JP5572939B2 - Dnaの塩基配列決定法 - Google Patents

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本発明は、DNAの塩基配列決定法に関し、さらに詳しくは、サイクルシークエンス反応を用いたDNAの塩基配列決定法に関する。
DNAの塩基配列決定法として、サイクルシークエンス反応を利用した塩基配列決定法がある。サイクルシークエンス反応は、デオキシ反応とPCRを組み合わせた反応であり、塩基配列決定の目的とするDNAに相補的で鎖長の異なるDNAフラグメント群が得られる。このDNAフラグメント群を電気泳動により鎖長の違いにより分離し、例えば、レーザー光を照射して塩基毎に波長の異なる蛍光を検出することにより、目的とするDNAの塩基配列を決定する。
サイクルシークエンス反応では、より具体的には、塩基配列の決定を目的とするDNA(鋳型DNA)を、鋳型DNAの一部と相補的なプライマー、耐熱性DNAポリメラーゼ、反応基質として、4種の塩基毎のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTPs)、4種の塩基毎のジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(ddNTPs)及び金属イオンを含む適当なバッファに加え、DNAの変性工程、プライマーのDNAへのアニーリング工程、及び、鋳型DNAの相補鎖の伸張工程からなる温度サイクル工程を数十回繰り返す。ここで伸張工程では、耐熱性DNAポリメラーゼによって鋳型DNAの相補鎖の3’末端へ反応基質の取り込みが起こり相補鎖の伸張がされるが、反応基質としてddNTPsが取り込まれた場合に相補鎖の伸張が停止する。結果、サイクルシークエンス反応産物として、鎖長の異なるDNAフラグメント群が得られる。
サイクルシークエンス反応産物の解析は、近年、毛細管式電気泳動装置や基板内にキャピラリー流路が形成されたマイクロチップを用いた電気泳動装置の普及により、これらの所謂キャピラリー電気泳動装置を用いた分離及び検出が主流となっている。特許文献1では、アクリルアミドゲル板を用いた電気泳動によって分離及び検出を行うDNAの塩基配列決定法において、検出信号強度を高めるために、アミノ酸改変を行ったDNAポリメラーゼ、及び、フルオレセイン系蛍光色素で各々標識されたddNTPsを用い、さらに、dNTPsとddNTPsの混合モル比を最適化することを開示している。一方、キャピラリー電気泳動装置を用いた場合、ゲル板電気泳動に比べて電気泳動に供する試料が極微量であるため、信号強度を上げるための更なる工夫が必要となる。
特開平9−271400号公報
そこで、上記の問題に鑑み、本発明の目的は、サイクルシークエンス反応を用いたDNAの塩基配列決定法において、特にキャピラリー電気泳動装置を用いてサイクルシークエンス反応産物を解析する場合でも検出信号強度の高いDNAの塩基配列決定法を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、塩基配列を決定すべきDNAを含む試料溶液に対して加熱処理および冷却処理を行った後に、サイクルシークエンス反応に必要な物質を混合し、サイクルシークエンス反応を行うことにより、上記本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の発明を含む。
(1)プライマー、4種の塩基毎のデオキシリボヌクレオシド三リン酸、4種の塩基毎のジデオキシリボヌクレオシド三リン酸、及び、耐熱性DNAポリメラーゼを含むサイクルシークエンス反応に必要な混合物質と塩基配列を決定すべきDNAの存在下、前記塩基配列を決定すべきDNAの相補鎖のDNAフラグメント群を増幅するサイクルシークエンス反応を行い、サイクルシークエンス反応によって合成された鎖長の異なるDNAフラグメント群を解析して塩基配列を決定する、DNAの塩基配列決定法において、
(i)前記塩基配列を決定すべきDNAを含む試料溶液を80℃以上、100℃未満の温度で保持して加熱処理する工程、
(ii)加熱処理した試料溶液を、0℃以上、10℃以下の温度に前記加熱処理終了後1分以内で冷却することを特徴とする冷却処工程、及び、
(iii)冷却処理した試料溶液に、前記サイクルシークエンス反応に必要な混合物質を添加して、サイクルシークエンス反応を行う工程、
を含むDNAの塩基配列決定法。
(2)前記加熱処理が加熱温度で10秒以上、10分以下保持することを特徴とする、(1)に記載のDNA塩基配列決定法。

前記プライマーが、ヌクレオチドのみからなるプライマーである場合に、前記サイクルシークエンス反応に必要な混合物質のうちプライマーは前記工程(i)において試料溶液に添加して加熱処理を行う、(1)又は(2)のいずれかに記載のDNAの塩基配列決定法。
本発明では、サイクルシークエンス反応を用いたDNAの塩基配列決定法において、配列を決定すべきDNA、すなわち鋳型DNAについて80℃以上、100℃未満の温度で保持して加熱処理することによって、サイクルシークエンス反応産物の解析の際に信号強度を上げることができる。これは、鋳型DNAにこのような加熱処理を施すことにより、鋳型DNAを充分に解離、変性状態とさせることが可能となり、サイクルシークエンス反応のアニーリング工程におけるプライマーのアニーリング効率が上がり、結果、サイクルシークエンス反応産物の収量も上がるためと考えられる。さらに、本発明の加熱処理は、耐熱性DNAポリメラーゼ、蛍光色素で標識された基質、もしくは蛍光色素で標識されたプライマーの非存在下で鋳型DNAに対して行う。そのため、加熱による酵素活性の低下や、蛍光色素の分解を招くことなく、鋳型DNAに対して充分な加熱処理を施すことができる。
また、サイクルシークエンス反応産物の解析において信号強度を上げるためには、サイクルシークエンス反応において、鋳型DNA量を上げることや、温度サイクル数を増やすことも考えられる。しかしながら、鋳型DNA量を上げると、電気泳動により反応産物を解析する場合に、分離度が落ちる、ノイズが増える、バックグラウンドが高くなるといった問題がある。また、温度サイクル数を増やす場合は、反応時間の増加が避けられず、また好ましくない副産物の増幅といった虞がある。一方、本発明におけるDNAの塩基配列決定法においては、鋳型DNAに対して加熱処理を行うだけで、分離度の低下、ノイズやバックグラウンドの増加を伴うことなく、サイクルシークエンス反応産物の解析において信号強度を上げることが可能である。
本発明で使用する塩基配列を決定すべきDNAは、配列決定の目的とするDNAが、M13ファージベクターやpUC系プラスドベクターなど塩基配列決定に適したベクターに組み込まれたものとして用意することができる。以下、配列決定の目的とするDNAが組み込まれたベクターを、単に鋳型DNAということがある。
サイクルシークエンス反応に必要な混合物質としては、少なくとも、プライマー、4種の塩基毎のデオキシリボヌクレオシド三リン酸、4種の塩基毎のジデオキシリボヌクレオシド三リン酸、及び、耐熱性DNAポリメラーゼが含まれる。
プライマーとしては、塩基配列決定の目的とするDNA領域3’上流側の鋳型DNAの一部と相補的なオリゴヌクレオチドを用いる。プライマーの塩基数としては、例えば10〜30程度であり、周知の方法で合成したオリゴヌクレオチド、天然由来のオリゴヌクレオチドを問わない。プライマーとしては、ヌクレオチドのみからなるプライマーに限らず、5’末端が各種蛍光物質で標識された標識プライマーを使用することができる(Dye Primer法)。
耐熱性DNAポリメラーゼとしては、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性が欠失した耐熱性DNAポリメラーゼを用いることが好ましい。さらに好ましくは5’→3’エキソヌクレアーゼ活性及び3’→5’エキソヌクレアーゼ活性いずれをも欠失した耐熱性DNAポリメラーゼを用いる。具体的には、Stoffelフラグメント、Bca BEST(登録商標)DNAポリメラーゼ(Takara社製)、ΔTth(登録商標)DNAポリメラーゼ(東洋紡社製)、Gene Taq DNAポリメラーゼ、ΔTaq(登録商標)DNAポリメラーゼなどが挙げられる。
サイクルシークエンス反応の基質として、4種の塩基毎のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP,dCTP,dGTP及びdTTP;以下総称して、dNTPsということがある)、及び、各dNTPのアナログであるジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(ddATP、ddCTP、ddGTP、及びddTTP;以下総称して、ddNTPsということがある)を用意する。ここで、ddNTPsは、各種蛍光物質で標識された標識ddNTPsを用いることができる。蛍光物質は、4種の塩基毎に、異なる波長の蛍光を発する蛍光物質で標識されていても、同一の波長の蛍光を発する蛍光物質で標識されていてもよい(Dye Terminator法)。
サイクルシークエンス反応に必要な混合物質を溶解する溶媒としては、サイクルシークエンス反応時の反応系のpHが用いる耐熱性DNAポリメラーゼのポリメラーゼ活性の至適pH範囲内に調整することのてきる適当な緩衝液を用いる。緩衝液としては、Tris-HClバッファー、Tris-acetateバッファー、HEPES-KOHバッファー、リン酸バッファーなどを用いることができる。サイクルシークエンス反応時の反応系には、鋳型DNA、サイクルシークエンス反応に必要な混合物質の他、Mg2+、Kなどの金属イオンが含まれる。さらに、ポリメラーゼ活性を高めるために2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトールなどのSH還元剤などが適宜添加されていてもよい。
サイクルシークエンス反応を行う溶液中の鋳型DNA、サイクルシークエンス反応に必要な混合物質の各濃度は実施者が適宜調整することができる。
サイクルシークエンス反応に必要な混合物質としては、市販のサイクルシークエンス反応試薬キットを用いることができる。例えば、Dye Terminator法シークエンシングキットとして、BigDye(登録商標) Terminators v1.1 Cycle Sequencing Kit、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit 、dRhodamine Terminator Cycle Sequencing Kits、dGTP BigDye Terminator Cycle Sequencing Kits(アプライドバイオシステムズ社製)、DYEnamic ET Terminator Cycle Sequencing Kit (GE ヘルスケア社製)が挙げられる。Dye Primer法サイクルシークエンシングキットとしては、BigDye Primer Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(アプライドバイオシステムズ社製)、Thermo Sequenase Primer Cycle Sequencing Kit(GE ヘルスケア社製)が挙げられる。
次に、本発明のDNAの塩基配列決定法の操作工程を説明する。図1は、本発明の一実施形態であるDNAの塩基配列決定法のフローチャートを示し、塩基配列を決定すべきDNAを含む試料溶液を加熱処理する工程(ステップ1;S1)、加熱処理した試料溶液を冷却処理する工程(ステップ2;S2)、冷却処理した試料溶液に、サイクルシークエンス反応に必要な混合物質を添加し(ステップ3;S3)、サイクルシークエンス反応を行う工程(ステップ4;S4)、及び、サイクルシークエンス反応産物を解析する工程(ステップ5;S5)とから成る。
[S1.加熱処理工程]
塩基配列を決定すべきDNAを含む試料溶液に対して、80℃以上100℃未満の温度に保持することにより加熱処理を行う。ここで、100℃未満とは試料溶液が沸騰しない状態であればよいことを指し、より好ましくは99℃以下である。試料溶液の溶媒としては、純水、もしくは、適当な緩衝液、例えば上述したサイクルシークエンス反応用の溶媒を用いることができる。加熱処理の操作としては、試料溶液の入った例えば反応チューブを、温水浴に入れることにより行ってよいし、サーマルサイクラーによる温度制御により行ってもよい。加熱処理の条件としては、より好ましくは、加熱温度において10秒以上、10分以内保持する。より好ましくは、95℃以上100℃未満、10秒以上、5分以内保持する。加熱処理は、加熱温度を80℃以上で行うことにより、複雑な立体構造をもつ鋳型DNAについて充分に変性させることができ、特に2本鎖環状の鋳型DNAを用意した場合に有効である。一般的なDNAの融解温度(Tm)が70℃台であることからそれを超える80℃以上で加熱することでDNAを変性状態とすることに有効であると考えられる。加熱温度を100℃未満とすることで、熱によるDNAの損傷を防ぐことができる。特に、加熱処理温度を95℃以上とすることにより、鋳型DNAを短時間で解離、変性状態にすることができる。
ここで、本加熱処理工程において、サイクルシークエンス反応に必要な混合物質は試料溶液に含まない。ただし、プライマーとして標識プライマーでない、オリゴヌクレオチドのみからなるプライマーを用いる場合は、試料溶液に添加されていてもよい。このため、耐熱性DNAポリメラーゼの活性の低下や、標識プライマーもしくは標識ddNTPsに結合した蛍光色素等標識物質の分解を防ぎながら、鋳型DNAを充分に変性状態とさせることができる。なお、金属イオン、SH還元剤など、加熱により分解等の影響を受けない物質も、本加熱処理工程において試料溶液に含まれてもよいことは当然に解釈できる。
[S2.冷却処理工程]
加熱処理後の試料溶液に対して冷却処理を行う。冷却処理の条件としては、加熱処理後に急速に冷却することが好ましく、冷却温度が、0℃以上、10℃以下、より好ましくは0℃以上、5℃以下に、加熱処理終了後1分以内に冷却することが好ましい。加熱処理後に試料溶液を10℃以下に急冷することにより、鋳型DNAを変性状態に近い状態を保つことができると考えられる。冷却工程の操作としては、試料溶液の入った反応チューブを、氷水浴、もしくは、氷浴に入れることにより行ってよいし、サーマルサイクラーによる温度制御により冷却処理を行ってもよい。数十μlオーダの試料溶液の場合、加熱処理後速やかに氷水浴中に反応チューブを投入する、もしくは、サーマルサイクラーの温度設定を冷却温度に設定することにより、数秒から1分以内に冷却温度まで試料溶液を保つことができる。サーマルサイクラーを用いた場合、上述した加熱処理工程、冷却処理工程、及び、後に続くサイクルシークエンス反応工程を、一貫してサーマルサイクラーによって行うことが可能で、簡便な操作となる。
[S3及びS4.サイクルシークエンス反応に必要な混合物質を添加し、サイクルシークエンス反応を行う工程]
冷却処理を行った試料溶液に対して、サイクルシークエンス反応に必要な混合物質、すなわち、プライマー、耐熱性DNAポリメラーゼ、dNTPs、ddNTPsを添加する。前段の加熱処理工程で用意した試料溶液にサイクルシークエンス反応用溶媒を用いなかった場合は、サークルシークエンス反応用溶媒を添加しサイクルシークエンス反応に適したpHに調整する。プライマーに関しては、前述の通り、上述した標識プライマーを用いない、すなわち、ヌクレオチドのみからなるプライマーを用いる場合は、加熱処理工程において試料溶液に添加されて、目的とするDNAとともに加熱処理に供してもよい。金属イオン、SH還元剤など、加熱により分解等の影響を受けない物質に関しては、加熱処理工程に供される試料溶液に添加されていなかった場合、本サイクルシークエンス反応工程の際に添加される。添加の操作としては、冷却処理を行った試料溶液とサイクルシークエンス反応に必要な混合物質、そのほか添加される物質が混合状態となればよく、溶液間の添加の順序は問わない。
サイクルシークエンス反応の温度条件としては、変性工程、アニーリング工程及び伸張工程からなる温度サイクルを、通常、25〜40回程度繰り返す。一般的に、変性工程は、96℃で10秒、アニーリング工程は50℃で5秒、伸張工程は60℃で2分行う。最初の変性工程(プレヒーティング)は、鋳型DNAの変性を充分に行うため、1分〜10分程度の長めの時間を設定することが可能である。本サイクルシークエンス反応工程により、サイクルシークエンス反応産物として、塩基配列の決定を目的とするDNAと相補的で鎖長の異なるDNAフラグメント群が合成される。
このようにして、本発明においては、加熱処理及び冷却処理を行った鋳型DNAに対してサイクルシークエンス反応を行うため、鋳型DNAを充分に変性状態とし、アニーリング工程においてプライマーが鋳型DNAに接近しやすくなり、アニーリング効率の向上することが考えられる。このサイクルシークエンス反応効率の向上の結果、サイクルシークエンス反応産物の収量の向上が達成されると考えられる。
サイクルシークエンス反応工程の後、サイクルシークエンス反応産物は精製処理を行う。精製方法としては、エタノール沈殿法、ゲルろ過等、作業者が適宜選択し使用することができる。また、市販のDNA精製キットを用いることができる。
[S5.サイクルシークエンス反応産物の解析]
得られたサイクルシーケンス反応産物の解析は、電気泳動により鎖長の違いでもってDNAフラグメント群を分離し、Dye Primer法においては標識プライマーの標識物質からの、Dye Terminator法においては標識ddNTPs由来の標識物質からの蛍光信号を検出し、検出信号に基づいて塩基配列決定を行う。電気泳動方法は特に限定されず、1塩基の違いを分離できる、変性ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動のほか、キャピラリー電気泳動装置を用いることができる。具体的には、例えば毛細管式電気泳動装置であるRISA(登録商標、島津製作所製)、マイクロチップ電気泳動装置としてDeNOVA(登録商標)-5000HT(島津製作所製)を用いることができる。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
配列決定の目的とするDNAとして、pUC18 DNA 300ng(50ng/μl×6μl),及び、プライマー(5’− CGCCAGGGTTTTCCCAGTCACGAC −3’:配列番号1)3.2pmol(1pmol/μl×3.2 μl)を、BigDye(登録商標) Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kitに付属のSequencing Buffer3.5μl及びMilliQ水6.3μlに混合して、反応チューブに試料溶液を調整した。反応チューブを98℃の温浴に3分入れることで試料溶液の加熱処理を行った後、直ちに反応チューブを氷水浴に入れることにより冷却処理を行った。この冷却処理により、試料溶液は、加熱温度から1分以内に氷水温度に冷却されたものと考えられる。本冷却処理を行った試料溶液に対して、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit Ready Reaction Premix 1μlを添加し、総量20μlのサイクルシークエンス反応用混合液を調整した。この混合液について、96℃で1分のプレヒーティング工程の後、96℃で10秒(変性工程)、50℃で5秒(アニーリング工程)、及び、60℃で2分(伸張工程)からなる温度サイクルを40回繰り返すことによりサイクルシークエンス反応を行った。
サイクルシークエンス反応産物を、DNA精製キット AutoSeq G-50(GE ヘルスケア バイオサイエンス)を用いて精製後、精製回収溶液を試料希釈液P3Eローディングバッファ(島津製作所製)で希釈し、電気泳動に供した。電気泳動は、マイクロチップ電気泳動装置を用いた。泳動条件は次の通りである。
マイクロチップ:巾90μm×深さ40μmの流路を内部に有する石英板
分離媒体:改変P3E泳動ポリマー(島津製作所製)
泳動緩衝液:P3Eランニングバッファ(島津製作所製)
サンプルインジェクション条件:50V/cm、10sec
泳動条件:225V/cm、60℃
[比較例]
比較例として、実施例1において、加熱処理及び冷却処理を行わないこと以外は、実施例と同じ条件でサイクルシーケンス反応及び電気泳動を行った。
図2のa)に、比較例で得られたエレクトロフェログラムを示し、b)に本発明の実施例で得られたエレクトロフェログラムを示す。横軸がスキャン数、縦軸が信号強度である。図から明らかなように、a)では信号強度が低いのに対して、本実施例であるb)は信号強度が高く、また、SN比も高いことが言える。このように、本発明におけるDNAの塩基配列決定法は、サイクルシークエンス反応において通常されるプレヒーティングを行った例に対しても、飛躍的に高い信号強度を得ることができることが確認できた。
本発明の一実施形態であるDNAの塩基配列決定法を示すフローチャートである。 a)は比較例で得られたエレクトロフェログラムであり、b)は本発明の実施例で得られたエレクトロフェログラムである。

Claims (3)

  1. プライマー、4種の塩基毎のデオキシリボヌクレオシド三リン酸、4種の塩基毎のジデオキシリボヌクレオシド三リン酸、及び、耐熱性DNAポリメラーゼを含むサイクルシークエンス反応に必要な混合物質と塩基配列を決定すべきDNAの存在下、前記塩基配列を決定すべきDNAの相補鎖のDNAフラグメント群を合成するサイクルシークエンス反応を行い、サイクルシークエンス反応によって合成されたDNAフラグメント群を解析して塩基配列を決定する、DNAの塩基配列決定法において、
    (i)前記塩基配列を決定すべきDNAを含む試料溶液を80℃以上、100℃未満の温度で保持して加熱処理する工程、
    (ii)加熱処理した試料溶液を、0℃以上、10℃以下の温度に前記加熱処理終了後1分以内で冷却することを特徴とする冷却処工程、及び、
    (iii)冷却処理した試料溶液に、前記サイクルシークエンス反応に必要な混合物質を添加して、サイクルシークエンス反応を行う工程、
    を含むDNAの塩基配列決定法。
  2. 前記加熱処理が加熱温度で10秒以上、10分以下保持することを特徴とする、請求項1に記載のDNAの塩基配列決定法。
  3. 前記プライマーが、ヌクレオチドのみからなるプライマーである場合に、前記サイクルシークエンス反応に必要な混合物質のうちプライマーは前記工程(i)において試料溶液に添加して加熱処理を行う、請求項1又は2のいずれかに記載のDNAの塩基配列決定法。
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