JP5580996B2 - 定形目地材 - Google Patents

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本発明は、溶鋼の連続鋳造に使用するノズル間の接合に用いられる定形目地材に関する。
従来より、溶鋼の連続鋳造に使用されるノズル等の耐火物の接合面には、鋳造時における接合面からの空気の吸込みや接合面間の隙間への溶鋼の浸入による漏れ等を防止するため、耐火モルタル、セラミックファイバー、定形目地材などの目地材(シール材)が使用されている(特許文献1の[従来の技術]参照)。中でも、定形目地材は、予め接合部位の形状に近い形に加工された薄板状の耐火物であり、離形性及び作業性に優れている。
しかし、上記目地材と耐火物の接合面とは固体接触であるため、固体間の微細な隙間を通した空気の吸込みを完全に防止することはできない。その結果、溶鋼中に窒素が混入し、鋳片品質に影響を及ぼしている。
そこで、目地材のシール性向上に関して、材質や構造面から様々な提案がなされている。例えば、特許文献2では、接合面の少なくとも一方に凹所及び/又は凸部を形成したことを特徴とする溶鋼流量制御用耐火物の発明が開示されている。特許文献2によれば、接合面の少なくとも一方に形成された凹所及び/又は凸部が、接合面に配置された柔軟なシール材の可塑性を十分に引き出し、これによって接合面の優れた密着性及びエア遮断性が得られるとしている。
また、特許文献3では、耐火物粉末の少なくとも1種類以上及び繊維からなり、これにMgOを1〜50重量%とC、Al、Ti、Zrの内1種類以上の還元材を総重量%で1〜50重量%含有させたことを特徴とする耐火物用高気密性パッキング材の発明が開示されている。特許文献3によれば、本耐火物用高気密性パッキング材を使用することにより、ノズル接合部における酸化が防止され、鋳片の品質が向上し、歩留まりも格段に良くなるとしている。
特開平11−199339号公報 特開平8−117979号公報 特開2001−105107号公報
しかし、材質や構造面から様々な提案がなされてきたにもかかわらず、耐火物接合部におけるエア吸込みによるトラブルが発生している。その大きな要因として考えられるのがエアの侵入経路である。具体的には、想定されているエア侵入経路とは異なる想定外のエア侵入経路が存在し、この想定外のエア侵入経路を従来の目地材では的確に遮断できていない可能性がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、エア侵入経路を的確に遮断することが可能な定形目地材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、溶融金属の排出経路となる一の連続する内孔を構成する複数のノズル間の接合に用いられる定形目地材において、
シート材を逆円錐台状に形成した形状であって、前記排出経路の上流側に位置し下部が下方に向けて逆円錐台とされた前記ノズルの下部外周面と、前記排出経路の下流側に位置する前記ノズルの内周面との間の領域に設置され、
又は、
中央部に孔が形成された環状型であって、前記排出経路の上流側に位置する前記ノズルの下面と、前記排出経路の下流側に位置する前記ノズルの上面との間の領域に設置され、
前記領域に設置される目地材における内孔側の端部の厚みが、前記領域に設置される目地材における他の部位の厚みより大きいことを特徴としている。
図5は、ノズル耐火物の一例として下ノズル15を模式的に示したものである。下ノズル15は、連続鋳造時に内孔13(ノズル孔)を通過する溶融金属により熱負荷を受けるため、内孔13に近い部位ほど高温になる。これにより、下ノズル15が熱膨張し、下ノズル15の内孔近接部15aには圧縮力が、外周部15bには引張力が作用する。そのため、下ノズル15の外周部15bには往々にして亀裂Cが発生し、下ノズル15を縦断する亀裂破面Pを介してエアFが下ノズル15の内部に侵入する。図6は、その状況を模式的に示したものである。下ノズル15と浸漬ノズル20との間に介装された目地材21によって内孔近接領域22が的確にシールされていない場合、亀裂破面Pを介して侵入したエアFは内孔近接領域22から内孔13内に侵入することになる。
本発明は、本発明者によって究明された上記知見に基づくものである。即ち、ノズル接合部の内孔近接領域を重点的にシールするため、本発明では、定形目地材の内孔側の端部の厚みが他の部位の厚みより大きくなっている。これにより、ノズル間に本定形目地材を介装した際、定形目地材が接合面に全面接触すると共に内孔側の端部がより圧縮されることにより、内孔側の端部が他の部位に比べて高密度となり気密性が向上する。加えて、弾性反発力によってノズル接合部の内孔近接領域における密着性も向上する。
なお、本明細書では、「シール性」と「気密性」を明確に区別している。「シール性」は二つの物体間における流体の漏れに関する指標として、「気密性」は単一の物体における流体の漏れに関する指標として用いている。耐火物接合部のシール性は、目地材自体の気密性、ならびに耐火物と目地材との密着性によって評価される。
また、本発明に係る定形目地材では、前記内孔側の端部の最大厚みをA、前記他の部位の最小厚みをBとすると、A×(1−該定形目地材の可縮率)≦Bであることが好ましい。
ここで、「可縮率」は、一定の厚みを有する板材を所定の圧力で均一に圧縮したときに次式で定義される物理量である。
可縮率=(X−Y)/X
但し、X:圧縮前の板材の厚み、Y:圧縮後の板材の厚み
A×(1−該定形目地材の可縮率)は、定形目地材が圧縮されたときの内孔側の端部の最大厚みに相当し、圧縮時における内孔側の端部は、非圧縮時における他の部位の最小厚みB以下となるまで圧縮可能であることを、A×(1−該定形目地材の可縮率)≦Bの式は示している。
また、本発明に係る定形目地材では、前記内孔側の端部から外気と接する外周縁部に向けて厚みが漸減するようにしてもよい。これにより、外気と接する外周縁部から内孔側の端部に向けて定形目地材の密度を徐々に高めていくことができる。
本発明に係る定形目地材では、内孔側の端部の厚みが他の部位の厚みより大きいので、定形目地材が接合面に全面接触すると共に内孔側の端部がより圧縮されることにより、内孔近接領域におけるシール性が向上する。その結果、エア侵入経路を的確に遮断することが可能となる。
本発明の一実施の形態に係る定形目地材の斜視断面図である。 (A)、(B)は、耐火物間に同定形目地材が介装された状態を説明するための模式図である。 本発明の他の実施の形態に係る定形目地材の斜視断面図である。 耐火物間に同定形目地材が介装された状態を説明するための模式図である。 下ノズルに発生する亀裂を示した模式図である。 下ノズルにおけるエアの侵入経路を示した模式図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示す本発明の一実施の形態に係る定形目地材10は、シート材を逆円錐台状に形成した形状とされている。定形目地材10の縮径部がわは、溶融金属の流路となる内孔(ノズル孔)に近接する内孔近接部10aとされ、他の部位より厚くなっている。また、定形目地材10の断面は、内孔近接部10aから、拡径部がわとなる外周縁部10bに向けて厚みが漸減するテーパ状とされている。
定形目地材10において厚みが最大となる、内孔近接部10aがわ端面の厚みをAとし、定形目地材10において厚みが最小となる、外周縁部10bがわ端面の厚みをBとすると、定形目地材10の最大厚みAの上限値は、(1)式により規定される。
A×(1−定形目地材10の可縮率)≦B …(1)
ここで、「可縮率」は、一定の厚みを有する板材を所定の圧力で均一に圧縮したときに(2)式で定義される物理量である。
可縮率=(X−Y)/X …(2)
但し、X:圧縮前の板材の厚み、Y:圧縮後の板材の厚み
なお、定形目地材10に作用させる押付圧力は、ユーザが従来より採用している押付圧力でよい。一般的には、定形目地材10に掛かる押付圧力は、おおよそ0.5MPaから、局所的に作用する押付圧力として30MPa位まで考えられる。
一方、定形目地材10の最小厚みBは、一定の厚みを有する従来の定形目地材の厚みとすれば良い。
図2(A)は、定形目地材10の使用例を示したものであり、下ノズル14と浸漬ノズル19との間に定形目地材10が介装されている。
下ノズル14は、下部14aが下方に向けて縮径する逆円錐台状とされている。下ノズル14の外周面は、目地材16を介してメタルケース17で被覆されている。一方、浸漬ノズル19上端部の接合面19aは、上方に向けて拡径する逆円錐台状とされている。
定形目地材10は、メタルケース17の外周面と浸漬ノズル19の接合面19aとの間に介装される。本定形目地材10では、拡径部がわとなる外周縁部10bから縮径部がわとなる内孔近接部10aに向けて厚みが漸増するテーパ状とされているため、溶融金属の流路となる内孔12に近接する内孔近接部10aが他の部位に比べて高密度となりシール性が高くなる。そのため、下ノズル14とメタルケース17の間から侵入したエアFは、定形目地材10の内孔近接部10aによって的確に遮断される。
図2(B)は、定形目地材10の他の使用例を示したものである。本使用例では、下ノズル14の外周面は、下端部14bを除いて、目地材16を介してメタルケース17で被覆されている。下ノズル14の下端部14bは露出し、段差が形成されている。定形目地材10は、メタルケース17の外周面と浸漬ノズル19の接合面19aとの間、及び下ノズル14外周面の下端部14bと浸漬ノズル19の接合面19aとの間に介装される。本定形目地材10では、拡径部がわとなる外周縁部10bから縮径部がわとなる内孔近接部10aに向けて厚みを漸増させてテーパ状とする他、外周縁部10bにおける目地厚を一定とし、内孔近接部10aにおける目地厚が下方に向かうにつれて漸増するように構成してもよい。下ノズル14の下端部14bに形成された段差部分が、他の部位より厚い内孔近接部10aによって隙間無くシールされる。そのため、下ノズル14とメタルケース17の間から侵入したエアFは、定形目地材10の内孔近接部10aによって的確に遮断される。
図3に示す本発明の他の実施の形態に係る定形目地材11は、円盤の中央部に孔が形成された環状型とされている。定形目地材11の中央部は、溶融金属の流路となる内孔に近接する内孔近接部11aとされ、他の部位より厚くなっている。また、定形目地材11の断面は、内孔近接部11aから外周縁部11bに向けて厚みが漸減するテーパ状とされている。
なお、定形目地材11において厚みが最大となる、内孔近接部11aがわ端面の厚みをA’とし、厚みが最小となる、外周縁部11bがわ端面の厚みをB’とすると、定形目地材10と同様、最大厚みA’と最小厚みB’との間には(1)式が成立する。
図4は定形目地材11の使用例を示したものであり、下ノズル15と浸漬ノズル20との間に定形目地材11が介装されている。
下ノズル15の下面15c及び浸漬ノズル20の上面20aは水平面とされ、その間に定形目地材11が介装されている。下ノズル15の外周面は、メタルケース18で被覆されている。
本定形目地材11では、溶融金属の流路となる内孔13に近接する内孔近接部11aのシール性が高いので、下ノズル15に形成された亀裂破面から侵入したエアFは、定形目地材11の内孔近接部11aによって的確に遮断される。
定形目地材10、11の原料には従来のものを使用することができ、構成原料としてアルミナ粉、粘土、バルクファイバー、カーボン粉末などを、バインダーとしてフェノール樹脂などを用いることができる。また、定形目地材10、11の作製についても従来の方法に拠ればよく、構成原料にバインダーを添加してミキサーで混練した後、加圧成形すればよい。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、上記実施の形態では、定形目地材の断面をテーパ状としているが、段差を設けてもよい。要は、内孔側の端部の厚みが他の部位の厚みより大きければよい。
10、11:定形目地材、10a、11a:内孔近接部、10b、11b:外周縁部、12、13:内孔、14、15:下ノズル、14a:下部、14b:下端部、15a:内孔近接部、15b:外周部、15c:下面、16:目地材、17、18:メタルケース、19、20:浸漬ノズル、19a:接合面、20a:上面、21:目地材、22:内孔近接領域、F:エア

Claims (3)

  1. 溶融金属の排出経路となる一の連続する内孔を構成する複数のノズル間の接合に用いられる定形目地材において、
    シート材を逆円錐台状に形成した形状であって、前記排出経路の上流側に位置し下部が下方に向けて逆円錐台とされた前記ノズルの下部外周面と、前記排出経路の下流側に位置する前記ノズルの内周面との間の領域に設置され、
    又は、
    中央部に孔が形成された環状型であって、前記排出経路の上流側に位置する前記ノズルの下面と、前記排出経路の下流側に位置する前記ノズルの上面との間の領域に設置され、
    前記領域に設置される目地材における内孔側の端部の厚みが、前記領域に設置される目地材における他の部位の厚みより大きいことを特徴とする定形目地材。
  2. 請求項1記載の定形目地材において、前記内孔側の端部の最大厚みをA、前記他の部位の最小厚みをBとすると、A×(1−該定形目地材の可縮率)≦Bである定形目地材。
  3. 請求項1又は2記載の定形目地材において、前記内孔側の端部から外気と接する外周縁部に向けて厚みが漸減する定形目地材。
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