JP5879314B2 - フィルム浮上装置、テンタ、溶液製膜設備及び方法 - Google Patents

フィルム浮上装置、テンタ、溶液製膜設備及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、帯状のフィルムを浮上させるフィルム浮上装置、テンタ、溶液製膜設備及び方法に関する。
ポリマフィルムは、優れた光透過性や柔軟性を有し、軽量薄膜化が可能であることから、光学機能性フィルムとして多岐に利用されている。この中でも、セルロースアシレート等を用いたセルロースエステル系フィルムは、前述の特性に加えて、さらに強靭性や低複屈折率を有している。このセルロースエステル系フィルムは、近年市場が拡大している液晶表示装置(LCD)の構成部材である偏光板の保護フィルムや光学補償フィルムとして利用されている。
ポリマフィルムの製造方法の一つとしては、溶液製膜方法が挙げられる。溶液製膜方法では、ポリマと溶媒とが含まれたドープを流延ダイから支持体上に流延して流延膜を形成する。そして、流延膜がある程度に固まり自己支持性を有するものとなった後に、支持体から流延膜を湿潤フィルムとして剥ぎ取る。次に、テンタにより、湿潤フィルムの両側端部を把持して搬送し、その搬送中にフィルムの乾燥を行う。その後、サイドスリッタによりフィルムの両側端部が切断された後、フィルムは、乾燥装置を経て、巻取装置によって巻き取られる。
テンタ、特に溶媒含有率の高い湿潤フィルムを乾燥するためのピンテンタでは、多数のピンを有するピンクリップを用いてフィルムの両側縁部にピンを突き刺して保持し、フィルムの下方及び上方に配置した送風ヘッドから乾燥風を吹き出して、フィルムを浮上させながら搬送し、フィルムを乾燥させている(特許文献1参照)。また、特許文献2では、フィルム搬送装置として、多数の吹き出し孔を有する多孔板ノズルを用いて、フィルムを浮上させた状態で搬送させている。
特開2003−260741号公報 特開2008−247507号公報
しかし、近年のフラットパネルディスプレイの大型化や軽量化に伴い、製膜するフィルムの広幅化や薄手化が進み、従来のフィルム搬送時の浮上安定化方法では浮上の安定性が不足する場合が出てきた。例えば、フィルムの浮上が不安定になると、多孔板ノズルなどにフィルムが接触して擦り傷が発生したり、破損したりすることがある。擦り傷が発生すると、この部分は製品として使用することができなくなり、製品ロスが発生する。また、破損が酷い場合には、製膜ラインの停止にもつながることから、その後の立ち上げ処理などに多くの手間と時間とを要する。したがって、フィルムの広幅化や薄手化に対応する新たな浮上安定化方法が望まれている。
特許文献1の多孔板ノズルを用いたものでは、多孔板ノズルの吹き出し孔から均等に空気を吹き出して、フィルムの垂れ下がりを抑えて、安定的に浮上搬送させる。しかし、吹き出し圧力を均等にしているものの、フィルム下の圧力が小さいため、一度外乱により浮上が不安定になると、安定化しにくいという問題がある。また、特許文献2の多孔板ノズルでは、搬送方向に凸凹形状にすることにより、フィルム下の静圧を下げ、浮上量を抑えている。しかし、フィルム下の圧力が低いため、特許文献1と同様に、一度外乱により浮上が不安定になると、安定化しにくいという問題がある。
本発明は、外乱による影響を抑えてフィルムを安定的に浮上させることができるフィルム浮上装置、テンタ、溶液製膜設備及び方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のフィルム浮上装置は、送風ヘッドと、気流制御排気部とを備える。送風ヘッドはノズル面を有する。ノズル面はフィルム面に対面して配置され、フィルム面に向けてガスを吹き出す吹き出し孔が複数配されている。気流制御排気部は、フィルムの幅方向でノズル面から前記フィルム面に向けて突出して配され、吹き出し孔からのガスをフィルムの側方に排出する。前記フィルムの搬送方向における前記ノズル面の長さをW4とし、前記フィルムの搬送方向における前記気流制御排気部の長さをW2とし、前記気流制御排気部の前記フィルムの搬送方向におけるピッチをP(P=W2+W4)としたときに、比(W2/P)が0.1以上0.3以下であり、前記吹き出し孔におけるガスの吹き出し圧力が30Pa以上150Pa以下であり、前記ノズル面から20mm離れた位置の圧力及び前記フィルム面から5mm離れた位置の圧力が5Pa以上40Pa以下であり、前記ノズル面から20mm離れた位置の圧力及び前記フィルム面から5mm離れた位置の圧力の差が2Pa以下である。
なお、フィルムの搬送方向に、ノズル面と気流制御排気部とが交互に配置されることが好ましい。
気流制御排気部は、排気樋と、この排気樋のフィルム幅方向の両側に開口する排気口とを有することが好ましい。排気樋は、1対の仕切り板を有することが好ましい。1対の仕切り板は、フィルム面に向かって突出し、互いにフィルム搬送方向に離間して配置される。この仕切り板の先端には、1対のガイド板が設けられる。ガイド板は、1対の仕切り板の間で、一方の仕切り板の突出端から他方の仕切り板の基端に向けて斜めに連続する。
排気樋には、フィルム幅方向両端を塞ぐ側板が設けられることが好ましい。この側板には排気孔が形成される。この排気孔により排気口が構成される。
吹き出し孔からフィルムまでの距離は20mm以上100mm以下であることが好ましい。
本発明のテンタは、上記のフィルム浮上装置と、フィルム搬送装置とを備える。フィルム搬送装置は、フィルムの両側縁部を保持部で保持し、この保持部をフィルムの搬送方向に循環移動させてフィルムを搬送する。ガスはフィルム中の溶媒を蒸発させるために温度調節された乾燥空気である。
本発明の溶液製膜設備は、流延装置と、この流延装置からの湿潤フィルムを保持して搬送する上記のテンタと、このテンタからのフィルムを乾燥する乾燥装置とを備える。流延装置は、エンドレスに走行する支持体の上に、ポリマ及び溶媒を含むドープを流延して帯状の流延膜を形成し、この流延膜を湿潤フィルムとして剥ぎ取る。
本発明の溶液製膜方法は、流延工程と、フィルム搬送工程と、テンタ工程と、テンタ工程を経たフィルムを乾燥する乾燥工程とを含む。流延工程は、エンドレスに走行する支持体の上に、ポリマ及び溶媒を含むドープを流延して帯状の流延膜を形成し、流延膜を湿潤フィルムとして支持体から剥ぎ取る。フィルム搬送工程は、流延工程を経た湿潤フィルムの両側縁部を保持部により保持し、フィルムを搬送する。テンタ工程は、フィルム搬送工程中のフィルム面に向けて、複数の吹き出し孔を有するノズル面から乾燥ガスを送風ヘッドにより吹き出して、湿潤フィルムを乾燥させる。この乾燥中に、気流制御排気部により、フィルム面に当たった後の乾燥ガスをフィルムの側方に排出する。気流制御排気部は、フィルム搬送方向に離間し、送風ヘッドにフィルム幅方向に沿って前記ノズル面から前記フィルム面に向けて突出して配されている。前記フィルムの搬送方向における前記ノズル面の長さをW4とし、前記フィルムの搬送方向における前記気流制御排気部の長さをW2とし、前記気流制御排気部の前記フィルムの搬送方向におけるピッチをP(P=W2+W4)としたときに、比(W2/P)が0.1以上0.3以下であり、前記吹き出し孔におけるガスの吹き出し圧力が30Pa以上150Pa以下であり、前記ノズル面から20mm離れた位置の圧力及び前記フィルム面から5mm離れた位置の圧力が5Pa以上40Pa以下であり、前記ノズル面から20mm離れた位置の圧力及び前記フィルム面から5mm離れた位置の圧力の差が2Pa以下である。
本発明によれば、ノズル面の吹き出し孔からガスを吹き出し、かつ気流制御排気部によって吹き出し孔からのガスをフィルムの側方に排出することにより、フィルム面付近とノズル面付近との圧力をほぼ同じにすることができる。これにより、外乱によって浮上が不安定になることがなくなり、フィルムを安定的に浮上させることができる。また、フィルムを安定的に浮上させた状態で乾燥が進行することにより、フィルムの全面において、より均一な光学特性が得られる。
本発明の溶液製膜設備の一例の概略を示す側面図である。 本発明のテンタの一例の概略を示す正面の断面図である。 下部送風ヘッドの一例を示す斜視図である。 同じく一部を断面で示す側面図である。 1ユニットの送風ヘッドからなるフィルム浮上装置の一例を示す斜視図である。 吹き出し孔からの乾燥空気の流れの一例を示すもので、図4におけるVI−VI線の断面図である。 吹き出し孔からの乾燥空気の流れの一例を示すもので、図4におけるVII−VII線の断面図である。 フィルムの浮上量及び浮上量変動を説明するための正面図である。 排気樋の形状を変えた別実施形態の送風ヘッドの一例の一部を断面で示す側面図である。 同じくガイド板の形状を変更した別実施形態の排気樋の一例を示す断面図である。 同じくガイド板の形状を変更した別実施形態の排気樋の一例を示す断面図である。 排気樋に代えてノズル板を山形に配置した別実施形態の送風ヘッドの一例の一部を断面で示す側面図である。 試験機の概略構成の一例を示す側面図である。 実験6で用いた送風ヘッドを示す斜視図である。 実験7で用いた送風ヘッドを示す斜視図である。 実験8で用いた送風ヘッドを示す斜視図である。
図1は溶液製膜設備の一例を示しており、この溶液製膜設備10は、流延装置11と、ピンテンタ13と、クリップテンタ14と、サイドスリッタ15a,15bと、乾燥装置16と、巻取装置17とを備える。
流延装置11は、ダイ21、ドラム22、剥取ローラ23、減圧チャンバ24を備える。ダイ21は、ドープ製造設備25から供給されたドープ20をドラム22の周面にビード26にして流す。ドープ20は、例えばセルロースアシレートを溶剤に溶解したものである。
ドラム22はモータ27により回転される。これにより、ドラム周面上にはビード26が引き延ばされて、流延膜28が形成される。減圧チャンバ24はビード26の背面側(ドラム22の回転方向上流側)を減圧し、ビード26の不安定な揺れを無くす。
ドラム22には、伝熱媒体循環機29が接続されている。伝熱媒体循環機29は、冷却された伝熱媒体をドラム22の内部に送り、ドラム22の周面を一定温度に維持する。この冷却により、流延膜28はドラム22が約3/4周する間に、剥がしても自己支持性を有する程度に固化する。
ダイ21に対し、ドラム22の回転方向上流側でドラム22の周面近くには、剥取ローラ23が設けられる。剥取ローラ23は、冷却により固化した流延膜28を支持し、ドラム22から流延膜28を剥がす。剥がされた流延膜28は湿潤フィルム30として、渡りローラ12を介してピンテンタ13に送られる。
ピンテンタ13は、フィルム搬送装置35、フィルム浮上装置36を備える。ピンテンタ13では、フィルム搬送装置35で湿潤フィルム30を搬送しながら、フィルム浮上装置36による乾燥風によって乾燥が進行する。
乾燥が進行したフィルム30はサイドスリッタ15aに送られる。サイドスリッタ15aは、ピンテンタ13のピン44による保持跡を含む両側部を切除する。
クリップテンタ14では、ピンテンタ13で乾燥が進行したフィルム30の両側縁部を把持して、フィルム幅方向及びフィルム搬送方向にフィルム30を延伸する。この延伸により、所望の光学特性を有するフィルム37となる。フィルム37は、サイドスリッタ15bにより両側部が切除された後に、乾燥装置16に送られる。なお、フィルム37の光学特性によっては、クリップテンタ14は用いることなく、迂回して乾燥装置16に直接に送ることもある。
乾燥装置16では、多数のロール38にフィルム37を巻き掛けて搬送する。乾燥装置16の内部の雰囲気は、温度や湿度などが図示しない温調機により調節されている。フィルム37は搬送されている間に、溶剤が蒸発し乾燥する。この後、フィルム37は、巻取装置17によりロール状に巻き取られる。本発明により得られるロール状フィルム39は、例えば位相差フィルムや偏光板保護フィルムに用いられる。
本発明のピンテンタ13は、テンタ室34と、フィルム搬送装置35と、フィルム浮上装置36とを有する。テンタ室34は気密に構成されており、湿潤フィルム30から乾燥した溶媒などが外部に洩れることがない。また、流延装置11からピンテンタ13への渡り部や、ピンテンタ13からクリップテンタ14への接続部、クリップテンタ14から乾燥装置16への接続部も、気密構造になっており、溶媒が外部に洩れることがない。
図2に示すように、フィルム搬送装置35は、無端チェーン40、レール41、スプロケット42(図1参照)、ピンプレート43を有する。無端チェーン40は湿潤フィルム30の走行路の両側部に沿って配置され、1対設けられる。これら無端チェーン40は、スプロケット42に掛け渡されている。スプロケット42の一つにはモータが連結されて
いる。モータはスプロケット42を回転して、無端チェーン40を循環走行させる。
各スプロケット42間の無端チェーン40は、レール41により支持される。無端チェーン40には、一定ピッチでピンプレート43が取り付けられている。ピンプレート43には、多数のピン44が突出して形成されている。ピン44は湿潤フィルム30の両側縁部を突き刺して、湿潤フィルム30を支持する。
図1に示すように、本実施形態では設備効率の観点からフィルム搬送路が例えば3段になるように途中で折り返される。これに伴い、無端チェーン40もスプロケット42で折り返される。
ピンテンタ13のフィルム導入部には、図示しないフィルム押さえブラシが配されている。フィルム押さえブラシは、フィルム側縁部をピン44の根元側に押し、ピン44が湿潤フィルム30に確実に食い込むようにしている。ピン44により両側縁部が保持された湿潤フィルム30は、無端チェーン40の循環走行によりX方向に送られる。
図2に示すように、フィルム浮上装置36は、送風ヘッド50,51、送風ダクト52、送風機53、温度調節機54を有する。下部送風ヘッド50は、フィルム30を挟むようにフィルム30の下方に、上部送風ヘッド51はフィルム30の上方に配される。
図3及び図4に示すように、下部送風ヘッド50は、ノズル板55、底板56、両側板57、両端板58を有し、略箱状に構成される。ノズル板55は、湿潤フィルム30の搬送路に対面するように配される。ノズル面55aには、多数の吹き出し孔55bが形成されている。ノズル板55の両端は、両端板58から少し延ばしてある。この延設部分により、取付端縁部55cが形成してある。この取付端縁部55cの吹き出し孔55bは送風ヘッド50の内部とは連通していないため、吹き出しには寄与していない。なお、この取付端縁部55cは省略してもよい。
図4に示すように、底板56はフィルム搬送方向中央部56aがノズル面55aに対して平行になっている。また、フィルム搬送方向中央部56aと両端板58を連結する連結部56bは、端板58に向かうに従いノズル面55aとの距離が小さくなるように傾斜している。
一方の側板57にはダクト接続筒57aが形成されている。このダクト接続筒57aを介して、送風ダクト52(図2参照)が連結される。なお、必要に応じて送風ヘッド51内には、整流板が配置される。この整流板は、各吹き出し孔55bからの空気吹き出し圧力をほぼ一定にする。
ノズル面55aには、フィルム幅方向に排気樋61が配される。この排気樋61は、フィルム搬送方向に一定ピッチで例えば4個配される。これにより、ノズル板55と排気樋61とがフィルム搬送方向に交互に配置される。
図3に示すように、排気樋61は、底板62と1対の仕切り板63とから、略U字形に構成されている。仕切り板63は、底板62のフィルム搬送方向両端縁に連続し、フィルム面30aに向かって突出している。この排気樋61は、吹き出し孔55bからのガスがフィルム面30aに当たった後に、フィルム30の両側方に排出するための吹き出しガスの気流制御排気部60を構成する。
仕切り板63の先端にはガイド板64が連続して接続される。ガイド板64は、排気樋61の内側で、先端が斜め下に向かう。この1対のガイド板64により、V字形の排気溝65が形成される。また、1対のガイド板64の先端縁は互いに密着することなく、排気隙間66になっている。
図6及び図7に示すように、排気樋61のフィルム幅方向両端部は側板67で閉じられている。図3に示すように、側板67は、底板62と仕切り板63とガイド板64との側縁に連結されている。側板67の下部には排気口68が開口している。排気口68は、水平方向に長い長方形に形成されている。吹き出し孔55bから吹き出してフィルム30に当たった空気は、排気樋61の排気溝65や排気口68を通り、送風ヘッド51の両側方に送られる。これにより、吹き出し孔55bから吹き出してフィルム30に当たった空気はフィルム30付近で滞留することがない。
なお、排気口68には、開口面積調節絞りや排気ファンなどの流量調整機構を設けもよい。この流量調整機構は、排気口68からの排気量を微調整する。これにより、吹き出し孔55bから吹き出してフィルム30に当たった空気の排出量が調節される。また、本第1実施形態では、排気口68を排気溝65の両側に設けたが、片方にのみ排気口68を設けてもよい。この場合には、排気口が形成されない側の排気隙間66の開口幅W3を排気口側の排気隙間66の開口幅W3よりも漸増するように次第に幅W3を広げることにより、幅方向でむらなく排気を行うことができる。
吹き出し孔55bにおける乾燥空気49の吹き出し圧力P0は、20Pa以上155Pa以下が好ましい。特に好ましくは20Pa以上120Pa以下である。吹き出し圧力P0が20Pa以上であると、フィルム30が自重に負けることなく安定的な浮上となる。155Pa以下であると、フィルム30の直下の圧力が大きくなり過ぎない。また、外乱による振動が起きて振動が増大したとしても、振動を抑えることができ、浮上が安定する。吹き出し孔55bからフィルム30までの距離である浮上高さHFは20mm以上100mm以下であることが好ましく、特に好ましくは40mm以上100mm以下である。この浮上高さHFが20mm以上100mm以下であると、フィルム下の圧力が均一になり、浮上中の振動が少なくなる。
ノズル面55aから20mm上方に離れた位置の圧力P1及びフィルム面30aから5mm下方に離れた位置の圧力P2が5Pa以上40Pa以下であることが好ましい。特に、好ましくは10Pa以上25Pa以下である。これらの圧力P1,P2が5Pa以上であると、フィルム30の自重に負けることなく、浮上搬送が可能になる。また、これらの圧力P1,P2が40Pa以下であると、フィルム30が幅方向にゆるやかな凸形状に膨らむことがなく、浮上量過多や外乱耐性不足にならない。
これら圧力P1,P2の圧力差(P2−P1)は2Pa以下であることが好ましい。この圧力差(P2−P1)が2Pa以下であると、圧力がほぼ均一となり外乱による振動でフィルム30の浮上が不安定となることもない。
図8に示すように、フィルム30は、吹き出し孔からのガスの吹き出しにより、ガス吹き出し方向に突出して膨らんだ形状となる。したがって、フィルム面30aを基準にして圧力P2を測定するとその都度変動した位置で測定することになる。これを避けるために、フィルム面30aを基準にする場合には、実際にはピンプレート43のピン44によるフィルム保持面(以下、基準面という)30bをフィルム面30aとし、この基準面30bからの距離で圧力P2の測定点を特定する。なお、図8においては、フィルム30の浮上量U1及び浮上量変動ΔUを説明するために、フィルム30の膨らみ形状を実際のものよりも誇張して描いてある。また、上側の送風ヘッドは図示を省略している。
フィルム30の浮上量U1は、ガスの吹き出しによってフィルム30が浮上した時のフィルム30の幅方向中央における基準面30bからの高さの平均値を言う。この浮上量U1は、例えば10秒以上60秒以下の時間における高さの平均値である。浮上量変動ΔUは、浮上量U1を求める時のフィルム30の幅方向中央の浮上量U1の変動幅の最大値をいう。フィルム振動との違いは周波数であり、フィルム振動は吹き出し空気の周波数に依存し、15Hz以上200Hz以下程度であり、浮上量変動ΔUの周波数は0.01Hz以上5Hz以下程度である。
図4に示すように、排気樋61の幅W2と、排気樋61のピッチPとの比(W2/P)が0.1以上0.3以下であることが好ましい。なお、ピッチPは、送風ヘッド50のノズル面上にフィルム搬送方向に排気樋61を離して並べた時の各排気樋61間の間隔を言う。各排気樋61間のノズル面55aの幅(ノズル面55aのフィルム搬送方向における長さ)をW4としたときにピッチPは(W2+W4)である。このピッチPに対する排気樋61の幅が占める割合である比(W2/P)が0.1以上であると排気の効果が増し、外乱耐性が後述する実験1の多孔板に比べて強くなる。また、0.3倍以下であると、給気風量不足となることがなく、浮上が安定化する。なお、気流制御排気部60としての排気樋61を図示する関係から、図2〜図9では、排気樋61のサイズをノズル面55aに比べて拡大し、排気樋61を誇張した図面としてある。このため、これらの図2〜図9では、上記のW2/Pの関係を満たす寸法とはなっていない。
また、ガイド板64の先端同士の隙間である排気隙間66の幅をW3としたときに排気樋61の上端における幅W2に対する比であるW3/W2は0.02以上0.05以下が好ましい。0.02以上であると排気の効果により外乱耐性が増す。また、0.05以下であると、排気の効果が大きくなることがなく、フィルム下の圧力がほぼ均一となる。
図3に示すように、排気樋61の長さL2は送風ヘッド50の幅W1と同じであることが好ましい。この場合には、フィルム30の浮上エリア内でフィルム面30aに当たった乾燥空気49を効率良く排気樋61によりフィルム幅方向両側に逃がすことができる。
排気樋61の仕切り板63の高さH2は、吹き出し孔55bの直径D1の2倍以上25倍以下が好ましい。2倍以上であると排気溝65へ気流が流れて、排気の効果が得られる。また、25倍以下であると、ノズル板55からの噴出し風の減衰が小さくなり、浮上が安定する。
図4に示すように、ガイド板64のノズル面55aに対する傾斜角度θ1は5°以上30°以下が好ましい。傾斜角度θ1が5°以上であると気流が排気溝65に入り易くなる。また、30°以下であると排気樋61の周辺の圧力が均一になる。
図2に示すように、上部送風ヘッド51も、下部送風ヘッド50と同じに構成されており、同一構成部材には同一符号を付して、重複した説明を省略している。図5に示すように、本実施形態では、上下の送風ヘッド50,51を1組としてこれらを3個並べたものを1ユニットとしている。そして、フィルム搬送装置35のフィルム搬送長さに応じて、必要なユニット数分だけ設けることにより、フィルム浮上装置36が構成される。
次に、本実施形態の作用を説明する。図2に示すように、ピンテンタ13において、湿潤フィルム30はその両側縁部にピン44が突き刺さることにより、両側縁部が保持される。ピン44はピンプレート43に保持されており、ピンプレート43は回転走行する無端チェーン40に固定されている。無端チェーン40はレール41により支持された状態でスプロケット42(図1参照)により回転される。これにより、湿潤フィルム30はピンテンタ13内をX方向に走行する。
走行する湿潤フィルム30には、送風ヘッド50,51の吹き出し孔55bから乾燥空気49が送られる。この乾燥空気49は、図6に示すようにフィルム面30aに当たった後に、図7に示すように、排気樋61からフィルム30の両側方に排出される。したがって、吹き出し孔55b付近の静圧と、フィルム面30a近くの静圧との圧力差が無くなり、フィルム30が外乱によって乱れても、直ぐに乱れが抑えられ、大きな乱れに発展することが無い。したがって、フィルム面30aがバタ付くことも無く、フィルム30を安定して浮上させることができる。これにより、フィルム面30aに送風ヘッド50,51が接触して擦り傷が発生したり、破れたりすることが無くなる。また、フィルム30が安定的に浮上した状態で乾燥が進行するため、フィルム30の全面において、より均一な光学特性が得られる。
特に、気流制御排気部60はフィルム幅方向に沿って長く配置され、その排気口68がフィルム幅方向両端部に位置しているため、フィルム30を浮上させるために吹き出した乾燥空気49を効率良くフィルム浮上範囲エリアからフィルム両側方に送り出すことができる。これにより、吹き出し孔55bが形成されているノズル面55a付近の圧力とフィルム面30a付近の圧力の差を、より小さくすることができる。したがって、外乱によるフィルム30の振動に対して、振動を大きくすることなく抑えることができ、振動耐性が向上する。
なお、上記実施形態では、図4に示すように、排気樋61の仕切り板63をノズル面55aに直交させて配置したが、これに限らず、図9に示すように、仕切り板70を排気樋71の内側に向けて傾斜角度θ2で傾斜させて配置した送風ヘッド72を用いてもよい。なお、各実施形態において、図1〜図7に示す実施形態と同一構成部材には同一符号を付して重複した説明を省略している。
図10は、1対のガイド板74a,74bの一方を他方のものよりも長く形成した別実施形態の排気樋74を示している。図11は、1対のガイド板77a,77bを下方に向かって湾曲させた別実施形態の排気樋77を示している。排気隙間66の開口幅W3は、図10の場合には、短いガイド板74aの先端から、長いガイド板74bまでの隙間である。図11の場合には、ガイド板77a,77bの先端同士の隙間が排気隙間66の開口幅W3となる。
図12は、個別の排気樋61,71に代えて、多数の吹き出し孔75bを有するノズル板75を山形に配置した別実施形態の送風ヘッド76を示している。この場合には、山形同士の間の谷部分の吹き出し孔75bを無くして、この谷部分により、気流制御排気部75cを構成している。なお、谷部分の吹き出し孔75bの単位面積当たりの開口率を山頂部分のものに比べて小さくすることにより、吹き出し風を弱くして、この弱くした部分を気流制御排気部としてもよい。
上記実施形態ではフィルム30に対面させて送風ヘッド50,51を配置したが、上部送風ヘッド51は省略して下部送風ヘッド50のみで浮上搬送させることもできる。しかし、外乱による振動耐性を考慮すると、上下に送風ヘッド50,51を設けることが好ましい。
上記実施形態では、ピンテンタ13のフィルム浮上装置36として説明したが、これに限らず、クリップテンタ14やその他のフィルム搬送装置に用いることができる。また、フィルム搬送に限らず、他の帯状材の浮上搬送に用いてもよい。
本発明の溶液製膜設備10において、製品としてのフィルムの幅は、600mm以上であることが好ましく、1400mm以上2500mm以下であることがより好ましい。なお、フィルムの幅が2500mmより大きい場合にも効果がある。またフィルムの膜厚は、15μm以上80μm以下であることが好ましい。ポリマフィルムの原料となるポリマは、特に限定されず、例えば、セルロースアシレートや環状ポリオレフィン等がある。
本発明のセルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでも良いし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていても良い。2種類以上のアシル基を用いるときは、その1つがアセチル基であることが好ましい。セルロースの水酸基をカルボン酸でエステル化している割合、すなわち、アシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものが好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、A及びBは、アシル基の置換度を表わし、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。また、トリアセチルセルロース(TAC)の90重量%以上が0.1mm〜4mmの粒子であることが好ましい。
(I) 2.0≦A+B≦3.0
(II) 1.0≦ A ≦3.0
(III) 0 ≦ B ≦2.9
アシル基の全置換度A+Bは、2.20以上2.90以下であることがより好ましく、2.40以上2.88以下であることが特に好ましい。また、炭素原子数3〜22のアシル基の置換度Bは、0.30以上であることがより好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。
セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号の[0140]段落から[0195]段落に記載されている。これらの記載も本発明にも適用できる。また、溶剤及び可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤(UV剤),光学異方性コントロール剤,レターデーション制御剤,染料,マット剤,剥離剤,剥離促進剤などの添加剤についても、同じく特開2005−104148号の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されている。
本発明のフィルム浮上装置36による効果を確認するために、図13に示すように試験機78を用いて、試験した。先ず、帯状フィルム79の一端をクリップ80に固定し、他端に錘81を取り付けて、ローラ82で帯状フィルム79を水平に支持した。この帯状フィルム79を挟むように上下に送風ヘッド50,51を配置し、これを一組としてフィルム搬送方向(長手方向)に3組並べて1ユニットとした。この1ユニットの各送風ヘッド50,51に空気を送り、帯状フィルム79を浮上させた。帯状フィルム79は、厚みが25μm、幅が1800mmのTACフィルムを用いた。
(実験1)
実験1では、直径D1が2.5mmの吹き出し孔55bを多数配列して単位面積当たりの開口率を10%としたパンチング板からなるノズル板55を有する図3に示す送風ヘッド50,51を用いた。ノズル板55にフィルム搬送方向にピッチPを500mmとして4個の排気樋61を設けた。排気樋61の長さL2を帯状フィルム79の幅に合わせて1800mmとし、排気樋61の幅W2を150mmとし、高さH2を45mmとした。比(W2/P)は0.3である。ガイド板64のノズル面55aに対する傾斜角度θ1は6°とした。排気隙間66の開口幅W3は4mmで、その開口面積は7200mmとした。ガス吹き出し圧力P0は90Paとし、ノズル面55aから帯状フィルム79までの距離である浮上高さHFは90mmとした。
上下の送風ヘッド50,51に乾燥風を供給した。先ず、下の送風ヘッド50からの乾燥風の吹き出しによって、帯状フィルム79を浮上させる。また、上の送風ヘッド51からの乾燥風の吹き出しによって、帯状フィルム79の上方への膨らみを抑えて、浮上量U1を小さくする。このため、下の送風ヘッド50の送風量を、帯状フィルム79の自重分を考慮して浮上させられる風量に決める。また、上の送風ヘッド51の送風量は、吹き出し圧力が5Pa程度である。そして、浮上量U1が大きい場合に、上の送風ヘッド51の送風量を徐々に上げていく(例えば、下の送風ヘッド50の送風量の1/5程度)。なお、浮上量U1と浮上量変動ΔUを加えたもの(U1+ΔU)が、上下の送風ヘッド50,51の隙間{2×(HF−H2)}よりも小さい範囲内になるように、送風量を決定する。これにより、送風ヘッド50,51に帯状フィルム79が接触することが無くなる。
ノズル面55a付近の風圧はノズル面55aから噴出した気流が十分減衰した距離(ノズル面55aから20mm離した位置)において、長野計器(株)製の圧力センサGC30を用いて測定した。同様にして、帯状フィルム79下の風圧を、帯状フィルム79の近く(図8に示す基準面30bから5mm離した位置)にセンサを配置して測定した。
帯状フィルム79の振動試験は、歪みゲージ85とパソコン86とを用いて測定した。パソコン86には、歪みゲージ85からの信号に基づき、歪み振動を高速フーリェ変換(FFT)して周波数解析を行い、振動のピークを測定するためのアプリケーションがインストールされている。歪みゲージ85は、帯状フィルム79の長さ方向及び幅方向の中央部に貼り付けてある。この歪みゲージ85を用いて、風圧変動により振動した帯状フィルム79の振動数を測定し、その振動ピークの大きさによって、4つに段階付けして評価した。歪みゲージ85は、(株)東京測器研究所製のYEFLA−2を用いた。また、歪み振動によって振動ピークを求めるアプリケーションとして、歪み変動値をFFTで周波数解析するマクロを用いた。また、図8における浮上量U1及び浮上量変動ΔUは、株式会社キーエンス製のレーザー変位計LKG−3000を用いて測定した。
外乱耐性試験は、帯状フィルム79の長さ方向中央位置にて、フィルム面30aに直交する鉛直方向に上下の送風ヘッド50,51の隙間である90mmの振幅を1回加えた際のフィルム振動が減衰するまでの時間s(秒)によって、段階付けして評価した。
(実験2)
実験2は、図9に示すように、排気樋71の仕切り板70を内側に傾斜させた送風ヘッド72を用いた以外は実験1と同じ条件にした。鉛直線に対する仕切り板70の傾斜角度θ2を10°とし、排気溝65の排気隙間66の開口幅W3を4mmとした。
(実験3)
実験3は、図10に示すような長さの異なるガイド板74a,74bを有する排気樋74を用いた以外は実験1と同じ条件にした。
(実験4)
実験4は、図11に示すように内側に凸になるように湾曲したガイド板77a,77bを有する排気樋77を用いた以外は実験1と同じ条件にした。
(実験5)
実験5は、図12に示すように、吹き出し孔75bを有するノズル板75を水平線に対して傾斜させて山形とした送風ヘッド76を用いた以外は実験1と同じ条件にした。吹き出し孔75bの直径は2.5mm、単位面積当たりの開口率は10%でノズル板75の水平線に対する傾斜角度を30°とした。
(実験6)
実験6は、図14に示すように、図3の送風ヘッド51から排気樋61を無くして全面に多数の吹き出し孔100aを形成したノズル板100を有する多孔送風ヘッド101を用いた。それ以外は実験1と同じ条件にした。ノズル板100の吹き出し孔100aの直径D1は2.5mmで、その単位面積当たりの開口率は10%とした。
(実験7)
実験7は、図15に示すように、フィルム幅方向にスリット状開口105を有するノズル106をフィルム搬送方向にピッチPを500mmとして4列配置した送風ヘッド110を用いた。それ以外は実験1と同じ条件にした。
(実験8)
実験8は、実験7のスリット状開口105を有するノズル106に代えて、図16に示すように、多数の吹き出し孔115bの直径D1が2.5mmで、単位面積当たりの開口率が10%のノズル板115を,開口位置に有するノズル116を、フィルム搬送方向にピッチPを500mmとして4列配置した凹凸状の送風ヘッド120を用いた。それ以外は実験1と同じ条件にした。
実験結果を下記の表1に示す。
Figure 0005879314
フィルム振動試験の評価基準は、「A」が0を超えて100με以下、「B」が100μεを超えて250με以下、「C」が250μεを超えて400με以下、「D」が400μεを超えたものとした。このフィルム振動試験の結果は、実験1では50μεとなり、優(A)となった。また、実験2は110μεとなり、良(B)となった。実験3は60μεとなり、優(A)となった。実験4は45μεとなり、優(A)となった。実験5は200μεとなり、良(B)となった。実験6では300μεとなり不可(C)、実験7では550μεとなり不可(D)、実験8では300μεとなり不可(C)となった。なお、実験6,8の評価(C)はフィルム厚みが25μm、フィルム幅が1800mmの薄く広幅のフィルムに対しての評価であり、フィルム厚みが厚くなり、また、フィルム幅も狭くなるに従い、例えばフィルム厚みが60μm、フィルム幅が1800mmのように少し厚みのあるフィルムでは可となる可能性があり、実験7の不可(D)の評価とは異なる評価となった。
外乱耐性試験の評価基準は、Aが0を超えて20s(秒)以下、Bが20sを超えて50s以下、Cが50sを超えて120s以下、Dが120sを超えたもの、または振動が減衰しないものとした。この外乱耐性試験の結果は、実験1では10sとなり、優(A)となった。また、実験2では30sとなり、良(B)となった。実験3,4では10sとなり、優(A)となった。実験5では30sとなり、良(B)となった。実験6では65sとなり、不可(C)、実験7では振動が増大し、減衰しない結果となり、不可(D)、実験8では180sとなり、不可(D)となった。なお、実験6の評価(C)はフィルム厚みが25μm、フィルム幅が1800mmの薄く広幅のフィルムに対しての評価であり、フィルム厚みが例えば60μm程度に厚くなり、また、フィルム幅が狭くなるに従い、実用レベルでは可となる可能性があり、実験7,8の不可(D)の評価とは異なる評価となった。
上記実験1〜8により、排気樋の形状が異なる場合の評価が得られた。そして、フィルム振動試験及び外乱耐性試験で、共に評価が良(B)以上のもの、または一方の試験の評価が不可(C)で他方の試験の評価が良(B)のものを総合評価で良とし、それ以外を不可とした。この結果、実験1〜5が良となり、実験6〜8が不可となった。
(実験11〜13)
実験11〜13では、実験1の送風ヘッド50を用いて、ガス吹き出し圧力P0の適正範囲を確認した。ガス吹き出し圧力P0を変えて上記フィルム振動試験及び外乱耐性試験を行った。実験11は、ガス吹き出し圧力P0を30Paに変えた以外は実験1と略同じ条件にした。ガス吹き出し圧力P0が変わるとノズル付近圧力P1、フィルム下圧力P2、その差(P2−P1)が変わるため、実験1と全く同じ条件と言い難いため、略同じ条件との表現を用いている。以下の各実験においても同様である。実験12は、ガス吹き出し圧力P0を150Paに変えた以外は実験1と略同じ条件にした。実験13は、ガス吹き出し圧力P0を155Paに変えた以外は実験1と略同じ条件にした。実験結果を下記表2に示す。これらの実験11〜13によって、ガス吹き出し圧力P0の適正範囲が30Pa以上150Pa以下であることが判る。
(実験21〜23)
実験21〜23では、実験1の送風ヘッド50を用いて、ノズル付近圧力P1を変えて、フィルム振動試験及び外乱耐性試験を行い、ノズル付近圧力P1の適正範囲を確認した。実験21は、ノズル付近圧力P1を5Paに変えた以外は実験1と略同じ条件にした。但し、ノズル付近圧力P1を変えるために、ガス吹き出し圧力P0を変更した。この変更に伴い、フィルム下圧力P2、その差(P2−P1)が実験1に対し変化した。実験22は、ノズル付近圧力P1を40Paとし、このためガス吹き出し圧力P0を変えた以外は実験1と略同じ条件にした。同様にして、実験23は、ノズル付近圧力P1を45Paにし、このためガス吹き出し圧力P0も変えた以外は実験1と略同じにした。実験結果を下記表2に示す。これらの実験21〜23によって、ノズル付近圧力P1の適正範囲が5Pa以上40Pa以下であることが判る。
(実験31〜33)
実験31〜33では、実験1の送風ヘッド50を用いて、フィルム下圧力P2を変えて、フィルム振動試験及び外乱耐性試験を行い、フィルム下圧力P2の適正範囲を確認した。実験31は、フィルム下圧力P2を5Paに変えた以外は実験1と略同じ条件にした。但し、フィルム下圧力P2を変えるために、ガス吹き出し圧力P0を変更した。この変更に伴い、ノズル付近圧力P1、その差(P2−P1)が実験1に対し変化した。実験32は、フィルム下圧力P2を40Paとし、このためガス吹き出し圧力P0を変えた以外は実験1と略同じ条件にした。同様にして、実験23は、フィルム下圧力P2を45Paにし、このためガス吹き出し圧力P0も変えた以外は実験1と略同じにした。実験結果を下記表2に示す。これらの実験31〜33によって、フィルム下圧力P2の適正範囲が5Pa以上40Pa以下であることが判る。
(実験1,41〜43)
実験1,41〜43では、実験1の送風ヘッド50を用いて、比(W2/P)を変えて、フィルム振動試験及び外乱耐性試験を行い、比(W2/P)の適正範囲を確認した。実験41は、比(W2/P)を0.3に変えた以外は実験1と同じ条件にした。但し、比(W2/P)を変えて浮上高さHFを一定にしたため、ガス吹き出し圧力P0やノズル付近圧力P1、フィルム下圧力P2、差(P2−P1)も変わった。実験42は、比(W2/P)を0.4に変えた以外は実験41と同じ条件にした。同様に実験43は、比(W2/P)を0.05に変えた以外は実験41と同じ条件にした。ただし、実験41と同じように比(W2/P)を変えて浮上高さHFを一定にしたため、ガス吹き出し圧力P0やノズル付近圧力P1、フィルム下圧力P2、差(P2−P1)も変わった。実験結果を下記表3に示す。これらの実験1,41〜43によって、比(W2/P)の適正範囲が0.1以上0.3以下であることが判る。
Figure 0005879314
なお、ノズル付近圧力P1、フィルム下圧力P2の圧力差(P2−P1)の適正範囲の確認の実験は、特に行っていない。しかし、上記各実験の結果から、圧力差(P2−P1)が2Pa以下のときに、フィルム振動や外乱耐性が良いことが判る。
10 溶液製膜設備
13 ピンテンタ
14 クリップテンタ
30 湿潤フィルム
34 テンタ室
35 フィルム搬送装置
36 フィルム浮上装置
37 フィルム
43 ピンプレート
50,51 送風ヘッド
52 送風ダクト
55a ノズル面
55b 吹き出し孔
55 ノズル板
56 底板
57 側板
58 端板
60 気流制御排気部
61 排気樋
63 仕切り板
64 ガイド板
65 排気溝
66 排気隙間
67 側板
68 排気口

Claims (8)

  1. 帯状のフィルムのフィルム面に対面して配置され、前記フィルム面に向けてガスを吹き出すことができる吹き出し孔が複数配されるノズル面を有する送風ヘッドと、
    前記フィルムの幅方向で前記ノズル面から前記フィルム面に向けて突出して配され、前記吹き出し孔からのガスを前記フィルムの側方に排出するための気流制御排気部と、
    備え、
    前記フィルムの搬送方向における前記ノズル面の長さをW4とし、前記フィルムの搬送方向における前記気流制御排気部の長さをW2とし、前記気流制御排気部の前記フィルムの搬送方向におけるピッチをP(P=W2+W4)としたときに、比(W2/P)が0.1以上0.3以下であり、
    前記吹き出し孔におけるガスの吹き出し圧力が30Pa以上150Pa以下であり、
    前記ノズル面から20mm離れた位置の圧力及び前記フィルム面から5mm離れた位置の圧力が5Pa以上40Pa以下であり、
    前記ノズル面から20mm離れた位置の圧力及び前記フィルム面から5mm離れた位置の圧力の差が2Pa以下であるフィルム浮上装置。
  2. 前記フィルムの搬送方向に、前記ノズル面と前記気流制御排気部とが交互に配置される請求項1記載のフィルム浮上装置。
  3. 前記気流制御排気部は、
    前記フィルム面に向かって突出し、互いにフィルム搬送方向に離間して配置される1対の仕切り板、
    前記1対の仕切り板の間で、一方の前記仕切り板の突出端から他方の前記仕切り板の基端に向けて斜めに連続する1対のガイド板、
    この1対のガイド板の先端の間に設けられる排気隙間
    を有する排気樋と、
    前記排気樋のフィルム幅方向の両側に開口する排気口と
    を備える請求項2記載のフィルム浮上装置。
  4. 前記排気樋のフィルム幅方向両端を塞ぐ側板と、前記側板に形成される排気孔とを有し、前記排気孔により前記排気口が構成される請求項3記載のフィルム浮上装置。
  5. 前記吹き出し孔から前記フィルムまでの距離は20mm以上100mm以下である請求項1から4いずれか1項記載のフィルム浮上装置。
  6. 請求項1からいずれか1項記載のフィルム浮上装置と、
    前記フィルムの両側縁部を保持部で保持し、この保持部をフィルムの搬送方向に循環移動させて前記フィルムを搬送するフィルム搬送装置とを備え、
    前記ガスはフィルム中の溶媒を蒸発させるために温度調節された乾燥空気であるテンタ。
  7. エンドレスに走行する支持体の上に、ポリマ及び溶媒を含むドープを流延して帯状の流延膜を形成した後に、支持体から流延膜を湿潤フィルムとして剥ぎ取る流延装置と、
    前記流延装置からの前記湿潤フィルムを保持して搬送する請求項記載のテンタと、
    前記テンタから搬送されるフィルムを乾燥する乾燥装置と、
    を備える溶液製膜設備。
  8. エンドレスに走行する支持体の上に、ポリマ及び溶媒を含むドープを流延して帯状の流延膜を形成した後に、前記支持体から前記流延膜を湿潤フィルムとして剥ぎ取る流延工程と、
    前記流延工程を経た前記湿潤フィルムの両側縁部を保持部により保持して搬送するフィルム搬送工程と、
    前記フィルム搬送工程中のフィルム面に向けて複数の吹き出し孔を有するノズル面から乾燥ガスを送風ヘッドにより吹き出して前記湿潤フィルムを乾燥させ、この乾燥中に、フィルム搬送方向に離間し、前記ノズル面にフィルム幅方向に沿って且つ前記ノズル面から前記フィルム面に向けて突出して配される気流制御排気部により、前記フィルム面に当たった後の乾燥ガスを前記フィルムの側方に排出するテンタ工程と、
    前記テンタ工程を経たフィルムを乾燥する乾燥工程と
    含み、
    前記フィルムの搬送方向における前記ノズル面の長さをW4とし、前記フィルムの搬送方向における前記気流制御排気部の長さをW2とし、前記気流制御排気部の前記フィルムの搬送方向におけるピッチをP(P=W2+W4)としたときに、比(W2/P)が0.1以上0.3以下であり、
    前記吹き出し孔におけるガスの吹き出し圧力が30Pa以上150Pa以下であり、
    前記ノズル面から20mm離れた位置の圧力及び前記フィルム面から5mm離れた位置の圧力が5Pa以上40Pa以下であり、
    前記ノズル面から20mm離れた位置の圧力及び前記フィルム面から5mm離れた位置の圧力の差が2Pa以下である
    溶液製膜方法。
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