以下に本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は実施形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、異なる図面間で同じ参照符号が付されている要素は同じ要素を表しており、材料、形状、作製方法等について繰り返しになる説明は省略している。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様のレーザ照射装置の構成について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態のレーザ照射装置の構成の一例を説明する概略図である。本実施の形態のレーザ照射装置は、レーザ光を発振するレーザ発振器301と、被照射物である基板100を載置するステージ303を有する。レーザ発振器301にはコントローラ304が接続されている。コントローラ304の制御により、レーザ発振器301から発振するレーザ光のエネルギーや、繰り返し周波数などを変化させることが可能となる。また、ステージ303は、基板100を載置する載置台307と、基板100を加熱することが可能なヒータ306と、不純物吸着材308と、が設けられており、これらがピン310によって支持台312に固定されている。
レーザ発振器301とステージ303の間には、レンズやミラー等を含む光学系305が配置されている。レーザ発振器301から射出されたレーザ光は、光学系305によりそのエネルギー分布が均一化され、且つその断面形状が線状に成形される。光学系305を通過したレーザ光は、ステージ上に載置された基板100に照射される。
なお、図示していないが、基板を載置するステージ303をチャンバー内に配置して、レーザ光を照射する工程での圧力または照射雰囲気等を制御することも可能である。この場合、レーザ発振器301及び光学系305は、チャンバー内に配置しても良いし、チャンバー外に配置し、窓を通過させてステージ上の基板100にレーザ光を照射しても良い。窓はレーザ光が通過できればよく、使用するレーザ光の強度に耐えうる耐熱性が高い材料、例えば石英板で形成することができる。
図2に光学系305の構成の一例を示す。図2(A)に示す光学系305はレーザビーム300の断面形状を線状に加工し、かつそのエネルギー分布を均一にするための光学系である。なお、光学系305の構成は図2の構成に限られない。
光学系305には、レーザ発振器301側から、シリンドリカルレンズアレイ351、シリンドリカルレンズアレイ352、シリンドリカルレンズアレイ353、シリンドリカルレンズ354、シリンドリカルレンズ355、ミラー356、ダブレットシリンドリカルレンズ357が配置されている。なお、一点鎖線で囲った領域358は光学系305の部分的な領域である。図2(B)には、光路を中心にシリンドリカルレンズアレイ351からシリンドリカルレンズ355までの各光学素子を90度回転した平面図を示している。
光学系305に入射したレーザ光は、シリンドリカルレンズアレイ351、シリンドリカルレンズアレイ352、シリンドリカルレンズアレイ353を通過することで、レーザ光の幅方向のエネルギープロファイルがガウシアン分布から長方形状に変化する。線状ビームは、シリンドリカルレンズ354、355を通過することで、長さ方向のビーム長が長くされ、且つ幅方向に集光される。レーザ光はミラー356で反射される。ダブレットシリンドリカルレンズ357により、レーザ光はビームの幅方向に集光される。その結果、線状のレーザ光が基板100へ照射される。
レーザ発振器301には、連続発振レーザ、疑似連続発振レーザおよびパルス発振レーザを用いることができる。なお、基板100上に設けられた半導体膜を部分溶融させるためパルス発振レーザが好ましい。パルス発振レーザの場合は、繰り返し周波数1MHz以下、パルス幅10n秒以上500n秒以下とすることができる。代表的なパルス発振レーザは、400nm以下の波長のビームを発振するエキシマレーザである。例えば、繰り返し周波数10Hz〜300Hz、パルス幅25n秒、波長308nmのXeClエキシマレーザを用いることができる。
レーザ光の波長は、半導体膜101に吸収される波長であり、レーザ光の表皮深さ(skin depth)等を考慮して決定することができる。例えば、波長は250nm以上700nm以下の範囲とすることができる。また、レーザ光のエネルギーも、レーザ光の波長、レーザ光の表皮深さ、半導体膜101の膜厚等を考慮して決定することができる。レーザ光のエネルギーは、例えば、300mJ/cm2以上800mJ/cm2以下の範囲とすることができる。またレーザ光の照射は、大気雰囲気のような酸素を含む雰囲気、または窒素雰囲気のような不活性雰囲気で行うことができる。窒素などの不活性雰囲気のほうが、大気雰囲気よりも半導体膜101の平坦性を向上させる効果が高く、またクラックの発生を抑える効果が高い。
次に、図1のレーザ照射装置によって、基板100に設けられた半導体膜にレーザ光を照射する方法を説明する。
まず、半導体膜101を有する基板100を載置台307上に配置する。載置台307上の基板100は、載置台307下方に設けられたヒータ306によって加熱される。
レーザ発振器301から射出されたレーザ光は、光学系305により断面が線状の線状ビームに形成される。図1では、紙面に垂直な方向が線状のレーザ光の長軸方向である。
線状に加工されたレーザ光は、基板100に照射され、基板100に設けられた半導体膜101を溶融する。そして、図1の白抜き矢印に沿って、ステージ303またはレーザ光を走査しながら、且つ、ヒータ306によって基板100を加熱しながら、レーザ光を半導体膜101に照射する。図1において、白抜き矢印の方向は、線状のレーザ光の短軸方向に相当する。
半導体膜101にレーザ光を照射することにより、半導体膜101を溶融させることができる。半導体膜101は、レーザ光によって溶融させた部分が冷却し、固化するため、平坦性が向上される。また、レーザ光の照射により平坦性の向上と共に、半導体膜の結晶欠陥が減少し、半導体膜101の結晶性を向上させることができる。
なお、レーザ光の照射による半導体膜101の溶融は部分溶融とすることが好ましい。完全溶融させた場合には、液相となった後の無秩序な核発生により微結晶化し、結晶性が低下する可能性が高いためである。一方で、部分溶融させることにより、溶融されていない固相部分から結晶成長が進行する。これにより、半導体膜中の結晶欠陥を減少させることができる。ここで、完全溶融とは、半導体膜101が下部界面付近まで溶融されて、液体状態になることをいう。他方、部分溶融とは、この場合、半導体膜101の上部は溶融して液相となるが、下部は溶融せずに固相のままであることをいう。
また、本実施の形態で示すレーザ照射装置は、ステージ303に設けられたヒータ306により、基板100を加熱しながら、レーザ光を照射することが可能である。これによって、溶融した半導体膜101が冷却される速度を遅くする(すなわち、半導体膜101が溶融している時間を延長する)ことができる。半導体膜101の溶融時間を溶融している時間を延長することにより、シリコン原子の移動の制限が小さくなる。溶融時、表面張力が原子の移動に作用するが、溶融時間の延長により被照射面の平坦性が格段に向上する。また、半導体膜中のダングリングボンドや、半導体膜と下地膜との界面の欠陥などのミクロな欠陥を除去することができ、より高品質の半導体膜を得ることができる。なお、ヒータの加熱温度は200℃〜1200℃程度が好ましい。適切な温度は、下地の支持基板の耐熱性や、スループットを鑑みて決定すればよい。
また、溶融している時間を延長することにより、半導体膜がレーザビームの照射によって溶融してから固化するまでに、次のレーザビームを照射できるため、ショット数を低減することができる。別言すると、ショット数を低減しても十分な表面の平坦性が得られる。また、ショット数を低減することは生産性の向上に寄与する。レーザビームの走査において、1回のショットと次のショットとを一部重ねてオーバーラップさせる割合をオーバーラップ率と呼ぶが、溶融している時間を延長することにより、オーバーラップ率も十分の一程度にまで低減でき、さらに0%とすることもできる。
不純物吸着材308は、半導体膜101へ不純物が混入するのを抑制するための汚染物除去機構として設けられている。具体的には、不純物吸着材308として、例えば、シリコン基板を用いることができる。ヒータ306による加熱時に、当該ヒータから排出される炭素化合物等の不純物を不純物吸着材308によってゲッタリングすることで、レーザ光によって溶融した半導体膜101と接触しないように除去する。これによって、結晶化された半導体膜の結晶性が不純物によって低下するのを抑制することができる。
不純物吸着材308として、シリコン基板を用いる場合には、シリコン純度が98%乃至99%の低純度シリコン(いわゆる金属シリコン)からなる基板、またはシリコン純度が11N(イレブンナイン)以上の半導体グレードの単結晶シリコン基板の双方を用いることができる。ただし、レーザ照射装置の作製コストを低減するために、金属シリコンからなる基板を用いるのが好ましい。または、シリコン基板に代えて、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの絶縁体でなる基板、金属やステンレスなどの導電体でなる基板等の支持基板の表面を覆うように厚み100〜20000μm程度のシリコン層を設けた基板を用いてもよい。また、不純物吸着材308の形状は、板状に限られるものではなく、例えば、ヒータの周囲を囲むように加工することも可能である。
ヒータ306としては、室温から1200℃程度まで加熱が可能なヒータを用いるのが好ましい。なお、ヒータとしてグラファイトヒータを用いると、電気抵抗が温度によって大きく変化しないため、ヒータパワーがコントロールしやすく、また、形状成形も容易であるため、ヒータプロファイルの調整も容易であるため、グラファイトヒータを用いるのが好ましい。さらに、グラファイトヒータは、W(タングステン)ヒータのように再結晶化してヒータ特性が劣化することがなく、高温において機械的にも安定している。
しかしながら、ヒータとしてグラファイトヒータを用いた場合、加熱時にグラファイト材から一酸化炭素または二酸化炭素等の発生ガスが排気される。また、グラファイトヒータの表面コーティングに炭化珪素が用いられている場合、加熱時に炭化珪素から炭素化合物が排出されることがある。レーザ光照射により溶融した半導体膜にこれらの炭酸ガス、または炭素化合物等が付着すると、溶融した膜中に不純物として取り込まれ、半導体膜が炭素汚染されるため、半導体膜の結晶性が低下してしまう。
本実施の形態で示すレーザ照射装置は、ヒータ306と基板100との間に不純物吸着材308としてシリコン基板を有している。このシリコン基板によって、ヒータから発生した炭素化合物等の不純物をゲッタリングすることができる。よって、レーザ光照射による半導体膜の溶融と、ヒータによる基板の加熱を同時に行った場合にも、ヒータから発生した不純物による半導体膜の汚染を防止することができる。また、ヒータ306としてグラファイトヒータを好適に用いることが可能である。
なお、ヒータから排出される不純物を効率よく除去するために、ヒータと対向する不純物吸着材の面積は、ヒータの上面積(不純物吸着材と対向する面積)よりも大きいことが好ましい。また、ヒータと不純物吸着材とは、近接させるのが好ましく、その距離を1mm以上10mm以下程度とするのが好ましい。
以上示したように、本実施の形態で示すレーザ照射装置は、半導体膜へのレーザ光照射処理において、半導体膜の不純物汚染を抑制しながら、半導体膜の溶融時間を延長することが可能である。よって、本実施の形態で示すレーザ照射装置を用いることで、結晶性および平坦性の良好な半導体膜を形成することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、図1に示したレーザ照射装置の構成の一例とは異なる例を図3に示す。
図3に示す本実施の形態のレーザ照射装置は、レーザ光を発振するレーザ発振器301と、レーザ処理チャンバー401と、レーザ処理チャンバー401に基板を搬送するための搬送チャンバー403とを有している。
なお、実施の形態1と同様にレーザ発振器301にはコントローラ304が接続されている。また、レーザ発振器301から射出されたレーザ光は、光学系305によりそのエネルギー分布が均一化され、且つその断面形状が線状に成形される。
レーザ処理チャンバー401は、ステージ303を有する。ステージ303は、基板100を載置する載置台307と、基板100を加熱することが可能なヒータ306と、が設けられており、これらがピン310によって支持台312に固定されている。図2において、ステージ303は伸縮管409と接続され、伸縮管409を用いて白抜き矢印方向に走査される。また、伸縮管409はモータ411によって制御されている。
また、レーザ処理チャンバー401上面には、給気口405a及び給気ダクト405bを有する給気経路405が、下面には排気口407a及び排気ダクト407bを有する排気経路407がそれぞれ設けられている。給気口405a及び排気口407aは、それぞれ複数設けられているのが好ましい。給気経路405を用いてレーザ処理チャンバー401内に気体を供給し、排気経路407を用いてレーザ処理チャンバー401から気体を排出することで、レーザ処理チャンバー内の気流を下降流(ダウンフロー)に制御することが可能である。なお、排気経路407は図示しない真空ポンプに接続されていることが好ましく、真空ポンプを用いることで、レーザ処理チャンバー401内の圧力を制御することができる。
次に、図2のレーザ照射装置によって、基板100に設けられた半導体膜101にレーザ光を照射する方法を説明する。
まず、搬送ロボット413を用いて半導体膜101を有する基板100を搬送チャンバー403からレーザ処理チャンバー401内に搬送し、載置台307上に配置する。載置台307上の基板100は、載置台307下方に設けられたヒータ306によって加熱される。
レーザ処理チャンバー401には、給気口405aから窒素、アルゴン等の不活性ガス、または空気が給気ダクト405bを通して供給される。給気口405aから供給された気体は、レーザ処理チャンバー401内を下降流で流れ、排気口407a及び排気ダクト407bを通じてレーザ処理チャンバー401外へと排出される。また、上面(天井)に給気口405aを、下面(床面)に排気口407aをそれぞれ複数設けることで、レーザ処理チャンバー401内の気流を、被照射物である基板100表面と垂直または概略垂直な方向の層流である下降流に精度良く制御することができる。従って、レーザ処理チャンバー401内に浮遊しているパーティクル(不純物)を半導体膜101の表面に付着させることなく下降流に乗せてレーザ処理チャンバーの下部へ誘導することができる。
なお、排気経路407を通じて排出された気体は、給気経路405へと循環させることも可能である。また、レーザ処理チャンバー401の天井にHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ、ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタ等の高性能フィルタを配置し、給気口405aから高性能フィルタを通じてレーザ処理チャンバー401内に清浄化された気体を供給しても良い。
なお、窒素などの不活性雰囲気でレーザ光照射処理を行うほうが、大気雰囲気よりも半導体膜の平坦性を向上させる効果は高い。また、大気雰囲気よりも不活性雰囲気のほうがクラックやリッジの発生を抑える効果が高く、レーザ光の使用可能なエネルギー密度の範囲が広くなる。なお、レーザ光の照射は、減圧雰囲気で行ってもよい。減圧雰囲気でレーザ光を照射する場合には、不活性雰囲気における照射と同等の効果を得ることができる。なお、下降流による汚染防止効果を得るために、レーザ処理チャンバー401内を減圧雰囲気とする場合には、分子流領域に達しない程度、つまり、約100Pa以上とすることが
とするのが好ましい。
レーザ発振器301から射出されたレーザ光は、光学系305により断面が線状の線状ビームに形成される。図1では、紙面に垂直な方向が線状のレーザ光の長軸方向である。光学系305を通過したレーザ光は、窓415を介してレーザ処理チャンバー401内に配置された基板100に照射される。なお、窓415はレーザ光が通過できればよく、使用するレーザ光の強度に耐えうる耐熱性が高い材料、例えば石英板で形成することができる。
線状に加工されたレーザ光は、基板100に照射され、基板100に設けられた半導体膜101を溶融する。そして、図3の白抜き矢印に沿って、伸縮管409を用いてステージ303を走査しながら、且つ、ヒータ306によって基板100を加熱しながら、レーザ光を半導体膜101に照射する。図3において、白抜き矢印の方向は、線状のレーザ光の短軸方向に相当する。なお、図3では、ステージ303を走査する方法を示しているが、本実施の形態はこれに限られず、レーザ光を走査しても良い。または、レーザ光とステージ303の双方を走査しても良い。
半導体膜101にレーザ光を照射することにより、半導体膜101を溶融させることができる。半導体膜101は、レーザ光によって溶融させた部分が冷却し、固化するため、平坦性が向上される。また、レーザ光の照射により平坦性の向上と共に、半導体膜の結晶欠陥が減少し、半導体膜101の結晶性を向上させることができる。
また、本実施の形態で示すレーザ照射装置は、ステージ303に設けられたヒータ306により、基板100を加熱しながら、レーザ光を照射することが可能である。これによって、溶融した半導体膜101が冷却される速度を遅くする(すなわち、半導体膜101が溶融している時間を延長する)ことができる。半導体膜101の溶融時間を溶融している時間を延長することにより、シリコン原子の移動の制限が小さくなる。溶融時、表面張力が原子の移動に作用するが、溶融時間の延長により被照射面の平坦性が格段に向上する。また、半導体膜中のダングリングボンドや、半導体膜と下地膜との界面の欠陥などのミクロな欠陥を除去することができ、より高品質の半導体膜を得ることができる。
さらに、本実施の形態で示すレーザ照射装置は、レーザ処理チャンバー401を有し、当該レーザ処理チャンバー401は、上面に設けられた給気経路405及び下面に設けられた排気経路407によって、気流が下降流に制御されている。従って、レーザ処理チャンバー401内に浮遊しているパーティクルを半導体膜の表面に付着させることなく下降流に乗せてレーザ処理チャンバーの下部へ誘導した後、排気経路407によってレーザ処理チャンバー401外へと排出することができる。これによって、レーザ光によって溶融した半導体膜中へ、例えばグラファイトヒータから排出される炭素化合物などの不純物が取り込まれ、半導体膜が不純物によって汚染されるのを防ぐことができる。
また、本実施の形態で示すレーザ照射装置は、レーザ処理チャンバー401の上面に設けられた給気経路405及び下面に設けられた排気経路407によって、気流が下降流に制御されている。そのため、基板表面に気体を吹き付けることで吹きつけ箇所のみ不純物の付着が防止される場合と比較して、半導体膜表面全面への不純物付着の防止効果が高い。よって、より結晶性の向上した半導体膜を作製することが可能である。なお、ステージ303に、実施の形態1で示した不純物吸着材を設けてもよい。不純物吸着材を設けることで、半導体膜中への不純物の混入をより防止することができる。
以上示したように、本実施の形態で示すレーザ照射装置は、半導体膜へのレーザ光照射処理において、半導体膜の炭素汚染を抑制しながら、半導体膜の溶融時間を延長することが可能である。よって、本実施の形態で示すレーザ照射装置を用いることで、結晶性および平坦性の良好な半導体膜を形成することができる。
なお、本実施の形態は実施の形態1と組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1または2で示したレーザ照射装置を用いた半導体基板の作製方法について、図4を参照して説明する。
はじめに、基板100を用意する(図4(A)参照)。基板100には、透光性を有するガラス基板を好ましく用いることができる。ガラス基板としては、歪み点が580℃以上680℃以下(好ましくは、600℃以上680℃以下)であるものを用いると良い。また、ガラス基板は無アルカリガラス基板であることが好ましい。無アルカリガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている。
なお、基板100としては、ガラス基板の他、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの絶縁体でなる基板、珪素などの半導体でなる基板、金属やステンレスなどの導電体でなる基板などを用いることもできる。
本実施の形態においては示さないが、基板100の表面に絶縁層を形成しても良い。該絶縁層を設けることにより、基板100に不純物(アルカリ金属やアルカリ土類金属など)が含まれている場合には、当該不純物が半導体層へ拡散することを防止できる。絶縁層は単層構造でも良いし積層構造でも良い。絶縁層を構成する材料としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素などを挙げることができる。
次に、単結晶半導体基板110を用意する。単結晶半導体基板110としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコンなどの第4属元素でなる単結晶半導体基板を用いることができる。もちろん、ガリウムヒ素、インジウムリンなどの化合物半導体でなる基板を用いてもよい。本実施の形態においては、単結晶半導体基板110として、単結晶シリコン基板を用いることとする。単結晶半導体基板110の形状やサイズに制限は無いが、例えば、8インチ(200mm)、12インチ(300mm)、18インチ(450mm)といった円形の半導体基板を、矩形に加工して用いることができる。
単結晶半導体基板110を洗浄した後、単結晶半導体基板110表面に絶縁層を形成する。絶縁層を設けない構成とすることもできるが、後のイオン打ち込みの際の単結晶半導体基板110の汚染及び表面の損傷を防ぐためには、絶縁層を設けることが好ましい。
次に、上記絶縁層を介して、電界で加速されたイオンでなるイオンビームを単結晶半導体基板110に照射し、単結晶半導体基板110の表面から所定の深さの領域に、脆化層102を形成する。脆化層102が形成される領域の深さは、イオンビームの加速エネルギーとイオンビームの入射角によって制御することができる。ここで、脆化層102は、イオンの平均侵入深さと同程度の深さの領域に形成されることになる。
上述の脆化層102が形成される深さにより、単結晶半導体基板110から分離される半導体層の厚さが決定される。脆化層102が形成される深さは、単結晶半導体基板110の表面から50nm以上500nm以下であり、好ましくは50nm以上200nm以下である。
イオンを単結晶半導体基板110に打ち込む際には、イオン注入装置又はイオンドーピング装置を用いることができる。イオン注入装置では、ソースガスを励起してイオン種を生成し、生成されたイオン種を質量分離して、所定の質量を有するイオン種を被処理物に注入する。イオンドーピング装置は、プロセスガスを励起してイオン種を生成し、生成されたイオン種を質量分離せずに被処理物に打ち込む。なお、質量分離装置を備えているイオンドーピング装置では、イオン注入装置と同様に、質量分離を伴うイオンの注入を行うこともできる。本明細書において、イオン注入装置又はイオンドーピング装置のいずれか一方を特に用いる必要がある場合にのみそれを明記し、特に明記しないときは、いずれの装置を用いてイオンの打ち込みを行っても良いこととする。
イオンドーピング装置を用いる場合のイオンの打ち込み工程は、例えば、以下の条件で行うことができる。
・加速電圧 10kV以上100kV以下(好ましくは30kV以上80kV以下)
・ドーズ量 1×1016ions/cm2以上4×1016ions/cm2以下
・ビーム電流密度 2μA/cm2以上(好ましくは5μA/cm2以上、より好ましくは10μA/cm2以上)
イオンドーピング装置を用いる場合、イオンの打ち込み工程のソースガスには水素を含むガスを用いることができる。該ガスを用いることによりイオン種としてH+、H2 +、H3 +を生成することができる。該ガスをソースガスとして用いる場合には、H3 +を多く打ち込むことが好ましい。具体的には、イオンビームに、H+、H2 +、H3 +の総量に対してH3 +イオンが70%以上含まれるようにすることが好ましい。また、H3 +イオンの割合を80%以上とすることがより好ましい。このようにH3 +の割合を高めておくことで、脆化層102に1×1020atoms/cm3以上の濃度で水素を含ませることが可能である。これにより、脆化層102からの剥離が容易になる。また、H3 +イオンを多く打ち込むことで、H+、H2 +を打ち込むよりもイオンの打ち込み効率が向上する。つまり、打ち込みにかかる時間を短縮することができる。
イオン注入装置を用いる場合には、質量分離により、H3 +イオンが注入されるようにすることが好ましい。もちろん、H2 +を注入してもよい。ただし、イオン注入装置を用いる場合には、イオン種を選択して注入するため、イオンドーピング装置を用いる場合と比較して、イオン打ち込みの効率が低下する場合がある。
上記の脆化層102を形成した後、絶縁層を除去し、新たに絶縁層111を形成する(図4(B)参照)。ここで、絶縁層を除去するのは、上記のイオン打ち込みの際に、絶縁層が損傷している可能性が高いためである。なお、絶縁層の損傷が問題とならない場合には絶縁層を除去する必要はない。
絶縁層111は、貼り合わせにおけるボンディング(接合)を形成する層であるから、その表面は、高い平坦性を有していることが好ましい。このような絶縁層111としては、例えば、有機シランガスを用いて化学気相成長法により形成される酸化珪素膜を用いることができる。なお、本実施の形態においては絶縁層111を単層構造としたが、2層以上の積層構造としても良い。
また、絶縁層111は、単結晶半導体基板110を、酸化性雰囲気下において熱処理することにより形成してもよい。熱酸化処理は、酸化性雰囲気中にハロゲンを添加した酸化を行うことが好ましい。ハロゲンを添加して熱酸化を行うことにより形成された絶縁層中にはハロゲンが含まれており、ハロゲンは1×1016atoms/cm3以上2×1021atoms/cm3以下の濃度で含まれることにより金属等の不純物を捕獲して単結晶半導体基板110の汚染を防止する保護膜としての機能を発現させることができる。
その後、上記の基板100と単結晶半導体基板110とをそれぞれ貼り合わせる(図4(C)参照)。具体的には、基板100及び絶縁層111の表面を超音波洗浄などの方法で洗浄した後、基板100の表面と絶縁層111の表面とが接触するように配置し、基板100の表面と絶縁層111の表面とでボンディング(接合)が形成されるように加圧処理を施す。ボンディングの形成には、ファン・デル・ワールス力や水素結合が関与しているものと考えられている。なお、1枚の基板上に、2枚以上の単結晶半導体基板を貼り合わせても構わない。
ボンディングを形成する前に、基板100又は絶縁層111の表面を酸素プラズマ処理又はオゾン処理して、その表面を親水性にしても良い。この処理によって、基板100又は絶縁層111の表面に水酸基が付加されるため、水素結合を効率よく形成することができる。
次に、貼り合わせられた基板100及び単結晶半導体基板110に対して加熱処理を施して、貼り合わせを強固なものとする。この際の加熱温度は、脆化層102における分離が進行しない温度とする必要がある。例えば、400℃未満、好ましくは300℃以下とすることができる。加熱処理時間については特に限定されず、処理速度と貼り合わせ強度との関係から最適な条件を適宜設定すればよい。本実施の形態においては、200℃、2時間の加熱処理を施すこととする。ここで、貼り合わせに係る領域のみにマイクロ波を照射して、局所的に加熱することも可能である。なお、貼り合わせ強度に問題がない場合は、上記加熱処理を省略しても良い。
次に、単結晶半導体基板110を、脆化層102にて、半導体膜101と単結晶半導体基板118とに分離する(図4(D)参照)。単結晶半導体基板110の分離は、加熱処理により行う。該加熱処理の温度は、基板100の耐熱温度を目安にすることができる。例えば、基板100としてガラス基板を用いる場合には、加熱温度は400℃以上650℃以下とすることが好ましい。ただし、短時間であれば、400℃以上700℃以下の加熱処理を行っても良い。なお、本実施の形態においては、600℃、2時間の加熱処理を施すこととする。
上述のような加熱処理を行うことにより、脆化層102に形成された微小な空孔の体積変化が生じ、脆化層102に亀裂が生ずる。その結果、脆化層102に沿って単結晶半導体基板110が劈開する。絶縁層111は基板100と貼り合わせられているので、基板100上には単結晶半導体基板110から分離された半導体膜101が固定される。また、この加熱処理で、基板100と絶縁層111の貼り合わせに係る界面が加熱されるため、貼り合わせに係る界面に共有結合が形成され、基板100と絶縁層111の結合力が一層向上する。
その後、実施の形態1または2で示したレーザ照射装置を用いて、半導体膜101にレーザ光113を照射する(図4(E)参照)。実施の形態1または2のレーザ照射装置は、半導体膜へのレーザ光照射処理において、半導体膜の炭素汚染を抑制しながら、半導体膜の溶融時間を延長することが可能であり、結晶性および平坦性の良好な半導体膜を形成することができる。
上述のようにレーザ光113を照射した後には、半導体膜101の膜厚を小さくする薄膜化工程を行っても良い。半導体膜101の薄膜化には、ドライエッチングまたはウエットエッチングの一方、または双方を組み合わせたエッチング処理(エッチバック処理)を適用すればよい。例えば、半導体膜101がシリコン材料からなる層である場合、SF6と02をプロセスガスに用いたドライエッチング処理で、半導体膜101を薄くすることができる。
なお、本実施の形態においては、レーザ光の照射により平坦化等した後でエッチング処理を行う例を挙げたが、これに限定して解釈されるものではない。例えば、レーザ光の照射前にエッチング処理を行ってもよい。この場合には、エッチング処理により半導体層表面の凹凸や欠陥をある程度低減することができる。また、レーザ光の照射前及び照射後の両方に上記処理を適用しても良い。また、レーザ光の照射と上記処理を交互に繰り返しても良い。このように、レーザ光の照射とエッチング処理を組み合わせて用いることにより、半導体層表面の凹凸、欠陥等を著しく低減することができる。もちろん、上述のエッチング処理や加熱処理などを常に用いる必要はない。
以上により、表面の平坦性が向上し、欠陥が低減された半導体膜101(本実施の形態においては、単結晶シリコン半導体層)を有する半導体基板を作製することができる(図4(F)参照)。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、図5乃至7を参照して、上述の半導体基板を用いた半導体装置の作製方法について説明する。ここでは、半導体装置の一例として複数のトランジスタからなる半導体装置の作製方法について説明することとする。なお、以下において示すトランジスタを組み合わせて用いることで、様々な半導体装置を形成することができる。
図5(A)は、実施の形態3により作製した半導体基板の断面図である。ただし、本実施の形態においては、実施の形態3における絶縁層111を2層構造とした場合について示すこととする。
半導体膜101には、TFTのしきい値電圧を制御するために、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型不純物、若しくはリン、砒素などのn型不純物を添加しても良い。不純物を添加する領域、および添加する不純物の種類は、適宜変更することができる。例えば、nチャネル型TFTの形成領域にはp型不純物を添加し、pチャネル型TFTの形成領域にn型不純物を添加することができる。上述の不純物を添加する際には、ドーズ量が1×1015ions/cm2以上1×1017ions/cm2以下程度となるように行えばよい。その後、半導体膜101を島状に分離して、半導体層702、及び半導体層704を形成する(図5(B)参照)。
次に、半導体層702と半導体層704を覆うように、ゲート絶縁層706を形成する(図5(C)参照)。ここでは、プラズマCVD法を用いて、酸化珪素膜を単層で形成することとする。その他にも、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル等を含む膜を、単層構造又は積層構造で形成することによりゲート絶縁層706としても良い。
プラズマCVD法以外の作製方法としては、スパッタリング法や、高密度プラズマ処理による酸化または窒化による方法が挙げられる。高密度プラズマ処理は、例えば、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガスと、酸素、酸化窒素、アンモニア、窒素、水素などガスの混合ガスを用いて行う。この場合、プラズマの励起をマイクロ波の導入により行うことで、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。このような高密度のプラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体層の表面を酸化または窒化することにより、1nm以上20nm以下、望ましくは2nm以上10nm以下の絶縁層を半導体層に接するように形成する。
上述した高密度プラズマ処理による半導体層の酸化または窒化は固相反応であるため、ゲート絶縁層706と半導体層702及び半導体層704との界面準位密度をきわめて低くすることができる。また、高密度プラズマ処理により半導体層を直接酸化または窒化することで、形成される絶縁層の厚さのばらつきを抑えることが出来る。また、半導体層が結晶性を有するため、高密度プラズマ処理を用いて半導体層の表面を固相反応で酸化させる場合であっても、結晶粒界における不均一な酸化を抑え、均一性が良く、界面準位密度の低いゲート絶縁層を形成することができる。このように、高密度プラズマ処理により形成された絶縁層をトランジスタのゲート絶縁層の一部または全部に用いることで、特性のばらつきを抑制することができる。
プラズマ処理による絶縁層の作製方法のより具体的な一例について説明する。亜酸化窒素(N2O)を、アルゴン(Ar)を用いて1倍以上3倍以下(流量比)に希釈し、10Pa以上30Pa以下の圧力下で3kW以上5kW以下のマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して、半導体層702と半導体層704の表面を酸化または窒化させる。この処理により1nm以上10nm以下(好ましくは2nm以上6nm以下)のゲート絶縁層706の下層を形成する。さらに、亜酸化窒素(N2O)とシラン(SiH4)を導入し、10Pa以上30Pa以下の圧力下で3kW以上5kW以下のマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して気相成長法により酸化窒化シリコン膜を形成し、ゲート絶縁層706の上層とする。このように、固相反応と気相成長法を組み合わせてゲート絶縁層706を形成することにより界面準位密度が低く絶縁耐圧の優れたゲート絶縁層706を形成することができる。なお、この場合においてゲート絶縁層706は2層構造となる。
或いは、半導体層702と半導体層704を熱酸化させることで、ゲート絶縁層706を形成するようにしても良い。このような熱酸化を用いる場合には、耐熱性の比較的高いベース基板を用いることが好ましい。
なお、水素を含むゲート絶縁層706を形成し、その後、350℃以上450℃以下の温度による加熱処理を行うことで、ゲート絶縁層706中に含まれる水素を半導体層702及び半導体層704中に拡散させるようにしても良い。この場合、ゲート絶縁層706として、プラズマCVD法を用いた窒化シリコン又は窒化酸化シリコンを用いることができる。なお、プロセス温度は350℃以下とすると良い。このように、半導体層702及び半導体層704に水素を供給することで、半導体層702中、半導体層704中、ゲート絶縁層706と半導体層702の界面、及びゲート絶縁層706と半導体層704の界面における欠陥を効果的に低減することができる。
次に、ゲート絶縁層706上に導電層を形成した後、該導電層を所定の形状に加工(パターニング)することで、半導体層702と半導体層704の上方に電極708を形成する(図5(D)参照)。導電層の形成にはCVD法、スパッタリング法等を用いることができる。導電層は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等の材料を用いて形成することができる。また、上記金属を主成分とする合金材料を用いても良いし、上記金属を含む化合物を用いても良い。または、半導体に導電性を付与する不純物元素をドーピングした多結晶珪素など、半導体材料を用いて形成しても良い。
本実施の形態では電極708を単層の導電層で形成しているが、本発明の半導体装置は該構成に限定されない。電極708は積層された複数の導電層で形成されていても良い。2層構造とする場合には、例えば、モリブデン膜、チタン膜、窒化チタン膜等を下層に用い、上層にはアルミニウム膜などを用いればよい。3層構造の場合には、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造や、チタン膜とアルミニウム膜とチタン膜の積層構造などを採用するとよい。
なお、電極708を形成する際に用いるマスクは、酸化珪素や窒化酸化珪素等の材料を用いて形成してもよい。この場合、酸化珪素膜や窒化酸化珪素膜等をパターニングしてマスクを形成する工程が加わるが、レジスト材料と比較して、エッチング時におけるマスクの膜減りが少ないため、より正確な形状の電極708を形成することができる。また、マスクを用いずに、液滴吐出法を用いて選択的に電極708を形成しても良い。ここで、液滴吐出法とは、所定の組成物を含む液滴を吐出または噴出することで所定のパターンを形成する方法を意味し、インクジェット法などがその範疇に含まれる。
また、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極層に印加される電力量、基板側の電極層に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節し、所望のテーパー形状を有するように導電層をエッチングすることで、電極708を形成することもできる。また、テーパー形状は、マスクの形状によって制御することもできる。なお、エッチング用ガスとしては、塩素、塩化硼素、塩化珪素もしくは四塩化炭素などの塩素系ガス、四弗化炭素、弗化硫黄もしくは弗化窒素などのフッ素系ガス又は酸素などを適宜用いることができる。
次に、電極708をマスクとして、一導電型を付与する不純物元素を半導体層702、半導体層704に添加する(図6(A)参照)。本実施の形態では、半導体層702にn型を付与する不純物元素(例えばリンまたはヒ素)を、半導体層704にp型を付与する不純物元素(例えばボロン)を添加する。なお、n型を付与する不純物元素を半導体層702に添加する際には、p型の不純物が添加される半導体層704はマスク等で覆い、n型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。また、p型を付与する不純物元素を半導体層704に添加する際には、n型の不純物が添加される半導体層702はマスク等で覆い、p型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。又は、半導体層702及び半導体層704に、p型を付与する不純物元素又はn型を付与する不純物元素の一方を添加した後、一方の半導体層のみに、より高い濃度でp型を付与する不純物元素又はn型を付与する不純物元素の他方を添加するようにしても良い。上記不純物の添加により、半導体層702に不純物領域710、半導体層704に不純物領域712が形成される。
次に、電極708の側面にサイドウォール714を形成する(図6(B)参照)。サイドウォール714は、例えば、ゲート絶縁層706及び電極708を覆うように新たに絶縁層を形成し、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより、該絶縁層を部分的にエッチングすることで形成することができる。なお、上記の異方性エッチングにより、ゲート絶縁層706を部分的にエッチングしても良い。サイドウォール714を形成するための絶縁層としては、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、珪素、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、有機材料などを含む膜を、単層構造又は積層構造で形成すれば良い。本実施の形態では、膜厚100nmの酸化珪素膜をプラズマCVD法によって形成する。また、エッチングガスとしては、CHF3とヘリウムの混合ガスを用いることができる。なお、サイドウォール714を形成する工程は、これらに限定されるものではない。
次に、ゲート絶縁層706、電極708及びサイドウォール714をマスクとして、半導体層702、半導体層704に一導電型を付与する不純物元素を添加する(図6(C)参照)。なお、半導体層702、半導体層704には、それぞれ先の工程で添加した不純物元素と同じ導電型の不純物元素をより高い濃度で添加する。なお、n型を付与する不純物元素を半導体層702に添加する際には、p型の不純物が添加される半導体層704はマスク等で覆い、n型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。また、p型を付与する不純物元素を半導体層704に添加する際には、n型の不純物が添加される半導体層702はマスク等で覆い、p型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。
上記不純物元素の添加により、半導体層702に、一対の高濃度不純物領域716と、一対の低濃度不純物領域718と、チャネル形成領域720とが形成される。また、上記不純物元素の添加により、半導体層704に、一対の高濃度不純物領域722と、一対の低濃度不純物領域724と、チャネル形成領域726とが形成される。高濃度不純物領域716、高濃度不純物領域722はソース又はドレインとして機能し、低濃度不純物領域718、低濃度不純物領域724はLDD(Lightly Doped Drain)領域として機能する。
なお、半導体層702上に形成されたサイドウォール714と、半導体層704上に形成されたサイドウォール714は、キャリアが移動する方向(いわゆるチャネル長に平行な方向)の長さが同じになるように形成しても良いが、異なるように形成しても良い。pチャネル型トランジスタとなる半導体層704上のサイドウォール714の長さは、nチャネル型トランジスタとなる半導体層702上のサイドウォール714の長さよりも大きくすると良い。なぜならば、pチャネル型トランジスタにおいてソース及びドレインを形成するために注入されるボロンは拡散しやすく、短チャネル効果を誘起しやすいためである。pチャネル型トランジスタにおいて、サイドウォール714の長さをより大きくすることで、ソース及びドレインに高濃度のボロンを添加することが可能となり、ソース及びドレインを低抵抗化することができる。
ソース及びドレインをさらに低抵抗化するために、半導体層702及び半導体層704の一部をシリサイド化したシリサイド層を形成しても良い。シリサイド化は、半導体層に金属を接触させ、加熱処理(例えば、GRTA法、LRTA法等)により、半導体層中の珪素と金属とを反応させて行う。シリサイド層としては、コバルトシリサイド又はニッケルシリサイドを用いれば良い。半導体層702や半導体層704が薄い場合には、半導体層702、半導体層704の底部までシリサイド反応を進めても良い。シリサイド化に用いることができる金属材料としては、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、Hf(ハフニウム)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、ネオジム(Nb)、クロム(Cr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等が挙げられる。また、レーザ光の照射などによってもシリサイド層を形成することができる。
上述の工程により、nチャネル型トランジスタ728及びpチャネル型トランジスタ730が形成される。なお、図6(C)に示す段階では、ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層は形成されていないが、これらのソース電極又はドレイン電極として機能する導電層を含めてトランジスタと呼ぶこともある。
次に、nチャネル型トランジスタ728、pチャネル型トランジスタ730を覆うように絶縁層732を形成する(図6(D)参照)。絶縁層732は必ずしも設ける必要はないが、絶縁層732を形成することで、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物がnチャネル型トランジスタ728、pチャネル型トランジスタ730に侵入することを防止できる。具体的には、絶縁層732を、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムなどの材料を用いて形成するのが望ましい。本実施の形態では、膜厚600nm程度の窒化酸化珪素膜を、絶縁層732として用いる。この場合、上述の水素化の工程は、該窒化酸化珪素膜形成後に行っても良い。なお、本実施の形態においては、絶縁層732を単層構造としているが、積層構造としても良いことはいうまでもない。例えば、2層構造とする場合には、酸化窒化珪素膜と窒化酸化珪素膜との積層構造とすることができる。
次に、nチャネル型トランジスタ728、pチャネル型トランジスタ730を覆うように、絶縁層732上に絶縁層734を形成する。絶縁層734は、ポリイミド、アクリル、ポリイミド、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いて形成するとよい。また、上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ等を用いることもできる。ここで、シロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は、置換基に水素の他、フッ素、アルキル基、芳香族炭化水素から選ばれる一を有していても良い。なお、これらの材料で形成される絶縁層を複数積層させることで、絶縁層734を形成しても良い。
絶縁層734の形成には、その材料に応じて、CVD法、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。
次に、半導体層702と半導体層704の一部が露出するように絶縁層732及び絶縁層734にコンタクトホールを形成する。そして、該コンタクトホールを介して半導体層702と半導体層704に接する導電層736、導電層738を形成する(図7(A)参照)。導電層736及び導電層738は、トランジスタのソース電極又はドレイン電極として機能する。なお、本実施の形態においては、コンタクトホール開口時のエッチングに用いるガスとしてCHF3とHeの混合ガスを用いたが、これに限定されるものではない。
導電層736、導電層738は、CVD法やスパッタリング法等により形成することができる。具体的には、導電層736、導電層738として、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジム(Nd)、炭素(C)、珪素(Si)等を用いることができる。また、上記材料を主成分とする合金を用いても良いし、上記材料を含む化合物を用いても良い。また、導電層736、導電層738は、単層構造としても良いし、積層構造としても良い。
アルミニウムを主成分とする合金の例としては、アルミニウムを主成分として、ニッケルを含むものを挙げることができる。また、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素または珪素の一方または両方を含むものを挙げることができる。アルミニウムやアルミニウムシリコン(Al−Si)は抵抗値が低く、安価であるため、導電層736、導電層738を形成する材料として適している。特に、アルミニウムシリコンは、パターニングの際のレジストベークによるヒロックの発生を抑制することができるため好ましい。また、珪素の代わりに、アルミニウムに0.5%程度のCuを混入させた材料を用いても良い。
導電層736、導電層738を積層構造とする場合には、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン膜と窒化チタン膜とバリア膜の積層構造などを採用するとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデンまたはモリブデンの窒化物などを用いて形成された膜である。バリア膜の間にアルミニウムシリコン膜を挟むように導電層を形成すると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生をより一層防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンを用いてバリア膜を形成すると、半導体層702と半導体層704上に薄い酸化膜が形成されていたとしても、バリア膜に含まれるチタンが該酸化膜を還元し、導電層736と半導体層702、及び導電層738と半導体層704のコンタクトを良好なものとすることができる。また、バリア膜を複数積層するようにして用いても良い。その場合、例えば、導電層736、導電層738を、下層からチタン、窒化チタン、アルミニウムシリコン、チタン、窒化チタンのように、5層構造又はそれ以上の積層構造とすることもできる。
また、導電層736、導電層738として、WF6ガスとSiH4ガスから化学気相成長法で形成したタングステンシリサイドを用いても良い。また、WF6を水素還元して形成したタングステンを、導電層736、導電層738として用いても良い。
なお、導電層736はnチャネル型トランジスタ728の高濃度不純物領域716に接続されている。導電層738はpチャネル型トランジスタ730の高濃度不純物領域722に接続されている。
図7(B)に、図7(A)に示したnチャネル型トランジスタ728及びpチャネル型トランジスタ730の平面図を示す。ここで、図7(B)のA−Bにおける断面が図7(A)に対応している。ただし、図7(B)においては、簡単のため、導電層736、導電層738、絶縁層732、絶縁層734等を省略している。
なお、本実施の形態においては、nチャネル型トランジスタ728とpチャネル型トランジスタ730が、それぞれゲート電極として機能する電極708を1つずつ有する場合を例示しているが、本実施の形態は該構成に限定されない。本実施の形態で作製されるトランジスタは、ゲート電極として機能する電極を複数有し、なおかつ該複数の電極が電気的に接続されているマルチゲート構造を有していても良い。
本実施の形態では、実施の形態1または2のレーザ照射装置によって作製した結晶性および平坦性の良好な半導体基板を用いることにより、高速動作が可能で、サブスレッショルド値が低く、電界効果移動度が高く、低電圧で駆動可能なトランジスタを低いコストで作製することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
上記実施の形態で示した半導体基板を用いてトランジスタ等の半導体装置を作製し、この半導体装置を用いてさまざまな電子機器を完成することができる。実施の形態3で示した半導体基板に設けられた半導体膜は結晶欠陥が低減されているため、ゲート絶縁層との界面において、局在準位密度を低減させることが可能となる。この半導体膜を活性層として用いることで、リーク電流が低減し、電気的特性が向上した半導体素子を製造することができる。すなわち、実施の形態3で示した半導体基板を用いることで、電流駆動能力が高く、かつ信頼性の高い半導体素子を作製することが可能になり、結果として、最終製品としての電子機器をスループット良く、良好な品質で作製することが可能になる。本実施の形態では、図面を用いて具体的な電子機器への適用例を説明する。
半導体装置(特に表示装置)を用いて作製される電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。
図8(A)はテレビ受像器又はパーソナルコンピュータのモニタである。筺体1001、支持台1002、表示部1003、スピーカー部1004、ビデオ入力端子1005等を含む。表示部1003には、上記実施の形態で示した半導体装置が用いられており、信頼性が高く高性能なテレビ受像器又はパーソナルコンピュータのモニタを低価格で提供することができる。
図8(B)はデジタルカメラである。本体1011の正面部分には受像部1013が設けられており、本体1011の上面部分にはシャッターボタン1016が設けられている。また、本体1011の背面部分には、表示部1012、操作キー1014、及び外部接続ポート1015が設けられている。表示部1012には、上記実施の形態で示した半導体装置が用いられており、信頼性が高く高性能なデジタルカメラを低価格で提供することができる。
図8(C)はノート型パーソナルコンピュータである。本体1021には、キーボード1024、外部接続ポート1025、ポインティングデバイス1026が設けられている。また、本体1021には、表示部1023を有する筐体1022が取り付けられている。表示部1023には、上記実施の形態で示した半導体装置が用いられており、信頼性が高く高性能なノート型パーソナルコンピュータを低価格で提供することができる。
図8(D)はモバイルコンピュータであり、本体1031、表示部1032、スイッチ1033、操作キー1034、赤外線ポート1035等を含む。表示部1032にはアクティブマトリクス表示装置が設けられている。表示部1032には、上記実施の形態で示した半導体装置が用いられており、信頼性が高く高性能なモバイルコンピュータを低価格で提供することができる。
図8(E)は画像再生装置である。本体1041には、表示部B1044、記録媒体読み込み部1045及び操作キー1046が設けられている。また、本体1041には、スピーカー部1047及び表示部A1043それぞれを有する筐体1042が取り付けられている。表示部A1043及び表示部B1044それぞれには、上記実施の形態で示した半導体装置が用いられており、信頼性が高く高性能な画像再生装置を低価格で提供することができる。
図8(F)は電子書籍である。本体1051には操作キー1053が設けられている。また、本体1051には複数の表示部1052が取り付けられている。表示部1052には、上記実施の形態で示した半導体装置が用いられており、信頼性が高く高性能な電子書籍を低価格で提供することができる。
図8(G)はビデオカメラであり、本体1061には外部接続ポート1064、リモコン受信部1065、受像部1066、バッテリー1067、音声入力部1068、操作キー1069が設けられている、また、本体1061には、表示部1062を有する筐体1063が取り付けられている。表示部1062には、上記実施の形態で示した半導体装置が用いられており、信頼性が高く高性能なビデオカメラを低価格で提供することができる。
図8(H)は携帯電話であり、本体1071、筐体1072、表示部1073、音声入力部1074、音声出力部1075、操作キー1076、外部接続ポート1077、アンテナ1078等を含む。表示部1073には、上記実施の形態で示した半導体装置が用いられており、信頼性が高く高性能な携帯電話を低価格で提供することができる。
図9は、電話としての機能と、情報端末としての機能を併せ持った携帯電子機器1100の構成の一例である。ここで、図9(A)は正面図、図9(B)は背面図、図9(C)は展開図である。携帯電子機器1100は、電話と情報端末の双方の機能を備えており、音声通話以外にも様々なデータ処理が可能な、いわゆるスマートフォンと呼ばれる電子機器である。
携帯電子機器1100は、筐体1101及び筐体1102で構成されている。筐体1101は、表示部1111、スピーカー1112、マイクロフォン1113、操作キー1114、ポインティングデバイス1115、カメラ用レンズ1116、外部接続端子1117等を備え、筐体1102は、キーボード1121、外部メモリスロット1122、カメラ用レンズ1123、ライト1124、イヤフォン端子1125等を備えている。また、アンテナは筐体1101内部に内蔵されている。上記構成に加えて、非接触ICチップ、小型記録装置等を内蔵していてもよい。
表示部1111には、上記実施の形態で示した半導体装置が組み込まれている。なお、表示部1111に表示される映像(及びその表示方向)は、携帯電子機器1100の使用形態に応じて様々に変化する。また、表示部1111と同一面にカメラ用レンズ1116を備えているため、映像を伴う音声通話(いわゆるテレビ電話)が可能である。なお、スピーカー1112及びマイクロフォン1113は音声通話に限らず、録音、再生等に用いることが可能である。カメラ用レンズ1123(及び、ライト1124)を用いて静止画及び動画の撮影を行う場合には、表示部1111はファインダーとして用いられることになる。操作キー1114は、電話の発信・着信、電子メール等の簡単な情報入力、画面のスクロール、カーソル移動等に用いられる。
重なり合った筐体1101と筐体1102(図9(A))は、スライドし、図9(C)のように展開し、情報端末として使用できる。この場合には、キーボード1121、ポインティングデバイス1115を用いた円滑な操作が可能である。外部接続端子1117はACアダプタやUSBケーブル等の各種ケーブルと接続可能であり、充電やコンピュータ等とのデータ通信を可能にしている。また、外部メモリスロット1122に記録媒体を挿入し、より大容量のデータの保存及び移動に対応できる。上記機能に加えて、赤外線などの電磁波を用いた無線通信機能や、テレビ受信機能等を有していても良い。上記実施の形態で示した半導体装置を搭載することで、信頼性が高く高性能な携帯電子機器を低価格で提供することができる。
以上の様に、本実施の形態の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。