JP5572957B2 - コークス炉燃焼室のガス量調整方法およびコークスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃焼室に与える燃料ガスの燃焼室毎の流量バランスを、機側に設置されたガスコックの開度で調整するコークス炉燃焼室のガス量調整方法およびコークスの製造方法に関するものである。
従来の燃焼ガスコック調整方法は、例えば、特許文献1に開示されたような方法が行われている。すなわち、目標火落時間と実績火落時間との偏差に応じた最適な燃料ガス流量や空気流量を各々の燃焼室に供給して、炭化室間で火落時間と置き時間をほぼ同一時間にするために、火落時間の標準偏差を用いて予め定めた目標火落時間と実績火落時間との偏差の大きさを制約して窯毎燃料ガス設定流量を計算し、窯毎燃料ガス設定流量より燃料ガスコック間流量のばらつきを最小にして乾留サイクル内の炉団に供給する燃料ガス流量を一定にするような燃料ガスコック設定流量を求め、炉団に供給する燃料ガス流量や、燃料ガスコックの開度を修正している。
特開平11−35946号公報
しかしながら、特許文献1に開示された従来の燃焼ガスコック調整方法では、ガスコック開度とガス流量の関係が固定されており、ガス配管内の汚れ付着等による流量変化等の影響を直接受けてしまい、長期に渡り炭化室間の火落時間ばらつきを低減するための調整を持続することは困難であった。
さらに、窯毎の装炭量は、コークス炉によっては窯により、また期間によりダイナミックに変化する。窯毎のバラツキを抑制する観点からは、窯毎の装炭量を均一に揃えるのが望ましいが、生産効率を上げる観点からは、該当窯が許容できるだけの原料炭を装炭した方が良いからである。この場合、ある燃焼室から見た熱容量が燃焼室毎に大きく異なり、機側コックの最適調整開度を決定する場合の外乱となる。
本発明は、このような問題を鑑みなされたものであり、ガス配管の管路抵抗等の経年変化に依らず、次回のガスコック開度調整時の開度最適値を導出する、コークス炉燃焼室のガス量調整方法及びこの方法によって燃焼室のガス量を調整する工程を含むコークスの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、発明者らは機側コックの最適調整開度を決定する際に、燃焼室から見た熱容量を正しく把握する必要があるという知見を得た。そして、その知見に基づき、燃焼室自体の熱容量と両隣に位置する窯(炭化室)の熱容量、さらにそこに装炭された原料炭が乾留されるまでの熱容量を窯毎に把握して、コック開度調整による、火落ち時間・燃焼室温度への影響係数を正しく見積り、機側コックの最適調整量算出の際にその影響を考慮するという本発明を想到したのである。
本発明の請求項1に係る発明は、燃焼室に与える燃料ガスの燃焼室毎の流量バランスを、機側に設置されたガスコックの開度で調整するコークス炉燃焼室のガス量調整方法であって、過去の燃焼室毎の開度調整実績および炭化室毎の原料炭装入量実績から開度調整前後の各炭化室の火落時間の変化量への影響係数を逐次同定し、その逐次同定結果より、次回調整後の炭化室間の火落時間のばらつきを所定範囲内とする各ガスコックの開度調整値を算出することを特徴とするコークス炉燃焼室のガス量調整方法である。
また本発明の請求項2に係る発明は、燃焼室に与える燃料ガスの燃焼室毎の流量バランスを、機側に設置されたガスコックの開度で調整するコークス炉燃焼室のガス量調整方法であって、過去の燃焼室毎の開度調整実績および炭化室毎の原料炭装入量実績から開度調整前後の各燃焼室の燃焼室温度変化量への影響係数を逐次同定し、その逐次同定結果より、次回調整後の燃焼室間の燃焼温度のばらつきを所定範囲内とする各ガスコックの開度調整値を算出することを特徴とするコークス炉燃焼室のガス量調整方法である。
さらに本発明の請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のガス量調整方法を用いて燃焼室のガス量を調整する工程を含むことを特徴とするコークスの製造方法である。
上記課題を解決するための手段を講じた結果、本発明は、各燃焼ガス配管の管路抵抗等の個別の経年変化に容易に対応するとともに、炭化室毎に装炭量が大きく異なる際にも、各ガスコック開度と炭化室の装炭重量から各炭化室の火落時間や各燃焼室の燃焼温度の関係を同定することが出来るようになった。また、得られた関係式から、炭化室間の火落時間偏差(ばらつき)や燃焼室間の燃焼温度偏差(ばらつき)を抑制する各燃焼ガスコック開度の最適値を演算により導くことができるようになったので、結果として炭化室毎のバラツキを抑制でき、コークス炉でコークスを製造するにあたり、平均値としての乾留熱量を大幅に低減できるという効果もある。
本発明の処理フローの一例を示す図である。 コークス炉の燃焼室と炭化室、およびガスコックの関係を示す図である。 ガスコックiを調整したときの、各炭化室の火落時間分布変化を示す図である。 本発明の処理フローの一例を示す図である。
実施形態1.
図2は、コークス炉の燃焼室と炭化室、およびガスコックの関係を示す図である。本発明に関わる構成要素に限定して簡略化して表したものである。コークス炉では、原料炭をN個の炭化室(図2中のD、D、…、D、…、D)の天井部から装炭し、炭化室両側に位置するN+1個の燃焼室(図2中のF、F、…、F、…、FN+1)の熱により乾留することにより、コークスを製造する。
乾留時間は、発生ガス温度が最高温度に到達した後に、揮発分が全て揮発するまでの火落時間と、その後の置時間に分けられる。置時間は、出来たコークスを安定して押し出すために必要な時間であり、通常数時間を必要とする。操業上は、乾留時間の大部分を占める火落時間を目標通りに制御することが重要である。このコークスの火落時間の調整は、コークス炉の操業を管理するためのプロセスコンピュータを用いて、炭化室や燃焼室の状態を監視し、50前後ある(上述のN+1個、N個)燃焼室・炭化室単位(炉団)での自動制御が行われる。
即ち、プロセスコンピュータを用いて、炉団全体の燃焼温度平均が管理され、これが目標燃焼温度になるように、炉団全体に供給するガス量が制御される。しかしながら、コークス炉操業を安定に維持し、乾留熱量を低減するためには、炉団平均の管理だけでなく、各燃焼室の燃焼温度のばらつきを極力低減することが必要である。
何故なら、未乾留のコークスを作らない操業を行うためには、燃焼温度が最も低く、結果的に火落時間の最も遅い炭化室を基準にして、他の炭化室の火落時間をそれに合わさなければならないからである。この結果、火落時間の早い炭化室には余計な熱量が費やされ、最終的に乾留熱量の増大、つまりエネルギーのロスを招くこととなる。
したがって、それを防ぐために、各燃焼室には、燃焼ガス流量を調整するガスコック(図2中のC、C、…、C、…、CN+1)が設置されており、これにより各燃焼室の温度を調整し、間接的に炭化室毎の乾留時間差、つまり炭化室間のばらつきを調整している。
しかしながら、従来のコック調整は運転員の試行錯誤レベルで行われているか、前述した特許文献1に示された方法で調整されているため、上述した課題は残ったままである。さらに、窯毎の装炭量を変えたり、期間によって装炭量を変える操業にも対応できない。
本発明では、この課題を解決するために、各ガスコックの開度調整時の開度変更量と原料炭の装炭重量と、その後の火落時間変化を炭化室・燃焼室毎に管理し、開度変更量と原料炭の装炭重量とから火落時間変化への影響係数を逐次同定し、得られた各ガスコック開度と各乾留室の火落時間偏差の関係から、次回調整後の各乾留室の火落時間偏差を抑制(例えば、偏差を0)するような、各ガスコック開度の調整推奨値を算出する。なお、装炭重量と火落時間の実績データは、1つの実績データを用いても適用可能であるが、各データのバラツキを低減させるという点で効果的なので、以下では、複数の実績データの平均値を用いる例を説明する。
以下に、本発明の処理の流れについて図を用いて説明する。図1は、その処理フローの一例を示したものである。
押出し作業毎に、発生ガス温度が最高温度に到達し、揮発分が全て揮発して火落ちと判定されるまでの火落時間の実績値と原料炭の装炭重量、乾留するまでに投入した熱量、昇温量などを記憶装置(例えば、図2に示す操業実績データ記憶装置)に保存しておく(ステップS1)。
そして、記憶装置に記憶された火落ち時間の実績値データを読み込み、各炭化室について、すなわち、i番目(i:炭化室番号、i=1〜N)の炭化室について、前回のガスコック開度を調整する前後での火落時間の平均値の変化量を算出する(ステップS2)。
具体的には、炭化室毎に、ガスコック開度を調整する前の火落時間を、押出し作業回数(1回または複数回分)で平均した調整前の火落時間平均NCT[調整前]と、ガスコック開度を調整した後の火落時間を、押出し作業回数(1回または複数回分)で平均した調整後の火落時間平均NCT[調整後]を算出する。そして、ガスコック開度調整後の火落時間平均NCT[調整後]の、ガスコック開度調整前の火落時間平均NCT[調整前]に対する変化量ΔNCTi(=NCT[調整後]-NCT[調整前])を求める。
なお、火落時間平均を算出する時に用いる押出し作業回数は、特に限定するものではないが、例えば、ガスコック開度を調整してから次に調整するまでの期間(例えば、1週間程度)の回数であり、その回数分の火落時間を平均するのがよい。すなわち、ガスコック開度調整前の火落時間平均は、前々回のガスコック開度調整後から前回のガスコック開度調整をするまでの期間の平均とし、ガスコック開度調整後の火落時間平均は、前回のガスコック開度調整後から今回のガスコック開度調整をするまでの期間の平均とするのがよい。
次に、記憶装置や操業管理用計算機などから、過去に調整された各燃焼室のガスコック開度の変更量実績値Δf(=i番目の燃焼室の調整後開度−i番目の燃焼室の調整前開度、i:燃焼室番号、i=1〜N+1)と、i番目の燃焼室の両隣の炭化室に対する、過去に装炭された質量総和Mi を入力する(ステップS3)。
そして、炭化室に装炭された重量Miと、該当燃焼室およびその両端に位置する乾留室自体の熱容量A、原料炭が乾留するまでの平均比熱αとから、i番目の燃焼室の熱容量Qiを下記(1)式により、算出する。
Qi = A + α・Mi ・・・・・・(1)
なお、A、αは予め算出した定数であり、例えば、過去の操業データから求めればよい。具体的には、Aは、燃焼室や炭化室を構成している材質(レンガなど)の比熱に、構成材料の使用量(質量、体積など)を乗算する。αは、投入した熱量を、そのときの原料炭の昇温量ΔTと装入炭重量Miとで除算することによって、算出して決定すればよいが、特に算出方法は限定するものではない。
また、装炭重量Miも、前述の火落時間と同様に、実績値の平均値を用いるのが、バラツキが低減されると言う点で好ましい。平均を求めるにあたっては、同様に、ガスコック開度を調整してから、次に調整するまでの期間の平均を求めるのがよい。
そして、ステップS2で求めた火落時間の変化量ΔNCTi(=NCT[調整後]-NCT[調整前])と、ステップS3で入力したi番目の燃焼室のガスコック開度変更量Δfと熱容量Qiとから、次の(2)式で示される関係により、影響係数(a,b)を逐次同定する(ステップS4)。
Figure 0005572957
なお、Qbaseは、該当燃焼室から見た基準装炭量時の基準熱容量であり、両端の化室に装入する原料炭の重量総和の基準値をMとしたときに、下式(3)で表される値であり、予め算出され、設定された固定値(定数)である。
Qbase = A + αM ・・・・・・(3)
ここで、重量総和の基準値とは、定格重量と呼ばれる値であり、例えば、設計上、操業効率が良いとされている装炭重量である。また、過去の操業実績の平均などでもよい。
図2に示したように、i番目(i=1〜N+1)のガスコックCを閉方向に変更した場合には、i番目の燃焼室に流入するガスは減少するので、燃焼室温度が下降する。この結果、図3のように、i−1番目,i番目の炭化室Di−1、Dの火落時間が長くなる方向にシフトすることが予測される。
その影響係数を、(2)式では a としている。一方、炉団全体のガス流量は一定のため、i番目の燃焼室Fiに流入するガスが減少することにより、他の燃焼室へのガス流量は増加する。この結果、i−1番目,i番目以外の炭化室の火落時間は若干短くなる方向にシフトする。(2)式では、その係数を b としている。
一方、装炭重量に関しては、装炭重量が基準値より多い場合には火落時間が長くなる方向にシフトすることが予測される。本発明では、装炭重量の炭化室ごとのバラツキを考慮しようとするものである。
さて、(2)式は未知パラメータが (a,b)の2個、式数がN個あることより、(a,b)を決定するためには通常の最小二乗法を適用する。数式的には、(2)式を a,b について括り直した以下の(4)式の係数行列の一般化逆行列を左から掛けることにより、解が得られる。
Figure 0005572957
次に、ステップS4で求めた、影響係数a,bに基いて、次回のガスコック開度調整時に、炭化室間での火落時間のばらつきを抑制するためのガスコック開度の調整量(変更量)を算出する(ステップS5)。ここでは、前回のガスコック調整で得られた、各炭化室毎の火落時間平均NCT[調整後](i=1〜N)を、炉団全ての炭化室(i=1〜N)で平均した火落時間炉団平均NCT´(NCT´=(NCT[調整後]1+NCT[調整後]・・・+NCT[調整後]N)/N))に一致させるための、次回のガスコック開度の調整量を算出する。
具体的には、各炭化室の火落時間平均NCT[調整後](i=1〜N)の、炉団火落時間平均NCT´に対する偏差ΔNCT´i(=NCTi−NCT、偏差0は炉団平均値を意味)をそれぞれ、[ΔNCT´ ΔNCT´ ΔNCT´・・・ΔNCT´・・・ΔNCT´]とすると、次回のガスコック調整の結果による各炭化室の火落時間平均の変化量ΔNCT(i=1〜N)がそれぞれ、[-ΔNCT´ -ΔNCT´ -ΔNCT´・・・-ΔNCT´・・・-ΔNCT´]となるようにガスコックを調整する。これにより、各炭化室とも火落時間平均NCT[調整後](i=1〜N)の炉団火落時間平均NCT´との偏差が0となると予測される。
従って、前述の(4)式により求めた影響係数(a,b)を、次に示す(5)式に代入して、次回の最適開度変更量Δgi(i=1〜N+1)について解くことにより、次回の操業で各炭化室の火落時間のばらつきをなくすための最適調整開度(変更量)が得られる。なお、ここでは、偏差が0になるようにしたが、0以外の値や所定範囲内(例えば、火落時間ばらつきの許容範囲や制御目標範囲)になるようにしても構わない。その場合は、-ΔNCT´に所定の値をバイアスとして加えればよい。
Figure 0005572957
ここで、(5)式は未知数N+1個、式数N個の連立方程式であるので、解が一意に決まらない。そこで、Δgiについての以下の一次式(6) を加えて式数をN+1個とする。
Figure 0005572957
(6)式は、N+1個あるガスコックの開度の変更総量を0とするという制約条件である。個別のコック開度調整で実現したいのは、各燃焼室に流れるガス流量の比であることから、(6)式は自然な制約条件であると言える。結局、(5),(6)式をまとめて記述した(7)式を解けば良く、(7)式の解、[Δg Δg Δg ・・・Δg・・・ ΔgN+1 ]が次回調整時の最適調整値となる。
Figure 0005572957
実施形態2.
実施形態1.では、端部の炭化室や燃焼室を同様の特性として扱ったが、端部の炭化室や燃焼室の特性を他の炭化室や燃焼室とは別に考えてもよい。その場合は、(2)式の影響係数式を、次の(8)式のようにすればよい。ここでは、Δf、ΔfN+1からの影響係
数に別の符号を付して、端の炭化室・燃焼室窯の影響を別扱いにしている。
Figure 0005572957
また、この場合の上述の(4)式は、次の(9)式のようになる。
Figure 0005572957
この(9)式の場合、式数はN、未知数の数は4であり、Nが4以上なら影響係数を求められる可能性がある。その条件は、数学的には左辺行列のランク(階数)が未知数以上であれば良い。同様にして、階数の条件さえ満たせば、未知数、つまり異なる影響係数の数を増やすことができるので、燃焼室や炭化室の相互の位置関係を考慮した影響係数を扱うことが可能となり、よりコック開度と火落時間の関係を詳細に表すことができるようになる。
実施形態3.
図2は、コークス炉の燃焼室と炭化室、およびガスコックの関係を示す図である。本発明に関わる構成要素に限定して簡略化して表したものである。コークス炉では、原料炭をN個の炭化室(図2中のD、D、…、D、…、D)の天井部から装炭し、炭化室両側に位置するN+1個の燃焼室(図2中のF、F、…、F、…、FN+1)の熱により乾留することにより、コークスを製造する。
乾留時間は、発生ガス温度が最高温度に到達した後に、揮発分が全て揮発するまでの火落時間と、その後の置時間に分けられる。置時間は、出来たコークスを安定して押し出すために必要な時間であり、通常数時間を必要とする。操業上は、乾留時間の大部分を占める火落時間を目標通りに制御することが重要である。このコークスの火落時間の調整は、コークス炉の操業を管理するためのプロセスコンピュータを用いて、炭化室や燃焼室の状態を監視し、50前後ある(上述のN+1個、N個)燃焼室・炭化室単位(炉団)での自動制御が行われる。
即ち、プロセスコンピュータを用いて、炉団全体の燃焼温度平均が管理され、これが目標燃焼温度になるように、炉団全体に供給するガス量が制御される。しかしながら、コークス炉操業を安定に維持し、乾留熱量を低減するためには、炉団平均の管理だけでなく、各燃焼室の燃焼温度のばらつきを極力低減することが必要である。
何故なら、未乾留のコークスを作らない操業を行うためには、燃焼温度が最も低く、結果的に火落時間の最も遅い炭化室を基準にして、他の炭化室の火落時間をそれに合わさなければならないからである。この結果、火落時間の早い炭化室には余計な熱量が費やされ、最終的に乾留熱量の増大、つまりエネルギーのロスを招くこととなる。
したがって、それを防ぐために、各燃焼室には、燃焼ガス流量を調整するガスコック(図2中のC、C、…、C、…、CN+1)が設置されており、これにより各燃焼室の温度を調整し、間接的に炭化室毎の乾留時間差、つまり炭化室間のばらつきを調整している。
しかしながら、従来のコック調整は運転員の試行錯誤レベルで行われているか、前述した特許文献1に示された方法で調整されているため、上述した課題は残ったままである。さらに、窯毎の装炭量を変えたり、期間によって装炭量を変える操業にも対応できない。
本発明では、この課題を解決するために、各ガスコックの開度調整時の開度変更量と原料炭の装炭重量とその後の燃焼室温度変化を燃焼室毎に管理し,開度変更量と原料炭の装炭重量とから燃焼室温度変化への影響係数を逐次同定し、得られた各ガスコック開度と各燃焼室の燃焼温度偏差の関係から、次回調整後の各燃焼室の燃焼温度偏差を抑制(例えば、偏差を0)するような、つまり、次回調整後の燃焼室間の燃焼温度のばらつきを所定範囲内や最小化するような各ガスコック開度の調整推奨値を算出する。なお、装炭重量と燃焼温度の実績データは、1つの実績データを用いても適用可能であるが、各データのバラツキを低減させるという点で効果的なので、以下では、複数の実績データの平均値を用いる例を説明する。
以下に、本発明の処理の流れについて図を用いて説明する。図4は、その処理フローの一例を示したものである。
先ず、燃焼室温度と原料炭の装炭重量、乾留するまでに投入した熱量、昇温量などの実績値データなどの過去の実績を記憶装置(例えば、図2に示す操業実績データ記憶装置)に保存しておく(ステップS11)。
そして、記憶装置に記憶された燃焼室温度の実績値データを読み込み、各燃焼室について、すなわち、i番目(i;燃焼室番号、i=1〜N+1)の燃焼室について、前回のガスコック開度を調整する前後での燃焼室温度の平均値の変化量を算出する(ステップS12)。
具体的には、燃焼室毎に、ガスコック開度を調整する前の燃焼温度を、時間で平均した調整前の燃焼温度平均FT[調整前]iと、ガスコック開度を調整した後の燃焼温度を、時間で平均した調整後の燃焼温度平均FT[調整後]iを算出する。
そして、ガスコック開度調整後の燃焼温度平均FT[調整後]iの、ガスコック開度調整前の燃焼温度平均FT[調整前]iに対する変化量ΔFTi(=FT[調整後]i−FT[調整前]i )を求める。なお、燃焼温度平均を算出する時に用いる期間は、特に限定するものではないが、例えば、ガスコック開度を調整してから次に調整するまでの期間(例えば、1週間程度)であり、その回数分の燃焼温度を平均するのがよい。すなわち、ガスコック開度調整前の燃焼温度平均は、前々回のガスコック開度調整後から前回のガスコック開度調整をするまでの期間の平均とし、ガスコック開度調整後の燃焼温度平均は、前回のガスコック開度調整後から今回のガスコック開度調整をするまでの期間の平均とするのがよい。
次に、記憶装置や操業管理用計算機などから、過去に調整された各燃焼室のガスコック開度の変更量実績値Δfi (=i番目の燃焼室の調整後開度−i番目の燃焼室の調整前開度、i:燃焼室番号、i=1〜N+1) と、i番目の燃焼室の両隣の炭化室に対する、過去に装炭された質量総和Miを入力する(ステップS13)。
そして、炭化室に装炭された重量Miと、該当燃焼室およびその両端に位置する乾留室自体の熱容量A、原料炭が乾留するまでの平均比熱αとから、i番目の燃焼室の熱容量Qiを下記式により、算出する。
Qi = A + α・Mi ・・・・・・(10)
なお、A、αは予め算出した定数であり、例えば、過去の操業データから求めればよい。具体的には、Aは、燃焼室や炭化室を構成している材質(レンガなど)の比熱に、構成材料の使用量(質量、体積など)を乗算する。αは、投入した熱量を、そのときの原料炭の昇温量ΔTと装入炭重量Miとで除算することによって、算出して決定すればよいが、特に算出方法は限定するものではない。
また、装炭重量Miも、前述の燃焼温度と同様に、実績値の平均値を用いるのが、バラツキが低減されると言う点で好ましい。平均を求めるにあたっては、同様に、ガスコック開度を調整してから、次に調整するまでの期間の平均を求めるのがよい。
そして、前述したΔFTiとΔfiと熱容量Qiとから、次の(11)式で示される関係により、影響係数(a,b)を逐次同定する(ステップS14)。
Figure 0005572957
なお、Qbaseは、該当燃焼室から見た基準装炭量時の基準熱容量であり、両端の化室に装入する原料炭の重量総和の基準値をMとしたときに、下式で表される値であり、予め算出され、設定された固定値(定数)である。
Qbase = A + αM ・・・・・・(12)
なお、重量総和の基準値とは、定格重量と呼ばれる値であり、例えば、設計上、操業効率が良いとされている装炭重量である。また、過去の操業実績の平均などでもよい。また、式中のQiとQbaseとの分母・分子の関係は、重量実績が重くなるほど燃焼温度が低くなるので、本実施形態では、実施形態1,2とは逆になる。
図2に示したように、i番目(i=1〜N+1)のガスコックCiを開方向に変更した場合には、i番目の燃焼室に流入するガスは増加するので、燃焼室温度が上昇する。その影響係数を、(11)式ではaとしている。
一方、装炭重量に関しては、装炭重量が基準値より多い場合には燃焼温度が低くなる方向にシフトすることが予測される。本発明では、装炭重量の炭化室ごとのバラツキを考慮しようとするものである。
さて、(11)式は未知パラメータが (a,b)の2ヶ、式数がN+1ヶあることより、(a,b)を決定するためには通常の最小二乗法を適用する。数式的には(11)式を a,b について括り直した(13)式の係数行列の一般化逆行列を左から掛けることにより、解が得られる。
Figure 0005572957
次に、ステップS14 で求めた影響係数a,bに基いて、次回のガスコック開度調整時に、炭化室間での燃焼温度のばらつきを抑制するための、ガスコック開度の調整量(変更量)を算出する(ステップS15)。
ここでは、前回のガスコック調整で得られた、各燃焼室毎の燃焼室温度平均FT[調整
後]i (i=1〜N+1)を、炉団全ての燃焼室(i=1〜N+1)で平均した燃焼室温度炉団平均FT'(=(FT[調整後]1+FT[調整後]2+...+FT[調整後]N+1)/(N+1))に一致させるための、次回のガスコック開度の調整量を算出する。
具体的には、各燃焼室の燃焼温度平均FT[調整後]i(i=1〜N+1)の、燃焼室温度炉団平均FT'に対する偏差ΔFT'i(=FTi−FT')、偏差0は炉団平均値を意味)をそれぞれ、[ΔFT'1ΔFT'2ΔFT'3… ΔFT'i… ΔFT'N+1]とすると、次回のガスコック調整の結果による各燃焼室の燃焼温度平均の変化量ΔFTi(i=1〜N+1)がそれぞれ、[−ΔFT'1−ΔFT'2−ΔFT'3… −ΔFT'i… −ΔFT'N+1]となるようにガスコックを調整する。これにより、各燃焼室毎の燃焼室温度平均FT[調整後]i(i=1〜N+1)の燃焼室温度炉団平均FT'との偏差が0となると予測される。
従って、前述の(13)式により求めた影響係数(a,b)を、次に示す(14)式に代入して、次回の最適開度変更量△gi(i=1〜N)について解くことにより、次回の操業で各燃焼室
の燃焼温度のばらつきをなくすための最適調整開度(変更量)が得られる。なお、ここでは、偏差が0になるようにしたが、0以外の値や所定範囲内(例えば、燃焼温度ばらつきの許容範囲や制御目標範囲)になるようにしても構わない。その場合は、−ΔFT'iに所定の値をバイアスとして加えればよい。
Figure 0005572957
上記(14)式は、未知数N+1ヶ、式数N+1ヶの連立方程式であり、解が一意に決まる。つまり(14)式の解[Δg Δg Δg ・・・Δg・・・ ΔgN+1 ]が次回調整時の最適調整値となる。
実施形態4.
端部の炭化室室・燃焼室の特性を他の窯とは別に考えてもよい。この場合の(11)式相当の影響係数式は、次の(15)式のようになる。ここでは、Δf、ΔfN+1からの影響係数を別の符号を用いて、端窯の影響を別扱いにしている。
Figure 0005572957
また、この場合の上述の(13)式は、次の(16)式のようになる。
Figure 0005572957
この(16)式の場合、式数はN+1、未知数の数は4であり、N+1が4以上なら影響係数を求められる可能性がある。その条件は、数学的には左辺行列のランク(階数)が未知数以上であれば良い。同様にして、階数の条件さえ満たせば、未知数、つまり異なる影響係数の数を増やすことができるので、燃焼室や炭化室の相互の位置関係を考慮した影響係数を扱うことが可能となる。なお、実施形態1.の(4)式においても同様に、左辺行列のランク(階数)が未知数以上という条件を満たせば、異なる影響係数の数を増やすことが可能である。
本発明では、特に、実施形態1.から実施形態4.で説明した式等の具体形に限定されるものではない。基本的な考え方が同じで、行列のランク条件さえ満たせば、どのようなモデル式の構造を仮定しても構わない。また、例えば、Qは定数であるので、a,bに含めた形態とした式として演算を行っても良い。
〜CN+1 ガスコック
〜FN+1 燃焼室
〜D 炭化室

Claims (3)

  1. 燃焼室に与える燃料ガスの燃焼室毎の流量バランスを、機側に設置されたガスコックの開度で調整するコークス炉燃焼室のガス量調整方法であって、
    過去の燃焼室毎の開度調整実績および炭化室毎の原料炭装入量実績から開度調整前後の各炭化室の火落時間の変化量への影響係数を
    i番目(i=1〜N+1、N+1は燃焼室の数)のガスコック開度変更量に対する、i 番目の燃焼室に隣接するi−1番目およびi番目の炭化室の火落時間平均の変化量への影響係数aと、i−1番目およびi番目以外の炭化室の火落時間平均の変化量への影響係数bとして、これらを異なる変数として最小二乗法により逐次同定し、その逐次同定結果より、前回のガスコック調整で得られた、各炭化室毎の火落時間平均を、炉団全ての炭化室で平均した火落時間炉団平均に一致させるための次回のガスコック開度の調整量を算出することを特徴とするコークス炉燃焼室のガス量調整方法。
  2. 燃焼室に与える燃料ガスの燃焼室毎の流量バランスを、機側に設置されたガスコックの開度で調整するコークス炉燃焼室のガス量調整方法であって、
    過去の燃焼室毎の開度調整実績および炭化室毎の原料炭装入量実績から開度調整前後の各燃焼室の燃焼室温度変化量への影響係数を
    i番目(i=1〜N+1、N+1は燃焼室の数)のガスコック開度変更量に対する、i番目の燃焼室の燃焼室温度平均の変化量への影響係数aと、i番目以外の燃焼室の燃焼室温度平均の変化量への影響係数bとして、これらを異なる変数として最小二乗法により逐次同定し、その逐次同定結果より、前回のガスコック調整で得られた、各燃焼室毎の燃焼室温度平均を、炉団全ての燃焼室で平均した燃焼室温度炉団平均に一致させるための次回のガスコック開度の調整量を算出することを特徴とするコークス炉燃焼室のガス量調整方法。
  3. 請求項1又は2に記載のガス量調整方法を用いて燃焼室のガス量を調整する工程を含むことを特徴とするコークスの製造方法。
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