JP5536723B2 - エポキシ樹脂組成物、成形体及びシート材 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、成形体及びシート材 Download PDF

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Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物、この樹脂組成物により形成した成形体及びシート材に関する。より詳しくは、電子部品の放熱部材、電池の正極材料又は電磁波吸収材などに使用される熱伝導性と導電性を兼ね備えたエポキシ樹脂組成物、成形体及びシート材に関する。
導電性エポキシ樹脂は、燃料電池セパレータなどの成形体、半導体の封止用用途や電池部品搭載用途などの種々の分野で使用されている(例えば、特許文献1,2参照)。例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂と、硬化剤と、尿素誘導体からなる硬化促進剤と、膨張黒鉛を含有する炭素材料とを含有する導電性エポキシ樹脂組成物が提案されている。
また、特許文献2には、ナフタレン型エポキシ樹脂と、1分子中に置換又は非置換のナフタレン環を少なくとも1個以上有するフェニール樹脂硬化剤と、カーボンブラックと、無機充填剤とを含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物が提案されている。
一方、半導体素子等の電子部品の高密化、高集積化及び高出力化等に伴い、これら電子部品からの発熱対策が重要となっている。そこで、従来、導電性と熱伝導性の両方を有する樹脂成形体も提案されている(特許文献3参照)。特許文献3に記載の放熱部材では、シリコーン樹脂又はアクリル樹脂と黒鉛粉末などを含有するシート材において、異方性を有する黒鉛をシートの厚さ方向に配向させることで、熱伝導性を高めている。
特開2006−152170号公報 特開2007−31691号公報 特開2009−94110号公報
しかしながら、前述した従来の技術には、以下に示す問題点がある。即ち、特許文献1に記載のエポキシ樹脂組成物は、特定の構造を有する硬化促進剤を用いることで、混練・成形時の流動性確保を可能としているが、流動性を有する樹脂分の大半であるエポキシ樹脂及び硬化剤の構造を考慮しないと、流動性の向上効果が低いという問題点がある。
また、特許文献2に記載のエポキシ樹脂組成物は、半導体封止剤用途であり、レーザーマーキング性を良好にする目的でカーボンブラックを添加しているため、添加量が少量であり、高い導電性及び放熱性は得られない。これに対して、特許文献3に記載の放熱部材は、優れた熱導電性が得られるが、近年、LED(Light Emitting Diode)などのパワー半導体のように、電子部品からの発熱量が多くなっており、導電性及び放熱性の更なる向上が求められている。
そこで、本発明は、導電性及び放熱性が共に優れたエポキシ樹脂組成物、成形体及びシート材を提供することを主目的とする。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、少なくとも、エポキシ樹脂と、硬化剤と、炭素材とを含有する樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂及び前記硬化剤の一方又は両方がナフタレン構造を有し、前記炭素材は、繊維長が3〜30μmで、アスペクト比が10〜500の繊維状炭素であり、前記炭素材の含有量が、組成物全体で、1〜40質量%のものである。
この樹脂組成物は、前記炭素材の含有量を、組成物全体で、1〜20質量%とすることができる。
また、前記炭素材としては、例えば、炭素繊維及び/又はカーボンナノチューブを使用することができる。
本発明に係る成形体は、前述したエポキシ樹脂組成物を成形したものである。
そして、この成形体は、熱伝導率が例えば0.5〜70.0W/mKであり、表面抵抗が例えば1.0E+16〜0.1Ω/□である。
本発明に係るシート材は、前述したエポキシ樹脂組成物を加熱成形して得たものであり、厚さが10〜500μmである。
本発明によれば、エポキシ樹脂及び/又は硬化剤がナフタレン構造を有し、炭素材として繊維長が3〜30μmで、アスペクト比が10〜500の繊維状炭素を使用しているため、導電性及び放熱性が共に優れたエポキシ樹脂組成物、成形体及びシート材が得られる。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物について説明する。本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも、エポキシ樹脂と、硬化剤と、炭素材とを含有する。そして、エポキシ樹脂及び硬化剤の一方又は両方がナフタレン構造を有しており、炭素材には、六方晶構造又は非晶質構造の炭素粒子又は繊維状炭素であり、かつ平均粒子径又は繊維長が30μm以下のものを使用している。
[エポキシ樹脂]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物に配合されるエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物であればよく、特に、分子中にナフタレン構造やアントラセン構造などの多環芳香族構造を有するものが好ましい。その中でも、ナフタレン構造は、常温で液体であり、炭素材との濡れ性が良好であるため、分子中にナフタレン構造を有するエポキシ樹脂を使用することにより、炭素材の充填率を高め、導電性及び放熱性を向上させることができる。
エポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の配合量は、特に限定するものではないが、得られる硬化体の特性、特に、導電性と樹脂強度の観点から、樹脂組成物全量あたり、30〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜85質量%である。
[硬化剤]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物に配合される硬化剤は、前述したエポキシ樹脂の硬化剤であり、具体的には、フェノールノボラック樹脂、酸無水物樹脂、アミノ樹脂、イミダゾール類などを使用することができる。この硬化剤についても、多環芳香族構造を有するものが好ましく、その中でも、ナフタレン構造を有するものが特に好ましい。これにより、炭素材の充填率を高め、導電性及び放熱性を向上させることができる。
エポキシ樹脂組成物における硬化剤の配合量は、特に限定するものではないが、得られる硬化体の特性、特に、樹脂硬度の観点から、樹脂組成物全量あたり、3.0〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは5.0〜50質量%である。特に、硬化剤がフェノールノボラック樹脂、酸無水樹脂又はアミノ樹脂である場合は、エポキシ樹脂に対して、当量比で0.75〜1.25であることが好ましく、より好ましくは当量比0.8〜1.2である。なお、イミダゾール類などのようにイオン重合により硬化するものについては、当量比は特に限定されない。
[炭素材]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物に配合される炭素材は、六方晶構造若しくは非晶質構造の炭素粒子又は繊維状炭素である。これらは、他の炭素材よりも、樹脂中にてパーコレーション構造を形成しやすく、低充填で導電性及び熱導電性を発現するため、導電性及び熱伝導性が共に優れたエポキシ樹脂組成物が得られる。
このような炭素材としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト粉末、炭素繊維及びカーボンナノチューブなどが挙げられ、これらは単独でも使用することができるが、複数を組み合わせて使用することもできる。また、これらの炭素材の中でも、樹脂との親和性、分散性、導電性及び熱伝導性を向上させるパーコレーション構造の形成しやすさの観点から、カーボンナノファイバーが好適である。
ただし、平均粒子径が30μmを超える炭素粒子、又は、繊維長が30μmを超える繊維状炭素を使用すると、樹脂組成物を成形してシート化する際に、薄膜化が困難となる。よって、本実施形態のエポキシ樹脂組成物に配合される炭素材は、平均粒子径又は繊維長が30μm以下のものとする。
また、炭素材のアスペクト比は、10〜500であることが好ましく、50〜300であることがより好ましい。これにより、少ない充填量で、シート成形物の高導電化及び高熱伝導化を実現することができる。
更に、炭素材の配合量は、導電特性、放熱特性及び成形性の観点から、樹脂組成物全体の1〜40質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。これにより、シート成形物の高導電化及び高熱伝導化を実現することができる。
(その他の成分)
横配向シート3を形成する樹脂組成物には、前述した各成分に加えて、有機溶剤やカップリング剤などが配合されていてもよい。
[製造方法]
次に、前述の如く構成されるエポキシ樹脂組成物の製造方法について説明する。本実施形態のエポキシ樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、前述した各成分を、例えば、万能混合攪拌機、プラネタリーミキサー、ロールミル、ニーダー、バンバリーミキサーなどの公知の方法で、混合又は混練などすればよい。
以上詳述したように、本実施形態のエポキシ樹脂組成物では、ナフタレン構造を有するエポキシ樹脂及び/又は硬化剤を使用しているため、低抵抗でかつ熱伝導率が高い六方晶構造又は非晶質構造の炭素粒子又は繊維状炭素を、高充填することができる。これにより、従来に比べて、導電性及び放熱性を共に向上させることができる。
また、本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、耐溶剤性も兼ね備えているため、電池の正極材料としても好適である。また、電波吸収性能にも優れているため、電磁波吸収材としても使用することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る成形体について説明する。本実施形態の成形体は、前述した第1の実施形態のエポキシ樹脂組成物を成形したものであり、ポッティング剤などの封止剤又はチップなどを搭載する電子包材、トレーなどである。
[熱伝導率:0.5〜70.0W/mK]
本実施形態の成形体の熱伝導率は、0.5〜70W/mKであることが好ましく、より好ましくは、5〜70W/mKである。これにより、放熱特性をより高めることができる。
[表面抵抗:1.0E+16〜0.1Ω/□]
本実施形態の成形体の表面抵抗は、1.0E+16〜0.1Ω/□であることが好ましく、より好ましくは、1.0E+6〜0.1Ω/□である。これにより、導電率をより高めることができる。
[製造方法]
次に、本実施形態の成形体の製造方法について説明する。この成形体の成形方法は、特に限定されるものではなく、例えば、押出成形、射出成形、ロール成形及びプレス成形などの公知の成形方法を適用することができる。
そして、例えば、押出成形機やロールプレス装置を用いて、炭素材が幅方向又は長さ方向に配向しているシートを作製し、それを複数枚積層して成形体としてもよい。その場合、積層前のシートは、Bステージ状態であり、積層後に加熱して、「Cステージ状態」とすることが望ましい。
ここで、「Bステージ状態」とは、樹脂組成物が室温で乾いた状態を示し、高温に加熱すると再び溶融する状態をいい、より厳密には、DSC(Differential Scanning Calorimetry:示差走査型熱量計)を用いて、硬化時に発生する熱量から計算した値で硬化度が70%未満の状態を示す。また、「Cステージ状態」とは、樹脂組成物の硬化がほぼ終了した状態で、高温に加熱しても再度溶融することはない状態をいい、硬化度70%以上の状態をいう。
更に、破断刃などにより、積層体(成形体)を積層方向に垂直な方向に切断することで、厚さ方向に炭素材が配向した成形体を得ることもできる。この成形体は、複数の角柱状配向体が一方向に配列された構成となる。
以上詳述したように、本実施形態の成形体では、炭素材が高充填されているため、導電性だけでなく、放熱性にも優れている。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係るシート材について説明する。本実施形態のシート材は、前述した第1の実施形態のエポキシ樹脂組成物を加熱成形して得た厚さ10〜500μmのシート材である。
[厚さ:10〜500μm]
シート材の厚さが10μm未満の場合、十分なシート強度が得られず、また、500μmを超えると、屈曲性が損なわれると共に、成形時に空隙を含むなどの理由から、各種特性の低下を招く。よって、本実施形態のシート材の厚さは、10〜500μmとする。
[製造方法]
本実施形態のシート材は、前述した第1の実施形態のエポキシ樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂フィルム上に成膜し、加熱することにより得られる。このシート材の成膜方法は、特に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷、ダイコーター、押出成形、射出成形、ロール成形及びプレス成形などの公知の成形方法を適用することができる。
本実施形態のシート材は、炭素材が高充填されているため、導電性だけでなく、放熱性にも優れている。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、下記表1に示す構成のシート材を作製し、その特性を評価した。
<シートの製造方法>
先ず、一次混練を自転公転式撹拌装置により行った後、三本ロールで二次混練を行って、下記表1,2に示す組成のエポキシ樹脂組成物を作製した。次に、ロールプレス又はコーターを用いて、PETフィルム上にエポキシ樹脂組成物を成膜した後、115℃で60分間加熱して、実施例1〜8及び比較例1〜5のシート材を得た。
その際、エポキシ樹脂は、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製 HP−4032D)、環状式ビスA型エポキシ樹脂(三菱化学社製 EP828)、ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製 YX4000)、トリアジン型エポキシ樹脂(日産化学社製 TEPIC−PAS)を使用した。硬化剤にはイミダゾール類(四国化成社製、2E4MZ−CN)を使用した。
炭素材は、カーボンナノチューブ(昭和電工社製 VGCF)、ダイヤモンドを使用した。また、カップリング剤には、シランカップリング剤(東レダウコーニング社製、Z−0640N)を使用し、有機溶剤は、エチルセロソルブを使用した。
次に、前述した方法によって作製した実施例及び比較例のシート材を、以下に示す方法で評価した。
<体積抵抗>
体積抵抗は、JIS K6911に準拠した測定方法により求めた。具体的には、円形電極(φ70)の間で、絶縁抵抗計(川口電気製作所製 R503及びP616)により電気抵抗を測定し、電極形状から体積抵抗率を求めた。その際、電極間に500Vを印加し、1分後の抵抗を測定した。
<表面抵抗>
表面抵抗は、JIS K6911に準拠した測定方法により求めた。具体的には、二重円形電極(φ70、φ50)の間で、絶縁抵抗計(川口電気製作所製 R503及びP616)により電気抵抗を測定し、電極形状から表面抵抗率を求めた。その際、電極間に500Vを印加し、1分後の抵抗を測定した。
<熱伝導率>
熱伝導率は、熱拡散率と熱容量(比重と比熱との積)から求めた。その際、熱拡散率は、キセノンフラッシュ法(Netzch製 LFA447)により測定し、比重はアルキメデス法(水中置換法)により測定した。また、比熱は、DSC法(リガク製 DSC8230)により測定した。
<強度>
強度は、屈曲性により評価した。具体的には、直径10cmの紙管に、シート成形物を巻き付け、巻き付け前後に成形物に割れがないものを○とし、割れがあった又は発生したものを×として評価した。
<外観>
外観は、充填材の凝集物などの異物の有無により評価した。具体的には、異物が発見されなければ○、異物が発見されたものは×とした。
以上の結果を、下記表1,2にまとめて示す。なお、下記表1,2に示すカーボンナノチューブ(CNT)及びダイヤモンド(Diamond)のサイズは、電子顕微鏡(SEM、TEM)により測定した値である。
Figure 0005536723
Figure 0005536723
上記表2に示すように、ナフタレン構造を有しないエポキシ樹脂を使用した比較例1,2のシート材は、抵抗値も高く、屈曲性及び外観も劣っていた。また、ナフタレン構造を有するエポキシ樹脂を使用しているが、繊維長が30μmを超えるカーボンナノチューブを配合した比較例3,4のシート材は、抵抗値が高く、外観も劣っていた。更に、サイコロ状のダイヤモンドを配合した比較例5のシート材は、屈曲性及び外観には問題がなかったが、抵抗値が高かった。
これに対して、本発明の範囲内で作製した実施例1〜8のシート材は、導電性及び放熱性に優れ、更に、強度及び外観も良好であった。これにより、本発明によれば、導電性及び放熱性が共に優れたエポキシ樹脂組成物、成形体及びシート材を実現できることが確認された。

Claims (7)

  1. 少なくとも、エポキシ樹脂と、硬化剤と、炭素材とを含有する樹脂組成物であって、
    前記エポキシ樹脂及び前記硬化剤の一方又は両方がナフタレン構造を有し、
    前記炭素材は、繊維長が3〜30μmで、アスペクト比が10〜500の繊維状炭素であり、
    前記炭素材の含有量が、組成物全体で、1〜40質量%であるエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記炭素材の含有量が、組成物全体で、1〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記炭素材は、炭素繊維及び/又はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を成形した成形体。
  5. 熱伝導率が0.5〜70W/mKであることを特徴とする請求項に記載の成形体。
  6. 表面抵抗が1.0E+16〜0.1Ω/□であることを特徴とする請求項4又は5に記載の成形体。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を加熱成形して得た厚さ10〜500μmのシート材。
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