JP5437649B2 - 炭素繊維製造用アクリル繊維油剤およびそれを用いた炭素繊維の製造方法 - Google Patents
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Description
炭素繊維を製造する方法としては、プレカーサーを200〜300℃の酸化性雰囲気中で耐炎化繊維に転換し、続いて300〜2000℃の不活性雰囲気中で炭素化する方法が一般的である。これらの高熱による焼成時には、単繊維同士の融着が発生し、得られた炭素繊維の品質、品位を低下させるという問題がある。
A:炭素数2〜4のアルキレン基を示す。(AO)n中のAは同一でもあってもよく、異なっていてもよい。
n:0から20の数を示す。
R1:炭素数1から22の脂肪族炭化水素基を示す。
R2:炭素数6から22の脂肪族炭化水素基を示す。
R3:炭素数6から22の脂肪族炭化水素基を示す。
x1、y1:1〜5でかつx1+y1が2〜6となる整数を示す。
x2、y2:1〜7でかつx2+y2が2〜8となる整数を示す。
〔界面活性剤〕
本発明のプレカーサー油剤においては、界面活性剤が油剤構成の必須成分である。界面活性剤は、乳化剤として使用され、プレカーサー油剤を乳化または分散させた状態にする成分であり、その状態にてプレカーサーに付与する際に、繊維への均一な付着性および作業環境の安全性を向上させることができる。本発明のプレカーサー油剤においては、この界面活性剤が、ベンゼン環またはナフタレン環を1つのみ有し、かつそのベンゼン環またはナフタレン環が、オキシアルキレン基の繰り返し単位を持つ置換基と脂肪族炭化水素基を含む置換基とをそれぞれ一つ以上有する化合物であることが必要である。
ここで多環芳香族系化合物との違いは、オキシアルキレン基の繰り返し単位を持つ置換基であるポリオキシアルキレン基の特性については同じであるが、置換基である芳香環の疎水性は同じ炭素数の脂肪族アルキル置換基と比較して極端に低い点が挙げられ、これが本発明に於ける重要事項である。本発明のプレカーサー油剤は、前述のようにベンゼン環またはナフタレン環を1つのみ有し、さらに置換基として芳香環ではなく脂肪族炭化水素基を含む置換基を有しており、多環芳香族系化合物と比べ疎水性が強い。そのため、プレカーサー分子内部への浸透が少なく、かつシリコーン化合物と併用した際に油剤絶乾状態における皮膜の均一性が向上し、優れた炭素繊維強度が得られる炭素繊維製造用アクリル繊維油剤を構成することができる。
この観点から、脂肪族炭化水素基の炭素数が多く、且つその脂肪族炭化水素基を含む置換基の数が多い程、またN−(E/A)の値が0に近いほど、内部浸透抑制性に優れるのであるが、疎水性を強くしすぎるとシリコーンの乳化が困難となるため、親水−疎水バランスを考慮する必要がある。
一般式(1)で示される化合物や一般式(2)で示される化合物の具体例としては、POEオクチルフェニルエーテル(オクチル基による置換基数は1〜5個)、POEノニルフェニルエーテル(ノニル基による置換基数は1〜5個)、POEドデシルフェニルエーテル(ドデシル基による置換基数は1〜5個)、POEペンタデシルフェニルエーテル(ペンタデシル基による置換基数は1〜5個)、POEイソセチルフェニルエーテル(イソセチル基による置換基数は1〜5個)、POEノニルナフチルエーテル(ノニル基による置換基の数は1〜7個)などを挙げることができる。これらの化合物は1種または2種以上を併用してもよい。
一般式(3)で示される化合物や一般式(4)で示される化合物の具体例としては、モノポリエチレングリコールジドデシルトリメリテート、モノポリエチレングリコールモノドデシルナフタレンジカルボン酸エステルを挙げることができる。これらの化合物は1種または2種以上を併用してもよい。
一般式(5)で示される化合物や一般式(6)で示される化合物の具体例としては、POEドデシル安息香酸エステルエーテル、POEドデシルナフトエ酸エステルエーテルを挙げることができる。これらの化合物は1種または2種以上を併用してもよい。
本発明のプレカーサー油剤においては、シリコーン化合物が第2の必須成分となる。シリコーン化合物は、炭素繊維の製造において、その優れた融着防止性により、炭素繊維の強度を高める成分である。シリコーン化合物は、分子内にシリコーン結合(−O−Si−O−)を複数有する有機ケイ素化合物であれば、特に限定はなく、ジメチルシリコーン;アミノ変性シリコーン、アマイドポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルキレンオキサイド変性シリコーン(ポリエーテル変性シリコーン)、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、エポキシポリエーテル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、メタクリレート変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等の各種変性シリコーン;それらの混合物等が挙げられる。これらのなかでも、架橋反応により耐熱性をさらに向上できること、油剤絶乾状態における皮膜の均一性をより高めることができることから、アミノ変性シリコーンおよび/またはアマイドポリエーテル変性シリコーンを含有することが好ましい。
アミノ変性シリコーンの25℃における粘度については、特に限定はないが、耐炎化処理工程におけるアミノ変性シリコーンの飛散防止および付着処理工程におけるガムアップ抑制の観点から、100〜15,000mm2/sが好ましく、500〜10,000mm2/sがさらに好ましく、1,000〜5,000mm2/sが特に好ましい。
アミノ変性シリコーンのアミノ当量については、特に限定はないが、繊維への油剤付与後の乾燥工程等における架橋性が強過ぎることから発生する付着処理工程でのガムアップの抑制および架橋性が乏しいことから発生する耐熱性低下に起因する耐炎化工程や炭素化工程などの焼成工程での融着防止性の低下を防止する観点からは、500〜10,000g/molが好ましく、1,000〜5,000g/molがさらに好ましく、1,500〜2,000g/molが特に好ましい。
また、アマイドポリエーテル変性シリコーンは架橋性が低く、比較的耐熱性に優れるため、「付着処理工程でのガムアップ抑制」すなわち「工程通過性」、更には「製糸操業性」と「焼成工程での耐熱性」の相反する要求特性を両立しやすい。
本発明のプレカーサー油剤は、上記の界面活性剤とシリコーン化合物を必須成分として含む油剤である。不揮発分全体に占める界面活性剤の重量割合については、5〜50重量%であれば特に限定はないが、油剤をエマルジョンとする際の乳化安定性と、繊維−繊維間の融着防止性のバランス保持という観点からは、10〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましく、15〜25重量%がさらに好ましい。界面活性剤の重量割合が5重量%未満となると、油剤をエマルジョンとする際の乳化安定性が得られにくく、また、50重量%を超えると、焼成工程で十分な耐熱性が得られず、繊維−繊維間の融着が大きくなり、またプレカーサー焼成後時の油剤成分のタール化残存物により、炭素繊維表面が損傷し易く、炭素繊維の強度が低くなることがある。なお、本発明において不揮発分とは、油剤を105℃で熱処理して溶媒等を除去し、恒量に達した時の絶乾成分を意味する。
これら領域(A)、(B)の中でも、焼成工程でより耐熱性に優れ、融着防止性がより優れ、より優れた強度の炭素繊維が得られるという理由から、領域(A)のほうが好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、たとえば、カルボン酸(塩)、高級アルコール・高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、スルホン酸塩、高級アルコール・高級アルコールエーテルの燐酸エステル塩等を挙げることができる。
カチオン系界面活性剤としては、たとえば、第4級アンモニウム塩型カチオン系界面活性剤(ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルメチルエチルアンモニウムエトサルフェート等)、アミン塩型カチオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルアミン乳酸塩等)等を挙げることができる。
両性界面活性剤としては、たとえば、アミノ酸型両性界面活性剤(ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等)、ベタイン型両性界面活性剤(ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等)等を挙げることができる。
上記各種界面活性剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
本発明のプレカーサー油剤が水を含む場合、プレカーサー油剤全体に占める水の重量割合、不揮発分の重量割合については、特に限定はなく、たとえば、本発明のプレカーサー油剤を輸送する際の輸送コストや、エマルジョン粘度に因るところの取り扱い性等を考慮して適宜決定すればよい。プレカーサー油剤全体に占める水の重量割合は、好ましくは0.1〜99.9重量%、さらに好ましくは10〜99.5重量%、特に好ましくは50〜99重量%である。プレカーサー油剤全体に占める不揮発分の重量割合(濃度)は、好ましくは0.01〜99.9重量%、さらに好ましくは0.5〜90重量%、特に好ましくは1〜50重量%である。
〔炭素繊維の製造方法〕
本発明の炭素繊維の製造方法は、付着処理工程と、耐炎化処理工程と、炭素化処理工程とを含む。
付着処理工程は、炭素繊維製造用アクリル繊維(プレカーサー)を製糸し、得られたプレカーサーに炭素繊維製造用アクリル繊維油剤(プレカーサー油剤)を付着させる工程である。付着処理工程では、プレカーサー油剤をプレカーサーに付着させる。
プレカーサーは、少なくとも95モル%以上のアクリロニトリルと、5モル%以下の耐炎化促進成分とを共重合させて得られるポリアクリロニトリルを主成分とするアクリル繊維から構成される。耐炎化促進成分としては、アクリロニトリルに対して共重合性を有するビニル基含有化合物が好適に使用できる。プレカーサーの単繊維繊度については、特に限定はないが、性能と製造コストのバランスから、好ましくは0.1〜2.0dTexである。また、プレカーサーの繊維束を構成する単繊維の本数についても特に限定はないが、性能と製造コストのバランスから、好ましくは1,000〜96,000本である。
付着処理工程において、プレカーサー油剤の付与率は、繊維−繊維間の融着防止効果を得ることと、炭素化処理工程において油剤のタール化物によって炭素繊維の品質低下を防止することとのバランスからは、プレカーサーの重量に対して好ましくは0.1〜2重量%であり、さらに好ましくは0.3〜1.5重量%である。プレカーサー油剤の付与率が0.1重量%未満であると、単繊維間の融着を十分に防止できず、得られる炭素繊維の強度が低下することがある。一方、プレカーサー油剤の付与率が2重量%超であると、プレカーサー油剤が単繊維間を必要以上に覆うため、耐炎化処理工程において繊維への酸素の供給が妨げられ、得られる炭素繊維の強度が低下することがある。なお、ここでいうプレカーサー油剤の付与率とは、プレカーサー重量に対するプレカーサー油剤の付着した不揮発分重量の百分率で定義される。
このようにして得られた炭素繊維には、目的に応じて、複合材料とした時のマトリックス樹脂との接着強度を高めるための表面処理を行うことができる。表面処理方法としては、気相または液相処理を採用でき、生産性の観点からは、酸、アルカリなどの電解液による液相処理が好ましい。さらに、炭素繊維の加工性、取り扱い性を向上させるために、マトリックス樹脂に対して相溶性の優れる各種サイジング剤を付与することもできる。
油剤付与後のプレカーサーを水酸化カリウム/ナトリウムブチラートでアルカリ溶融した後、水に溶解して塩酸でpH1に調整した。これを亜硫酸ナトリウムとモリブデン酸アンモニウムを加えて発色させ、ケイモリブデンブルーの比色定量(波長815mμ)を行い、ケイ素の含有量を求めた。ここで求めたケイ素含有量と予め同法で求めた油剤中のケイ素含有量の値を用いて、プレカーサー油剤の付与率を算出した。
乾燥、緻密化されていない水膨潤状態のプレカーサーに、各プレカーサー油剤の構成成分中の界面活性剤の水エマルジョンを、乾燥状態におけるプレカーサーの重量に対して付与率1.0%となる様に付与した後、温風乾燥機にて105℃×3時間処理して水分を完全に除去した。乾燥後のプレカーサー表面の付着量を溶剤抽出法により測定し、下記式にて内部浸透率を算出した。得られた内部浸透率から下記の評価基準により内部浸透抑制性を判定した。
内部浸透率(%)={付与率1.0(%)−プレカーサー表面の付着量(%)}/付与率1.0(%)×100
◎:内部浸透率が10%未満
○:内部浸透率が10%以上20%未満
△:内部浸透率が20%以上30%未満
×:内部浸透率が30%以上
プレカーサー50kgに油剤を付与した後の乾燥ローラーの汚染度合い(ガムアップ)を下記の評価基準で判定した。
◎ :ガムアップによるローラー汚染が無く、製糸操業性問題無し
○ :ガムアップによるローラー汚染が少なく、製糸操業性問題無し
△ :ガムアップによるローラー汚染がややあるが、製糸操業性問題無し
× :ガムアップによるローラー汚染があり、やや製糸操業性に劣る
××:ガムアップによるローラー汚染が著しく、製糸時に単糸取られ、捲き付きあり
直径φ60mmのアルミカップ上に、各プレカーサー油剤エマルジョンを、その不揮発分の重量が1gとなるよう採取した。そして温風乾燥機にて105℃で3時間処理し、水分を除去して得られた絶乾皮膜の状態を観察し、下記の評価基準で判定した。
◎ :斑点の無い均一な皮膜
○ :1〜5個の斑点のある皮膜
△ :6〜9個の斑点のある皮膜
× :10個以上の斑点のある、または2つの部分に分離している皮膜
炭素繊維から無作為に20カ所を選び、そこから長さ10mmの短繊維を切り出し、その融着状態を観察し、下記の評価基準で判定した。
◎:融着無し
○:ほぼ融着無し
△:融着少ない
×:融着多い
JIS−R−7601に規定されているエポキシ樹脂含浸ストランド法に準じ測定し、測定回数10回の平均値を炭素繊維強度(GPa)とした。
シリコーン化合物S−1:アミノ変性シリコーン(25℃粘度:1,300mm2/s;アミノ当量:2,000g/ mol)
シリコーン化合物S−2:アミノ変性シリコーン(25℃粘度:1,700mm2/s;アミノ当量:3,800g/ mol)
シリコーン化合物S−d3:アマイドポリエーテル変性シリコーン(BY−16−878:東レダウコーニング製)(25℃粘度:1,600mm2/s、側鎖の変性当量:3,200g/mol、末端珪素置換基:トリメチル、側鎖:ポリオキシアルキレン基及びイミノ基含有アマイド鎖、窒素原子の変性当量:1,600g/molであり、r=1〜20、p=10〜1,000、q=10〜80、s=10〜80であるものの混合物)
シリコーン化合物S−d4:アマイドポリエーテル変性シリコーン/非イオン界面活性剤=67/33配合品(BY−16−891:東レダウコーニング製)、(25℃粘度:750mm2/s、側鎖の変性当量:3,000g/mol、末端珪素置換基:トリメチル、側差:ポリオキシアルキレン基及びイミノ基含有アマイド鎖、窒素原子の変性当量:1,500g/molであり、r=1〜20、p=10〜1,000、q=10〜80、s=10〜80であるものの混合物)
シリコーン化合物S−d5:アマイドポリエーテル変性シリコーン(25℃粘度:2,000mm2/s、アマイド鎖変性当量:2,800g/mol、末端珪素置換基:ジメチルメトキシ、側鎖:アマイド鎖及びポリオキシアルキレン鎖、窒素原子の変性当量:2,800g/molであり、r=1〜20、p=10〜1,000、q=10〜60、s=10〜60であるものの混合物)
界面活性剤N1−2:一般式(1)に示した化合物において、A=エチレン、R1=炭素数12の脂肪族炭化水素、x1=1、y1=2、n=10の化合物とA、R1、x1、y1が同じでn=12の化合物との1:1の混合物。
界面活性剤N1−3:一般式(2)に示した化合物において、A=エチレン、R1=炭素数9の脂肪族炭化水素、x2=1、y2=1、n=10の化合物とA、R1、x1、y2が同じでn=12の化合物との1:1の混合物。
界面活性剤N2−1:一般式(3)に示した化合物において、A=エチレン、R2=炭素数12の脂肪族炭化水素、x1=1、y1=2、n=10の化合物とA、R2、x1、y1が同じでn=15の化合物との1:1の混合物。
界面活性剤N2−2:一般式(4)に示した化合物において、A=エチレン、R2=炭素数12の脂肪族炭化水素、x2=1、y2=1、n=10の化合物とA、R2、x2、y2が同じでn=15の化合物との1:1の混合物。
界面活性剤N3−1:一般式(5)に示した化合物において、A=エチレン、R3=炭素数12の脂肪族炭化水素、x1=1、y1=1、n=9の化合物とA、R3、x1、y1が同じでn=12の化合物との1:1の混合物。
界面活性剤N3−2:一般式(6)に示した化合物において、A=エチレン、R3=炭素数12の脂肪族炭化水素、x2=1、y2=1、n=10の化合物とA、R3、x1、y1が同じでn=12の化合物との1:1の混合物。
界面活性剤N−a:POE(7)脂肪族アルキルエーテル(炭素数12〜14)
界面活性剤N−b:POE(12)トリスチレン化フェノールとPOE(20)トリスチレン化フェノールの2:1混合物
界面活性剤N−c:POE(12)脂肪族アルキルエーテルホスフェート(炭素数12〜14)
界面活性剤N−d:POE(25)硬化ひまし油エーテル
界面活性剤N−e:POE(5)ラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩
界面活性剤N−f:POE(10)ラウリルアミドエーテル
乳化剤成分N1−1の内部浸透率を上記の方法により測定し、内部浸透抑制性の評価を実施した。結果を表1に示す。次いで、シリコーン化合物S−1/界面活性剤N1−1=85/15よりなる油剤エマルジョン(プレカーサー油剤)を得た。なお、油剤不揮発分濃度は3.0重量%とした。この油剤エマルジョンの絶乾皮膜を観察し、上記の方法により絶乾皮膜均一性の評価を実施した。結果を表1に示す。さらにこの油剤エマルジョンをプレカーサー(単繊維繊度0.8dtex,24,000フィラメント)に付与率1.0重量%となるように付着し、100〜140℃で乾燥して水分を除去し、油剤付与後のプレカーサーを得た。製糸操業性評価の結果を表1に示す。上記方法により油剤付与率を測定したのち、この油剤付着後のプレカーサーを250℃の耐炎化炉にて60分間耐炎化処理し、次いで窒素雰囲気下300〜1400℃の温度勾配を有する炭素化炉で焼成して炭素繊維に転換した。上記方法により融着防止性評価、炭素繊維強度測定を実施した。各特性値の評価結果を表1に示す。
実施例2〜36および比較例1〜9では、実施例1において、それぞれ表1〜5に示す油剤不揮発分組成(重量%)になるように、シリコーン化合物成分及び界面活性剤を選択した以外は、実施例1と同様にして各特性の評価を実施した。それぞれの実施例および比較例における各特性値の評価結果も、実施例1と同様に表1〜5に示す。
下記の表1〜5より明らかなように、比較例と比較して実施例では、いずれも内部浸透抑制性および絶乾皮膜均一性および融着防止性に優れており、炭素繊維強度についても良好な結果が得られた。
Claims (7)
- 界面活性剤とシリコーン化合物を必須に含有する炭素繊維製造用アクリル繊維油剤であって、
前記界面活性剤が、ベンゼン環を1つのみ有し、かつそのベンゼン環がオキシアルキレン基の繰り返し単位を持つ置換基と脂肪族炭化水素基を含む置換基とをそれぞれ一つ以上有する化合物(a1)、およびナフタレン環を1つのみ有し、かつそのナフタレン環がオキシアルキレン基の繰り返し単位を持つ置換基と脂肪族炭化水基を含む置換基とをそれぞれ一つ以上有する化合物(a2)から選ばれる少なくとも1つの化合物であり、
前記化合物(a1)が、下記一般式(1)で示される化合物、下記一般式(3)で示される化合物および下記一般式(5)で示される化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物であり、
油剤の不揮発分全体に占める前記界面活性剤の重量割合が5〜50重量%である、炭素繊維製造用アクリル繊維油剤。
但し、式(1)、式(3)、式(5)中の記号は、各式独立して次の意味を表す。
A:炭素数2〜4のアルキレン基を示す。(AO) n 中のAは同一でもあってもよく、異なっていてもよい。
n:3から20の数を示す。
R 1 :炭素数12から18の脂肪族炭化水素基を示す。
R 2 :炭素数6から22の脂肪族炭化水素基を示す。
R 3 :炭素数6から22の脂肪族炭化水素基を示す。
x 1 、y 1 :1〜5でかつx 1 +y 1 が2〜6となる整数を示す。
x 2 、y 2 :1〜7でかつx 2 +y 2 が2〜8となる整数を示す。 - 前記化合物(a2)が、下記一般式(2)で示される化合物、下記一般式(4)で示される化合物および下記一般式(6)で示される化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物である、請求項1に記載の炭素繊維製造用アクリル繊維油剤。
但し、式(2)、式(4)、式(6)中の記号は、各式独立して次の意味を表す。
A:炭素数2〜4のアルキレン基を示す。(AO)n中のAは同一でもあってもよく、異なっていてもよい。
n:3から20の数を示す。
R1:炭素数1から22の脂肪族炭化水素基を示す。
R2:炭素数6から22の脂肪族炭化水素基を示す。
R3:炭素数6から22の脂肪族炭化水素基を示す。
x1、y1:1〜5でかつx1+y1が2〜6となる整数を示す。
x2、y2:1〜7でかつx2+y2が2〜8となる整数を示す。 - 油剤の不揮発分全体に占める前記シリコーン化合物の重量割合が30〜95重量%である、請求項1または2に記載の炭素繊維製造用アクリル繊維油剤。
- 前記シリコーン化合物が、アミノ変性シリコーンおよび/またはアマイドポリエーテル変性シリコーンを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維製造用アクリル繊維油剤。
- 前記シリコーン化合物が、アミノ変性シリコーンおよびアマイドポリエーテル変性シリコーンを必須に含有し、油剤の不揮発分全体に占める前記アマイドポリエーテル変性シリコーンと前記アミノ変性シリコーンの合計の重量割合が30〜95重量%であり、アマイドポリエーテル変性シリコーンとアミノ変性シリコーンとの重量比が5/95〜95/5である、請求項4に記載の炭素繊維製造用アクリル繊維油剤。
- 水中に分散したエマルジョンとなっている、請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維製造用アクリル繊維油剤。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維製造用アクリル繊維油剤を炭素繊維製造用アクリル繊維に付着させる付着処理工程と、付着処理後のアクリル繊維を200〜300℃の酸化性雰囲気中で耐炎化繊維に転換する耐炎化処理工程と、前記耐炎化繊維をさらに300〜2000℃の不活性雰囲気中で炭化させる炭素化処理工程とを含む、炭素繊維の製造方法。
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