JP5514536B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents

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Description

本発明はファスニングテープを備えた使い捨ておむつの改良に関する。
本出願人は先に、メカニカルテープのオス材を用いて形成されたファスニングテープを備えた使い捨ておむつにおいて、このファスニングテープを係合させる係合部が、原反不織布にエンボス処理を施してなり、CD方向の2N/25mm荷重時における伸長率が、該原反不織布の75%以下であるものを提案した(特許文献1参照)。この使い捨ておむつには、メカニカルテープのオス材と係合部との係合力が高まり、また毛羽立ちが小さいものとなるという利点がある。更に、おむつの風合いが損なわれることなく、フィット性に優れるという利点もある。
このおむつとは別に、前記の係合部が、多数の熱融着性短繊維からなるウエッブに、高温エアーを吹き付けて該繊維同士を高密度に交絡させて熱融着してなるエアスルー不織布からなる使い捨ておむつも知られている(特許文献2参照)。この不織布は、その坪量が17〜50g/m2であり、該不織布の短繊維の繊度が0.5〜8デニールである。このおむつによれば、ファスニングテープのオス部材と係合部との剥離強さが大きくなるとともに、繰り返し止着脱後の剥離強さの低下が抑制されると、同文献には記載されている。
近年、使い捨ておむつは、下着のような肌触りが重視されてきており、裏面シートに肌触りのよい不織布を採用することが主流となっている。また、止着システムとしては、特許文献1及び2に参照されるように、ファスニングテープとしてメカニカルテープのオス材を用い、被着部材としては、基材テープ上に多数の繊維をループ状又はアーチ状に編み込んでなるやや硬い編み物から、風合いが良好な不織布を用いることが提案されている。しかしながら、特許文献1や2に記載の方法では、係合力を高めるため、不織布強度を高めたり、繊度の太い繊維を使用するなど、不織布としての肌触りは、決してよいものとはいえない。使い捨ておむつの裏面シートしてこの特許文献1および2の不織布を使用した場合、肌触りの悪さや、硬さによる動きの追従性の悪さが課題となる。
使い捨ておむつの技術とは別に、本出願人は先に、加熱によってその長さが伸びる繊維である熱伸長性繊維を原料とする不織布に関し、構成繊維が圧着又は接着されている多数の圧接着部を有するとともに、圧接着部以外の部分において構成繊維どうしの交点が圧接着以外の手段によって接合しており、圧接着部が凹部となっているとともに該凹部間が凸部となっている凹凸形状を少なくとも一方の面に有する立体賦形不織布を提案した(特許文献3参照)。この不織布は、熱伸長性繊維を原料とすることで、特殊な製造方法を用いなくても、三次元的な凹凸形状を有し、また柔軟であり、低坪量でもあるという利点を有する。この不織布は、使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの使い捨て衛生物品の分野における表面シート、セカンドシート(表面シートと吸収体との間に配されるシート)、裏面シート、防漏シートなどとして好適に用いられる。
特開平11−335960号公報 特開2003−180748号公報 特開2005−350836号公報
本発明の課題は、ファスニングテープを備えた使い捨ておむつにおいて、面ファスナーのフック部材に対する係合力が高く、肌触りが良好で、毛羽立ちが小さく、生産性に優れた、被着部材である不織布を用いてなる肌触りのよい使い捨ておむつを提供することにある。
本発明は、着用者の肌対向面側に位置する表面シートと、非肌対向面側に位置する裏面シートと、両シート間に介在する吸収体とを備え、実質的に縦長形状であり、長手方向の一方の端部における左右両側縁から側方にそれぞれ延出したファスニングテープを備えた使い捨ておむつであって、
該ファスニングテープにおける止着部が面ファスナのフック部材からなるとともに、該止着部と係合する不織布からなる被着部が、該裏面シートの表面に設けられており、
該不織布が、原料として加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維を用いている使い捨ておむつを提供するものである。
また本発明は、着用者の肌対向面側に位置する表面シートと、非肌対向面側に位置する裏面シートと、両シート間に介在する吸収体とを備え、実質的に縦長形状である使い捨ておむつであって、
該裏面シートの外面に不織布が配されており、該不織布が、加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維を用いている使い捨ておむつを提供するものである。
本発明の使い捨ておむつによれば、ファスニングテープにおける止着部と、該止着部に係合する被着部との係合力が高まる。また、繰り返し付け剥がしを行っても、被着部に毛羽立ちが起こりづらく、また係合力の低下が少ない。更に、被着部の肌触りが良好であり、風合いに優れている。
図1は、本発明の使い捨ておむつの一実施形態の装着状態を示す斜視図である。 図2は、図1に示すおむつを展開した状態を示す斜視図である。 図3は、図2におけるIII−III線断面図である。 図4(a)は、図1に示すおむつに用いられる不織布を示す斜視図であり、図4(b)は、図4(a)に示す不織布の縦断面の要部拡大図である。 図5は、図4に示す不織布の製造に好適に用いられる装置を示す模式図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の使い捨ておむつの一実施形態の装着状態が示されている。図2は、図1に示すおむつを展開した状態であり、図3は図2におけるIII−III線断面図である。
図1ないし3に示すおむつ100は、いわゆる展開型(テープ止めタイプ)のものである。おむつ100は、着用者の肌に近い側に位置する表面シート111と、着用者の肌から遠い側に位置する裏面シート112と、両シート111,112間に配置された吸収体113とを有している。展開状態におけるおむつ100は、実質的に縦長の形状となっている。おむつ100はその長手方向の一端側に背側領域Aを有し、他端側に腹側領域Cを有している。また背側領域Aと腹側領域Cとの間に股下領域Bを有している。
吸収体113は、おむつ100の背側領域Aから腹側領域Cにわたって延在している。吸収体113は、表面シート111及び裏面シート112によって挟持・固定されている。表面シート111及び裏面シート112は、吸収体113の前後端縁から前後方向にそれぞれ延出してウエストフラップ114,114を形成している。また表面シート111及び裏面シート112は、吸収体113の左右側縁から横方向に延出してレッグフラップ115,115を形成している。
レッグフラップ115には、おむつ着用者におむつ100を着用者の足回りにフィットさせるためのレッグ弾性ストランド117が設けられている。レッグ弾性ストランド117はおむつ100の左右両側部に配置され、おむつ100の長手方向に延びている。レッグ弾性ストランド117の一方の端は、おむつ100の背側領域Aと股下領域Bとの境界部付近で終端している。レッグ弾性ストランド117の他方の端は、おむつ100の腹側領域Cと股下領域Bとの境界部付近で終端している。しかし、場合によっては、レッグ弾性ストランド117の端が、背側領域A及び/又は腹側領域Cに位置していることもある。レッグ弾性ストランド117の収縮によって、レッグフラップ115にはギャザーが形成されている。
おむつ100の表面シート側における左右両側には一対の立体ガード形成用シート116が配されて、立体ガード118がそれぞれ形成されている。立体ガード118の自由端には立体ガード弾性部材119が配されてギャザーが形成されている。先に述べたレッグ弾性ストランド117は伸長状態で、立体ガード形成用シート116と裏面シート112によって挟持固定されている。
おむつ100の背側領域Aにおけるウエストフラップ114の左右両側部には、一対のファスニングテープ120,120が取り付けられている。ファスニングテープ120における表面、すなわちおむつ100における表面シート111と同じ側の面には、該ファスニングテープ120を裏面シート112に止着させるための止着手段120aが設けられている。止着手段120aとしては例えば面ファスナのフック部材が用いられている。
おむつ100の背側領域Aにおけるウエストフラップ114のファスニングテープ120,120間には、おむつ100の幅方向へ延びるウエスト弾性ストランド121が伸長状態で配されている。同様に、おむつ100の腹側領域Cにおけるウエストフラップ114にも、おむつ100の幅方向へ延びるウエスト弾性ストランド121が伸長状態で配されている。ウエスト弾性ストランド121は、表面シート111と裏面シート112との間に挟持固定されている。ウエスト弾性ストランド121の収縮によって、ウエストフラップ114にはギャザーが形成されている。
おむつ100を構成する各部材の構成材料としては、従来この種のおむつに用いられてきたものと同様のものを用いることができる。例えば表面シート111としては各種不織布などの液透過性のシート材を用いることができる。不織布の構成繊維が疎水性の場合には不織布に親水化処理を施すことができる。裏面シート112としては液不透過性又は難透過性のシート材、例えば各種合成樹脂製のシートや、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層不織布などを用いることができる。このシートは液不透過性又は難透過性であることに加えて透湿性であることが好ましい。吸収体113としては例えばフラッフパルプと高吸収性ポリマーの粒子との積繊体をティッシュペーパー等で包んだものを用いることができる。立体ガード形成用シート116としては、撥水性の不織布等を用いることができる。
図3に示すように、裏面シート112の表面には不織布10が配されている。裏面シート112と不織布10とは、例えばホットメルト粘着剤の間欠塗布等の手段によって貼り合わされている。不織布10は、裏面シート12の全域に配されており、おむつ100の外面を構成している。これとともに不織布10は、先に述べたファスニングテープ120における止着手段120aである面ファスナのフック部材と係合する被着部としての働きも有する。本発明のおむつは、この不織布に特徴の一つを有している。
図4(a)には、不織布10の斜視図が示されている。また図4(b)には、図4(a)に示す不織布10の縦断面の要部拡大図が示されている。不織布10は単層構造をしている。不織布10はその一面(図4(a)における裏面10b)がほぼ平坦となっており、他面(図4(a)における表面10a)が多数の凸部19及び凹部18を有する凹凸形状となっている。つまり立体賦形されたものである。裏面10bは、裏面シート112と対向する面であり、表面10aは、おむつ100の外面を構成する面である。凹部18は、不織布10の構成繊維が圧密化され接合されて形成された接合部を含んでいる。接合部の形成手段としては、例えば熱を伴うか又は伴わないエンボス加工、超音波エンボス加工などが挙げられる。一方、凸部19は非接合部となっている。凹部18の厚みは凸部19の厚みよりも小さくなっている。凸部19は、不織布10の表面側(図4(b)における上面側)に向けて隆起した形状になっている。凸部19内は、不織布10の構成繊維で満たされている。凸部19においては、不織布10の構成繊維である熱伸長性繊維どうしが、それらの交点において融着している。凸部19において熱伸長性繊維どうしが熱融着していることで、不織布10の表面における毛羽立ちが起こりにくくなる。繊維どうしが熱融着しているか否かは、不織布10を走査型電子顕微鏡観察することで判断する。
凹部18は、互いに平行に一方向へ延びる第1の線状部18aを有している。また凹部18は、第1の線状部と交差するように、互いに平行に一方向へ延びる第2の線状部18bを有している。両線状部18a,18bが交差することで、閉じた形状の菱形部が形成される。この菱形部が凸部19となっている。つまり凸部19は、連続した閉じた形状の凹部18によって取り囲まれて形成されている。
不織布10における凹部18と凸部19との面積比は、エンボス化率(エンボス面積率、すなわち不織布10全体に対する凹部18の面積の合計の比率)で表され、不織布10の嵩高感や強度、面ファスナとの係合力、毛羽立ち性に影響を与える。これらの観点から、不織布10におけるエンボス化率は、5〜35%、特に10〜25%であることが好ましい。このエンボス化率は、以下の方法によって測定される。まず、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX−900)を用いて不織布10表面の拡大写真を得、この不織布表面の拡大写真にスケールを合わせ、凹部18(すなわちエンボス部分)の寸法を測定し、測定部位の全体面積Qにおける、凹部18の面積の合計Pを算出する。エンボス化率は、計算式(P/Q)×100によって算出することができる。
不織布10は、その原料繊維として、加熱によってその長さが伸びる繊維である熱伸長性繊維を用いている。熱伸長性繊維としては、例えば加熱により樹脂の結晶状態が変化して伸びたりする繊維が挙げられる。熱伸長性繊維を用いて製造された不織布10は、不織布10の製造過程における熱処理により、該繊維の熱伸長によって嵩高くなり、あるいは立体的な外観を呈する。ここで言う不織布10とは、おむつ100に組み込まれた状態の不織布のことである。つまり不織布10は、おむつ100に組み込まれた後の状態で嵩高となり、被着部としての機能及びおむつ100の外層材としての機能が高まる。具体的には、繊維間距離が増加し、面ファスナのフック部材が容易に繊維間に入り込めるという有利な効果が奏される。その結果、ファスニングテープ120と不織布10との係合力が高まる。また、嵩高になることに起因して、不織布10の風合いが増す。熱伸長性繊維の詳細については後述する。
熱伸長性繊維は、通常の繊維形成性樹脂からなる繊維(熱伸長しないか、あるいは熱収縮する繊維)に比べ、ヤング率が低いことが本発明者らの検討の結果判明した。したがって、不織布10と、ファスニングテープ120の止着部120aである面ファスナのフック部材とが係合している状態で、ファスニングテープ120を引き剥がすとき、不織布10の構成繊維が塑性変形しやすい。その結果、繊維相互間の結合点の破壊が効果的に防止される。このことによって、不織布10に毛羽立ちが起こりづらく、繰り返し付け剥がしを行っても係合力の低下が少なくなる。繊維相互間の結合点の破壊が防止されることは、該結合点の結合強度を高める必要がないことを意味する。このことは、不織布10の風合いの向上に寄与する。更に、繊維のヤング率が低いことは、繊維自体が柔らかいことを意味する。繊維が柔らかいことも不織布10の肌触りの向上に寄与し、不織布10に良好な風合いをもたらす。
以上の観点から、不織布10に用いられる熱伸長性繊維は、そのヤング率が0.2〜1GPa、特に0.4〜0.8GPaであることが好ましい。ヤング率をこの範囲に設定するためには、熱伸長性繊維を製造するときの延伸条件(延伸倍率を低くする)、熱伸長性繊維を構成する樹脂の種類、樹脂の配合量(二成分系繊維の場合)等を適切に調整すればよい。ヤング率は次の方法で測定される。
〔ヤング率測定方法〕
セイコーインスツルメンツ(株)製の熱機械的分析装置TMA/SS6000を用いる。測定環境温度は25℃とする。試料としては、繊維長さが10mm以上の繊維を繊維長さ10mmあたりの合計重量が0.5mgとなるように複数本採取したものを用意し、その複数本の繊維を平行に並べた後、チャック間距離10mmで装着し、0.73mN/dtexの一定荷重を負荷する。その後、240mN/minの条件下で応力−歪み曲線を得た後、歪みが0.1%時における曲線の接線の傾きをヤング率とする。
不織布10は、熱伸長性繊維に加えて、融点の異なる2成分を含み、かつ延伸処理されてなる実質的に加熱によってその長さが伸びない非熱伸長性の芯鞘型熱融着性複合繊維を含んでいてもよい。この熱融着性複合繊維は、熱を付与してもその長さは実質的に伸びない。不織布10の原料として、熱伸長性繊維と熱融着性複合繊維とを併用することで、不織布10を裏面シート112に貼り合わせる前に、熱風の吹き付けなどの嵩回復のための加工に付して不織布10の被着部としての機能及びおむつ10の外層材としての機能を高めたときに、繊維間距離が一層大きくなり、ファスニングテープ120と不織布10との係合力が一層高まる。この観点から、不織布10中に含まれる熱伸長性繊維と熱融着性複合繊維との混合比率(前者/後者)を、重量比で好ましくは20/80〜80/20、更に好ましくは40/60〜70/30に設定する。混合比率をこの範囲内に設定することで、熱融着性複合繊維の嵩回復性と熱伸長性繊維の熱伸長に起因する不織布10の嵩高さが十分に発現する。不織布10への熱風の吹き付けによる嵩回復については後述する。
不織布10は、熱伸長性繊維と熱融着性複合繊維との繊維径の大小関係にも特徴の一つを有する。具体的には、熱伸長性繊維はその繊維径が、好ましくは、熱融着性複合繊維の繊維径よりも大きいものである。これによって、不織布10の表面のざらつき感が低減し、不織布10の肌触りが良好になる。一般に不織布の表面のざらつき感は、その構成繊維の太さに依存し、太いほどざらつき感が顕著になる。ところで、本発明者らの検討の結果、同じ太さで比較した場合、熱伸長性繊維は、熱融着性繊維よりもざらつき感を知覚しにくいことが判明した。逆に言えば、同じ太さで比較した場合、熱融着性複合繊維は、熱伸長性繊維よりもざらつき感が知覚されやすいものである。そこで本実施形態においては、熱伸長性繊維の繊維径を、熱融着性複合繊維の繊維径よりも大きくしている。熱伸長性繊維がざらつき感を知覚しづらい理由は、熱伸長性繊維は、熱融着性繊維よりも弾性率が低いことによるものではないかと本発明者らは推測している。なお、不織布10においては、熱伸長性繊維は加熱前に比べて伸長した状態で存在しているので、ここで言う熱伸長性繊維の繊維径とは、加熱によって伸長した後の繊維径のことを指す。なお、熱伸長性繊維は一般に、加熱によって伸長すると、その繊維径が小さくなる。
不織布10の表面のざらつき感を一層低減させる観点から、熱融着性複合繊維の繊維径は、加熱によって伸長した後の熱伸長性繊維の繊維径の50〜95%、特に65〜90%であることが好ましい。同様の観点から、加熱によって伸長した後の熱伸長性繊維の繊維径は、10〜35μm、特に15〜30μmであることが好ましい。一方、熱融着性複合繊維の繊維径は、加熱によって伸長した後の熱伸長性繊維の繊維径よりも小さいことを条件として、10〜30μm、特に15〜25μmであることが好ましい。これらの繊維径は、不織布10を走査型電子顕微鏡観察することで測定される。この繊維径の関係は、不織布10がおむつ100に組み込まれた状態、及び不織布10がおむつ100に組み込まれる前の状態(つまり原反不織布の状態)の双方において満たされている。
不織布10においては、少なくとも凸部19において、熱伸長性繊維どうしの交点、熱融着性複合繊維どうしの交点、及び熱伸長性繊維と熱融着性複合繊維との交点がそれぞれエアスルー方式で熱融着している。これによって、不織布10に熱風を吹き付けたときの嵩の回復性が顕著になる。また、不織布10の表面における毛羽立ちが起こりにくくなる。繊維の交点が熱融着しているか否かは、不織布10を走査型電子顕微鏡観察することで判断する。
熱融着性複合繊維は、高融点成分と低融点成分とを含み、低融点成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在している複合繊維である。複合繊維の形態には芯鞘型やサイド・バイ・サイド型など種々の形態があり、いずれの形態でも用いることができる。熱融着性複合繊維は原料の段階で(つまり、不織布10に用いられる前の段階で)、延伸処理が施されている。ここで言う延伸処理とは、延伸倍率2〜6倍程度の延伸操作のことである。
熱融着性複合繊維の融着温度は、熱伸長性繊維の融着温度に近いことが好ましい。それによって、熱伸長性繊維どうし、熱融着性複合繊維どうし、及び熱伸長性繊維と熱融着性複合繊維とを首尾良く融着することができる。この観点から、熱融着性複合繊維の融着温度をT1とし、熱伸長性繊維の融着温度をT2とした場合、T1とT2はの融着温度差が20℃以内であることが好ましい。なお、繊維の融着温度を厳密に測定することは容易でないので、融着に関与する樹脂(すなわち低融点の樹脂)の融点をもって融着温度に代えることとする。融点は、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用い、細かく裁断した繊維試料(サンプル質量2mg)の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定し、その融解ピーク温度で定義される。融点がこの方法で明確に測定できない場合を融点を持たない樹脂と定義する。この場合、低融点成分の分子の流動が始まる温度として、繊維の融着点強度が計測できる程度に低融点成分が融着する温度を軟化点と定義し、これを熱融着温度とする。
熱伸長性繊維と熱融着性複合繊維との融着を首尾良く行う観点からは、熱融着性繊維における低融点成分と、熱伸長性複合繊維における第2樹脂成分とが同種の樹脂であるか、又は異種の場合には相溶性を有することが好ましい。
熱融着性複合繊維においては、高融点成分/低融点成分の重量比が6/4〜2/8、特に5/5〜3/7であることが好ましい。つまり低融点成分を多めに含むことが好ましい。これによって、エアスルー方式による熱融着が確実に起こり、不織布10の表面における毛羽立ちを効果的に防止することができる。この重量比は、熱融着性複合繊維の断面観察によって測定される高融点成分及び低融点成分それぞれの断面積と、高融点成分及び低融点成分それぞれの密度とから算出することができる。
エアスルー方式による熱融着を確実に起こすための別の手段として、熱融着性複合繊維における低融点成分のメルトインデックスが10〜40g/10min、特に10〜25g/10minであることが好ましい。メルトインデックスは、JIS K7210に準じ、190℃、荷重2.16kgの条件下に測定される。これによって、不織布10の表面の毛羽立ちや、繊維屑の発生を効果的に防止することができる。
上述した熱伸長性複合繊維との関係で好適に用いられる熱融着性複合繊維の樹脂としては、高融点成分としてポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートを用い、低融点成分として高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリスチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエステルを用いる組み合わせ等が挙げられる。
不織布10は、これまでに説明してきた熱伸長性繊維及び熱融着性複合繊維に加え、以外の繊維を含んでいてもよい。そのような繊維としては、本来的に熱融着性を有さない繊維(例えばコットンやパルプ等の天然繊維、レーヨンやアセテート繊維など)や、アクリル繊維等が挙げられる。これらの繊維は、例えばコットンの場合吸湿性など繊維が持つ特性を不織布に付与することを目的として不織布10に含有される。
次に、不織布10の原料として用いられる熱伸長性繊維について説明する。不織布10において特に好ましく用いられる熱伸長性繊維は、高融点樹脂からなる第1樹脂成分と、該第1樹脂成分の融点より低い融点又は軟化点を有する低融点樹脂からなる第2樹脂成分とを含み、第2樹脂成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在している複合繊維(以下、この繊維を「熱伸長性複合繊維」という)である。熱伸長性複合繊維における第1樹脂成分は該繊維の熱伸長性を発現する成分であり、第2樹脂成分は熱融着性を発現する成分である。
熱伸長性複合繊維は、第1樹脂成分の融点よりも低い温度において熱によって伸長可能になっている。そして熱伸長性複合繊維は、第2樹脂成分の融点より10℃高い温度(融点を持たない樹脂の場合は軟化点より10℃高い温度)での熱伸長率が0.5〜20%、特に3〜20%、とりわけ5〜20%であることが好ましい。このような熱伸長率の繊維を用いて製造された不織布10は、不織布10の製造過程における該繊維の伸長によって嵩高くなり、あるいは立体的な外観を呈する。例えば不織布10の表面の凹凸形状が顕著なものになる。一般に、不織布10の製造過程においては、第2樹脂成分の融点以上で第1樹脂成分の融点以下の温度で熱処理を行うことより、熱伸長性繊維を用いた不織布10は、熱伸長性繊維が伸長した状態で不織布10となる。また、この不織布10を熱処理温度以上、第1樹脂成分の融点以下の温度で加熱すると熱伸長性繊維は更に熱伸長することになる。
繊維の熱伸長率は次の方法で測定される。セイコーインスツルメンツ(株)製の熱機械的分析装置TMA/SS6000を用いる。試料としては、長さが10mm以上の繊維を繊維長さ10mmあたりの合計重量が0.5mgとなるように複数本採取したものを用意し、その複数本の繊維を平行に並べた後、チャック間距離10mmで装着し、測定開始温度を25℃とし、0.73mN/dtexの一定荷重を負荷した状態で5℃/minの昇温速度で昇温させる。その際の繊維の伸び量を測定し、第2樹脂成分の融点より10℃高い温度、融点を持たない樹脂の場合は軟化点より10℃高い温度での伸び量Xmmを読み取る。
繊維の熱伸長率は、(X/10)×100[%]から算出する。
熱伸長率を前記の温度で測定する理由は、後述するように、繊維の交点を熱融着させて不織布10を製造する場合には、第2樹脂成分の融点又は軟化点以上で、かつそれらより10℃程度高い温度までの範囲で製造するのが通常だからである。
不織布から繊維を取り出して繊維の熱伸長性を判断する場合は、以下の方法を用いる。まず、不織布の各部位から繊維をそれぞれ5本採取する。採取する繊維の長さは1mm以上5mm以下とする。採取した繊維をプレパラートに挟み、挟んだ繊維の全長を測定する。測定には、KEYENCE製のマイクロスコープVHX−900、レンズVH−Z20Rを用いた。測定は50〜100倍の倍率で前記繊維を観察し、その観察像に対して装置に組み込まれた計測ツールを用いて行った。前記、測定で得られた長さを「不織布から採取した繊維の全長」Yとする。全長を測定した繊維を、エスアイアイナノテクノロジー株式会社製のDSC6200用の試料容器(品名:ロボット用容器52−023P、15μL、アルミ製)に入れる。前記繊維の入った容器を、予め第1樹脂成分の融点より10℃低い温度にセットされたDSC6200の加熱炉中の試料置き場に置く。DSC6200の試料置き場直下に設置された熱電対で測定された温度(計測ソフトウェア中の表示名:試料温度)が第1樹脂成分の融点より10℃低い温度±1℃の範囲になってから、60sec間加熱し、その後素早く取り出す。加熱処理後の繊維をDSCの試料容器から取り出しプレパラートに挟み、挟んだ繊維の全長を測定する。測定には、KEYENCE製のマイクロスコープVHX−900、レンズVH−Z20Rを用いた。測定は50〜100倍の倍率で前記繊維を観察し、その観察像に対して装置に組み込まれた計測ツールを用いて行った。前記、測定で得られた長さを「加熱処理後の繊維の全長」Zとする。熱伸長率(%)は以下の式から算出する。
熱伸長率(%)=(Z−Y)÷Y×100 [%]
これを不織布から取り出した繊維の熱伸長率と定義する。この熱伸長率が0より大きい場合、繊維が熱伸長性繊維であると判断でき、原料として熱伸長性繊維を用いていることがわかる。
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の種類に特に制限はなく、繊維形成能のある樹脂であればよい。特に、両樹脂成分の融点差、又は第1樹脂成分の融点と第2樹脂成分の軟化点との差が20℃以上、特に25℃以上であることが、熱融着による不織布10の製造を容易に行い得る点から好ましい。熱伸長性複合繊維が芯鞘型である場合には、鞘成分の融点又は軟化点よりも芯成分の融点の方が高い樹脂を用いる。特にポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)を芯とし、これらよりも融点の低い樹脂を鞘とする芯鞘型の熱伸長性複合繊維を用いることが好ましい。第1樹脂成分と第2樹脂成分との好ましい組み合わせとしては、第1樹脂成分をPPとした場合の第2樹脂成分としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン(PE)、エチレンプロピレン共重合体、ポリスチレンなどが挙げられる。また、第1樹脂成分としてPET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂を用いた場合は、第2樹脂成分として、前述した第2樹脂成分の例に加え、PP、共重合ポリエステルなどが挙げられる。更に、第1樹脂成分としては、ポリアミド系重合体や前述した第1樹脂成分の2種以上の共重合体も挙げられ、また第2樹脂成分としては前述した第2樹脂成分の2種以上の共重合体なども挙げられる。これらは適宜組み合わされる。
熱伸長性繊維の繊維長は、不織布10の製造方法に応じて適切な長さのものが用いられる。不織布10を例えば後述するようにカード法で製造する場合には、繊維長を30〜70mm程度とすることが好ましい。
原料として用いられる熱伸長性繊維は、熱伸長によってその繊維径が小さくなる。したがって、不織布10中に存在する伸長後の熱伸長性繊維は、一般に、その原料である熱伸長性繊維の繊維径よりも小さい繊維径を有している。不織布10中に存在する伸長後熱伸長性繊維の繊維径は、10〜35μm、特に15〜30μmであることが好ましい。熱伸長性繊維の繊維径は、不織布10中に存在する熱伸長性繊維の繊維径を考慮して決定される。
熱伸長性繊維としては、例えば特許第4131852号公報、特開2005−350836号公報、特開2007−303035号公報、特開2007−204899号公報、特開2007−204901号公報及び特開2007−204902号公報、特開2008−101285号公報等に記載の繊維を用いることができる。
不織布10は、その坪量が10〜80g/m2、特に15〜60g/m2であることが好ましい。不織布10における凸部19の厚みは、熱風による嵩回復後(これについては後述する)の状態において0.5〜3.0mm、特に0.7〜3.0mmであることが好ましい。一方、凹部18の厚みは0.01〜0.4mm、特に0.02〜0.2mmであることが好ましい。なお凹部18の厚みは、熱風による嵩回復の前後において実質的に変化はない。凸部19及び凹部18の厚みの測定方法は以下の通りである。不織布10の縦断面を観察することによって測定される。まず、不織布10を100mm×100mmの大きさに裁断し測定片を採取する。その測定片の上に12.5g(直径56.4mm)のプレートを載置し、49Paの荷重を加える。この状態下での不織布10の縦断面をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX−900)で観察し、凸部19及び凹部18の厚みを測定する。この凸部19の厚みを不織布10の厚みとする。
次に、不織布10の好適な製造方法について図2を参照しながら説明する。まず、カード機11等の所定のウエブ形成手段を用いてウエブ12を作製する。ウエブ12は、熱伸長する前の状態の熱伸長性複合繊維及び熱融着性複合繊維を含むものである。ウエブ形成手段としては、同図に示すカード機のほか、短繊維を空気流に搬送させてネット上に堆積させる方法(エアレイ法)などの公知の方法を用いることができる。
ウエブ12は、熱エンボス装置13に送られ、そこで熱エンボス加工が施される。熱エンボス装置13は、一対のロール14,15を備えている。ロール14は周面に菱形格子状の凸部が形成されている彫刻ロールである。一方、ロール15は周面が平滑となっている平滑ロール(アンビルロール)である。各ロール14,15は所定温度に加熱可能になっている。
熱エンボス加工は、ウエブ12中の熱伸長性複合繊維における第2樹脂成分の融点−20℃以上で、かつ第1樹脂成分の融点未満の温度で行われる。また、熱エンボス加工は、ウエブ12中の熱融着性複合繊維における低融点成分の融点−20℃以上で、かつ高融点成分の融点未満の温度で行われる。更に、熱エンボス加工は、熱伸長性複合繊維が熱伸長を発現する温度未満で行われる。熱伸長性複合繊維と熱融着性複合繊維の第2成分の融点が異なる場合は、融点の低い方の温度範囲とする。熱エンボス加工によってウエブ12中の熱伸長性複合繊維及び熱融着性複合繊維が接合される。これによってウエブ12に多数の接合部が形成されて、ヒートボンド不織布16となる。この接合部は、目的とする不織布10における凹部18となる。
ヒートボンド不織布16の接合部においては、熱伸長性複合繊維及び熱融着性複合繊維が圧密化されて接合されている。接合部以外の部位においては、熱伸長性複合繊維及び熱融着性複合繊維はいずれも非接合のフリーな状態になっている。また熱伸長性複合繊維の伸長はまだ生じていない。
次にヒートボンド不織布16は熱風吹き付け装置17に搬送される。熱風吹き付け装置17においてはヒートボンド不織布16にエアスルー加工が施される。すなわち熱風吹き付け装置17は、所定温度に加熱された熱風がヒートボンド不織布16を貫通するように構成されている。エアスルー加工は、ヒートボンド不織布16中の熱伸長性複合繊維が加熱によって伸長する温度で行われる。かつ、ヒートボンド不織布16における接合部以外の部分に存するフリーな状態の熱伸長性複合繊維どうしの交点、熱融着性複合繊維どうしの交点、及び熱伸長性複合繊維と熱融着性複合繊維との交点が熱融着する温度で行われる。尤も、斯かる温度は、熱伸長性複合繊維の第1樹脂成分及び熱融着性複合繊維の高融点成分の融点未満の温度に設定する必要がある。
このようなエアスルー加工によって、接合部以外の部分に存する熱伸長性複合繊維が熱伸長する。熱伸長性繊維はその一部が接合部によって固定されているので、熱伸長するのは接合部間の部分である。そして、熱伸長性繊維はその一部が接合部によって固定されていることによって、熱伸長した熱伸長性複合繊維の伸び分は、ヒートボンド不織布16の平面方向への行き場を失い、該不織布16の厚み方向へ移動する。これによって、接合部間に凸部19が形成され、不織布10は嵩高になる。また、多数の凸部19が形成された立体的な外観を有するようになる。更にエアスルー加工によって、凸部19における熱伸長性複合繊維どうしの交点、熱融着性複合繊維どうしの交点、及び熱伸長性複合繊維と熱融着性複合繊維との交点がそれぞれ熱融着によって接合する。
このようにして得られた不織布10は、一般にロール状に巻回された状態で保存されている。このことに起因して不織布10は、その嵩高さが減じられている場合が多い。そこで不織布10を裏面シート112に貼り付けておむつ100を製造するときには、該不織布10にエアスルー方式で熱風を吹き付けて、減じられた嵩を回復させて、不織布10の被着部としての機能及びおむつ10の外層材としての機能を高めることが好ましい。嵩の回復においては、不織布10に吹き付ける熱風として、熱伸長性複合繊維における第2樹脂成分の融点未満で、かつ該融点−50℃以上の温度の熱風を用いることが好ましい。このような不織布の嵩回復方法としては、例えば本出願人の先の出願に係る特開2004−137655号公報、特開2007−177364号公報及び特開2008−231609号公報等に記載の技術を用いることができる。
嵩回復後の不織布10は、裏面シート112の全域に貼り付けられる。この場合、図4に示す裏面10bの側が裏面シート112と対向するように貼り付けを行う。裏面シート112に貼り付けられた不織布10は、おむつ100の外面を構成する。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態における不織布10の凹部は、菱形格子状をなす形状をしていたが、これに代えて散点状に分散配置されたドット状の凹部を採用してもよい。また正方形若しくは長方形の格子状や、亀甲模様をなす形状を採用してもよい。
また前記実施形態においては、接合部(凹部18)の形成に熱エンボス加工を用いたが、これに代えて超音波エンボス加工によって接合部を形成することもできる。また、不織布10は単層の構造のものに限られず、多層構造であってもよい。
また前記実施形態の不織布10は、その2つの面のうちの一方の面が、凹凸になっており、他方の面が平坦になっていたが、これに代えて、各面とも凹凸になっていてもよい。
また前記実施形態においては、不織布10における表面10aがおむつ100の外面を構成し、裏面10bが裏面シート10と対向していたが、これに代えて、不織布10の表面10aを裏面シート10と対向させてもよい。
また前記実施形態においては、不織布10が裏面シート112の全域を被覆するように配されていたが、これに代えて面ファスナのフック部材からなる止着部が係合する位置にのみ不織布10を配してもよい。
また前記実施形態においては、不織布10を、面ファスナのフック部材からなる止着部に対する被着部として用いたが、これに代えて、不織布10を被着部としては用いず、おむつ100の外面を構成する風合いの良好なシートとして用いてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
図5に示す装置を用い、図4に示す単層の不織布10を製造した。図5に示す装置におけるエンボスロール14は、線の幅が0.8mmである菱形格子状の凸部を有するものであった。このエンボスロール14におけるエンボス化率は23%であった。熱伸長性複合繊維として、表1に示す芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維(繊度4.1dtex、熱伸長率11.4%)を用いた。この繊維を用い、表1に示す条件で不織布(坪量40g/m2)を得た。得られた不織布においては、熱伸長性複合繊維どうしの交点がエアスルー方式で熱融着していた。なお熱伸長性複合繊維は、引き取り速度1300m/分で溶融紡糸された後に繊維処理剤の水溶液に浸漬し処理剤を付着させ、次いで、機械捲縮を施した後、加熱処理を行うことで繊維を乾燥させ、切断して短繊維(繊維長51mm)としたものである。なお、該繊維を製造時に延伸処理は行っていない(以下の実施例においても同様)。なお、ここでいう延伸処理とは、溶融紡糸後に得られる未延伸糸に対して通常行われる2〜6倍程度の延伸操作を意味する。得られた不織布を、ロール状に巻回して保存した。
次に、図1ないし3に示す使い捨ておむつを製造した。まず、不織布をロールから繰り出し、エアスルー方式による熱風の吹き付けで、嵩回復及び繊維の伸長処理を行った。熱風の吹き付け条件は、加工速度150m/分、熱風温度115℃、風速2.0m/分、処理時間0.3秒、とした。熱風の吹き付け後の不織布における繊維の熱伸長率、繊度、ヤング率及び厚み(49Pa荷重下)は表1に示すとおりであった。次いで不織布を、おむつの裏面シートとしての透湿性防漏シート(ポリエチレンと炭酸カルシウムを主成分とする延伸処理されたシート、坪量20g/m2)と、その全域において貼り合わせた。貼り合わせにおいては、不織布における平坦な面(図4における裏面10b)が裏面シートと対向するようにした。また、おむつの表面シートとして親水化処理されたエアスルー不織布(坪量25g/m2)を用いた。吸収体としては、解繊したパルプと高吸収性樹脂を混合積繊し、台紙で包んだ吸収体を用いた。ファスニングテープとしては、スパンボンド不織布(坪量80g/m2)を基材とするシートに、面ファスナのフック部材(きのこ形状、フック密度256個/cm2、フック高さ0.15mm)を取り付けたものを用いた。その他の部材としては、当該技術分野において公知の材料を用いて使い捨ておむつを得た。
〔実施例2〕
実施例1で用いた不織布に代えて、表1に示す繊維を用いて以下の方法で不織布を製造する以外は実施例1と同様にして不織布を得、以下の方法でおむつを製造する以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。繊維組成は表1に示す芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型熱伸長性複合繊維(繊度4.1dtex、熱伸長率11.4%)60重量%、芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる芯鞘型熱融着性複合繊維(繊度3.3dtex、熱伸長率−1.0%)40重量%を混合して、表1に示す条件で不織布(坪量40g/m2)を得た。得られた不織布を、ロール状に巻回して保存した。その後、不織布をロールから繰り出し、エアスルー方式による熱風の吹き付けで、嵩回復及び繊維の伸長処理を行った。熱風の吹き付け条件は、実施例1と同様とした。熱風の吹き付け後の不織布における繊維の熱伸長率、繊度、ヤング率及び厚み(49Pa荷重下)は表1に示すとおりであった。次いで不織布を、実施例1で用いた裏面シートと同様のシートに貼り合わせた。貼り合わせにおいては、不織布における平坦な面(図4における裏面10b)が裏面シートと対向するようにした。これら以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
〔比較例1〕
実施例1で用いた不織布に代えて、以下の方法で得られた不織布を用い、以下の方法でおむつを製造する以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
芯がポリプロピレンで、鞘が低融点ポリプロピレンからなる芯鞘型熱融着性複合繊維(繊度9dtex、熱伸長率−1.0%)を用い、坪量25g/m2の第1のカードウエブを製造した。これとは別に、芯がポリプロピレンで、鞘が低融点ポリプロピレンからなる芯鞘型熱融着性複合繊維(繊度3.3dtex、熱伸長率−1.0%)を用い、坪量15g/m2の第2のカードウエブを製造した。第2のカードウエブ上に第1のカードウエブを重ね、この積層ウエブを図5に示す装置に供給して不織布を製造した。製造条件は表1に示すとおりである。このとき、第1のカードウエブの表面に凹凸が形成され、第2のカードウエブの表面は平坦になるように、積層ウエブを図5に示す装置に供給した。得られた不織布を、ロール状に巻回して保存した。その後、不織布をロールから繰り出し、エアスルー方式による熱風の吹き付けで、嵩回復及び繊維の伸長処理を行った。熱風の吹き付け条件は、実施例1と同様とした。熱風の吹き付け後の不織布における繊維の熱伸長率、繊度、ヤング率及び厚み(49Pa荷重下)は表1に示すとおりであった。次いで不織布を、実施例1で用いた裏面シートと同様のシートに貼り合わせた。貼り合わせにおいては、不織布における平坦な面(図4における裏面10b)が裏面シートと対向するようにした。これら以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
〔比較例2〕
実施例1で用いた不織布に代えて、表1に示す繊維を用いて以下の方法で不織布を製造する以外は実施例1と同様にして不織布を得、以下の方法でおむつを製造する以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型熱融着性複合繊維(繊度3.3dtex、熱伸長率−0.5%)を用い、表1に示す条件で不織布(坪量40g/m2)を得た。得られた不織布を、ロール状に巻回して保存した。その後、不織布をロールから繰り出し、エアスルー方式による熱風の吹き付けで、嵩回復及び繊維の伸長処理を行った。熱風の吹き付け条件は、実施例1と同様とした。熱風の吹き付け後の不織布における繊維の熱伸長率、繊度、ヤング率及び厚み(49Pa荷重下)は表1に示すとおりであった。次いで不織布を、実施例1で用いた裏面シートと同様のシートに貼り合わせた。貼り合わせにおいては、不織布における平坦な面(図4における裏面10b)が裏面シートと対向するようにした。これら以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた使い捨ておむつについて、ファスニングテープとおむつ外面との剥離力(初期、繰り返し後)を以下の方法で測定した。またおむつ外面の毛羽立ち防止性(初期、繰り返し後)を以下の方法で評価した。更に、おむつ外面の肌触りを以下の方法で評価した。これらの結果を以下の表1に示す。
〔ファスニングテープとおむつ外面との剥離力(初期、繰り返し後)〕
作製した使い捨ておむつから面ファスナーを取り付けたファスニングテープを切り取った。このファスニングテープを、おむつ装着時と同様の付け方となる様に、裏面シート上の不織布に静置した。このとき使い捨ておむつは裏面側を上面として、拡げた状態で平らに作業台上に置いた。次いで、不織布上に置かれた面ファスナーの上を、1kgのローラーを1往復させて、面ファスナーを不織布に圧着させた。ファスナー端部と不織布(使い捨ておむつ)を掴んで、引張試験機によって引張り、面ファスナーが不織布から剥離するのに要する力を測定した。引張速度は300mm/分、n=10で行い、その時の最大点の平均値を初期の剥離力とした。繰り返し付け剥がし後の剥離力は、前記作業を、同じ部材で同じ場所に繰り返し10回行い、最後の10回目の測定値を繰り返し後の剥離力とした。
〔おむつ外面の毛羽立ち防止性(初期、繰り返し後)〕
毛羽立ち防止性については、前記剥離力評価後の不織布の表面を、10人のモニターに目視させ、以下の判断基準によって評価させた。
◎:毛羽立ちなし。
○:毛羽立ちが僅かにあるが明確ではない。
△:毛羽立ちがある。
×:毛羽立ちが多い。
〔おむつ外面の肌触り〕
10人のモニターを対象として、以下の4段階の判定基準で、おむつ外面の手のひらでの触感を評価させた。結果は、10人の平均で示した。
判定基準
4:柔らかく、なめらかな感じがある。
3:やや柔らかい。なめらかな感じが少しある。
2:やや硬い。抵抗感(ざらざら感)が少しある。
1:硬い。抵抗感(ざらざら感)がある。
評価結果
◎:判定平均3.5以上、4以下
○:判定平均2.7以上、3.5未満
△:判定平均1.7以上、2.7未満
×:判定平均1以上、1.7未満
Figure 0005514536
表1に示す結果から明らかなように、実施例のおむつにおいては、ファスニングテープとおむつ外面との剥離力が、初期及び繰り返し後のいずれにおいても、比較例よりも高いことが判る。特に繰り返し後の剥離力の低下が防止されていることが判る。また、実施例のおむつにおいては、おむつ外面の毛羽立ち防止性が、初期及び繰り返し後のいずれにおいても、比較例よりも優れていることが判る。特に繰り返し後の毛羽立ち防止性の低下が防止されていることが判る。更に実施例のおむつは、おむつ外面の肌触りが比較例よりも優れていることが判る。
10 不織布
10 不織布
11 カード機
12 ウエブ
13 エンボス装置
14 彫刻ロール
15 平滑ロール
16 ヒートボンド不織布
17 熱風吹き付け装置
18 凹部
19 凸部
110 使い捨ておむつ
111 表面シート
112 裏面シート
113 吸収体
114 ウエストフラップ
115 レッグフラップ
116 立体ガード形成用シート
117 レッグ弾性ストランド
118 立体ガード
119 立体ガード弾性部材
120 ファスニングテープ
120a 止着手段

Claims (5)

  1. 着用者の肌対向面側に位置する表面シートと、非肌対向面側に位置する裏面シートと、両シート間に介在する吸収体とを備え、実質的に縦長形状であり、長手方向の一方の端部における左右両側縁から側方にそれぞれ延出したファスニングテープを備えた使い捨ておむつであって、
    該ファスニングテープにおける止着部が面ファスナのフック部材からなるとともに、該止着部と係合する不織布からなる被着部が、該裏面シートの表面に設けられており、
    該不織布が、原料として加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維を用いており、
    前記不織布が、融点の異なる2成分を含み、かつ延伸処理されてなる実質的に加熱によってその長さが伸びない非熱伸長性の熱融着性複合繊維を更に含み、
    前記熱伸長性繊維と該熱融着性複合繊維との混合比率(前者/後者)が重量比で20/80〜80/20であり、
    該熱伸長性繊維はその繊維径が、該熱融着性複合繊維の繊維径よりも大きいものである使い捨ておむつ。
  2. 前記熱融着性複合繊維における低融点成分のメルトインデックス(JIS K7210、190℃、2.16kg)が10〜40g/10minである請求項1に記載の使い捨ておむつ。
  3. 前記不織布が、熱エンボス加工によって形成された接合部を有し、該接合以外の部分は構成繊維同士の交点が熱融着しており、該接合が凹部となっているとともに、該凹部間が凸部となっている凹凸形状を有する請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
  4. 前記不織布に用いている熱伸長性繊維のヤング率が0.2〜1GPaである請求項1ないし3のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
  5. 着用者の肌対向面側に位置する表面シートと、非肌対向面側に位置する裏面シートと、両シート間に介在する吸収体とを備え、実質的に縦長形状である使い捨ておむつであって、
    該裏面シートの外面に不織布が配されており、該不織布が、原料として加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維を用いており、
    前記不織布が、融点の異なる2成分を含み、かつ延伸処理されてなる実質的に加熱によってその長さが伸びない非熱伸長性の熱融着性複合繊維を更に含み、
    前記熱伸長性繊維と該熱融着性複合繊維との混合比率(前者/後者)が重量比で20/80〜80/20であり、
    該熱伸長性繊維はその繊維径が、該熱融着性複合繊維の繊維径よりも大きいものである使い捨ておむつ。
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