JP5687182B2 - 漏洩検知機能をもつ伝熱管及びそれに使用する外管 - Google Patents

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本発明は、2重管構造の漏洩検知機能をもつ伝熱管に関し、特に、熱交換器に好適に使用される漏洩検知機能をもつ伝熱管及びそれに使用する外管に関する。
ヒートポンプ式給湯器等において、外側伝熱管と、この外側伝熱管の内部に配置された内側伝熱管とを設け、内側伝熱管内にCO冷媒又は水を通流させ、外側伝熱管と内側伝熱管との間に水又はCO冷媒を通流させて、内側伝熱管の管壁を通して、CO冷媒と水との熱交換を行う熱交換器が使用されている。この場合に、CO冷媒と水とを分離すると共に、両者の間の伝熱作用をもたらす内側伝熱管には、漏洩検知機能をもつ伝熱管が使用されることが多い。この漏洩機能を持つ伝熱管は、外管と外管の内部に前記外管と一部を残して接触するように設けられた内管とから構成され、外管の全長にわたり、外管と内管との微細な隙間として漏洩検知部が設けられている。この外管及び/又は内管には、銅又は銅合金管が使用されている。この漏洩検知機能をもつ内側伝熱管の外管が水と接触している場合、腐食により外管を貫通する孔が発生することがあり、そうすると、この孔を介して、水が外管と内管との間の微小隙間である漏洩検知部に達し、この漏洩検知部を通じて内側伝熱管の端部に漏れ出し、内側伝熱管に腐食が発生したことを知ることが可能になる。また、この水が更に内管を腐食させると、内管に生じた孔を介して、内管内部を流れるCO冷媒が内管の外側の漏洩検知部に漏洩することになる。この場合、CO冷媒は高圧であることから、内管と外管との間に設けられた漏洩検知部を通してCO冷媒が内側伝熱管の端部に漏れ出し、更に熱交換器を流れるCO冷媒の圧力低下が発生するので、漏洩を検知することができ、この漏洩検知により、ヒートポンプ式給湯器等の運転を停止させることが可能となる。これは、内側伝熱管内部を通流するCO冷媒の圧力により内管に亀裂が発生した場合、又は外側伝熱管と内側伝熱管との間にCO冷媒が流れ、内側伝熱管内部に水が流れる場合においても同様である。このように、内側伝熱管に漏洩検知機能をもつ銅又は銅合金からなる伝熱管を使用すれば、孔又は亀裂の発生を速やかに検知することができる。
而して、従来の漏洩機能をもつ伝熱管は、特許文献1及び2に記載されているように、外管とこの外管内に挿入された内管とから構成され、外管として、その内面に軸方向に延びる複数個の断面矩形又は三角形の溝を形成したものを使用し、外管の内面と内管の外面とを密着させて構成されている。この伝熱管の内管の内部にCO冷媒を通し、外管の外側の外側伝熱管との間の空間に水を通すことにより、漏洩機能をもつ伝熱管を介して、CO冷媒と水との間で熱交換がなされる。このとき、この伝熱管に孔又は亀裂が発生した場合、伝熱管の外管の内面に形成されて溝内に、CO冷媒又は水が侵入し、熱交換器内を通流するCO冷媒の圧力低下又は水の圧力低下等により、伝熱管に孔又は亀裂が発生したことを検知できる。
特開2005−69620号公報 特開2005−147569号公報
しかしながら、従来の漏洩機能をもつ伝熱管は、外管の内面に軸方向に延びる溝を多数形成した内面溝付管を使用しており、生産性が低く、製造コストが高いという問題点がある。また、溝自体は、内管の外面に囲まれているが、この溝の上部を覆う内管の外面は外管に接触していない。このため、外管内面と内管外面との接触面積が少なく、例えば、溝の幅と、溝間の間隔とを一致させて溝を形成した場合、外管内面と内管外面との接触面積が50%にしか過ぎない。よって、伝熱性能もそれに応じて低いものとなる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、生産性が優れていて製造コストが低く、伝熱性能も優れた漏洩機能をもつ伝熱管及び外管を提供することを目的とする。
本発明に係る漏洩機能を持つ伝熱管は、外管とこの外管の内側に配置される内管とから構成される2重管構造の漏洩検知機能をもつ伝熱管において、
前記外管は、管軸直交断面形状で、外面が円形をなし、内面が多角形をなし、内管の外面が、管軸直交断面形状で、円形をなし、前記外管内に前記内管を挿入した状態で、前記外管を縮径加工するか、又は前記内管を拡径加工することにより、前記外管の前記多角形の辺の中央部が前記内管の前記円形の円周に食い込み、前記外管の前記多角形の角の部分と前記内管の前記円形の円周部分との間に空間が存在することを特徴とする。
この漏洩検知機能をもつ伝熱管において、
管軸直交断面において、前記内管の外径をDi、前記外管の内面の多角形の角数をN、前記外管の内面と前記内管の外面との1箇所あたりの接触長をaとしたとき、(a×N)/(Di×π)×100で表される密着率Aが5乃至95%であることが好ましい。
更に、この場合に、
管軸直交断面において、前記外管の内面の多角形は、角数が5乃至16、縮径前の外管の外径をDo、縮径後の外管の外径をDsとしたとき、{(Do−Ds)/Do}×100で表される外管の縮径率ΔDが3乃至25%であり、縮径前の外管の内面と内管の外面との間の最小距離Clが0.02乃至0.8mmであることが好ましい。
なお、前記外管は、管軸直交断面が多角形であるプラグを外管の中心に配置し、この外管を円環状の内面をもつダイスに通して、前記ダイスにより前記外管を前記プラグに向けて押圧しつつ、前記外管を引き抜く抽伸加工により前記多角形を形成することができる。
本発明に係る外管は、上記記載の漏洩検知機能をもつ伝熱管の製造に使用されるものである。
本発明によれば、外管の内面に、管軸直交断面で多角形の形状を形成して、縮径加工又は拡径加工するだけで、2重管構造に漏洩機能を持たせることができるので、製造が容易であり、かつ低コストで製造することができる。また、外管と内管との接触面積は、外管と内管との押圧の程度を調整することにより、例えば、5乃至95%という範囲で任意に調節することができ、95%程度の高接触面積とすれば、伝熱性能を著しく高めることができる。
本発明の実施形態に係る漏洩検知機能をもつ伝熱管を示す横断面図である。 この伝熱管の外管を製造する方法を示す図である。 この伝熱管を製造する方法を示す横断面図である。
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の実施形態に係る漏洩機能をもつ伝熱管の管軸直交断面図である。外管1とこの外管1内に挿入された内管2が密着して配置されている。この外管1と内管2との2重管構造は、図3(b)に示すように、例えば、内管2の外径に対して大きな内部空間を有する外管1内に、内管2を挿入し、図3(a)に示すように、外管1を縮径加工することにより、両者を密着させて製造することができる。本実施形態においては、外管1の内面が、管軸直交断面形状において、正8角形をなしている。そして、外管1を縮径加工して、外管1と内管2とを密着させることにより、図1及び図3(a)に示すように、外管1の内面における正8角形の辺の中央部が内管2の外面に接触し、接触部3はこの内管2の外面をほぼ平坦(管軸直交断面で直線)に変形させる。しかし、外管1の内面における正8角形の角の部分は、内管2の外面に接触しないまま残り、外管内面の角の形状及び内管外面の円弧形状が残っている。この角の部分は、外管1と内管2とが接触せずに、空間のまま残り、漏洩検知部としての間隙4となっている。
本実施形態においては、外管1の内面が管軸直交断面で多角形(図示例は正8角形)になっている。この外管1は、図2に示すようにして、製造することができる。図2(b)に示すように、円環状の内面を有するダイス10内に、外面が管軸直交断面で多角形(例えば、正8角形)の加工面を有するプラグ11を挿入し、円筒管である素管1aをこのダイス10とプラグ11との間に通し、素管1aを抽伸加工することにより、図3(a)に示す外管1を製造する。プラグ1の加工後端の端面12は多角形(正8角形)をなし、素管1aの内面の加工面14は、例えば、22°の開き角度を有する。ダイス10の内面の加工面13の開き角度は、例えば、27°である。このようにして、抽伸加工により、図2(a)に示す断面形状の外管1を製造することができる。
そして、この外管1は、縮径加工前のものであり、図3(b)に示すように、内管2よりも大きな内部空間を有している。即ち、縮径加工前の外管1はその正8角形の平坦部と、内管2の円弧外面との間に、クリアランスClが設けられている。なお、外管1の内面の角部の肉厚をTsとする。そして、図3(b)に示すように、外管1内に内管2を挿入し、外管1を縮径加工することにより、図3(a)に示すように、外管1の内面を内管2の外面に押込み、内管2の外面と外管1の内面との間に平坦な接触部3を形成する。この接触部3の管軸直交断面における長さをaとし、接触部3の中央において、内管2の外面がへこんだ程度、即ち、外管1の縮径加工前の内管2の外面と、外管1の縮径加工後の内管2の平坦面との間の間隔をγとする。この外管1の縮径加工により、外管1と内管2との間に接触部3を形成し、外管1の内面の角部に間隙4を形成して、2重管構造の伝熱管が完成する。この伝熱管においては、接触部3においては伝熱管としての熱伝達作用がなされる。また、間隙4においては、漏洩検知部として、伝熱管に孔又は亀裂が発生した場合に、CO冷媒又は水が間隙4に漏洩し、これらの冷媒又は水の通流圧力の低下をもたらして、その漏洩を検知する機能をもつ。
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。先ず、上記実施形態では、外管1を縮径加工することにより、外管1と内管2の密着を図っているが、逆に内管2を拡径加工することにより、外管1と内管2との密着を図っても良い。また、上記実施形態では、外管1の内面に管軸直交断面における多角形形状を形成しているが、内管2の外面に管軸直交断面における多角形形状を形成することもできる。
次に、本発明の実施形態の構成について、更に詳細に説明する。外管1及び内管2の材質は共に銅又は銅合金管が好ましいが、その中でも、外管1の材質は、内管2の内部を流れるCO冷媒と、外管1の外部を流れる水との間の熱交換を行うために、熱伝導性と耐食性の双方が優れた品種のものを使用することが望ましい。また、内管2の材質は、内管2の内部を流れるCO冷媒が高圧となることがあり、外管1と同等以上の強度を持ち、熱伝導性が優れた品種のものを使用することが望ましい。
密着率Aは、外管1の内面に管軸直交断面にて多角形が形成される場合、A=(a×N)/(Di×π)×100と表される。但し、aは、図3(a)に示すように、管軸直交断面における接触部3の長さである。また、Nは外管内面の多角形の角数である。Diは内管2の外径である。接触部3の長さaは、縮径加工後の伝熱管の断面観察からの実測で求めることができる。この密着率Aは、熱交換性能と漏洩検知性能の兼ね合いから、5乃至95%であることが好ましい。より望ましくは、密着率Aは、10乃至80%である。
なお、接触部3の長さaは、断面観察の実測値から求めてもよいが、設計上、縮径時の外管1が内管2を潰す潰し代γを規定し、a=√〔Di−(Di−γ)〕として、求めることもできる。つまり、設計上,潰し代γを規定すれば、上記式からaが求まり、密着率Aを算出することができる。
また、外管1の内面に管軸直交断面で多角形を形成するのではなく、内管2の外面に管軸直交断面で多角形を形成した場合も、同様にして、密着率Aを想定することができる。この場合も、密着率Aは5乃至95%が好ましい。結局、外管1の内面に管軸直交断面で多角形を形成した場合及び内管2の外面に管軸直交断面で多角形を形成した場合の双方において、外管1の内面と内管2の外面との間の接触部の長さをa、外管1の内面又は内管2の外面のうち、加工前に円形であった方の面の円周長をbとしたとき、密着率AはA=(a/b)×100で表すことができ、この密着率Aを5乃至95%とすることが好ましい。
外管1の角数Nは、外管1と内管2との間の密着性の観点から、5乃至16であることが好ましい。より望ましいNの範囲は、5乃至12である。
外管1の縮径率ΔDは、縮径時の外管1の伸びのバラツキなど、加工性の観点から、外管1の縮径率ΔDは3乃至25%であることが望ましい。より望ましい縮径率ΔDの範囲は5乃至15%である。
外管1の外径Doは、熱交換器全体の設計にもよるが、現実的な範囲として、3乃至10mmとすることが望ましい。また、内管2の外径Diは外管1よりも小さいことは当然であるが、その範囲は2乃至8mmとすることが望ましい。
この場合に、縮径前の外管1と内管2との最小クリアランスCl、即ち、外管1の平坦部と内管2の円弧との間の距離の最小値であるクリアランスClは、内管2の外管2への挿入性と、縮径加工等の加工性の観点から、0.02乃至0.8mmであることが好ましい。また、縮径前の外管1の最小肉厚Ts、即ち、縮径前の外管1の角部の肉厚Tsは、腐食による減量及び加工性を考慮して、0.2乃至0.8mmであることが好ましい。
試験例1
以下、本発明の数値限定において、この数値限定の範囲に入る実施例の効果について、数値限定の範囲から外れる比較例と比較して説明する。なお、本発明は、この数値限定は必須の構成要件ではないことは勿論であり、請求項1の技術的範囲により本発明は規定されるものである。
下記表1に示す5種の実施例の伝熱管と、3種類の比較例の伝熱管とを使用して、伝熱管の生産性と漏洩検知性能を求めた。
Figure 0005687182
実施例1乃至5は、密着性が優れており、漏洩検知機能も優れていた。これに対し、比較例1は、実施例1と同じくDoを5.66mm、Dsを5.30mmとしたが、γがマイナスとなり、内管に密着しなかった。比較例2は、Nが大きく、密着率Aが100%を超えているため(全ての領域で密着しているため、実際の密着率は100%であるが、Aの計算上100%を超える)、漏洩検知性能が極端に低下する。比較例3はクリアランスClが小さく、内管の挿入性が極端に悪くなる。それでもなお漏洩検知管を製作した場合、γが大きくなり、密着率Aが97%となり、漏洩検知性が極端に低下する。また、内管も断面が四角形に変形してしまった。
試験例2
次に、上記実施例1及び実施例2の伝熱管と、従来と同様に、外管を外径5.3mmの内面溝付管で製作した伝熱管について、伝熱性能、漏洩検知性能、及び生産性を比較した。その結果を下記表2に示す。
伝熱性能は、外径が8mm、肉厚が0.6mm、長さが3mの外側伝熱管の内部に、内側伝熱管として、実施例1,2の伝熱管又は従来の漏洩機能付き伝熱管を挿入し、外側伝熱管と内側伝熱管との間の環状部空間に水を流し、内側伝熱管の内部に、加圧して超臨界状態にしたCO冷媒を、対向流で流し、環状部空間を流れる水の入口と出口の温度差を測定して、伝熱性能及び漏洩検知性能を評価した。
漏洩検知性能は、内側伝熱管としての伝熱管の長手方向中央部に微小な孔を人工的に形成し、この伝熱管の内部に一定圧力で空気を流し込み、1分以内に、間隙からなる漏洩検知部から空気が検知できるか否かで確認した。
生産性については、実施例1及び実施例2の伝熱管の外管を製造するために、素管(外径約8.6mm)を抽伸加工した。従来例においては、前記素管に対し、焼鈍工程を経て、溝付転造加工を施して、内面溝付管とした。300kgの素管を使用して抽伸加工により伝熱管の外管を製造した場合の装置稼働時間(実施例1,2)と、焼鈍と溝付転造加工により伝熱管の外管を製造した場合の全体の装置稼動時間(従来例)とについて、対比した。
Figure 0005687182
この表2に示すように、本発明の実施例1は伝熱性能が従来例より3%向上し、本発明の実施例2は伝熱性能が従来例と同等であり、漏洩検知性能はいずれも同等であるが、生産性は、本発明の実施例1,2の方が従来例の4倍であり、従来例の1/4の時間に製造時間を短縮できた。
1:外管
2:内管
3:接触部
4:間隙

Claims (5)

  1. 外管とこの外管の内側に配置される内管とから構成される2重管構造の漏洩検知機能をもつ伝熱管において、
    前記外管は、管軸直交断面形状で、外面が円形をなし、内面が多角形をなし、内管の外面が、管軸直交断面形状で、円形をなし、前記外管内に前記内管を挿入した状態で、前記外管を縮径加工するか、又は前記内管を拡径加工することにより、前記外管の前記多角形の辺の中央部が前記内管の前記円形の円周に食い込み、前記外管の前記多角形の角の部分と前記内管の前記円形の円周部分との間に空間が存在することを特徴とする漏洩検知機能をもつ伝熱管。
  2. 管軸直交断面において、前記内管の外径をDi、前記外管の内面の多角形の角数をN、前記外管の内面と前記内管の外面との1箇所あたりの接触長をaとしたとき、(a×N)/(Di×π)×100で表される密着率Aが5乃至95%であることを特徴とする請求項1に記載の漏洩検知機能をもつ伝熱管。
  3. 管軸直交断面において、前記外管の内面の多角形は、角数が5乃至16、縮径前の外管の外径をDo、縮径後の外管の外径をDsとしたとき、{(Do−Ds)/Do}×100で表される外管の縮径率ΔDが3乃至25%であり、縮径前の外管の内面と内管の外面との間の最小距離Clが0.02乃至0.8mmであることを特徴とする請求項2に記載の漏洩検知機能をもつ伝熱管。
  4. 前記外管は、横断面が多角形であるプラグを外管の中心に配置し、この外管を円環状の内面をもつダイスに通して、前記ダイスにより前記外管を前記プラグに向けて押圧しつつ、前記外管を引き抜く抽伸加工により前記多角形を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の漏洩検知機能をもつ伝熱管。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の漏洩検知機能をもつ伝熱管の製造に使用する外管。
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