JP5429357B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
本発明は、燃料電池に関し、特に、発電体層とセパレータとの間にガス流路層を備える燃料電池に関する。
燃料電池、例えば、固体高分子型燃料電池は、電解質膜を挟んで配置される一対の電極(アノードおよびカソード)にそれぞれ反応ガス(燃料ガスおよび酸化ガス)を供給して電気化学反応を引き起こすことにより、物質の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。
従来、燃料電池において、電解質膜と一対の電極とを含む発電体層とセパレータとの間にエキスパンドメタル(メタルラス)を用いて形成されたガス流路層を設けることにより、反応ガスの拡散性を向上させ、燃料電池の発電効率を向上させる技術が知られている。
しかしながら、上記従来の技術では、発電に伴って生成される生成水による燃料電池の性能への影響について十分に考慮されておらず、燃料電池の性能に向上の余地があった。
なお、このような課題は、エキスパンドメタルを用いて形成されたガス流路層を備える固体高分子型燃料電池に限らず、発電体層とセパレータとの間に反応ガス流路を有するガス流路層を備える燃料電池一般に共通の課題であった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、発電体層とセパレータとの間にガス流路層を備える燃料電池の性能を向上させることを目的とする。
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]燃料電池であって、
電解質膜と前記電解質膜の一方の側に配置されたアノードと前記電解質膜の他方の側に配置されたカソードとを含む発電体層と、
前記発電体層を間に挟んで配置された一対のセパレータと、
前記発電体層と前記一対のセパレータの少なくとも一方との間に配置されたガス流路層と、を備え、
前記ガス流路層は、前記セパレータ側に凸な第1の凸部と前記発電体層側に凸な第2の凸部とが第1の方向に沿って交互に並んだ波形断面の複数の波形要素が、一の前記波形要素における前記第1の凸部の頂面の少なくとも一部が隣接する前記波形要素における前記第2の凸部の底面の少なくとも一部と一体的な面を形成するように、かつ、前記波形要素間に複数の貫通孔が形成されるように、前記積層方向と前記第1の方向とに略直交する第2の方向に沿って並んだ構成を有し、
前記ガス流路層を構成する複数の前記波形要素は、隣接する前記波形要素と比べて前記第1の凸部および前記第2の凸部の位置が前記第1の方向の正側にずれるように配置された前記波形要素と、隣接する前記波形要素と比べて前記第1の凸部および前記第2の凸部の位置が前記第1の方向の負側にずれるように配置された前記波形要素と、を含み、
前記第2の凸部の位置に沿って前記ガス流路層の前記セパレータ側に形成される第1の反応ガス流路の体積は、前記第1の凸部の位置に沿って前記ガス流路層の前記発電体層側に形成され前記貫通孔により前記第1の反応ガス流路と連通する第2の反応ガス流路の体積より小さい、燃料電池。
電解質膜と前記電解質膜の一方の側に配置されたアノードと前記電解質膜の他方の側に配置されたカソードとを含む発電体層と、
前記発電体層を間に挟んで配置された一対のセパレータと、
前記発電体層と前記一対のセパレータの少なくとも一方との間に配置されたガス流路層と、を備え、
前記ガス流路層は、前記セパレータ側に凸な第1の凸部と前記発電体層側に凸な第2の凸部とが第1の方向に沿って交互に並んだ波形断面の複数の波形要素が、一の前記波形要素における前記第1の凸部の頂面の少なくとも一部が隣接する前記波形要素における前記第2の凸部の底面の少なくとも一部と一体的な面を形成するように、かつ、前記波形要素間に複数の貫通孔が形成されるように、前記積層方向と前記第1の方向とに略直交する第2の方向に沿って並んだ構成を有し、
前記ガス流路層を構成する複数の前記波形要素は、隣接する前記波形要素と比べて前記第1の凸部および前記第2の凸部の位置が前記第1の方向の正側にずれるように配置された前記波形要素と、隣接する前記波形要素と比べて前記第1の凸部および前記第2の凸部の位置が前記第1の方向の負側にずれるように配置された前記波形要素と、を含み、
前記第2の凸部の位置に沿って前記ガス流路層の前記セパレータ側に形成される第1の反応ガス流路の体積は、前記第1の凸部の位置に沿って前記ガス流路層の前記発電体層側に形成され前記貫通孔により前記第1の反応ガス流路と連通する第2の反応ガス流路の体積より小さい、燃料電池。
この燃料電池では、第2の凸部の位置に沿ってガス流路層のセパレータ側に形成される第1の反応ガス流路の体積が、第1の凸部の位置に沿ってガス流路層の発電体層側に形成される第2の反応ガス流路の体積より小さいため、発電体層からガス流路層の第2の反応ガス流路に流入した生成水は貫通孔を介して第1の反応ガス流路内に引き込まれ、第1の反応ガス流路を通って効率的に排出される。そのため、この燃料電池では、発電体層からの生成水の排水を促進することができ、生成水による濃度過電圧の増加を抑制して出力を向上させることができる。また、この燃料電池では、ガス流路層において水と反応ガスとの分離が促進されることから、生成水の存在によるガス流路層の圧力損失の増加を抑制することができるため、セル間の反応ガスの分配ばらつきを抑制してセル間のセル電圧ばらつきを抑制することができる。また、この燃料電池では、ガス流路層を構成する複数の波形要素が、隣接する波形要素と比べて第1の凸部および第2の凸部の位置が第1の方向の正側にずれるように配置された波形要素と第1の方向の負側にずれるように配置された波形要素との両方を含むことから、第1および第2の反応ガス流路が左右に蛇行した形状となるため、反応ガスの拡散性を向上させて発電効率を向上させることができる。従って、この燃料電池では、発電体層とセパレータとの間にガス流路層を備える燃料電池の性能を向上させることができる。
[適用例2]適用例1に記載の燃料電池であって、
前記複数の波形要素において、前記第2の凸部の前記第1の方向に沿った幅は、前記第1の凸部の前記第1の方向に沿った幅より小さい、燃料電池。
前記複数の波形要素において、前記第2の凸部の前記第1の方向に沿った幅は、前記第1の凸部の前記第1の方向に沿った幅より小さい、燃料電池。
この燃料電池では、第2の凸部の位置に沿ってガス流路層のセパレータ側に形成される第1の反応ガス流路の体積を、第1の凸部の位置に沿ってガス流路層の発電体層側に形成される第2の反応ガス流路の体積より小さくすることができる。
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の燃料電池であって、
前記複数の波形要素において、前記第2の凸部の前記発電体層の表面に接する部分に前記発電体層の表面に平行な平坦部が形成されている、燃料電池。
前記複数の波形要素において、前記第2の凸部の前記発電体層の表面に接する部分に前記発電体層の表面に平行な平坦部が形成されている、燃料電池。
この燃料電池では、発電体層からの生成水の排水の促進およびガス流路層における水と反応ガスとの分離の促進を確保しつつ、発電体層表面やセパレータ表面へのガス流路層の食い込みを抑制することができ、燃料電池の出力性能や耐久性の低下を抑制することができると共に、ガス流路層の食い込みによってガス流路層における反応ガス流路の体積が低下することによる燃料電池の性能低下を抑制することができる。
[適用例4]適用例3に記載の燃料電池であって、
前記複数の波形要素において、前記第1の凸部の前記セパレータの表面との接触面積は、前記第2の凸部の前記発電体層の表面との接触面積より大きい、燃料電池。
前記複数の波形要素において、前記第1の凸部の前記セパレータの表面との接触面積は、前記第2の凸部の前記発電体層の表面との接触面積より大きい、燃料電池。
この燃料電池では、発電体層からの生成水の排水の促進およびガス流路層における水と反応ガスとの分離の促進を確保しつつ、層間の電気抵抗の増大を抑制することができ、燃料電池の性能低下を抑制することができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、燃料電池、燃料電池を備える燃料電池システム、燃料電池システムを備える自動車等の移動体等の形態で実現することができる。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
A.実施例:
A−1.燃料電池の構成:
図1は、本実施例の燃料電池の構成を概略的に示す説明図である。本実施例の燃料電池100は、比較的小型で発電効率に優れる固体高分子型燃料電池である。燃料電池100は、複数の発電体層120と複数のセパレータ140とが交互に積層されたスタック構造を有している。燃料電池100は、また、発電体層120とセパレータ140との間に配置されたアノード側ガス流路層134およびカソード側ガス流路層132(以下、まとめて「ガス流路層」とも呼ぶ)を備えている。なお、図1には、燃料電池100の構成をわかりやすく示すために、発電体層120とガス流路層132,134とセパレータ140とで構成される1つのセルのみを示し、他のセルの図示を省略している。
A−1.燃料電池の構成:
図1は、本実施例の燃料電池の構成を概略的に示す説明図である。本実施例の燃料電池100は、比較的小型で発電効率に優れる固体高分子型燃料電池である。燃料電池100は、複数の発電体層120と複数のセパレータ140とが交互に積層されたスタック構造を有している。燃料電池100は、また、発電体層120とセパレータ140との間に配置されたアノード側ガス流路層134およびカソード側ガス流路層132(以下、まとめて「ガス流路層」とも呼ぶ)を備えている。なお、図1には、燃料電池100の構成をわかりやすく示すために、発電体層120とガス流路層132,134とセパレータ140とで構成される1つのセルのみを示し、他のセルの図示を省略している。
発電体層120は、電解質膜112と、電解質膜112の一方の側に配置されたアノード116と、電解質膜112の他方の側に配置されたカソード114と、を有している。電解質膜112とアノード116およびカソード114(以下、まとめて「触媒層」とも呼ぶ)とで構成される積層体は、MEA(Membrane Electrode Assembly(膜・電極接合体))とも呼ばれる。発電体層120は、また、アノード116の電解質膜112と接する側とは反対側に配置されたアノード側拡散層124と、カソード114の電解質膜112と接する側とは反対側に配置されたカソード側拡散層122と、を有している。
電解質膜112は、フッ素系樹脂材料あるいは炭化水素系樹脂材料により形成されたイオン交換膜であり、湿潤状態において良好なプロトン伝導性を有する。触媒層114,116は、電極反応を促進する触媒を提供する層であり、例えば白金を担持したカーボンと電解質とを含む材料により形成されている。アノード側拡散層124およびカソード側拡散層122(以下、まとめて「拡散層」とも呼ぶ)は、電極反応に用いられる反応ガス(酸化ガスおよび燃料ガス)を面方向(燃料電池100の積層方向(図1参照)に略直交する方向)に拡散させる層であり、例えばカーボンクロスやカーボンペーパーにより形成されている。本実施例では、拡散層には、例えばPTFE樹脂によって撥水処理が施されている。
セパレータ140は、ガスを透過しない緻密質であると共に導電性を有する材料、例えば圧縮成型された緻密質カーボン、金属、導電性樹脂により形成されている。ガス流路層132,134は、反応ガスを面方向に拡散させつつ流動させるガス流路として機能する層であり、エキスパンドメタル(メタルラス)を用いて形成されている。本実施例では、ガス流路層132,134の表面には、親水処理が施されている。ガス流路層132,134の詳細構成は、後述する。
図1では図示を省略しているが、燃料電池100は、いずれも燃料電池100を積層方向に貫通する燃料ガス供給マニホールドと、燃料ガス排出マニホールドと、酸化ガス供給マニホールドと、酸化ガス排出マニホールドと、を有している。燃料電池100に対して供給された燃料ガスは、燃料ガス供給マニホールドを介して各セルのアノード側ガス流路層134に分配され、さらに発電体層120のアノード側に供給されて発電体層120おける電気化学反応に利用される。反応に利用されなかった燃料ガスは、燃料ガス排出マニホールドを介して外部に排出される。また、燃料電池100に対して供給された酸化ガスは、酸化ガス供給マニホールドを介して各セルのカソード側ガス流路層132に分配され、さらに発電体層120のカソード側に供給されて発電体層120おける電気化学反応に利用される。反応に利用されなかった酸化ガスは、酸化ガス排出マニホールドを介して外部に排出される。燃料ガスとしては、例えば水素ガスが用いられ、酸化ガスとしては、例えば空気が用いられる。
燃料電池100は、さらに、冷却媒体が供給される冷却媒体供給マニホールドと、冷却媒体が排出される冷却媒体排出マニホールドと、を有していてもよい。冷却媒体としては、例えば水、エチレングリコール等の不凍水、空気などが用いられる。
図2〜6は、ガス流路層の構成を示す説明図である。図2には、カソード側ガス流路層132の発電体層120側(すなわちカソード側拡散層122側)の平面構成の一部を示している。図3には、カソード側ガス流路層132の反対側の平面構成、すなわちセパレータ140側の平面構成の一部を示している。図4は、カソード側ガス流路層132をセパレータ140側から見た斜視図である。図5には、カソード側ガス流路層132の図3におけるA−A断面の断面構成を示している。図6には、カソード側ガス流路層132の図3におけるB−B断面の断面構成を示している。
図2〜4に示すように、カソード側ガス流路層132は、燃料電池100の積層方向に略直交する第2の方向D2に沿って複数の波形要素WSEが並んだ構成を有している。各波形要素WSEは、図4および図5に示すように、セパレータ140側に凸な山部MPと発電体層120側に凸な谷部VPとが積層方向と第2の方向D2との双方に略直交する第1の方向D1に沿って交互に並んだ波形断面を有している。図5に示すように、カソード側ガス流路層132の波形要素WSEは、頂面部TSと底面部BSと頂面部TSおよび底面部BSを連結する勾配部SPとを有しており、山部MPは頂面部TSと勾配部SPの頂面部TS側の部分とから構成され、谷部VPは底面部BSと勾配部SPの底面部BS側の部分とから構成される。図2,3,5に示すように、各波形要素WSEにおいて、谷部VPを構成する底面部BSの第1の方向D1に沿った幅Wvは、山部MPを構成する頂面部TSの第1の方向D1に沿った幅Wmより小さい。そのため、谷部VPの第1の方向D1に沿った幅は、山部MPの第1の方向D1に沿った幅Wmより小さい。
なお、カソード側ガス流路層132は、セパレータ140側から見るときと発電体層120側から見るときとでは、波形要素WSEにおける凹凸形状が逆になる。本明細書では、単に波形要素WSEのセパレータ140側に凸な部分と発電体層120側に凸な部分とを区別するために、便宜上、「山部MP」および「谷部VP」との名称を用いているのであり、その名称は山部MPおよび谷部VPの位置関係を表すものではない。山部MPは本発明における第1の凸部に相当し、谷部VPは本発明における第2の凸部に相当する。
図2〜4に示すように、複数の波形要素WSEは、一の波形要素WSEにおける山部MPの頂面部TSの一部が、隣接する波形要素WSEにおける谷部VPの底面部BSの一部と一体的な面FSを形成するような関係で、第2の方向D2に沿って並んで配置されている。従って、図6に示すように、カソード側ガス流路層132の第2の方向D2に沿った断面は略階段形状となる。カソード側ガス流路層132をこのような構成とすることにより、カソード側ガス流路層132は、波形要素WSE間に、網目状に配置された複数の貫通孔THを有することとなる(図4,6参照)。
図2〜4に示すように、第1の方向D1に沿った一方の側を「正側」(「+側」)と呼び第1の方向D1に沿った他方の側を「負側」(「−側」)と呼ぶものとすると、カソード側ガス流路層132を構成する複数の各波形要素WSEは、第2の方向D2の方向に沿って隣接する波形要素WSEと比べて対応する山部MPおよび谷部VPの位置が第1の方向D1の正側にずれるように配置された波形要素WSEを含むと共に、隣接する波形要素WSEと比べて対応する山部MPおよび谷部VPの位置が第1の方向D1の負側にずれるように配置された波形要素WSEを含んでいる。すなわち、波形要素WSE間における対応する山部MPおよび谷部VPの位置のずれの方向が片方向のみではなく、両方向となっている。例えば、図2では、図示範囲の最下部から中央付近までは、山部MPおよび谷部VPの位置が第1の方向D1の正側に少しずつずれており、図示範囲の中央付近から最上部までは、反対に、山部MPおよび谷部VPの位置が第1の方向D1の負側に少しずつずれている。
本実施例では、一の波形要素WSEとそれに隣接する波形要素WSEとの間の対応する山部MPおよび谷部VPの位置のずれ量Lsの絶対値(図4参照)は、以下の式(1)を満たす範囲に設定されている。なお、ずれ量Lsの絶対値とは、ずれの方向が第1の方向D1の正側か負側かを問わないずれの量を意味している。また、式(1)において、Lpは、波形要素WSEにおける山部MPのピッチ(すなわち隣接する山部MP間の距離であり、谷部VPのピッチに等しい)である。
0≦Ls≦Lp/2・・・(1)
0≦Ls≦Lp/2・・・(1)
図2,6に示すように、各波形要素WSEにおいて、谷部VPにおける発電体層120に接する部分には、発電体層120の表面に平行な形状の平坦部Fvが形成されている。同様に、図3,4,6に示すように、各波形要素WSEにおいて、山部MPにおけるセパレータ140に接する部分には、セパレータ140の表面に平行な形状の平坦部Fmが形成されている。山部MPにおけるセパレータ140表面との接触部分(平坦部Fm)の面積は、谷部VPにおける発電体層120表面との接触部分(平坦部Fv)の面積より大きい。
このような構成を有するカソード側ガス流路層132では、図2〜4に示すように、山部MPの位置に沿って発電体層120との間に発電体層側反応ガス流路CHmが形成されると共に、谷部VPの位置に沿ってセパレータ140との間にセパレータ側反応ガス流路CHvが形成される。発電体層側反応ガス流路CHmとセパレータ側反応ガス流路CHvとは、貫通孔THにより連通している(図4参照)。なお、セパレータ側反応ガス流路CHvは本発明における第1の反応ガス流路に相当し、発電体層側反応ガス流路CHmは本発明における第2の反応ガス流路に相当する。
上述したように、本実施例の燃料電池100では、波形要素WSE間における対応する山部MPおよび谷部VPの位置のずれの方向が片方向のみではなく両方向となっているため、発電体層側反応ガス流路CHmおよびセパレータ側反応ガス流路CHvは、第2の方向D2に平行な形状でも第2の方向D2に対して右または左に一方的に曲がった形状でもなく、第2の方向D2に対して左右に曲がった(左右に蛇行した)形状となる(図2〜4参照)。
また、上述したように、各波形要素WSEにおいて、谷部VPの第1の方向D1に沿った幅は山部MPの第1の方向D1に沿った幅Wmより小さいため、谷部VPの位置に沿ったセパレータ側反応ガス流路CHvの体積は、山部MPの位置に沿った発電体層側反応ガス流路CHmの体積より小さい。
図7は、カソード側ガス流路層132における生成水の様子を模式的に示す説明図である。燃料電池100の発電(電気化学反応)に伴い生成された生成水GWは、発電体層120(のカソード側拡散層122)からカソード側ガス流路層132の発電体層側反応ガス流路CHmに流入する。ここで、セパレータ側反応ガス流路CHvは、発電体層側反応ガス流路CHmより体積が小さい。また、カソード側ガス流路層132には親水処理が施されている一方、カソード側拡散層122には撥水処理を施されているため、セパレータ側反応ガス流路CHvは、発電体層側反応ガス流路CHmより表面エネルギーの総和が小さい。そのため、発電体層側反応ガス流路CHmに流入した生成水GWは、貫通孔THを介してセパレータ側反応ガス流路CHv内に引き込まれる(図7の矢印参照)。このような生成水GWの移動により、発電体層120から発電体層側反応ガス流路CHmへのさらなる生成水GWの流入が促進される。セパレータ側反応ガス流路CHv内に流入した生成水GWは、連続した流路であるセパレータ側反応ガス流路CHv内を流動して効率的に排出される。このように、本実施例の燃料電池100では、発電体層120(のカソード側拡散層122)からの生成水GWの排水が促進されるため、生成水GWによる濃度過電圧の増加が抑制され、出力が向上する。
さらに、本実施例の燃料電池100では、上述したように、カソード側ガス流路層132の発電体層側反応ガス流路CHmに流入した生成水GWは、セパレータ側反応ガス流路CHvに引き込まれ、セパレータ側反応ガス流路CHv内を通って排出される。そのため、カソード側ガス流路層132における水と反応ガス(酸化ガス)との分離が促進され、生成水GWの存在によるカソード側ガス流路層132の圧力損失の増加が抑制される。従って、本実施例の燃料電池100では、セル間の反応ガスの分配ばらつきが抑制され、セル間のセル電圧ばらつきが抑制される。
また、本実施例の燃料電池100では、発電体層側反応ガス流路CHmおよびセパレータ側反応ガス流路CHvが第2の方向D2に対して左右に蛇行した形状となっているため、カソード側ガス流路層132を流動する反応ガス(酸化ガス)の拡散性が向上し、燃料電池100の発電効率が向上する。
さらに、本実施例の燃料電池100では、カソード側ガス流路層132の谷部VPにおける発電体層120に接する部分に発電体層120の表面に平行な形状の平坦部Fvが形成されており、山部MPにおけるセパレータ140に接する部分にセパレータ140の表面に平行な形状の平坦部Fmが形成されているため、カソード側ガス流路層132が発電体層120やセパレータ140の表面に食い込むことが抑制され、燃料電池100の出力性能や耐久性の低下が抑制されると共に、食い込みによってカソード側ガス流路層132における反応ガス流路CHm,CMvの体積が低下することによる燃料電池100の性能低下が抑制される。
また、本実施例の燃料電池100では、山部MPにおけるセパレータ140表面との接触部分(平坦部Fm)の面積が谷部VPにおける発電体層120表面との接触部分(平坦部Fv)の面積より大きいため、燃料電池100の層間の電気抵抗の増大が抑制され、燃料電池100の性能低下が抑制される。
なお、燃料電池100において、アノード側ガス流路層134の構成もカソード側ガス流路層132の構成と同様である。そのため、本実施例の燃料電池100では、アノード側ガス流路層134を流動する反応ガス(燃料ガス)の拡散性が向上されて燃料電池100の発電効率が向上すると共に、燃料電池100の耐久性低下が抑制される。
A−2.ガス流路層の製造方法:
図8〜10は、ガス流路層の製造方法を示す説明図である。ガス流路層(カソード側ガス流路層132およびアノード側ガス流路層134)の製造方法は、主成型工程と平坦部形成工程とを含む。主成型工程は、図8に示す成型機構MA1を用いて行われる。成型機構MA1は、上下一対のローラーRとダイDと上刃UCと下受刃LCとを有している。上刃UCおよび下受刃LCは、図9に示すように、ガス流路層の山部MPの幅Wmに対応する幅W1の刃と、谷部VPの幅Wvに対応する幅W2の刃と、を有している。上刃UCおよび下受刃LCは、同時に、上下左右の同一方向に揺動可能となっている。
図8〜10は、ガス流路層の製造方法を示す説明図である。ガス流路層(カソード側ガス流路層132およびアノード側ガス流路層134)の製造方法は、主成型工程と平坦部形成工程とを含む。主成型工程は、図8に示す成型機構MA1を用いて行われる。成型機構MA1は、上下一対のローラーRとダイDと上刃UCと下受刃LCとを有している。上刃UCおよび下受刃LCは、図9に示すように、ガス流路層の山部MPの幅Wmに対応する幅W1の刃と、谷部VPの幅Wvに対応する幅W2の刃と、を有している。上刃UCおよび下受刃LCは、同時に、上下左右の同一方向に揺動可能となっている。
主成型工程では、図8に示すように、ローラーRによって、金属(例えばチタンやステンレス)の薄板TMが1つの波形要素WSEの第2の方向D2に沿った幅の分だけ、ダイDの先の上刃UCおよび下受刃LCの位置に送られ、上刃UCおよび下受刃LCによってせん断されつつ上下方向に引き延ばされる。これにより、山部MPと谷部VPとが交互に並んで配置された1つの波形要素WSEが形成される。次に、ローラーRによって、さらに1つの波形要素WSEの幅の分だけ薄板TMが送られると共に、上刃UCおよび下受刃LCがずれ量Ls(図4参照)分だけ左または右に移動する。この状態で、同様に、薄板TMがせん断されつつ上下方向に引き延ばされ、先に形成された波形要素WSEに隣接する波形要素WSEが形成される。このように、薄板TMの送りと上刃UCおよび下受刃LCの左右への移動および上刃UCおよび下受刃LCによるせん断および引き延ばしとが繰り返し実行されることにより、複数の波形要素WSEが並んで配置されたガス流路層が成型される。
次に、図10に示す成型機構MA2を用いた平坦部形成工程が行われる。成型機構MA2は、ベッドBEに設置された2つのテーブルTAと、テーブルTA間に設置されたコラムCOと、コラムCOに設置された上下一対のローラーRと、を有している。上下一対のローラーR間の間隔は、平坦部Fm,Fvが形成された後のガス流路層の厚さに相当する値に設定されている。平坦部形成工程では、主成型工程で成型されたガス流路層が上下一対のローラーR間に送られ、ローラーRによってガス流路層の角部がプレスされ、ガス流路層に平坦部Fm,Fvが形成される。以上の工程により、上述した構成のガス流路層が製造される。
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
B1.変形例1:
上記実施例では、燃料電池100はカソード側ガス流路層132とアノード側ガス流路層134とを有するとしているが、燃料電池100がカソード側ガス流路層132のみを有しアノード側ガス流路層134を有しないとしてもよいし、反対に、燃料電池100がアノード側ガス流路層134のみを有しカソード側ガス流路層132を有しないとしてもよい。
また、上記実施例におけるガス流路層132,134の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、山部MPは、断面がセパレータ140側に凸な形状であればよく、必ずしも頂面部TSと勾配部SPとにより構成される必要はなく、同様に、谷部VPは、断面が発電体層120側に凸な形状であればよく、必ずしも底面部BSと勾配部SPとにより構成される必要はない。また、山部MPはすべて同一形状である必要はなく、谷部VPもすべて同一形状である必要はない。
また、上記実施例では、一の波形要素WSEとそれに隣接する波形要素WSEとの間の対応する山部MPおよび谷部VPの位置のずれ量Lsの絶対値が上記式(1)を満たす範囲に設定されているとしているが、ずれ量Lsの絶対値は必ずしも上記式(1)を満たす範囲に設定される必要はない。
また、上記実施例では、各波形要素WSEの谷部VPおよび山部MPには平坦部Fv,Fmが形成されるとしているが、谷部VPおよび山部MPには平坦部Fv,Fmが形成されない、すなわち、ガス流路層132,134の製造工程において平坦部形成工程が行われないとしてもよい。あるいは、谷部VPには平坦部Fvが形成されるが、山部MPにはFmが形成されないとしてもよい。
また、上記実施例では、ガス流路層132,134がエキスパンドメタルにより形成されるとしているが、ガス流路層132,134は他の導電性材料(例えばカーボン)を同様の形状に成型することにより形成されるとしてもよい。
B2.変形例2:
上記実施例では、燃料電池100はアノード側拡散層124およびカソード側拡散層122を有するとしているが、燃料電池100は拡散層122,124を有しないとしてもよい。すなわち、発電体層120が、電解質膜112とアノード116とカソード114とのみにより構成されるとしてもよい。また、上記実施例では、拡散層122,124には撥水処理が施されているとしているが、拡散層122,124には必ずしも撥水処理が施されている必要はない。また、上記実施例では、ガス流路層132,134には親水処理が施されているとしているが、拡散層122,124には必ずしも親水処理が施されている必要はない。
上記実施例では、燃料電池100はアノード側拡散層124およびカソード側拡散層122を有するとしているが、燃料電池100は拡散層122,124を有しないとしてもよい。すなわち、発電体層120が、電解質膜112とアノード116とカソード114とのみにより構成されるとしてもよい。また、上記実施例では、拡散層122,124には撥水処理が施されているとしているが、拡散層122,124には必ずしも撥水処理が施されている必要はない。また、上記実施例では、ガス流路層132,134には親水処理が施されているとしているが、拡散層122,124には必ずしも親水処理が施されている必要はない。
B3.変形例3:
上記実施例では、燃料電池100の各層の材料を特定しているが、これらの材料に限定されるものではなく、適正な種々の材料を用いることができる。また、上記実施例では、燃料電池100は固体高分子型燃料電池であるとしているが、本発明は他の種類の燃料電池(例えば、ダイレクトメタノール形燃料電池やリン酸形燃料電池)にも適用可能である。
上記実施例では、燃料電池100の各層の材料を特定しているが、これらの材料に限定されるものではなく、適正な種々の材料を用いることができる。また、上記実施例では、燃料電池100は固体高分子型燃料電池であるとしているが、本発明は他の種類の燃料電池(例えば、ダイレクトメタノール形燃料電池やリン酸形燃料電池)にも適用可能である。
100…燃料電池
112…電解質膜
114…カソード
116…アノード
120…発電体層
122…カソード側拡散層
124…アノード側拡散層
132…カソード側ガス流路層
134…アノード側ガス流路層
140…セパレータ
112…電解質膜
114…カソード
116…アノード
120…発電体層
122…カソード側拡散層
124…アノード側拡散層
132…カソード側ガス流路層
134…アノード側ガス流路層
140…セパレータ
Claims (4)
- 燃料電池であって、
電解質膜と前記電解質膜の一方の側に配置されたアノードと前記電解質膜の他方の側に配置されたカソードとを含む発電体層と、
前記発電体層を間に挟んで配置された一対のセパレータと、
前記発電体層と前記一対のセパレータの少なくとも一方との間に配置されたガス流路層と、を備え、
前記ガス流路層は、前記セパレータ側に凸な第1の凸部と前記発電体層側に凸な第2の凸部とが第1の方向に沿って交互に並んだ波形断面の複数の波形要素が、一の前記波形要素における前記第1の凸部の頂面の少なくとも一部が隣接する前記波形要素における前記第2の凸部の底面の少なくとも一部と一体的な面を形成するように、かつ、前記波形要素間に複数の貫通孔が形成されるように、前記積層方向と前記第1の方向とに略直交する第2の方向に沿って並んだ構成を有し、
前記ガス流路層を構成する複数の前記波形要素は、隣接する前記波形要素と比べて前記第1の凸部および前記第2の凸部の位置が前記第1の方向の正側にずれるように配置された前記波形要素と、隣接する前記波形要素と比べて前記第1の凸部および前記第2の凸部の位置が前記第1の方向の負側にずれるように配置された前記波形要素と、を含み、
前記第2の凸部の位置に沿って前記ガス流路層の前記セパレータ側に形成される第1の反応ガス流路の体積は、前記第1の凸部の位置に沿って前記ガス流路層の前記発電体層側に形成され前記貫通孔により前記第1の反応ガス流路と連通する第2の反応ガス流路の体積より小さい、燃料電池。 - 請求項1に記載の燃料電池であって、
前記複数の波形要素において、前記第2の凸部の前記第1の方向に沿った幅は、前記第1の凸部の前記第1の方向に沿った幅より小さい、燃料電池。 - 請求項1または請求項2に記載の燃料電池であって、
前記複数の波形要素において、前記第2の凸部の前記発電体層の表面に接する部分に前記発電体層の表面に平行な平坦部が形成されている、燃料電池。 - 請求項3に記載の燃料電池であって、
前記複数の波形要素において、前記第1の凸部の前記セパレータの表面との接触面積は、前記第2の凸部の前記発電体層の表面との接触面積より大きい、燃料電池。
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