JP5585764B2 - 車両用発音装置 - Google Patents

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Description

本発明は車両用発音装置に係り、より詳細には、電気車両及びハイブリッド車両を初めとする低騒音車両に搭載して好適な、車両外部に車両の接近を報知する車両用発音装置に関する。
低騒音車両は、従来の自動車と比較して走行時の騒音が少ないため、歩行者が車両の接近に気がつかない場合がある。このため、歩行者や自転車に乗った人に車両の接近を気づかせるために、車両から走行疑似音を発音させることが提案されている。
下記の特許文献1には、タイヤノイズやエンジンアイドリング音の疑似音を発音する技術が開示されている。
また、下記の特許文献2に記載の技術では、車両からの距離が短い接近告知領域に対しては、高周波の疑似音を発音し、一方、車両からの距離が長い遠方告知領域に対しては、低周波の疑似音を発音している。一般に、高周波音は低周波音よりも減衰しやすいため、低周波音をカットした高周波音の疑似音を発音することにより、遠方への疑似音の広がりが抑制される。
特開2009−40318号公報 特開2008−168676号公報
しかし、これらの疑似音は、車両の周囲にとっては騒音に他ならず、また、高い静粛性という低騒音車両の長所を減殺してしまうことにもなる。
また、高周波の疑似音には低周波成分が十分に含まれないため、歩行者や自転車に乗った人がその疑似音を聞いても、タイヤノイズやエンジンアイドリング音などとして知覚することが出来ず、車両接近を想起することが困難な場合も有り得る。
そこで、本発明は、発音装置による騒音を抑制しつつ、車両接近を想起しやすい音を発生させる車両用発音装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するため、本発明の車両用発音装置によれば、車両外部に車両の接近を報知する車両用発音装置であって、車両の接近を想起させる接近音の原音色を生成する原音色生成手段と、所定の基本周波数のn倍(nは2以上の整数)の周波数からなる倍音列の周波数成分に、この音列の周波数成分以外の周波数成分に付与する利得よりも高い利得を選択的に付与するコムフィルタ機能を有し、このコムフィルタ機能によって上記原音色から変調音色を生成する変調音色生成手段と、上記変調音色の接近音の発音音圧を設定する音圧設定手段と、設定された発音音圧で、車両外部へ上記変調音色の接近音を発音する発音手段と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、基本周波数の倍音列の周波数成分に高い利得を選択的に付与する。その結果、ミッシングファンダメンタル(missing fundamental)現象によって、実際に発音される接近音では基本周波数成分が欠けていても、その基本周波数成分の音を含む接近音として人間に知覚される。このため、減衰しにくく遠くまで伝わりやすい低周波成分に高い利得を付与しなくても、車両接近を想起しやすい音を発生させることができる。
さらに、本発明では、倍音列の周波数成分に選択的に高い利得を付与し、かつ、ミッシングファンダメンタル効果を利用するため、原音色の接近音よりも高い音圧として歩行者に知覚させることができるため、原音色をそのまま発音する場合よりも全体的に低い音圧で変調音色の接近音を発音させても、歩行者に車両接近を容易に想起させることができる。
このように、本発明によれば、ミッシングファンダメンタル現象を利用して、発音装置による騒音を抑制しつつ、車両接近を想起しやすい音を発生させることができる。
また、本発明において、好ましくは、変調音色生成手段は、所定の閾値周波数よりも高い周波数成分に、閾値周波数より低い周波数成分に付与する利得よりも高い利得を選択的に付与するハイパスフィルタ機能を有し、コムフィルタ機能及びハイパスフィルタ機能によって原音色から変調音色を生成する。
このように、コムフィルタ機能とハイパスフィルタ機能とを組み合わせて、原音色を処理して変調音色を生成すれば、遠くまで減衰せずに伝わりやすい低周波領域の音圧が低減される。その一方で、歩行者等には、ミッシングファンダメンタル現象により、基本周波数の音が聞こえるとともに、低周波領域の音を錯覚により知覚させることが出来る。このため、騒音を抑制しつつ、タイヤノイズやエンジンアイドリング音などの原音色に近い車両接近を想起しやすい音を知覚させることができる。
また、本発明において、好ましくは、ハイパスフィルタ機能は、閾値周波数よりも低い周波数成分を減衰させる。
これにより、閾値周波数よりも低い周波数成分の音圧が低減され、接近音の低周波成分が遠くまで伝わることが抑制される。その結果、騒音がより抑制されるとともに、ミッシングファンダメンタル現象により、タイヤノイズやエンジンアイドリング音などの原音色に近い車両接近を想起しやすい音を錯覚により知覚させることができる。
また、本発明において、好ましくは、コムフィルタ機能は、倍音列のうち、周波数が等間隔の周波数成分に高い利得を付与する。
これにより、ミッシングファンダメンタル現象のより効果的な発生を図ることができる。
また、本発明において、好ましくは、車両から歩行者までの距離を検出する距離検出手段を有し、変調音色生成手段は、車両から歩行者までの距離が短いほど、ハイパスフィルタ機能の閾値周波数を上昇させること、及び、ハイパスフィルタ機能の閾値周波数より低い低周波成分に付与する利得を低下させることの少なくとも一方を行う。
これにより、車両から歩行者までの距離が短いほど、接近音に含まれる低周波成分が低減される。その結果、歩行者が近いほど接近音が遠くまで伝わりにくくなり、歩行者に車両の接近を想起させつつ、騒音の更なる抑制を図ることができる。
また、本発明において、好ましくは、車両の周囲環境の音圧を測定する周囲環境音圧測定手段を有し、変調音色生成手段は、周囲環境の音圧が低いほど、ハイパスフィルタ機能の閾値周波数を上昇させること、及び、ハイパスフィルタ機能の閾値周波数より低い低周波成分に付与する利得を低下させることの少なくとも一方を行う。
これにより、周囲環境の音圧が低く静かなほど、接近音に含まれる低周波成分が低減される。その結果、接近音が遠くまで伝わりにくくなり、周囲環境が静かな場合に、騒音を抑制することができる。
また、本発明において、好ましくは、原音色生成手段は、接近音の原音色生成用データを車両の走行状態と対応させて格納したメモリを有し、原音色生成手段は、走行状態に応じて原音色生成用データを読み出し、原音色生成する。
これにより、車両の走行状態に応じた原音色が生成される。その結果、接近音によって車両の接近を想起させる際に、車両の速度や加速といった車両の走行状態も同時に想起させることが期待できる。
本発明の車両用発音装置によれば、騒音を抑制しつつ、車両接近を想起しやすい音を発生させる車両用発音装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態による車両用発音装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態による車両中のセンサの配置を模式的に示す平面図である。 本発明の第1実施形態による車両用発音装置の作動を示すフローチャートである。 (A)は、第1実施形態における原音色の音圧の周波数分布を示すグラフであり、(B)は、コムフィルタの利得の周波数特性を示すグラフであり、(C)は、変調音色の音圧の周波数特性を示すグラフである。 本発明の第2実施形態による車両用発音装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態による車両用発音装置の処理を示すフローチャートである。 (A)は、第2実施形態における原音色の音圧の周波数分布を示すグラフであり、(B)は、コムフィルタの利得の周波数特性を示すグラフであり、(C)は、ハイパスフィルタの利得の周波数特性を示すグラフであり、(D)は、変調音色の音圧の周波数分布を示すグラフである。 (A)は、第3実施形態における原音色の音圧の周波数分布を示すグラフであり、(B)は、コムフィルタの利得の周波数分布を示すグラフであり、(C)は、ハイパスフィルタの利得の周波数特性を示すグラフであり、(D)は、変調音色の音圧の周波数特性を示すグラフである。
以下、添付の図面を参照して、本発明の車両用発音装置の実施形態を説明する。
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態による車両用発音装置の構成について説明する。図1は、第1実施形態による車両用発音装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、第1実施形態による車両用発音装置は、車両外部に車両の接近を報知するために、作動条件判定部1と、車両の接近を想起させる接近音の原音色を生成する原音色生成部2と、原音色生成用データを格納したメモリ3と、原音色から変調音色を生成する変調音色生成部4と、変調音色の接近音の発音音圧を設定する音圧設定部5と、設定された発音音圧で、車両外部へ変調音色の接近音を発音する発音手段としてのスピーカ6とを有する。さらに、車両用発音装置は、車両から歩行者までの距離を検出する距離検出手段としての画像処理部7も有する。
作動条件判定部1、原音色生成部2、変調音色生成部4、音圧設定部5及び画像処理部7は、例えば車載ECU(electric control unit:電子制御装置)における処理機能に相当する。これらの処理機能は、コンピュータにおいて所定のプログラムを実行することによって実現してもよいし、マイクロチップによって実現してもよい。
作動条件判定部1は、接近音を発音させる条件が満たされているか否かを判定する。判定条件として、車速センサ8が検出した走行中の車速が、所定の基準車速以下であること、例えば(0<車速≦20km/h)であることが挙げられる。
なお、車速センサ8は、図2に示すように、車両C前方のエンジンルーム内に設けられている。図2は、車両の平面模式図である。
また、他の判定条件として、車両が停車中であっても、ホーンスイッチ9が操作された場合も挙げられる。停車していた車両を発進させるときに、車両の周囲、特に車両前方にいる人間に、車両が発進することを気づかせることが望ましいからである。したがって、発音装置が発生する接近音は、クラクションを鳴らすよりも穏やかな警告手段として使用することもできる。
なお、ホーンスイッチ(ホーンSW)9は、図2に示すように、車両の運転席のステアリングに設けられている。
原音色生成部2は、車両の走行状態に対応した原音色生成用データをメモリ3から読み出して原音色を生成する。メモリ3には、原音色生成用データが車両の走行状態と対応付けて格納されている。車両の走行状態としては、車速センサ8によって検出された車速、及び、エンジン回転センサ10によって検出されたエンジン回転数(又はエンジン出力)、アクセル開度センサ11によって検出されたアクセル開度が挙げられる。
なお、エンジン回転センサ10及びアクセル開度センサ11も、車速センサ8と同様に、図2に示すように、車両C前方のエンジンルーム内に設けられている。
本実施形態では、メモリ3には、車速、エンジン回転数及びアクセル開度の少なくとも一つと対応付けられて、原音色生成用データが格納されている。したがって、原音色生成部2は、車速、エンジン回転数及びアクセル開度の少なくとも一つと対応づけられた原音色生成用データを読み出して、車速等に応じて原音色を生成する。
なお、原音色生成用データは、実際に走行している車両のタイヤノイズやエンジン音の録音データを利用して生成してもよいし、合成音として生成してもよい。
変調音色生成部4は、原音色から変調音色を生成する。そのために、変調音色生成部4は、コムフィルタ機能4aを有している。コムフィルタ機能4aは、所定の基本周波数f0のn倍(nは2以上の整数)の周波数f1,f2,f3,・・・からなる倍音列の周波数成分に、この倍音列の周波数成分以外の周波数成分に付与する利得g2よりも高い利得g1を選択的に付与する。例えば、基本周波数f0=100Hzの場合、f1=200Hz、f2=300Hz、f3=400Hz・・・の倍音列の周波数に高い利得が付与される。
このコムフィルタ機能4aは、ミッシングファンダメンタル現象を発生させるために使用される。ミッシングファンダメンタル現象では、基本周波数f0を欠いた倍音列の周波数の音を人間に聞かせると、現実には基本周波数f0の音が発音されていないにもかかわらず、その人間には、その基本周波数が聞こえるように感じられる。例えば、1000Hz、1100Hz、1200Hz・・・の周波数成分からなる音を聞くと、これらの周波数の最大公約数である100Hzの音が知覚される。
また、コムフィルタ機能4aでは、倍音列のうち、周波数が等間隔の周波数成分に高い利得を付与するのがよい。例えば、倍音列の各周波数f1,f2,f3,・・・の間隔を100Hzの等間隔とするとよい。これにより、より効果的にミッシングファンダメンタル現象の発生を図ることができる。また、コムフィルタ機能4aの基本周波数f0は、例えば、車両のエンジン音の固有周波数と一致させるとよい。これにより、接近音を聞いた歩行者が車両の接近をより想起しやすくなることが期待される。
そして、変調音色生成部4は、コムフィルタ機能4aを使用して原音色から変調音色を生成する。生成された変調音色は、ミッシングファンダメンタル現象によって、実際に発音される接近音では基本周波数f0成分に高い利得が付与されていなくても、その基本周波数f0成分にも高い利得が付与された接近音として人間に知覚される。このため、減衰しにくく遠くまで伝わりやすい低周波成分に高い利得を与えなくても、車両接近を想起しやすい音を発生させることができる。
音圧設定部5は、変調音色の接近音の発音音圧を設定する。発音音圧の設定にあたっては、周囲環境の音圧よりも少し高めの音圧を設定することが望ましい。
なお、車両の周囲環境の音圧は、周囲環境音圧測定手段としてのマイク12によって測定される。マイク12は、図2に示すように、車両のフロントガラスの直前であって、車幅方向の中央付近に設けられている。
また、変調音色では、倍音列の周波数f1,f2,f3,・・・の成分に選択的に高い利得を付与し、かつ、ミッシングファンダメンタル効果を利用することにより、原音色の接近音をそのまま発音する場合よりも全体的に低い音圧で変調音色の接近音を発音させても、歩行者に車両接近を容易に想起させることができる。したがって、発音音圧を抑制することができる。
また、車両のヘッドライトが点灯している場合には、歩行者は、通常、ヘッドライトの光によって車両の接近に気がつく。このような場合には、大きな音の接近音を発生させる必要はない。そこで、カメラ13で撮像した画像を画像処理部7で処理して、周囲環境が夜間であると判断され、かつ、車両のヘッドライトが点灯している場合には、設定音圧を、昼間の設定音圧よりも低くすることが望ましい。
なお、カメラ13は、図2に示すように、フロントガラスの内側の車幅方向の中央であって、車室の天井近くに、前方に向けて設けられている。
また、自車両の近くに、接近音を発音している車両が存在する場合、互いに相手の車両の接近音よりも少し高い音圧を設定していくと、設定音圧が著しく高くなってしまうおそれがある。そこで、音圧の設定に当たっては、適当な上限値を設定しておくことが望ましい。
スピーカ6からは、設定された発音音圧で、車両外部へ変調音色の接近音が発音される。このように変調音色の接近を発音することにより、発音装置による騒音を抑制しつつ、車両接近を想起しやすい音を発生させることができる。
なお、スピーカ6は、図2に示すように、車両先頭の車幅方向中央付近に設けられている。
次に、図3のフローチャートを参照して、第1実施形態による車両用発音装置の作動を説明する。
先ず、作動条件判定部1が、車速センサ8から車速を取得する(S31)。
次に、作動条件判定部1は、車速Vが、0<V≦20km/hの条件を満たすか否かを判定する(S32)。この条件が満たされていない場合(S32で「NO」の場合)、作動条件判定部1は、ホーンスイッチ(ホーンSW)が操作された(ON)か否かを判定する(S33)。
そして、車速が上記条件を満たす場合(S32で「YES」の場合)、又は、ホーンスイッチが操作された場合(S33で「YES」の場合)、原音色生成部2は、車両の走行状態データを取得する(S34)。走行状態データとしては、車速、エンジン回転数、及びアクセル開度が挙げられる。
次に、原音色生成部2が、取得した走行状態に対応した原音色生成用データをメモリ3から読み出し、原音色を生成する(S35)。
ここで、図4(A)に、生成された原音色のグラフを模式的に示す。グラフの横軸は周波数を表し、縦軸は音圧を表す。グラフ中の曲線Iは原音色の音圧の周波数特性を示す。
次に、カメラ13で撮像した画像を画像処理部7で処理して得られた周囲環境のデータ、及び、マイク12で検出された周囲環境音圧のデータを取得する(S37)。
次に、変調音色生成部4が、コムフィルタ機能4aの特性を生成する(S37)。
図4(B)に、コムフィルタ機能4aの特性を示すグラフを模式的に示す。グラフの横軸は周波数を表し、縦軸は利得(ゲイン)を表す。グラフ中の線IIは、コムフィルタ機能4aの利得の周波数特性を示す。線IIに示すように、このコムフィルタ機能4aでは、基本周波数f0の倍音列の一部のf1,f2及びf3の周波数成分に高い利得g1を付与し、それ以外の周波数成分には低い利得g2を付与している。例えば、利得g1=1.2dB、利得g2=0.0dBでもよい。
なお、コムフィルタ機能4aの特性は、逐次生成してもよいし、メモリに記憶したものを読み出して使用してもよい。
次に、変調音色生成部4が、コムフィルタ機能4aを使用して、原音色から変調音色を生成する(S38)。
図4(C)に、図4(B)のコムフィルタ機能4aを使用して、図4(A)の原音色から生成した変調音色のグラフを模式的に示す。図4(C)のグラフの横軸は周波数を表し、縦軸は音圧を表す。グラフ中の曲線IIIは、変調音色の音圧の周波数特性を示す。
曲線IIIに示すように、変調音色は、原音色をベースとし、倍音列の周波数f1,f2及びf3に、それぞれ音圧ピークp1,p2及びp3を有する。このため、この変調音色の接近音を聞いた人間は、ミッシングファンダメンタル現象により、基本周波数f0の音を知覚するとともに、原音色よりも少し、高い音圧として知覚することになる。すなわち、曲線IIIに曲線IIIで示す実際の変調音色に、破線で示す基本周波数f0のピークp0を加えた変調音色の接近音を発音した場合と同様の接近音が知覚されることになるとともに、図4(A)の曲線Iで示す音圧よりも、全周波数領域において高い音圧として知覚されることとなる(図4(C)の一点鎖線)ため、それに相当する音圧を低下させることで、同等の接近音を歩行者に知覚させながら、騒音を抑制することが出来る。
次に、音圧設定部5が、変調音色の接近音の発音音圧を設定する(S39)。
ここで、音圧設定部5は、マイク12によって測定された周囲環境音圧よりも少し高い音圧を設定するとよい。また、カメラ13が撮像した画像を処理した画像処理部7によって夜間であると判定され、かつ、ヘッドライトが点灯している場合には、より低い音圧設定とするとよい。
また、図4(C)に曲線IIIで示したように、変調音色は、倍音列に音圧ピーク(p1,p2及びp3)を有している上、ミッシングファンダメンタル現象によって基本周波数f0の音も知覚される。このため、これらの音圧ピークがない場合よりも低い音圧設定であっても、歩行者に車両接近を十分に想起させることができると考えられる。
次に、スピーカ6が、設定発音音圧で、車両外部へ変調音色の接近音を発音する(S40)。
このようにして、発音装置による騒音を抑制しつつ、車両接近を想起しやすい音を発生させることができる。
次に、図5乃至図7を参照して、本発明の第2実施形態による車両用発音装置を説明する。図5は、第2実施形態による車両用発音装置の構成を示すブロック図である。第2実施形態による車両用発音装置は、変調音色生成部4がハイパスフィルタ機能4bを更に有する点を除いて、基本的に、図1に示した第1実施形態による車両用発音装置の構成と同じである。このため、第1実施形態と同一の構成についてはその詳細な説明を省略する。
変調音色生成部4のハイパスフィルタ機能4bは、所定の閾値周波数fcよりも高い周波数成分に、閾値周波数fcより低い周波数成分に付与する利得g6よりも高い利得g5を選択的に付与する。閾値周波数fcは、基本周波数f0と倍音列の最小周波数f1との間であることが望ましい。
また、ハイパスフィルタ機能4bの特性は、車両から歩行者までの距離に従って調整されることが望ましい。具体的には、車両から歩行者までの距離が短いほど、ハイパスフィルタ機能の閾値周波数fcを上昇させること、及び、ハイパスフィルタ機能の閾値周波数fcより低い低周波成分に付与する利得g6を低下させることの少なくとも一方を行うのがよい。このように、閾値周波数f0を上昇させたり、低周波成分の利得g6を低下させることにより、接近音に含まれる低周波成分が低減される。その結果、歩行者が近いほど、接近音が遠くまで伝わりにくくなり、歩行者に車両の接近を想起させつつ、騒音の更なる抑制が図られる。
なお、歩行者には、立ち止まっている人も自転車に乗った人も含まれる。
車両から歩行者までの距離は、前方監視用のカメラ13で撮像された画像を画像処理部7で処理して求めるとよい。カメラ13をステレオカメラとして、歩行者までの距離を測定してもよい。また、カメラ13に加えて、レーダ又はレーザ測距装置を車両に設けて、歩行者までの距離を測定してもよい。
また、ハイパスフィルタ機能4bの特性は、車両の周囲環境の音圧に従って調整されることが望ましい。具体的には、周囲環境の音圧が低いほど、即ち、車両の周囲が静かな程、ハイパスフィルタ機能の閾値周波数fcを上昇させること、及び、ハイパスフィルタ機能の閾値周波数fcより低い低周波成分に付与する利得g6を低下させることの少なくとも一方を行うことが望ましい。これにより、周囲環境の音圧が低く静かなほど、接近音に含まれる低周波成分が低減される。その結果、接近音が遠くまで伝わりにくくなり、周囲環境が静かな場合に騒音が一層抑制される。
そして、変調音色生成部4は、コムフィルタ機能4aとハイパスフィルタ機能4bの両方を使用して、原音色から変調音色を生成する。その結果、単に、低音域の成分が高音域の成分よりも抑制されるだけでなく、ミッシングファンダメンタル現象により、現実には存在しない低音域の基本周波数のピーク音圧が知覚されることになる。これにより、発音装置による騒音を抑制しつつ、車両接近を想起しやすい音を発生させることができる。
次に、図6のフローチャートを参照して、第2実施形態による車両用発音装置の作動を説明する。
図6に示すフローチャートのうち、コムフィルタ機能を生成するステップS67までの作動は、第1実施形態における図3のステップS37までの作動と同じである。第2実施形態においても、ステップS65で、図7(A)に曲線Iで示す原音色を第1実施形態と同様に生成し、また、ステップS67で、図7(B)に線IIで示すコムフィルタを第1実施形態と同様に生成する。
第2実施形態では、変調音色生成部4は、更に、ハイパスフィルタ機能4bを生成する(S68)。
ここで、図7(C)に、ハイパスフィルタ機能4bの特性を示すグラフを模式的に示す。グラフの横軸は周波数を表し、縦軸は利得(ゲイン)を表す。グラフ中の線IVはハイパスフィルタ機能4bの利得の周波数特性を示す。線IVに示すように、このハイパスフィルタ機能4bでは、所定の閾値周波数fcよりも高い周波数成分に、閾値周波数fcより低い周波数成分に付与する利得g6よりも高い利得g5を選択的に付与する。例えば、利得g5=0.0dB、利得g6=−3dBとするとよい。これにより、低音域の音圧が抑制されて接近音が遠くまで伝わりにくくなる。
この閾値周波数fcは、コムフィルタ機能4aの基本周波数f0と、その倍音列のうち高い利得が付与される周波数成分のうちの最低周波数との間であることが望ましい。これにより、ミッシングファンダメンタル現象の利用を妨げることなく、低音域の音圧を抑制することができる。
また、車両から歩行者までの距離が短いほど、或いは車両の周囲環境の音圧が低いほど、この閾値周波数fcを上昇させてもよい。これにより、歩行者が近いほど、或いは車両の周囲環境の音圧が低いほど、音圧が抑制される低音域が広くなり、接近音が遠くまで伝わりにくくなる。また、車両から歩行者までの距離が短いほど、或いは車両の周囲環境の音圧が低いほど、閾値周波数fcより低い低周波成分に付与する利得g6を低下させてもよい。これにより、歩行者が近いほど、或いは車両の周囲環境の音圧が低いほど、低音域の音圧が抑圧されて、接近音が遠くまで伝わりにくくなる。
そして、変調音色生成部4は、コムフィルタ機能4a及びハイパスフィルタ機能4bの両方を使用して、原音色から変調音色を生成する(S69)。
ここで、図7(D)に、原音色から生成した変調音色のグラフを模式的に示す。図7(D)のグラフの横軸は周波数を表し、縦軸は音圧を表す。グラフ中の曲線Vは、第2実施形態における変調音色の音圧の周波数特性を示す。
曲線Vに示すように、変調音色は、閾値周波数fcよりも低音側の変調音色の音圧が抑制されている。このため、この変調音色の接近音は遠くまで伝わりにくく、騒音を抑制することができる。さらに、曲線Vに示すように、変調音色は、周波数f1,f2及びf3に、それぞれp1,p2及びp3の音圧ピークを有する。このため、この変調音色の接近音を聞いた人間は、ミッシングファンダメンタル現象により、基本周波数f0の音を知覚することになる。すなわち、低音域の音圧が抑制されても、曲線Vに破線で示すように基本周波数f0にピークp0の音圧を更に有する変調音色の接近音を発音したのと同様に知覚され、これにより、図7(D)の一点鎖線で示すように、原音色のタイヤノイズやエンジンアイドリング音などの原音色に近い車両接近を想起しやすい音を知覚させることになる。
以下、第1実施形態の図3のステップS39及びS40と同様に、発音音圧を設定し(S70)、接近音を発音する(S71)。
このようにして、発音装置による騒音を抑制しつつ、車両接近を想起しやすい音を発生させることができる。
次に、図8を参照して、本発明の第3実施形態による車両用発音装置を説明する。
第3実施形態による車両用発音装置は、基本的に、図1のブロック図に示した第1実施形態によるものと同じである。また、第3実施形態による車両発音装置の作動も、基本的に第6図のフローチャートに示したものと同じである。
第3実施形態では、図8(A)及び図8(B)に示すように、第1及び第2実施形態と同様に、原音色及びコムフィルタ特性が生成される。
そして、第3実施形態では、図8(C)の曲線VIに示すように、ハイパスフィルタ機能4bの特性が、第2実施形態と異なっている。第3実施形態においても、ハイパスフィルタ機能4bは、所定の閾値周波数fcよりも高い周波数成分に、閾値周波数fcより低い周波数成分に付与する利得g6よりも高い利得g5を選択的に付与するが、ここでは、低周波数域の音圧を減衰させるのではなく、むしろ、高周波数域の音圧を相対的に増幅させている。例えば、利得g5=1.2dB、利得g6=0.0dBとするとよい。
そして、図8(B)のコムフィルタ機能及び図8(C)のハイパスフィルタ機能を使用して、原音色から生成された変調音色の音圧の波長分布を図8(D)に曲線VIIで示す。曲線VIIで示すように、変調音色は、倍音列に音圧ピーク(p1,p2及びp3)を有している上、ミッシングファンダメンタル現象によって基本周波数f0の音も知覚され、これにより、図8(D)の一点鎖線で示すように、原音色のタイヤノイズやエンジンアイドリング音などの原音色に近い車両接近を想起しやすい音を知覚させることになる。さらに、高音域に比較的高い利得が与えられているため、接近音全体の音圧を下げても、歩行者に車両接近を十分に想起させることができると考えられる。
これにより、発音装置による騒音を抑制しつつ、車両接近を想起しやすい音を発生させることができる。
上述した各実施形態においては、本発明を特定の条件で構成した例について説明したが、本発明は種々の変更及び組み合わせを行うことができ、これに限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、倍音列の周波数f1,f2,f3,・・・を等間隔とした例について説明したが、倍音列のうちの一部の周波数を間引いて、不等間隔としてもよい。
また、上述の実施形態では、1つの基本周波数に対する倍音列に高い利得を付与して変調音色を生成した例を説明したが、本発明では、基本周波数は1つに限定されず、複数の基本周波数それぞれの倍音列に高い利得を付与して変調音色を生成してもよい。
本発明の車両用発音装置は、例えば、電気自動車及びハイブリッド自動車をはじめとする走行時の騒音が小さい車両に搭載して利用可能である。
1 作動条件判定部
2 原音色生成部
3 メモリ
4 音色変調部
4a コムフィルタ機能
4b ハイパスフィルタ機能
5 発音音圧設定部
6 スピーカ
7 画像処理部
8 車速センサ
9 ホーンスイッチ
10 エンジン回転センサ
11 アクセル開度センサ
12 カメラ
13 マイク
100 ECU

Claims (7)

  1. 車両外部に車両の接近を報知する車両用発音装置であって、
    車両の接近を想起させる接近音の原音色を生成する原音色生成手段と、
    所定の基本周波数のn倍(nは2以上の整数)の周波数からなる倍音列の周波数成分に、この倍音列の周波数成分以外の周波数成分に付与する利得よりも高い利得を選択的に付与するコムフィルタ機能を有し、このコムフィルタ機能によって上記原音色から変調音色を生成する変調音色生成手段と、
    上記変調音色の接近音の発音音圧を設定する音圧設定手段と、
    設定された発音音圧で、車両外部へ上記変調音色の接近音を発音する発音手段と、
    を有することを特徴とする車両用発音装置。
  2. 上記変調音色生成手段は、所定の閾値周波数よりも高い周波数成分に、上記閾値周波数より低い周波数成分に付与する利得よりも高い利得を選択的に付与するハイパスフィルタ機能を有し、
    上記コムフィルタ機能及びハイパスフィルタ機能によって上記原音色から変調音色を生成することを特徴とする、請求項1記載の車両用発音装置。
  3. 上記ハイパスフィルタ機能は、上記閾値周波数よりも低い周波数成分を減衰させる、ことを特徴とする請求項2記載の車両用発音装置。
  4. 上記コムフィルタ機能は、上記倍音列のうち、周波数が等間隔の周波数成分に高い利得を付与することを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用発音装置。
  5. 車両から歩行者までの距離を検出する距離検出手段を有し、
    上記変調音色生成手段は、車両から歩行者までの距離が短いほど、上記ハイパスフィルタ機能の閾値周波数を上昇させること、及び、上記ハイパスフィルタ機能の閾値周波数より低い低周波成分に付与する利得を低下させることの少なくとも一方を行うことを特徴とする、請求項2又は3記載の車両用発音装置。
  6. 車両の周囲環境の音圧を測定する周囲環境音圧測定手段を有し、
    上記変調音色生成手段は、周囲環境の音圧が低いほど、上記ハイパスフィルタ機能の閾値周波数を上昇させること、及び、上記ハイパスフィルタ機能の閾値周波数より低い低周波成分に付与する利得を低下させることの少なくとも一方を行うことを特徴とする、請求項2、3及び5の何れか一項に記載の車両用発音装置。
  7. 更に、接近音の原音色生成用データを車両の走行状態と対応させて格納したメモリを有し、
    上記原音色生成手段は、車両の走行状態に対応した原音色生成用データを読み出し、上記原音色を生成することを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の車両用発音装置。
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