JP5778400B2 - 吸水速乾性織物 - Google Patents
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Description
一般には、吸水性が低く、乾燥速度の速いポリエステル繊維と綿をはじめ吸水性を有する繊維素材との組み合わせにて吸水速乾性を得る布帛開発が多くなされている。
一方、紳士肌着に代表されるように綿等のセルロース繊維のみからなる商品は、肌触り性、ソフト風合、吸水性は良好なものの、汗をかいた時、水分保持能が強いため、吸い取った汗は拡散せず、ベタツキ感があり着用快適性に劣るものである。
また、セルロース分解酵素にてセルロース繊維を減量させる方法が特許文献2、3に開示されている。しかしながらこれらの方法においては、ソフトな風合や緻密なフィブリルを得ることが目的であり、吸水拡散性、速乾性、染色性の向上は得られないという問題がある。
従って、現状ではセルロース繊維からなる織物染色品において、特にセルロース繊維のみからなる織物染色品において、吸水拡散性、吸水速乾性能の洗濯耐久性が優れ、なおかつ、しなやかな風合を有し、染色性に優れた染色製品が得られていないのが実状である。
すなわち本発明は、以下の発明を提供する。
(2)洗濯50回後の滴下法による水滴消失時間が5秒以下であることを特徴とする上記(1)に記載の吸水速乾性織物。
(3)洗濯50回後の速乾性が40分以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の吸水速乾性織物。
(4)洗濯50回後の吸水拡散面積が、8cm2以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の吸水速乾性織物。
(5)セルロース繊維のみからなる織物を、セルロース分解酵素にて、65℃以下の温度で1.5〜7.5%減量処理した後、染色することを特徴とする吸水速乾性織物染色布帛の製造方法。
本発明は、セルロース繊維から構成される吸水速乾性織物に関し、セルロース繊維をセルロース分解酵素で減量処理することで、セルロース繊維表面の繊維軸方向に特定の大きさの筋状溝を形成させ、吸水速乾性およびその洗濯耐久性を改良したものである。
このべたつき感を解消するためには、水分をすばやく吸い取る力と吸い取った水分をすばやく拡散させる力が同時に必要であり、この2つの力は、適下法における水滴消失時間と吸水拡散面積で表すことができる。また、スポーツ衣料や肌着衣料のように洗濯回数の多い用途においては、すくなくとも洗濯50回の耐久性が必用であり、耐久性が高いということにより商品としての実用的価値も高くなる。
この筋状溝を有することで、汗をかいたときの快適性向上のために求められる機能である、水分をすばやく吸い取る力と水分を拡散させる力が最大限に発揮され、着用時に汗をかいたときに体に貼り付くことがなく、べたつき感を感じなく、すばやく乾燥することから着心地のよさを感じる。また、風合にしなやか性が強くなり肌ざわり性も良好であり、その効果は、繰り返し洗濯を行っても続くものである。
減量率が1.5%未満の場合、筋状溝の幅が0.05μm未満、長さが3μm未満となり、個数も10個未満となり、吸い取った水の輸送力が弱く、拡散性も極めて悪く、吸水速乾性能は悪くなり、しなやかな風合は得られず、色の鮮明性も得られない。
一方、減量率が7.5%を越えた場合、筋状溝の幅が大きくなり、比表面積が増大し、保水力が高まり、吸水した水の拡散性が悪くなるとともに、保水力の高まりが、実用洗濯における洗濯後の脱水において、振り切り脱水率が悪くなり、乾燥速度が遅くなるという問題とセルロース繊維の強力低下が大きくなるという問題がある。
セルロース分解酵素による処理に際しては、ロータリドラム染色機、パドル染色機、ウインスリール染色機、ジッガー染色機、液流染色機、気流染色機等の回転式染色装置を使用することができるが、パッド−ロール、パッド−ジッグ染色機のように拡布状で処理できる装置を使用した方が、本発明の筋状溝形成をコントロールし易いのでより好ましい。
処理後は酵素の失活処理を行うが、使用する酵素が失活する温度で処理すればよく、70から100℃で、15分から30分が好ましい。また、処理浴にアルカリ剤を併用することが酵素の脱着を促進するので好ましい。
本発明の吸水速乾性織物において、洗濯50回後の水滴消失時間は5秒以下が好ましい。より好ましくは、3秒以下である。また、洗濯50回後の乾燥性は40分以内であることが好ましく、より好ましくは38分以下であり、洗濯50回後の吸水拡散面積は8cm2以上であることが好ましく、より好ましくは10cm2以上である。
筋状溝の形状が本発明のいう範囲にあると洗濯耐久性が向上するが、その理由は、洗濯後もその形状が損なわれること無くなく維持されていることから、水の輸送力、吸水拡散効果がほとんど変わらないからであると思われる。
また、本発明のセルロース繊維織物中に、再生セルロース繊維が50%以上含まれるのが好ましい。その他、絹、ウール、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリル繊維が50%まで含まれていても良いが、好ましくはセルロース繊維100%である。
このようにして得られたセルロース繊維からなる染色織物布帛は、色の鮮明性に優れ、しなやかな風合を有し、優れた吸水速乾性能の洗濯耐久性を発揮するとともに、着用快適性にも優れ、かつ堅牢度性能も良好である。具体的には、JIS−L−0848 A法における汗アルカリ堅牢度が3級以上である、商品価値の高い織物染色品を得ることができる。
(1)セルロース繊維表面の筋状溝の状態
走査型電子顕微鏡(日立製作所製、形式S−3500N)を用いて、サンプル布帛のセルロース繊維表面を1800倍に拡大し、任意に5ヶ所写真撮影し、スケールゲージをもとに、筋状溝の幅、長さを及び数を測定し、繊維長50μmあたりの数(個)を算出して平均値を求めた。
JIS L−0217 103法に従って、50回行った。尚、洗剤は、花王製アタック 1g/Lを用いた。
(3)水滴消失時間
JIS L−1097 滴下法に従って水滴消失時間を評価した。サンプル毎に5回測定を行い、平均水滴消失時間を求めた。尚、このときの水滴1滴の平均量は0.039mlであった。
サンプル布帛(10cm角)に水を0.2ml滴下、拡散後、布帛の重量を測定し、水分量を算出し、温度20℃で相対湿度65%の環境下で、布帛の水分量が2%(乾いたと感じる水分量)となるまでの時間(分)を測定した。
サンプル布帛を直径15cmの刺繍用用丸枠に取り付け、布帛表面に水溶性青染料溶液(C.I.アシッドブルー62を0.005wt%含有)を0.1ml滴下し、3分後に濡れ拡がった吸水拡散面積を次式より求める。
吸水拡散面積(cm2)=[縦の直径(cm)×横の直径(cm)]×π÷4
サンプル毎に測定を5回行い、平均吸水拡散面積を求めた。
検査者(30人)の感触によって染色品の洗濯10回後の布帛を次の基準で相対評価した。
○ : しなやか感がよい
△ : しなやか感はやや劣る
× : しなやか感がない
染色品について、JIS−L−0848−A法に準じて汗アルカリ人工汗液を用いて評価した。試験片の変褪色と添付白布片の汚染の程度をそれぞれ変褪色用グレースケール、汚染用グレースケールと比較して判定した。
染色布帛を分光光度計(グレタグマクベス社製、形式;CE−7000A、D65光源)にて、Lab表色系にて、a、b値を測定し、下記式にて彩度を算出した。この値が大きい程、彩度が高く、色が鮮明であり、値が小さい程、彩度が低く、色がくすんでいることを表す。
彩度=√(a2+b2)
撚り係数(K)が1720(S撚り)の84dtex/45fのキュプラ(旭化成せんい製ベンベルグ)を経糸に用い(経糸密度130本/インチ)、撚り係数(K)が1720(SZ撚り)の84dtex/45fのキュプラを緯糸に用い(緯糸密度80本/インチ)、平織物を製織した。
得られた織物をオープンソーパー型連続精練機を用いて、30℃の3.15wt%水酸化ナトリウム水溶液(5°ボーメ水溶液)に浸漬した後、80℃の湯洗及び水洗を繰り返し、脱水した後、120℃のシリンダー乾燥機を用いて乾燥させた。
酵素処理条件:
酵素溶液:pH=4.5(酢酸と酢酸ナトリウムにて調整)の水溶液にセルラーゼT(天野エンザイム社製、エンド+エキソ型セルラーゼ)を10%溶解
マングルの絞り率:70%
処理温度:45℃
染料として、反応染料(レマゾール ターコイズ ブルー G:1.3%omf)を用い、水酸化ナトリウム10g/リットルを含む染料溶液に浸漬し、マングルで絞り、コールド・バッチ法にて、25℃で15時間エイジングを行い、次いで、オープンソーパー型連続水洗機を用いて、80℃の湯洗及び水洗を繰り返し、脱水した後、120℃のシリンダー乾燥機を用いて乾燥を行い、ペーパーカレンダー処理して青色の染色布帛を得た。
得られた染色布帛を電子顕微鏡にて1800倍の倍率にて観察したときの、セルロース繊維表面の筋状溝の形状を表1に示す。
比較例1として、実施例1の織物をセルロース分解酵素による処理を施さずに、実施例1と同様の条件にて染色し仕上げた。比較例2として、減量率が9.3%となるようにセルロース分解酵素による減量処理を行う以外は、実施例1と全く同様の条件で染色し仕上げた。
得られた染色品の水滴消失時間、吸水拡散面積、乾燥性、風合、汗アルカリ堅牢度、色の鮮明性の評価結果を表1に示す。比較例についても実施例1と同様に電子顕微鏡にて1800倍の倍率にて観察したときの筋状溝の形状を表1に示す。
84dtex/45fのキュプラ(旭化成せんい製ベンベルグ)を経糸に用い(経糸密度153本/インチ)、綿糸40番手を緯糸に用い(緯糸密度80本/インチ)、ツイル織物を製織した(キュプラ糸の混率は50.4%)。
得られた織物を実施例1と同様にオープンソーパー型連続精練機を用いて、30℃の3.15wt%水酸化ナトリウム水溶液(5°ボーメ水溶液)に浸漬した後、80℃の湯洗及び水洗を繰り返し、脱水した後、120℃のシリンダー乾燥機を用いて乾燥させた。
仕上げた染色布帛の水滴消失時間、乾燥性、吸水拡散面積、風合、汗アルカリ堅牢度、色の鮮明性の評価結果を表2に示す。得られた染色布帛を電子顕微鏡にて1800倍の倍率にて観察したときの、セルロース繊維表面の筋状溝の形状を表2に示す。
比較例3として実施例4の織物をセルロース分解酵素による減量処理を施さずに同様の条件にて染色し仕上げた。仕上げた染色品の水滴消失時間、吸水拡散面積、乾燥性、風合、汗アルカリ堅牢度、色の鮮明性の評価結果を表2に示す。
実施例4と同様の織物を用い、オープンソーパー型連続精練機を用いて、30℃の3.15wt%水酸化ナトリウム水溶液(5°ボーメ水溶液)に浸漬した後、80℃の湯洗及び水洗を繰り返し、脱水した後、120℃のシリンダー乾燥機を用いて乾燥させた。
得られた織物を下記に示す酵素処理条件を用い、表3に示す減量率となるように液流染色機を用い処理時間を調整し、減量処理を行った。
酵素処理条件:
酵素溶液:セルラーゼT(天野エンザイム社製、エンド+エキソ型セルラーゼ)8%omf
pH:4.5(酢酸と酢酸ナトリウムにて調整)
処理温度:45℃
染色条件:
反応染料:レマゾール ターコイズ ブルー G:1.3%omf)
炭酸ナトリウム:10g/リットル
芒硝:30g/リットル
染色温度、時間:60℃、60分
染色後は、80℃の湯洗及び水洗を繰り返し、脱水した後、120℃のシリンダー乾燥機を用いて乾燥を行い、ペーパーカレンダー処理して青色の染色布帛を得た。
仕上げた染色布帛の水滴消失時間、吸水拡散面積、乾燥性、風合、汗アルカリ堅牢度、色の鮮明性の評価結果を表3に示す。得られた染色布帛を電子顕微鏡にて1800倍の倍率にて観察したときの、セルロース繊維表面の筋状溝の形状を表3に示す。
比較例4として、セルロース分解酵素による減量処理を施さずに、実施例6および7と同様の条件にて染色し仕上げた。仕上げた染色品の水滴消失時間、吸水拡散面積、乾燥性、風合、汗アルカリ堅牢度、色の鮮明性の評価結果を表3に示す。
Claims (5)
- 再生セルロース繊維からなる織物であって、該再生セルロース繊維表面に再生セルロース繊維軸方向長さ50μm当たり、幅0.05〜1.0μm、長さ8.1〜25μmの筋状溝が10個以上存在する、吸水速乾性織物。
- 洗濯50回後の滴下法による水滴消失時間が5秒以下である、請求項1に記載の吸水速乾性織物。
- 洗濯50回後の速乾性が40分以下である、請求項1又は2に記載の吸水速乾性織物。
- 洗濯50回後の吸水拡散面積が8cm2以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸水速乾性織物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸水速乾性織物の染色布帛。
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