(第1の実施形態)
以下、本発明に係る床暖房装置100を備えた温調システムについて、図面を参照しつつ説明する。まず、図1に示している温調システムは、マルチ型のヒートポンプシステムを利用したもので、一台の室外機17に対して、室内ユニット18と温調水ユニット1とを並列に接続している。そして、室外機17と室内ユニット18とによって空気調和機が構成されており、また室外機17、温調水ユニット1、床暖房パネル2a〜2d等によって床暖房装置100が構成されている。図1は、本発明の第1実施形態に係る床暖房装置の全体構成を示す水系統及び冷媒系統を示す回路図である。図2は、図1の床暖房装置の水系統の一部を拡大した図である。
まず、図1における回路図の床暖房装置100の水系統について説明する。
床暖房装置100は、温調水ユニット1と、家屋の床面に配置された4枚の床暖房パネル2a〜2dと、ヒートポンプシステムの室外機17とを有している。上記温調水ユニット1と床暖房パネル2a〜2dとは、温調水往き配管53a〜53dと温調水戻り配管55a〜55dとからそれぞれ成る温調水配管3によって接続されている。そして、この温調水配管3を通して、温調水ユニット1と床暖房パネル2a〜2dとの間の温調水8の循環供給を行うように構成されている。
上記温調水ユニット1は、機械室1aとヘッダ室1bとを備えており、上記機械室1aには、水熱交換器16、簡易密閉型の膨張タンク7、循環ポンプ9、電装品33等が設けられている。一方、上記ヘッダ室1bには、往きヘッダ4、戻りヘッダ6等が設けられている。詳細に説明すると、上記機械室1aにおける膨張タンク7の底部には往き管10が接続されており、その先端が循環ポンプ9を介してヘッダ室1bの往きヘッダ4に接続されている。上記往きヘッダ4は、略筒状のヘッダ本体4aと、その基端部に形成された主管接続部4bと、ヘッダ本体4a外周部の長手方向に並設して形成された複数個(本実施形態では4個)の分岐管接続部51a〜51dとから成り、上記主管接続部4bに往き管10が接続され、また各分岐管接続部51a〜51dに上記床暖房パネル2a〜2dへと通じる温調水往き配管53a〜53dの一端が接続されている。そして、これら温調水往き配管53a〜53dには、各分岐管接続部51a〜51dに対応した開閉弁である熱動弁52a〜52dが付設されている。一方、上記温調水往き配管53a〜53dの他端は、床暖房パネル2a〜2dに形成された蛇行形状の温調水循環パイプ54a〜54dの一端に接続されている。従って、上記膨張タンク7内の温調水8は循環ポンプ9の作動によって往き管10に供給され、さらに往きヘッダ4で複数本の温調水往き配管53a〜53dに分流されて、各床暖房パネル2a〜2dへと供給される。
一方、上記床暖房パネル2a〜2dに形成された温調水循環パイプ54a〜54dのもう一方の端部には、温調水戻り配管55a〜55dが接続されており、さらにその先端がヘッダ室1bの戻りヘッダ6に接続されている。上記戻りヘッダ6は、往きヘッダ4と同様に、略筒状のヘッダ本体6aと、その基端部に形成された主管接続部6bと、ヘッダ本体6a外周部の長手方向に並設して形成された複数個(本実施形態では4個)の分岐管接続部56a〜56dとから成り、上記分岐管接続部56a〜56dに温調水戻り配管55a〜55dが接続されると共に、上記主管接続部4bに戻り管12が接続されている。
また、上記戻り管12と膨張タンク7とは熱交換路13によって接続されているが、この熱交換路13は、以下に述べる冷媒回路の凝縮器又は蒸発器として機能する水熱交換器16と熱交換可能に設けられており、ここで、上記戻り管12から返流される温調水8を加熱又は冷却するようにしている。そして、この熱交換路13の先端が膨張タンク7の底部に接続されているのである。これより、床暖房パネル2a〜2dの温調水循環パイプ54a〜54dを流通した温調水8は、温調水戻り配管55a〜55dを通って戻りヘッダ6に流入し、この戻りヘッダ6によって各温調水戻り配管55a〜55dを流通する温調水8が合流されて戻り管12に供給され、さらに上記熱交換路13で加熱された後、膨張タンク7に供給される。このとき上記戻り管12には、温度検知手段である戻り水温検知サーミスタ35が、また上記水熱交換器16には、水熱交温度検知サーミスタ36が取付けられている。
ここで、床暖房パネル2a〜2dは、エリアI及びエリアIIのいずれかに属している。図2では、エリアIには床暖房パネル2aが属し、エリアIIには床暖房パネル2b〜2dが属している。そして、エリアIの床暖房パネル2aは、ワイヤードリモコン46において設定された温度設定に基づいて温調され、エリアIIの床暖房パネル2b〜2dは、ワイヤードリモコン47において設定された温度設定に基づいて温調される。ここで、リモコン46、47では、各エリアに関して、9段階の温度設定レベルのいずれかを選択可能になっている。そして、リモコン46、47で1つの温度設定レベルが選択されると、その温度設定レベルに対応した設定温度が各エリアごとに設定される。従って、各エリアに複数の床暖房パネルが属する場合には、それらの複数の床暖房パネルは同一の設定温度に基づいて温調される。
なお、床暖房パネル2a〜2dがエリアI及びエリアIIのいずれに属するかは変更可能である。従って、例えば、床暖房パネル2a、2bがエリアIに属すると共に床暖房パネル2c、2dがエリアIIに属するように設定することもできるし、床暖房パネル2a〜2cがエリアIに属すると共に床暖房パネル2dがエリアIIに属するように設定することもできる。つまり、床暖房パネル2a〜2dは、パネルごとに、エリアI及びエリアIIのいずれに属するかを設定可能である。また、床暖房パネル2a〜2dは、1つの部屋に複数設置することもできるし、複数の部屋にそれぞれ設置することもできる。
次に、冷媒系統について説明する。なお、以下においては、暖房運転時を例にしてその説明を行っている。本実施形態では温調水8の加熱に水熱交換器16を使用し、この水熱交換器16と、マルチ型のヒートポンプシステムの室外機17の室外熱交換器19との間で冷媒循環回路を構成して、熱交換路13を流れる温調水8を加熱するようにしている。また、図1に示すように、このヒートポンプシステムの室外機17に接続された1台の室内ユニット18を備えており、室外機17と室内ユニット18によって空気調和機を構成している。この空気調和機では、冷媒が循環可能な順序で、圧縮機21、室内ファン20aを付設した室内熱交換器20、減圧機構22、室外ファン19aを付設した室外熱交換器19を接続して冷媒循環回路を構成している。
より詳しく説明すると、圧縮機21の吐出管21aと吸入管21bとが四路切換弁23の1次ポートに接続されており、上記吸込管21bにアキュムレータ31が介設される一方、上記吐出管21aには、吐出管温度検知サーミスタ38が付設されている。また、上記四路切換弁23の一対の2次ポートの間には、第1ガス管24a、室内熱交換器20、第1液管24b、減圧機構22、第2液管24c、室外熱交換器19及び第2ガス管24dが、順番に環状に接続されている。このとき、上記室内熱交換器20と室外熱交換器19には、それぞれ室内熱交温度検知サーミスタ43と室外熱交温度検知サーミスタ41とが付設されており、さらに上記室内ユニット18と室外機17には、室内温度検知サーミスタ44と外気温度検知サーミスタ42とがそれぞれ取付けられている。
また、上記第1液管24bには、上記温調水ユニット1内に設けられた各ヘッダ4、6と同様の略筒状のヘッダ26が介設されており、このヘッダ26と室内熱交換器20とを結ぶ間の部分が連絡配管25の液管25aとなる。同様に上記第1ガス管24aにも略筒状のヘッダ27が介設されており、このヘッダ27と室内熱交換器20とを結ぶ間の部分が連絡配管25のガス管25bとなる。そして、上記ヘッダ26に接続されたもう1つの連絡配管28である液管28aが、温調水ユニット1の水熱交換器16の一端に接続され、また上記ヘッダ27に接続されたもう1つの連絡配管28であるガス管28bが、水熱交換器16の他端に接続されている。
これによって、四路切換弁23には室外熱交換器19、減圧機構22、温調水ユニット1の水熱交換器16が環状に接続されることになる。また、連絡配管25、28の各液管25a、28aはそれぞれ電動膨張弁29、30を介してヘッダ26に接続されており、この電動膨張弁29、30の開閉を適宜制御することによって、室内ユニット18及び温調水ユニット1の両方に供給する冷媒量を制御できるように成っている。ここで、上記液管25aの室内ユニット18側と、液管28aの温調水ユニット1側には、それぞれ液管温度検知サーミスタ39、37が付設されており、上記ガス管25b、28bの室外機17側には、それぞれガス管温度検知サーミスタ40a、40bが付設されている。
なお、室外機17に設けた電装品32には、電源から例えば200V、20Aの電力が供給され、室外機17内の電気的制御が行われる。また、上記床温調機には、室内の冷暖房運転の開始や停止等の操作を行うためのワイヤレスリモコン45と、上述したように、床の冷暖房に対して同様の操作を行うためのワイヤードリモコン46、47とがそれぞれ設けられている。これら各リモコン45〜47によって、利用者が希望する室温、床温等の設定が行われる。さらに、この室外機17の電装品32と室内ユニット18に設けた電装品34、及び上記室外機17の電装品32と温調水ユニット1に設けた電装品33とは、それぞれ信号・電源線で接続されている。このため、空気調和機と温調水ユニット1とを連動させる設定が利用者によって行われると、例えばワイヤレスリモコン45における運転開始操作で、空気調和機と温調水ユニット1とを併用した運転を開始させることも可能である。
次に、本実施形態の床暖房装置100の制御ユニットの主要な構成について、図3を参照して説明する。図3は、図1の床暖房装置の制御ユニットの主要な構成を示すブロック図である。制御ユニット60は、目標水温決定部61と、速暖目標水温記憶部62と、速暖時間決定部63と、運転時間タイマー64と、禁止タイマー65と、速暖タイマー66と、膨張弁制御部67と、判断部68と、熱動弁制御部69と、圧縮機制御部70とを有している。そして、制御ユニット60には、エリアI用のリモコン46と、エリアII用のリモコン47と、戻り水温検知サーミスタ35と、外気温度検知サーミスタ42と、圧縮機21と、熱動弁52a〜52dと、電動膨張弁29とがそれぞれ接続されている。また、リモコン46、47には、室温検知サーミスタ46a、47aがそれぞれ配置されている。
目標水温決定部61は、床暖房システムの目標水温を決定する。本実施形態では、目標水温決定部61は、戻り水温検知サーミスタ35で検知される戻り水温の目標水温を決定する。従って、本実施形態の床暖房装置100では、戻り水温検知サーミスタ35で検知される戻り水温が、目標水温決定部61で決定された目標水温に基づいて制御される。ここで、目標水温決定部61での床暖房システムの目標水温の決定手順について、図4を参照して説明する。図4は、目標水温決定部での床暖房システムの目標水温の決定手順を示すフローチャートである。
まず、床暖房運転が立ち上がり速暖運転か否かが判断される(ステップS1)。立ち上がり速暖運転の場合(S1:YES)は、ステップS10に進み、床暖房システムの目標水温は、後述の速暖目標水温DMAXに決定される。
一方、立ち上がり速暖運転でない場合(S1:NO)は、エリアI及びエリアIIに関して、戻り水温の目標水温D(I)、D(II)が、ステップS2〜S9の手順で決定される。まず、エリアI及びエリアIIの目標水温D(I)、D(II)は、リモコン46、47で選択された温度設定レベルに対応した設定温度と同一になるように設定される(ステップS2)。ここで、戻り水温の目標水温を決定するときには、外気温度、室内温度及び床暖房パネル種類による補正を行うことができ、いずれの補正を行うか否かの設定がリモコン46、47によって行われている。そして、外気温度による補正を行うか否かが判断される(ステップS3)。ここで、外気温度による補正を行う場合(S3:YES)には、上記の目標水温が外気温度による補正値によって変更される(ステップS4)。一方、外気温度による補正を行わない場合(S3:NO)は、ステップS5に進む。次に、室内温度による補正を行うか否かが判断される(ステップS5)。ここで、室内温度による補正を行う場合(S5:YES)には、上記の目標水温は、室内温度による補正値によって変更される(ステップS6)。一方、室内温度による補正を行わない場合(S5:NO)は、ステップS7に進む。次に、床暖房パネル種類による補正を行うか否かが判断される(ステップS7)。ここで、床暖房パネル種類による補正を行う場合(S7:YES)には、上記の目標水温は、床暖房パネル種類による補正値によって変更される(ステップS8)。一方、床暖房パネル種類による補正を行わない場合(S7:NO)は、ステップS9に進む。上記の手順で、エリアI及びエリアIIの目標水温D(I)、D(II)が決定される(ステップS9)。その後、床暖房システムの目標水温は、エリアIの床暖房運転だけが行われている場合はエリアIの目標水温D(I)に決定され、エリアIIの床暖房運転だけが行われている場合はエリアIIの目標水温D(II)に決定され、エリアI及びエリアIの床暖房運転が同時に行われている場合はエリアI、IIの目標水温D(I)、D(II)のうちで高い方の目標水温に決定される(ステップS10)。
速暖目標水温記憶部62は、床暖房運転開始時における床暖房システムの目標水温となる速暖目標水温DMAXを記憶する。この速暖目標水温DMAXは、床暖房運転開始時の立ち上がり速暖性を重視するために別途設定されており、床暖房運転開始時は、リモコン46、47で設定された設定温度に関わらず、床暖房システムの戻り水温(本実施形態では、床暖房システムの水温として、戻り水温検知サーミスタ35で検知される温度が用いられ、各床暖房パネルをそれぞれ循環した温調水が合流する合流部における温調水の温度である)は速暖目標水温DMAXに基づいて制御される。本実施形態では、速暖目標水温DMAXは、エリアI及びエリアIIに対して設定可能な最大設定温度に対応した目標水温以上の温度が設定されている。
速暖時間決定部63は、立ち上がり速暖運転が行われる速暖時間TS(床暖房システムの戻り水温が速暖目標水温DMAXに基づいて制御される時間)を決定する。本実施形態では、速暖時間TSは、戻り水温の立ち上がり速度(戻り水温が立ち上がり速暖運転が行われない場合の床暖房システムの目標水温に到達するまでの時間)、床暖房パネル内の初期水温及び床暖房パネルが設置された部屋の初期室温等を考慮した上で決定される。例えば、戻り水温の立ち上がり速度が遅い場合や、初期水温が低い場合や、初期室温が低い場合には、速暖時間TSが長くなるように決定される。従って、速暖時間決定部63は、床暖房運転が行われる条件に応じて異なる速暖時間TSを決定する。
運転時間タイマー64は、エリアI及びエリアIIでの床暖房運転が同時に運転状態となったときに計測を開始するものであって、第1所定時間となる所定時間Ta(例えば20分)を経過するとオーバーとなる。
禁止タイマー65は、エリアI及びエリアIIでの床暖房運転が同時に運転状態となったときに、戻り水温検知サーミスタ35で検知される戻り水温が、エリアI、IIの目標水温D(I)、D(II)のうちで低い方の目標水温に到達したときに計測を開始するものであって、第2所定時間となる所定時間TL(例えば10分)を経過するとオーバーとなる。ここで、禁止タイマー65は、エリアI及びエリアIIでの床暖房運転が同時に運転状態となった後、1回だけ計測する。従って、禁止タイマー65は、床暖房運転中に、戻り水温が低い方の目標水温を超えた後で、その低い方の目標水温より低くなり、再度、その低い方の目標水温に到達した場合は測定を開始しない。
速暖タイマー66は、床暖房運転開始時の立ち上がり速暖運転が行われる時間を計測するものであり、エリアI及びエリアIIの少なくとも一方での床暖房運転が開始されたときに計測を開始するものであって、立ち上がり速暖運転が行われる速暖時間TSを経過するとオーバーとなる。
膨張弁制御部67は、電動膨張弁22、29の開閉を制御する。
なお、以下の説明では、エリアI、IIのうちで設定温度が高い方のエリアを高温エリア、低い方のエリアを低温エリアとし、本実施形態では、エリアIが高温エリアとなり、エリアIIが低温エリアとなる場合を説明する。また、エリアI、IIの目標水温D(I)、D(II)のうちで高い方の目標水温を高温側目標水温DHとし、低い方の目標水温を低温側目標水温DLとして説明する。
DH=MAX(D(I)、D(II))
DL=MIX(D(I)、D(II))
判断部68は、低温エリアに対応した熱動弁の間欠制御(低温エリアに配置された床暖房パネル2b〜2dに供給される温調水量の間欠制御(低温エリアに対する間欠制御))を開始するか否かを判断する。具体的には、判断部68は、高温側目標水温DHと低温側目標水温DLとの差が別途設定された一定値より大きく、且つ、運転時間タイマー64及び禁止タイマー65の両方がオーバーしたときに、低温エリアに対応した熱動弁の間欠制御を開始すると判断する。従って、判断部67は、高温側目標水温DHと低温側目標水温DLとの差が別途設定された一定値以下の場合には、運転時間タイマー64及び禁止タイマー65の両方がオーバーしたとしても、低温エリアに対応した熱動弁の間欠制御を開始するとは判断しない。
熱動弁制御部69は、各暖房パネル2a〜2dに対応した熱動弁52a〜52dを制御する。熱動弁制御部69は、エリアI、IIでの暖房運転が同時に行われる場合であって、低温エリアに対応した熱動弁の間欠制御を行う場合には、高温エリアに対応した熱動弁は開状態に維持すると共に、低温エリアに対応した熱動弁は、開状態と閉状態とが交互になるように間欠的に制御する。このように、低温エリアに対応した熱動弁の間欠制御が行われることで、低温エリアに配置された床暖房パネル2b〜2dに供給される温調水量の間欠制御が行われる。
圧縮機制御部70は、床暖房システムの戻り水温を、目標水温決定部61で決定された目標水温に基づいて、圧縮機21の回転数を制御する。従って、本実施形態の床暖房装置100では、圧縮機制御部70によって、圧縮機21の回転数が制御されることによって、温調水ユニット1に供給される冷媒量が調整され、床暖房システムの戻り水温が目標水温決定部61で決定された目標水温とほぼ同一になるようになる。
図5には、熱動弁の制御に用いられるパルス信号の一例が図示されている。図5(a)は、高温エリアとなるエリアIに対応した熱動弁52aの制御に用いられるパルス信号、図5(b)〜図5(d)は、低温エリアとなるエリアIIに対応した熱動弁52b〜52dの制御に用いられるパルス信号を示し、高温エリアの床暖房パネル2aに対応した熱動弁52aが開状態に維持されると共に、低温エリアの床暖房パネル2b〜2dに対応した熱動弁52b〜52dが間欠的に制御される場合が図示されている。また、図5では、床暖房装置100が後述する<パターンD>で動作する場合、つまり、エリアIでの床暖房運転が開始された後で、エリアIIにおいて、エリアIより低い設定温度での床暖房運転が開始された場合の制御に用いられるパルス信号が図示されている。
エリアIでの床暖房運転が開始された時刻td0において、熱動弁52aの制御に用いられるパルス信号は、閉状態(OFF状態)から開状態(ON状態)に切り換わる。そして、時刻td2において、エリアIIでの床暖房運転が開始されると、熱動弁52b〜52dの制御に用いられるパルス信号は、閉状態(OFF状態)から開状態(ON状態)に切り換わる。その後、時刻td3において、後で詳述するように、低温エリアに対する間欠制御が開始されるようになると、その後は、熱動弁52b〜52dの制御に用いられるパルス信号は、時間TONの開状態と時間TOFFの閉状態とが交互に繰り返される。但し、熱動弁52b〜52dのパルス信号において、低温エリアに対する間欠制御が開始される時刻td3の後における最初の開状態の時間に関しては、それぞれ、時間TONに、時間TWb、TWc、TWdが加算される。このように、時間TWb、TWc、TWdが加算されることで、これらのパルス信号の全ては、互いに異なるタイミングでオン/オフが切り換わるようになる。
次に、低温エリアに対する間欠制御に用いられるパルス信号における開時間TON及び閉時間TOFFの決め方について説明する。ここで、開時間TON及び閉時間TOFFは、高温側目標水温DHと低温側目標水温DLとから計算されることから分かるように、低温エリアに対する間欠制御は、高温側目標水温DH及び低温側目標水温DLに基づいて行われる。
高温側目標水温DHに対する低温側目標水温DLの水温比率Wrを、高温側目標水温DHと低温側目標水温DLとから計算する。
Wr=f1(DL,DH)
そして、水温比率Wrから開時間TON(ON指令時間)を計算する。
TON=f2(TP,Wr)
ここで、時間TPは、開時間TONと閉時間TOFFとの合計を示しており、時間TPは別途設定される。
TP=TON+TOFF
そして、開時間TONから開時間TOFF(OFF指令時間)を計算する。
TOFF=TP−TON
次に、本実施形態の床暖房装置100の動作例について、図6〜図15を参照して説明する。ここでは、下記の<パターンA>〜<パターンE>の動作を説明する。
<パターンA>:2エリアの運転が同時に開始される場合
<パターンB>:1エリアの運転が開始され、立ち上がり速暖運転終了後に、2エリアの同時運転が行われる場合(低温エリア→高温エリア)
<パターンC>:1エリアの運転が開始され、立ち上がり速暖運転中に、2エリアの同時運転が行われる場合(低温エリア→高温エリア)
<パターンD>:1エリアの運転が開始され、立ち上がり速暖運転終了後に、2エリアの同時運転が行われる場合(高温エリア→低温エリア)
<パターンE>:1エリアの運転が開始され、立ち上がり速暖運転中に、2エリアの同時運転が行われる場合(高温エリア→低温エリア)
まず、<パターンA>の動作を、図6及び図7を参照して説明する。図6は、床暖房装置における<パターンA>の動作時の床暖房システムの戻り水温の変化を示す図である。図7は、床暖房装置における<パターンA>の動作手順を示すフローチャートである。図6、図8、図10、図12及び図14において、太線は床暖房システムの戻り水温の変化を示し、破線は低温エリアの床暖房パネルの床温の変化を示している。
まず、時刻ta0において、エリアI、IIでの床暖房運転が同時に開始される(ステップS101)。床暖房運転開始時は、立ち上がり速暖運転が行われるので、床暖房システムの戻り水温は速暖目標水温DMAXに基づいて制御される。そのため、床暖房システムの戻り水温は、急激に上昇し始める。時刻ta0において、2エリアでの同時運転が開始されると、エリアIの目標水温D(I)とエリアIIの目標水温D(II)との差が一定値より大きいか否かが判断される(ステップ102)。ここで、上記の温度差が一定値より大きい場合(S102:YES)には、低温エリアに対する間欠制御が行われるため、以下の手順で間欠制御の開始条件が判断される。なお、エリアI、IIでの床暖房運転が同時に開始される場合は、運転開始時において、エリアI、IIのどちらが高温エリアまたは低温エリアになるかが決まる。
そして、時刻ta0において、2エリアでの同時運転が開始されたときに、運転時間タイマー64での測定が開始される(ステップS103)。また、床暖房システムの戻り水温が低温側目標水温DL以上か否かが繰り返し判断される(ステップS104)。ここで、時刻ta1において、戻り水温が低温側目標水温DLに到達すると(S104:YES)、禁止タイマー65での測定が開始される(ステップS105)。その後、運転時間タイマー64及び禁止タイマー65の両方がオーバーしたか否かが繰り返し判断され(ステップS106)、時刻ta2において、運転時間タイマー64及び禁止タイマー65の両方がオーバーすると(S106:YES)、低温エリアに対する間欠制御が開始される(ステップS107)。従って、床暖房システムの戻り水温が速暖目標水温DMAXに基づいて制御された状態で、高温エリアに対応した熱動弁52aは開状態に維持されると共に、低温エリアに対応した熱動弁52b〜52dは間欠制御される。そして、立ち上がり速暖運転が、時刻ta3において、速暖タイマー66がオーバーするまで継続される(ステップS108)。ここで、速暖タイマー66がオーバーするまでは、床暖房システムの戻り水温は速暖目標水温DMAXに基づいて制御されるが、その後は、高温側目標水温DHに基づいて制御される。従って、床暖房システムの戻り水温が高温側目標水温DHに基づいて制御された状態で、高温エリアに対応した熱動弁52aは開状態に維持されると共に、低温エリアに対応した熱動弁52b〜52dは間欠制御される。
一方、ステップS102において、上記の温度差が一定値以下である場合(S102:NO)には、低温エリアに対する間欠制御が行われないので、立ち上がり速暖運転が速暖時間が経過するまで継続される(ステップS108)。従って、時刻ta3において、速暖タイマー66がオーバーするまでは、床暖房システム戻りの水温が速暖目標水温DMAXに基づいて制御され、その後は、床暖房システム戻りの水温が高温側目標水温DHに基づいて制御されるが、高温エリアに対応した熱動弁52a及び低温エリアに対応した熱動弁52b〜52dはいずれも開状態に維持される。
次に、<パターンB>の動作を、図8及び図9を参照して説明する。図8は、床暖房装置における<パターンB>の動作時の床暖房システムの戻り水温の変化を示す図である。図9は、床暖房装置における<パターンB>の動作手順を示すフローチャートである。
まず、時刻tb0において、エリアI、IIのいずれか一方での床暖房運転が開始される(ステップS201)。床暖房運転開始時は、立ち上がり速暖運転が行われるので、床暖房システムの戻り水温は速暖目標水温DMAXに基づいて制御される。そのため、床暖房システムの戻り水温は、急激に上昇し始める。そして、時刻tb1において、速暖タイマー66がオーバーするまでは、床暖房システムの戻り水温は速暖目標水温DMAXに基づいて制御されるが、その後は、床暖房運転が開始されたエリアでの目標水温に基づいて制御される(ステップ202)。その後、時刻tb2において、エリアI、IIのうちの他方での床暖房運転が開始され、2エリアでの同時運転が開始されると(ステップ203)、エリアIの目標水温D(I)とエリアIIの目標水温D(II)との差が一定値より大きいか否かが判断される(ステップ204)。ここで、上記の温度差が一定値より大きい場合(S204:YES)には、低温エリアに対する間欠制御が行われるため、以下の手順で間欠制御の開始条件が判断される。なお、エリアI、IIでの同時運転が開始された段階(時刻tb2)で、エリアI、IIのどちらが高温エリアまたは低温エリアになるかが決まるので、立ち上がり速暖運転が終了した段階(時刻tb1)では、床暖房運転が先に開始されたエリアが高温エリアまたは低温エリアのどちらかは判断できないが、<パターンB>では、低温エリアとなるエリアIIでの床暖房運転が先に開始される場合であるので、立ち上がり速暖運転が終了すると、その後は、床暖房システムの戻り水温は低温側目標水温DLに基づいて制御される。
そして、時刻tb2において、2エリアでの同時運転が開始されたときに、運転時間タイマー64での測定が開始される(ステップS205)。ここで、2エリアでの同時運転が開始されると、床暖房システムの戻り水温は高温側目標水温DHに基づいて制御されるが、<パターンB>では、低温エリアとなるエリアIIでの床暖房運転が先に開始される場合であるので、その後は、床暖房システムの戻り水温は、時刻tb2において、床暖房運転が開始されたエリアIの目標水温に基づいて制御される。また、床暖房システムの戻り水温が低温側目標水温DL以上か否かが繰り返し判断される(ステップS206)。ここで、時刻tb3において、戻り水温が低温側目標水温DLに到達すると(S206:YES)、禁止タイマー65での測定が開始される(ステップS207)。その後、運転時間タイマー64及び禁止タイマー65の両方がオーバーしたか否かが繰り返し判断され(ステップS208)、時刻tb4において、運転時間タイマー64及び禁止タイマー65の両方がオーバーすると(S208:YES)、低温エリアに対する間欠制御が開始される(ステップS209)。従って、床暖房システムの戻り水温が高温側目標水温DHに基づいて制御された状態で、高温エリアに対応した熱動弁52aは開状態に維持されると共に、低温エリアに対応した熱動弁52b〜52dは間欠制御される。
一方、ステップS204において、上記の温度差が一定値以下である場合(S204:NO)には、低温エリアに対する間欠制御が行われないので、床暖房システムの戻り水温が高温側目標水温DHに基づいて制御された状態で、高温エリアに対応した熱動弁52a及び低温エリアに対応した熱動弁52b〜52dはいずれも開状態に維持される。
次に、<パターンC>の動作を、図10及び図11を参照して説明する。図10は、床暖房装置における<パターンC>の動作時の床暖房システムの戻り水温の変化を示す図である。図11は、床暖房装置における<パターンC>の動作手順を示すフローチャートである。
まず、時刻tc0において、エリアI、IIのいずれか一方での床暖房運転が開始される(ステップS301)。床暖房運転開始時は、立ち上がり速暖運転が行われるので、戻り水温は速暖目標水温DMAXに基づいて制御される。そのため、戻り水温は、急激に上昇し始める。そして、時刻tc1において、エリアI、IIのうちの他方の床暖房運転が開始され、2エリアでの同時運転が開始されると(ステップS302)、エリアIの目標水温D(I)とエリアIIの目標水温D(II)との差が一定値より大きいか否かが判断される(ステップ303)。ここで、上記の温度差が一定値より大きい場合(S303:YES)には、低温エリアに対する間欠制御が行われるため、以下の手順で間欠制御の開始条件が判断される。
そして、時刻tc1において、2エリアでの同時運転が開始されたときに、運転時間タイマー64での測定が開始される(ステップS304)。また、床暖房システムの戻り水温が低温側目標水温DL以上か否かが繰り返し判断される(ステップS305)。ここで、エリアI、IIでの同時運転が開始された段階(時刻tc1)で、エリアI、IIのどちらが高温エリアまたは低温エリアになるかが決まるが、<パターンC>では、高温エリアとなるエリアIでの床暖房運転が先に開始される場合であるので、時刻tc1において、戻り水温は低温側目標水温DL以上であるので(S305:YES)、禁止タイマー65での測定が開始される(ステップS306)。その後、運転時間タイマー64及び禁止タイマー65の両方がオーバーしたか否かが繰り返し判断され(ステップS307)、時刻tc2において、運転時間タイマー64及び禁止タイマー65の両方がオーバーすると(S307:YES)、低温エリアに対する間欠制御が開始される(ステップS308)。従って、床暖房システムの戻り水温が速暖目標水温DMAXに基づいて制御された状態で、高温エリアに対応した熱動弁52aは開状態に維持されると共に、低温エリアに対応した熱動弁52b〜52dは間欠制御される。そして、時刻tc3において、速暖タイマー66がオーバーするまでは、床暖房システムの戻り水温は速暖目標水温DMAXに基づいて制御されるが、その後は、戻り水温は高温側目標水温に基づいて制御される(ステップS309)。従って、床暖房システムの戻り水温が高温側目標水温DHに基づいて制御された状態で、高温エリアに対応した熱動弁52aは開状態に維持されると共に、低温エリアに対応した熱動弁52b〜52dは間欠制御される。
一方、ステップS303において、上記の温度差が一定値以下である場合(S303:NO)には、低温エリアに対する間欠制御が行われないので、立ち上がり速暖運転が速暖時間が経過するまで継続される(ステップS309)。従って、時刻tc3において、速暖タイマー66がオーバーするまでは、床暖房システム戻りの水温が速暖目標水温DMAXに基づいて制御され、その後は、床暖房システム戻りの水温が高温側目標水温DHに基づいて制御されるが、高温エリアに対応した熱動弁52a及び低温エリアに対応した熱動弁52b〜52dはいずれも開状態に維持される。
まず、<パターンD>の動作を、図12及び図13を参照して説明する。図12は、床暖房装置における<パターンD>の動作時の床暖房システムの戻り水温の変化を示す図である。図13は、床暖房装置における<パターンD>の動作手順を示すフローチャートである。
まず、時刻td0において、エリアI、IIのいずれか一方での床暖房運転が開始される(ステップS401)。床暖房運転開始時は、立ち上がり速暖運転が行われるので、戻り水温は速暖目標水温DMAXに基づいて制御される。そのため、戻り水温は、急激に上昇し始める。そして、時刻td1において、速暖タイマー66がオーバーするまでは、床暖房システムの戻り水温は速暖目標水温DMAXに基づいて制御されるが、その後は、床暖房運転が開始されたエリアでの目標水温に基づいて制御される(ステップ402)。その後、時刻td2において、エリアI、IIのうちの他方での床暖房運転が開始され、2エリアでの同時運転が開始されると(ステップ403)、エリアIの目標水温D(I)とエリアIIの目標水温D(II)との差が一定値より大きいか否かが判断される(ステップ404)。ここで、上記の温度差が一定値より大きい場合(S404:YES)には、低温エリアに対する間欠制御が行われるため、以下の手順で間欠制御の開始条件が判断される。なお、エリアI、IIでの同時運転が開始された段階(時刻td2)で、エリアI、IIのどちらが高温エリアまたは低温エリアになるかが決まるので、立ち上がり速暖運転が終了した段階(時刻td1)では、床暖房運転が先に開始されたエリアが高温エリアまたは低温エリアのどちらかは判断できないが、<パターンD>では、高温エリアとなるエリアIでの床暖房運転が先に開始される場合であるので、立ち上がり速暖運転が終了すると、その後は、床暖房システムの戻り水温は高温側目標水温DHに基づいて制御される。
そして、時刻td2において、2エリアでの同時運転が開始されたときに、運転時間タイマー64での測定が開始される(ステップS405)。ここで、2エリアでの同時運転が開始されると、床暖房システムの戻り水温は高温側目標水温DHに基づいて制御されるが、<パターンD>では、高温エリアとなるエリアIでの床暖房運転が先に開始される場合であるので、引き続き、先に床暖房運転が開始されたエリアIの目標水温に基づいて制御される。また、床暖房システムの戻り水温が低温側目標水温DL以上か否かが繰り返し判断される(ステップS406)。ここで、<パターンD>では、高温エリアとなるエリアIでの床暖房運転が先に開始されており、時刻td2において、戻り水温は低温側目標水温DL以上であるので(S406:YES)、禁止タイマー65での測定が開始される(ステップS407)。その後、運転時間タイマー64及び禁止タイマー65の両方がオーバーしたか否かが繰り返し判断され(ステップS408)、時刻td3において、運転時間タイマー64及び禁止タイマー65の両方がオーバーすると(S408:YES)、低温エリアに対する間欠制御が開始される(ステップS409)。従って、床暖房システムの戻り水温が高温側目標水温DHに基づいて制御された状態で、高温エリアに対応した熱動弁52aは開状態に維持されると共に、低温エリアに対応した熱動弁52b〜52dは間欠制御される。
一方、ステップS404において、上記の温度差が一定値以下である場合(S404:NO)には、低温エリアに対する間欠制御が行われないので、床暖房システムの戻り水温が高温側目標水温DHに基づいて制御された状態で、高温エリアに対応した熱動弁52a及び低温エリアに対応した熱動弁52b〜52dはいずれも開状態に維持される。
まず、<パターンE>の動作を、図14及び図15を参照して説明する。図14は、床暖房装置における<パターンE>の動作時の床暖房システムの戻り水温の変化を示す図である。図15は、床暖房装置における<パターンE>の動作手順を示すフローチャートである。
まず、時刻te0において、エリアI、IIのいずれか一方での床暖房運転が開始される(ステップS501)。床暖房運転開始時は、立ち上がり速暖運転が行われるので、戻り水温は速暖目標水温DMAXに基づいて制御される。そのため、戻り水温は、急激に上昇し始める。そして、時刻te1において、エリアI、IIのうちの他方の床暖房運転が開始され、2エリアでの同時運転が開始されると(ステップS502)、エリアIの目標水温D(I)とエリアIIの目標水温D(II)との差が一定値より大きいか否かが判断される(ステップ503)。ここで、上記の温度差が一定値より大きい場合(S503:YES)には、低温エリアに対する間欠制御が行われるため、以下の手順で間欠制御の開始条件が判断される。
そして、時刻te1において、2エリアでの同時運転が開始されたときに、運転時間タイマー64での測定が開始される(ステップS504)。また、床暖房システムの戻り水温が低温側目標水温DL以上か否かが繰り返し判断される(ステップS505)。ここで、エリアI、IIでの同時運転が開始された段階(時刻te1)で、エリアI、IIのどちらが高温エリアまたは低温エリアになるかが決まるが、<パターンE>では、高温エリアとなるエリアIでの床暖房運転が先に開始される場合であるので、時刻te1において、戻り水温が低温側目標水温DL以上であるので(S505:YES)、禁止タイマー65での測定が開始される(ステップS506)。その後、運転時間タイマー64及び禁止タイマー65の両方がオーバーしたか否かが繰り返し判断され(ステップS507)、時刻te2において、運転時間タイマー64及び禁止タイマー65の両方がオーバーすると(S507:YES)、低温エリアに対する間欠制御が開始される(ステップS508)。従って、床暖房システムの戻り水温が速暖目標水温DMAXに基づいて制御された状態で、高温エリアに対応した熱動弁52aは開状態に維持されると共に、低温エリアに対応した熱動弁52b〜52dは間欠制御される。そして、時刻te3において、速暖タイマー66がオーバーするまでは、床暖房システムの戻り水温は速暖目標水温DMAXに基づいて制御されるが、その後は、戻り水温は高温側目標水温DHに基づいて制御される(ステップS509)。従って、床暖房システムの戻り水温が高温側目標水温DHに基づいて制御された状態で、高温エリアに対応した熱動弁52aは開状態に維持されると共に、低温エリアに対応した熱動弁52b〜52dは間欠制御される。
一方、ステップS503において、上記の温度差が一定値以下である場合(S503:NO)には、低温エリアに対する間欠制御が行われないので、立ち上がり速暖運転が速暖時間が経過するまで継続される(ステップS509)。従って、時刻te3において、速暖タイマー66がオーバーするまでは、床暖房システム戻りの水温が速暖目標水温DMAXに基づいて制御され、その後は、床暖房システム戻りの水温が高温側目標水温DHに基づいて制御されるが、高温エリアに対応した熱動弁52a及び低温エリアに対応した熱動弁52b〜52dはいずれも開状態に維持される。
以上説明したように、本実施形態の床暖房装置100では、エリアI及びエリアIIの少なくとも一方での床暖房運転が開始されると、床暖房システムの戻り水温が、速暖目標水温DMAXに基づいて制御される。そのため、エリアIに配置された床暖房パネル2a及びエリアIIに配置された床暖房パネル2b〜2dにおける床温上昇を早めることができる。また、エリアI及びエリアIIでの床暖房運転が同時に行われる場合に、低温エリアとなるエリアIIの床暖房パネル2b〜2dに供給される温調水量の間欠制御は、2エリアでの床暖房運転開始時と同時に開始されるのではなく、2エリアでの床暖房運転開始時よりも後において開始されるので、低温エリアの床暖房パネル2b〜2dにおける床温上昇が遅くなるのを抑制できる。
また、低温エリアの床暖房パネル2b〜2dに供給される温調水量の間欠制御は、2エリアでの床暖房運転開始時から所定時間Taが経過し、床暖房システムの戻り水温が安定した後で開始される。従って、低温エリアの床暖房パネル2b〜2dの床温をその設定温度に基づいて適正に制御できる。
また、低温エリアの床暖房パネル2b〜2dに供給される温調水量の間欠制御は、床暖房システムの戻り水温が低温側目標水温DLに到達した時点から所定時間TLが経過した後で開始されるので、低温エリアの床暖房パネル2b〜2dにおける床温上昇が遅くなるのを抑制できる。
また、低温エリアの床暖房パネル2b〜2dに供給される温調水量の間欠制御は、高温側目標水温DHと低温側目標水温DLとの温度差が一定値よりも大きく、低温エリアの床暖房パネル2b〜2dの床温が上がりすぎる場合にだけ行われる。
また、床暖房パネル2b〜2dに供給される温調水量の間欠制御は、高温側目標水温DH及び低温側目標水温DLに基づいて行われるので、低温エリアの床暖房パネル2b〜2dの床温をその設定温度に基づいて適正に制御できる。
また、床暖房パネル2b〜2dに供給される温調水量の間欠制御に用いられるパルス信号の全ては、互いに異なるタイミングでオン/オフが切り換わる。従って、低温エリアの床暖房パネル2b〜2dの全てにおいて、温調水の供給タイミング及び温調水の供給停止タイミングがずれるので、高温エリアの床暖房パネル2aに供給される温調水量が変動するのを防止できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る床暖房装置101について説明する。
上記第1実施形態では、室外機101Bに対して、床暖房装置100を構成する温調水ユニット101Aと、空気調和機を構成する室内ユニット18とが接続された構成について説明したが、第2実施形態においては、室外機101Bに対して温調水ユニット101Aのみが接続された構成について説明する。なお、第1実施形態と同一部材には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
図16は、本発明の第2実施形態に係る床暖房装置101の全体構成を示す水系統及び冷媒系統を示す回路図である。
まず、図16における回路図の床暖房装置101の水系統について説明する。
床暖房装置101は、温調水ユニット101Aと、ヒートポンプシステムの室外機101Bと、家屋の床面に配置された4枚の床暖房パネル2a〜2dとを有している。上記温調水ユニット101Aと床暖房パネル2a〜2dとは、温調水往き配管と温調水戻り配管とからそれぞれ成る温調水配管3によって接続されている。そして、この温調水配管3を通して、温調水ユニット101Aと床暖房パネル2a〜2dとの間において、水循環経路を構成し、温調水8の循環供給を行うよう構成されている。
上記温調水ユニット101Aは、第1実施形態と同様に、水熱交換器16、簡易密閉型の膨張タンク7、循環ポンプ9、往きヘッダ4、熱動弁52a〜52d、戻りヘッダ6、電装品33等が設けられている。なお、戻りヘッダ6と水熱交換器16との間の管路において、水抜栓111が設けられており、水循環経路を流れる温調水を外部に排出することが可能である。また、戻りヘッダ6と水熱交換器16との間の管路において、温度検知手段である戻り水温検知サーミスタ35が、また上記水熱交換器16には、温度検知手段である水熱交温度検知サーミスタ36が、また水熱交換器16と膨張タンク7の間の管路において温度検知手段である往き水温検知サーミスタ112が取付けられている。
次に冷媒系統について説明する。この床暖房装置101においては、第1実施形態に係る床暖房装置100と同様に、温調水8の加熱に水熱交換器16を使用している。そして、この水熱交換器16と、ヒートポンプシステムの室外機101Bの室外熱交換器19との間で冷媒循環回路を構成して、熱交換路13を流れる温調水8を加熱するようにしている。
床暖房装置101では、冷媒が循環可能な順序で、圧縮機21、温調水ユニット101Aの水熱交換器16、減圧機構22、室外ファン19aを付設した室外熱交換器19を接続して冷媒循環回路を構成している。より詳しく説明すると、圧縮機21の吐出管21aと吸入管21bとが四路切換弁23の1次ポートに接続されている。そして、上記吸入管21bにアキュムレータ31が介設される。一方、上記吐出管21aには、吐出管温度検知サーミスタ38、マフラ113が付設されている。また、上記四路切換弁23の一対の2次ポートの間には第1ガス管24a、連絡配管28b、水熱交換器16、第1液管24b、減圧機構22、第2液管24c、室外熱交換器19及び第2ガス管24dが、順番に環状に接続されている。第1ガス管24aには、四路切換弁23側から、マフラ114及びガス閉鎖弁115が順に介設されている。また、第1液管24bには、連絡配管28a側から液閉鎖弁116、フィルター付マフラ117及びストレーナ118が順に介設されている。また、第2液管24cには、減圧機構22側からストレーナ119及びフィルター付分岐マフラ120が介設されている。なお、第2液管24cは、フィルター付分岐マフラ120にて分岐している。室外熱交換器19は並列する2つの管路を有しており、当該分岐した一対の第2液管24cに接続されている。そして、室外熱交換器19における並列する2つの管路は、第2ガス管24dにて合流するように構成されている。また、室外熱交換器19には、室外熱交温度検知サーミスタ41とが付設されており、さらに室外機101Bには、外気温度検知サーミスタ42が取付けられている。
このように、四路切換弁23には室外熱交換器19、減圧機構22、温調水ユニット101Aの水熱交換器16が環状に接続されている。
また、上記床暖房装置101には、冷暖房運転の開始や停止等の操作を行うためのワイヤードリモコン46、47が設けられている。
なお、第1実施形態においては、室外機101Bの電装品32と温調水ユニット101Aの電装品33とは、別々に配置されているが、第2実施形態の床暖房装置101においては、電装品33により、室外機101Bと温調水ユニット101Aとを制御できるように構成されている。
次に、本実施形態の床暖房装置101の制御ユニットの主要な構成について、図17を参照して説明する。図17は、図16の床暖房装置の制御ユニットの主要な構成を示すブロック図である。制御ユニット160は、目標水温決定部161と、速暖目標水温記憶部162と、速暖時間決定部163と、運転時間タイマー64と、禁止タイマー165と、速暖タイマー66と、膨張弁制御部167と、判断部68と、熱動弁制御部69と、圧縮機制御部170とを有している。そして、制御ユニット60には、エリアI用のリモコン46と、エリアII用のリモコン47と、往き水温検知サーミスタ112と、外気温度検知サーミスタ42と、圧縮機21と、熱動弁52a〜52dと、電動膨張弁29とがそれぞれ接続されている。また、リモコン46、47には、室温検知サーミスタ46a、47aがそれぞれ配置されている。
目標水温決定部161は、床暖房システムの目標水温を決定する。本実施形態では、目標水温決定部161は、往き水温検知サーミスタ112で検知される往き水温の目標水温を決定する。従って、本実施形態の床暖房装置101では、往き水温検知サーミスタ112で検知される往き水温が、目標水温決定部161で決定された目標水温に基づいて制御される。ここで、目標水温決定部161での床暖房システムの目標水温の決定手順は、第1実施形態の戻り水温検知サーミスタ35で検知される戻り水温の目標水温の決定手順と同様である。
速暖目標水温記憶部162は、床暖房運転開始時における床暖房システムの目標水温となる速暖目標水温DMAXを記憶する。この速暖目標水温DMAXは、床暖房運転開始時の立ち上がり速暖性を重視するために別途設定されており、床暖房運転開始時は、リモコン46、47で設定された設定温度に関わらず、床暖房システムの往き水温(本実施形態では、床暖房システムの水温として、往き水温検知サーミスタ112で検知される温度が用いられ、各床暖房パネルに供給される温調水の温度である)は速暖目標水温DMAXに基づいて制御される。本実施形態では、速暖目標水温DMAXは、エリアI及びエリアIIに対して設定可能な最大設定温度に対応した目標水温以上の温度が設定されている。
速暖時間決定部163は、立ち上がり速暖運転が行われる速暖時間TS(床暖房システムの往き水温が速暖目標水温DMAXに基づいて制御される時間)を決定する。本実施形態では、速暖時間TSは、往き水温の立ち上がり速度(往き水温が立ち上がり速暖運転が行われない場合の床暖房システムの目標水温に到達するまでの時間)、床暖房パネル内の初期水温及び床暖房パネルが設置された部屋の初期室温等を考慮した上で決定される。例えば、往き水温の立ち上がり速度が遅い場合や、初期水温が低い場合や、初期室温が低い場合には、速暖時間TSが長くなるように決定される。従って、速暖時間決定部63は、床暖房運転が行われる条件に応じて異なる速暖時間TSを決定する。
禁止タイマー165は、エリアI及びエリアIIでの床暖房運転が同時に運転状態となったときに、往き水温検知サーミスタ112で検知される往き水温が、エリアI、IIの目標水温D(I)、D(II)のうちで低い方の目標水温に到達したときに計測を開始するものであって、第2所定時間となる所定時間TL(例えば10分)を経過するとオーバーとなる。ここで、禁止タイマー65は、エリアI及びエリアIIでの床暖房運転が同時に運転状態となった後、1回だけ計測する。従って、禁止タイマー65は、床暖房運転中に、往き水温が低い方の目標水温を超えた後で、その低い方の目標水温より低くなり、再度、その低い方の目標水温に到達した場合は測定を開始しない。
膨張弁制御部167は、電動膨張弁22の開閉を制御する。
圧縮機制御部170は、床暖房システムの往き水温を、目標水温決定部161で決定された目標水温に基づいて、圧縮機21の回転数を制御する。従って、本実施形態の床暖房装置101では、圧縮機制御部170によって、圧縮機21の回転数が制御されることによって、温調水ユニット101Aに供給される冷媒量が調整され、床暖房システムの往き水温が目標水温決定部161で決定された目標水温とほぼ同一になるようになる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
上述の第1及び第2実施形態では、低温エリアに対する間欠制御は、運転時間タイマー64及び禁止タイマー65の両方がオーバーしたときに開始される(2エリアでの床暖房運転開始時から所定時間Taが経過し、且つ、床暖房システムの戻り水温が低温側目標水温DLに到達した時点から所定時間TLが経過したときに開始される)が、低温エリアに対する間欠制御が、2エリアでの床暖房運転開始時よりも後において開始される床暖房装置であれば同様の効果が得られる。従って、例えば、低温エリアに対する間欠制御は、運転時間タイマー64だけがオーバーしたときに開始されてもよいし、禁止タイマー65だけがオーバーしたときに開始されてもよいし、床暖房システムの戻り水温が低温側目標水温DLに到達した時点から開始されてもよい。
上述の第1及び第2実施形態では、床暖房装置は、床暖房システムの戻り水温が、低温側目標水温DLに到達したときに計測を開始する禁止タイマー65を備えているが、床暖房システムの戻り水温が、高温側目標水温DHに到達したときに計測を開始し、所定時間THを経過するとオーバーとなる別の禁止タイマーを備えていてもよい。そして、床暖房システムの戻り水温が、高温側目標水温DHを確実に超えると考えられる場合は、運転時間タイマー64、禁止タイマー65及び追加した別の禁止タイマーの全てがオーバーしたときに、低温エリアに対する間欠制御を開始してもよい。
上述の第1実施形態では、戻り水温検知サーミスタ35で検知される戻り水温が目標水温に基づいて制御され、第2実施形態では、往き水温検知サーミスタ112で検知される往き水温が目標水温に基づいて制御されるが、これには限られない。従って、第2実施形態では、戻り水温検知サーミスタ35で検知される戻り水温が目標水温に基づいて制御されてもよい。また、床暖房パネル2a〜2cをそれぞれ循環する温調水の温度が検知可能なサーミスタで検知される水温が目標温度に基づいて制御されるものであればよい。従って、目標水温に基づいて制御される温度を検知するサーミスタの位置は変更可能である。
上述の第1及び第2実施形態では、低温エリアに対する間欠制御が、高温側目標水温DHと低温側目標水温DLとの温度差が一定値よりも大きい場合にだけ開始されるが、高温側目標水温DHと低温側目標水温DLとの温度差が一定値以下の場合に開始されてもよい。
上述の第1及び第2実施形態では、低温エリアに対する間欠制御が、高温側目標水温DH及び低温側目標水温DLに基づいて行われているが、これには限られない。例えば、立ち上がり速暖運転が行われている場合には、低温エリアに対する間欠制御が、速暖目標水温DMAX及び低温側目標水温DLに基づいて行われてもよい。
上述の第1及び第2実施形態では、立ち上がり速暖運転時の速暖目標水温DMAXとして、エリアI及びエリアIIに対して設定可能な最大設定温度に対応した目標水温以上の温度が設定されているが、速暖目標水温DMAXとしては、床暖房運転が開始されたエリアI及びエリアIIに対して設定された設定温度に対応した目標水温以上の温度であればよい。
<パターンA>:2エリアの運転が同時に開始される場合
このときは、速暖目標水温DMAXは、2エリアに対して設定された設定温度の高い方の設定温度に対応した目標水温以上の温度に設定されてよい。
<パターンB>:1エリアの運転が開始され、立ち上がり速暖運転終了 後に、2エリアの同時運転が行われる場合(低温エリア→高温エリア)
このときは、速暖目標水温DMAXは、低温エリアに対して設定された設定温度に対応した目標水温以上の温度に設定されてよい。
<パターンC>:1エリアの運転が開始され、立ち上がり速暖運転中に、2エリアの同時運転が行われる場合(低温エリア→高温エリア)
このときは、速暖目標水温DMAXは、1エリアの運転が行われている間は、低温エリアに対して設定された設定温度に対応した目標水温以上の温度に設定され、2エリアの同時運転が行われると、高温エリアに対して設定された設定温度に対応した目標水温以上の温度に設定されてよい。
<パターンD>:1エリアの運転が開始され、立ち上がり速暖運転終了後に、2エリアの同時運転が行われる場合(高温エリア→低温エリア)
このときは、速暖目標水温DMAXは、高温エリアに対して設定された設定温度に対応した目標水温以上の温度に設定されてよい。
<パターンE>:1エリアの運転が開始され、立ち上がり速暖運転中に、2エリアの同時運転が行われる場合(高温エリア→低温エリア)
このときは、速暖目標水温DMAXは、高温エリアに対して設定された設定温度に対応した目標水温以上の温度に設定されてよい。
上述の第1及び第2実施形態では、低温エリアに配置された床暖房パネル2b〜2dに対応した熱動弁52b〜52dの間欠制御に用いられるパルス信号の全ては、互いに異なるタイミングでオン/オフが切り換わるが、熱動弁52b〜52dの間欠制御に用いられるパルス信号の少なくとも1つが、他のパルス信号とは異なるタイミングでオン/オフが切り換わってもよい。また、熱動弁52b〜52dの間欠制御に用いられるパルス信号の全てが、同じタイミングでオン/オフが切り換わってもよいが、この場合は、高温エリアに配置された床暖房パネル2aに供給される温調水量が変動することがある。