JP5854894B2 - ガルバノスキャナ - Google Patents

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Description

本発明は、回転ミラーで光ビームを反射し、進行方向を変化させるガルバノスキャナに関する。
プリント基板への穴開け加工等に適用されるレーザドリルに、ガルバノスキャナが用いられる。ガルバノスキャナは、回転ミラーを回転させることによってレーザビームの進行方向を変化させ、プリント基板の所望の位置(加工点)にレーザビームを入射させる。複数の加工点に順番にレーザビームを入射させて穴開け加工を行う場合、レーザビームの入射位置の移動時間を短くすることが好ましい。この移動時間を短くするために、回転ミラーの角度方向に関する位置決め時間を短くする工夫がなされている。
一般的なガルバノスキャナでは、回転軸の一端に回転ミラーが取り付けられ、他端にエンコーダの回転盤が取り付けられている。特許文献1に開示されたガルバノスキャナにおいては、回転ミラーの近傍に慣性負荷が固定される。この慣性負荷により、ねじれの節をエンコーダの円盤から遠ざけ、可動コイルの内側に移動させる。この構成を採用することにより、1次モードの共振周波数を高くすることができる。
特許文献2に開示されたガルバノスキャナにおいては、回転軸の軸径を調節することにより、回転ミラーの高速位置決めを可能にしている。特許文献3に開示されたスキャナでは、アクチュエータ、回転ミラー等の支持系の共振周波数に等しい固有振動数を有する動吸収器を設けることにより、回転ミラーの振動を抑制している。
特開2004−29109号公報 特開2004−233825号公報 特開2008−298857号公報
本発明の目的は、共振を抑制し、周波数応答特性をより高めることができるガルバノスキャナを提供することである。
本発明の一観点によると、
回転軸と、
前記回転軸の一方の端部に取り付けられ、前記回転軸とともに回転する回転部を含むエンコーダと、
前記回転軸の他方の端部に取り付けられ、前記回転軸と共に回転する回転ミラーと
前記回転軸の両端の間のトルク発生部分にトルクを発生させるモータと
を有し、
前記モータによって前記トルク発生部分にトルクを発生させる場合の、前記トルクから前記エンコーダの前記回転部の回転方向の変位量までの伝達関数から求まる周波数応答特性の反共振点における利得と1次共振点における利得との差が30dB以下になるように、前記トルク発生部分と前記回転軸の前記エンコーダ側の端部との間のエンコーダ側部分のねじり剛性と、前記トルク発生部分と前記回転軸の前記回転ミラー側の端部との間のミラー側部分のねじり剛性との関係が調整されているガルバノスキャナが提供される。
ねじり剛性を調整することにより、周波数応答特性を改善することができる。これにより、回転ミラーの整定時間を短縮することが可能になる。
図1は、実施例によるガルバノスキャナの側面図である。 図2は、実施例によるガルバノスキャナの周波数応答特性を求めるためのモデルを示す模式図である。 図3は、制振構造を採用しないモデル、及び制振構造を採用したモデルの速度閉ループ周波数応答特性のシミュレーション結果を示すグラフである。 図4は、実施例の変形例によるガルバノスキャナの側面図である。 図5は、制振構造を採用しないモデル、及び制振構造を採用したモデルの速度指令値の時間変動及び回転ミラーの目標位置からの位置偏差を示すグラフである。
図1に、実施例によるガルバノスキャナの側面図を示す。回転軸21の一方の端部に回転ミラー20が取り付けられ、他方の端部にエンコーダの回転盤(回転部)22が取り付けられている。回転ミラー20及び回転盤22は、回転軸21と共に回転する。モータ23が、回転軸21の両端の間に画定されたトルク発生部分21Tにトルクを発生する。すなわち、トルク発生部分21Tが、モータ23のロータとして働く。
回転軸21のミラー側の端部と、トルク発生部分21Tとの間の部分(以下、「ミラー側部分」という。)21Mが、軸受26により回転可能に支持されている。同様に、回転軸21のエンコーダ側の端部と、トルク発生部分21Tとの間の部分(以下、「エンコーダ側部分」という。)21Eが、軸受27により回転可能に支持されている。トルク発生部分21Tの長さをLT、ミラー側部分21Mの長さをLM、エンコーダ側部分21Eの長さをLEとする。
図2を参照して、ガルバノスキャナの制振条件について説明する。図2に示すように、ガルバノスキャナを3慣性系でモデル化する。ガルバノスキャナの可動部は、軸周りの回転の1自由度のみを有するトルク発生部分(ロータ部)21T、エンコーダの回転盤(エンコーダ部)22、及び回転ミラー(ミラー部)20で構成された3慣性集中定数系と仮定する。ロータ部21T、エンコーダ部22、及びミラー部20の慣性モーメントを、それぞれJr、Je、Jmとする。ロータ部21T、エンコーダ部22、及びミラー部20の回転方向の変位量を、それぞれθr、θe、θmとする。
エンコーダ側部分21Eのねじり剛性をKeとし、ミラー側部分21Mのねじり剛性をKmとし、それぞれの材料の減衰のみを考慮した時の粘性係数をDe、Dmとする。モータ23(図1)の発生するトルクをτとする。軸受26、27による摩擦及び摺動抵抗は無視する。この系の運動方程式は、下記の通りである。
Figure 0005854894
トルクτから変位量θr、θe、θmまでの伝達関数は、下記のように表される。
Figure 0005854894

ここで、ζ及びζは、それぞれ1次共振及び2次共振の減衰率を表し、ζはエンコーダ側の反共振点の減衰率を表し、ζはミラー側の反共振点の減衰率を表す。
ここで、1次共振周波数ω、2次共振周波数ω、反共振周波数ωm、ωe、及びTm、Teは、下記のとおりである。
Figure 0005854894
減衰係数の影響が極めて小さいと仮定すると、トルクτからエンコーダ部22の変位量θeまでの伝達関数は、下記のように近似される。
Figure 0005854894
1次共振周波数ωと反共振周波数ωとが一致するという条件を導入すると、以下の式が得られる。
Figure 0005854894
上記等式を整理して、1次共振周波数と反共振周波数とが一致する場合の慣性モーメントと剛性との関係をまとめると、以下の等式が得られる。
Figure 0005854894
上述の等式が満たされるとき、1次共振周波数と反共振周波数とが一致し、共振現象が抑制される。
回転軸21(図1)の縦弾性係数をG、半径をrとすると、回転軸21のミラー側部分21Mのねじり剛性Kmは、以下の式で表される。
Figure 0005854894
一例として、Je=2.26g・cm、Jm=4.42g・cm、LM=7.5mm、G=154.5GPa、r=3.5mmである場合に、エンコーダ側部分21Eの長さを約15mmにすると、上述の1次共振周波数と反共振周波数とが一致する条件が満たされる。
図3に、エンコーダ側部分21Eの長さLMを異ならせた3種類のモデルの速度閉ループ周波数応答特性をシミュレーションにより求めた結果を示す。横軸は周波数を対数目盛で表し、左縦軸は利得を単位「dB」で表し、右縦軸は位相を単位「度」で表す。図中の細い実線はLE=5mmのとき、細い破線はLE=15mmのとき、太い実線はLE=16mmのときの周波数応答特性を示す。
エンコーダ側部分21Eの長さLEを15mmにすると、LE=5mmのときに比べて、反共振周波数と1次共振周波数とが近づき、反共振点における利得と1次共振点における利得との差が小さくなっていることがわかる。すなわち、共振による振動がある程度制振されていることがわかる。上述の理論計算結果によると、LEを15mmにすると、反共振周波数と1次共振周波数とが一致するが、応答特性のシミュレーションでは、両者が完全には一致していない。これは、理論計算時に、エンコーダの回転盤及びエンコーダハブを1つの慣性体と仮定し、回転ミラー及びミラーマウントを1つの慣性体と仮定し、こ
れらの剛性を考慮しなかったためであると考えられる。
そこで、エンコーダ側部分21Eの長さLEを15mmの近傍で変化させて、シミュレーションを行った。その結果、LEを16mmにしたときに、図3に示したように、反共振周波数と1次共振周波数とが一致した。このように、エンコーダ側部分21Eの長さLEを調節することにより、1次共振を制振することができる。十分な制振効果を得るために、モータ23(図1)によってトルク発生部分21Tにトルクを発生させる場合の速度閉ループ周波数応答特性の反共振点における利得と1次共振点における利得との差を30dB以下にすることが好ましい。
回転軸21(図1)のエンコーダ側部分21Eのねじり剛性と、回転軸21のミラー側部分21Mのねじり剛性との関係を調整することにより、上述の要請を満たすことが可能である。図3に示した例では、エンコーダ側部分21Eの長さLEを変化させることにより、反共振周波数と1次共振周波数とが一致する条件を見出した。長さLEを変化させる代わりに、エンコーダ側部分21Eまたはミラー側部分21Mの太さを変化させてもよい。
一般的には、エンコーダの回転盤22の慣性モーメントが回転ミラー20の慣性モーメントより小さい。従って、エンコーダ側部分21Eのねじり剛性を、ミラー側部分21Mのねじり剛性より低くすればよい。エンコーダ側部分21Eのねじり剛性を相対的に低くするためには、エンコーダ側部分21Eをミラー側部分21Mより長くするか、または細くすればよい。ねじり剛性は、軸の長さに反比例し、半径の4乗に比例する。すなわち、長さの変化よりも、半径の変化の方が、ねじり剛性への寄与が大きい。
図3に示したLE=16mmの周波数応答特性に、反共振点よりも低い周波数域に小さなピークが見られる。このピークは、回転軸の倒れモードの共振に起因するものである。エンコーダ側部分21Eの長さLEを長くすると、倒れモードの共振が発生しやすくなる。エンコーダ側部分21Eのねじり剛性を調整する際に、エンコーダ側部分21Eを長くする代わりに、細くすることにより、倒れモードの共振を抑制することができる。さらに、エンコーダ側部分21Eを細くすることは、回転軸21の慣性モーメント低減効果も有する。倒れモードの振動を制振するために、図4に示すように、エンコーダ側部分21Eをミラー側部分21Mよりも短くし、かつ細くすることが好ましい。
図5A〜図5Dを参照して、ガルバノスキャナの整定時間の評価結果について説明する。図5A及び図5Cは、モータ23(図1)に与えられる速度指令値の時間変動を示し、図5B及び図5Dは、回転ミラー20の、目標位置からの位置偏差の時間変動を示す。図5A及び図5Cの縦軸は、速度指令値を単位「rad/s」で表し、図5B及び図5Dの縦軸は、目標位置からの位置偏差を、エンコーダのパルス数で表す。
図5A及び図5Bは、エンコーダ側部分21Eの長さLEが5mmの周波数応答モデルを制御対象とした場合の速度指令値及び位置偏差の時間変動を示す。図5C及び図5Dは、エンコーダ側部分21Eの長さLEが16mmの(制振構造を採用した)周波数応答モデルを制御対象とした場合の速度指令値及び位置偏差の時間変動を示す。
図5A及び図5Cに示した速度指令出力時間は、それぞれ440μs及び410μsであった。制振構造を採用することにより、速度指令出力時間を30μs短縮することができる。これは、1次共振と反共振とが相殺されることにより、制御アルゴリズムにおけるフィルタによる遅れが回避されるためである。制振構造を採用した場合、図5Dに示したように速度指令出力時間が経過した時点で残留振動が観測される。ただし、残留振動の振幅は、±20パルス以下である。このため、速度指令出力時間が経過した時点で、回転ミ
ラー20が整定されていると考えられる。
図5Dに見られる残留振動は、約3kHzの倒れモードに起因する振動である。倒れモードによる振動が発生するのは、エンコーダ側部分21Eのねじれ剛性を低下させるために、エンコーダ側部分21Eを長くしたためである。エンコーダ側部分21Eのねじれ剛性を低下させるために、エンコーダ側部分21Eを長くする代わりに、細くすることにより、倒れモードによる振動の発生を抑制することができる。このため、3kHz近傍の残留振動も抑制されると考えられる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
20 回転ミラー
21 回転軸
21T トルク発生部分
21E エンコーダ側部分
21M ミラー側部分
22 エンコーダの回転盤
23 モータ
26、27 軸受

Claims (4)

  1. 回転軸と、
    前記回転軸の一方の端部に取り付けられ、前記回転軸とともに回転する回転部を含むエンコーダと、
    前記回転軸の他方の端部に取り付けられ、前記回転軸と共に回転する回転ミラーと
    前記回転軸の両端の間のトルク発生部分にトルクを発生させるモータと
    を有し、
    前記モータによって前記トルク発生部分にトルクを発生させる場合の、前記トルクから前記エンコーダの前記回転部の回転方向の変位量までの伝達関数から求まる周波数応答特性の反共振点における利得と1次共振点における利得との差が30dB以下になるように、前記トルク発生部分と前記回転軸の前記エンコーダ側の端部との間のエンコーダ側部分のねじり剛性と、前記トルク発生部分と前記回転軸の前記回転ミラー側の端部との間のミラー側部分のねじり剛性との関係が調整されているガルバノスキャナ。
  2. 前記エンコーダ側部分が、前記ミラー側部分よりも細く、前記エンコーダ側部分のねじり剛性が、前記ミラー側部分のねじり剛性よりも低い請求項1に記載のガルバノスキャナ。
  3. 前記エンコーダ側部分が前記ミラー側部分よりも短い請求項2に記載のガルバノスキャナ。
  4. 前記エンコーダ側部分が、前記ミラー側部分よりも長く、前記前記エンコーダ側部分のねじり剛性が、前記ミラー側部分のねじり剛性よりも低い請求項1に記載のガルバノスキャナ。
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