JP5573659B2 - ステアリングコラムの車体への組み付け方法 - Google Patents

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本発明は、ステアリングホイールを支持するステアリングコラム、特に、二次衝突時に車両前方に向けて離脱移動可能に組み付けられるステアリングコラムの車体への組み付け方法に関する。
従来から、例えば、下記特許文献1に示されているようなステアリング装置はよく知られている。この従来のステアリング装置は、車体に固定される車体取付ブラケットとこの車体取付ブラケットに組み付けられるスライドブラケットとの間に転動部材が介挿されており、この転動部材のローラが車両上方側への分力を支持しながら転動することにより、車体取付ブラケットに対してスライドブラケットが車両前方にコラプス移動するときの摩擦抵抗を減少させるようになっている。したがって、この従来のステアリング装置においては、車体取付ブラケットとスライドブラケットとの間に介挿される転動部材の摩擦抵抗が小さく安定しているため、衝撃エネルギー吸収特性に対する不安定な摩擦力の影響を極力小さくすることができ、その結果、二次衝突時の衝撃吸収荷重を精度よく設定することができるようになっている。
特開2010−23622号公報
上記従来のステアリング装置においては、二次衝突時に車体取付ブラケット(車体側ブラケット)に対してスライドブラケット(コラムブラケット)が相対的に変位している状態における摩擦抵抗を低減することにより、適切に安定した衝撃エネルギー吸収特性を発揮することができる。ところで、このような衝撃エネルギー吸収特性(上記従来のステアリング装置においてはスライドブラケットが車両前方側に移動することに伴う衝撃エネルギー吸収部材の塑性変形特性)を適切に安定して発揮させるためには、二次衝突時にスライドブラケット(コラムブラケット)が車体取付ブラケット(車体側ブラケット)に対して速やかに静止状態から移動を開始する必要がある。より具体的には、二次衝突時においては、車体取付ブラケット(車体側ブラケット)に対して静止しているスライドブラケット(コラムブラケット)が相対的に車両前方側に移動を開始する時、言い換えれば、ステアリングコラムが車体に対して相対的に移動する時の荷重(以下、この荷重を「離脱荷重」と称呼する。)を安定させて、スライドブラケット(コラムブラケット)を円滑に移動させるようにする必要がある。この点に関し、上記従来のステアリング装置においては、スライドブラケット(コラムブラケット)が低摩擦板を介して車体取付ブラケット(車体側ブラケット)に取り付けられるようになっている。
しかしながら、車体取付ブラケット(車体側ブラケット)やスライドブラケット(コラムブラケット)、低摩擦板等においては、製造上、形状寸法や表面性状に誤差(ばらつき)が必ず生じ、また、組み付け作業においても誤差(ばらつき)が必ず生じる。このため、単に、予め設定された同一の組み付け条件によりスライドブラケット(コラムブラケット)を車体取付ブラケット(車体側ブラケット)に組み付けた場合であっても、上述した誤差(ばらつき)に起因して個々のステアリングコラムにおける離脱荷重に大きなばらつきが生じる可能性がある。したがって、車体に組み付けられる個々のステアリングコラムにおける離脱荷重のばらつきが小さくなるように、言い換えれば、車体に組み付けられる全ステアリングコラム間において安定した均一の離脱荷重が得られるように、スライドブラケット(コラムブラケット)を車体取付ブラケット(車体側ブラケット)に対して組み付ける必要がある。
本発明は、上記した問題に対処するためになされたものであり、その目的は、二次衝突時に均一な離脱荷重によって相対移動可能となるようにステアリングコラムを車体に組み付ける組み付け方法を提供することにある。
本発明は、運転者によって操作される操舵ハンドルを支持するステアリングコラムを二次衝突時に車体に対して相対移動可能に組み付けるステアリングコラムの車体への組み付け方法を改良しようとするものである。
本発明の特徴は、前記組み付け方法が、仮組み付け工程と、荷重計測工程と、正規組み付け工程とを含んで構成されることにある。すなわち、仮組み付け工程においては、車体側に一体的に固定される車体側ブラケットと前記ステアリングコラムに一体的に固定されるコラムブラケットとを、最終的に組み付けられて固定される正規組み付け位置と異なる仮組み付け位置にて互いに相対的に移動可能となるように、予め設定された所定の締結トルクによってボルト及びナットを締め付けて仮組み付けする。荷重計測工程においては、前記仮組み付け工程により、前記仮組み付け位置にて前記ボルト及びナットによって仮組み付けされた前記車体側ブラケット及び前記コラムブラケットのうちの一方を前記正規組み付け位置まで相対的に移動させるとともに、この相対的に移動させるのに必要な移動荷重を計測する。正規組み付け工程においては、前記荷重計測工程によって前記正規組み付け位置まで移動した前記車体側ブラケット及び前記コラムブラケットを最終的に組み付けるために必要な前記ボルト及びナットの最終締結トルクを、前記仮組み付け工程にて前記ボルト及びナットを締めつけた前記所定の締結トルク、前記荷重計測工程にて計測された前記移動荷重、及び、二次衝突時にステアリングコラムを車体に対して相対移動させるときの荷重として予め設定されている目標離脱荷重を用いて決定し、この決定した最終締結トルクによって前記ボルト及びナットを締め付けて前記車体側ブラケット及び前記コラムブラケットを前記正規組み付け位置に組み付ける。
ここで、前記仮組み付け工程においては、前記ボルト及びナットを締め付ける前記所定の締結トルクの大きさは、前記正規組み付け工程にて前記目標離脱荷重を実現するように決定された前記最終締結トルクの下限値よりも小さく設定されているとよい。そして、この場合、前記目標離脱荷重は、少なくとも、前記車体側ブラケットと前記コラムブラケットとの間にて想定される摩擦係数のばらつきを考慮して予め設定されるとよい。
これらによれば、仮組み付け工程において、最終締結トルクよりも小さく(より詳しくは、目標離脱荷重を実現するように決定された最終締結トルクの下限値よりも小さく)設定された所定の締結トルクによってボルト及びナットが締め付けられて車体側ブラケットとコラムブラケットとが仮組み付け位置にて仮組み付けされる。このように、最終締結トルクよりも小さな所定の締結トルクによって仮組み付けされることにより、車体側ブラケットとコラムブラケットとは容易に相対的に移動することができる。
荷重計測工程においては、このように相対的に容易に移動できる状態にある車体側ブラケット及びコラムブラケットの一方を移動させて、車体側ブラケット及びコラムブラケットを正規組み付け位置まで移動させるとき(すなわち、車体側ブラケット及びコラムブラケットとを正規組み付け位置に位置決めするとき)に必要となる移動荷重を計測する。すなわち、荷重計測工程においては、個々の車体側ブラケットとコラムブラケットとによってそれぞれ異なる可能性がある摩擦係数(摩擦力)が反映された実際の移動荷重が計測される。
正規組み付け工程においては、仮組み付け工程にてボルト及びナットを締め付けた所定の締結トルクと、荷重計測工程にて計測された実際の移動荷重と、車体側ブラケットとコラムブラケットとの間にて想定される摩擦係数のばらつきを考慮した目標離脱荷重とを用いて決定される最終締結トルクによって車体側ブラケットとコラムブラケットとを最終的に組み付ける。ここで、正規組み付け工程において決定される最終締結トルクは、個々の車体側ブラケット及びコラムブラケットについて実際に計測した移動荷重、言い換えれば、実際に計測した移動荷重(摩擦力)を所定の締結トルクによって除することによる実際の摩擦係数を反映して決定される。
したがって、このように決定された最終締結トルクによってボルト及びナットを締め付けて車体側ブラケットとコラムブラケットとを最終的に組み付けることにより、個々の車体側ブラケット及びコラムブラケット(すなわち、個々のステアリングコラム)において目標離脱荷重に対する実際の離脱荷重のばらつきを極めて小さくすることができる。言い換えれば、製造される全ステアリングコラム間における実際の離脱荷重のばらつきを小さく、すなわち、実際の離脱荷重を均一化することができる。
また、このように、個々のステアリングコラム間における実際の離脱荷重を均一化するにあたり、従来から行われているステアリングコラムの車体への組み付け工程に比して特殊な工程を設ける必要がない。したがって、製造コストの増大を効果的に抑制することができて、離脱荷重の均一化を達成することができる。
また、前記荷重計測工程にて計測された前記移動荷重が予め設定された移動荷重範囲内に存在するときに、前記正規組み付け工程にて前記車体側ブラケット及び前記コラムブラケットが前記正規組み付け位置に最終的に組み付けられるとよい。
これによれば、実際に計測された移動荷重が予め設定された移動荷重範囲内に存在するものに限り、正規組み付け工程にて最終的な組み付けが行われる。言い換えれば、例えば、車体側ブラケット及びコラムブラケットの少なくとも一方に加工上の不具合が発生している場合には、実際に計測される移動荷重が不適となり、正規組み付け工程にて最終的な組み付けが行われない。これにより、加工上の不具合を生じている製品を確実に除外することができ、その結果、二次衝突時に適切な離脱荷重によって相対移動(離脱移動)するステアリングコラムのみを車体に組み付けることができる。
本発明に係る組み付け方法により組み付けられた離脱機構を適用したステアリング装置の構成を示す概略図である。 (a)〜(c)は、それぞれ、本発明に係る組み付け方法における仮組み付け工程、荷重計測工程及び正規組み付け工程を説明するための図である。 車体側ブラケットとコラムブラケットとの間の相対的な変位(ストローク)の大きさと計測された移動荷重(実測荷重)の大きさとの関係を説明するためのグラフである。 計測トルク(所定の締結トルク)に対する実測荷重、実測荷重に対する目標離脱荷重、及び、目標離脱荷重に対する狙いトルク(最終締結トルク)の関係を説明するためのグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係るステアリングコラムの車体への組み付け方法について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における組み付け方法によって組み立てられた離脱機構の適用され得るステアリングコラムを備えたステアリング装置を概略的に示している。なお、ステアリング装置については、以下に説明する装置に限定されるものではなく、本発明に係る組み付け方法によって組み付けられた離脱機構の適用可能なステアリングコラムを含むものであれば、如何なるステアリング装置であっても採用可能であることは言うまでもない。
このステアリング装置は、図示を省略する転舵輪を転舵させるために、運転者によって回動操作される操舵ハンドル1を備えている。この操舵ハンドル1はステアリングコラム2によって操作可能に支持されており、ステアリングコラム2はインターミディエイトシャフト3及びピニオンシャフト4を介して図示を省略するステアリングギアに連結されている。そして、ステアリングギアが転舵輪に接続されることにより、運転者による操舵ハンドル1の回動操作に応じて転舵輪が転舵される。
ステアリングコラム2は、インストルメントパネルリインフォースメントIRに設けられるステアリングサポート部材SSに対して、車両前方側が下方に位置するように傾斜した姿勢で支持されている。なお、インストルメントパネルリインフォースメントIR及びステアリングサポート部材SSは、車体に一体的に組み付けられて固定される車体部材である。そして、ステアリングコラム2は、操舵ハンドル1を回動操作可能に支持するステアリングメインシャフト21と、このステアリングメインシャフト21を収容して車体部材に固定するコラムチューブ22とを備えている。コラムチューブ22は、アッパーチューブ221とロアーチューブ222とを含んで形成されている。そして、アッパーチューブ221(すなわち、ステアリングコラム2)は、ステアリングサポート部材SSに対して、離脱機構23を介して組み付けられる。
離脱機構23は、ステアリングサポート部材SS(すなわち車体)に対して締結部材231b(ボルト及びナット等)によって固定される車体側ブラケット231とステアリングコラム2(より具体的には、アッパーチューブ221)に対して一体的に固定されるコラムブラケット232とを備えている。車体側ブラケット231には、図2に示すように、アッパーチューブ221の軸線方向に沿って貫通長孔231aが形成されている。コラムブラケット232には、図2に示すように、車体側ブラケット231に形成された貫通長孔231aに対応する貫通孔232aが形成されている。そして、これら車体側ブラケット231の貫通長孔231a及びコラムブラケット232の貫通孔232aにはボルト233が挿通されるとともに、挿通されたボルト233に対してナット234が螺着されている。なお、本実施形態においては、図2に示すように、ボルト233の頭部と車体側ブラケット231との間には摩擦を安定させるための板材235(例えば、ワッシャー等)が設けられている。これにより、二次衝突時において、コラムブラケット232(すなわち、操舵ハンドル1及びステアリングコラム2)は、車体側ブラケット231(すなわち、車体)に対して相対的に移動することができるようになっている。
また、図1に示すように、ステアリングコラム2の車両前方側には、運転者による操舵ハンドル1の操作負担を軽減するためのEPSユニット24が組み付けられている。EPSユニット24は、運転者が操舵ハンドル1を回動操作するときに入力する操舵トルクを低減するためのアシストトルクをステアリングメインシャフト21に付与するものである。EPSユニット24は、ロアーチューブ222の下端にボルト等によって連結されたハウジング241と、ハウジング241に組み付けられた電動モータ242とを備えている。
インターミディエイトシャフト3は、ステアリングコラム2とユニバーサルジョイント31を介して連結されている。インターミディエイトシャフト3は、2つに分割されて伸縮可能になっており、一端側にユニバーサルジョイント31が組み付けられ、他端側にユニバーサルジョイント32が組み付けられている。そして、インターミディエイトシャフト3は、ユニバーサルジョイント32を介してピニオンシャフト4に連結されている。
ピニオンシャフト4は、インターミディエイトシャフト3とステアリングギア(例えば、ラックアンドピニオン方式を採用するギアユニットのピニオンギア)とを連結するものである。これにより、インターミディエイトシャフト3を介してピニオンシャフト4に操舵トルク及びアシストトルクが、例えば、ラックバーに伝達されると、ラックバーの軸方向変位によって転舵輪が左右に転舵されるようになっている。
ところで、このように構成されたステアリング装置においては、上述したように、二次衝突時に離脱機構23を構成する車体側ブラケット231に対してコラムブラケット232が相対的に移動することにより、ステアリングコラム2が車体に対して相対的に移動することができる。このとき、静止しているコラムブラケット232が車体側ブラケット231に対して相対的な移動を開始する瞬間の荷重すなわち離脱荷重は、車体側ブラケット231とコラムブラケット232間の摩擦状態(摩擦係数)とボルト233及びナット234の締め付けにおける軸力(締結トルク)とによって決定される。この場合、一般的に、車体側ブラケット231及びコラムブラケット232の製造においては、例えば、成形ばらつき等が生じ、個々のステアリングコラム2ごとに上述した摩擦係数や締結トルクに差異が生じる。このため、二次衝突時に確実にかつ適切に車体に対して相対的な移動を開始するために、製造されるステアリングコラム2においては、これらの差異を考慮して均一な離脱荷重を確保する、言い換えれば、車体に組み付けられたときの離脱荷重のばらつきを小さくすることが必要となる。
したがって、このような離脱荷重のばらつきが小さくなるように、車体側ブラケット231とコラムブラケット232とを互いにボルト233及びナット234によって締結する(締め付ける)ために、本実施形態においては、以下に説明する各組み立て工程を経ることによってまず車体側ブラケット231とコラムブラケット232とを互いに組み付けておき、その後、コラムチューブ22(すなわち、ステアリングコラム2)に組み付けられた車体側ブラケット231をステアリングサポート部材SS(車体)に組み付ける。以下、この各組み立て工程を詳細に説明する。
本発明に係る組み立て工程は、図2(a)〜(c)に概略的に示すように、車体側ブラケット231とコラムブラケット232とを仮組み付けする仮組み付け工程と、車体側ブラケット231とコラムブラケット232とを相対移動させたときの荷重を計測する荷重計測工程と、車体側ブラケット231とコラムブラケット232とを正規組み付け位置にて最終的に組み付ける正規組み付け工程とを含んで構成される。
まず、仮組み付け工程においては、図2(a)に概略的に示すように、正規組み付け位置に対して若干量(例えば、数ミリメートル程度)だけずれた(異なる)仮組み付け位置にて、車体側ブラケット231とコラムブラケット232とをボルト233及びナット234により締め付けて(締結して)仮組み付けする工程である。そして、この仮組み付け工程においては、後述する荷重計測工程にて車体側ブラケット231とコラムブラケット232とを相対的に移動させたときの荷重を計測するために、予め設計的に定められた正規トルクよりも小さな所定の締結トルクT0(以下、このトルクを「計測トルクT0」と称呼する。)によって、例えば、トルク調整可能なインパクトレンチ等を用いてボルト233及びナット234が締め付けられ、車体側ブラケット231とコラムブラケット232とが仮に締結されて組み付けられる。
荷重計測工程においては、図2(b)に示すように、仮組み付け位置から正規組み付け位置まで、例えば、車体側ブラケット231を一方向から押圧して移動(ストローク)させて位置合わせするとともに、この押圧(位置合わせ)に必要な荷重(移動荷重)を計測する。そして、計測した移動荷重について、図3にて破線により囲んで示すように、予め設定された移動荷重範囲とストローク範囲とによって決定される目標荷重領域内に計測した移動荷重が存在する場合には、計測トルクT0によって締結されたときに予め想定される移動荷重であるため、車体側ブラケット231とコラムブラケット232との接触面の形状及び摩擦状態が正常であると判定される。一方、計測された移動荷重が目標荷重領域内に存在しない場合、すなわち、計測された移動荷重が目標荷重領域を決定する下限側の目標荷重よりも小さい、あるいは、計測された移動荷重が目標荷重領域を決定する上限側の目標荷重よりも大きい場合には、車体側ブラケット231とコラムブラケット232との接触面の形状及び摩擦状態が異常(不良)であると判定される。
ここで、車体側ブラケット231とコラムブラケット232との接触面の形状及び摩擦状態が異常(不良)であると判定される場合について、計測された移動荷重が目標荷重よりも小さい状況としては、例えば、車体側ブラケット231及びコラムブラケット232の締結面(接触面)に油分等が付着し、想定されるよりも低い摩擦係数となった場合等が考えられる。また、計測された移動荷重が目標荷重よりも大きい状況としては、例えば、車体側ブラケット231に形成された貫通長孔231a及びコラムブラケット232に形成された貫通孔232aの加工の際に発生したバリ等の除去が不完全であり、想定されるよりも高い摩擦係数となった場合等が考えられる。いずれの場合であっても、ステアリングコラム2を車体に組み付けることはできないため、不良の発生したステアリングコラム2は後述する正規組み付け工程に供給されないようになっている。
正規組み付け工程においては、図2(c)に示すように、荷重計測工程にて正規の組み付け位置に揃えられた車体側ブラケット231とコラムブラケット232とを最終的に締結して組み付ける。この正規組み付け工程においては、まず、前記荷重計測工程にて計測された移動荷重(以下、「実測荷重」とも称呼する。)を用いて、個々のステアリングコラム2において狙い通りに適切な離脱荷重により相対的な移動の開始を実現するように、最終的にボルト233及びナット234を締め付ける最終締結トルクTs(以下、このトルクを「狙いトルクTs」と称呼する。)を決定する。具体的に狙いトルクTsの決定について説明すると、この狙いトルクTsは下記式1に従って決定される。
狙いトルクTs=目標離脱荷重/実測荷重×計測トルクT0×補正係数 …式1
すなわち、前記式1は、図4に概略的に示すように、「目標離脱荷重」と「実測荷重」の比に基づき「計測トルクT0」に対する「狙いトルクTs」を決定する、言い換えれば、「目標離脱荷重」と「実測荷重」の比を傾きとする比例関係を定義するものである。なお、前記式1中の「目標離脱荷重」は、二次衝突時における離脱荷重の目標値であり、図3に示すように、前記目標荷重領域を決定する上限値よりも大きな値である。また、「補正係数」は、所定の大きさの値に予め設定されるものである。
このように、狙いトルクTsの範囲を決定、より具体的には、車体側ブラケット231とコラムブラケット232との間の摩擦力(摩擦係数)の大きさに応じて変化する狙いトルクTsの範囲を決定すると、この決定された狙いトルクTsによって、例えば、トルク調整可能なインパクトレンチ等を用いてボルト233及びナット234が締め付けられる。これにより、車体側ブラケット231とコラムブラケット232とは、正規組み付け位置にて最終的に組み付けられる。このように、実測荷重(すなわち、摩擦力)を用いて狙いトルクTsが決定され、この狙いトルクTsによって車体側ブラケット231とコラムブラケット232とが組み付けられると、個々の車体側ブラケット231及びコラムブラケット232の間の実際の摩擦状態(摩擦係数)等を適切に考慮した締結トルクを決定することができる。したがって、個々のステアリングコラム2について、二次衝突時に適切にかつ確実に目標離脱荷重により、相対的な移動を開始することができる。
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、仮組み付け工程、荷重計測工程及び正規組み付け工程を経て離脱機構23を組み立ててステアリングコラム2を車体に組み付けることにより、個々のステアリングコラム2の組み付け状態によって異なる(ばらつく)可能性のある離脱荷重を均一にすることができる。具体的には、仮組み付け工程にて仮組み付けした車体側ブラケット231とコラムブラケット232とを荷重計測工程にて相対的に移動させるときの移動荷重を実際に計測し、正規組み付け工程にてこの計測した移動荷重、計測トルクT0及び目標離脱荷重を用いて決定した狙いトルクTsによってボルト233及びナット234を締め付けることにより、二次衝突時にステアリングコラム2が目標離脱荷重で車体に対して相対的な移動を開始することができる。これにより、製造される個々のステアリングコラム2(より詳しくは、車体側ブラケット231及びコラムブラケット232)の状態に対応して、確実に目標離脱荷重で相対的な移動を開始させることができる。
また、上記実施形態によれば、仮組み付け工程、荷重計測工程及び正規組み付け工程を経ることにより、車体側ブラケット231、コラムブラケット232、ボルト233及びナット234を含むように極めて簡素化して構成された離脱機構23において、離脱荷重のばらつきを効果的に抑制することができる。これにより、離脱荷重のばらつきを抑制するために別途高価な(または複雑な)機構を設ける必要がなく、コストの増大を効果的に抑制することができるとともに、離脱機構23をより適切にかつより確実に作動させることができる。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、ボルト233の頭部と車体側ブラケット231との間に摩擦を安定させる板材235を挟んで締結するように実施したが、板材235を省略して実施可能であることは言うまでもない。このように板材235を省略した場合であっても、荷重計測工程を経ることによって車体側ブラケット231とコラムブラケット232とを相対的に移動させるために必要な移動荷重(実測荷重)を計測することができ、前記式1に従って計測された実測荷重を用いて狙いトルクTsを適切に決定することができる。そして、この決定した狙いトルクTsによってボルト233及びナット234を締め付けて車体側ブラケット231及びコラムブラケット232を締結することにより、個々のステアリングコラム2が確実に目標離脱荷重で車体に対して相対的な移動を開始することができるため、上記実施形態と同様の効果が得られる。
1…操舵ハンドル、2…ステアリングコラム、21…ステアリングメインシャフト、22…コラムチューブ、221…アッパーチューブ、222…ロアーチューブ、23…離脱機構、231…車体側ブラケット、232…コラムブラケット、233…ボルト、234…ナット、235…板材、IR…インストルメントパネルリインフォースメント、SS…ステアリングサポート部材

Claims (4)

  1. 運転者によって操作される操舵ハンドルを支持するステアリングコラムを二次衝突時に車体に対して相対移動可能に組み付けるステアリングコラムの車体への組み付け方法であって、
    車体側に一体的に固定される車体側ブラケットと前記ステアリングコラムに一体的に固定されるコラムブラケットとを、最終的に組み付けられて固定される正規組み付け位置と異なる仮組み付け位置にて互いに相対的に移動可能となるように、予め設定された所定の締結トルクによってボルト及びナットを締め付けて仮組み付けする仮組み付け工程と、
    前記仮組み付け工程により、前記仮組み付け位置にて前記ボルト及びナットによって仮組み付けされた前記車体側ブラケット及び前記コラムブラケットのうちの一方を前記正規組み付け位置まで相対的に移動させるとともに、この相対的に移動させるのに必要な移動荷重を計測する荷重計測工程と、
    前記荷重計測工程によって前記正規組み付け位置まで移動した前記車体側ブラケット及び前記コラムブラケットを最終的に組み付けるために必要な前記ボルト及びナットの最終締結トルクを、前記仮組み付け工程にて前記ボルト及びナットを締めつけた前記所定の締結トルク、前記荷重計測工程にて計測された前記移動荷重、及び、二次衝突時に静止状態にあるステアリングコラムを車体に対して相対移動させる時の荷重として予め設定されている目標離脱荷重を用いて決定し、この決定した最終締結トルクによって前記ボルト及びナットを締め付けて前記車体側ブラケット及び前記コラムブラケットを前記正規組み付け位置に組み付ける正規組み付け工程とを含むことを特徴とするステアリングコラムの車体への組み付け方法。
  2. 請求項1に記載したステアリングコラムの車体への組み付け方法において、
    前記仮組み付け工程にて前記ボルト及びナットを締め付ける前記所定の締結トルクの大きさは、前記正規組み付け工程にて前記目標離脱荷重を実現するように決定された前記最終締結トルクの下限値よりも小さく設定されていることを特徴とするステアリングコラムの車体への組み付け方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載したステアリングコラムの車体への組み付け方法において、
    前記目標離脱荷重は、少なくとも、
    前記車体側ブラケットと前記コラムブラケットとの間にて想定される摩擦係数のばらつきを考慮して予め設定されることを特徴とするステアリングコラムの車体への組み付け方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載したステアリングコラムの車体への組み付け方法において、
    前記荷重計測工程にて計測された前記移動荷重が予め設定された移動荷重範囲内に存在するときに、前記正規組み付け工程にて前記車体側ブラケット及び前記コラムブラケットが前記正規組み付け位置に最終的に組み付けられることを特徴とするステアリングコラムの車体への組み付け方法。
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