JP5598700B2 - 電解銅箔及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電解銅箔、特に電子回路基板用材料に適した電解銅箔及びその製造方法に関するものである。
周知のとおり、電解銅箔はめっき技術を応用した次のような方法で製造されている。
すなわち、硫酸と硫酸銅からなる水溶液を電解液とし、この電解液を陰極である円筒形チタン製ドラムと陽極である不溶性陽極との間に満たし、両極間に直流電流を通ずることによって、陰極表面に銅が析出する。このとき陰極ドラムは一定速度で回転しており、析出した電解銅はドラム表面から引き剥がされて連続的に巻き取られる。なお、当業者間においては、剥がし取った銅箔のドラムに接していた面を「光沢面」と称し、また、これとは反対の面を「粗面」と称し、当該電解銅箔を「未処理電解銅箔」と称している。
また、通常、未処理電解銅箔が電子回路基板用途に用いられる場合には樹脂との接着性の向上や耐薬品性及び防錆性の付与などを目的とする各種表面処理が施されており、当業者間においては当該各種表面処理工程を経たものを「処理電解銅箔」と称している。
近年、電解銅箔の主な用途である電子回路基板には、移動体通信機器に代表される電子機器の小型・高集積化さらには高周波化に伴うさまざまな問題が生じてきている。
電子回路基板は、絶縁材料である基材の柔軟性の観点から、柔軟性のないリジッド配線基板と柔軟性のあるフレキシブル配線板に大別され、さらに、これら二つを複合させたリジッドフレキシブル配線基板を含めれば、大きく三つに分類されている。
前記フレキシブル配線基板の工法に属するTAB(Tape Automated Bonding)工法は、銅配線されたテープ状のフィルムにICチップを連続して自動接続する電子回路基板の製造方法であり、ICチップを直接テープ状のポリイミドから成る写真フィルムのような「TABテープ」に実装するので高速で大量に電子回路基板を生産することが出来る。
TAB工法の特徴は、「デバイスホール」と呼ばれるフィルムが打ち抜かれた部分にICチップを搭載することであり、このデバイスホールの周囲にはエッチングにより形成された微細な「フライングリード」と呼ばれる銅配線が露出しており、ICチップはこのフライングリードと接続される。
近時、このフライングリード部分の回路幅が20μmと微細化されてきているため、ICチップ搭載時におけるボンディング工程や回路形成時のエッチングスプレー圧によってフライングリード部に変形が生じ、これが不良率を上昇させているという問題が生じている。
前記問題を解決する手段として、後出特許文献1には、銅箔の粗面粗さRzが2.5μm以下で、180℃で1時間のオーブン加熱後の抗張力が40kgf/mm2(392MPa)以上であることを特徴とし、且つ、このX線回折により測定した電解銅箔粗面の銅結晶の(111)面、(200)面、(220)面及び(311)面のピークのX線強度に対して無秩序に配向している高抗張力銅箔が有効であることが開示されている(結晶面の表記方法は該当特許公報の表記に従った。)。
また、後出特許文献2には、銅の析出粒子が微細でその粒子径のバラツキを従来にないほどに小さくした電解銅箔であって、電解銅箔が低プロファイルで光沢を有する粗面を備え、且つ、常態引っ張り強さの値が70〜100kgf/mm2(686〜980MPa)と極めて大きな機械的強度を有し、加熱(180℃×60分間)後でも、常態引っ張りの強さの値の85%以上の引っ張りの強さの値を保持するので、TAB用電解銅箔として有効であることが開示されている。
また、後出特許文献3には、電解銅箔の粗面粗さRzが2.5μm以下であって、電着完了時点から20分以内に測定した抗張力が820MPa以上であって、さらに当該銅箔を電着完了時点から100℃で10分間加熱処理後に測定した抗張力が未熱処理当該銅箔に対して、25℃で測定した抗張力の低下率が10%以下である低粗面電解銅箔が、TAB用電解銅箔として有効であることが開示されている。
このように、当業者間においては、低粗面で、且つ、ポリイミドフィルムとのラミネート時の熱履歴を想定して加熱後にも高い抗張力を維持できる熱安定性に優れた電解銅箔がTAB用電解銅箔として有効であることが知られている。
従って、TAB工法において微細配線化されつつあるフライングリード部に対しては電解銅箔の抗張力を向上させることが有効な方策であると言える。
なお、後出特許文献4には、電解液にチオ尿素をポリエチレングリコールなどの有機物質を添加すると共に該電解液中の塩素イオン濃度を1ppm未満に保つことにより、抗張力が高く、その熱安定性に優れている電解銅箔を得る製造方法が開示されている。
さらに、TAB用電解銅箔としては高抗張力に加え、スズめっき性の良否が問われている。
すなわち、通常、TAB用電解銅箔にはスズめっきが半田付け性保護用表面処理として行われているが、銅へのスズめっきには、「ノジュール」又は「ウィスカー」と呼ばれているめっき面異常や銅−スズ界面での急激な銅原子のスズ層への拡散によって生じるカーケンダルボイドなどの特有の異常問題が存在する。このようなスズめっき面異常は微細配線回路間での短絡やめっき面剥離などの不具合を引き起こす事故原因となっている。
もっとも、当業者間においては、すずめっき面異常問題の対策として、スズ単独のめっきに代えてSn-Pbの合金めっきとすることによって当該問題を克服してきた。
しかし近年、環境への鉛放出防止の観点から、鉛を含むSn-Pb合金めっきの使用は敬遠されており、専ら、スズ単独の無電解メッキが施されており、Sn-Pb合金めっきとすることで沈静化していたウィスカーやカーケンダルボイドなどの異常問題が再び注目されるようになっているのが現状である。
従って、TAB用電解銅箔には、(1)高抗張力であること、また、昨今の電子回路用基板に共通して求められる、ファインライン、ファインパターン化に対応するために、(2)薄箔であって、且つ、粗面が低粗面であること、さらに、信頼性確保の観点から、(3)スズめっき面異常が生じにくいことが求められる。
ところが、本発明者らの知見によれば、微細結晶組織であってその結晶組織がランダムな方位配向性である電解銅箔は高抗張力で、且つ、低粗面のものが得られるので、前記(1)、(2)の要求を満たすが、スズめっき剥がれが生じやすいことが明らかとなった。このスズめっき剥がれ現象はランダムな方位配向性であっても抗張力が低い場合には起こらない。この現象の詳細は明らかではないが、本発明者らは銅結晶粒の大きさが関与しているものと推測している。
本発明者らが後出先行文献1〜4に記載の各電解銅箔を検討したところ、全て結晶組織がランダムな方位配向性を示すと共に抗張力が高く、これらの電解銅箔に直接スズめっきを施した場合にはスズめっき層の剥がれが生じやすかった。
なお、当業者間においては、対策として内部拡散バリアのニッケルめっきを施すことでスズめっき剥離を回避しているものと考えられる。
しかしながら、内部拡散バリアのニッケルめっきを施す対策は、電解銅箔製造の観点からは工程の増加を招くので好ましくなく、しかも、前記フライングリード部形成時には表面処理電解銅箔の両面にスズめっき前処理としてソフトエッチングが施され、また、エッチングによって形成された回路サイド部分にはニッケルバリア層の無い銅箔断面が露出するから、ニッケル層を設けても、スズめっき層に対する内部拡散バリアとして有効に機能しないと言える。
本発明者らは、ランダムな方位配向性である微細結晶粒子を持つ電解銅箔ではなく、周知のごく一般的な電解銅箔である粗面が{110}面配向している結晶組織を持つ電解銅箔の場合には40kgf/mm2(392MPa)以上の高抗張力を示すものであってもスズめっき剥がれが発生しない事実に注目し、より強く{110}配向した結晶組織であって、しかも高い抗張力と低粗面を実現することが、TAB用電解銅箔として最適であると考えた。
なお、当業者間では、{110}面配向性を示す結晶組織の電解銅箔は、ごく一般的な電解銅箔として知られており、その粗面側表面には山谷形状が形成されており粗面側の粗さが粗いというのが一般的な認識であり、例えば、後出非特許文献1には、硫酸−硫酸銅水溶液に塩素イオンとゼラチンをともに添加した場合,塩化物イオンが選択的に(220)面に吸着しその面の成長を促進し,一方,ゼラチンは選択的に(111)面に吸着し,析出物の沿面成長を抑制することにより,鋭角的なピラミッド状の形態が得られるとされ、後出非特許文献2には、硫酸−硫酸銅水溶液にゼラチンとCl-を加えた電解銅箔は{110}配向であり,Rz値は大きく表面粗さは大きいとされている。
特許3346774号 特開2008−101267号 特許4273309号 特開平7−188969号
小浦延幸 他 表面技術 51,938(2000) 近藤和夫 他 エレクトロニクス実装学会誌 6,64(2003)
本発明は、前記諸事情に鑑み、スズめっき剥がれが発生しない{110}面結晶配向性を示す結晶組織の電解銅箔であって、粗面側に山谷形状が実質的に形成されていない低粗面(光沢を有する平滑な粗面)を持ち、且つ、高抗張力の電解銅箔を提供することを技術的課題とするものである。
本発明者は、前記課題を解決するために数多くの試作・実験を重ねた結果、硫酸−硫酸銅水溶液からなる電解液に非イオン性水溶性高分子、活性有機イオウ化合物のスルホン酸塩、チオ尿素系化合物及び塩素イオンを共存させる場合には、粗面粗さRzが2.0μm以下の低粗面であって、粗面側のX線回折により観測された回折線図相対強度から求められる{110}面のオリエンテーションインデックスが5.0以上の結晶組織であって、180℃・1時間、加熱後の抗張力が500MPa以上の高抗張力である電解銅箔が得られるという刮目すべき知見を得、当該課題を達成したものである。
前記技術的課題は、次のとおりの本発明によって解決できる。
すなわち、本発明に係る電解銅箔は、粗面粗さRzが2.0μm以下であって、粗面側のX線回折により測定した220銅回折線相対強度から求められるオリエンテーションインデックスが5.0以上の結晶組織であることを特徴とするものである。
また、本発明に係る電解銅箔は、180℃・1時間加熱後の抗張力が500MPa以上であることを特徴とするものである。
さらに、本発明に係る電解銅箔の製造方法は、硫酸−硫酸銅水溶液を電解液とし、白金族元素又はその酸化物で被覆したチタンからなる不溶性陽極と該陽極に対向するチタン製陰極ドラムとを用い、当該両極間に直流電流を通じる電解銅箔の製造方法において、前記電解液に非イオン性水溶性高分子、活性有機イオウ化合物のスルホン酸塩、チオ尿素系化合物及び塩素イオンを存在させることによって、粗面粗さRzが2.0μm以下であって、粗面側のX線回折により測定した220銅回折線相対強度から求められるオリエンテーションインデックスが5.0以上の結晶組織であって、180℃・1時間加熱後の抗張力が500MPa以上である電解銅箔を得ることを特徴とするものである。
本発明によれば、硫酸−硫酸銅水溶液からなる電解液に非イオン性水溶性高分子、活性有機イオウ化合物のスルホン酸塩、チオ尿素系化合物及び塩素イオンを共存させることで、粗面粗さRzが2.0μm以下であって、粗面側のX線回折により測定した銅220回折線相対強度のオリエンテーションインデックスが5.0以上の結晶組織であって、180℃・1時間、加熱後の抗張力が500MPa以上を示すスズめっき剥がれが発生しない電解銅箔(未処理銅箔)が製造でき、当該電解銅箔はTAB用表面処理銅箔材料として好適なものである。
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
実施例1で得られた電解銅箔をマット面から走査角度:2θ=40〜100°で走査したときのX線回折図である。 比較例1で得られた電解銅箔をマット面から走査角度:2θ=40〜100°で走査したときのX線回折図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
先ず、本発明において、硫酸−硫酸銅水溶液からなる電解液に添加する添加剤は、非イオン性水溶性高分子、活性有機イオウ化合物のスルホン酸塩、チオ尿素系化合物及び塩素イオンである。この中で、非イオン性有機化合物とチオ尿素系化合物との組み合わせが重要な役割を果たし、とりわけ、チオ尿素系化合物の電解液中の存在が重要であり、目的物の粗面粗さや抗張力はもとより、本発明者が最も重視している結晶配向性にも大きな影響を及ぼす。
本発明における非イオン性水溶性高分子化合物は、ポリグリセリン、アセチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロースなどが選択できる。これら非イオン性水溶性高分子は電解液に5〜40mg/Lの範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは10〜20mg/Lの範囲である。濃度が5mg/L未満では活性有機イオウ化合物のスルホン酸塩を加えても粗面側が低粗度化(光沢化)しない。40mg/Lを超える量を添加しても、物性や粗面側の外観の変化が現れず、このような高濃度に保持することは不経済である。なお、これら非イオン性水溶性高分子化合物は単独もしくは2種類以上を組み合わせて用いることも、前記濃度範囲内であれば可能である。
本発明における活性有機イオウ化合物は、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウムやビス(3-スルホプロピル)ジスルフィドナトリウムなどが挙げられ、電解液に2.0〜40mg/Lの範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは5〜10mg/Lの範囲である。この濃度が2.0mg/L未満では十分な低粗度化(光沢化)が起こらず、120mg/Lを超えると最適濃度範囲で低粗度化(光沢化)していた粗面側が光沢を失って粗度が上昇する。
本発明におけるチオ尿素系化合物は、チオ尿素をはじめ、エチレンチオ尿素、N,N'-ジエチルチオ尿素、N,N'-ジブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素などが挙げられ、これらを単独または二つ以上組み合わせて電解液に添加する。これら化合物は電解液に0.5〜7.0mg/Lの範囲で添加することが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0mg/Lの範囲である。添加量が0.5mg/L未満では低粗度化(光沢化)の向上が認められるが、180℃・1時間後に測定した抗張力は450MPaに満たず、しかも粗面側から観測した銅110回折線強度から算出されるオリエンテーションインデックスは5.0未満で、且つ、ランダムな配向性を示す。7.0mg/Lを超える添加量では再びオリエンテーションインデックスが5.0未満で、且つ、ランダム配向性を示し、マット面の粗度の上昇と光沢の減少が起こる。さらにチオ尿素系化合物の添加量を増すと銅箔粗面に粉状の析出が起こり、めっきにおける所謂「コゲ」の状態となる。
本発明における塩素イオンの存在は重要であり、前記各添加剤の全てが前記各好適濃度範囲で有効に機能するためには塩素イオンの存在が必須となる。電解液中の塩素イオン濃度は20mg/L〜70mg/Lの範囲で制御されることが好ましく、より好ましくは40〜60mg/Lである。20mg/L未満では結晶配向はランダムとなり、180℃・1時間加熱後の抗張力も450MPa以上を維持することが出来ずに軟化する。70mg/Lを超える塩素イオン濃度では粗面の粗さが粗くなる傾向を示し、これを制御するためには活性有機イオウ化合物のスルホン酸塩やチオ尿素系化合物の濃度を高くする必要が生じるので、不経済である。
なお、塩素イオン源には塩酸を用いればよい。
次に、本発明においては、硫酸−硫酸銅水溶液からなる電解液に前記非イオン性水溶性高分子、活性有機イオウ化合物のスルホン酸塩、チオ尿素系化合物及び塩素イオンをそれぞれ前記各好適範囲に調整して添加し、この電解液を白金族酸化物にて被覆した不溶性陽極と陰極であるチタン製陰極ドラムとの間に供給し、電解液温35〜60℃、電解電流密度20〜80A/dm2の電解条件で直流電解することによって目的とする電解銅箔を得ることが出来る。
なお、本発明に係る電解銅箔はTAB用途だけでなく、周知の粗化処理などの表面処理を施して処理電解銅箔とすれば高抗張力をもつプリント配線板用材料として広範囲に用いることができる。
実施例1
硫酸(H2SO4):100g/Lと硫酸銅五水和物(CuSO4・5H2O):280g/Lからなる硫酸−硫酸銅水溶液を調製した(以下、この電解液を「基本電解液」という。)。
添加剤として、ポリグリセリン(商品名:ポリグリセリン、品番:PGL-X、ダイセル化学工業株式会社製)、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、N,N-ジエチルチオ尿素(商品名:サンセラーEUR、三新化学工業製)及び塩酸を基本電解液に添加し、基本電解液に対する濃度をポリグリセリン:30mg/L、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム:5mg/L、N,N-ジエチルチオ尿素:1.5mg/L、塩素イオン:35mg/Lに調整した(後出表1参照)。
前記各添加剤を含む電解液を白金族酸化物にて被覆したチタンから成る不溶性陽極と陰極であるチタン製陰極ドラムとの間に供給し、電解電流密度:40A/dm2、電解液温:40℃の電解条件で電解し、厚さ18μmの未処理電解銅箔を得た。
得られた電解銅箔(未処理銅箔)について次の各評価試験を行った。
(1)機械的特性評価
抗張力(MPa)及び伸び(%)の評価をIPC-TM-650に基づき、インテスコ社製IM20型引張試験機を用いて行う。また、抗張力の熱安定性を評価するために180℃・1時間、エアーオーブンで加熱熱処理した評価銅箔の引張試験測定を行う。
(2)表面の粗さ評価試験
粗面の表面粗さを小坂研究所製のサーフコーダーSE-1700αを用いてJIS B0601-1994に規定されている十点平均粗さ、Rzを測定する。
(3)スズめっき性評価試験
得られた未処理電解銅箔に対して、常法に従って無電解スズめっきを行い、めっき層の剥がれを次の試験方法により評価する。
先ず、20mm×50mmに評価銅箔を切り出して試験片とし、これを180℃・1時間、加熱熱処理する。次いで、硫酸、100mL/L、過酸化水素水、25mL/Lに調整したソフトエッチング水溶液を作成し、25℃に保持したこの水溶液に、試験片を1分間浸漬する。1分間の浸漬後、直ちに、水溶液から引き上げ、イオン交換水で水洗する。次いで、硫酸55mL/L、25℃の水溶液に1分間浸漬し、当該水溶液から引き上げて再びイオン交換水で水洗する。次いで、この試験片を液温65℃に保ったロームアンドハース製 TINPOSIT LT-34(商品名)無電解スズめっき液に3分間浸漬し、所定のめっき時間が経過した後、試験片を無電解スズめっき液より引き上げ、イオン交換水で水洗してから風乾する。このようにして作成したスズめっき試験片を150℃に設定したエアーオーブン中で240分間熱処理してから室温に取り出す。
次いで、スズめっき層の密着性の評価をセロハン粘着テープテストによって行う。
セロハン粘着テープテストは、JIS Z 1522に規定する幅12mmのセロハン粘着テープ(セキスイ製、No.252)を用い、このセロハン粘着テープをスズめっき試験片のスズめっき面に長さ20mmに渡って空気が入らないように貼り付け、一端は貼り付けずにめっき面より浮かせておく。セロハン粘着テープは貼り付け後1〜2分間放置する。
なお、スズめっき試験片の反対の面(セロハン粘着テープを貼り付けていない面)は両面接着テープを使って厚さ3mmのアルミ板に固定して置く。次いで、めっき面より浮かせておいたセロハン粘着テープの一端をめっき面に対して90°の角度に保持して1秒以内に引き剥がす。このとき、セロハン粘着テープ側への剥離スズめっき層の有無でスズめっき性を評価する。
(4)結晶面配向性評価試験
結晶配向性はWillsonの方法に基づいて算出する。Willsonの方法は特異配向を持たない銅粉末の回折線相対強度を基準とし、これに対して評価対象である電解銅箔の各結晶面からの回折線相対強度から特異配向面を指数で示す方法である。
ここでは、基準となる無配向銅のX線回折線相対強度としてASTMカード4-0836に記載の数値を採用する。
一方、電解銅箔の評価は粗面側からX線回折線強度を測定する。回折線測定はリガク製RINT2000を用いて行う。測定条件は銅ターゲットのX線管球を用い、管電圧40kV、管電流30mA、走査角度2θ、40°〜100°、走査速度4°/minである。
走査角度2θの走査範囲で観測される5つの銅回折線、すなわち、111、200、220、311及び222の各回折線の相対強度と、前記ASTMカード4-0836に記載の無配向銅の相対強度とを用いてWillsonの方法によりオリエンテーションインデックスを算出する。
具体的な算出方法は銅111回折線を例にとると次のとおりである。
電解銅箔の粗面側の111回折線の相対強度I111を111、200、220、311及び222回折線の相対強度の合計で除した値をIF111とする。すなわち、
IF111=I111/(I111+I200+I220+I311+I222)
となる。
次に、同様にして無配向銅であるASTMカード4-0836の相対強度からIFR111を求める。すなわち、
IFR111=IR111/(IR111+IR200+IR220+IR311+IR222)
となり、111回折線のオリエンテーションインデックスは、
オリエンテーションインデックス111=IF111/IFR111
となる。
他の回折線についても、同様の操作を行うことにより、2θ=40°〜100°の走査角度でX線回折現象を引き起こす5つの結晶面の中で、基板面である電着ドラム面に対して最も強く配向している結晶面をオリエンテーションインデックス指標で表記することが出来る。
なお、前記算出方法からも明らかなように、全ての結晶面について無配向であるならば各回折線から算出されるオリエンテーションインデックスは1となり、特定の結晶面が強く配向すれば、その結晶面により回折されることによって生じる回折線から求められるオリエンテーションインデックスは1よりも大きな値を示すことになる。
前記(1)〜(4)の各評価試験を行った結果を後出表2及び後出表3に示す。
実施例2〜5、比較例1〜4
添加剤の種類と基本電解液に対する濃度及び電解電流密度並びに電解液温を、それぞれ後出表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ条件で厚さ18μmの電解銅箔を得た。そして、得られた未処理電解銅箔について、実施例1と同じ各評価試験を行った。結果を後出表2及び後出表3に示す。
図1に実施例1で得られた未処理電解銅箔の粗面側のX線回折図を示し、図2に比較例1で得られた未処理電解銅箔の粗面側のX線回折図を示す。
図1では220回折線強度が強く観測されていることから、強く{110}面配向した結晶組織の銅箔であることが分かる。これに対して、図2では111、200回折線が220回折線よりも強く観測されており、強く配向した結晶面が存在しないことが分かる。
Figure 0005598700
Figure 0005598700
Figure 0005598700

Claims (3)

  1. 粗面粗さRzが2.0μm以下であって、粗面側のX線回折により測定した220銅回折線相対強度から求められるオリエンテーションインデックスが5.0以上の結晶組織であることを特徴とする電解銅箔。
  2. 180℃・1時間、加熱後の抗張力が500MPa以上であることを特徴とする請求項1記載の電解銅箔。
  3. 硫酸−硫酸銅水溶液を電解液とし、白金族元素又はその酸化物で被覆したチタンからなる不溶性陽極と該陽極に対向するチタン製陰極ドラムとを用い、当該両極間に直流電流を通じる電解銅箔の製造方法において、前記電解液に非イオン性水溶性高分子、活性有機イオウ化合物のスルホン酸塩、チオ尿素系化合物及び塩素イオンを存在させることによって、粗面粗さRzが2.0μm以下であって、粗面側のX線回折により測定した220銅回折線相対強度から求められるオリエンテーションインデックスが5.0以上の結晶組織であって、180℃・1時間加熱後の抗張力が500MPa以上である電解銅箔を得ることを特徴とする電解銅箔の製造方法。
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