JP5868111B2 - 歯科用粘膜調整材 - Google Patents

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Description

本発明は、歯科治療において口腔粘膜の変形や炎症などを有する義歯装着患者に用いる歯科用粘膜調整材に関する。
義歯使用者が義歯を長期に亘って使用していると、顎堤を形成する歯槽骨の吸収等が原因となり、口腔の形状が次第に変化することが知られている。口腔の形状の変化に起因して義歯床下粘膜と口腔粘膜との適合性が悪化し、義歯が不安定になる。このような義歯をそのまま使用し続けると、義歯床下粘膜に不均一な圧力が加わるため、該粘膜に潰瘍や炎症が発生したり、咬合圧による疼痛が引き起こされたりするようになる。
上記のように、義歯床下粘膜と口腔粘膜との適合性が悪化した場合には、新しい義歯を作製するか、使用中の義歯を裏装するなどして、義歯床下粘膜と口腔粘膜との適合性を回復させる必要がある。
しかし、著しい潰瘍や炎症が発生している口腔粘膜は極めて不安定な状態であるため、新しい義歯の作製や裏装の前に、口腔粘膜が健全な状態になるのを待つ必要がある。
このような場合に使用される材料が、歯科用粘膜調整材(以下、単に「粘膜調整材」ともいう)である。即ち、歯科用粘膜調整材は義歯床下粘膜の形態、色調が正常な状態に回復するまで、使用中の義歯床の粘膜面に裏装して用いられる治療用材料である。即ち、義歯床下粘膜の歪み、圧痕を開放し、各部の被圧変位性に対応した機能的な形態を印記するために、義歯床下粘膜面に用いられる軟性高分子材である。
使用時に粉末と液とを練和する粘膜調整材は、練和直後は流動性の高いペーストとなる。該ペーストは、ペースト中の液状成分が粉末に浸透することによって粘弾性が発現してくる。該ペーストは、流動性のあるうちに義歯床粘膜面に盛り付けて口腔内に挿入し、口腔内で賦形する。
粘膜調整材の使用期間は、口腔粘膜が健全な状態に回復するまでの1週間〜数週間である。その目的からして、粘膜調整材は、咬合時に義歯と口腔粘膜との間から押し出されることなく粘膜面に保持されながらも、柔軟でかつ口腔粘膜の回復に伴う形状変化に追従する程度の微小変形が可能でなければならない。
より詳細には、粘膜調整材を適合不良となった義歯の粘膜面に裏装することで、義歯と口腔粘膜との適合性を回復させて疼痛を緩和させつつ、口腔粘膜の潰瘍や炎症が次第に消失するのを待つ。口腔粘膜の潰瘍や炎症が次第に消失するに伴い、口腔粘膜の形態も経時的に本来あるべき状態へと回復していく。このとき、該粘膜調整材は口腔粘膜の形状変化に合わせて塑性変形する必要がある。なぜならば、粘膜調整材が上記のような形状変化に追従して変形しない場合には、口腔粘膜が回復するに伴って粘膜調整材と口腔粘膜との適合性が失われていくことになり、再度の疼痛を生じる原因となるためである。
特許文献1には、アクリル系又はメタアクリル系(以下、「(メタ)アクリル系」と略記する)の非架橋ポリマーとフタル酸系可塑剤とからなる粘膜調整材が開示されている。特許文献2には、(メタ)アクリル系非架橋ポリマーとフタル酸系可塑剤と有機溶媒とからなる粘膜調整材が開示されている。これらの粘膜調整材は、短期間のうちに可塑剤が溶出して粘弾性が経時的に失われ硬くなり、長期間に亘って使用することができない。
特許文献3には、(メタ)アクリル系非架橋ポリマーと重合開始剤とを含む粉材と、フタル酸系又はセバシン酸系の可塑剤と(メタ)アクリル系モノマーと有機溶媒とを含む液材とからなる粘膜調整材が開示されている。この粘膜調整材は、一部を重合させるため、可塑剤の溶出は抑制されるが、重合後の粘膜調整材は硬くなり、長期間に亘って使用し難い。
また、特許文献1〜3で開示されている粘膜調整材はいずれも、粉材と液材を練和した後において、義歯に盛り付けるための高流動期間があるが、その期間のうちに義歯を口腔内に挿入した際に、装着圧により義歯と口腔内面との間から押し出されてしまい、粘膜調整材層を十分な厚みで層形成できない。
特許文献4、5には、(メタ)アクリル系非架橋ポリマーと液状ポリマーと有機溶媒とからなる粘膜調整材が開示されている。この粘膜調整材は、可塑剤として液状ポリマーを用いることにより、粘膜調整材から可塑剤が溶出することを抑制するが、耐久性が十分ではない。
さらに、この特許文献4の粘膜調整材では、粉材と液材の練和後初期の高流動期間を一定期間確保し、ペーストの義歯床粘膜面への盛り付けを十分な余裕を持って行えるように、粉末状の架橋ポリマーを配合することも提案されている。すなわち、上記粉材と液材とを練和して均一にペースト化した直後においてペーストの流動性は高く、その後、液材が粉材に浸透していくにしたがって、前記(メタ)アクリル系の非架橋ポリマー粉末が該液材に溶解し始め、その粘弾性は急速に高まっていく。したがって、上記ペーストの流動性が維持されているうちに義歯床粘膜面に盛り付け、口腔内に挿入して賦形する必要があるが、上記(メタ)アクリル系の非架橋ポリマー粉末のみの使用の場合、その液材への溶解速度が余りに速すぎ、上記盛り付け操作に必要な高流動期間が十分に確保できなくなっていた(臨床において操作に十分な余裕を持たすためには、均一にペースト化した後2分程度までは、その粘度を300Pas(23℃)以下に抑えられることが望ましい)。
しかし、上記架橋ポリマーを配合した粘膜調整材は、架橋ポリマーの膨潤が遅い上に全く溶解しないため、義歯を口腔内へ挿入した際に、粘弾性不足により粘膜調整材層を十分な厚みで層形成できない、及び、義歯の使用時に強い咬合圧がかかると義歯粘膜面より徐々に押し出され易かった。特許文献5では、これらを解決させるために、架橋ポリマーを使用せず、ガラス転移温度が80〜120℃である(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子を配合することで、高流動期間を確保しつつ、義歯粘膜面に対して十分な厚みで層形成でき、義歯使用時にも押し出されにくい粘膜調整材が提案されている。
特許文献6には、酸性基含有重合性モノマーと重合開始剤と多孔質有機フィラーとを含む歯科用接着材が開示されている。この接着材は、モノマーが多孔質有機フィラーの細孔内で重合することにより高い接着力が得られる。
特許文献7には、(メタ)アクリル系非架橋ポリマーと、触媒を担持する多孔質粒子とを含む粉材と、ラジカル重合性モノマーと触媒とを含む液材とからなる歯科用組成物が開示されている。この歯科用組成物は粉材に配合する触媒を多孔質粒子に担持させるため、粉材のべとつきがなく、操作性が改善される。この組成物は、歯科用レジンセメント、歯科用接着材として好適である。
特許第2905843号公報 特許第2755424号公報 特許第3479274号公報 特許第4693434号公報 特開2011−132189号公報 特開2009−179612号公報 特開2004−203773号公報
本発明が解決しようとする課題は、粉材と液材とを練和する粘膜調整材において、練和直後の操作性及び取扱い性が高く、かつ十分な厚さで義歯床の粘膜面に層形成でき、長期間に亘って厚さが保持され、さらに引き裂き強度が高く、長期間使用することができる粘膜調整材を提供することにある。
本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、特定の非架橋ポリマー及び可塑剤に加え、多孔質有機架橋ポリマーを配合すると、粘膜調整材の初期粘度が抑制されて、練和直後の操作性及び取扱い性が向上するとともに、義歯へ盛り付け後は粘膜調整材の粘度が適度に上昇して、十分な厚さで粘膜調整材の層を形成できることを見出した。さらに、粘膜調整材中のポリマー成分と可塑剤成分とが、多孔質有機架橋ポリマーの細孔内に浸透して保持されるため、多孔質有機架橋ポリマーと非架橋ポリマーとの相互作用(いわゆるアンカー効果)が大きくなる結果、高い引き裂き強度を有するとともに長期間に亘って厚さが維持されることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は以下に記載するものである。
〔1〕(1)粉材と、(2)液材と、からなり、使用時に両材を練和して用いる歯科用粘膜調整材において、
(1)粉材が、a)(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子、及びb)多孔質有機架橋ポリマーを含んでなり、
(2)液材が、可塑剤を含んでなる、
ことを特徴とする歯科用粘膜調整材。
〔2〕b)多孔質有機架橋ポリマーが、平均粒子径が2〜50μm、平均細孔径1〜100nm、JIS K5101−13に従って測定した精製あまに油の吸油量が0.8ml/g以上である〔1〕に記載の歯科用粘膜調整材。
〔3〕(1)粉材が、a)(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子100質量部に対して、b)多孔質有機架橋ポリマーを5〜40質量部含んでなる〔1〕又は〔2〕に記載の歯科用粘膜調整材。
〔4〕可塑剤が、質量平均分子量が1000〜10000の液状ポリマーを含む〔1〕〜〔3〕に記載の歯科用粘膜調整材。
〔5〕a)(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子が、ガラス転移温度が0〜60℃、平均粒子径が10〜100μmである〔1〕〜〔4〕に記載の歯科用粘膜調整材。
〔6〕(2)液材が、水溶性有機溶媒を含む〔1〕〜〔5〕に記載の歯科用粘膜調整材。
本発明の粘膜調整材は、粉材と液材との練和後初期において、溶解しない多孔質有機架橋ポリマーの存在により、義歯床粘膜面へのペーストの盛り付けが容易な高流動期間が十分な時間確保でき、作業性が良い。さらに、多孔質有機架橋ポリマーの細孔内へペーストが滲入し、上記高流動期間の終盤から急激に粘弾性発現するため、上記義歯床粘膜面にペーストを盛り付け後は、義歯を早い段階で口腔内に挿入しても、粘膜調整材として十分な厚みで層形成することができる。
しかも、粘膜調整材中において、多孔質有機架橋ポリマーがアンカー効果を有するため、上記粘膜調整材層は義歯の使用時に強い咬合圧がかかっても、義歯と粘膜面の間より押し出されにくく、長期間に亘って粘膜面に良好に保持されるとともに、高い引き裂き強度が得られ長期間耐久性良く使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の歯科用粘膜調整材(以下、「本粘膜調整材」ともいう)は、以下に説明する(1)粉材と(2)液材とからなる。本粘膜調整材は、使用時に(1)粉材と(2)液材とを練和して用いられる。
(1)粉材
粉材は、a)(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子と、b)多孔質有機架橋ポリマーと、を含んでなる。
a)(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子としては、重合性基としてアクリル基又はメタクリル基を有する重合性単量体(以下、(メタ)アクリル系単量体)を単独重合させて得られるホモポリマー、2種以上の異なる(メタ)アクリル系単量体を共重合させて得られるコポリマー、及び(メタ)アクリル系単量体と(メタ)アクリル系単量体以外の重合性単量体とを共重合させて得られるコポリマー(ただし、(メタ)アクリル系単量体に基づく単量体単位の割合は50mol%以上)が挙げられる。(メタ)アクリル系のポリマーは、(メタ)アクリル系義歯床とのなじみがよく、適度な粘弾性を得やすい。
また、本粘膜調整材は粉材と液材とを練和して得られる組成物が適度の粘性を有するペースト状になることが必要である。よって、a)(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子は、液材成分に溶解可能な非架橋ポリマーである必要がある。
(メタ)アクリル系単量体を単独重合させて得られるホモポリマーとしては、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(イソ‐プロピルメタクリレート)、ポリ(t−ブチルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(ジシクロペンテニルアクリレート)、ポリ(イソボルニルアクリレート)、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ウレタンアクリレート)、ポリ(ベンジルアクリレート)、ポリ(4−ブトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ{3−クロロ−2,2−ビス(クロロメチル)プロピルアクリレート}、ポリ(2−クロロフェニルアクリレート)、ポリ(4−クロロフェニルアクリレート)、ポリ(4−メトキシフェニルアクリレート)、ポリ(2,4−ジクロロフェニルアクリレート)、ポリ(シクロヘキシルアクリレート)、ポリ(シクロドデシルアクリレート)、ポリ(2−メトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ(3−メトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ(2−エトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ(3−エトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ(4−エトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ(ヘプタフルオロ−2−プロピルアクリレート)、ポリ(ヘキサデシルアクリレート)、ポリメチルアクリレート、ポリネオペンチルアクリレート、ポリフェニルアクリレート、ポリ(m−トリルアクリレート)、ポリ(o−トリルアクリレート)、ポリ(p−トリルアクリレート)、ポリ(N−ブチルアクリルアミド)、ポリ(プロピルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(i−ブチルメタクリレート)、ポリ(ネオペンチルメタクリレート)、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(ヘキサデシルメタクリレート)、ポリ(オクタデシルメタクリレート)、ポリ(3−オキサブチルメタクリレート)、ポリ(ベンジルメタクリレート)、ポリ(2−t−ブチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ブチルブトキシカルボニルメタクリレート)、ポリ(1H,1H−ヘプタフルオロブチルメタクリレート)、ポリ(1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート)、ポリ(1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート)が例示される。
(メタ)アクリル系単量体のみを共重合させるコポリマーとしては、ポリ(メチルメタクリレート‐エチルメタクリレート)、ポリ(t−ブチルメタクリレート‐n−ブチルメタクリレート)、ポリ(イソ‐プロピルメタクリレート‐ブチルアクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート‐ブチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート‐ブチルアクリレート)、ポリ(ウレタンアクリレート‐メチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート)、ポリ(プロピルメタクリレート−n−ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート)、ポリ(プロピルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート)、ポリ(i−ブチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート)が例示される。
(メタ)アクリル系単量体と他の重合性単量体とを共重合させるコポリマーとしては、ポリ(スチレン−メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−エチルメタクリレート)ポリ(スチレン−n−ブチルメタクリレート)が例示される。
これらのコポリマー(共重合体)は、前記条件を満たす限り、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体等の如何なる共重合体でもよい。
上記の(メタ)アクリル系非架橋ポリマーのなかでも、溶解性や取扱いの容易さ等の点で、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレートのような(メタ)アクリル酸エステル系のモノマー単位で構成される非架橋ポリマーが好ましい。
(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子は、ガラス転移温度(以下、Tgとも称する)が0〜60℃であることが好ましく、10〜50℃であることが特に好ましい。Tgが0℃未満のポリマーは、室温(使用前の粘膜調整材が保存される環境温度である18〜35℃程度)で粉材を保存する間に、該非架橋ポリマー粒子同士が極めて強く凝集するため、液材と練和して得られる組成物がペースト状にならない場合がある。Tgが60℃を超えるポリマーは、液材と練和して得られる組成物が硬くなり、粘膜調整材に適度の柔軟性を付与できない場合がある。なお、本発明において適度の柔軟性とは、ショアA硬度が20以下であることを意味する。
上記の(メタ)アクリル系非架橋ポリマーは、粉末状であればその形状及び大きさは特に限定されないが、粉材としての取扱い易さ(流動性、凝集性)や、液材との混合・練和性などの点から、体積平均粒子径が0.1〜100μmであることが好ましく、5〜60μmであることがより好ましく、30〜50μmであることが特に好ましい。
上記の(メタ)アクリル系非架橋ポリマーは、粉末状であればその平均分子量や分子量分布は特に限定されないが、合成又は入手の容易性、及び液材と練和して得られるペーストの操作性の観点から、質量平均分子量が2万〜500万のものが好ましく、5万〜100万のものがより好ましく、20万〜60万のものが最好ましい。
なお、本明細書において質量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する場合がある)により測定される標準ポリスチレン換算分子量をいう。
本粘膜調整材に配合される(メタ)アクリル系非架橋ポリマーは、該ポリマーを構成するモノマーの種類及び割合、並びに平均分子量及び分子量分布、並びに平均粒子径等が異なる2種以上の粉末状ポリマーを併用してもよい。
b)多孔質有機架橋ポリマーとしては、表面に多数の細孔を有する架橋された有機ポリマーであれば何れの架橋ポリマーでも何ら制限なく使用できる。多孔質有機架橋ポリマーに換えて、シリカ等の多孔質の無機粒子を用いても、上記(メタ)アクリル系非架橋ポリマーとの親和性が低いため、高い機械的強度は得られない。また、多孔質でない有機架橋ポリマーは、前記細孔と非架橋ポリマーとのアンカー効果が発揮されずに、やはり高い機械的強度は得られない。
多孔質有機架橋ポリマーの材質は、架橋された有機ポリマーであれば特に限定されないが、上記(メタ)アクリル系非架橋ポリマーとの親和性の観点から、架橋ポリメチルメタクリレート、架橋ポリエチルメタクリレート、架橋ポリメチルアクリレート等の架橋ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等が好ましい。また、このような多孔質有機架橋ポリマーとしては、特開2002−256005号公報、特開2002−265529号公報等に記載されるポリマーが使用できる。さらに、このような多孔質有機架橋ポリマーとしては、市販の「テクノポリマーMBP−8」(積水化成品工業(株))等が使用できる。
上記多孔質有機架橋ポリマーの平均細孔径は、1〜100nmであることが好ましく、5〜50nmであることが特に好ましく、10〜30nmであることが最も好ましい。該平均細孔径とは、多孔質有機架橋ポリマー粒子の凝集によって形成される二次粒子の凝集細孔ではなく、多孔質有機架橋ポリマーの一次粒子の表面に形成される細孔の平均径を表す。該平均細孔径は、水銀圧入法細孔分布測定装置を用いて測定される粒子の細孔分布から計算によって求めることができる。
平均細孔径が1nmより小さい場合、(メタ)アクリル系非架橋ポリマー及び可塑剤(以下、これらを「マトリックス」ともいう)の細孔内への滲入量が減少し、適度な粘弾性発現が得られず十分な厚みの粘膜調整材が形成できなくなったり、架橋ポリマーとマトリックスとのアンカー効果が低下して、粘膜調整材の引き裂き強度が低下する傾向がある。平均細孔径が100nmより大きい場合も、マトリックスとのアンカー効果が低下して、粘膜調整材の引き裂き強度が低下する傾向がある。
多孔質有機架橋ポリマーの粒子径は特に限定されないが、平均粒子径が1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることが特に好ましく、5〜15μmであることが最も好ましい。なお、該平均粒子径とは、多孔質有機架橋ポリマー粒子の1次粒子の平均粒子径を表す。該平均粒子径は、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定装置を用いて測定される。
平均粒子径が1μmより小さい場合、粘膜調整材の初期粘度が高くなり、義歯へ盛り付けるために必要な流動性が得られず操作性が低下する。平均粒子径が50μmより大きい場合も、粘膜調整材の初期粘度が高くなり、義歯へ盛り付けるために必要な流動性が得られず操作性が低下する。粒子形状は特に限定されず、粉砕型粒子、球状粒子のいずれも使用できる。
多孔質有機架橋ポリマーの吸油量は、0.8ml/g以上であることが好ましく、1.3〜5.0ml/gであることがより好ましい。吸油量はJIS K5101−13−1に記載の精製あまに油法によって測定される。
吸油量が0.8ml/gよりも少ない場合、(メタ)アクリル系非架橋ポリマー及び可塑剤の細孔内への滲入量が減少し、適度な粘弾性発現が得られず十分な厚みの粘膜調整材が形成できなくなったり、架橋ポリマーとマトリックスとのアンカー効果が低下して、粘膜調整材の引き裂き強度が低下する傾向がある。
これらの多孔質有機架橋ポリマーは、必要に応じ、材質、平均粒径、平均細孔径等の異なる複数種を併用しても良い。
粉材中におけるa)(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子と、b)多孔質有機架橋ポリマーとの配合割合は、特に限定されるものではなく適宜設定すれば良いが、a)(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子100質量部に対し、b)多孔質有機架橋ポリマーが5〜40質量部が好ましく、10〜30質量部が特に好ましい。5質量部未満である場合、マトリクスとのアンカー効果が得難い。40質量部を超える場合、練和時に組成物の粘度が上昇し、操作性が低下する。
(2)液材
液材は、可塑剤を含んでなる。
可塑剤としては、エチルフタレート、ブチルフタレート、オクチルフタレート等のフタル酸エステルや、エチルセバケート、ブチルセバケート、オクチルセバケート等のセバシン酸エステル、及び以下に説明する液状ポリマーが例示される。これらの内、液状ポリマーを用いることが特に好ましい。液状ポリマーを用いることにより、硬化後の歯科用粘膜調整材の柔軟性が高くすることができ、かつ口腔内の使用に際して柔軟性が長く維持される。また、液状ポリマーは義歯床へ移行しないため、義歯床を傷めない。
前記液状ポリマーは、質量平均分子量が1000〜10000であって、分子量500以下のオリゴマーの割合が10質量%以下の非水溶性の液状のポリマーである。
本発明において液状とは、室温〜口腔内温度、即ち18〜40℃で液状であることをいう。該温度範囲内で液状でない場合には、粉材との練和ができなかったり、粘膜調整材がペーストにならなかったり、適度な粘弾性が得られなかったりする。
本発明において非水溶性とは、平均的な口腔内温度である37℃における水に対する溶解度が5質量%以下であることをいう。本発明において、液状ポリマーの水に対する溶解度は3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
液状ポリマーの質量平均分子量が1000未満の場合や水溶性の可塑剤の場合、粘膜調整材使用時に該可塑剤が口腔内で溶出して、短時間で粘膜調整材の粘弾性や柔軟性が失われる場合がある。液状ポリマーの質量平均分子量が10000を超える場合、適度の柔軟性を付与することができず、粘膜調整材として使用することが困難になる場合がある。練和性が良好な液状ポリマーの質量平均分子量は1200〜7000であり、1500〜5000であることがより好ましい。
一般的に、液状ポリマーは分子量が大きくなるほど、他の成分との相溶性が低下する傾向にある。そのため、液状ポリマーの分子量分布は、分子量が10000を越える部分が10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましい。また、分子量が500以下の液状ポリマーは口腔内で溶出しやすく、義歯床への移行も起きやすいため、本発明の効果を充分に得難い。従って、液状ポリマーの分子量分布は、分子量が500以下の部分が10質量%未満であることが好ましく、7質量%未満であることがより好ましい。
当該液状ポリマーの材質は特に限定されないが、前記粉材に配合される(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子との親和性がよく、練和性や得られるペーストの各種物性に優れる点で、(メタ)アクリル系の液状ポリマーが好ましい。この内、上記分子量の範囲の液状のポリマーが得られ易い点で、(メタ)アクリル酸エステル系(以下、「(メタ)アクリレート系」ともいう)のポリマーが特に好ましい。
なお、液材に配合される(メタ)アクリル系の液状ポリマーは、平均分子量が上記範囲に限定され、かつその性状が液状である点で、粉材に配合されるa)(メタ)アクリル系ポリマー系非架橋ポリマー粒子とは異なる。
質量平均分子量が1000〜10000の液状ポリマーは、一般的な重合反応によって得ることができる。即ち、モノマーと重合開始剤との配合比を制御することで、所望の平均分子量を有する液状ポリマーを得ることができる。平均分子量の制御が容易なイオン重合やリビングラジカル重合が好適に用いられる。特に、アニオン重合によれば、分子量分布が非常にシャープで、質量平均分子量/数平均分子量が2以下の単分散に近いポリマーを得ることができる。また、分子量500以下のポリマーの含有量を少なくすることが容易である。
例えば、(メタ)アクリル系モノマー又は(メタ)アクリル系モノマーと、該(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能な他のモノマーとを、質量平均分子量1000〜10000の範囲となるように重合させればよい。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、炭素数が1〜10のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルであるメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系モノマーが挙げられる。
中でも、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートより1種選んで重合させたホモポリマー、若しくはこれらのうちの2種又はそれ以上の種類のモノマーを重合させたコポリマーが特に好適に使用される。これらの液状ポリマーは、粉材に用いられる前記(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子との相溶性が良好である。
また、(メタ)アクリレート系のモノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、酢酸ビニル、スチレン等が挙げられる。この場合、1種又は2種以上の(メタ)アクリレート系モノマーと、1種又はそれ以上のその他の共重合可能なモノマーと、を共重合させて得られるコポリマーを用いることが可能である。溶解性、膨潤性の面から前記(メタ)アクリレート系モノマーに由来するモノマー単位を50モル%以上含むことが好ましく、80モル%以上含むことがより好ましい。
好ましい液状ポリマーの具体例としては、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピル(メタ)アクリレート、ポリイソプロピル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリ{2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート}、ポリ{エチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート}、ポリ{エチル(メタ)アクリレート−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート}、ポリ{エチル(メタ)アクリレート−メトキシエチル(メタ)アクリレート}、ポリ{エチル(メタ)アクリレート−グリシジル(メタ)アクリレート}、ポリ{ブチル(メタ)アクリレート−メトキシエチル(メタ)アクリレート}、ポリ{ブチル(メタ)アクリレート−グリシジル(メタ)アクリレート}が挙げられる。
液状ポリマーは、分子量分布の異なる2種以上のポリマーを併用してもよい。さらに、ポリマーを構成する単量体単位の種類や割合の異なる2種以上の液状ポリマーを併用してもよい。
本発明の粘膜調整材における液材には、上記可塑剤に加えてさらに、水溶性有機溶媒が配合されていることが好ましい。水溶性有機溶媒を配合することにより、液材の流動性が向上して取り扱いやすくなる。また、粉材と液材とを混合、練和する際の操作性が向上する。さらには、粉材と液材とを混合した後の組成物の初期流動性が向上する。これは、水溶性有機溶媒を配合することにより、上記可塑剤が、粉材に配合される(メタ)アクリル系の粉末状ポリマーを溶解したり膨潤させたりする際における可塑剤の浸透しやすさ、なじみやすさ等を向上させるためであると考えられる。なお、本発明の粘膜調整材は、比較的長期に渡って口腔内で使用されるものであるため、人体への有害性が懸念される非水溶性有機溶媒は好ましくない。
水溶性有機溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類が例示される。特に生体への為害性、臭気等の面からエタノールやイソプロピルアルコール等のアルコール類が好ましく、エタノールが特に好ましい。
上記水溶性有機溶媒の配合量は、本発明の効果を害さない範囲であれば特に制限はないが、可塑剤100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、3〜20質量部であることが特に好ましい。1質量部未満である場合、上記操作性向上が得られない。30質量部を超える場合、組成物の取扱い性や臭気が悪化したり、組成物から有機溶媒が溶出した後における組成物の物性変化が大きくなったりする可能性がある。3〜20質量部である場合、特に良好な操作感を得ることができる。
本発明の粘膜調整材において、粉材と液材との混合比は、特に制限されるものではないが、(メタ)アクリル系非架橋ポリマー100質量部に対して、液材に配合される可塑剤が50〜300質量部となる範囲が好ましい。また、粉材と液材との割合に大きく差があると、双方を混合してもペーストとならない場合がある。そのため、粉材と液材とが質量比で粉/液=0.5〜2.5であることが好ましく、使用時の計量や混合も容易である観点からは、質量比で粉/液=0.8〜2.0程度であるのがより好ましい。また、粉材と液材との練和は、両者が均一なペーストになるまで行えば良いが、通常は5〜100秒の範囲で均一化する。
本発明の歯科用粘膜調整材には、上記各成分に加えて、必要に応じ、染料、顔料等の着色材料、香料、抗菌剤、防黴剤等を配合してもよい。
次に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。各実施例、比較例における各種物性の評価方法は以下の通りである。
(1)ガラス転移点(Tg)の測定方法
Tgは示差走査熱量測定装置(DSC6200/セイコー社製)を用いて測定した。およそのTgよりも30℃ほど高温まで10℃/分で初期昇温を続け、そこで5分間保持後、50℃/分で降温した。次いで直ちに再昇温して得られたDSC曲線を用いた。ベースライン延長線とガラス転移による吸熱領域の急峻な下降位置の延長線とを引き、これら延長線間の1/2直線とDSC曲線の交点の温度をTgとして求めた。
(2)硬度の測定方法
柔軟性の指標であるショアA硬度は、JIS−K7215(デュロメータ タイプA)に基づいて測定した。測定は、練和後37℃で一晩静置した時点と、そのまま37℃で1ヶ月間、水中浸漬させた時点でそれぞれ行った(以下、それぞれ「初期硬度」、「1ヶ月後硬度」ともいう)。
(3)練和時間の測定方法
予め液材を計りとっておいたラバーカップに、1.1質量倍の粉材を加えて練和を開始し、加えた粉材が液材になじみ均一なペースト状になるまでスパチュラで練和し続けた。練和開始から均一なペーストが得られるまでの時間を計測し、練和時間とした。
(4)練和時の初期粘度測定方法
動的粘弾性測定装置CSレオメーター「CVO120HR」(ボーリン社製)を用いて測定した。直径20mm、1°コーンを使用し、測定温度(プレート温度)23℃、ショアレート10(1/sec)の条件で測定した。上記(3)練和時間の測定方法に記載した方法で練和し、均一なペーストが得られた時点(練和時間)から30秒後及び90秒後の粘度を測定した。粘膜調整材において、粉材と液材の練和後において義歯に良好な盛り付けるための良好な操作性を確保するためには、上記90秒後の粘度が100〜300Pasであるのが好ましく、さらには170〜250Pasであるのがより好ましい。
(5)体積平均粒子径
ベックマンコールター社製LS230を用いて測定した。測定は水を分散媒とし、測定前に超音波で3分以上処理した後、すみやかに測定した。
(6)吸油量
JIS K5101−13−1(吸油量)に基づいて測定した。23℃下において、試料を測定板の上に置き、精製あまに油をビュレットから一回に4、5滴ずつ徐々に加え、その都度、パレットナイフで精製あまに油を試料に練り込んだ。これらを繰り返し、精製あまに油及び試料の塊ができるまで滴下を続け、以後、1滴ずつ滴下し、完全に混練するようにして繰り返し、ペーストが滑らかな硬さになったところを終点とした。終点までに使用した精製あまに油の量を測定し、吸油量を算出した。
(7)稠度の測定方法
JIS−T6519(義歯床用短期弾性裏装材)に基づいて測定した。測定は、(3)練和時間の測定方法に記載した方法で練和し、試料2mlを計量し、1枚のガラス板上に置いた。混和終了から30秒後に、この試料の上にもう1枚カバーガラス板(100g)を静かに乗せ、直ちに試料を37℃に保ったインキュベーターに入れた。混和終了から120秒後にカバーガラス板の上に1000gのおもりを静かに垂直に乗せ、60秒後におもりを除いた。混和終了から8分後に広がった試料の平行接線間の最大部と最小部の長さを測定し、その平均値を求め、稠度とした。この測定時点での稠度が小さい(目安60以下)ことは、粉材と液材とを練和して得たペーストを義歯床粘着面に盛り口腔内に挿入する時間帯のペーストが、粘弾性が大きく、装着圧がかかっても押し出され難いことを意味する。
(8)引き裂き強度
JIS K6252「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム‐引裂強さの求め方」に基づいて試験した。アングル形(厚さ2mm)の試験片を作製し、37℃水中に一晩浸漬後、オートグラフ(島津製作所製AG-1)を用い、ロードセル容量5kgf、クロスヘッドスピード10mm/minで破断時の応力を測定し、引き裂き強度を算出した。
(9)厚さ変化率の測定方法
義歯床樹脂材料(「アクロン」(ジーシー社製))を用いて作製した一辺が約30mm、厚さ約2mmの正方形のアクリル板上に30×30×2mmの孔を有する型を設置し、(3)練和時間の測定方法に記載した方法で練和し、均一なペーストが得られた時点から10秒経過後のペーストを流し込み、その上からもう1枚のアクリル板で圧接した。混和開始から30分後に型をはずし、37℃で1日間水中浸漬させた後、マイクロメーターを使用して試験片の厚みを測定した。試験片の厚みから2枚のアクリル板の厚みを除いた分を粘膜調整材層の試験前厚さとした。厚み測定後、疲労試験機「エレクトロパルス」(インストロン製)を用いて、以下の条件で繰り返し荷重試験を行った。
<試験条件>
最大荷重 :27kgf
荷重 :サインカーブに基づく荷重負荷
周波数 :1Hz
繰り返し回数:2700回
温度 :37℃(水中)
試験後、マイクロメーターを使用して試験片の厚みを測定した。試験片の厚みから2枚のアクリル板の厚みを除いた分を粘膜調整材層の試験後厚さとし、下記式で変化率を求めた。
粘膜調整材層の厚さ変化率[%]=(試験前厚さ−試験後厚さ)[mm]/2[mm]×100
各実施例及び比較例で使用した各種化合物は以下の通りである。
1.粉材成分
実施例、比較例に用いた粉材中のa)(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子は、以下の表1に示す通りである。
Figure 0005868111
実施例、比較例に用いた粉材中のb)多孔質有機架橋ポリマーは、以下の表2に示す通りである。
なお、表3には、非多孔質の架橋ポリマーを示した。これは比較例で用いた。
Figure 0005868111
Figure 0005868111
2.液材成分
実施例、比較例に用いた液材中の主成分となる可塑剤は以下の表4に示す通りである。これらは以下の製造例1〜3に記載の方法で得た。
Figure 0005868111
(製造例1)
PBA−1:トリ(n−ブチル)アルミニウムのトルエン溶液(1.0mol/l)3.0ml(3.0mmol)をトルエン40mlと混合し、−78℃に冷却した。これにt−ブチルリチウムのトルエン溶液(1.0mol/l)7.4ml(7.4mmol)を加え、数分間攪拌させた後、ブチルアクリレート16.1g(126mmol)を、反応系中の温度が上がらないように注意しながら加えた。この反応は窒素雰囲気下、標準的なシュレンク管中で行い、試薬の移動は注射器を用いて行った。トルエンはナトリウム上で還流した後、窒素雰囲気下で蒸留した。ブチルアクリレートは塩基性アルミナカラム及びモレキュラーシーブス4Aのカラムを通して精製した。24時間攪拌させた後、メタノールを加えて反応を停止させた。分液漏斗を用いて50%メタノール水溶液で洗浄した後120℃で真空乾燥して、11.6gの無色透明の液状化合物を得た(収率72%)。GPC測定したところ質量平均分子量が2000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.15であり、分子量500未満のものが5質量%含まれていた。
(製造例2)
PBA−2:トリ(n−ブチル)アルミニウムのトルエン溶液(1.0mol/l)1.0ml(1.0mmol)、t−ブチルリチウムのトルエン溶液(1.0mol/l)2.5ml(2.5mmol)を用いて製造例3と同様の方法で合成し、10.1gの無色透明の液状化合物を得た(収率63%)。GPC測定したところ質量平均分子量が6000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.12であり、分子量500未満のものが1質量%未満であった。
(製造例3)
PPA:トリ(n−ブチル)アルミニウムのトルエン溶液(1.0mol/l)3.0ml(3.0mmol)をトルエン40mlと混合し、−78℃に冷却した。これにt−ブチルリチウムのトルエン溶液(1.0mol/l)7.4ml(7.4mmol)を加え、数分間攪拌させた後、プロピルアクリレート14.8g(130mmol)を、反応系中の温度が上がらないように注意しながら加えた。この反応は窒素雰囲気下、標準的なシュレンク管中で行い、試薬の移動は注射器を用いて行った。トルエンはナトリウム上で還流した後、窒素雰囲気下で蒸留した。プロピルアクリレートは塩基性アルミナカラム及びモレキュラーシーブス4Aのカラムを通して精製した。24時間攪拌させた後、メタノールを加えて反応を停止させた。分液漏斗を用いて50%メタノール水溶液で洗浄した後120℃で真空乾燥して、10.2gの無色透明の液状化合物を得た(収率69%)。GPC測定したところ質量平均分子量が2000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.15であり、分子量500未満のものが5質量%含まれていた。
(実施例1)
PBMAが100質量部とMBPが5質量部とからなる粉材と、
PBA−1が100質量部のみからなる液材と、
を練和して粘膜調整材を得た。練和時間は90秒間、初期粘度(30秒)は53Pas、初期粘度(90秒)は225Pas、稠度は34、初期硬度及び1ヶ月後硬度はともに11、厚さ変化率は41%、引き裂き強度は4.9N/mmであった。
(実施例2−12)
可塑剤、(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子及び多孔質有機架橋ポリマーの、種類と配合量を表5に記載する通り変化させた以外は実施例1と同様にして粘膜調整材を調製し、評価した。評価結果は表7に示した。
(比較例1−2)
比較例1は、MBPを配合しない以外は実施例1と同様にして粘膜調整材を調製し、評価した。比較例2は、MBPの5質量部に換えてPMMA−Xを25質量部用いた以外は実施例1と同様にして粘膜調整材を調製し、評価した。これらの組成及び評価結果は表6、8に示した。
(実施例13)
PBMAが100質量部とMBPが25質量部とからなる粉材と、
PBA−1が100質量部とエタノールが2質量部とからなる液材と、
を練和して粘膜調整材を得た。これらの組成及び評価結果は表5、7に示した。
(実施例14−15)
エタノールの配合量を表5に記載する通り変化させた以外は実施例13と同様にして粘膜調整材を調製し、評価した。評価結果は表7に示した。
(比較例3)
比較例3は、MBPを配合しない以外は実施例14と同様にして粘膜調整材を調製し、評価した。これらの組成及び評価結果は表6、8に示した。
Figure 0005868111
Figure 0005868111
Figure 0005868111
Figure 0005868111
実施例1−12の粘膜調整材は、初期粘度が低いため、初期の流動性が良く、操作性が良好である。また、初期粘度が低くても、稠度が小さいことから、粘膜調整材を十分な厚さで形成することができる。さらに、これらの粘膜調整材は、引き裂き強度が高く、厚さの変化率が小さいことから、耐久性に優れる。
比較例1、3の粘膜調整材は、多孔質有機架橋ポリマーを含まないため、初期粘度が高く、操作性が悪い。また、引き裂き強度も低く、耐久性に劣る。比較例2の粘膜調整材は、多孔質有機架橋ポリマーに換えて非多孔質の架橋ポリマーを含むため、初期粘度は低くなるものの稠度が大きく、粘膜調整材を十分な厚さで形成することができない。また、引き裂き強度も低く、耐久性に劣る。
実施例13−15の粘膜調整材は、液材に水溶性有機溶媒が配合されているため、練和時間が短縮される。

Claims (6)

  1. (1)粉材と、(2)液材と、からなり、
    使用時に両材を練和して用いる歯科用粘膜調整材において、
    (1)粉材が、a)(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子、及びb)多孔質有機架橋ポリマーを含んでなり、
    (2)液材が、可塑剤を含んでなる、
    ことを特徴とする歯科用粘膜調整材。
  2. b)多孔質有機架橋ポリマーが、平均粒子径が2〜50μm、平均細孔径1〜100nm、 JIS K5101−13に従って測定した精製あまに油の吸油量が0.8ml/g以上である請求項1に記載の歯科用粘膜調整材。
  3. (1)粉材が、a)(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子100質量部に対して、b)多孔質有機架橋ポリマーを5〜40質量部含んでなる請求項1又は2に記載の歯科用粘膜調整材。
  4. 可塑剤が、質量平均分子量が1000〜10000の液状ポリマーを含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の歯科用粘膜調整材。
  5. a)(メタ)アクリル系非架橋ポリマー粒子が、ガラス転移温度が0〜60℃、平均粒子径が10〜100μmである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の歯科用粘膜調整材。
  6. (2)液材が、水溶性有機溶媒を含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載の歯科用粘膜調整材。
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