JP5501827B2 - 永久磁石及び永久磁石の製造方法 - Google Patents
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Description
先ず、本発明に係る永久磁石1の構成について説明する。図1は本発明に係る永久磁石1を示した全体図である。尚、図1に示す永久磁石1は円柱形状を備えるが、永久磁石1の形状は成形に用いるキャビティの形状によって変化する。
本発明に係る永久磁石1としては例えばNd−Fe−B系磁石を用いる。また、図2に示すように、永久磁石1は磁化作用に寄与する磁性相である主相11と、非磁性で希土類元素の濃縮した低融点のMリッチ相12(Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。)とが共存する合金である。図2は永久磁石1を構成するNd磁石粒子を拡大して示した図である。
(1)融点が低く(約600℃)、焼結時に液相となり、磁石の高密度化、即ち磁化の向上に寄与する。(2)粒界の凹凸を無くし、逆磁区のニュークリエーションサイトを減少させ保磁力を高める。(3)主相を磁気的に絶縁し保磁力を増加する。
従って、焼結後の永久磁石1中におけるMリッチ相12の分散状態が悪いと、局部的な焼結不良、磁性の低下をまねくため、焼結後の永久磁石1中にはMリッチ相12が均一に分散していることが重要となる。
次に、本発明に係る永久磁石1の第1の製造方法について図3を用いて説明する。図3は本発明に係る永久磁石1の第1の製造方法における製造工程を示した説明図である。
図4に示すようにジェットミル粉砕分級システム32は、ジェットミル34と、サイクロン分級機35と、フィルタ36と、コンプレッサ37と、ヘリウムガス気流を循環させる配管38とから構成される。
磁石粉末の粉砕、分級を行う一方で、ジェットミル粉砕分級システム32で微粉砕された微粉砕磁石粉末33に添加する有機金属化合物溶液を作製する。ここで、有機金属化合物溶液には予め希土類元素を含む有機金属化合物を添加し、溶解させる。尚、溶解させる有機金属化合物としては、M−(OR)x(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)に該当する有機金属化合物(例えば、ネオジウムエトキシド、ジスプロシウムプロポキシド、テルビウムプロポキシドなど)を用いる。また、溶解させる希土類元素を含む有機金属化合物の量は特に制限されないが、前記したように永久磁石に含まれる希土類元素の含有量が化学量論組成に基づく含有量(26.7wt%)よりも0.1wt%〜10.0wt%、より好ましくは0.1wt%〜5.0wt%多くなる範囲とするのが好ましい。
また、成形装置50には一対の磁界発生コイル55、56がキャビティ54の上下位置に配置されており、磁力線をキャビティ54に充填された磁石粉末43に印加する。印加させる磁場は例えば1MA/mとする。
また、湿式法を用いる場合には、キャビティ54に磁場を印加しながらスラリーを注入し、注入途中又は注入終了後に、当初の磁場より強い磁場を印加して湿式成形しても良い。また、加圧方向に対して印加方向が垂直となるように磁界発生コイル55、56を配置しても良い。
次に、本発明に係る永久磁石1の他の製造方法である第2の製造方法について図5を用いて説明する。図5は本発明に係る永久磁石1の第2の製造方法における製造工程を示した説明図である。
図6は水素中仮焼処理をしたNd磁石粉末と水素中仮焼処理をしていないNd磁石粉末とを、酸素濃度7ppm及び酸素濃度66ppmの雰囲気にそれぞれ暴露した際に、暴露時間に対する磁石粉末内の酸素量を示した図である。図6に示すように水素中仮焼処理した磁石粉末は、高酸素濃度66ppm雰囲気におかれると、約1000secで磁石粉末内の酸素量が0.4%から0.8%まで上昇する。また、低酸素濃度7ppm雰囲気におかれても、約5000secで磁石粉末内の酸素量が0.4%から同じく0.8%まで上昇する。そして、Nd磁石粒子が酸素と結び付くと、残留磁束密度や保磁力の低下の原因となる。
そこで、上記脱水素処理では、水素中仮焼処理によって生成された仮焼体82中のNdH3(活性度大)やNdH2(活性度中)を、NdH3(活性度大)→NdH2(活性度中)→Nd(活性度小)へと段階的に変化させることによって、水素仮焼中処理により活性化された仮焼体82の活性度を低下させる。それによって、水素中仮焼処理によって仮焼された仮焼体82をその後に大気中へと移動させた場合であっても、Nd磁石粒子が酸素と結び付くことを防止し、残留磁束密度や保磁力を低下させることが無い。
一方、第1の製造方法では、成形体71は水素仮焼後に外気と触れさせることなく、後述の真空焼成に移るため脱水素工程は不要となる。従って、前記第2の製造方法と比較して製造工程を簡略化することが可能となる。但し、前記第2の製造方法においても、水素仮焼後に外気と触れさせることがなく焼成を行う場合には、脱水素工程は不要となる。
(実施例1)
上述したジェットミル粉砕分級システム32を用いて粗粉砕磁石粉末31を粉砕、分級した。ジェットミル粉砕分級システム32内で循環させるガスをヘリウムガスとし、循環させるヘリウムガスの圧力は0.6MPaとした。
ジェットミル粉砕分級システム32内で循環させるガスをヘリウムガスとし、循環させるヘリウムガスの圧力は1.5MPaとした。
リターン方式を用いない従来のクローズ式のジェットミル粉砕分級システムを用いて粗粉砕磁石粉末31を粉砕、分級した。循環させるガスをヘリウムガスとし、循環させるヘリウムガスの圧力は0.6MPaとした。他の条件は実施例1と同様である。
ジェットミル粉砕分級システムで循環させるガスを窒素ガスとし、循環させる窒素ガスの圧力は0.6MPaとした。他の条件は比較例1と同様である。
ジェットミル粉砕分級システムで循環させるガスを窒素ガスとし、循環させる窒素ガスの圧力は1.5MPaとした。他の条件は比較例1と同様である。
図7は、サイクロン分級機35に回収した磁石粉末の粒度分布を測定するための粒度分布測定装置を設け、実施例1と比較例1〜3のそれぞれについて回収された磁石粉末の平均粒径[μm]を示した図である。
図7に示すように、実施例1、2と比較例1〜3とを比較すると、サイクロン分級機35で回収されなかった粉砕物を補集して再度ジェットミル34へと搬送するリターン方式を採用することによって、平均粒径のより小さい磁石粉末を回収することが可能となる。また、比較例1と比較例2を比較すると、循環させるガスをヘリウムガスとすることによって、平均粒径のより小さい磁石粉末を回収することが可能となる。また、実施例1と実施例2或いは比較例2と比較例3を比較すると、循環させるガスの圧力を0.4MPa〜1.8MPa、より好ましくは1.5MPaとすることによって、平均粒径のより小さい磁石粉末を回収することが可能となる。
更に、実施例2では、循環させるガスをヘリウムガスとし、循環させるガスの圧力を0.4MPa〜1.8MPaとすることによって、同じく平均粒径を0.57μmと非常に小さい値とすることが可能となる。そして、実施例1では、循環させるガスをヘリウムガスとし、循環させるガスの圧力を1.5MPaとすることによって、平均粒径を0.44μmと更に小さい値とすることが可能となる。従って、循環させるガスをヘリウムガスとし、且つ循環させるガスの圧力を0.4MPa〜1.8MPa、より好ましくは1.5MPaとすることによって、微小な粒径範囲(例えば0.1μm〜5.0μm)の磁石粉末を高い歩留りで得ることが可能であることが分かる。
図8は、サイクロン分級機35に回収した磁石粉末の粒度分布を測定するための粒度分布測定装置を設け、実施例2で回収された磁石粉末の粒径分布を示した図である。
図8に示すように、実施例2では回収された磁石粉末は、微小な粒径範囲である0.2μm〜0.8μmに分布が偏っている。従って、微小な粒径範囲(例えば0.1μm〜5.0μm)の磁石粉末を高い歩留りで得ることが可能であることが分かる。
また、ジェットミル粉砕分級システム32における閉回路の酸素濃度が30ppm以下とするので、磁石原料を粉砕する際において、粉砕後の磁石粒子の酸化量を低く抑えることが可能となる。その結果、磁気性能を向上させた永久磁石を製造することが可能となる。
また、ジェットミル粉砕分級システム32における閉回路で循環されるヘリウムガス気流の圧力を0.4MPa〜1.8MPaとするので、より微小範囲の粒径の磁石粉末を、高い歩留りで得ることが可能となる。その結果、磁気性能を向上させた永久磁石を製造することが可能となる。
また、ジェットミル粉砕分級システム32では、特に0.1μm〜5.0μmの粒径のものを分級して回収することとすれば、微小な粒径の磁石粉末を、高い歩留りで得ることが可能となる。その結果、磁気性能を大きく向上させた永久磁石を製造することが可能となる。
また、ジェットミル粉砕分級システム32により回収された磁石粉末に対して、M−(OR)x(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で示される有機金属化合物が添加された有機金属化合物溶液を加え、磁石の粒子表面に対して均一に有機金属化合物を付着させた後に、成形及び焼結を行うので、製造過程で希土類元素が酸素と結び付いたとしても、化学量論組成に対して希土類元素が不足することなく、焼結後の永久磁石中にα−Feが生成されることを抑制することが可能となる。また、粉砕前後で磁石組成が大きく変動しないので粉砕後に磁石組成を変更する必要なく、製造工程を簡略化することができる。
特に、有機金属化合物添加後の希土類元素の含有量を、化学量論組成に基づく含有量(26.7wt%)よりも0.1wt%〜10.0wt%、より好ましくは0.1wt%〜5.0wt%多い範囲内とすることによって、Mリッチ相を均一に分散することが可能となるとともに、α−Feの生成を十分に抑制でき、また、残留磁束密度が低下することについても防止できる。
また、磁石粉末の粉砕条件、混練条件、焼結条件などは上記実施例に記載した条件に限られるものではない。
また、水素中仮焼処理や脱水素工程については省略しても良い。
11 主相
12 Mリッチ相
32 ジェットミル粉砕分級システム
34 ジェットミル
35 サイクロン分級機
Claims (10)
- 希土類元素を含み、化学量論組成に基づく含有量からなる磁石原料合金を粗粉砕して粗粉砕磁石粉末を得る工程と、
ジェットミル及び粉砕物回収装置を含む閉回路でヘリウムガス気流を循環させた状態で、前記粗粉砕磁石粉末を前記ヘリウムガス気流により前記ジェットミルへと搬送し、ヘリウムガス雰囲気中でジェットミル粉砕を行なうことにより微粉砕して微粉砕磁石粉末を得る工程と、
前記微粉砕磁石粉末の内、所定範囲の粒径の前記微粉砕磁石粉末を前記粉砕物回収装置により回収する工程と、
前記粉砕物回収装置を経た前記ヘリウムガス気流中において前記粉砕物回収装置により回収されずに残存する前記微粉砕磁石粉末を残存磁石粉末として捕集する工程と、
前記残存磁石粉末を前記ヘリウムガス気流により再度ジェットミルへと搬送する工程と、
前記粉砕物回収装置により回収された前記微粉砕磁石粉末に以下の構造式
M−(OR)x
(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)
で表わされる有機金属化合物を添加することにより、前記微粉砕磁石粉末の粒子表面に前記有機金属化合物を付着させる工程と、
前記有機金属化合物が粒子表面に付着された前記微粉砕磁石粉末を成形することにより成形体を形成する工程と、
前記有機金属化合物が粒子表面に付着された前記微粉砕磁石粉末を成形前又は成形後であって焼結前に水素雰囲気で仮焼する工程と、
前記成形体を焼結する工程と、により製造されることを特徴とする永久磁石。 - 前記有機金属化合物の添加量は、前記永久磁石中に含まれる希土類元素の含有量が前記化学量論組成に基づく含有量に対して0.1w%〜10.0w%多くなる量であることを特徴とする請求項1に記載の永久磁石。
- 前記ジェットミル及び前記粉砕物回収装置を含む閉回路の酸素濃度が30ppm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の永久磁石。
- 前記ジェットミル及び前記粉砕物回収装置を含む閉回路で循環されるヘリウムガス気流の圧力が0.4MPa〜1.8MPaであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の永久磁石。
- 前記微粉砕磁石粉末を前記粉砕物回収装置により回収する工程は、0.1μm〜5.0μmの粒径を有する前記微粉砕磁石粉末を回収することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の永久磁石。
- 希土類元素を含み、化学量論組成に基づく含有量からなる磁石原料合金を粗粉砕して粗粉砕磁石粉末を得る工程と、
ジェットミル及び粉砕物回収装置を含む閉回路でヘリウムガス気流を循環させた状態で、前記粗粉砕磁石粉末を前記ヘリウムガス気流により前記ジェットミルへと搬送し、ヘリウムガス雰囲気中でジェットミル粉砕を行なうことにより微粉砕して微粉砕磁石粉末を得る工程と、
前記微粉砕磁石粉末の内、所定範囲の粒径の前記微粉砕磁石粉末を前記粉砕物回収装置により回収する工程と、
前記粉砕物回収装置を経た前記ヘリウムガス気流中において前記粉砕物回収装置により回収されずに残存する前記微粉砕磁石粉末を残存磁石粉末として捕集する工程と、
前記残存磁石粉末を前記ヘリウムガス気流により再度ジェットミルへと搬送する工程と、
前記粉砕物回収装置により回収された前記微粉砕磁石粉末に以下の構造式
M−(OR)x
(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)
で表わされる有機金属化合物を添加することにより、前記微粉砕磁石粉末の粒子表面に前記有機金属化合物を付着させる工程と、
前記有機金属化合物が粒子表面に付着された前記微粉砕磁石粉末を成形することにより成形体を形成する工程と、
前記有機金属化合物が粒子表面に付着された前記微粉砕磁石粉末を成形前又は成形後であって焼結前に水素雰囲気で仮焼する工程と、
前記成形体を焼結する工程と、を有することを特徴とする永久磁石の製造方法。 - 前記有機金属化合物の添加量は、前記永久磁石中に含まれる希土類元素の含有量が前記化学量論組成に基づく含有量に対して0.1w%〜10.0w%多くなる量であることを特徴とする請求項6に記載の永久磁石の製造方法。
- 前記ジェットミル及び前記粉砕物回収装置を含む閉回路では、酸素量30ppm以下のヘリウムガス気流を循環させることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の永久磁石の製造方法。
- 前記ジェットミル及び前記粉砕物回収装置を含む閉回路で循環されるヘリウムガス気流の圧力が0.4MPa〜1.8MPaであることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
- 前記微粉砕磁石粉末を前記粉砕物回収装置により回収する工程は、0.1μm〜5.0μmの粒径を有する前記微粉砕磁石粉末を回収することを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
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