭ケース103としては金属ケースが用いられており、トッププレート104としては結晶化ガラス板の耐熱ガラスである製品名ネオセラムN−0が用いられている。制御部106はマイクロコンピュータで構成されている。また、赤外線検知部107の赤外線受光部107aには量子型赤外線センサであるフォトダイオードが用いられており、増幅部107bにはオペアンプが用いられている。
ユーザからの入力を受け付ける入力部108は、静電容量式スイッチで構成されており、ユーザに対する各種情報の報知を行う報知部109はLCD(Liquid Crystal Display)で構成されている。
実施の形態5の誘導加熱調理器において、赤外線検知部107におけるフレネルレンズ107gには厚さ1mmのポリカーボネート製のフレネルレンズが用いられている。フルネルレンズは、通常のレンズを同心円状の領域に分割して構成された、厚みの薄いレンズであり、微小な鋸の波状の断面を有する。回路基板107i等を収納する防磁ケース107jはアルミニウム製の金属ケースで構成されている。上記のように構成することにより、実施の形態5の誘導加熱調理器を容易に実現することができる。
次に、上記のように構成された本発明に係る実施の形態5の誘導加熱調理器の動作について説明する。
まず、ユーザが入力部108を用いて調理メニューを選択し、加熱開始の操作を行う。入力部108から加熱開始の信号を制御部106が受け付けると、制御部106は高周波インバータ(図は省略)を動作させて加熱コイル105に高周波電流を印加し、調理容器102の加熱動作を開始する。
加熱コイル105により加熱された調理容器102は、調理容器102自身の温度に応じた赤外線を放射する。調理容器102から放射された赤外線は、トッププレート104で反射、又は吸収される。トッププレート104に吸収された赤外線は、減衰されて、トッププレート104の光透過特性に応じた赤外線が透過する。このとき、制御部106は、赤外線検知部107を動作させており、トッププレート104を透過した赤外線の一部が赤外線検知部107に受け取られて、当該調理容器102の温度を検知するよう構成されている。制御部106は、検知された調理容器102の温度に基づいて、ユーザにより選択された調理メニューに従って所定の制御が実行される。
以下、実施の形態5の誘導加熱調理器における赤外線検知部107について説明する。
調理容器102から放射された赤外線の一部は、トッププレート104を透過して減衰し、赤外線検知部107により受け取られる。トッププレート104を透過する赤外線は、トッププレート104の光透過特性に応じた特定波長領域の赤外線である。例えば、トッププレート104が厚さ4mmの製品名ネオセラムN−0を用いた場合には、赤外線受光部107aの最大感度を示す波長領域である1.9〜2.0μm付近において、光透過率が約90%である。
トッププレート104を透過した赤外線の一部は、赤外線検知部107が受光して、フレネルレンズ107gにより集光される。フレネルレンズ107gにおいては、フレネルレンズ107gの光透過特性に応じた赤外線が透過して集光される。
赤外線受光部107aの最大感度波長領域である1.9〜2.0μmの赤外線は、調理容器102の温度が60℃未満の時も放射されるが、赤外線受光部107aが受光しても電気信号として必要な最低限の電気量を出力することができないエネルギー量である。
実施の形態5の誘導加熱調理器における赤外線検知部107においては、厚さ1mmのポリカーボネート製のフレネルレンズを集光レンズとして用いているため、集光レンズにおける減衰が大幅に改善されている。赤外線検知部107において、60℃の調理容器102から放射された赤外線が、トッププレート104およびフルネルレンズ107gを透過して赤外線受光部107aにより受光されたとき、赤外線エネルギーとしては少ない値であっても、赤外線受光部107aは電気信号として必要な最低限の電気量を出力できる構成となっている。
発明者の実験によれば、厚さ3mmのポリカーボネート製の凸レンズを集光レンズとして用いた従来の赤外線センサの場合、60℃の調理容器102から放射された赤外線を、トッププレート104および凸レンズを通して赤外線受光部が受光したとき、電気信号として必要な最低限の電気量を出力することができなかった。このように、60℃の調理容器102が放射する赤外線を、最大感度波長領域が1.9〜2.0μmである従来の赤外線センサが受光しても、当該従来の赤外線センサにおいては電気信号として必要な最低限の電気量を出力することができなかった。
しかし、実施の形態5の誘導加熱調理器においては、厚さ1mmのポリカーボネート製のフレネルレンズ107gを赤外線検知部107の集光レンズとして用いることにより、最大感度波長領域が1.9〜2.0μmである赤外線受光部107aは60℃の調理容器102からの赤外線を受けて電気信号を確実に出力することができた。
なお、厚さ3mmのポリカーボネート製の凸レンズは、波長が1.9〜2.0μm付近の光透過率が約60%であった。一方、厚さ1mmのポリカーボネート製のフレネルレンズ107gは、波長が1.9〜2.0μm付近の光透過率が約90%以上であった。ここで光透過率とは、対象透過物質における光の吸収及び透過の程度を示す値であり、対象透過物質が受け取った光量に対する透過した光量の比率を示している。
上記のように、実施の形態5の誘導加熱調理器においては、耐熱ガラス製のトッププレート104と樹脂製の集光レンズであるフルネルレンズ107gの透過特性が異なる場合であっても、低温度の調理容器102からの赤外線を赤外線検知部107が受け取ったとき、調理容器102の温度を精度高く検知することが可能となり、誘導加熱調理器の調理性能を向上させることができる。
なお、実施の形態5の誘導加熱調理器においては、最大感度波長領域が1.9〜2.0μmである赤外線検知部107が検知する調理容器102の低い温度として60℃の場合について説明したが、低温度として70℃の場合であってもほぼ同様に検知することができ、同様の効果を奏することができる。
なお、実施の形態5の構成において、赤外線検知部107におけるフレネルレンズ107gに赤外線の反射を低減する反射低減手段を備える構成としてもよい。この反射低減手段としては、赤外線の反射を低減する機能を有する薄膜であるARコート(Anti-Reflection Coat)を用いることでこの構成を容易に実現出来る。ARコートとしては、例えば表面にフッ化マグネシウムなどを真空蒸着させて透明な薄膜を形成し、光の干渉を利用して反射を低減するものである。
このような反射低減手段をフレネルレンズ107gの表面に形成することによって、調理容器102から放射された赤外線がトッププレート104を通過して減衰するが、反射低減手段によって集光レンズにおける反射が最小化されるため、赤外線検知部107における温度検知の精度をさらに向上させることができる。
なお、実施の形態5の誘導加熱調理器において、赤外線検知部107の赤外線受光部107aの最大感度波長領域が1.9〜2.0μmである場合について説明したが、本発明はこの波長に限定されるものではなく、例えば、赤外線受光部の最大感度波長を1.5〜1.6μmとして、調理容器102の検知温度を140℃以上とすることも可能である。
図12は、60℃および140℃の各黒体が放射するエネルギー曲線、および赤外線受光部の最大感度波長が1.9〜2.0μmの場合と、1.5〜1.6μmの場合における赤外線検知部の受光感度特性曲線を示している。図12において、横軸が波長[μm]であり、縦軸が黒体の放射エネルギーを示す放射強度[W/sr]と、赤外線検知部107の受光感度[A/W]を示している。
図12において、60℃黒体の放射エネルギー曲線と、最大感度波長が1.9〜2.0μmの受光感度特性曲線とが交差して重複した領域(ハッチングで示す領域)が、最大感度波長が1.9〜2.0μmの赤外線検知部が受光可能なエネルギーを示している。同様に、140℃黒体の放射エネルギー曲線と、最大感度波長が1.5〜1.6μmの受光感度特性曲線とが交差して重複した領域(ハッチングで示す領域)が、最大感度波長が1.5〜1.6μmの赤外線検知部が受光可能なエネルギーを示している。
波長が1.5〜1.6μmの赤外線は、調理容器102の温度が140℃より低い温度の時も放射されるが、最大感度波長が1.5〜1.6μmの赤外線受光部が受光しても電気信号として必要な最低限の電気量を出力することができないエネルギーである。
発明者の実験によれば、厚さ3mmのポリカーボネート製の凸レンズを集光レンズとして用いた従来の赤外線センサの場合、調理容器102の温度が140℃の時に放射された赤外線を、最大感度波長が1.5〜1.6μmである赤外線受光部が受光しても、この赤外線受光部は電気信号として必要な最低限の電気量を出力することができなかった。
一方、厚さ1mmのポリカーボネート製のフレネルレンズ107gを集光レンズとして赤外線検知部107に用いた場合には、140℃の調理容器102からの赤外線を最大感度波長が1.5〜1.6μmである赤外線受光部107aが受光すると、電気信号として必要な最低限の電気量を当該赤外線受光部107aは出力することができた。
また、最大感度波長が1.5〜1.6μmである赤外線受光部107aを有する赤外線検知部107が検知する調理容器102の温度が、70℃以上とした場合であっても、調理容器102が140℃の場合とほぼ同様に検知することが可能であった。したがって、調理容器102の検知温度を70℃以上とした場合であっても、検知温度が140℃の場合と同様の効果を奏することができる。
(実施の形態6)
図13は、本発明に係る実施の形態6の誘導加熱調理器の概略構成を示すブロック図である。
図13に示す実施の形態6の誘導加熱調理器において、前述の実施の形態5の誘導加熱調理器と異なる点は、赤外線検知部201がトッププレート104の上部に備えられており、調理容器102から放射された赤外線を直接的に検出するよう構成されている点である。実施の形態6の誘導加熱調理器においては、トッププレート104上の赤外線検知部201が調理容器102の温度を検知して、調理容器102の温度制御を行うよう構成されている。また、実施の形態6における赤外線検知部201は、実施の形態5における赤外線検知部107と同様に、フルネルレンズが赤外線を集光するために設けられている。
実施の形態6の誘導加熱調理器において、その他の構成については、前述の実施の形態1から実施の形態5において説明した構成を用いることが可能である。実施の形態6の誘導加熱調理器においては、他の実施の形態1から実施の形態5の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付して説明する。
図13において、実施の形態6の誘導加熱調理器は、前述の実施の形態5の誘導加熱調理器と同じように、外郭ケース103と、トッププレート104と、加熱コイル105と、制御部106と、入力部108と、報知部109と、を備えている。なお、実施の形態6の誘導加熱調理器においては、トッププレート104上の加熱対象物としての調理容器102として鍋が用いられている。
実施の形態6の誘導加熱調理器における赤外線検知部201としての赤外線センサは、トッププレート104上の調理容器102から放射された赤外線エネルギーを直接的に受け取って、調理容器102における60℃以上の温度を検知できるよう構成されている。
上記のように構成された実施の形態6の誘導加熱調理器における動作は、前述の実施の形態5の誘導加熱調理器における動作と同じであるため、実施の形態6においては省略する。
以下、実施の形態6の誘導加熱調理器における赤外線検知部201について説明する。
加熱コイル105により加熱された調理容器102は、調理容器102自体の温度に応じた赤外線を放射する。調理容器102から空気中に放射された赤外線は、空気中において減衰する。加熱された調理容器102は高温になるため、赤外線検知部201は、赤外線検知部201の耐熱温度以下となるように、調理容器102からは十分に距離が離れた位置に設けられている。このため、調理容器から放射された赤外線は、空気中において大きく減衰されて、赤外線検知部201により受け取られる。
なお、赤外線検知部201の構成は、前述の実施の形態5において図11を用いて説明した赤外線検知部107と同じ構成を有している。
赤外線検知部201により受け取られた赤外線は、フレネルレンズ107g(図11参照)において集光される。フルネルレンズ107gにおいては、フルネルレンズ107gの光透過率に応じた赤外線を透過して、赤外線受光部107aにより受光される。実施の形態6の誘導加熱調理器における赤外線検知部201においては、集光レンズとしてフレネルレンズ107gを用いるため、フルネルレンズ107gにおける減衰が最小化されており、フルネルレンズ107gが受け取った赤外線の約90%以上を透過して、赤外線受光部107aに入射される構成である。
上記のように実施の形態6の誘導加熱調理器が構成されているため、赤外線検知部201の集光レンズにおける減衰を最小化することができ、赤外線検知部201が赤外線を効率高く検出して、調理容器102の温度を精度高く検知することができる構成となる。したがって、実施の形態6の構成によれば、誘導加熱調理器の調理性能を向上させることができる。
以上のように、本発明によれば、赤外線検知部を備える誘導加熱調理器において、赤外線検知部自体が温度検知領域の温度となり、当該赤外線検知部か出力する赤外線検知信号に負信号が重畳されていても、精度高く調理容器の温度を検知して、調理性能を向上させることができる。
本発明は、前述の実施の形態において説明した誘導加熱調理器と同様に赤外線検知部が温度検知領域の温度となるような赤外線検知装置に用いた場合においても、赤外線検知の精度を向上させることができる構成となる。したがって、本発明は誘導加熱調理器だけではなく、赤外線検知装置においても適用可能な構成である。
また、本発明においては、赤外線検知部の集光レンズとしてフレネルレンズを用いるため、精度高く調理容器の温度を検知することが可能となり、調理性能のさらなる向上を図ることができる。
本発明は、精度高く調理容器の温度を検知して、調理性能を向上させることができるため、一般家庭、レストラン及びオフィスなどで使用される誘導加熱調理器および赤外線により温度を検知する赤外線検知装置において有用である。
102 調理容器
104 トッププレート
105 加熱コイル
106 制御部
106a 補正部
106b 温度特性記憶部
106c 感度特性記憶部
106d 切替部
107 赤外線検知部
107a 赤外線受光部
107b 増幅部
107c 温度検知部

Claims (17)

  1. 加熱対象物を載置するトッププレートと、
    前記加熱対象物を加熱する誘導磁界を発生させる加熱コイルと、
    前記加熱コイルに印加する高周波電流を制御して、前記加熱対象物の加熱を行う制御部と、
    前記加熱対象物の温度に応じて放射される赤外線を検知し、検知した赤外線の赤外線エネルギーに応じて赤外線検知信号を出力する赤外線検知部と、を備えた誘導加熱装置において、
    前記赤外線検知部は、
    前記加熱対象物から放射される赤外線を受けて、検知信号を出力する赤外線受光部、
    前記赤外線受光部からの検知信号を増幅して、赤外線検知信号を形成する増幅部、および
    前記赤外線検知部の温度を検知し、前記制御部へ出力する温度検知部、を含み、
    前記制御部は、
    前記赤外線検知部の温度が前記赤外線検知部の検知対象温度以上のとき、前記赤外線検知部が出力する前記赤外線検知信号に重畳され、前記赤外線検知信号とは逆極性を有する前記負信号に関する負信号情報であって、前記温度検知部により検知された前記赤外線検知部の温度に応じて生成された前記負信号情報を用いて前記赤外線検知信号を補正して赤外線実信号を形成する補正部、を含む誘導加熱装置。
  2. 前記制御部は、
    前記負信号と、前記赤外線検知部の温度とに関する温度特性を示す前記負信号情報が予め記憶されている温度特性記憶部、を含み、
    前記補正部は、前記温度特性記憶部に記憶された前記負信号情報における温度特性と、前記温度検知部により検知された前記赤外線検知部の温度とに基づいて生成された前記負信号情報を用いて、前記赤外線検知信号を補正して赤外線実信号を形成するよう構成された請求項1に記載の誘導加熱装置。
  3. 前記制御部は、
    前記負信号と、前記赤外線受光部におけるカットオフ波長若しくは分光感度波長とに関する感度特性を示す前記負信号情報が予め記憶されている感度特性記憶部、を含み、
    前記補正部は、前記負信号情報における感度特性に基づいて、前記赤外線検知信号を補正して赤外線実信号を形成するよう構成された請求項1に記載の誘導加熱装置。
  4. 前記制御部は、前記赤外線検知信号が含む入力オフセット電圧信号を補正して赤外線実信号を形成するよう構成された請求項1乃至3のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
  5. 前記赤外線検知部は、前記赤外線受光部が出力する検知信号に対して、一定の基準電圧を重畳させるよう構成された請求項1乃至3のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
  6. 前記加熱対象物から放射される赤外線が前記赤外線受光部により受光されることを防止する遮光部を備え、
    前記制御部は、前記赤外線受光部が前記加熱対象物から放射される赤外線を受光するか、若しくは遮光されるかを、前記遮光部を切替え操作する切替部と、
    前記赤外線検知部の温度が前記赤外線検知部の検知対象温度以上のとき、前記赤外線検知信号に重畳される前記負信号を、前記加熱対象物から放射された赤外線が前記赤外線受光部により受光されたときの出力信号と、前記加熱対象物から放射された赤外線が遮光されたときの前記赤外線受光部の出力信号との出力差に基づいて検出して、検出された前記負信号に基づいて前記赤外線検知信号を補正して赤外線実信号を形成する補正部と、を備える請求項1に記載の誘導加熱装置。
  7. 前記赤外線検知部は、前記加熱対象物の温度に応じて放射される赤外線を検知し、検知した赤外線の赤外線エネルギーに応じて赤外線検知信号を出力する第1の赤外線受光部と、
    前記第1の赤外線受光部の近傍に配置され、前記加熱対象物の温度に応じて放射される赤外線を受光しないよう遮蔽されて、暗信号を出力する第2の赤外線受光部と、を備え、
    前記赤外線検知部の温度が前記赤外線検知部の検知対象温度以上のとき、赤外線検知信号に重畳して出力される前記負信号を、前記第1の赤外線受光部の赤外線検知信号と、前記第2の赤外線受光部の暗信号との出力差に基づいて検出して、検出された前記負信号に基づいて前記赤外線検知信号を補正して赤外線実信号を形成する補正部と、を備える請求項1に記載の誘導加熱装置。
  8. 前記赤外線検知部は、前記加熱対象物から放射された赤外線をフレネルレンズにより集光して、前記赤外線受光部から検知信号を出力するよう構成された請求項1乃至7のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
  9. 前記赤外線検知部は、前記トッププレートの下部に設けられて、前記加熱対象物から放射された赤外線が前記トッププレートを介して入射され、入射された赤外線が前記トッププレートとは異なる透過特性を有するフレネルレンズにより集光されて、前記赤外線受光部から検知信号を出力するよう構成された請求項1乃至7のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
  10. 前記赤外線検知部は、前記トッププレートの上部に設けられて、前記加熱対象物から放射された赤外線が入射され、入射された赤外線がフレネルレンズにより集光されて、前記赤外線受光部から検知信号を出力するよう構成された請求項1乃至7のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
  11. 前記赤外線検知部は、前記加熱対象物から放射された赤外線が入射され、入射された赤外線がフレネルレンズにより集光されて、前記赤外線受光部から検知信号を出力するよう構成されており、前記フレネルレンズが樹脂製である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
  12. 前記赤外線検知部は、前記加熱対象物から放射された赤外線が入射され、入射された赤外線がフレネルレンズにより集光されて、前記赤外線受光部から検知信号を出力するよう構成されており、前記フレネルレンズの厚みが1mm以下である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
  13. 前記赤外線検知部は、量子型である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
  14. 前記赤外線検知部は、100℃以下の温度に対して感度を持つよう構成された請求項1乃至7のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
  15. 前記赤外線検知部の最大感度波長が1.9〜2.0μmであり、検知する前記加熱対象物の温度を60℃以上とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
  16. 前記赤外線検知部の最大感度波長が1.5〜1.6μmであり、検知する前記加熱対象物の温度を140℃以上とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
  17. 前記赤外線検知部は、前記加熱対象物から放射された赤外線が入射され、入射された赤外線がフレネルレンズにより集光されて、前記赤外線受光部から検知信号を出力するよう構成されており、前記フレネルレンズが赤外線の反射を低減する反射低減部を備える請求項1乃至7のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
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