JP5772620B2 - テーパプレートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、造船、建築などに好適な、長手方向に板厚が連続して変化するテーパプレート(テーパ付き鋼板、LP鋼板とも言う)の製造方法に関し、鋼板内の強度差が少なく、かつ溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接が適用可能な、引張強さ570MPa以上で長手方向に10mm以上の厚部厚と薄部厚の差(板厚差)を有するテーパプレートの製造方法に関する。
厚鋼板の形状は、幅方向および長手方向にいずれも均一であるのが一般的である。しかし、長手方向に板厚を連続的に変化させると、素材重量の軽減、溶接工数の削減に大きな効果を有する場合がある。このような厚鋼板は、テーパプレート、テーパ付き鋼板、またはLP鋼板などと呼ばれ、その製造方法について、特許文献1、特許文献2および特許文献3など多くの提案がある。これらの提案は、テーパプレートをいかに寸法精度高く製造するかを目的にしたものである。しかし、寸法精度に加え、鋼板の材質特性および材質の均一性が満足されないと、実用に耐えられない。
最近は、厚鋼板に対する品質要求が厳格化し、とくに高張力化の要求や溶接性の向上要求が強くなっている。このような要求に対し、制御圧延や制御冷却といったTMCP法が採用されている。この方法は、オーステナイト未再結晶域や(オーステナイト+フェライト)2相域における強加工とそれに続くオーステナイト→フェライト変態により、フェライト結晶粒の微細化をはかり、さらに必要に応じて冷却を行ってさらに高強度化、高靱性化を図ろうとするものである。
しかし、この方法をテーパプレートに応用すると、温度管理が極めて困難になり、材質変動が大きくなる。
特に、制御圧延が、オーステナイト未再結晶域圧延や(オーステナイト+フェライト)2相域圧延のような低温における強加工の場合、テーパプレートのように板厚方向で肉厚が異なるときは、薄部と厚部の鋼板温度の温度差が大きくなりすぎ、強度の相異が大きくなるという問題を残していた。このような材質の不均一をなくし、均質なテーパプレートを製造するために、いくつかの提案がなされている。
例えば、特許文献4には、均一な材質を得るために、冷却前の長手方向の温度を実測し、この実測値に基づいて、各点の最適冷却条件を演算し、板厚に応じて冷却時の通板速度を修正するテーパプレートの冷却方法が示されている。特許文献5には、冷却開始は鋼板の薄部と厚部で同時に行い、冷却装置を出る時期を変えるテーパプレートの冷却方法が、あるいは冷却は鋼板長手方向に順次開始しながら、冷却終了を同時に行うテーパプレートの冷却方法が示されている。いずれも、加速冷却を行った際に、鋼板内の材質のバラつきを少なくしようとする提案である。
一方、鋼板の成分組成の工夫でこのような課題の解決を試みた例として、特許文献6がある。この技術では、Nb添加量を0.015%〜0.06%と高めることで強度ばらつきを減らせることを開示している。
また、特許文献7では、Hv20−50 =−110+460C+44Si+39Mn−31Cu−9Ni+11Cr+22Mo+180V+9600B−23000Mo×Bで表されるHv20−50値(板厚が20mm及び50mmの鋼板の800〜500℃における空冷速度に相当する冷却速度で常温まで冷却した場合のHv硬さの差)を15以下にすれば、強度ばらつきを減らせることを開示している。
しかしながら、近年そのニーズが高まっている大入熱溶接の適用が可能な鋼材においては、溶接部の靭性を確保するため種々の成分設計上の制約があるため、テーパプレートとして強度ばらつきの低減の観点からの成分設計が容易でなく、特にBを含有する大入熱溶接用の鋼材の場合には、板厚や仕上温度の変化により強度のばらつき傾向が顕著になるという問題があった。
特公昭50−36826号公報 特公昭60−124号公報 特開平5−49361号公報 特開昭62−166013号公報 特開平7−68309号公報 特許第3180944号公報 特許第3972553号公報
本発明は、上記問題点を有利に解決し、引張強さが570MPa以上で強度ばらつきの小さく、なおかつ溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接部靭性に優れる、長手方向の厚部厚と薄部厚の差(テーパ量)が10mm以上を有するテーパプレートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するためTi、N含有量の異なるB含有テーパプレートの厚部と薄部の強度差に及ぼすTi、N含有量の影響を調査し、Ti、N含有量が、0≦N−Ti/3.42≦0.0025を満たすと、適正量の固溶Bを安定的に確保することができ、厚部と薄部の強度差が小さくなるという知見を得た。
本発明は上記知見をもとに更に検討を加えてなされたもので、すなわち、本発明は、
1.
質量%で、
C:0.03〜0.12%、
Si:0.03〜0.5%、
Mn:0.8〜2.2%、
P:0.015%以下、
S:0.0005〜0.0050%、
Al:0.005〜0.1%、
Nb:0.003〜0.014%、
Ti:0.003〜0.02%、
B:0.0003〜0.0025%、
N:0.0030〜0.0070%、
Ca:0.0005〜0.0050%、
且つ、(1)式を満たし、
残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを1000℃〜1200℃に加熱したのち、板厚が長手方向にテーパ状に変化する熱間圧延を圧延仕上温度を900℃以下Ar点以上で行い、その後、500℃以下まで加速冷却することを特徴とする引張強さ570MPa以上で、厚部厚と薄部厚の差が10mm以上のテーパプレートの製造方法。
0≦N−Ti/3.42≦0.0025 ・・・・(1)
ただし、N、Tiは各成分の含有量(質量%)。
2. 前記鋼スラブの成分組成が更に質量%で、
Cu:0.05〜1.0%、
Ni:0.05〜1.0%、
Cr:0.05〜0.5%、
Mo:0.05〜0.5%、
V:0.02〜0.1%、
のうちから選ばれた1種又は2種以上を含有することを特徴とする1記載の引張強さ570MPa以上で、厚部厚と薄部厚の差が10mm以上のテーパプレートの製造方法。
3. 前記鋼スラブの成分組成が更に質量%で
Mg:0.0005〜0.005%、
Zr:0.003〜0.02%、
REM:0.003〜0.02%、
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする1または2に記載の引張強さ570MPa以上で、厚部厚と薄部厚の差が10mm以上のテーパプレートの製造方法。
4.前記鋼スラブの成分組成が更に質量%で
O:0.0030%以下
を含有し、さらに、Ca、O、Sの各含有量が、下記(2)式を満たすことを特徴とする1乃至3のいずれか一つに記載の引張強さ570MPa以上で、厚部厚と薄部厚の差が10mm以上のテーパプレートの製造方法。

0.3≦ACR≦0.8・・・・・(2)
ここで、ACR=(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S
また、Ca、O、Sは各成分の含有量(質量%)を表す。
本発明によれば、引張強さ570MPa以上で厚部、薄部の強度差が少なく、サブマージアーク溶接、エレクトロガス溶接、エレクトロスラグ溶接などの大入熱溶接用途にも適用できる、厚部厚と薄部厚の差(テーパ量)が10mm以上のテーパプレートを製造することができ、産業上極めて有用である。
本発明では成分組成、製造条件を規定する。説明において%は質量%とする。
[成分組成]
C:0.03〜0.12%
Cは、構造用鋼として必要な強度を得るため0.03%以上添加する。一方、0.12%を超えて添加すると、溶接熱影響部靭性を低下させるので、0.03%〜0.12%とする。好ましくは0.04〜0.09%とする。
Si:0.03〜0.5%
Siは、脱酸と強度を確保するため0.03%以上添加する。0.5%を超えて添加すると、大入熱溶接の場合、溶接熱影響部に島状マルテンサイトが生成して靭性を劣化させるので、0.5%以下とする。好ましくは0.4%以下とする。
Mn:0.8〜2.2%
Mnは、母材の強度を確保するために、0.8%以上添加する。一方、2.2%を超えると溶接部の靭性を著しく劣化させるため、0.8〜2.2%、好ましくは1.2〜2.1%、より好ましくは1.2〜2.0%とする。
P:0.015%以下
Pは本発明では不可避的不純物で、0.015%を超えて含有されると、大入熱溶接によって熱影響部に島状マルテンサイトを生成して靭性、特にCTOD特性を低下させるため、0.015%以下とする。好ましくは0.012%以下とする。
S:0.0005〜0.0050%
Sは、CaS、MnSを生成させるため0.0005%以上とする。一方、0.0050
%をこえると母材の靭性を低下させるため、0.0005〜0.0050%とする。
Al:0.005〜0.1%
Alは、鋼を脱酸するため0.005%以上とする。一方、0.1%を超えると母材の靭性を低下させ、溶接金属の靭性も低下させるので、0.005〜0.1%、好ましくは0.01〜0.06%とする。
Nb:0.003〜0.014%
Nbは、母材の強度、靭性および溶接継手強度を確保するために有効であり、その効果を得るため0.003%以上必要であるが、0.014%を超えると大入熱溶接をした際、溶接熱影響部の靭性が低下するため、0.003〜0.014%とする。好ましくは0.005〜0.013%とする。
Ti:0.003〜0.02%
Tiは、凝固時にTiNを生成して析出し、溶接熱影響部でのオーステナイト粒の粗大化を抑制し、フェライト変態核となってフェライトを析出させ、靭性を向上させるため、0.003%以上を添加する。一方、0.02%を超えると、TiN粒子が粗大化し、靭性を低下させるようになるので、0.003〜0.02%とする。好ましくは0.005〜0.018%とする。
B:0.0003〜0.0025%
Bは、鋼板製造時、固溶Bとして焼入れ性に寄与して母材強度を向上させるとともに、大入熱溶接をした際、溶接熱影響部でBNを生成して、固溶Nを低減し、また、フェライト変態核となりフェライトを生成して靭性を向上させるため、0.0003%以上添加する。
一方、0.0025%を超えると焼入れ性が増大して靭性が低下するため、0.0003〜0.0025%とする。好ましくは0.005〜0.0022%とする。
N:0.0030〜0.0070%
Nは、靭性向上に有効なTiNを生成するため、0.0030%以上とする。一方、0.0070%を超えると、鋼板製造時、焼入れ性に寄与する固溶Bが確保できなくなる場合があるとともに、大入熱溶接をした際、ボンド部近傍のTiNが溶解し、溶接金属中の固溶Nが増大してその靭性を劣化させるため、0.0030〜0.0070%とする。
0≦N−Ti/3.42≦0.0025
本発明では、引張強さが570MPa以上で強度ばらつきの小さく、なおかつ溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接部靭性に優れることが要求され、そのために上記成分組成において本パラメータ式を規定する。Ti、N含有量が、N−Ti/3.42>0.0025となると、適正量の固溶Bを安定的に確保することができず、板厚や圧延条件の変化に対して強度のばらつきが大きくなる。一方、N−Ti/3.42<0の場合、大入熱溶接をした際、溶接熱影響部の靭性が顕著に劣化する。従って、0≦N−Ti/3.42≦0.0025とする。
Ca:0.0005〜0.0050%
Caは、大入熱溶接した際、溶接熱影響部の靭性を良好たらしめるもので、CaS上にMnSやTiN、BNが析出し、フェライトの核生成頻度を高めることで溶接熱影響部の靭性を向上させる。その効果を得るため0.0005%以上とする。一方、0.0050%を超えると効果が飽和するため、0.0005〜0.0050%とする。好ましくは0.0005〜0.0030%とし、より好ましくは0.0007〜0.0030%とする。
以上が本発明の基本成分で、十分な作用効果が得られるが、更に特性を向上させる場合、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Mg、Zr、REMの一種または二種以上を含有させることが可能である。
Cu:0.05〜1.0%
Cuは、母材の高強度化に有効であり、その効果を得るため0.05%以上含有することが好ましいが、1.0%を超えると熱間脆性を生じて、鋼板表面性状を悪化させるので、含有する場合は1.0%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.1〜0.8%とする。
Ni:0.05〜1.0%
Niは、母材を高靭性に保ちつつ、強度を上昇させるので、その効果を得るため0.05%以上含有することが好ましい。一方、1.0%を超えるとその効果が飽和するため、含有する場合は0.05〜1.0%とすることが好ましい。より好ましくは0.1〜0.9%とする。
Cr:0.05〜0.5%
Crは、母材の高強度化に有効であり、その効果を得るため0.05%以上含有することが好ましいが、多量に添加すると靭性を劣化させるようになるので、含有する場合は0.5%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.1〜0.4%とする。
Mo:0.05〜0.5%
Moは、母材の高強度化に有効であり、その効果を得るため0.05%以上含有することが好ましいが、多量に添加すると靭性を劣化させるようになるので、含有する場合は0.5%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.07〜0.4%とする。
V:0.02〜0.1%
Vは、母材の高強度化に有効であり、その効果を得るため0.02%以上含有することが好ましいが、0.1%を超えると靭性を低下させるようになるので、含有する場合は0.1%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.04〜0.08%とする。
Mg:0.0005〜0.005%
Mgは、酸化物の分散による靱性改善効果を有する元素である。このような効果を発揮させるには少なくとも0.0005%以上含有することが好ましいが、0.005%を超えて含有しても効果が飽和するので、含有する場合には0.005%以下とすることが好ましい。
Zr:0.003〜0.02%
Zrは、酸化物の分散による靱性改善効果を有する元素である。このような効果を発揮させるには少なくとも0.003%以上含有することが好ましいが、0.02%を超えて含有しても効果が飽和するので、含有する場合には0.02%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.004〜0.018%とする。
REM:0.003〜0.02%
REMは、酸化物の分散による靱性改善効果を有する元素である。このような効果を発揮させるには少なくとも0.003%以上含有することが好ましいが、0.02%を超えて含有しても効果が飽和するので、含有する場合には0.02%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.004〜0.018%とする。
O:0.0030%以下
Oは、不可避的不純物として含有され、鋼中では酸化物として存在し、清浄度を低下させ
る。このため、本発明ではできるだけ低減することが好ましい。O 含有量が0.0030%を超えるとCaO系介在物が粗大化して、靭性に悪影響を及ぼす。また、本発明では、CaをCaSとして晶出させるために、Caとの結合力が強いOはCa添加前に、脱ガスを強化するか、脱酸剤を投入するかして、溶鋼中のOを0.0030%以下に低減しておくことが好ましい。
0.3≦ACR≦0.8
ここで、ACR=(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S
Ca、O、Sは各成分の含有量(質量%)を表す。
大入熱溶接時の高温下でも溶解しないフェライト変態生成核を微細に分散させることができ、溶接熱影響部の組織を微細なフェライト+パーライトの組織として高靱性化を達成するためには、CaおよびSは、0.3≦ACR≦0.8の関係を満足するように含有させる必要がある。
ACRの値を0.3以上0.8以下にすることにより、フェライト生成核として働くMnSがCaS上に析出して微細に分散するので、大入熱溶接時の溶接熱影響部の組織を微細なフェライト+パーライトの組織として高靱性化を達成することができる。
ACRの値が0.3に満たないと、CaSが晶出しないためにSはMnS単独の形態で析出する。このMnSは鋼板製造時の圧延で伸長されて母材の靱性の低下を引き起こすとともに、本発明の主眼である溶接熱影響部でMnSが溶融するために微細分散が達成されない。
一方、ACRの値が0.8を超えると、ほとんどのSがCaによって固定され、フェライト生成核として働くMnSがCaS上に析出しないために十分な機能が発揮されない。
[製造条件]
本発明では、上述した成分組成とすることにより、適正量の固溶Bを安定的に確保することができるので、板厚や圧延条件の変化に対して強度のばらつきを小さくすることができる。このため、従来、テーパプレートを高強度化するために加速冷却を適用すると、板厚が厚部から薄部へと変化するにつれて鋼板強度の変動が不可避であったところ、本発明では、加速冷却を適用しても厚部と薄部との強度差が小さい高強度テーパプレートを得ることができる。
本発明のテーパプレートの素材となる鋼スラブは、上記した成分組成の鋼を、例えば、転炉、電気炉、真空溶解炉等の通常の製錬プロセスで溶製した後、連続鋳造法あるいは造塊−分塊圧延法等の常法を用いて製造することができ、特に制限はない。
本発明では、スラブ加熱温度、熱間圧延条件、冷却条件を以下のように規定する。
スラブ加熱温度:1000〜1200℃
スラブ加熱温度が1000℃未満では添加成分が十分に固溶しない。一方1200℃を超えるとオーステナイト粒が粗大化してその後の圧延によっても細粒化が進まず靱性が劣化する。このため、スラブ加熱温度は1000〜1200℃の範囲とする。好ましくは1030〜1180℃の範囲とする。
熱間圧延条件
鋼スラブを加熱した後、熱間圧延を行う。熱間圧延では長手方向に板厚の異なるテーパを付与する。テーパプレートにおける長手方向の板厚の変化は、鋼板をかみ込んだのち、あらかじめ設定したパスにおいてロール開度を変化させて熱間圧延することにより達成できる。
本発明ではパスごとの圧下量については特に限定しない。熱間圧延の圧延仕上温度は鋼板表面温度で900℃以下、Ar点以上とする。仕上温度がAr点未満では、所定の強度が得られず、また、900℃を超えると靱性が劣化するため、仕上温度は900℃以下Ar点以上とする。好ましくは(Ar+10℃)〜880℃の範囲とする。
冷却条件
熱間圧延終了後は加速冷却を行う。冷却停止温度が500℃を超えると引張強さ570MPa以上の鋼板強度が得られないため、鋼板表面温度で500℃以下まで加速冷却を行う。好ましくは490℃以下の範囲とする。
なお、熱間圧延条件、冷却条件を規定する鋼板表面温度は、例えば、放射温度計を用いて測定することができる。
本発明は上述した成分組成と製造条件の組み合わせにより、適正量の固溶Bを安定的に確保することができ、焼入れ性向上効果と大入熱溶接の溶接熱影響部の靭性向上効果が得られるため、テーパプレートの厚部厚と薄部厚の差(テーパ量)が鋼板内で10mm以上あっても、引張強さ570MPa以上で優れた大入熱溶接の溶接熱影響部の靭性を有するテーパプレートが得られる。
表1に示す化学組成を有する鋼スラブを、表2に示す条件で熱間圧延を行い、厚部60mm、薄部50mm、テーパ量(厚部厚と薄部厚の差)10mmのテーパプレートを製造した。
テーパプレートの厚部と薄部それぞれの板厚1/4位置より、平行部14φ×85mm、標点間距離70mmの丸棒引張試験片を圧延方向と垂直方向に、2mmVノッチシャルピー試験片を圧延方向と平行方向に採取し、母材の強度と−40℃における吸収エネルギーを評価した。−40℃における吸収エネルギーは、3本の値の平均値とした。
さらに、溶接熱影響部(以下、HAZとも称する)の靱性を評価するため、これらの鋼板から溶接熱サイクル用に、幅80mm×長さ80mm×厚み15mmの試験片を採取し、1450℃に加熱後800〜500℃を270sで冷却(板厚55mmの鋼板におけるエレクトロガス溶接での入熱量400kJ/cmの溶接熱影響部の熱サイクルに相当)する溶接熱サイクルを付与した試験片について2mmVノッチシャルピー試験を実施し、再現HAZ靱性を評価した。
テーパプレートの厚部、薄部の機械的性質と溶接熱サイクル後の靭性を表2に示す。本発明例のNo.1〜No.8は、いずれもYS:460MPa以上、TS:570MPa以上、−40℃における吸収エネルギー:300J以上(3本の平均)を満足し、厚部、薄部の強度差がTSについては20MPa未満、YSについては30MPa未満といずれも小さく、また、再現HAZ靭性もvTrs:−40℃以下と優れている。
一方、N−Ti/3.42>0.0025となっているNo.11、No.14は厚部、薄部の強度差が大きい。また、このほか、適正な成分あるいは製造条件を外れたものは、YS:460MPa以上、TS:570MPa以上、吸収エネルギー:300J以上、再現HAZ靭性vTrs:−40℃以下のいずれか1以上を満足できない結果となっている。
Figure 0005772620
Figure 0005772620
表3に示す化学組成を有する鋼スラブを、表4に示す条件で熱間圧延を行い、厚部60mm、薄部50mm、テーパ量(厚部厚と薄部厚の差)10mmのテーパプレートを製造した。
テーパプレートの厚部と薄部それぞれの板厚1/4位置より、平行部14φ×85mm、標点間距離70mmの丸棒引張試験片を圧延方向と垂直方向に、2mmVノッチシャルピー試験片を圧延方向と平行方向に採取し、母材の強度と−40℃における吸収エネルギーを評価した。−40℃における吸収エネルギーは、3本の値の平均値とした。
さらに、溶接熱影響部(以下、HAZとも称する)の靱性を評価するため、これらの鋼板から溶接熱サイクル用に、幅80mm×長さ80mm×厚み15mmの試験片を採取し、1450℃に加熱後800〜500℃を270sで冷却(板厚55mmの鋼板におけるエレクトロガス溶接での入熱量400kJ/cmの溶接熱影響部の熱サイクルに相当)する溶接熱サイクルを付与した試験片について2mmVノッチシャルピー試験を実施し、再現HAZ靱性を評価した。
テーパプレートの厚部、薄部の機械的性質と溶接熱サイクル後の靭性を表4に示す。ACRの規定を満足する本発明例のNo.21とNo.22は、いずれもYS:460MPa以上、TS:570MPa以上、−40℃における吸収エネルギー:300J以上(3本の平均)を満足し、厚部、薄部の強度差がTSについては20MPa未満、YSについては30MPa未満といずれも小さく、また、再現HAZ靭性もvTrs:−65℃以下と優れている。
Figure 0005772620
Figure 0005772620

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.03〜0.12%、
    Si:0.03〜0.5%、
    Mn:0.8〜2.2%、
    P:0.015%以下、
    S:0.0005〜0.0050%、
    Al:0.005〜0.1%、
    Nb:0.003〜0.014%、
    Ti:0.003〜0.02%、
    B:0.0003〜0.0025%、
    N:0.0030〜0.0070%、
    Ca:0.0005〜0.0050%、
    且つ、(1)式を満たし、
    残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを1000℃〜1200℃に加熱したのち、板厚が長手方向にテーパ状に変化する熱間圧延を圧延仕上温度を900℃以下Ar点以上で行い、その後、500℃以下まで加速冷却することを特徴とする引張強さ570MPa以上で、厚部厚と薄部厚の差が10mm以上のテーパプレートの製造方法。
    0≦N−Ti/3.42≦0.0025 ・・・・(1)
    ただし、N、Tiは各成分の含有量(質量%)。
  2. 前記鋼スラブの成分組成が更に質量%で、
    Cu:0.05〜1.0%、
    Ni:0.05〜1.0%、
    Cr:0.05〜0.5%、
    Mo:0.05〜0.5%、
    V:0.02〜0.1%、
    のうちから選ばれた1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の引張強さ570MPa以上で、厚部厚と薄部厚の差が10mm以上のテーパプレートの製造方法。
  3. 前記鋼スラブの成分組成が更に質量%で
    Mg:0.0005〜0.005%、
    Zr:0.003〜0.02%、
    REM:0.003〜0.02%、
    のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の引張強さ570MPa以上で、厚部厚と薄部厚の差が10mm以上のテーパプレートの製造方法。
  4. 前記鋼スラブの成分組成が更に質量%で
    O:0.0030%以下、
    を含有し、さらに、Ca、O、Sの各含有量が、下記(2)式を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の引張強さ570MPa以上で、厚部厚と薄部厚の差が10mm以上のテーパプレートの製造方法。

    0.3≦ACR≦0.8・・・・・(2)
    ここで、ACR=(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S
    また、Ca、O、Sは各成分の含有量(質量%)を表す。
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