以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態に係るバックワードダイオード(化合物半導体装置)について説明する。図1は、第1の実施形態に係るバックワードダイオードの構造及び動作を示す図である。
第1の実施形態に係るバックワードダイオード104では、図1(a)に示すように、p型のAlSb系化合物半導体層101とn型のInP系化合物半導体層102とがpn接合されている。AlSb系化合物半導体層101には、例えば、AlAsSb、AlSb、AlGaSb、又はAlGaAsSbが含まれている。AlSb系化合物半導体層101に、これらの化合物半導体の2種以上が含まれていてもよい。InP系化合物半導体層102には、例えば、InP、InGaP、InAlP、InAlGaP、又はInAsPが含まれている。InP系化合物半導体層102に、これらの化合物半導体の2種以上が含まれていてもよい。AlSb系化合物半導体層101のバンドギャップは、例えば0.8eV〜1.5eV程度であり、InP系化合物半導体層102のバンドギャップは、例えば1.3eV〜2eV程度である。但し、格子不整合があるため、それぞれの半導体層の大きい方のバンドギャップは臨界膜厚に依存する。
このように構成されたバックワードダイオード104の平衡状態でのバンド構造は、例えば図1(b)に示すものとなる。つまり、AlSb系化合物半導体層101の価電子帯のエネルギがフェルミレベルEfより若干高く、InP系化合物半導体層102の伝導帯のエネルギがフェルミレベルEfより若干低くなる。このような平衡状態では、電流が流れない。
また、順方向バイアスが印加されたバックワードダイオード104のバンド構造は、例えば図1(c)に示すものとなる。つまり、AlSb系化合物半導体層101のエネルギが低くなる。しかし、順方向バイアスがある閾値に達するまではAlSb系化合物半導体層101及びInP系化合物半導体層102間で電子及び正孔が移動できないため、電流が流れない。この閾値は、AlSb系化合物半導体層101のバンドギャップに応じた値であり、本実施形態では、AlSb系化合物半導体層101のバンドギャップが大きいため、閾値も大きい。従って、電流が流れ始める順方向バイアスの大きさである耐圧が高い。
また、逆方向バイアスが印加されたバックワードダイオード104のバンド構造は、例えば図1(d)に示すものとなる。つまり、トンネル効果によりAlSb系化合物半導体層101の価電子帯からInP系化合物半導体層102の伝導帯に電子がトンネルして電流が流れる。
従って、図2に示す電流−電圧特性が得られる。つまり、1V〜1.5V程度の耐圧が得られる。
このように、第1の実施形態に係るバックワードダイオード104では、AlSb系化合物半導体層101及びInP系化合物半導体層102が互いに接合されているため、高い耐圧を得ることができる。このため、このバックワードダイオード104を備えた検波器では、振幅が大きい高周波信号を適切に検波することが可能である。
なお、AlSb系化合物半導体層101とInP系化合物半導体層102とがpin接合されていてもよい。例えば、図3(a)に示すように、AlSb系化合物半導体層101とInP系化合物半導体層102との間に、ノンドープの真性化合物半導体を含む中間層103が接合されていてもよい。中間層103に含まれる化合物半導体としては、例えばInAlAsが挙げられる。このように構成されたバックワードダイオード104の平衡状態でのバンド構造は、例えば図3(b)に示すものとなる。
このように中間層103が含まれている場合でも、順方向バイアス又は逆方向バイアスが印加されると、図1(c)又は図1(d)に示すようにバンド構造が変化し、図2に示すものと同様の電流−電圧特性が得られる。また、中間層103が含まれている場合に、設計の際に中間層103の厚さを調整することにより電流−電圧特性を容易に調整することができる。
InP系化合物半導体層102の伝導帯のエネルギはフェルミレベルEfより高い必要はなく、フェルミレベルEfと等しくても、フェルミレベルEfより低くてもよい。但し、トンネル電流の流れやすさ及び耐圧の調整を考慮すると、フェルミレベルEfと等しいことが好ましい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図4は、第2の実施形態に係る半導体装置の構造を示す断面図である。
図4に示すように、第2の実施形態に係る半導体装置では、基板1上にノンドープのi−InAlAs層2が形成されている。基板1は、例えば半絶縁性のInP基板である。i−InAlAs層2の厚さは、50nm〜500nm程度(例えば300nm)である。i−InAlAs層2はバッファ層として機能する。i−InAlAs層2上にn型のn+−InGaAs層3が選択的に形成されている。n+−InGaAs層3の厚さは50nm〜500nm程度(例えば200nm)であり、n+−InGaAs層3には、不純物としてSiが5×1018cm-3〜2×1019cm-3程度(例えば1×1019cm-3)含有されている。n+−InGaAs層3はオーミックコンタクト層として機能する。n+−InGaAs層3には、基板1上の他の素子からの分離用の素子分離溝61が形成されている。
n+−InGaAs層3上にn型のn−InP層4が選択的に形成されている。n−InP層4の厚さは30nm〜300nm程度(例えば50nm)であり、n−InP層4には、不純物としてSiが1×1018cm-3〜1×1019cm-3程度(例えば5×1018cm-3)含有されている。つまり、n−InP層4の不純物濃度はn+−InGaAs層3の不純物濃度よりも低い。n−InP層4はホールブロック層として機能する。
n−InP層4上にノンドープのi−InAlAs層5が形成されている。i−InAlAs層5の厚さは1nm〜10nm程度(例えば5nm)である。i−InAlAs層5はバリア層として機能する。
i−InAlAs層5上にp型のp+−AlGaAsSb層6が形成されている。p+−AlGaAsSb層6の厚さは30nm〜300nm程度(例えば100nm)であり、p+−AlGaAsSb層6には、不純物としてZnが5×1018cm-3〜2×1019cm-3程度(例えば1×1019cm-3)含有されている。p+−AlGaAsSb層6は電子ブロック層として機能する。
p+−AlGaAsSb層6上にp型のp+−GaAsSb層7が形成されている。p+−GaAsSb層7の厚さは30nm〜300nm程度(例えば100nm)であり、p+−GaAsSb層7には、不純物としてZnが5×1018cm-3〜2×1019cm-3程度(例えば1×1019cm-3)含有されている。p+−GaAsSb層7はオーミックコンタクト層として機能する。
また、n+−InGaAs層3の表面にn−InP層4から離間してオーミック電極10がオーミック接続され、p型のp+−GaAsSb層7の表面にオーミック電極9が選択的にオーミック接続されている。オーミック電極9には、例えば、下から順に積層されたAu膜(厚さ:10nm程度)、Zn膜(厚さ:10nm程度)及びAu膜(厚さ:300nm程度)が含まれている。オーミック電極10には、例えば、下から順に積層されたTi膜(厚さ:10nm程度)、Pt膜(厚さ:30nm程度)及びAu膜(厚さ:300nm程度)が含まれている。なお、オーミック電極9の構成が、オーミック電極10の構成と同等であってもよい。つまり、オーミック電極9に、下から順に積層されたTi膜(厚さ:10nm程度)、Pt膜(厚さ:30nm程度)及びAu膜(厚さ:300nm程度)が含まれていてもよい。
このように構成された第2の実施形態では、電子ブロック層として機能するp+−AlGaAsSb層6が第1の実施形態におけるAlSb系化合物半導体層101に相当し、ホールブロック層として機能するn−InP層4が第1の実施形態におけるInP系化合物半導体層102に相当する。また、バリア層として機能するi−InAlAs層5が中間層103に相当する。つまり、n−InP層4、i−InAlAs層5及びp+−AlGaAsSb層6がバックワードダイオードを構成する。従って、第1の実施形態と同様の動作が行われ、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、第2の実施形態に係る半導体装置を製造する方法について説明する。図5A乃至図5Bは、第2の実施形態に係る半導体装置を製造する方法を工程順に示す断面図である。
先ず、図5A(a)に示すように、基板1上に、i−InAlAs層2、n+−InGaAs層3、n−InP層4、i−InAlAs層5、p+−AlGaAsSb層6、及びp+−GaAsSb層7を、この順で形成する。i−InAlAs層2、n+−InGaAs層3、n−InP層4、i−InAlAs層5、p+−AlGaAsSb層6、及びp+−GaAsSb層7の形成では、例えば、これらの層を有機金属化学気相成長(MOCVD)法により成長させる。次いで、バックワードダイオードを形成する予定の領域を覆うレジストパターン8をp+−GaAsSb層7上に形成する。
その後、図5A(b)に示すように、所定のエッチング液を用いてp+−GaAsSb層7、p+−AlGaAsSb層6、及びi−InAlAs層5のウェットエッチングを行う。エッチング液としてリン酸及び過酸化水素水の混合液を用いると、n−InP層4はほとんどエッチングされず、p+−GaAsSb層7、p+−AlGaAsSb層6、及びi−InAlAs層5を確実にエッチングすることができる。
続いて、図5A(c)に示すように、所定のエッチング液を用いてn−InP層4のウェットエッチングを行う。エッチング液として塩酸を用いると、n−InP層4を選択的に確実にエッチングすることができる。
次いで、図5B(d)に示すように、レジストパターン8を除去する。その後、素子分離溝61をn+−InGaAs層3に形成する。素子分離溝61の形成では、例えば、素子分離溝61を形成する予定の領域を開口するレジストパターンを用いたn+−InGaAs層3のウェットエッチングを行う。このウェットエッチングでは、例えばエッチング液としてリン酸及び過酸化水素水の混合液を用いる。ウェットエッチング後には、レジストパターンを除去する。
続いて、図5B(e)に示すように、p+−GaAsSb層7上にオーミック電極9を選択的に形成し、n+−InGaAs層3上にオーミック電極10を選択的に形成する。オーミック電極9の形成では、例えばリフトオフ法によるAu膜、Zn膜及びAu膜の形成を行う。例えば、オーミック電極9を形成する予定の領域を開口するレジストパターンを用いて、下から順にAu膜、Zn膜及びAu膜を蒸着し、レジストパターンをその上のAu膜、Zn膜及びAu膜と共に除去する。そして、300℃程度の熱処理を行う。この結果、Au膜、Zn膜及びAu膜とp+−GaAsSb層7との反応により、オーミック接続が確立される。オーミック電極10の形成では、例えばリフトオフ法によるTi膜、Pt膜及びAu膜の形成を行う。例えば、オーミック電極10を形成する予定の領域を開口するレジストパターンを用いて、下から順にTi膜、Pt膜及びAu膜を蒸着し、レジストパターンをその上のTi膜、Pt膜及びAu膜と共に除去する。オーミック電極10は熱処理を行わずにn+−InGaAs層3とオーミック接続させることができる。なお、オーミック電極9及び10を並行して形成してもよい。例えば、オーミック電極9及び10を形成する予定の領域を個別に開口するレジストパターンを用いて、下から順にTi膜、Pt膜及びAu膜を蒸着し、レジストパターンをその上のTi膜、Pt膜及びAu膜と共に除去する。この場合も熱処理を行う必要はない。
このようにして、第2の実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図6は、第3の実施形態に係る半導体装置の構造を示す断面図である。
図6に示すように、第3の実施形態に係る半導体装置では、導電性の基板11上にn型のn+−InGaAs層13が形成されている。基板11は、例えばn型のInP基板である。n+−InGaAs層13の厚さは50nm〜500nm程度(例えば200nm)であり、n+−InGaAs層13には、不純物としてSiが5×1018cm-3〜2×1019cm-3程度(例えば1×1019cm-3)含有されている。n+−InGaAs層13はオーミックコンタクト層として機能する。
n+−InGaAs層13上にn型のn−InP層14が選択的に形成されている。n−InP層14の厚さは30nm〜300nm程度(例えば50nm)であり、n−InP層14には、不純物としてSiが1×1018cm-3〜1×1019cm-3程度(例えば5×1018cm-3)含有されている。つまり、n−InP層14の不純物濃度はn+−InGaAs層13の不純物濃度よりも低い。n−InP層14はホールブロック層として機能する。
n−InP層14上にノンドープのi−InAlAs層15が形成されている。i−InAlAs層15の厚さは1nm〜10nm程度(例えば5nm)である。i−InAlAs層15はバリア層として機能する。
i−InAlAs層15上にp型のp+−AlGaAsSb層16が形成されている。p+−AlGaAsSb層16の厚さは30nm〜300nm程度(例えば100nm)であり、p+−AlGaAsSb層16には、不純物としてZnが5×1018cm-3〜2×1019cm-3程度(例えば1×1019cm-3)含有されている。p+−AlGaAsSb層16は電子ブロック層として機能する。
p+−AlGaAsSb層16上にp型のp+−GaAsSb層17が形成されている。p+−GaAsSb層17の厚さは30nm〜300nm程度(例えば100nm)であり、p+−GaAsSb層17には、不純物としてZnが5×1018cm-3〜2×1019cm-3程度(例えば1×1019cm-3)含有されている。p+−GaAsSb層17はオーミックコンタクト層として機能する。
また、n+−InGaAs層13の表面にn−InP層14から離間してオーミック電極20bがオーミック接続され、p型のp+−GaAsSb層17の表面にオーミック電極19が選択的にオーミック接続されている。オーミック電極19及び20bには、例えば、下から順に積層されたTi膜(厚さ:10nm程度)、Pt膜(厚さ:30nm程度)及びAu膜(厚さ:300nm程度)が含まれている。
更に、導電性の基板11の裏面にオーミック電極20aがオーミック接続されている。オーミック電極20aには、例えば、基板11側から順に積層されたAuGe膜(厚さ:20nm程度)、Ni膜(厚さ:10nm程度)及びAu膜(厚さ:200nm程度)が含まれている。
このように構成された第3の実施形態では、p+−AlGaAsSb層16がAlSb系化合物半導体層101に相当し、n−InP層14がInP系化合物半導体層102に相当する。また、i−InAlAs層15が中間層103に相当する。つまり、n−InP層14、i−InAlAs層15及びp+−AlGaAsSb層16がバックワードダイオードを構成する。従って、第1の実施形態と同様の動作が行われ、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、オーミック電極19及び20b間に印加する電圧のみならず、オーミック電極19及び20a間に印加する電圧によっても動作させることができる。つまり、基板11もオーミックコンタクト層として機能する。
次に、第3の実施形態に係る半導体装置を製造する方法について説明する。図7A乃至図7Bは、第3の実施形態に係る半導体装置を製造する方法を工程順に示す断面図である。
先ず、図7A(a)に示すように、基板11上に、n+−InGaAs層13、n−InP層14、i−InAlAs層15、p+−AlGaAsSb層16、及びp+−GaAsSb層17を、この順で形成する。n+−InGaAs層13、n−InP層14、i−InAlAs層15、p+−AlGaAsSb層16、及びp+−GaAsSb層17の形成では、例えば、これらの層をMOCVD法により成長させる。次いで、バックワードダイオードを形成する予定の領域を覆うレジストパターン18をp+−GaAsSb層17上に形成する。
その後、図7A(b)に示すように、所定のエッチング液を用いてp+−GaAsSb層17、p+−AlGaAsSb層16、及びi−InAlAs層15のウェットエッチングを行う。エッチング液としてリン酸及び過酸化水素水の混合液を用いると、n−InP層14はほとんどエッチングされず、p+−GaAsSb層17、p+−AlGaAsSb層16、及びi−InAlAs層15を確実にエッチングすることができる。
続いて、図7A(c)に示すように、所定のエッチング液を用いてn−InP層14のウェットエッチングを行う。エッチング液として塩酸を用いると、n−InP層14を選択的に確実にエッチングすることができる。
次いで、図7B(d)に示すように、レジストパターン18を除去する。その後、基板11の裏面にオーミック電極20aを形成する。オーミック電極20aの形成では、例えば、基板11側から順にAuGe膜、Ni膜及びAu膜を蒸着し、350℃程度の熱処理を行う。この結果、AuGe膜、Ni膜及びAu膜と基板11との反応により、オーミック接続が確立される。
続いて、図7B(e)に示すように、p+−GaAsSb層17上にオーミック電極19を選択的に形成し、n+−InGaAs層13上にオーミック電極20bを選択的に形成する。オーミック電極19及び20bの形成では、例えばリフトオフ法によるTi膜、Pt膜及びAu膜の形成を行う。例えば、オーミック電極19及び20bを形成する予定の領域を個別に開口するレジストパターンを用いて、下から順にTi膜、Pt膜及びAu膜を蒸着し、レジストパターンをその上のTi膜、Pt膜及びAu膜と共に除去する。オーミック電極19及び20bは熱処理を行わずにp+−GaAsSb層17及びn+−InGaAs層13とオーミック接続させることができる。なお、第2の実施形態のオーミック電極9及び10と同様に、オーミック電極19及び20bを個別に形成してもよい。
このようにして、第3の実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。図8は、第4の実施形態に係る半導体装置の構造を示す断面図である。
図8に示すように、第4の実施形態に係る半導体装置では、基板21上にノンドープのi−InAlAs層22が形成されている。基板21は、例えば半絶縁性のInP基板である。i−InAlAs層22の厚さは、50nm〜500nm程度(例えば300nm)である。i−InAlAs層22はバッファ層として機能する。i−InAlAs層22上にn型のn+−InGaAs層23が選択的に形成されている。n+−InGaAs層23の厚さは50nm〜500nm程度(例えば200nm)であり、n+−InGaAs層23には、不純物としてSiが5×1018cm-3〜2×1019cm-3程度(例えば1×1019cm-3)含有されている。n+−InGaAs層23はオーミックコンタクト層として機能する。n+−InGaAs層23には、基板21上の他の素子からの分離用の素子分離溝62が形成されている。
n+−InGaAs層23上にn型のn−InP層24が選択的に形成されている。n−InP層24の厚さは30nm〜300nm程度(例えば50nm)であり、n−InP層24には、不純物としてSiが1×1018cm-3〜1×1019cm-3程度(例えば5×1018cm-3)含有されている。つまり、n−InP層24の不純物濃度はn+−InGaAs層23の不純物濃度よりも低い。n−InP層24はホールブロック層として機能する。
n−InP層24上にノンドープのi−InAlAs層25が形成されている。i−InAlAs層25の厚さは1nm〜10nm程度(例えば5nm)である。i−InAlAs層25はバリア層として機能する。
i−InAlAs層25上にp型のp+−AlGaAsSb層26が形成されている。p+−AlGaAsSb層26の厚さは30nm〜300nm程度(例えば100nm)であり、p+−AlGaAsSb層26には、不純物としてZnが5×1018cm-3〜2×1019cm-3程度(例えば1×1019cm-3)含有されている。p+−AlGaAsSb層26は電子ブロック層として機能する。
p+−AlGaAsSb層26上にp型のp+−GaAsSb層27が形成されている。p+−GaAsSb層27の厚さは30nm〜300nm程度(例えば100nm)であり、p+−GaAsSb層27には、不純物としてZnが5×1018cm-3〜2×1019cm-3程度(例えば1×1019cm-3)含有されている。p+−GaAsSb層27はオーミックコンタクト層として機能する。
また、n+−InGaAs層23の表面にn−InP層24から離間してオーミック電極30がオーミック接続されている。p型のp+−GaAsSb層27の表面に、平面視でp+−GaAsSb層27、p+−AlGaAsSb層26、及びi−InAlAs層25よりも外側に張り出すオーミック電極29がオーミック接続されている。オーミック電極29には、導電膜29a及びその上に形成された導電膜29bが含まれている。導電膜29aには、例えばWSiが含まれている。導電膜29b及びオーミック電極30には、例えば、下から順に積層されたTi膜(厚さ:10nm程度)、Pt膜(厚さ:30nm程度)及びAu膜(厚さ:100nm程度)が含まれている。
このように構成された第4の実施形態では、p+−AlGaAsSb層26がAlSb系化合物半導体層101に相当し、n−InP層24がInP系化合物半導体層102に相当する。また、i−InAlAs層25が中間層103に相当する。つまり、n−InP層24、i−InAlAs層25及びp+−AlGaAsSb層26がバックワードダイオードを構成する。従って、第1の実施形態と同様の動作が行われ、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、詳細は後述するが、オーミック電極30をオーミック電極29に対して自己整合的に形成することができるため、オーミック電極30をバックワードダイオードにより近い位置に形成することができる。このため、オーミック電極30とバックワードダイオードとの間の抵抗を低減することができる。
次に、第4の実施形態に係る半導体装置を製造する方法について説明する。図9A乃至図9Bは、第4の実施形態に係る半導体装置を製造する方法を工程順に示す断面図である。
先ず、図9A(a)に示すように、基板21上に、i−InAlAs層22、n+−InGaAs層23、n−InP層24、i−InAlAs層25、p+−AlGaAsSb層26、及びp+−GaAsSb層27を、この順で形成する。i−InAlAs層22、n+−InGaAs層23、n−InP層24、i−InAlAs層25、p+−AlGaAsSb層26、及びp+−GaAsSb層27の形成では、例えば、これらの層をMOCVD法により成長させる。次いで、バックワードダイオードを形成する予定の領域を覆う導電膜29aを形成する。導電膜29aの形成では、例えば、WSi膜等の導電膜をスパッタリング法等により全面に形成し、この上にバックワードダイオードを形成する予定の領域を覆うレジストパターンを形成し、CF4ガス又はSF6ガスを用いたドライエッチングを導電膜に対して行う。そして、ドライエッチング後にレジストパターンを除去する。
導電膜29aの形成後、図9A(b)に示すように、所定のエッチング液を用いてp+−GaAsSb層27、p+−AlGaAsSb層26、及びi−InAlAs層25のウェットエッチングを行う。エッチング液としてリン酸及び過酸化水素水の混合液を用いると、n−InP層24はほとんどエッチングされず、p+−GaAsSb層27、p+−AlGaAsSb層26、及びi−InAlAs層25を確実にエッチングすることができる。また、オーバーエッチングを行うことにより、p+−GaAsSb層27、p+−AlGaAsSb層26、及びi−InAlAs層25をサイドエッチングする。つまり、p+−GaAsSb層27、p+−AlGaAsSb層26、及びi−InAlAs層25の側面を、マスクである導電膜29aの側面よりも内側に後退させる。
続いて、図9A(c)に示すように、所定のエッチング液を用いてn−InP層24のウェットエッチングを行う。エッチング液として塩酸を用いると、n−InP層24を選択的に確実にエッチングすることができる。
次いで、図9B(d)に示すように、素子分離溝62をn+−InGaAs層23に形成する。素子分離溝62の形成では、例えば、素子分離溝62を形成する予定の領域を開口するレジストパターンを用いたn+−InGaAs層23のウェットエッチングを行う。このウェットエッチングでは、例えばエッチング液としてリン酸及び過酸化水素水の混合液を用いる。ウェットエッチング後には、レジストパターンを除去する。
続いて、図9B(e)に示すように、レジストパターン28a及びその上に形成されたレジストパターン28bを含む多層レジストパターンを形成する。このとき、レジストパターン28a及び28bには、オーミック電極30及び導電膜29bを形成する予定の領域を一括して開口する開口部を設ける。つまり、一つの開口部からオーミック電極30及び導電膜29bを形成する予定の領域が露出するようにする。また、レジストパターン28bの開口部をレジストパターン28aの開口部より小さくする。多層レジストパターンの形成後、下から順にTi膜、Pt膜及びAu膜を蒸着する。この結果、オーミック電極30及び導電膜29bが形成され、また、レジストパターン28b上に導電膜28cが形成される。次いで、レジストパターン28a及びレジストパターン28bをその上の導電膜28cと共に除去する。
このようにして、第4の実施形態に係る半導体装置を製造することができる。そして、この方法では、オーミック電極30をオーミック電極29に対して自己整合的に形成することができる。このため、平面視でのバックワードダイオードとオーミック電極30との間隔を1μm未満にすることが可能である。一方、オーミック電極29用の開口部とは別にオーミック電極30用の開口部を形成する場合、解像度等の影響で、オーミック電極30とバックワードダイオードとの間には、少なくとも1μm〜2μm程度の間隔が必要となる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。図10は、第5の実施形態に係る半導体装置の構造を示す図である。
図10(a)及び(b)に示すように、第5の実施形態では、基板31上に検波器51、ローノイズアンプ(LNA)52及びインダクタ53が集積されてモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)54が構成されている。基板31は、例えば半絶縁性のInP基板である。LNA52は、例えば高電子移動度トランジスタ(HEMT)である。
基板31上に、ノンドープのi−InAlAs層41、ノンドープのi−InGaAs層42、n型のn−InAlAs層43、ノンドープのi−InP層44、及びn型のn+−InGaAs層33がこの順で形成されている。i−InAlAs層41の厚さは、50nm〜500nm程度(例えば300nm)である。i−InAlAs層41はバッファ層として機能する。i−InGaAs層42の厚さは、50nm〜250nm程度(例えば15nm)である。i−InGaAs層42はLNA52のチャネル層として機能する。n−InAlAs層43の厚さは、5nm〜15nm程度(例えば8nm)であり、n−InAlAs層43には、不純物としてSiが5×1018cm-3〜2×1019cm-3程度(例えば1×1019cm-3)含有されている。n−InAlAs層43はLNA52のキャリア供給層として機能する。i−InP層44の厚さは、3nm〜10nm程度(例えば5nm)である。i−InP層44はLNA52の形成時のエッチングストッパ層として機能する。n+−InGaAs層33の厚さは10nm〜100nm程度(例えば50nm)であり、n+−InGaAs層33には、不純物としてSiが5×1018cm-3〜2×1019cm-3程度(例えば1×1019cm-3)含有されている。n+−InGaAs層33はオーミックコンタクト層として機能する。そして、i−InAlAs層41、i−InGaAs層42、n−InAlAs層43、i−InP層44、及びn+−InGaAs層33に素子分離溝63が形成されており、素子分離溝63により検波器51及びLNA52が素子分離されている。
LNA52では、n+−InGaAs層33にリセス65が形成されており、リセス65内においてi−InP層44上にゲート電極46gが形成されている。また、平面視でゲート電極46gを挟むようにして、n+−InGaAs層33上にソース電極46s及びドレイン電極46dが形成されている。ゲート電極46gには、例えば、下から順に積層されたTi膜(厚さ:10nm)、Pt膜(厚さ:30nm)及びAu膜(厚さ:500nm)が含まれている。ソース電極46s及びドレイン電極46dには、例えば、下から順に積層されたTi膜(厚さ:10nm程度)、Pt膜(厚さ:30nm程度)及びAu膜(厚さ:300nm程度)が含まれている。
検波器51では、n+−InGaAs層33上にn型のn−InP層34が選択的に形成されている。n−InP層34の厚さは30nm〜300nm程度(例えば50nm)であり、n−InP層34には、不純物としてSiが1×1018cm-3〜1×1019cm-3程度(例えば5×1018cm-3)含有されている。つまり、n−InP層34の不純物濃度はn+−InGaAs層33の不純物濃度よりも低い。n−InP層34はホールブロック層として機能する。
n−InP層34上にノンドープのi−InAlAs層35が形成されている。i−InAlAs層35の厚さは1nm〜10nm程度(例えば5nm)である。i−InAlAs層35はバリア層として機能する。
i−InAlAs層35上にp型のp+−AlGaAsSb層36が形成されている。p+−AlGaAsSb層36の厚さは30nm〜300nm程度(例えば100nm)であり、p+−AlGaAsSb層36には、不純物としてZnが5×1018cm-3〜2×1019cm-3程度(例えば1×1019cm-3)含有されている。p+−AlGaAsSb層36は電子ブロック層として機能する。
p+−AlGaAsSb層36上にp型のp+−GaAsSb層37が形成されている。p+−GaAsSb層37の厚さは30nm〜300nm程度(例えば50nm)であり、p+−GaAsSb層37には、不純物としてZnが5×1018cm-3〜2×1019cm-3程度(例えば1×1019cm-3)含有されている。p+−GaAsSb層37はオーミックコンタクト層として機能する。
また、n+−InGaAs層33の表面にn−InP層34から離間してオーミック電極40がオーミック接続され、p型のp+−GaAsSb層37の表面にオーミック電極39が選択的にオーミック接続されている。オーミック電極39及び40には、例えば、下から順に積層されたTi膜(厚さ:10nm程度)、Pt膜(厚さ:30nm程度)及びAu膜(厚さ:300nm程度)が含まれている。
更に、i−InAlAs層41上に、素子分離溝63を埋め込み、検波器51及びLNA52を覆う層間絶縁膜47が形成されている。層間絶縁膜47には、オーミック電極39、オーミック電極40、ソース電極46s、ドレイン電極46d、又はゲート電極46gまで到達するコンタクトホールが形成されている。そして、各コンタクトホール内にコンタクトプラグが形成されている。また、層間絶縁膜47上には、オーミック電極40に接続されたコンタクトプラグ48とドレイン電極46dに接続されたコンタクトプラグ49とを接続する配線50が形成されている。
このように構成された第5の実施形態では、検波器51のオーミック電極39及びLNA52のソース電極46sが接地され、配線50にインダクタ53の一端が接続される。そして、LNA52のゲート電極46gに、ミリ波を受信するアンテナ55が接続され、インダクタ53の他端から検波信号Vdetが出力される。検出信号Vdetとしては、数百mVの電位差ΔVが出力される。
また、検波器51に関し、p+−AlGaAsSb層36がAlSb系化合物半導体層101に相当し、n−InP層34がInP系化合物半導体層102に相当する。また、i−InAlAs層35が中間層103に相当する。つまり、n−InP層34、i−InAlAs層35及びp+−AlGaAsSb層36がバックワードダイオードを構成する。従って、第1の実施形態と同様の動作が行われる。このため、アンテナ55により入力したミリ波がLNA52によって振幅の大きい信号に増幅された場合であっても、適切な検波信号Vdetを出力することができる。
次に、第5の実施形態に係る半導体装置を製造する方法について説明する。図11A乃至図11Cは、第5の実施形態に係る半導体装置を製造する方法を工程順に示す断面図である。
先ず、図11A(a)に示すように、基板31上に、i−InAlAs層41、i−InGaAs層42、n−InAlAs層43、i−InP層44、n+−InGaAs層33、n−InP層34、i−InAlAs層35、p+−AlGaAsSb層36、及びp+−GaAsSb層37を、この順で形成する。i−InAlAs層41、i−InGaAs層42、n−InAlAs層43、i−InP層44、n+−InGaAs層33、n−InP層34、i−InAlAs層35、p+−AlGaAsSb層36、及びp+−GaAsSb層37の形成では、例えば、これらの層をMOCVD法により成長させる。次いで、バックワードダイオードを形成する予定の領域を覆うレジストパターン38をp+−GaAsSb層37上に形成する。
その後、図11A(b)に示すように、所定のエッチング液を用いてp+−GaAsSb層37、p+−AlGaAsSb層36、及びi−InAlAs層35のウェットエッチングを行う。エッチング液としてリン酸及び過酸化水素水の混合液を用いると、n−InP層34はほとんどエッチングされず、p+−GaAsSb層37、p+−AlGaAsSb層36、及びi−InAlAs層35を確実にエッチングすることができる。続いて、所定のエッチング液を用いてn−InP層34のウェットエッチングを行う。エッチング液として塩酸を用いると、n−InP層34を選択的に確実にエッチングすることができる。
次いで、図11A(c)に示すように、レジストパターン38を除去する。その後、素子分離溝63を、i−InGaAs層42、n−InAlAs層43、i−InP層44、及びn+−InGaAs層33に形成する。素子分離溝63の形成では、例えば、素子分離溝63を形成する予定の領域を開口するレジストパターンを用いたウェットエッチングを行う。n+−InGaAs層33、n−InAlAs層43、及びi−InGaAs層42のウェットエッチングでは、例えばエッチング液としてリン酸及び過酸化水素水の混合液を用い、i−InP層44のウェットエッチングでは、例えば塩酸を用いる。ウェットエッチング後には、レジストパターンを除去する。
続いて、図11B(d)に示すように、検波器51に関し、p+−GaAsSb層37上にオーミック電極39を選択的に形成し、n+−InGaAs層33上にオーミック電極40を選択的に形成する。また、LNA52に関し、n+−InGaAs層33上にソース電極46s及びドレイン電極46dを選択的に形成する。オーミック電極39、オーミック電極40、ソース電極46s及びドレイン電極46dの形成では、例えばリフトオフ法によるTi膜、Pt膜及びAu膜の形成を行う。例えば、これらの電極を形成する予定の領域を個別に開口するレジストパターンを用いて、下から順にTi膜、Pt膜及びAu膜を蒸着し、レジストパターンをその上のTi膜、Pt膜及びAu膜と共に除去する。これらの電極は熱処理を行わずにp+−GaAsSb層37及びn+−InGaAs層33とオーミック接続させることができる。なお、これらの電極を個別に形成してもよい。
次いで、図11B(e)に示すように、ソース電極46s及びドレイン電極46dの間に露出しているn+−InGaAs層33にリセス65を形成する。リセス65の形成では、電子線フォトリソグラフィー法により、リセス65を形成する予定の領域を開口するレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとしてn+−InGaAs層33のウェットエッチングを行う。エッチング液としてクエン酸及び過酸化水素水の混合液を用いると、i−InP層44はほとんどエッチングされず、n+−InGaAs層33を確実にエッチングすることができる。このとき、i−InP層44がエッチングストッパ層として機能する。ウェットエッチング後には、レジストパターンを除去する。
リセス65の形成後、図11B(f)に示すように、リセス65内においてn+−InGaAs層33上にゲート電極46gを形成する。ゲート電極46gの形成は、例えば、電子線フォトリソグラフィー法により形成したレジストパターンを用いたリフトオフ法により行う。つまり、レジストパターンの形成、Ti膜、Pt膜及びAu膜の蒸着、並びにレジストパターンの除去をこの順で行う。
ゲート電極46gの形成後、図11C(g)に示すように、検波器51及びLNA52を覆う層間絶縁膜47を形成する。層間絶縁膜47の材料としては、例えばベンゾシクロブテン(BCB)又はポリイミド等を用いる。
次いで、層間絶縁膜47に、オーミック電極39、オーミック電極40、ソース電極46s、ドレイン電極46d、又はゲート電極46gまで到達するコンタクトホールを形成し、各コンタクトホール内にコンタクトプラグを形成する。その後、図11C(h)に示すように、オーミック電極40に接続されたコンタクトプラグ48とドレイン電極46dに接続されたコンタクトプラグ49とを接続する配線50を層間絶縁膜47上に形成する。
インダクタ53は、配線50と並行に形成することができる。また、層間絶縁膜47の形成前までに形成してもよい。
このようにして、第5の実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
なお、いずれの実施形態においても、p型のAlSb系化合物半導体層に代えて、GaAsSb等のAlを含有しない化合物半導体層を用いてもよい。つまり、Sbを含んでいるp型の化合物半導体層をAlSb系化合物半導体層に代えて用いることができる。特に、GaAsSbは、Sbの組成が0.49の場合にInPに格子整合し、GaAsSbyでy<0.49の場合にワイドギャップになる。また、n型の化合物半導体層はInP系である必要はなく、InPを含んでいればよい。